2011年04月28日

平成22年度旧司法試験論文式刑訴法第1問・第2問の感想と参考答案

【第1問問題】

 甲及び乙は,繁華街の路上において,警察官から職務質問を受け,所持品検査に応じた。その結果,両名の着衣からそれぞれ覚せい剤が発見されたため,警察官が両名に対し,覚せい剤所持の現行犯人として逮捕する旨を告げたところ,甲は,警察官の制止を振り切って,たまたまドアが開いていた近くの不動産業者Xの事務所に逃げ込んだ。そこで,警察官は,これを追って同事務所に立ち入り,机の下に隠れていた甲を逮捕したが,甲は,同事務所に逃げ込んだ際手に持っていた携帯電話機を所持しておらず,机の周辺にも携帯電話機は見当たらなかった。そのため,警察官は,Xの抗議にもかかわらず,甲が隠れていた机の引出しを開けて中を捜索した。一方,乙は,所持品検査を受けた路上で逮捕されたが,大声でわめき暴れるなどしたことから,周囲に野次馬が集まってきた。そこで,警察官は,乙を警察車両に乗せて1キロメートルほど離れた警察署に連行し,到着直後に同警察署内で乙の身体を捜索した。
 以上の警察官の行為は適法か。

令状主義からきちんと書けるか

例年通り、第1問は捜査からの出題である。
事例問題であるが、複雑ではない。
また、書くべき論点も、限られている。

まず、冒頭の職務質問と所持品検査については、取り立てて触れる必要もない。
適法性に関する事情が、何ら挙がっていないからである。
ただ、試験現場では、全然触れないのも不安かもしれない。
その場合には、「職務質問(警職法2条1項)及びこれに付随して認められる所持品検査については、特に問題となる点はなく、適法である。」という程度に書いておけばいいだろう。
56文字だから、使う紙幅は2行強くらいである。
本問はそれほど忙しい問題ではないから、この程度使っても大丈夫だろう。
現場では、精神的な安定を維持するのも、重要なことである。
書くか迷って動揺したり、時間をロスするくらいなら、上記のように書く方が実戦的である。

現行犯逮捕については、一応当てはめるべき事情がある。
ただ、特に論点らしいものはない。
ここは簡単にあてはめて、適法ということにしてよいだろう。

現場で迷いそうなのは、事務所への立入りである。
これは、220条1項1号によって適法である。
この条文に気付かないと、論点だと思って無駄な論述をしてしまうことになる。
もっとも、事前に1号を知らなかった人も、2号の方を見るときに視界に入ってくる。
多くの人が、現場で気付いたのではないか。
条文に気付いたら、後は必要性を当てはめるだけである。
この必要性要件については、札幌高判昭37・9・11がある。

(札幌高判昭37・9・11より引用、下線は筆者)

 刑事訴訟法第二二〇条によれば、捜査機関は現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、令状なくして人の住居に入り被疑者の捜索をすることができるのであるが、同条において「必要があるとき」とは、たんに捜査機関がその主観において必要があると判断するのみでは足らず、客観的にもその必要性が認められる場合であることを要するものと解する。けだし同条は令状主義の例外の場合として憲法第一一条、第三三条、第三五条の趣旨にかんがみ厳格に解釈すべきものであるからであるからである。

(引用終わり)

ただ、本問では、捜査機関の主観と客観的状況とが書き分けられているわけではない。
このような論証は、不要だろう。
本問は論点が少ないので、他に何か解釈論がないかと気になる。
しかし、ここは特に論点がない。
思いつきで、変なことを書いてしまわないようにしたい。
なお、旧試験は刑訴の択一がないので、220条1項1号は知らなくてもやむを得ない。
ただ、予備試験と新試験では短答があるから、今後は知っておくべき知識である。
その際、セットで覚えておきたいのが、私人は同号の捜索をすることができないという点である。

名古屋高判昭26・3・3より引用、下線は筆者)

 現行犯人は、何人でも、逮捕状なくして、これを逮捕することができるものであることは、刑事訴訟法第二一三条に規定するところであるが、司法警察職員、検察官及び検察事務官でない通常人は、現行犯人を認めても逮捕することを義務づけられてはいないから、一旦逮捕にとりかかつても中途からこれをやめることもできるわけである。然し右の通常人は現行犯逮捕のため、他人の住居に侵入することは認められていない。このことは、刑事訴訟法第二二〇条によつても、明らかである。即ち、検察官、検察事務官又は司法警察職員は、現行犯人を逮捕する場合には人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入り被疑者の捜索をすることができる旨を規定しているところから見れば、通常人に対しては右の行為をすることは禁止せられているものと解すべきものである。われわれの住居は侵すことができないもので、これを侵しても違法でないとするためには、憲法並に刑事訴訟法に規定してある場合でなければならない。通常人が現行犯人を逮捕し得ることは、憲法並に刑事訴訟法でもこれを認めているが、この逮捕のため、他人の住居に侵入し得る旨を規定した法律は存しない。従つて通常人は、屋外若しくは自宅で現行犯を逮捕するか又は住居権者等の承諾ある場合に限り、佳居内で現行犯人を逮捕し得るのである。若し論旨の如く、通常人でも現行犯人逮捕のためならば、自由に他人の住居に侵入し得るとするならば、われわれの住居は一日も平穏であることはできない。従つて真に現行犯人逮捕の目的であつても、承諾なくして、他人の住居に侵入するときは、住居侵入罪が成立するものと解すべきものである。

(引用終わり)

上記は古い高裁判例であるが、短答で結論を訊かれてもおかしくない知識である。
同時に、刑法の正当行為・住居侵入罪の知識としても、押さえておきたい。

後は、X事務所の机の捜索と、乙の連行後の身体捜索だけである。
いずれも、220条1項2号の解釈論と当てはめが問われている。
すなわち、本問で書くべき解釈論は、無令状捜索が認められる趣旨。
いわゆる緊急処分説と合理説の対立の論点だけ、ということになる。
だとすれば、この点をしっかり論じる必要がある。
緊急処分説に立つにせよ、合理説に立つにせよ、令状主義の趣旨から書くべきだ。
ここが雑だと、それだけで評価を落とすだろう。
本問の最大のポイントは、この点である。

机の捜索については、被疑者以外の第三者方の捜索という点に注意が必要である。
222条1項で、220条1項2号の場合にも102条2項が準用されることに気付くことができるか。
これは、一つのポイントである。
なお、Xが不動産業者とあるのは、105条との関係だろう。
一応、例示列挙と解すると結論に影響しうる。
ただ、ここは触れるとしても短くまとめるべきである。

具体的なあてはめについては、余程変なことを書かない限り、評価される。
素直な当てはめは、緊急処分説からは当然に不適法。
逮捕完遂後であるから同時並行性もなく、机の中は甲の直接支配下ともいえないからである。
合理説からは、場所的範囲には含まれるが、押収の必要な証拠物ではないから不適法。
結局、いずれにせよ不適法となりそうである。
ただ、他の結論でも、評価にはあまり影響しないだろうと思う。

乙の捜索については、和光大学内ゲバ事件(最決平8・1・29)であり、典型論点である。
紙幅に余裕があるから、用意した論証をそのまま貼れば足りるだろう。

【第1問参考答案】

第1.Xの事務所に立ち入った点

 警察官(以下「K」という。)は、甲の覚せい剤所持を現認し、告知をして現行犯逮捕に着手した。甲はその直後にKの制止を振り切ってXの事務所に逃げこんだのであるから、当該事務所で甲を捜索する必要があることは明らかである。
 よって、Kの立入りは、逮捕する場合において必要があるときに220条1項1号、3項によって許容される無令状捜索に当たり、適法である。

第2.現行犯逮捕した点

 Kは、覚せい剤所持を現認し、現実に甲を逮捕するまで追跡を継続し、乙は路上でそのまま逮捕したから、犯人及び犯罪並びに時間的場所的接着性が明らかに認められる。
 従って、甲乙の逮捕は現行犯逮捕として適法である(212条1項、213条)。

第3.机を捜索した点

 逮捕に伴う無令状捜索として220条1項2号の捜索に当たるかを検討する。

1(1)捜索には令状を要するのが原則である(令状主義、憲法35条、法218条1項)。これは事前の令状審査という司法的抑制によって捜査機関の権限濫用を防ぎ、人権保護を図る趣旨である。

(2)では、なぜ逮捕時には無令状捜索が認められるのか。この点、緊急性、すなわち、令状請求する時間的余裕がないからとも考えうる。しかし、刑訴法は一般的な無令状の緊急捜索を認めていない。逮捕の場合にのみ規定を置いた点は、緊急性では説明できない。
 そもそも、逮捕される場合は、逮捕の理由(199条1項)、高度の嫌疑(210条1項)又は現行性・準現行性(212条1項2項)がある。そうである以上、逮捕の現場には、類型的に被疑事実に係る証拠物が存在する蓋然性がある。すなわち、逮捕の基礎となる資料によって捜索令状の請求がされたとすれば、当然に捜索の必要性が肯定される状況にある。従って、上記(1)で述べた事前の令状審査の実益がない。無令状捜索が認められた趣旨は、上記の点にある。

