2017年02月18日

「司法試験平成28年最新判例ノート」を発売しました

 Amazonより、「司法試験平成28年最新判例ノート」を発売しました。
 本書はKindle用電子書籍ですが、Kindle以外の端末やPCからも、下記の無料アプリを使って利用できます。

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【本書の概要】

 本書は、平成28年に出された最高裁判例(一部平成27年のものも含む)のうち、司法試験対策上重要と考えられるものを掲載したものです。

1.最新判例を学習する意味は、概ね以下の2つです。
 1つは、短答知識としての意味です。最新判例の判示内容を問う肢が出題された場合には、その場で考えて正解できることもないわけではありませんが、基本的には知っているかどうかで差が付きます。もっとも、短答試験は問題数が多いため、1つの肢が分からない程度で合否に大きく影響することはありません。ですから、短答対策として最新判例を学習する必要性は、それほど高くないといえるでしょう。とはいえ、一度軽く目を通しておけば、それだけで正誤の判断が容易になる場合もありますから、軽く一読する程度の学習は、費用対効果という面で、それなりに意味のあることだろうと思います。
 もう1つの意味は、論文における問題の所在を把握するヒントとしての意味です。論文試験では、最新判例の事案と類似していたり、共通の問題意識が背景となっているような出題がされることがあります。この場合も、既存の知識を使って適切な解答にたどり着くことは不可能ではありませんが、知らないと問題の所在を的確に把握できず、的外れな論述になってしまうおそれがあります。論文は設問の数が少ないですから、ある設問で問題意識を大きく外してしまうと、予定された配点を丸々落としてしまい、合否に大きく影響することになります。入り口の問題把握を誤って、出題意図と全く関係のない論述に終始してしまうというのは、不合格答案の典型例です。これを避けるために、最新判例を学習するのです。この意味において、最新判例を学習する必要性はそれなりに高い、ということができると思います。他方で、最新判例については、ほとんどの場合、既存の重要判例とは異なり、厳密に規範を覚えたり、射程範囲を理解するところまでは必要ではありません。重要なことは、上記のような論述の入り口を把握できずに、問題意識を大きく外して的外れな論述になるという事態を避けるということです。その程度のレベルであれば、一度軽く目を通し、一応の理解をする程度で足ります。この程度のことをやっているだけでも、問題の所在の把握の容易さは大きく変わります。このことは、本試験の現場で、限られた時間の中において答案構成をするときに、大きな差となって表れてくるでしょう。
 本書では、上記のような観点から、試験前に一度は目を通しておくとよいだろうと思われる判例に絞って収録しました。
 憲法5、行政法3、民法8、商法2、民訴法3、刑法5、刑訴法2の合計28の判例を収録しています。
 各判例には、重要度に応じてAAからCまでのランクを付しました。ただし、今年はAAに該当するものはありません。

2.司法試験対策として判例を学習する場合には、原文に当たるのが基本です。特に最新判例については、何よりもまず、どのような事案でどのような判示がされたのか、ということ自体を把握することが重要です。それが従来の学説の理解との関係でどのように位置付けられるか、射程範囲はどうか、等については、学者の間で議論がまとまるまで、一定の時間を要するからです。すなわち、「とにかくそんな判例がある」ことを知っておくことが重要だということです。最新判例を出題する側の立場になって考えてみればわかることですが、短答で正誤を問うにしても、学説の理解が定まっていない状況では、原文と照らし合わせて容易に正誤が分かるものしか出せません。論文で出題するにしても、その判例の射程について学説の理解が定まっていない状況では、出せる事案の幅に限界があるのです。ですから、学者の評釈などはあまり気にせずに、原文を軽く一読しておく、というのが、前記の最新判例を学習する意義との関係でも有益です。
 そこで、本書では、原文を要約することなく、そのまま掲載することを基本としています。もっとも、Kindle用書籍ということを考慮し、できる限りコンパクトにまとめるよう努力しました。その関係で、収録するのは多数意見の重要部分に限るものとし、個別意見の収録は見送りました。事案についても、判旨の理解に不要な場合は、掲載を省いたり、簡略化したものを掲載しました。

3.市販の判例集を読んで挫折する要因の1つに、細部に目が行ってしまうということがあります。判例の事案や判旨には、「被上告人は、○県○市○町(○年に行われた合併により、現在は、○市)の…であり、…であったところ、○年○月○日に…(なお、…は…であり、…とされたものである。)」など、判旨の本質的理解に必ずしも必要のない細かい部分の記述が含まれています。これは、内容の正確性、特定性を確保するために必要な記述です。しかし、そのような記述があるために、何度読んでも事案の概要や判旨が頭に入って来ず、挫折してしまう、ということが起きるのです。しかし、だからといって、安易に要約をしてしまうのは、原文を学習するという前記の意義が薄れてしまいますし、詳細が気になった場合には、かえって困ることになります。そこで、本書では、骨格読み(スケルトンリーディング)の手法を用い、基本的に原文をそのまま掲載しつつ、本質的理解に必要な部分を太字とし、太字部分だけを繋いで目を通せば、概要をつかめるようにしています。まずは太字部分だけに目を通し、詳細が気になった場合に、前後を注意して読み直すと、効率良く理解できるでしょう。

4.判例を学習する際、ただ漫然と目を通しても頭に入ってこない、という人が多いと思います。与えられた文字を読む場合には、どうしても脳は受動的となり、活発に働かなくなるからです。これに対し、質問に対する答えを考える場合には、脳は解答を探そうと活発に働きます。そのため、急に理解が進むようになるのです。
 そこで、本書では、各判例の理解のポイントとなる部分について、末尾に一問一答形式のチェックテストを付けています。スマホやタブレット端末での操作になじむよう、問題の次のページに解答に対応する判示部分を再掲しています。直前に見たばかりの判旨でも、チェックテストで指摘されたポイントを意識していないと、頭に入って来ないことに気が付くと思います。同時に、特定のポイントを意識して解答を考えてから同じ判旨をみると、見え方が違うことにも気が付くでしょう。

5.本書の末尾には、付録として、論証化して整理しておくと論文で役に立つと思われる判例について、判旨を論証化した論証例集を収録しました。

6.なお、本書では、判決・決定のいずれにおいても、「判旨」と表記しています。「裁判所の判断の要旨」ないし「裁判要旨」の略称と考えておけばよいでしょう。市販されている判例集の中には、決定の場合に「決旨」と表記するものがあります。これは、「判旨」とは判決の要旨を、「決旨」とは決定の要旨を指すと理解しているからです。しかし、そのような使い分けに意味があるとは思われません。決定のときに限って、判例を「決例」としたり、判示を「決示」などとしないのと同様です。最高裁のHPでも、「裁判要旨」の表記が用いられています。

7.本書が、受験生の方々の最新判例の学習に少しでも役立てば幸いです。

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2017年01月09日

「平成29年司法試験のための平成28年刑訴法改正の解説」を発売しました

 Amazonより、「平成29年司法試験のための平成28年刑訴法改正の解説」を発売しました。
 本書はKindle用電子書籍ですが、Kindle以外の端末やPCからも、下記の無料アプリを使って利用できます。

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【本書の概要】

1.本書は、平成28年5月24日に可決、成立し、同年6月3日に公布された刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成28年法律第54号。以下「改正法」といいます。)による刑事訴訟法等の改正のうち、平成29年の司法試験及び予備試験において影響のあることが確実なものについて、その内容を紹介するとともに、試験対策上の留意点を説明したものです。

2.司法試験及び予備試験は、いずれも、原則として試験時に施行されている法令に基づいて出題することとされています。

(参考資料)「司法試験の出題に係る法令について」(平成17年5月31日司法試験委員会決定。平成23年11月9日改正。)

1 司法試験は、試験時に施行されている法令に基づいて出題する。
2 例外的に、各科目別の考査委員において、1と異なる取扱いとすることを相当と認めるときは、司法試験委員会に対し、1と異なる取扱いとする旨を速やかに広報するよう求める。


(参考資料)「司法試験予備試験の出題に係る法令について」(平成22年11月10日司法試験委員会決定)

1 司法試験予備試験は、試験時に施行されている法令に基づいて出題する。
2 例外的に、各科目別の考査委員において、1と異なる取扱いとすることを相当と認めるときは、司法試験委員会に対し、1と異なる取扱いとする旨を速やかに広報するよう求める。


 改正法による刑訴法等の改正については、「公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日が施行期日である。」という説明がされることがあり、平成29年の司法試験及び予備試験には全く影響がないと誤解している人もいるようです。
 しかし、実際には、改正法附則1条1号から3号までに規定された改正については、既に施行期日が到来しています(平成29年1月1日現在)。

(改正法附則1条)
 この法律は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する
一 附則第九条第三項の規定 公布の日
二 第一条(刑事訴訟法第九十条、第百五十一条及び第百六十一条の改正規定に限る。)、第三条、第五条及び第八条の規定並びに附則第三条及び第五条の規定 公布の日から起算して二十日を経過した日
三 第一条(前号に掲げる改正規定を除く。)及び第六条の規定並びに次条並びに附則第四条、第六条、第八条、第十条、第十一条(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成十六年法律第六十三号)第六十四条第一項の表第四十三条第四項、第六十九条、第七十六条第二項、第八十五条、第百八条第三項、第百二十五条第一項、第百六十三条第一項、第百六十九条、第二百七十八条の二第二項、第二百九十七条第二項、第三百十六条の十一の項及び第六十五条第四項の改正規定に限る。)及び第十二条から第十五条までの規定 公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日
四 第二条(刑事訴訟法第三百一条の次に一条を加える改正規定を除く。)及び第四条の規定並びに附則第七条及び第十一条(前号に掲げる改正規定を除く。)の規定 公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日


(刑事訴訟法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令(平成28年9月30日政令第316号))

 刑事訴訟法等の一部を改正する法律附則第一条第三号に掲げる規定の施行期日は、平成二十八年十二月一日とする


 したがって、平成29年の司法試験又は予備試験を受験する場合には、既に施行されている改正事項について、一応は頭に入れておく必要があるのです。もっとも、一般の受験生にとっては、どの部分が既に施行されているのか、よくわからない、というのが普通だと思います。そこで、本書は、改正法による刑訴法等の改正のうち、平成29年の司法試験及び予備試験において影響のあることが確実なものに絞って、説明しました。

3.司法試験及び予備試験の試験対策において、改正対応の学習は、それほどメインのものではありません。本書では、できる限り簡潔な説明にとどめつつも、適宜、改正に係る議論を参考資料として紹介し、改正の経緯ないし立法事実が正しく理解できるように努めました。

4.現在の司法試験の短答式試験においては、刑事訴訟法は出題範囲に含まれていません。そのため、本書における短答式試験対策とは、専ら予備試験の短答式試験対策を意味します。
 他方、論文式試験対策としては、司法試験の刑事訴訟法分野(刑事系第2問)、予備試験の刑事訴訟法科目、予備試験の刑事実務基礎科目に影響があります。本書において、論文式試験対策というときは、司法試験の刑事訴訟法分野(刑事系第2問)、予備試験の刑事訴訟法科目、予備試験の刑事実務基礎科目に関するものを意味しています。
 また、予備試験の口述試験では、刑事実務基礎科目に影響があります。
 本書では、これらの点について、各改正事項ごとに、簡単に試験対策上の留意点を説明しました。

5.本書において摘示された条文番号は、特に記載のない限り、刑事訴訟法です。

6.本書が、改正法による刑訴法等の改正についての学習に少しでも役に立てば幸いです。

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2017年01月03日

「司法試験定義趣旨論証集刑訴法」を発売しました

 Amazonより、「司法試験定義趣旨論証集刑訴法(通常表示版)」及び「司法試験定義趣旨論証集刑訴法(逐次改頁版)」を発売しました。
 本書はKindle用電子書籍ですが、Kindle以外の端末やPCからも、下記の無料アプリを使って利用できます。

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【本書の概要】

1.本書は、司法試験に出題可能性のある刑事訴訟法の定義(意義)、趣旨、論証をまとめ、論文試験対策上、文字情報として覚えておくべき事項を、一元化したものです。
 個々の項目ごとに、「答案に書くために覚える必要があるか。」という観点から、AAからCまでの重要度のランクを付しました。基本書等で重要な基本概念とされるものであっても、あまり答案に書く機会はないと判断されるものについては、低めのランクとなっています。また、「書く機会はそれなりにあるけれども、知らなくても書けるだろう。」というようなものも、低めのランクとしています。
 本書には、論点名と論証の間に改ページを挟まない通常表示版と、論点名と論証部分との間に改ページの入った逐次改頁版があります。逐次改頁版は、簡易の論点問題集のような用途で使用することを想定しています。例えば、

 強制処分の意義
 重要度:AA

 という論点タイトルを見て、論証の中身を考えます。そして、答え合わせをする感覚で、次のページをめくると、

 強制処分とは、個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でないものをいう(岐阜呼気検査事件判例参照)。

 という論証の中身が表示されます。英単語の暗記カードのようなイメージです。このような用途ではなく、改ページの入らない通常の表示がされるものを利用したい場合には、通常表示版をご利用下さい。
 
2.現在の司法試験・予備試験の論文式試験における合格答案の要件は、概ね

(1)基本論点を抽出できている。
(2)当該事案を解決する規範を明示できている。
(3)その規範に問題文中のどの事実が当てはまるのかを明示できている。

という3つです。
 上記のうち、(1)に必要な能力は、基本書等で基本論点を理解し、具体的な事例を素材にした演習等によって、どのような場合にどのような論点が問題になるかということを見分ける訓練をすることで、修得することができます。また、(3)に必要な能力は、事例問題を繰り返し解くことで、身に付けることが可能です。
 一方で、(2)は、規範を覚えることで対処するよりありません。覚えていなければ、答案に書くことはできないからです。本書は、主に上記(2)に必要な記憶を効率的に行うための教材です。
 刑事訴訟法は、事例処理の傾向の強い科目です。そのため、上記の(1)から(3)までを素直に書くスタイルで答案を書きやすい。単に合格するというだけなら、それで十分でしょう。一方で、上記の(1)から(3)までと比較すると微々たるものですが、趣旨・本質論にも一定の配点があるのが特徴です。上記の(1)から(3)までにある極端に大きい配点を拾えば、合格ラインを優に超えますが、上位合格を狙うには、さらに、趣旨・本質論に振られた細かい配点を拾っていくことが、ある程度は必要になってくる場合がある。これが、刑事訴訟法の基本的な科目特性です。
 そんなに高順位でなくてもよいから、とにかく受かりたい、という人は、基本的な規範だけを覚えて、端的に規範から書くという書き方を身に付ければ十分です。本書でAA又はAランクになっているものは、大体そのような人が覚えておくべき規範が中心となっています。概ね500番くらいまでは、上記の(1)から(3)までを普通にこなすだけで、到達することが可能です。500番くらいに至らない人のほとんどは、基本論点を落としてしまっているか、当てはめに入る前に規範を明示していないか、当てはめにおいて問題文の事実を引用しておらず、又は忠実に事実を引用することなく、雑に要約してしまっていることが原因です。
 一方で、合格レベルは既にクリアしていて、500番くらいより上の上位合格を狙いたい、という場合は、もう少し踏み込んで点を取りに行く必要があります。そのような人は、普通の人が規範を覚えていないような論点についても、規範を覚えて明示できるようにしたり、規範を示す前に、その規範の理由を示す。また、個々の論点を説明する場合にも、本質論を示した上で、それと論理的にリンクさせる形で説明する。このような書き方をすれば、上位が狙えるでしょう。本書では、主にBランク以下に、そのようなややマイナーな規範や、通常の合格レベルであれば書く必要のない理由付け、本質論などを掲載しています。全部を覚えようとするのではなく、1つ1つ、覚えられるものから覚えていけばよいでしょう。ただ、これらを覚えようとするのは、上記(1)から(3)までが当然にできるようになってからの話です。上記(1)から(3)までの書き方を確立できていないのに、趣旨や本質に遡ろうとすると、論述がまとまらなくなって、法律論の体をなしていないような答案になってしまいがちです。
 また、文字を書く速度も重要です。上記(1)から(3)までを書き切るだけでも、かなりの文字数が必要です。目安としては、概ね6頁は必要だ、と思っておくとよいと思います。刑訴法の場合は、6頁でも足りない、ということも珍しくありません。ですから、普段の演習で、時間内に6頁以上書けないのであれば、どんなに本書の規範等を覚えても、合格ラインに達しない可能性があります。まずは、答案構成の時間等の時間配分を工夫したり、文字を書く速さを伸ばすなどして、時間内に6頁以上書けるようになりましょう。6頁程度というのは、上記(1)から(3)までを書き切るための最低限の頁数で、それだけでは理由付けや本質論を書く余裕はありません。ですから、試験当日までに7頁、8頁を普通に書き切れる自信がない限りは、理由付けや本質論を覚えても、意味がありません。覚えた理由付けや本質論を書いていたら、ほぼ間違いなく時間切れになってしまうでしょう。論文試験においては、文字を書く速さによって獲得できる得点の上限が画されてしまうのです。上位合格を狙いたいのであれば、とにかく安定して7頁、8頁を書けるようになることが大事です。このように、自分が書ける答案の頁数に応じて、普段の学習で覚えるべき情報の範囲も定まっていきます。自分がどのくらいの順位で受かりたいのか、何頁程度なら安定して書けるのか、自分自身でしっかり把握しておく必要があるのです。
 なお、予備試験では、70分で4頁ですから、当然4頁びっしり書ける、というのが前提となります。4頁びっしり書いても、当てはめをしっかり書いていると、理由付けなど書く余裕がない、というのが普通です。ですから、予備試験では、規範だけしっかり覚えておけば、十分だろうと思います。現場で時間と紙幅に余裕が生じそうなら、事実の評価を充実させて書く。そのような方針の方が、学習効率が良いのではないかと思います。