(3)そうだとすれば、220条1項2号による捜索は、逮捕の際の類型的な捜索の必要性の限度で認められる。

2.そこで、本問を検討する。
 本問のように無関係の第三者方で逮捕した場合でも、逃走中に証拠物を隠匿する可能性がある。従って、被疑事件に係る証拠物につき、当該場所を捜索する必要がある。もっとも、当該場所に証拠物を隠匿したと認めるに足りる状況を要する(222条1項、102条2項)。
 本問では、確かに、甲はXの事務所に逃げ込んで机の下に隠れ、逮捕時において逃げ込んだ際手に持っていた携帯電話機を所持しておらず、机の周辺にも携帯電話機は見当たらなかったから、机の中に隠匿したと認めるに足りる状況がある。なお、Xは不動産業者であり、222条1項、105条は明確性の見地から限定列挙と解すべきであるから、同条の押収拒絶ができる場合に当たらない。
 しかし、被疑事件は、覚せい剤所持である。既に着衣から覚せい剤が発見され、所持の日時場所についてもKの現認がある。覚せい剤所持の証拠としては、これで十分である。わずかに覚せい剤の認識が争われる余地はあるが、本問でその立証が特に困難であるとも思われないから、関連性の不確かな携帯電話機について、第三者方の捜索をしてまで押収する必要はない。そうである以上、携帯電話機は、被疑事件に係る証拠物とは認められない。

3.以上から、机の捜索は220条1項2号で許容される捜索には当たらない。よって、Kによる机の捜索は不適法である。

第4.乙の身体を捜索した点

1.乙の身体に対する捜索は、逮捕された場所から1キロメートルほど離れた警察署内でされた。これはもはや「逮捕の現場」でされたものとはいえず、220条1項2号で許容される捜索に当たらないのではないか。

2.そもそも、同号が捜索を逮捕の現場に限った趣旨は、一般に、類型的に捜索の必要な場所は逮捕の現場に限られるからである。
 もっとも、被疑者の身体については、ある程度の場所的移動があっても、証拠物を携行している蓋然性に変化はない。従って、逮捕現場での身体捜索が適切でない場合に、捜索が可能な最寄りの場所まで移動した後に捜索を行うことも、逮捕の現場における捜索と同視できるから、220条1項2号の捜索に当たる。

3.本問で、逮捕時に乙は大声でわめき暴れる等しており、周囲に野次馬が集まった。現場が繁華街の路上であることも考慮すると、その場での捜索は適切ではない。警察署まで1キロメートルの距離があるが、他に最寄りの適切な場所があったとの事実はない。従って、逮捕の現場での捜索と同視でき、220条1項2号の捜索に当たる。

4.よって、Kによる乙の身体の捜索は適法である。

以上

【第2問問題】

 警察官は,Aを被害者とする殺人被疑事件につき,捜索差押許可状を得て,被疑者甲の居宅を捜索したところ,「①Aにレンタカーを借りさせる,②Aに睡眠薬を飲ませる,③Aを絞め殺す,④車で死体を運び,Ⅹ橋の下に穴を掘って埋める,⑤明日,決行」と記載された甲の手書きのメモを発見したので,これを差し押さえた。その後の捜査の結果,Ⅹ橋の下の土中からAの絞殺死体が発見され,その死体から睡眠薬の成分が検出された。また,行方不明になる直前にAがレンタカーを借りたことも判明した。
 甲が殺人罪及び死体遺棄罪で起訴された場合,上記メモを証拠として用いることができるか。

久しぶりの単一論点型

本問は、書きにくいと感じた人が多かったようである。
その理由は、書くべき論点がほとんどなかったからだという。

本問は、論点としては犯行計画メモの伝聞性である。
ある程度勉強の進んだ人であれば、これは精神状態の供述で処理すれば足りる。
また、メモの存在を証拠とする場合は、非供述証拠である。
そう判断できたはずである。

(大阪高判昭57・3・16より引用、下線は筆者)

 およそ供述とは心理的過程を経た特定の事項に関する言語的表現であり,それには表意者の知覚,記憶の心理的過程を経た過去の体験的事実の場合と,右のような知覚,記憶の過程を伴わない,表現,叙述のみが問題となるところの,表意者の表現時における精神的状態に関する供述(計画意図,動機等)の場合とがあつて,本件の事前共謀に関するメモは,その時点における本件犯行に関する計画という形で有していた一定の意図を具体化した精神的状態に関する供述と考えられる。 
 そして,右の精神状態に関する供述については,その伝聞証拠としての正確性のテストとして,その性質上必ずしも反対尋問の方法による必要はなく,その表現,叙述に真し性が認められる限り,伝聞法則の適用例外として,その証拠能力を認めるのが相当であると解されるところ,原審で取調べた各証拠によつて認められる本件メモ紙の押収時の状況,右メモ紙が組織活動の過程において作成されていること,その記載内容である計画そのものが現に実行されていること等から,その記載の真し性は十分これを認めることができる
 したがつて,本件メモ紙の表面の記載のうち,右余事部分を除く記載部分は,前述の如く伝聞法則の適用を受けないものであり,また本件メモ紙の表面の右余事部分及び裏面の記載部分は,その記載内容の真実性を要証事実とするのではなく,そのような記載のあること自体を,本件犯行の計画者等において,右犯行に強い関心を有していたという点で要証事実とするに過ぎないのであるから,それは非供述証拠(非伝聞証拠)として,伝聞法則の適用がないものというべきである。

(引用終わり)

ただ、それだけだと、コンパクトに書けば1ページで終わりそうだ。
また、①から⑤にわざわざ分かれている意味がよくわからない。
そのため、他に何かあるのではないか。
そういう不安が生じる。
書きにくさの中身は、その辺りにあったのではないか。

ただ、こういう問題は、実は刑訴第2問ではたまにある形式である。
思わせぶりだが、ほぼ単一論点しか訊いていない。
そういう問題である。

主として再伝聞しか論点がないもの~平成9年第2問

 甲に対する殺人被告事件において、乙が、「甲が殺すのを見た」と丙に語った旨の丙の検察官面前調書は、どのような場合に証拠能力が認められるか。それぞれの場合の要件について述べよ。

 

主として択一的認定しか論点がないもの~平成11年第2問

 単独で強盗をしたとして起訴された甲は、公判において、「兄貴分乙に命じられて、強盗をした。」と主張した。裁判所は、「甲と乙との共謀を強く推認させる事実が認められる一方、共謀の事実を否定する乙の供述も虚偽とは言い難い。」と判断した。
 このような場合に、裁判所は、「甲は、単独又は乙と共謀の上、強盗をした。」と認定し、甲に対して有罪判決を言い渡すことができるか。

 

主として共犯者・共同被告人の公判廷外供述しか論点がないもの~平成15年第2問

 被告人甲及び乙は,強盗罪の共同正犯として起訴され,併合して審理されている。甲は,捜査・公判を通じて否認しており,乙は,捜査段階で甲と共同して犯行に及んだことを自白し,その旨の検察官面前調書が作成されているが,冒頭手続において否認した。この検察官面前調書は,どのような場合に甲に対する証拠とすることができるか。審理経過に言及しつつ論ぜよ。

この種の問題は、制度趣旨からじっくりとその論点を書くことが重要である。
逆に言えば、それができていれば、細かい手続的な部分は、落としても致命傷にはならない。
本問でも、伝聞法則の趣旨から、精神状態の供述をしっかり書けば、問題ないだろう。
普段考えた事もないことをだらだらと書いてしまい、肝心の論点を雑に書くのが、最悪である。
わかっていれば、それ程難しいことではない。

ただ、多くの受験生は、答練で多論点問題ばかり解く傾向がある。
単一論点問題が出題されても、「これはつまらない問題だ」として、軽視されがちだ。
そのため、いざこういう問題が出たときに、どう書いていいかわからなくなる。
やはり、過去問の分析は、重要である。
今後、予備試験においても、同様の問題が出る可能性はある。
新司法試験では、単独で単一論点が出される可能性は、ないと言っていい。
しかし、小問のうちの一つが、そのような問題となることは、十分あり得る。
論点が少ないのに、設問の配点が不自然に多く振られている。
そういう場合には、この種の問題ではないか。
制度趣旨から、丁寧に書かないとまずいのではないか。
新試験でも、そういう意識を持つ必要がある。
旧司法試験は、終了した。
しかし、だからといって、旧試験を検討する価値がなくなったとはいえない。
平成以降の問題は、答案構成だけでもやっておくべきだろう。

【第2問参考答案】

第1.公判廷供述に代わる書面は、321条から323条までの伝聞例外、同意書面(326条)及び弾劾証拠(328条)とする場合を除き、証拠とすることができない(320条1項、伝聞法則)。本問のメモは、甲の公判廷供述に代わる書面であるとして伝聞法則の適用がある証拠(伝聞証拠)に当たるか。以下検討する。

第2.そもそも、伝聞法則が採用された趣旨は、次のとおりである。

1.供述は、供述者が体験した事実を知覚、記憶し、その内容を表現・叙述によって再現するものである。その各過程(以下この各過程を総称して「供述過程」ということがある。)には、誤りが混入しやすい。すなわち、知覚の際には見間違い、聞き間違い等が生じ、記憶の際には記憶違いが生じ、表現・叙述の際には言い間違い、書き間違い等が生じ得る。

2.このような性質を有する供述を、そのまま証拠として採用し、犯罪事実の認定の基礎とすれば、誤判を招くおそれがある。憲法37条2項は、上記誤りを審問によって是正し、無実の刑事被告人が処罰されることのないよう証人審問権を与えたものである。

3.しかし、公判廷外の供述については、反対尋問の機会がない。そのような供述証拠については、供述内容の真実性が担保されていない以上、上記憲法37条2項の趣旨からしても、刑事訴訟における証拠とすべきではない。320条1項が伝聞証拠の使用を原則として禁じたのは、このような趣旨である。

4.従って、伝聞証拠とは、上記のような趣旨の妥当する供述証拠をいい、書面を証拠とする場合であっても、書面の意義が証拠とならないとき、すなわち、推認すべき事実(要証事実)が記載内容どおりの事実の存在ではないものや、供述過程における誤りの混入するおそれのないときは、伝聞証拠には当たらない(非伝聞)。

第3.本問でこれを検討する。

1.まず、本問のメモを専ら証拠物として用いる場合には、書面の意義が証拠とならないから、非伝聞となる。具体的には、以下のとおりである。

(1)本問のメモは、客観的な捜査結果と合致している。すなわち、①の記載と行方不明になる直前にAがレンタカーを借りたこと、②の記載とAの死体から睡眠薬の成分が検出されたこと、③の記載とAは絞殺死体で発見されたこと、④の記載とⅩ橋の下の土中からAの死体が発見されたことが、それぞれ一致している。

(2)甲が、被疑事件とは無関係に偶然にも自宅でこのようなメモを手書きするということは考えにくい。従って、このようなメモの存在は、甲の犯人性を直ちに推認するとまではいえないとしても、被疑事件との関わりが濃厚であることを示すものといえる。

(3)このような場合、メモの存在及び捜査結果との外形的一致が証拠資料となるのであるから、その意味内容は問題とならない。その証拠方法としての性質は、例えば、被害者のDNA型と一致する血液の付着したナイフが被疑者宅で発見された場合の当該ナイフと同様である。従って、純然たる証拠物として書面の意義は証拠とならないから、伝聞証拠には当たらない。

2.次に、メモの内容を証拠とする場合も、以下のとおり、供述過程における誤りの混入するおそれがないから、非伝聞となる。

(1)この場合、メモの内容から記載どおりの犯行計画の存在を推認し、そのような犯行計画の存在から甲の犯人性、殺意、犯行の方法・場所等を推認するということになる。従って、記載内容どおりの事実(犯行計画)の存在が要証事実であるということができる。

(2)もっとも、本問では当該メモが第三者からの聞き取りによるものと疑うに足りる事実はないから、当該メモは、甲が自らの内心に有していた計画を記載したに過ぎないものと考えるのが自然である。すなわち、甲が体験した事実を再現したものではない。このような精神状態の供述は、知覚、記憶の過程を経ないから、内心をそのまま表現・叙述したものか、すなわち供述の真摯性が認められれば、供述過程に生じうる誤りが混入するおそれはないから、非伝聞となる。

(3)本問では、前記1(1)のとおり、客観的な捜査結果との一致がある。これは、記載内容の現実性を示す。メモの記載が架空のものでないとすれば、その出所はどこであるか。それは、作成者である甲の内心であると考えるのが自然である。他方、メモの記載内容と甲の当時の内心との不一致をうかがわせる事実は何ら認められない。従って、供述の真摯性を認めることができる。

(4)以上から、この場合も、メモは伝聞証拠に当たらない。

第4.以上から、いずれにせよ本問のメモには伝聞法則の適用はない。
 よって、本問のメモは、証拠として用いることができる。

以上

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2011年04月18日

平成22年度旧司法試験論文式民訴法第1問・第2問の感想と参考答案

【第一問問題】

 Aは,Bに対し,平成21年11月2日,返済期日を平成22年3月31日とする約定で200万円を貸し渡した。このような消費賃借契約(以下「本件契約」という。)が成立したことについてはAとBとの間で争いがなかったが,Bがその返済期日にAに本件契約上の債務を弁済したかどうかが争いとなった。
 そこで,Bは,同年4月30日,Aを被告として,本件契約に基づくBのAに対する債務が存在しないことを確認するとの判決を求める訴えを提起した。
 この事例について,以下の問いに答えよ。なお,各問いは,独立した問いである。

1.Bの訴えに係る訴状の送達を受けたAは,同年5月20日,Bの訴えとは別の裁判所に,別訴として,Bを被告として,本件契約に基づいて200万円の支払を請求する訴えを提起した。この場合のBの訴えとAの訴えのそれぞれの適法性について論ぜよ。

2.Bの訴えに係る訴状の送達を受けたAは,同年5月20日,Bの訴えに対する反訴として,Bを反訴被告として,本件契約に基づいて200万円の支払を請求する訴えを提起した。

(1) この場合のBの訴えとAの反訴のそれぞれの適法性について論ぜよ。

(2) 同年6月1日の第1回口頭弁論期日において,Bは,Aの請求に対して,BはAに本件契約上の債務を全額弁済したのでAの請求を棄却するとの判決を求めると述べるとともに,Bの訴えを取り下げる旨述べ,これに対し,Aは,Bの訴えの取下げに同意すると述べた。その後の同年7月15日の第2回口頭弁論期日において,Aは,反訴を取り下げる旨述べたが,Bは,Aの反訴の取下げに異議を述べた。この場合のAの反訴の取下げの効力について論ぜよ。

※2行目の「消費賃借契約」は誤記であり,正しくは「消費貸借契約」です。

素直な事例問題

最後の旧試験民訴第1問は、事例問題だった。
それも、比較的素直な問題である。
受験生としては、マイナーな一行問題よりは、解き易くて助かった。
そんな感じだっただろう。
設問2(2)は、マイナー論点ではある。
だが、条文を引けば、論点は比較的明らかだ。
何を書いていいかわからない、ということはなかったはずである。
ポイントは、3つある。

一つは、最判平16・3・25を知っていたかという点である。
これを知らないと、設問2(1)が何を訊いているかわからない、ということになる。
すなわち、給付を求める反訴によって不存在確認の本訴が不適法となる場合である。

(最判平16・3・25より引用、下線は筆者)

 第2事件の平成7年契約関係被上告人5社の上記保険金支払債務の不存在確認請求に係る訴えについては,第3事件の上告人らの平成7年契約に基づく保険金等の支払を求める反訴が提起されている以上,もはや確認の利益を認めることはできないから,平成7年契約関係被上告人5社の上記訴えは,不適法として却下を免れないというべきである。

(引用終わり)

上記判例は、詳しい理由を述べていない。
理由を述べない判例を説明させる問題は、頻出である。
判例を挙げるだけでなく、その根拠も述べる必要がある。
上記判例は、下級審でもよく引用される重要判例である。
旧試験では、民訴で択一がないから、知らなくてもやむを得ない面もある。
しかし、今後は新試験及び予備試験の短答で、知識としても問われる可能性がある。
この機会に覚えておきたい。

もう一つは、設問2(2)の書き方である。
多くの人が、現場で261条2項ただし書を適用すべきかどうか。
その解釈論だということには、気付いたはずである。
そして、これは趣旨から書けばよいのだろう、ということにも、気付いただろう。
しかし、それは同ただし書の趣旨では足りない。
同項本文の趣旨にまで、遡って論じるべきである。
すなわち、そもそもなぜ、相手方の同意が要求されているのか。
そこから論じるべきである。
本論点は、いわば例外の例外を問うものである。
そうである以上は、原則論の趣旨にまで遡るべきだ。
もちろん、多論点問題でコンパクトに処理する場合には、そうも言っていられないこともある。
しかし、本問はそのような問題ではない。
丁寧に書いても、紙幅は足りるはずである。
多くの人にとって、同項本文の趣旨は、基本知識である。
他方で、同項ただし書の趣旨までは、事前に用意していないはずだ。
そのため、ただし書の趣旨から書こうとすると、思いつきになりやすい。
勢い、信義則や権利の濫用、公平の理念などを持ち出してしまいがちになる。
そうではなく、知識として事前準備した本文の趣旨を思い出す。
そして、そこから順を追って書いていく。
そうすれば、この論点で、そのようなものを持ち出す必要はないはずである。

261条2項ただし書の存在は、旧司法試験受験生としては、現場で気付けばよい。
ただ、今後は、短答の知識として、事前に覚えておきたい。

3つ目は、請求の特定の論点を書かない、ということである。
確かに、債務不存在確認の訴えでは、請求の特定が問題となる場面がある。
しかし、そういう場合は、限られている。
過去の司法試験において、この点が正面から問われた問題は、事例問題では1問もない。
昭和33年第1問、平成11年第1問において、1行問題として問われたに過ぎない。