3.刑訴法は、判例、裁判例、実務の考え方と、学説の考え方との乖離が激しい科目です。司法試験・予備試験では、圧倒的に判例、裁判例、実務の考え方に立った方が書きやすいです。理由は2つあります。1つは、当てはめがしやすい、ということです。刑訴法の学説は極端に厳格なものが多く、当てはめに入る前に違法の結論が出てしまうものが多いのですが、それで事例問題を解くと、配点のある事実を拾えないため、点が取れないことがよくあります。これに対し、判例、裁判例、実務の考え方は、多くの場合、総合考慮になりますから、配点のある事実を拾いやすい。これが1つ目の理由です。もう1つの理由は、論理がシンプルですっきりしている、ということです。刑訴法の学説は、趣旨や本質論のレベルで高い理想を掲げてしまうため、具体的な妥当性を図るために、理解の難しい論理を用いることが多いのです。これに対し、判例、裁判例、実務の考え方は、出発点が控え目なので、そこから素直に演繹すれば、妥当な結論を得ることが容易です。具体的には、後記5を参照して下さい。論理がすっきりしているということは、答案が書きやすいというだけでなく、理解しやすいので学習効率もよいという利点があります。
 以上のようなことから、本書では、基本的に判例、裁判例、実務の考え方に依拠しています。

4.本書は、平成28年12月25日現在までの判例をベースに作成をしています。最も新しい判例を論証化したものとしては、訴訟能力の回復に見込みがない場合の公訴棄却に関する最判平28・12・19があります。

5.以下では、あまり基本書等で説明されていない点について、いくつか補足的に説明しておきたいと思います。

(1)公道等(最決平20・4・15の表現では、「通常、人が他人から容ぼう等を観察されること自体は受忍せざるを得ない場所」を指します。)における写真・ビデオ撮影(この項において以下、単に「撮影」といいます。)については、京都府学連事件判例はやたらと要件が厳しい、ということで疑問を持っている人が多いのではないかと思います。実は、京都府学連事件判例と、これを明示的に引用したオービス事件(最判昭61・2・14)には、通常の公道等における撮影とは異なる特殊性があるのです。

(京都府学連事件判例)
 「このような場合に行なわれる警察官による写真撮影は、その対象の中に、犯人の容ぼう等のほか、犯人の身辺または被写体とされた物件の近くにいたためこれを除外できない状況にある第三者である個人の容ぼう等を含むことになつても、憲法一三条、三五条に違反しない」

(オービス事件判例)
 「右写真撮影の際、運転者の近くにいるため除外できない状況にある同乗者の容ぼうを撮影することになつても、憲法一三条、二一条に違反しないことは、当裁判所昭和四四年一二月二四日大法廷判決(刑集二三巻一二号一六二五頁)の趣旨に徴して明らかである」
 ※ 上記「当裁判所昭和四四年一二月二四日大法廷判決(刑集二三巻一二号一六二五頁)」とは、京都府学連事件判例を指す。

 このように、京都府学連事件判例及びオービス事件判例は、被疑者以外の第三者の容ぼう等を除外できないため、第三者の容ぼう等が写り込んでしまうという事案に関するものです。事件に無関係の第三者は、何ら捜査機関に撮影される理由がないわけですから、そのプライバシー等を考慮すれば、第三者の容ぼう等を除外して、被疑者のみを撮影しなければならないのが原則です。しかし、どうしても除外できない場合がある。その場合に、どのような要件の下であれば、許容できるのか。まず、被疑者を捜査機関が既に特定していたのなら、シャッターチャンスは他の機会にもあるわけです。その対象者を尾行するなどして、第三者が写り込まない機会を見計らって撮影すればよい。最決平20・4・15は、そのような事案です。

(最決平20・4・15)
 「被告人が本件にかかわっている疑いが生じ、警察官は、前記防犯ビデオに写っていた人物と被告人との同一性を判断するため、被告人の容ぼう等をビデオ撮影することとし、同年12月ころ、被告人宅近くに停車した捜査車両の中から、あるいは付近に借りたマンションの部屋から、公道上を歩いている被告人をビデオカメラで撮影した。さらに、警察官は、前記防犯ビデオに写っていた人物がはめていた腕時計と被告人がはめている腕時計との同一性を確認するため、平成15年1月、被告人が遊技していたパチンコ店の店長に依頼し、店内の防犯カメラによって、あるいは警察官が小型カメラを用いて、店内の被告人をビデオ撮影した。」

 では、被疑者を捜査機関が特定できていない場合はどうか。この場合、普通は誰を撮影していいかが、そもそもわからないでしょう。「犯人が誰か検討がつかないので、とりあえず無差別に撮影しました。」というのは、許されるはずがありません。そうなると、第三者を除外せずに撮影することが許されるのは、「目の前の人物が犯人に違いないが、捜査機関がその人物を誰だか把握していないので、今撮影しないと紛れてしまってわからなくなってしまう。」というような状況でしょう。そのような状況とは、どのような場合か。それは、現行犯又は準現行犯的な場合です。このように考えれば、京都府学連事件があのような要件を立てたことが、理解できるでしょう。そして、その延長線上にあるのが、山谷ビデオ撮影事件です。公道を継続的に撮影すれば、第三者が写り込んでしまい、除外できません。その意味では、京都府学連事件判例やオービス事件判例と同じ状況です。しかし、将来発生する犯罪の捜査という点からすれば、現行犯又は準現行犯的状況を要求することはできませんから、その意味において、上記各判例の趣旨がそのまま及ぶとはいえない。そこで、これに代えて、犯罪発生の高度の蓋然性を要求したのです。本書では、このことが明確になる論証を用意しました。

(2)取調受忍義務については、学説が否定説、実務が肯定説と、真っ二つに割れています。学説は、取調受忍義務を否定しながら、(取調受忍義務のない)取調べは強制処分であるが供述義務はない(供述は強制されていない)とし、さらに、余罪取調べには一定の制限がある、と考えるものが、比較的多数でしょう。しかし、これらを論理的に説明しようとすると、難解な理屈を持ち出す必要が出てきます。そのために、この部分は、多くの受験生にとって、「意味がわからない。」と感じさせるのです。本書では、身柄拘束のある被疑者の取調受忍義務を肯定し、だから、取調受忍義務を課して行う取調べは強制処分である(逆にいえば、取調受忍義務を課さない取調べは任意処分である。)。一方、黙秘権の告知により、供述の強制はない(取調受忍義務は出頭滞留義務を意味するにとどまる。)、という立場に立っています。そして、このように、身柄拘束の効果として取調受忍義務が発生すると考えるのなら、取調受忍義務にも身柄拘束の原則である事件単位の原則が及ぶと考えるのが論理的ということになります。したがって、取調受忍義務を課して行う取調べについては、原則として余罪取調べは許されない。許されるのは、余罪が密接に関連していて、余罪取調べが本罪の取調べにもなるような場合、あるいは、取調受忍義務を課さない取調べ、すなわち、任意の取調べの場合に限られる。そして、被告人の取調べについては、198条1項ただし書反対解釈からは被疑者の取調受忍義務しか導くことができませんから、強制処分法定主義によって、被告人に取調受忍義務を課した取調べをすることはできない。したがって、任意の取調べの限度で被告人の取調べをすることができる、という結論に至るのです。非常にシンプルな論理です。本書では、このような立場が明確になる論証を用意しています。
 また、別件逮捕・勾留については、別件基準説に立ち、余罪取調べの問題に解消させる見解を採用しています。この方が論述の枠組みがすっきりして書きやすく、上位の得点を取りやすいということは、平成23年司法試験において確認されています。