(昭和33年旧司法試験論文式民訴法第1問)

 訴えにおいて請求を特定しなければならない理由を述べよ。

 

(平成11年旧司法試験論文式民訴法第1問)

 債務不存在確認の訴えの特質について論ぜよ。

例えば上限を明示せず、「○○円を超えて存在しない」と訴状に記載した。
あるいは、訴状において何ら金額を明示することがなかった。
そのような特殊事情が問題文に明記されていれば、それは論点となる。
しかし、本問では、単に「本件契約に基づくBのAに対する債務が存在しないことを確認するとの判決を求める訴えを提起した」とするに過ぎない。
上記文言から、Bは訴状に金額又は上限額を何も書いていなかった。
だから、請求の特定が問題となる、とするのは、無理がある。
例えば、「甲が乙に対する本件契約に基づく債権の支払を求める訴えを提起した」という問題文があったとする。
その場合に、甲は訴状に支払金額を明示しておらず、請求の特定を欠く(最判昭27・12・25)。
だから、訴えは却下すべきだ。
そういうことには、ならない。
それと同じである。

上記の点を除けば、多くの人が、同じようなことを書くだろう。
従って、上記部分で、差が付いてくると思われる。

なお、本問は、「賃」と「貸」を間違えるという誤記を犯している。
これは、今回が初めてではない。
平成10年第2問でも、同じ誤記とみられるものがある。

(平成10年旧司法試験論文式民訴法第2問、下線は筆者)

 Yは、Xに対し、次の各事由を主張してそれぞれの確定判決の効力を争うことができるか。

1.XのYに対する売買代金請求訴訟においてX勝訴判決が確定した後、YがXに対し、その売買契約はXにだまされて締結したものであるとして、取消の意思表示をしたこと。

2.XのYに対する賃金返還請求訴訟においてX勝訴判決が確定した後、YがXに対し、事実審口頭弁論終結前より相殺適状にあった金銭債権をもってXの賃金返還請求権と対当額で相殺するとの意思表示をしたこと。

3.賃貸人Xの賃借人Yに対する建物収去土地明渡請求訴訟においてX勝訴判決が確定した後、YがXに対し、事実審口頭弁論終結前から存在する建物買取請求権を行使したこと。

「賃金」ではなく、「貸金」の誤記だろう。
この種の誤記があっても、現場で訂正されることはない。
今後も、同様の誤記はありうる。
現場で動揺することのないようにしたい。

【第1問参考答案】

第1.設問1

1.AB間において本件契約上の債務の弁済の有無が現に争いとなっており、既に弁済期を経過していることからBには遅延損害金の負担のおそれがある。従って、Bの訴えには確認の利益がある。よって、Bの訴えは適法である。

2.他方、Aの訴えにつき、二重起訴(142条)とならないかを検討する。

(1)一般に、142条の趣旨は、①訴訟不経済、②既判力の抵触、③被告の応訴の煩を考慮したものとされる。もっとも、①及び③は、紛争解決のためにはやむを得ない場合もある。他方で、②は紛争解決自体を困難にする。従って、重視すべきは②である。すなわち、二重起訴該当性は、既判力の抵触のおそれの有無をもって判断すべきである。

(2)本問では、Aの訴えとBの訴えは当事者を同じくし、かつ、Aの訴えの訴訟物は、Bの訴えの訴訟物と先決関係にあるから、既判力の抵触のおそれがある。従って、後にされたAの訴えは、二重起訴に該当する。

(3)よって、Aの訴えは、不適法である。

第2.設問2

1.小問(1)

(1)Aの反訴は、本訴請求に係る債務の支払請求であるから、本訴の関連請求である。また、反訴の提起は口頭弁論終結前にされ、これにより著しく訴訟手続を遅滞させると認められる事実はない。従って、146条1項所定の要件を充たす。
 また、Aには執行力を得るため、給付判決を求める利益がある。
 そして、設問1のような別訴による場合と異なり、反訴の場合には同一手続で処理され、既判力の抵触のおそれはないから、二重起訴に該当することもない。
 よって、Aの反訴は適法である。

(2)では、Bの訴えはどうか。設問1と異なるのは、Aの適法な反訴があるという点である。
 債務不存在確認の訴えに対し、同一債務の支払を求める反訴がされた場合、その反訴を棄却する判決は、当該債務の不存在を確認するものとなる。従って、本訴原告は反訴において当該債務の存在を争えば足りるから、もはや本訴について確認の利益を認めることができない(判例)。
 よって、本問におけるBの訴えは、Aの反訴提起により確認の利益を欠くに至るから、不適法となる。

2.小問(2)

(1)反訴の取下げは、訴えの取下げと同様の規律に服する(146条3項)。そうすると、既に口頭弁論を経た本問の場合でも、Bが本訴を取り下げた以上、Aの反訴の取下げは、Bの同意なく効力を有することになりそうである(261条2項ただし書)。

(2)しかし、本問では、261条2項ただし書の適用はない。その理由は、次のとおりである。

ア.そもそも、同項本文が相手方の同意を要求した趣旨は、相手方の紛争解決への期待を保護する点にある。これに対し、相手方が本訴を取り下げた場合には、もはや紛争解決の意欲を失ったものといえるから、本訴に付随する反訴についても、保護すべき紛争解決の期待がないと考えられる。同項ただし書が相手方の同意を要しないとしたのは、このような趣旨による。

イ.もっとも、反訴の提起によって本訴の訴えの利益が失われる関係にあるときは、本訴の取下げは、反訴で争うことを前提にされるのであるから、上記アの趣旨との関係では、反訴が本訴としての地位を有することになる。従って、上記の関係にある反訴は、同ただし書の「反訴」には当たらない。

ウ.本問では、上記1(2)のとおり、Aの反訴の提起によってBの本訴の訴えの利益が失われる関係にあるから、Aの反訴は同ただし書の「反訴」に当たらない。よって、同ただし書の適用はない。

(3)以上から、同項本文の適用により、Aの反訴の取下げには、Bの同意を要する。
 そして、Bは、Aの取下げに異議を述べ、同意しない旨を明示している。

(4)よって、Aの反訴の取下げは、効力を有しない。

以上

【第2問問題】

 Xは,Yに対し,ある名画を代金100万円で売却して引き渡したが,Yは,約束の期限が過ぎても代金を支払わない。この事例について,以下の問いに答えよ。なお,各問いは,独立した問いである。

1.Xは,Yを被告として,売買代金100万円の支払を求める訴えを提起し,第一審で請求の全部を認容する判決を得たが,代金支払期限後の遅延損害金の請求を追加するため,この判決に対して控訴を提起した。この控訴は適法か。

2.Yが,Xから買い受けた絵画は贋作であり,売買契約は錯誤によって無効であると主張して,代金の支払を拒否したため,Xは,Yを被告として,売買代金100万円の支払請求を主位的請求,絵画の返還請求を予備的請求とする訴えを提起した。

(1) 第一審でXの主位的請求の全部を認容する判決がされ,この判決に対してYが控訴を提起したところ,控訴裁判所は,XY間の売買契約は無効で,XのYに対する売買代金債権は認められないとの結論に達した。この場合,控訴裁判所は,どのような判決をすべきか。

(2) 第一審で主位的請求を全部棄却し,予備的請求を全部認容する判決がされ,この判決に対してYのみが控訴を提起したところ,控訴裁判所は,XY間の売買契約は有効で,XのYに対する100万円の売買代金債権が認められるとの結論に達した。この場合,控訴裁判所は,どのような判決をすべきか。

マイナー分野の典型論点

上訴についての出題である。
上訴は、マイナー分野である。
もっとも、上訴の論点としては、典型的なものしか問われていない。
設問1は、控訴の利益の判断基準。
設問2(1)は、最判昭33・10・14
設問2(2)は、最判昭58・3・22
おそらく、答練を毎年受けている人であれば、一度は書いた論点ばかりだっただろう。
本問は、簡単に書けば以下のようになる。

第1.設問1について

1.控訴が適法であるためには、控訴の利益が必要である。基準の明確性から、控訴の利益が認められるのは、申立てと判決を比較して、後者が前者に及ばない場合をいうと解する(形式的不服説)。

2.本問では、全部認容判決であるから、判決が申立てに及ばない場合に当たらない。
 よって、Xの控訴は不適法である。

第2.設問2(1)について

1.控訴裁判所は、自らの認定に基づいて主位的請求を棄却し、予備的請求を認容する判決ができるか。

2.まず、控訴不可分の原則から、事件全体が移審する。もっとも、予備的請求につき判決をすることは審級の利益を害するのではないか。
 思うに、両請求の関連性を考慮すれば、主位的請求の審理において、潜在的に予備的請求をも審理されたといえるから、審級の利益を害するとはいえない。
 よって、予備的請求につき判決しうる。

3.以上から、控訴裁判所は主位的請求を棄却し、予備的請求を認容する判決をすべきである。

第3.設問2(2)について

1.控訴裁判所は、自らの認定に基づいて主位的請求を認容し、予備的請求を棄却する判決ができるか。

2.事件全体が移審することは、(1)の場合と同様である。

3.もっとも、控訴したのはYのみであるから、Yの申立てより不利益な判決はできない(不利益変更禁止の原則、304条)。従って、控訴裁判所は、主位的請求を認容することはできない。この点、Xに酷にも思えるが、Xは口頭弁論終結まで附帯控訴できる(293条1項)から、これを怠った場合に不利益を受けるのはやむを得ない。

4.以上から、控訴裁判所は、予備的請求を棄却する判決をすべきである。

以上

ページ数にすると、2ページ程度である。
今の旧試験の現状では、この程度でも上位になりそうである。
考査委員は、もう少し実質に踏み込んで書いて欲しかっただろう。
しかし、上訴というマイナー分野で、下手に頑張ると変なことを書いてしまいかねない。
よほど事前に準備していれば別だが、そうでない場合は、無理をしない方がよい。
この種の問題の場合、関係のないことを書いて沈む受験生が相当数いる。
このくらいで守るというのも、あり得る戦略だとは思う。

【第2問参考答案】

第1.設問1

1.不要な控訴は認める必要がないから、控訴をするには、控訴の必要性、すなわち控訴の利益を要する。その肯否は、既判力で遮断されるかによってする。既判力で遮断される事項は控訴によらなければ争い得ないからである。既判力の範囲は判決主文によって示される(114条1項)。従って、控訴の利益の有無は、請求の趣旨と原判決主文とを比較対照することで判断できる。

2.本問で、Xは全部認容判決を受けているから、Xの請求の趣旨には、既判力によって否定される部分はない。
 また、Xは遅延損害金の請求を追加しようとしている。しかし、訴訟物は実体法との調和の観点から、実体法上の請求権を基準に判断すべきであるから、遅延損害金は主たる請求とは別個の訴訟物である。そうである以上、原判決が確定しても既判力によって遮断されないから、控訴の利益を認める理由とはなり得ない。
 従って、控訴の利益は認められない。

3.よって、Xの控訴は不適法である。

第2.設問2

1.小問(1)

 控訴裁判所が原判決を取り消して主位的請求を棄却しうることは問題がない。では、さらに予備的請求を認容する判決をなしうるか。

(1)そもそも、予備的請求につき移審していないか、移審があっても控訴審の審判対象に含まれない場合、控訴審は審理判断ができない。そこで、これらの点を検討する。
 予備的併合とは、主位的請求の認容を解除条件として予備的請求を併合するものであるから、裁判所が主位的請求を認容する場合は、予備的請求につき審理判断することを要しない。従って、主位的請求を認容する判決は、全部判決である。そして、控訴により主位的請求棄却を求める場合、解除条件不成就により予備的請求の当否が問題となることは織り込まれているから、主位的請求認容判決に対する控訴の移審効及び控訴審の審判対象の範囲は、事件全体に及ぶことになる。

(2)控訴審に移審し、その審判対象に含まれるとしても、予備的請求自体は第1審で審理判断されていない。そのため、審級の利益を考慮して原審に差し戻すべきではないか。
 確かに、審級の利益を厳格に解するならば、原審に差し戻すべきである。しかし、続審主義を採用し、訴えの変更について反訴(300条1項)と異なり被告の同意を要求しない現行法(297条、143条)の下では、審級の利益を厳格に解すべきでない。
 そして、予備的請求は、主位的請求とは非両立の関係に立つ以上、請求の基礎を同じくするから、その限度で第1審の審理を経たものといえる。
 以上から、控訴裁判所は、自ら予備的請求の当否につき審理判断できる。

(3)よって、本問で、控訴裁判所は、第1審判決を取り消して主位的請求を棄却し、予備的請求を認容する判決をすべきである。

2.小問(2)

 控訴裁判所が予備的請求を棄却しうることは問題がない。では、主位的請求を認容する判決をすることはできるか。

(1)まず、Yの控訴は、予備的請求の棄却を求めるものであるが、Xも口頭弁論終結までは主位的請求の認容を求めて附帯控訴ができる(293条1項)。従って、主位的請求も含め事件全体が移審していると考えなければならない(控訴不可分の原則)。

(2)もっとも、Yの控訴は予備的請求に係る原判決を不服とするものである。従って、Xの附帯控訴がなければ、審判対象は予備的請求の当否に限られ、主位的請求の当否は含まない(296条1項、304条)。

(3)そうである以上、Xの附帯控訴なく控訴裁判所が主位的請求を審理判断し、これを認容する判決をすることはできない。

(4)もっとも、そうすると、Xは主位的請求と予備的請求の両方で敗訴することになり、不測の不利益を負う。そこで、控訴裁判所としては、売買契約が有効となれば上記結果になることを告げて、附帯控訴をするか否かにつきXに求釈明をすべきである。
 その上で、Xがこれに応えて附帯控訴をすれば、主位的請求の当否も審判対象となるから、控訴裁判所はこの点に係る原判決を取り消して請求認容判決をなすべきである。この場合、予備的請求に係る原判決を取り消す必要はない。主位的請求の認容によって予備的請求の解除条件が成就し、当然に失効するからである。
 他方、Xがなお附帯控訴をしないのであれば、控訴裁判所は予備的請求に係る原判決を取り消して、請求棄却の判決をすべきである。この場合、主位的請求については審判対象でないから、何ら応答する必要はない。

以上

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2011年04月13日

平成22年度旧司法試験論文式刑法第1問・第2問の感想と参考答案

【第1問問題】

 甲は,かつて働いていたA社に忍び込んで金品を盗もうと考え,親友であるA社の従業員乙にこの計画を打ち明けて,その援助を依頼した。乙は,甲からその依頼を受けて,甲のために協力したいと思い,甲に「社員が退社した後に,A社の通用口の鍵を開けておくよ。」と伝えたところ,甲は,「助かるよ。」と乙に礼を言った。
 乙は,甲からあらかじめ告げられていた犯行の当日,乙以外のA社の社員全員が退社した後,甲に伝えていたとおり同社通用口の施錠を外して帰宅した。甲は,バールを持ってA社の前まで来たが,A社の中に人がいるような気配がしたので,急きょ計画を変更してA社の隣にあるB社に忍び込むことにした。そこで,甲は,B社に行き,たまたま開いていたB社の建物の玄関ドアから誰もいない建物内に入った。甲は,その事務室に入り込み,バールで金庫をこじ開け,その中から現金を盗み,更に金目の物がないかと室内を物色していたところ,机の上に積まれていた書類の束に甲の手が触れたため,その書類の束がB社の従業員丙が退社の際に消し忘れていた石油ストーブの上に落ち,これに石油ストーブの火が燃え移った。甲は,その書類の束から小さな炎が上がり,更にストーブの上から燃え落ちた火が床にも燃え移りそうになっているのを見て,今なら近くにあった消火器で容易に消せるが,このまま放置すればその火が建物全体に燃え広がるだろうと思いながらも,消火のためにここにとどまれば自分の盗みが発覚するのではないかとおそれて,その場からそのまま立ち去った。
 他方,帰宅途中であった丙は,石油ストーブを消し忘れていたことを思い出し,B社に戻り,その事務室に入ろうとしたところ,事務室の床が燃えているのを発見した。この時点でも,まだ容易にその火を消すことができる状況にあったことから,丙は,その火をそのまま放置すれば建物全体が燃えてしまうと思いつつ,今ならまだ近くにあった消火器で十分消せると考えた。しかし,丙は,その床が燃えているのは自分の石油ストーブの消し忘れが原因であると思い,自分の火の不始末が発覚するのをおそれて,その場からそのまま立ち去った。その結果,B社の建物は全焼した。
 甲,乙及び丙の罪責を論ぜよ(ただし,特別法違反の点は除く。)。

素直な問題

甲につき、不真正不作為犯(付随的に行為論)、行為後の介在事情の処理。
乙につき、幇助の因果性(肯定すれば錯誤論)。
丙につき、不真正不作為犯、独立燃焼状態の客体に対する放火既遂の成否。

長文ではあるが、事案はそれほど複雑ではない。
素直な出題だったといえる。

注意すべき点としては、意識してコンパクトに書くということである。
構成段階では、この程度の論点数なら丁寧に書いてよさそうに感じる。
しかし、不真正不作為犯と行為後の事情は、どちらも意外に紙幅を要する論点である。
これを意識できていないと、甲の部分だけでほとんどの紙幅を使ってしまいかねない。
そうなると、乙丙部分は白紙同然になってしまう。
論点自体は基本的なだけに、こういうところで大きな差が付きやすい。

甲については、窃盗と放火が、どちらも建造物侵入と牽連犯になる。
従って、いわゆるかすがい現象が生じる。
見落としやすいので、注意したい。
なお、近時、一事不再理効との関係でこの点が取り上げられた判例・裁判例がある。
広島高判平21・4・28とその上告審である最決平22・2・17がそれある。
両者は一事不再理効が及ばないという結論で一致するが、理由付けが異なる。
前者は権利濫用であるとし、後者は事実認定により牽連関係にないとした。
なお、後者の判例は、当サイトの司法試験平成22年最新判例ノート(詳細版)司法試験平成22年最新判例ノート(コンパクト版)に収録している。