(参考資料1)「被疑者取り調べに関する質問主意書」(平成二十二年一月二十六日提出 質問第四三号 提出者 馳浩)より抜粋
 
一 身体の拘束を受けている被疑者に取調受忍義務があるか。刑事訴訟法第一九八条第一項但書の解釈について政府の見解を問う。

 

(参考資料2)「衆議院議員馳浩君提出被疑者取り調べに関する質問に対する答弁書」(平成二十二年二月五日受領 答弁第四三号内閣衆質一七四第四三号)より抜粋
 
一について
 逮捕又は勾留されている被疑者は、取調べのために出頭し、滞留する義務を負うと考えている。

 

(参考資料3)法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会第1作業分科会(第8回)議事録より抜粋
 
川出敏裕幹事「身柄拘束中の被疑者について取調べのための出頭・滞留義務を課す根拠についてですが…逮捕・勾留というのは取調べを目的としたものではありません。そのことを前提に、身柄拘束中の被疑者について取調べのための出頭・滞留義務が課されることを説明するとすれば、被疑者の身柄拘束期間には厳格な制限があり、捜査機関は、その限られた期間内に捜査を尽くして起訴・不起訴を決定しなければならないため、捜査の便宜を考慮して、身柄が拘束されている場合には、法律で特別に取調べのための出頭・滞留義務を認めたということになろうかと思います。」

 

(参考資料4)参院法務委員会平成28年4月14日議事録より抜粋
 
政府参考人(林眞琴君)「起訴後の勾留中の被告人に対しましても、起訴された事件以外の余罪につきまして取調べを行うことはできると考えられます。もっとも、この場合には、この被告人に取調べ受忍義務が課されない点でその法的性格は在宅の被疑者の取調べに近くて、被告人は取調べを受けること自体を拒否することができると考えられます。」

 

(3)逮捕に伴う捜索差押えの根拠について、かつての学説は、緊急処分説に立つものが多数でした。しかし、緊急処分説では凶器、逃走具も差押えの対象になる、とするのですが、凶器、逃走具は被疑事件の証拠ではないのですから、証拠の収集・保全の手続である「差押え」の作用として凶器、逃走具を取り上げるというのは、おかしな話です。本書は、判例、実務に近いとされ、学説上も近時は多数となりつつある合理説、蓋然性説を採用しています。もっとも、合理説、蓋然性説というのは受験生に誤解されがちな名称です。この説は、単に「証拠がありそうだから」という理由で捜索差押えを認めるのではありません。逮捕状が発付され、又は現行犯・準現行犯逮捕、緊急逮捕が可能な状況が客観的に備わっている場合には、その状況を疎明資料として捜索差押許可状を請求すれば、ほぼ間違いなく許可状が発付されるので、それなら、その手続を省略してしまいましょう、という趣旨の見解です。だから、その場所的範囲は、「証拠がありそうな場所的範囲」ではなく、逮捕の現場を捜索場所として捜索差押許可状が発付されたのと同様に、同一管理権が及ぶ範囲、ということになるのですね。また、「合理説、蓋然性説からは凶器、逃走具はどうするの?」という疑問を抱く人がいますが、これも、捜索差押許可状を執行しようとしたら、被処分者が凶器、逃走具を用いて抵抗しようとした場合と同様に考えることになります。すなわち、「必要な処分」(222条1項、111条1項前段)で処理することになる。222条1項に、220条の場合が含まれていることを確認してください。本書では、そのことが明確になる論証を用意しています。

(4)訴因の特定については、近時、識別説に近い立場を明示する判例(最決平26・3・17)が現れています。

(最決平26・3・17)
 「訴因における罪となるべき事実は、その共犯者、被害者、期間、場所、暴行の態様及び傷害結果の記載により、他の犯罪事実との区別が可能であり、また、それが傷害罪の構成要件に該当するかどうかを判定するに足りる程度に具体的に明らかにされているから、訴因の特定に欠けるところはないというべきである。」

 本書では、この判例を規範化した論証を用意しました。

(5)補強法則の趣旨について、学説は、一般的な誤判防止の趣旨であるとします。そのような理解からは、犯人性も含めて広く補強が必要ということになる。もっとも、それでは立証が困難になるからという理由で、犯人性までは含まない、と考えるのが通説です。しかし、これでは立証の困難という技術的な理由で、理論的に必要なはずの補強を不要としていることになり、素直に理解することは難しいでしょう。立証が困難であれば、無罪になるのが利益原則に基づく論理的な帰結だからです。立証が困難だからという理由によって、理論的に要求される補強を不要とし、被告人を有罪にできるようにする、というのは、おかしな解釈論でしょう。そもそも、学説の考え方からは、自白がなくても有罪判決が可能な程度の補強を要求するのが論理的ですが、これでは自白の証拠能力を一般的に否定しているのとほとんど変わりません。
 これに対し、判例は、一貫して、補強法則の趣旨を、架空の犯罪による処罰を防止するという点に限定して理解しています。

(最大判昭24・10・5)
 「「自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には有罪とされ」ないと規定した法意は、現実には犯罪が行われていないのに、被告人の架空な自白によつて犯罪が行われたごとく虚構されて有罪とされる危険を防止するために、被告人を有罪とするには、自白のほかに自白の真実に合致することを裏書するに足りる他の証拠(補強証拠)を必要とする趣旨を明らかにしたものである。されば、他の証拠によつて犯罪が現実に行われた客観的事実が裏書されて自白が架空のものでないことが確められる限り、たとい犯罪事実の一部の証拠が被告人の自白だけであつても、これらの証拠と相まつて自白により犯罪事実を認定することは、法の許容するところと言わなければならない」

 無実の人に架空の罪を自白させる(殺人事件など起きていないのに、「人を殺した。」と自白させて有罪にする。)という手段が、戦前において思想弾圧等に利用されたことから、これを防止しようとする、ということですね。このような手段は、現代ではあり得ない、と思うかもしれませんが、必ずしもそうではありません。現代でもあるとされる犯罪のでっち上げの手段として、「転び公妨」というものがあります(そのシーンを撮影したものとされるドキュメンタリー映画として、森達也監督の「A」があります。)。その意味では、補強法則の趣旨に関する判例の見解は、現在でも的外れなものとはいえないでしょう。このような判例の理解は、その後も繰り返し判示されているところです(最判昭23・10・30、最判昭24・7・19、最判昭24・12・6、最判昭25・6・13、最大判昭25・7・19、最判昭26・5・15、最判昭26・6・21、最判昭26・7・20、最判昭26・8・9、最判昭26・8・28、最判昭27・1・8、最判昭28・4・3、最判昭28・5・29、最決昭28・10・20、最判昭28・10・23、最判昭29・4・22、最大判昭30・4・6)。このような趣旨からすれば、架空の事件ではないということがわかる程度であれば足りるということになりますから、主観面はもちろん、犯人性についても補強は不要ということになります。立証が困難だから、ではなく、論理的に、そのような帰結になるのです。一方で、車を運転しているという点に補強証拠があるだけでは、架空の無免許運転をでっち上げることが可能になってしまいますから、運転免許を受けていないという点についてまで補強が必要だ、ということになるわけですね(最判昭42・12・21)。本書では、この点が明確になる論証を用意しています。

(6)伝聞法則の趣旨について、かつては、反対尋問(証人審問)権の保障とダイレクトに結び付ける見解が学説上有力でした。しかし、その考え方は、判例(最大決昭25・10・4)の理解と整合的ではありません。判例は、証人尋問の対象となって法廷に出頭した証人に対して尋問する権利を与えたのが反対尋問(証人審問)権であって、反対尋問を経ない供述証拠を排除する趣旨ではないと考えているからです。

(最大決昭25・10・4)
 「憲法三七条二項は、刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与えられると規定しているのは、裁判所の職権により又は訴訟当事者の請求により喚問した証人につき、反対尋問の機会を充分に与えなければならないというのであつて、反対尋問の機会を与えない証人その他の者(被告人を除く)の供述を録取した書類は絶対に証拠とすることは許されないという意味をふくむものでない」

 最近では、学説上も、反対尋問は真実性を担保するための一手段に過ぎないとし、伝聞法則と反対尋問(証人審問)権を直結させない見解が多数になりつつあるのではないかと思います。本書では、この点が明確になる論証を用意しました。

(7)いわゆる精神状態の供述とは、供述どおりの精神状態を要証事実とする場合であり、そのような発言があったことを要証事実とし、その事実を間接事実として、発言者の精神状態を推認する場合とは区別する必要があります。本書では、この点を明確に区別した論証を用意しました。

(8)犯行被害再現実況見分調書事件判例(最決平17・9・27)は、「実質的な要証事実とは何か」という問題設定をすると、わからなくなります。これは要するに、「非供述証拠として証拠採用する場合には、証拠物としての手続、要件で足りるが、その場合には供述内容を証拠としてはならない。供述内容を証拠とするのであれば、供述証拠としての手続、要件が必要である。」という当然の理解に立った上で、第1審及び原審が、供述内容(この場合は身振りも含む被害者の犯行再現が供述となる。)を証拠として、その内容どおりの事実(再現されたとおりの犯罪事実の存在)を認定しているのに、供述証拠としての手続、要件を充足していなかった点に違法がある、と判示したものです。本書では、この点が明確になる論証を用意しています。

(9)立証趣旨の限定と、立証対象を限定してする同意は、混同されがちです。本書では、その点を明確に区別した論証を用意しました。

(10)伝聞証拠に対する同意(326条)の法的性質については、学説上は反対尋問権の放棄と捉えるのが通説とされます。伝聞法則の趣旨を反対尋問(証人審問)権と直結させていたかつての学説との整合性が、背後にあります。しかし、反対尋問権の放棄と考えてしまうと、同意した書面の証明力を争うために作成者を証人尋問できることを説明することが難しくなります。また、自白調書に対する同意や、違法収集証拠に対する同意については、反対尋問権の放棄では説明ができませんから、この場合の同意は326条の同意とは性質が違うものだという理解になります。そうすると、どのような根拠で証拠能力が付与されることになるのか、説明に困るでしょう。自白調書に対する同意や、違法収集証拠に対する同意について、一般的に当事者には証拠能力を付与する処分権限があるからだ、として説明するのであれば、なぜ、326条の場合だけ反対尋問権の放棄と捉えなければならないのか、ということになります。そのため、実務家系の研究者等には、同意とは証拠能力を付与する訴訟行為であると考える見解(証拠能力付与説)を支持する人が多いように思います。このように考えれば、同意した書面の証明力を争うために作成者を証人尋問できることを説明することが容易ですし、自白調書に対する同意や、違法収集証拠に対する同意についても、一元的に理解することが可能になります。また、このことは、伝聞法則を反対尋問(証人審問)権と直結させない理解からも、整合的といえるでしょう。本書では、この点が明確になる論証を用意しています。

(11)弾劾証拠について、証明力を増強させる場合、回復させる場合を含むか、という論点があります。従来、この論点についての見解を説明する際に、非限定説、純粋補助証拠説からの限定説、非伝聞説からの限定説のいずれの立場からの見解なのか整理されることなく、説明がされていて、それが、この論点の理解を困難にさせていたように思います。非伝聞説からの限定説からすれば、328条は非伝聞の場合を注意的に規定したものに過ぎないわけですから、「争う」という文言によって対象が限定されるのではなく、単純に、非伝聞となるかどうか、が意味を持つことになります。そして、「供述者が公判廷供述と同趣旨の供述(自己一致供述)をしていたこと」を要証事実とする限り、自己矛盾供述の場合と同様の理屈で、非伝聞となるでしょう。したがって、非伝聞説からの限定説からは、増強させる場合を含まない、とは直ちにいえないことになるのです。もっとも、ここで注意すべきは、「自己一致供述の存在を立証することによって、公判廷供述の証明力が増強されるのか。」ということです。自己矛盾供述の存在によって公判廷供述の証明力が減殺されるのは、供述に変遷があることがわかるからです。しかし、自己一致供述は、どんなにそれを繰り返しても、通常は直ちに証明力を増強させることにはならないでしょう。最初に嘘をついた人が、その嘘を繰り返すことは、普通にあることだからです。ですから、自己一致供述が存在することによって、公判廷供述が信用できると評価し得るような特段の事情がない限り、証明力の増強は認められないのです。回復の場合はどうでしょうか。「甲が乙を殺した。」、「いや、乙を殺したのは丙だった。」、「やっぱり、乙を殺したのは甲である。」。このような供述は、単に変遷が多いことを示すに過ぎません。これでは、証明力を回復することにはならないですね。ですから、増強の場合と同様に、自己一致供述が存在することによって公判廷供述が信用できると評価し得るような特段の事情がない限り、証明力の回復は認めることができないのです。従来は、この点があまり整理されて来ませんでしたが、近時の学説は、この点を明確にしているものが増えてきています。本書では、この点が明確になる論証を用意しました。

(12)違法収集証拠からの派生証拠について、判例は、同一目的・直接利用に基づく違法性の承継を根拠とする系統と、密接関連性を根拠とする系統のものとに分かれるとされていますが、前者は、密接関連性が認められる典型的な場合を判示したものである、とするのが、最近では一般的な理解だろうと思います。本書も、その立場に立っています。また、判例は、関連性の有無と、それが密接であるかという問題を、明確に区別しています。

(大津違法逮捕事件判例)
 「本件覚せい剤は、被告人の覚せい剤使用を被疑事実とし、被告人方を捜索すべき場所として発付された捜索差押許可状に基づいて行われた捜索により発見されて差し押さえられたものであるが、上記捜索差押許可状は上記(2)の鑑定書を疎明資料として発付されたものであるから、証拠能力のない証拠と関連性を有する証拠というべきである。
 しかし、本件覚せい剤の差押えは、司法審査を経て発付された捜索差押許可状によってされたものであること、逮捕前に適法に発付されていた被告人に対する窃盗事件についての捜索差押許可状の執行と併せて行われたものであることなど、本件の諸事情にかんがみると、本件覚せい剤の差押えと上記(2)の鑑定書との関連性は密接なものではないというべきである。」

 本書では、これに対応した論証を用意しています。

6.本書では、判例に事件名を付して特定する記載の仕方をしている場合がありますが、これは無理をして覚える必要はありません。答案に書く際に、事件名で特定できると便利な場合もあります。覚えようとしなくても、講義やゼミで取り上げられたとか、名称のインパクトで何となく覚えてしまったということも、あると思います。その場合には、事件名で判例を特定した上で引用して構わないという意味で、事件名を付しているに過ぎない、その程度のものとして、利用して頂ければと思います。

7.令状等の「提示」については、従来、「呈示」の表記が用いられていましたが、「法令における漢字使用等について」(平成22年11月30日内閣法制局長官決定)に基づき、本書では「提示」の表記を用いています。

8.本書が、受験生の方々の学習に少しでも役に立てば幸いです。

 