(広島高判平21・4・28より引用、下線は筆者)

 刑事訴訟法337条1号は,「確定判決を経たとき」には,判決で免訴の言渡しをしなければならないと定めており,この確定判決の一事不再理の効力は,前訴の公訴事実の同一性の範囲内の事実に及ぶものと解されている。前訴の119号事件の建造物侵入,窃盗の訴因(以下,この訴因については「119号事件」の表示を省略する)と後訴の本件非現住建造物等放火の訴因とを比較対照すると,犯行日および犯行場所が同一である両訴因が一罪ではないかという疑問が生じるのであり,それを契機として,関係証拠にも照らし実体的に判断するに,前訴の建造物侵入は,前訴の窃盗および後訴の非現住建造物等放火の手段であり,前訴の窃盗および後訴の非現住建造物等放火は,前訴の建造物侵入の結果であるという関係にあるということになる。そうすると,これらの両訴因が,前訴の建造物侵入をいわゆるかすがいとして一罪の関係にあり,公訴事実の同一性が認められることは,所論の指摘するとおりである。
 しかし,本件の審理経過等をみると,前訴である119号等事件と後訴である本件非現住建造物等放火被告事件とは,もともと弁論が併合されていたにもかかわらず,弁護人の請求により,原裁判所が弁論を分離し,その後の前訴の審理においても,検察官の弁論併合請求が却下されたため,両者は別々に審理されて判決を言い渡されたという経緯がある。弁護人は,弁論の分離を請求して以後,一貫して,両者の弁論を分離して別々に審理することを求めていたのであるから,その時点では,両者を分離し,そのそれぞれについて審理がなされて判決が言い渡されることを当然の前提としていたと考えられる。そして,本件非現住建造物等放火被告事件の公判手続更新の状況や,第9回公判期日における弁論の内容,弁論再開後の第10回公判期日において,初めて一事不再理の効力に関する当事者の意見が述べられていることなどに照らすと,弁護人は,本件非現住建造物等放火被告事件について,判決で有罪無罪の判断が示されることを求めていたのであって,119号等事件との弁論の分離を請求した時点においてはもとより,第9回公判期日において弁論が終結された時点においても,一事不再理の効力を主張して免訴を求めることを全く考えていなかったことは明らかである。それにもかかわらず,前訴につき言い渡された有罪判決が先に確定したからといって,後訴において,前訴の確定判決の一事不再理の効力を主張して免訴を求めるのは,権利の濫用というほかなく,弁論の分離を請求した弁護人の意図がどのようなものであったかにかかわらず,刑事訴訟規則1条2項の法意に照らし許されないというべきである。
 加えて,前訴の窃盗の訴因と後訴の非現住建造物等放火の訴因とは,かすがいである前訴の建造物侵入の訴因を介しなければ,本来的には併合罪の関係にあり,前訴の建造物侵入の訴因と後訴の非現住建造物等放火の訴因とは,牽連犯として科刑上一罪の関係にあるものの,本来的には別罪であること,一事不再理の効力が前訴の公訴事実の同一性の範囲内の事実に及ぶと解されている法的根拠については,前訴の公訴事実の同一性の範囲で,潜在的に審判の可能性があったことや被告人が危険にさらされたことに求める見解が有力であるが,いずれの見地に立って検討しても,上記のとおり,弁護人が,前訴の建造物侵入,窃盗の訴因と後訴の非現住建造物等放火の訴因とを分離して別々に審理し,判決の言渡しを受ける途を敢えて選択したことなど,本件の事実関係の下では,両訴因が公訴事実の同一性の範囲内にあったとしても,実質的にみて,前訴の確定判決の一事不再理の効力を後訴に及ぼすべき場面であると解することはできない
 以上の事情を総合勘案すると,本件の事実関係の下では,前訴の有罪判決が確定したとしても,刑事訴訟法337条1号にいう「確定判決を経たとき」には該当せず,前訴の確定判決の一事不再理の効力は,後訴である本件には及ばないと解するのが相当である。

(引用終わり)

 

(最決平22・2・17より引用)

 所論は,別件建造物侵入と本件放火とは牽連関係に立つので,前訴の別件建造物侵入,窃盗の訴因と,後訴の本件放火の訴因の間には公訴事実の単一性があり,前訴の確定判決の一事不再理効は後訴に及ぶから,本件については刑訴法337条1号により免訴の判決をすべきであったにもかかわらず,原判決は,かかる主張を権利の濫用として排斥した上,被告人を懲役3年6月に処した第1審判決を是認したものであって,同号に違反し,ひいては憲法39条後段に違反すると主張する。

 そこで,前訴の訴因と後訴の訴因との間の公訴事実の単一性について検討する。
 まず,本件放火と別件建造物侵入の関係についてみると,第1審判決は,本件放火が行われたのは別件建造物侵入の際ではなく,これに引き続き行われた2回目の侵入の際であったと認定したが,これに対し,原判決は,別件建造物侵入(以下「初回の侵入」という。)の際に本件放火が行われた可能性がないとはいえないとした。しかし,第1審判決の上記認定は,記録に照らし,十分首肯できるから,この認定に事実誤認があるとした原判断は誤りであるといわざるを得ない。したがって,本件について検討するに当たっては,本件放火が行われたのは2回目の侵入の際であって,初回の侵入の際ではなかったことを前提とすべきである。
 そして,第1審判決の認定するところによれば,被告人は,初回の侵入において,現金等のほか,自らの不正行為に関連する文書が入った段ボール箱を持ち出した上,事務所を出る際,出入口の施錠をしつつ退去したというのであるから,その後に行われた2回目の侵入が時間的に接着したもので,初回の侵入と同様,証拠隠滅の目的によるとしても,新たな犯意によるものと認めることが相当であり,初回及び2回目の各侵入行為を包括一罪と評価すべきものとはいえない
 そうすると,初回の侵入行為と本件放火行為とは牽連関係に立つべきものではないから,憲法39条後段違反をいう所論は前提を欠き,刑訴法405条の上告理由に当たらない。本件について刑訴法337条1号を適用すべき場合に該当しないとした原判決は,結論において相当である。

(引用終わり)

もう一つ、見落とし易いのは、丙が来た時には既に床が燃えていたという点である。
すなわち、媒介物(書類の束)を離れて建物の一部(床)に火が移り独立に燃焼する状態になっている。
判例によれば、それが1尺(約30cm)四方程度でも既遂である。

最判昭23・11・2より引用、下線は筆者)

 被告人が原判示家屋の押入内壁紙にマツチで放火したため火は天井に燃え移り右家屋の天井板約一尺四方を焼燬した事実を認定しているのであるから、右の事実自体によつて、火勢は放火の媒介物を離れて家屋が独立燃焼する程度に達したことが認められるので、原判示の事実は放火既遂罪を構成する事実を充たしたものというべきである。

(引用終わり)

上記判例は、短答対策としても知っておくべき知識である。
そうすると、丙が戻って来たときには、放火罪でいう既遂の状態になっている。
そのため、丙がこれに重ねて放火既遂を犯しうるかという問題が生じることになる。
さらに、本問の場合は不作為であるという特殊性もある。
これをどう処理するか。
考え方としては、3つありそうである。

一つは、不能犯として不可罰にする考え方である。
新たな結果発生の危険のある行為はなしえないことが根拠となる。
本問の丙は、床が燃えていることを認識している。
従って、具体的危険説に立っても、実行行為性は認められないことになる。

もう一つは、作為犯については上記と同様であるが、不作為犯は既遂まで問えるとする考え方である。
これは、放火罪の結果発生が可逆的である(消火できる)ことに着目する見解である。
すなわち、消火の作為義務ある者が期待された作為をすれば独立燃焼状態を解消できる。
とすれば、それを怠ったことで初めて、独立燃焼状態が惹起されたと考えうる。
この説は、因果性を判断するに当たり、適法行為を付け加える考え方と結びつき易い。
すなわち、作為義務が果たされて消火された状態を、法の期待する正常な因果の流れと考える。
そうすると、消火を怠って独立燃焼状態が継続して全焼した場合、その因果性は、作為義務懈怠によって設定されたといえる。
従って、結果との因果関係も肯定できるから、既遂となるのである。
この考え方は、一見作為と不作為とで不均衡なようにも思える。
積極的に火をつければ不能犯で、黙って見ていれば既遂になるのはおかしい、ということである。
しかし、作為義務者が積極的に火をつける場合でも、消火を怠る意味で不作為がある。
作為義務者は、積極的に火をつけようが、黙ってみていようが、既遂になる。
逆に、作為義務者でないものは、積極的に火をつけても、黙って見ていても、不可罰である。
従って、不均衡とはならない。
(なお、消火活動中に積極的に火をつければ消火妨害(114条)となるから、常に不可罰になるわけではない。)