【収録論点一覧】

捜査の意義
将来捜査の可否
将来捜査における逮捕の可否
将来捜査における捜索差押えの可否
「犯人を知つた」(235条1項)の意義
告訴の客観的不可分の原則
告訴の主観的不可分の原則(238条1項)の趣旨
職務質問(警職法2条1項)の法的性質
職務質問(警職法2条1項)に伴う有形力の行使
所持品検査の根拠
承諾のない所持品検査
自動車検問の適法性に係る問題の所在
交通違反の予防、検挙のための自動車検問の根拠
交通違反の予防、検挙のための自動車検問の適法要件
交通違反以外の犯罪の予防、検挙のための自動車検問の根拠
交通違反以外の犯罪の予防、検挙のための自動車検問の適法要件
自動車利用者の自由を制限してもやむを得ないと認められる場合
集団内に紛れた犯人を検挙するための集団全体の停止の適法要件
集団内に紛れた犯人を検挙するための集団全体の停止の適法要件の理由
強制処分の意義
秘密裏に行われる場合における強制処分性の判断
承諾のない宅配便のエックス線検査
任意処分の意義
任意処分における有形力の行使
被疑者に対する任意同行の根拠
被疑者以外の者に対する任意同行の根拠
任意同行及び任意の取調べの適法性の判断基準
任意同行及び任意の取調べが強制手段によるものか否かの判断基準
長時間にわたる任意の取調べの適法性
長時間にわたる任意の取調べが許容されるための特段の事情
おとり捜査の意義
おとり捜査の適法性
コントロールド・デリバリーの意義
コントロールド・デリバリーの適法性
強制採尿の可否
強制採尿の適法要件
強制採尿の手続
強制採尿のための連行の可否
強制採尿のための連行を許容する理由
採尿場所を特定した強制採尿令状発付の可否
強制採血の可否
強制採血の手続
写真・ビデオ撮影が任意処分となる場合
公道等における被疑者の容ぼう等の撮影の適法要件(被疑者に限定して撮影する場合)
公道等における被疑者の容ぼう等の撮影の適法要件の理由(被疑者に限定して撮影する場合)
「捜査目的を達成するため」の意義
公道等における被疑者の容ぼう等の撮影の適法要件(被疑者以外の者も写り込む場合)
公道等における被疑者の容ぼう等の撮影の適法要件の理由(被疑者以外の者も写り込む場合)
将来犯罪捜査のための公道等における継続的ビデオ撮影の適法要件
将来犯罪捜査のための公道等における継続的ビデオ撮影の適法要件の理由
犯罪の予防・鎮圧のための公道等における継続的ビデオ撮影の適法要件
犯罪の予防・鎮圧のための公道等における継続的ビデオ撮影の適法要件の根拠
身柄拘束中の被疑者の取調受忍義務の肯否
198条1項ただし書の趣旨
身柄拘束中の被疑者取調べの法的性質
取調受忍義務を肯定しても黙秘権を侵害しない理由
自白した被疑者に犯行時の動作を再現させる場合の適法要件
身柄拘束中の被疑者に対する余罪取調べの適法要件
身柄拘束中の被疑者に対する余罪取調べの適法要件の理由
被告人取調べの可否
被告人取調べを許容する理由
被告人取調べが違法となる場合
勾留中の被告人に対する余罪取調べの可否(余罪につき身柄拘束がない場合)
勾留中の被告人に対する余罪取調べの可否(余罪につき身柄拘束がある場合)
被疑者の黙秘権の根拠
ポリグラフ検査と黙秘権
黙秘権の効果
逮捕の理由(199条1項本文)における「相当の理由」の意義
不出頭と逮捕の必要性(199条2項ただし書、規則143条の3)
逮捕に伴う有形力の行使
未決勾留の目的
10日未満の勾留状発付の可否
「やむを得ない事由」(208条2項)の意義
「やむを得ない事由」(208条2項)の判断に余罪を考慮できるか
「相当な限度」の意義
逮捕・勾留の効力が及ぶ範囲
事件単位説の理由
事件の同一性の判断
逮捕前置主義の意義
逮捕前置主義の根拠
付加勾留の可否
付加勾留肯定説に対する批判
違法逮捕に基づく勾留の可否
違法逮捕に基づく勾留を否定する理由
逮捕・勾留の一回性の原則の意義
逮捕・勾留の一回性の原則の根拠
一罪一逮捕一勾留の原則の意義
「一罪」の意義
一罪一逮捕一勾留の原則の例外
再逮捕・再勾留禁止の原則の意義
再逮捕・再勾留禁止の原則の例外の肯否
再逮捕・再勾留禁止の原則の例外要件
再逮捕・再勾留禁止の原則の例外要件の理由
先行する逮捕・勾留に違法がある場合の再逮捕・再勾留の可否
先行する逮捕・勾留に違法がある場合の再逮捕・再勾留を許さない理由
別件逮捕・勾留の意義
別件逮捕・勾留の適法性審査
逮捕に対する準抗告の可否
429条1項2号の趣旨
勾留期間の初日参入の肯否
現行犯逮捕(212条1項、213条)が認められる理由
現行犯逮捕(212条1項、213条)の要件
犯罪及び犯人の明白性の意義
犯罪の現行性の意義
時間的接着性の明白性の意義
現行犯逮捕着手後の追跡による時間の経過
現行犯人性の判断基準時
現行犯人性の判断資料
準現行犯逮捕(212条2項、213条)の要件
時間的場所的接着性の限界
時間的場所的接着性の明白性の判断資料
212条2項各号該当事実による逮捕要件の推認
接見交通権の意義
秘密交通権の意義
弁護人等との秘密交通権(39条1項)の憲法上の保障
秘密交通権の及ぶ範囲
秘密交通権の及ぶ範囲の理由
接見内容を取り調べることが許される場合
接見内容を取り調べることが許される場合の理由
被疑者が任意に接見内容を供述した場合
39条3項(接見指定)の趣旨
「捜査のため必要があるとき」(39条3項本文)の意義
「捜査のため必要があるとき」(39条3項本文)の意義の理由
「捜査の中断による支障が顕著な場合」の意義
接見等の申出を受けた捜査機関のとるべき措置
接見等に必要な手続による弁護人等の待機
接見等指定において捜査機関のとるべき措置
接見等指定の方法の適法性判断基準
初回接見に対する接見指定の適法性判断基準
初回接見に対する接見指定の適法性判断基準の理由
任意取調中の弁護人からの面会申出
検察庁の庁舎内における接見要求の拒否
被疑者の逃亡や罪証隠滅を防止することができ、戒護上の支障が生じないような設備のある部屋等の意義
検察庁内接見を拒絶できる場合の面会接見の配慮義務
余罪捜査を理由とする接見指定
捜索の意義
差押えの意義
検証の意義
実況見分の意義
鑑定の意義
裁判所は差押え等の必要性について審査できるか
差押対象物件を差し押さえる場合の差押えの必要性の要否
差押えの必要性の考慮要素
差押対象物件の関連性の要件
背景立証の関連性
差押対象物件、捜索場所等の明示(219条1項)の趣旨
捜索場所の特定の程度
差押対象物件の概括的記載
罰条記載の要否
219条1項が被疑事実の記載を要求していない趣旨
令状提示(222条1項、110条)の趣旨
令状提示(222条1項、110条)の時期
令状の事前提示の原則の理由
「必要な処分」(222条1項、111条1項前段)の適法要件
捜索場所の記載の及ぶ範囲
捜索場所の記載の及ぶ範囲の理由
場所に対する捜索差押許可状の効力は人の身体にも及ぶか
場所に対する捜索差押許可状の効力が原則として人の身体に及ばない理由
場所に対する捜索差押許可状の効力を人の身体にも及ぼすべき場合の理由
場所に対する捜索差押許可状の効力は居住者・同居人の携帯物に及ぶか
場所に対する捜索差押許可状の効力は偶然居合わせた第三者の携帯物に及ぶか
場所に対する捜索差押許可状の効力が原則として偶然居合わせた第三者の携帯物に及ばない理由
場所に対する捜索差押許可状の効力を偶然居合わせた第三者の携帯物にも及ぼすべき場合の理由
捜索差押許可状の効力は令状提示後に搬入された物品にも及ぶか
包括差押えの許容要件
包括差押えを許容する理由
捜索差押え執行中の写真撮影
捜索差押え執行中の違法な写真撮影に対する準抗告(430条1項)の可否
逮捕に伴う捜索差押え(220条)の趣旨
「逮捕する場合」(220条1項柱書)の意義
「逮捕する場合」(220条1項柱書)に逮捕着手の前後を問わない理由
「逮捕の現場」(220条1項2号)の意義
「逮捕の現場」(220条1項2号)の意義の理由
逮捕後、別の場所に連行してされた被疑者の身体の捜索差押え
逮捕後、別の場所に連行してされた被疑者の身体の捜索差押えの理由
逮捕の現場に居合わせた同居人、第三者等の身体、携帯品等の捜索の可否
逮捕に伴う捜索差押え(220条)の対象物件
逮捕に伴う捜索差押え(220条)の対象物件の理由
逮捕に伴う捜索差押え(220条)において凶器・逃走具を取り上げることはできるか
逮捕に伴う捜索差押え(220条)において凶器・逃走具を取り上げることができることの理由
逮捕の執行の際に被逮捕者が凶器・逃走具を用いて暴行・脅迫を行った場合
緊急捜索差押えの可否
捜索差押え執行中に別罪の証拠を発見した場合の手段
別件捜索差押えの適法性
別件捜索差押えを違法とする理由
「遺留した物」(221条)の意義
占有を放棄された物の領置の可否
同意盗聴(秘密録音)の適法性の判断基準
告訴を欠く親告罪の捜査の可否
告訴を欠く親告罪の捜査を認める理由
告訴の追完の可否
一罪の一部起訴の可否
一罪の一部起訴を認める理由
訴追裁量の逸脱による公訴提起の無効の肯否
訴追裁量の逸脱による公訴提起の無効の理由
捜査の違法に基づく公訴棄却(338条4号)の肯否
公訴時効制度の趣旨
「犯罪行為」(253条1項)の意義(結果犯の場合)
「犯罪行為」(253条1項)の意義(結果犯の場合)の理由
「犯罪行為」(253条1項)の意義(結果的加重犯の場合)
「犯罪行為」(253条1項)の意義(結果的加重犯の場合)の理由
観念的競合の場合の公訴時効期間の算定
観念的競合の場合の公訴時効期間の算定の理由
牽連犯の場合の公訴時効期間の算定
牽連犯の場合の公訴時効期間の算定の理由
254条(公訴提起による公訴時効の停止)の趣旨
公訴提起による公訴時効の停止の範囲
公訴提起による公訴時効の停止の範囲の理由
訴因不特定の公訴提起による公訴時効の停止の肯否
真犯人でない者に対する公訴提起による公訴時効の停止の肯否
訴訟条件を満たさない公訴提起による公訴時効の停止の肯否
起訴状不送達(271条2項)によって公訴棄却(339条1項1号)された場合の公訴時効の停止の肯否
不適法な訴因変更請求による公訴時効の停止の肯否
被告人確定の基準
被告人として出頭した者が身代わりであることが冒頭手続で発覚した場合
被告人として出頭した者が身代わりであることが公判審理中に発覚した場合
被告人として出頭した者が身代わりであることが有罪判決後その確定前に発覚した場合
被告人として出頭した者が身代わりであることが有罪判決確定後に発覚した場合
被告人として出頭した者が身代わりであることが有罪判決確定後に発覚した場合の再審請求権者
被告人以外の者が真犯人であることが冒頭手続で発覚した場合
被告人以外の者が真犯人であることが公判審理中に発覚した場合
被告人以外の者が真犯人であることが有罪判決後その確定前に発覚した場合
被告人以外の者が真犯人であることが有罪判決確定後に発覚した場合
被告人以外の者が真犯人であることが有罪判決確定後に発覚した場合の再審請求権者
訴因特定(256条3項)の趣旨
訴因特定(256条3項)の程度
訴因特定(256条3項)の程度の理由
起訴状一本主義(256条6項)の趣旨
余事記載にも起訴状一本主義(256条6項)が妥当するか
余事記載にも起訴状一本主義(256条6項)が妥当する理由
起訴状一本主義(256条6項)違反の判断基準
起訴状一本主義(256条6項)違反の効果
著しい遅延による訴訟の打切り
憲法37条1項に基づく訴訟打切りの考慮要素
訴訟遅延が生じても訴訟の打切りが否定される具体例
要求法理の意義
要求法理の採否
憲法37条1項に基づく訴訟打切りの手段
被告人の訴訟能力に回復の見込みがない場合の訴訟打切りの可否
被告人の訴訟能力に回復の見込みがない場合の訴訟打切りの理由
被告人の訴訟能力に回復の見込みがない場合に公訴棄却判決によるべき理由
「公平な裁判所」(憲法37条1項)の意義
公判中心主義の意義
公開主義の意義
口頭主義の意義
直接主義の意義
刑事訴訟における審判対象
訴因の特定に必要な事項に変動が生じた場合の訴因変更の要否
一般的に被告人の防御にとって重要な事項に変動が生じた場合の訴因変更の要否
縮小認定の理論
罰条変更の要否
争点顕在化措置の要否
公訴事実の同一性(312条1項)の意義
公訴事実の単一性の判断基準
公訴事実の(狭義の)同一性の判断基準
使用日時の異なる覚醒剤自己使用罪の公訴事実の同一性
濫用的訴因変更
訴因変更が権限の濫用であるか否かの考慮要素
中間訴因を介在させる訴因変更の許否
中間訴因を介在させる訴因変更の許否の理由
有罪が見込まれる訴因から軽い別の訴因又は無罪となる訴因への訴因変更の許否
有罪が見込まれる訴因から無罪となる訴因への訴因変更を許可する前に講ずべき措置
公判前整理手続終了後の訴因変更の許否
公判前整理手続終了後の訴因変更の許否の考慮要素
訴因変更命令(312条2項)の義務が生じる場合
訴因変更命令(312条2項)の義務が生じる場合の理由
釈明権(規則208条)の行使によって事実上訴因変更を促す程度で足りる場合
訴因変更命令の形成力の肯否
罰条変更命令(312条2項)の義務の肯否
罰条変更命令の形成力の肯否
一罪一訴因の原則の意義
事実に変化はないが法律構成の変化により罪数が変動した場合の処理
事実の変化によって罪数が変動した場合の処理
訴訟条件の存否は心証と訴因のいずれを基準とすべきか
訴訟条件を欠く罪への縮小認定の可否
不適法訴因への訴因変更の可否
不適法訴因から適法訴因への訴因変更の可否
規則199条の12によって証拠採用されていない書面等を示すことができる場合
証人に示した書面等を規則49条に基づいて調書に添付できる場合
証人に示した書面等を規則49条に基づいて調書に添付する場合の同意の要否
証拠採用されていない書面等を示して得られた証言を事実認定に用いることはできるか
「事実の有無に関する供述」(316条の15第1項6号)に伝聞供述を含むか
証拠開示命令(316条の26第1項)の趣旨
証拠開示命令(316条の26第1項)の対象
証拠開示命令に条件(316条の26第1項後段)を付する際の考慮義務
「やむを得ない事由」(316条の32第1項)の意義
「やむを得ない事由」(316条の32第1項)が認められる類型
弾劾証拠について「やむを得ない事由」(316条の32第1項)は認められるか
公判前整理手続終了後に請求された弾劾証拠の必要性の考慮要素
公判前整理手続終了後の主張制限
公判前整理手続を行った意味を失わせるかに関する考慮要素
犯罪事実の意義
間接事実の意義
再間接事実の意義
補助事実の意義
直接証拠の意義
間接証拠(情況証拠)の意義
実質証拠の意義
補助証拠の意義
証拠物(306条)の意義
証拠物たる書面(307条)の意義
証拠書類(305条)の意義
供述を記録した記録媒体の法的性格
書証の意義
供述証拠の意義
供述の意義
身振りによる供述
証拠能力の意義
証明力の意義
証明の意義
「合理的な疑い」の意義
情況証拠から犯人性を立証する場合の立証の程度
証拠の優越の意義
疎明の意義
実質的挙証責任の意義
形式的挙証責任の意義
「疑わしきは被告人の利益に」の原則(利益原則)の意義
「疑わしきは被告人の利益に」の原則(利益原則)の根拠
訴訟条件に係る検察官の実質的挙証責任の根拠
訴訟法的事実の実質的挙証責任
自白の任意性の実質的挙証責任
犯罪事実に係る法律上の推定の効果
違法性阻却事由、責任阻却事由の挙証責任
厳格な証明の意義
自由な証明の意義
自由な証明における自白法則の適用
317条(証拠裁判主義)の趣旨
間接事実について厳格な証明を要するか
補助事実について厳格な証明を要するか
訴訟法的事実について厳格な証明を要するか
自白の任意性について厳格な証明を要するか
自白の信用性について厳格な証明を要するか
自白の任意性と信用性の双方に争いがある場合の任意性の証明方法
犯情について厳格な証明を要するか
一般情状について厳格な証明を要するか
証拠能力の一般要件
自然的関連性の意義
写しの証拠能力の要件
写しの証拠能力の要件の理由
科学的証拠の自然的関連性の考慮要素
法律的関連性の意義
悪性格立証禁止の原則
前科証拠を犯人性を認定する証拠とするための要件
前科証拠を犯人性を認定する証拠とするための要件の理由
前科証拠に関する判例法理は、余罪の場合にも当てはまるか
併合審理中の同種余罪の総合評価が許される場合
併合審理中の同種余罪の存在から「顕著な特徴」を認定できる場合
併合審理中の同種余罪の存在から「顕著な特徴」を認定できる理由
前科証拠によって主観的要素を認定できるか
前科証拠によって主観的要素を認定できる理由
被告人側の善性格立証に対する反証としての悪性格立証
余罪を量刑資料とすることはできるか
実質上余罪を処罰する趣旨で量刑資料とすることができない理由
余罪を一情状として考慮することが許される理由
写真・ビデオテープの法的性質(供述の記録を含まない場合)
自白(319条)の意義
「不利益な事実の承認」(322条1項ただし書)の意義
任意性(319条1項)の判断基準
任意性(319条1項)の判断基準の理由
違法排除説に対する批判
人権擁護説に対する批判
自説に対する批判に対する反論