3つ目は、作為でも不作為でも既遂を問えるとする考え方である。
作為による場合、例えば、既に天井が燃えていても、更に床を燃やせば別個の独立燃焼状態を惹起したといえる。
また、不作為による場合、既に天井が燃えているのを放置して、更に床に火が回れば上記作為の場合と同じである。
これは、傷害の場合を考えると理解しやすい。
既に第三者に顔面を殴られて、負傷している被害者がいるとする。
その被害者をさらに殴打し、手足を骨折させれば、新たな傷害既遂だろう。
また、その被害者の救助義務を負う者が、これを放置したとする。
その結果、傷害が悪化して新たな生理的機能の障害(例えば失明)をもたらせば、不作為の傷害既遂となるだろう。
(保護責任者遺棄致傷となる場合もあるが、いずれにせよ傷害結果との因果関係は認められる。)
放火の場合も同様に考えようということである。

いずれにせよ、基本書等ではほとんど論じられていない部分である。
触れただけでも点が付くだろう。

なお、上記のことから、甲のところで行為後の事情は問題にならないようにも思える。
丙が戻って来た時には既遂であるから、丙の不作為は甲の因果関係に影響しないはずだからである。
しかし、問題文からは、行為後の介在事情が問われていると読み取れる。
従って、行為後の事情は書きたい。
また、既遂の結論は動かないとしても、帰責結果の範囲を確定する意味はある。
床を燃やした点までなのか、全焼まで帰責すべきなのか。
これは、財産罪ではよく問題になる。
例えば、恐喝で、喝取金の一部に正当な債権取立て部分を含んでいたという場合。
そういう場合、全体について成立するか、当該部分を除く部分しか成立しないか。
そこまで検討する必要がある。
それと同じである。
そう考えると、全く触れないというのも、問題がある。
さらに、論理的にも、丙の不作為を考慮するか。
考慮する場合に、それが因果関係に影響するか。
この二つは、区別できる。
とりあえず前者を検討し、それが肯定されて始めて後者を検討する。
そして、前者で考慮しないという結論になったため、後者は検討しない。
そういう手順でも、間違いではないだろう。
以上のようなことから、やはり行為後の事情は、書くべきである。

【第1問参考答案】

第1.甲の罪責

1.B社に侵入し、現金を盗んだ点につき、建造物侵入罪(130条)及び窃盗罪(235条)が成立する。

2.B社建物が全焼した点について、非現住建造物放火罪(109条1項)の成否を検討する。

(1)出火の直接的原因は、甲の手が書類の束に触れたことである。しかし、上記甲の所為は意思的ないし目的的なものといえないから、刑法上の行為ではない。

(2)他方、出火を認識しつつ立ち去った点は意思的ないし目的的な行為であるが、不作為であることからその実行行為性が問題となる。
 一般に、作為犯も不作為で実現できるが、不作為の範囲は無限定である。そこで、自由保障の観点から、作為義務、作為の容易性・可能性及び作為との構成要件的同価値性のある場合に限り、不真正不作為犯を肯定すべきである。
 本問では、前記(1)のとおり、出火の直接の原因は甲の所為にあり、また、当時甲以外に消火を期待できる者はいなかったから、甲には条理上自ら消火すべき作為義務があった。また、近くにあった消火器により、消火は可能かつ容易であった。そして、既に書類の束から小さな炎が上がり、更にストーブの上から燃え落ちた火が床にも燃え移りそうになっていたのであり、甲自ら消火に当たらなければ、B社建物を焼損させる現実的危険性があったから、作為と構成要件的に同価値と評価できる。
 よって、上記不作為の実行行為性を肯定できる。

(3)次に、因果関係を検討する。甲の不作為がなければ、すなわち、甲が消火すれば、B建物の焼損を免れたことは明らかである。問題は、その後、丙が出火に気付きながら消火せず放置した点が、因果関係を否定すべき異常な介在事情となるかである。

ア.因果関係を判断するに当たっては、行為当時、行為者が特に認識・予見した事実及び一般人の認識・予見可能な事実を基礎とすべきである。なぜなら、構成要件は社会通念を基礎とした行為規範だからである。

イ.本問では、甲は丙の存在を認識・予見していなかった。もっとも、誰かが出火に気付くことはあり得る反面、発見者が適切な消火をするとは限らないことからすれば、丙が発見しつつ消火を怠ったことにつき一般人ならば予見可能だったといえる。
 そうすると、丙が消火せず放置した点は、因果関係を否定すべき異常な介在事情とはならない。

ウ.よって、甲の不作為とB社建物の焼損との間の因果関係は肯定できる。

(4)そして、甲は、火が建物全体に燃え広がるだろうと認識しつつ、これを認容して立ち去ったのであるから、故意がある。

(5)以上から、非現住建造物放火罪が成立する。

3.よって、甲は建造物侵入罪、窃盗罪、非現住建造物侵入罪の罪責を負い、建造物侵入罪とその余の罪とは牽連犯(54条1項)となるから、全体として科刑上一罪となる(かすがい現象)。

第2.乙の罪責

1.乙は、甲の依頼を了承し、A社通用口の施錠を外した。この行為が、B社建物への建造物侵入及び窃盗の従犯を構成するか検討する。

2.共犯処罰の根拠は、正犯の惹起する結果への因果的寄与にある。従って、物理的又は心理的に正犯の犯行を容易にしたかという観点から検討すべきである。

(1)物理的因果性はない。A社通用口の施錠を外してもB社への侵入及び窃盗は容易にならないからである。

(2)また、乙が協力したのは、犯行場所が自らの勤務するA社だったためであり、それは甲もよく認識していたと考えられる。そうである以上、本問で明らかな乙の協力態様だけでは、甲において、A社以外の建物への侵入・窃盗を心理的に促進されたと認めるに足りない。心理的因果性も認められない。

3.よって、乙の行為は幇助の因果性を欠くから、従犯を構成しない。乙は無罪である。

第3.丙の罪責

1.B社に戻り、出火を認識しながら、消火せず立ち去った点につき、非現住建造物放火罪の不真正不作為犯を検討すると、ストーブの消し忘れという先行行為、B社の従業員という地位及び他に消火を期待できる者がいないという状況から作為義務があり、近くの消火器による消火が可能かつ容易で、放置すれば建物全体が燃えてしまう状況であったから、作為との構成要件的同価値性がある。従って、実行行為性を肯定できる。

2.もっとも、放火罪は、独立燃焼状態になれば既遂である(判例)。上記不作為時、既に事務所の床が燃えて独立燃焼状態に至っていた以上、因果関係を欠いて未遂となるのではないか。
 確かに、既に独立燃焼状態にある客体に対する作為の放火は、未遂の余地があるに過ぎない。しかし、不作為による場合はこの限りでない。なぜなら、期待された作為により独立燃焼状態を解消できる場合、不作為がなければその後の独立燃焼状態は生じなかったといえるからである。

3.よって、丙は非現住建造物放火罪の罪責を負う。

以上

 

【第2問問題】

 甲は,紳士服の専門店であるA社の営業担当者として高級紳士服の販売を担当していた。甲は,遊ぶ金に困ったことから,顧客から金銭を入手してこれに充てようと考え,A社を訪れたBに対し,Bのためにオーダースーツを製作する意思などないのに,「お客さん,良いオーダースーツをお作りいたしますよ。20万円で一着ご用意できます。」と持ち掛けた。日ごろから既製品のスーツに物足りなさを感じていたBは,甲の話を聞いて,オーダースーツなら注文してもよいと考え,「では,ひとつスーツを作ってもらおうか。」と言ってオーダースーツを注文することとした。そこで,甲は,Bに好みの生地を選ばせたり,Bの身体の寸法を測るなど,あたかもオーダースーツを製作するように装いつつ,「この生地ですと代金は20万円ですが,7万円を内金として預からせてください。スーツの出来上がりは今日から4週間後になります。」と言った。Bは,甲の言葉を信じて,その20万円のオーダースーツを注文し,内金として,現金7万円を甲に預けて帰って行った。しかし,甲は,直ちにその7万円全額をパチンコに費消した。
 その4週間後,甲は,Bに電話して,「スーツが出来上がりましたので,ご来店ください。」と告げ,BをA社の店舗に呼び出した。来店したBを出迎えた甲は,Bを店舗内に待たせたまま,その店舗から徒歩数分の場所にある既製服を保管している同社の倉庫に行き,同社の既製服部門の責任者であり,かつ,同倉庫における商品の出入庫を統括管理しているCに対し,「チラシの写真撮影用にスーツを1着借りていくよ。」と言った。Cは,甲のその言葉を信じ,「わかりました。でも,すぐ返してくださいよ。」と答えて甲が倉庫から既製品のスーツを持ち出すことを認めたため,甲は,Bが選んだ生地に似ていて,Bの体格に合ったサイズの既製品のスーツ1着(販売価格20万円)を選んで同倉庫から持ち出した。そして,甲は,店舗に戻り,待っていたBに対し,「ご注文のスーツでございます。」と言って,その既製品のスーツがあたかもB が注文したオーダースーツであるかのように見せ掛けてB に手渡した。Bは,その場でそれを試着したところ,自分の身体にぴったりだったので,そのスーツが既製品であるとは気付かずに,「これでいい。さすが注文しただけあって,着心地もなかなかだ。」などと満足して,その場で13万円を現金で支払い,そのスーツを持ち帰った。その後,甲は,この13万円全額を自分個人の飲食代として費消した。
 甲の罪責を論ぜよ。