黙秘権の告知(198条2項)がなかった場合の任意性の判断
不任意自白を令状発付の疎明資料となし得るか
不任意自白の派生証拠の証拠能力
反復自白の証拠能力の判断
自白の信用性の考慮要素
補強法則(憲法38条3項、法319条2項)の趣旨
補強証拠による補強を要する範囲及び程度
犯罪の主観的部分について補強を要するか
被告人と犯人の同一性について補強を要するか
補強の範囲が不足する場合
補強証拠適格
共同被告人の自白は補強証拠となり得るか
各共同被告人の自白を相互に補強証拠とすることはできるか
共同被告人の供述の危険性との関係
301条(自白証拠の証拠調べ請求の制限)の趣旨
「犯罪事実に関する他の証拠が取り調べられた後」(301条)の意義
共同被告人の自白は301条の「自白」か「他の証拠」か
「取調を請求することはできない」(301条)の意義
「取調を請求することはできない」(301条)の意義の理由
伝聞法則(320条1項)の趣旨
憲法37条2項(証人審問権)の趣旨
伝聞法則は被告人に有利な証拠にも適用されるか
要証事実の意義
伝聞証拠の意義
非伝聞の意義
320条1項の「書面」(供述代用書面)の意義
320条1項の「供述」(伝聞供述)の意義
反対尋問に答えない証人の供述に伝聞法則(320条1項)は準用されるか
共同被告人の供述の証拠能力
反対質問に対し黙秘した共同被告人の供述の証拠能力
反対質問に対し黙秘した共同被告人の供述についての伝聞例外要件
反対質問に対し黙秘した共同被告人の供述についての絶対的特信情況の判断
反対質問に対し黙秘した共同被告人の供述についての伝聞例外要件について321条1項1号を準用できない理由
共同被告人の証人適格
手続の分離により共同被告人の地位を失った者の証人適格
手続の分離により共同被告人の地位を失った者に対する証人尋問は黙秘権侵害とならないか
共同被告人の供述を録取した書面に適用される伝聞例外の規定
精神状態の供述に伝聞法則(320条1項)は適用されるか
発言の存在から精神状態を推認する場合
立証趣旨の意義
立証趣旨による認定事実の限定の肯否
立証趣旨と異なる事実の認定をする場合の裁判所のとるべき措置
供述証拠の非供述証拠的使用
非供述証拠的使用が許されない場合
非供述証拠的使用の余地がない場合
立証の対象を限定した同意(326条1項)の効力
立証趣旨による限定と同意による限定の効力の差異の理由
伝聞例外規定の一般的な趣旨
署名押印(321条1項柱書、322条1項本文)の趣旨
供述書に署名押印を要するか
供述が機械的に記録された場合の署名押印の要否
被疑者が調書の署名押印を拒絶した場合における供述を記録した記録媒体の証拠採用の可否
321条1項1号(裁面調書)の趣旨
321条1項2号(検面調書)の趣旨
321条1項2号前段の要件として特信情況を要するか
321条1項各号の供述不能事由の範囲
321条1項各号の供述不能事由の範囲の理由
供述不能事由の継続性
「所在不明」(321条1項各号)の意義
証言拒絶は321条1項各号の供述不能事由に当たるか
証言拒絶が国外にいる場合よりも供述を得るのが困難な理由
証言拒絶の継続性の判断
記憶喪失は321条1項各号の供述不能事由に当たるか
退去強制により国外にいる場合
「手続的正義の観点から公正さを欠く」場合の意義
証人尋問決定後の強制送還が行われた場合の例外
タイ人女性管理売春事件判例の射程
タイ人女性管理売春事件判例の射程の理由
既に証人尋問を終えた証人が予定された再度の証人尋問の前に死亡した場合
「相反する」(321条1項2号後段)の意義
「実質的に異つた」(321条1項2号後段)の意義
特信情況(321条1項2号後段、同項3号ただし書)の判断要素
証人尋問後に調書の証拠提出を予定して証人を取り調べることはできるか
「できるだけ避けるべき」の意味
証人尋問後に証人を取り調べて作成された調書は再度の証人尋問との関係で「前の供述」(321条1項2号後段)に当たるか
321条1項3号の趣旨
321条3項の趣旨
「真正」(321条3項)の意義
「真正」(321条3項)の意義の理由
実況見分調書に321条3項が適用される理由
321条3項の作成主体の範囲
321条3項の作成主体の範囲の理由
私人は321条3項の作成主体に含まれるか
私人が321条3項の作成主体に含まれない理由
指示説明の意義
現場供述の意義
321条4項(鑑定書)の趣旨
「鑑定人」(321条4項)の意義
鑑定受託者の意義
321条4項の作成主体の範囲
321条4項の作成主体の範囲の理由
322条1項(被告人供述の代用書面)の趣旨
323条(特信文書)の趣旨
業務過程文書(323条2号)該当性の判断資料
「特に信用すべき情況の下に作成された書面」(323条3号)の意義
再伝聞証拠の意義
再伝聞証拠の証拠能力
再伝聞証拠の証拠能力の理由
再々伝聞証拠の意義
再々伝聞証拠の証拠能力
再々伝聞証拠の証拠能力の理由
325条(任意性の調査)の趣旨
「あらかじめ」(325条)の意義
「あらかじめ」(325条)の意義の理由
同意(326条)の法的性質
同意(326条)の法的性質の理由
反対尋問権の放棄と考えるべきでない理由
同意した書面の証明力を争うための証人尋問請求の可否
自白調書の同意
違法収集証拠の同意
被告人が処分できない法益に関する違法収集証拠についても同意できるか
弁護人は326条1項の同意をなし得るか
同意(326条1項)の撤回の可否
326条2項(擬制同意)の趣旨
被告人が退廷命令を受けた場合にも326条2項は適用されるか
被告人が退廷命令を受けた場合にも326条2項が適用される理由
327条(合意書面)の趣旨
328条(弾劾証拠)の趣旨
328条により許容される証拠の範囲
刑訴法の要件を満たす供述録取書面の意義
「同視し得る証拠」の意義
任意性を欠く自白を弾劾証拠とすることはできるか
違法収集証拠を弾劾証拠とすることはできるか
自己一致供述による証明力の増強の肯否
自己矛盾供述の立証に対する自己一致供述の立証による証明力の回復の肯否
自己矛盾供述は公判廷供述の前にされたことを要するか
違法収集証拠排除法則
違法収集証拠排除法則の理由
違法収集証拠排除法則の対象となる証拠の範囲(毒樹の果実論)
違法収集証拠排除法則の対象となる証拠の範囲の理由
違法な手続と証拠の関連性の判断基準
違法な手続と証拠の関連性が密接であるか否かの考慮要素
同一目的、直接利用による違法性の承継に関する判例との関係
私人による違法収集証拠
私人による違法収集証拠の理由
形式的確定力の意義
実質的確定力(既判力)の意義
実体裁判の既判力の肯否
形式裁判の既判力の肯否
形式裁判の既判力の客観的範囲
形式裁判の既判力の客観的範囲の理由
形式裁判の理由中に示された実体判断に対する既判力の肯否
被告人の偽装工作により形式裁判がされた場合の既判力の肯否
一事不再理効の意義
一事不再理効の根拠
一事不再理効の客観的範囲
一事不再理効の客観的範囲の理由
一事不再理効の範囲の判断における公訴事実の単一性の判断の対象
一事不再理効の主観的範囲
形式裁判の一事不再理効の肯否
免訴判決をするのに実体判断を要するか
免訴判決の一事不再理効の肯否
判決に瑕疵があって無効となる場合にも一事不再理効は生じるか
有罪判決における「罪となるべき事実」(335条1項)の明示の程度(概括的認定)
訴因変更を要する事実を含む概括的認定
「A罪又はB罪」を認定して有罪判決をすることはできるか(明示的択一的認定)
黙示的択一的認定の可否(論理的択一関係がある場合)
黙示的択一的認定の可否(論理的択一関係がない場合)
黙示的択一的認定に対して罪刑法定主義違反をいう批判に対する反論
共同正犯と単独犯の明示的択一的認定
控訴審の構造
控訴審における訴因変更の可否
「事実の誤認」(382条)の意義
「事実の誤認」(382条)の意義の理由
控訴審における事実誤認の判示方法
実体法上一罪に対する一部上訴(357条前段)における移審の範囲
控訴審における職権調査(393条1項本文)の範囲(攻防対象論)
控訴審における職権調査(393条1項本文)の範囲の理由
攻防の対象から外されたか否かの考慮要素
「より重い刑」(402条)の判断
「あらたに」(435条6号)の意義(証拠の新規性)
「あらたに」(435条6号)の意義(証拠の新規性)の理由
「明らかな証拠」(435条6号)の意義(証拠の明白性)
証拠の明白性の判断方法
証拠の明白性を判断する際の利益原則の適用の在り方

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