論理を問う問題

第2問は、例年どおり各論からの出題である。
よく、各論は構成要件を丁寧に当てはめればよい、といわれる。
しかし、本問について、そのような解法をすべきでない。

各論で構成要件を丁寧に当てはめればよい、といわれるのは、多論点問題が多いからである。
多論点問題の場合、論点落ちを防ぐことが重要である。
構成要件ごとに検討すれば、論点落ちを防ぎ易い。
また、論点に気付かなくても、当てはめる過程で、結果的に触れたことになる場合が多い。
全く触れていない答案と比べると、よい評価になりやすい。

しかし、本問は論理を問う問題である。
既製品スーツや代金20万(7万と13万)について、それぞれいかなる財産犯が成立するのか。
それぞれの権利帰属の評価から、演繹的に結論を出せるかが問われている。
甲に所有も占有もなければ、占有者の意思に反するかにより詐欺か窃盗。
(占有者がいなければ占有離脱物横領)。
占有があれば、所有者に対する横領である。
また、先行する犯罪があれば、その不可罰的事後行為となるか。
本問の事実関係から、その辺りを認定・評価して成立犯罪を確定する作業が求められている。
逆に言えば、それだけを淡々と書いていけば足りる。
所有関係・占有関係を確定することなく、漫然と構成要件を当てはめる答案は、評価されないはずである。

既製品スーツについては、主として占有の帰属が誰にあるのか。
それが移転したのはいつか。
倉庫からの持ち出し時点で、Cの占有が甲に移転したとすれば、詐欺になる。
そうではなく、Cの占有が未だ及ぶとすれば、Bに渡した時点で窃盗になるだろう。
これは、試乗車の事例(東京地判平3・8・28)と同様の論点である。

代金については、まず、Bに対する詐欺となる。
代金相当である点は、最決昭34・9・28であり、典型論点である。
また、その後の費消が、A社に対する横領となるかも問題となる。
集金横領と集金詐欺の区別と同様の論点である。
すなわち、売上金として、一端A社に帰属した金銭を領得したと評価できるか、ということである。
正規の手続によったかどうかが、一つの区別基準である。
正規の手続で集金し、その後着服すれば(業務上)横領である。
他方、正規の集金ではないのに、集金を装って金を受け取れば、詐欺である。
本来の集金ではないから、その金は会社に帰属しない。
従って、その後の費消は、不可罰的事後行為となる。
本問の場合は、7万についても、13万についても、正規の手続とはいいにくい。
横領とはならないとするのが、素直なように思われる。
なお、甲が売り場で詐欺を行うのは、任務違背であり、背任となるのではないか。
そのようにも思えるが、上記のとおり、これは正規の販売とはいい難い行為である。
すなわち、与えられた処分権の濫用ではなく、単なる個人的犯罪行為とみるべきである。
従って、任務違背行為とはいえないから、背任は成立しない。
店員が客を殴り、会社に賠償義務を負担させるなどして財産上の損害を与えても、背任にならない。
それと同じである。

それから、問題文がわざわざ7万と13万で分けたのはなぜか。
7万円については、内金として預けたのに、引渡期日を待たずに費消した点を問う趣旨だろう。
すなわち、Bに対する横領の成否である。
この点については、一般論としては横領の余地を認めつつ、本問では不可罰的事後行為とするのが自然と思われる。
また、付随的に罪数の問題も生じる。
これは、客観的に1個の取引から生じた代金であるし、犯意も1個というべきであるから、包括評価するのが自然である。
併合罪にするのであれば、4週間という期間を強調することになるだろう。
1個の欺罔行為が継続していると見て、観念的競合とする考え方も、ないわけではない。

以上のようなことを、整理して書けるかどうか。
これが、評価を分けるポイントになると思われる。
構成要件を一つ一つ挙げて書こうとすると、上記の論理性を示すのが難しい。
欺罔行為があるか、錯誤に陥っているか、錯誤に基づく交付があるか、交付による占有移転があるか、(自説によっては財産損害の有無)、客観的に因果関係で包摂されているか、主観的に故意で包摂されているか、不法領得の意思はあるか。
こういったことを一つ一つ検討しても、ほとんどの部分が出題意図から外れてしまう。
効用としては、対価相当の論点を、錯誤に基づく交付といえるか(または財産損害)の検討で発見できる、という程度である。
細かくごちゃごちゃと書いていくことになるので、自分でも書いていてわからなくなってきやすい。
そういう場合、思わぬ論理矛盾を犯してしまうこともある。
新司法試験でも、平成21年の刑事系第1問の前半部分で、同様の論理性が問われている。
問題文を見て、多論点問題なのか、論理性を問う問題なのか。
見分けられるように、訓練しておきたい。

【第2問参考答案】

第1.内金名下に7万円預かった点

 オーダースーツの内金と欺いてBから交付を受けたから、一項詐欺罪が成立する。

第2.7万円を費消した点

1.Bとの関係

 一般に、金銭は民事上所有と占有が一致するが、特定の使途のため預かった金銭は、刑法上委託者の所有に属するとされる。そのため、内金として預かった金員を勝手に費消すれば買主に対する横領となりそうである。しかし、本問では内金は名目に過ぎず、預かった時点で詐欺罪が成立していることから、その後の費消は不可罰的事後行為である。
 よって、Bとの関係では犯罪は成立しない。

2.A社との関係

 7万円が刑法上A社に帰属すべきものと解すれば、その費消は業務上横領となりうる。しかし、本問で甲が正規の売上・入金計上をしたとすれば、直ちに費消して現実の入金がない以上、その日のうちに売上金と入金額に齟齬が生じるから、4週間を待つことなく発覚したはずである。従って、甲は正規の売上・入金処理をしなかったと推認できる。そうである以上、7万円が一度A社に帰属し、これを甲が領得したと評価すべきでない。業務上横領罪は成立しない。
 同様に、甲の上記行為は、営業担当者としての本来の任務と何ら関係のない行為というべきであるから、背任罪も成立しない。
 よって、A社との関係でも犯罪は成立しない。

第3.既製品スーツの持ち出し等について

1.既製品スーツの帰属

 既製品スーツの所有権の帰属は明らかでないが、A社にあると考えるのが自然である。そして、既製服部門の責任者であり、同倉庫における商品の出入庫を統括管理しているCが管理するものといえる。

2.甲が、Cに虚言を述べて倉庫から持ち出した時に甲への占有移転が認められれば、その時点で一項詐欺罪が成立しうる。しかし、甲は「借りていく」と言い、Cも、「すぐ返してください」と述べている。Cが既製品スーツの管理処分を甲に委ねたものではない。また、倉庫と店舗は徒歩数分の距離であり、店舗へ持ち込んだことによってCの管理を離れると考えるのも困難である。従って、この時点での占有移転は認められないから、一項詐欺罪は成立しない。

3.そうすると、甲がBに上記スーツを売却して引き渡した行為は、A社所有のCの管理に係る物の占有をその意思に反して移転するものであるから、窃盗罪を構成する。

第4.13万円の現金支払いを受けた点

1.Bは、甲に欺かれてオーダースーツの対価と誤信して支払ったものの、Bの受け取った既製品スーツは販売価格上Bの支払った合計金額相当の20万円の価値があり、また、Bもその着心地に満足している。そのため、一項詐欺の成否につき、財産上の損害がないか、または、錯誤に基づく交付とはいえないとして同罪は不成立とならないか。

2.まず、一項詐欺は背任と異なり条文上財産上の損害は要件とされておらず、交付による財物の喪失があれば足りる。従って、財産上の損害がないことから一項詐欺罪の成立を否定することはできない。

3.また、本問で、オーダースーツであるか既製品であるかは目的物の重要な属性であり、また、Bにおいて着心地がよければ同価格の既製品でも構わないとの意思をうかがわせる事実は何ら見当たらない。かえって、「さすが注文しただけあって」と述べており、着心地の良さ自体誤信に基づく感覚であることをうかがわせる。そうである以上、代金の交付は錯誤に基づくものであったといえる。

4.以上から、一項詐欺罪が成立する。

第5.13万円を費消した点

 Bとの関係では、前記第4の詐欺の不可罰的事後行為であり、A社との関係においても、写真撮影用と偽って持ち出した既製品スーツをBに引渡す等およそ正規の販売とはいえない以上、17万円は一時的にもA社に帰属していないと評価すべきであるから、業務上横領罪は成立しない。
 よって、この点につき何ら犯罪は成立しない。

第6.罰条及び罪数

 第1の行為につき刑法246条1項、第3の行為につき刑法235条、第4の行為につき刑法246条1項に該当し、第1の行為と第4の行為に係る罪は1個の犯意の下でされた同一取引の対価に係るものであるから包括して評価し、第3の行為に係る罪と併合罪(刑法45条前段)となる。

以上

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