2007年03月15日

刑法総論2

被害者の同意

同意に基づく行為は、原則として、社会的相当性を有するから違法性が阻却される。
もっとも、同意の内容が反社会的である場合は、社会的相当性を有するとはいえないので、違法性は阻却されない。

対物防衛

法の名宛人は人であるから、物は違法足り得ない。
よって、対物防衛は否定すべきである。

偶然防衛

社会的相当性の観点から、防衛の意思を要するところ、
偶然防衛はこれを欠くから、正当防衛は成立しない。

積極的加害意思

社会的相当性の観点から、防衛の意思を要するところ、
積極的加害意思ある場合は防衛の意思があるとはいえず、正当防衛は成立しない。

自招侵害

正当防衛の要件を見たす以上、原則として正当防衛が成立するが、
全体として社会的相当性を欠くに至っている場合は、例外的に成立を否定すべきである。

自招危難

緊急避難の要件を見たす以上、原則として緊急避難が成立するが、
全体として社会的相当性を欠くに至っている場合は、例外的に成立を否定すべきである。

防衛行為が第三者の法益を侵害した場合

第三者との関係では、正対不正の関係が無い以上、緊急避難の問題となる。

自救行為

社会秩序維持の観点から、原則として許されない。
もっとも、社会的相当性の観点から、官憲による事後救済を待つことの出来ない緊急の必要性があり、
その手段・方法が、相当と認められる場合に限り、例外的に違法性が阻却されると解する。

違法性の意識は故意の要件か

違法性の意識がなくとも、そのような人格形成につき非難しうる。
もっとも、その可能性すら無い場合は責任非難ができない。
よって、違法性の意識の可能性は必要と解する。

規範的構成要件要素の錯誤

裸の事実認識に加えて、素人的な意味の認識を要すると解する。
なぜなら、規範に直面するためには、その程度の意味の認識は必要であり、かつ、それで十分だからである。

誤想防衛

違法性阻却事由ありと誤信した場合、規範に直面していない。
よって、事実の錯誤として故意を阻却する。
もっとも、誤信につき過失があるときは、過失犯が成立する。

過剰防衛の減免根拠

緊急事態おいては、恐怖や興奮などの心理状態から、多少の行き過ぎがあることはやむを得ない。
したがって、責任が減少することに根拠があると解する。

誤想過剰防衛(過剰性の認識ある場合)

過剰性の認識がある以上、規範に直面しているから、故意は認められる。
もっとも、過剰防衛の場合と同様の責任減少が認められるから、36条2項の準用を肯定すべきと解する。

過失犯の構造

危険行為を一般的に違法と評価すべきではない。
従って、構成要件段階でも過失を考慮すべきである。
その判断は、結果予見可能性を前提とした、結果回避義務違反の有無により決すべきである。

予見可能性の判断基準

予見可能性は結果回避義務を基礎付けるものであるから、
結果回避を動機付ける程度の具体的な予見可能性を要する。

結果についての予見可能性

結果回避を動機付けるためには、結果と因果関係の基本的部分の予見可能性が必要であると解する。

一般人ならば結果を予見しうるような中間項の予見可能性があれば、結果回避義務を基礎付けうるから、結果に対する予見可能性はあったものと認定してよいと解する。

信頼の原則の体系的地位

信頼の原則は結果の予見はあっても他者の行動を信頼してよいとする趣旨であるから、
結果回避義務が否定されることになると解する。

過失の競合

複数の行為を過失行為とするのは、明確性を欠く。
結果を直接惹起するのは、直近の過失行為である以上、直近の過失行為のみ問題にすべきである。

中止犯の法的性格

「自己の意思」が重視されていることから、責任が減少すると解する。

中止犯の任意性

「自己の意思により」という以上、外部的障害によらないことを要すると解する。

中止と結果不発生との因果関係の要否

因果関係が無くとも責任は減少するから、不要である。

不能犯と未遂犯の区別

刑法の主目的は法益保護にある以上、法益侵害惹起の危険性の有無で区別すべきである。
その判断は、行為時に、行為者が特に認識した事情と一般人が認識可能な事情を考慮して、社会通念に基づいてすべきである。
なぜなら、事後的に全ての事情を考慮するなら、全て不能犯となってしまうからである。

他人予備の可罰性

予備は定型性が緩やかであり、処罰は限定すべきであるから、他人予備は否定すべきである。

予備の中止

予備の中止も予備である以上、43条但書の準用はできないと解する。
強盗予備に免除が無いのは犯情を考慮したものであり、多少の不均衡は止むを得ない。

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刑法総論1

不真正不作為犯の実行行為性

法益保護と罪刑法定主義・自由保障との調和の観点から、作為義務、作為可能性、作為との構成要件的同価値性がある場合に限り、実行行為性を認めうると解する。

作為と不作為の区別

刑法の目的は第一次的には法益保護にある。
従って、作為とは、法益侵害状態を作出する行為であり、
不作為とは、既にある法益侵害状態を回復させない行為をいうと解する。

不作為の因果関係

不作為においては、仮定的作為を考慮せざるを得ない。
よって、不作為においては、作為による結果回避の高度の蓋然性の有無によって判断すべきと解する。

作為義務の錯誤

作為義務は実行行為性を基礎付ける要素であるが、
裁判所の規範的評価を要するから、規範的構成要件要素である。
従って、素人的認識を欠く場合に限り、事実の錯誤として故意を阻却すべきである。

間接正犯の実行行為性

他人を道具とする場合にも、法益侵害惹起の現実的危険性があるといえるので、実行行為性を認めうる。
そして、道具といえるためには、反対動機の形成可能性がないこと、すなわち、被利用者が規範に直面しないことを要する。

身分なき故意ある道具

身分がない以上、たとえ故意があっても、被利用者は規範に直面しないといえる。
よって、道具性を認めうる。

他の犯罪の故意ある道具

利用者の意図する犯罪については、被利用者は規範に直面していない以上、道具性を認めうる。

故意ある幇助的道具

原則として、道具性を否定すべきである。
故意ある以上、規範に直面しているというべきだからである。
もっとも、幇助の態様が、規範に直面していないと評価できる程度の軽微性を有すると認められる場合もある。
その場合は、例外的に道具性を認めうる。

被利用者の適法行為(正当防衛など)を利用する場合

被利用者は規範に直面していないから、道具性を肯定できる。
従って、原則として、間接正犯は成立する。
もっとも、あまりに偶然性が強い場合は利用行為と認められないので、間接正犯は成立しないと考える。

被利用者の途中知情

知情後の行為により因果関係が否定されるため、未遂となる。

原因において自由な行為(責任能力欠缺の場合)

責任能力を欠く自己を道具として利用する行為を実行行為と解する。
利用行為時には責任能力があるから、完全な責任を認めうる。

原因において自由な行為(限定責任能力の場合)

限定責任能力にとどまる場合、道具といえないから、完全な責任を問い得ない。

限定責任能力においても、規範的障害は極めて微弱であるから、なお道具と考えうる。
よって、完全な責任を問いうると解する。

実行行為の途中で責任能力を失った場合

責任能力を欠缺した自己を利用する意思を欠く以上、故意が否定されるから、完全な責任は問い得ない。

実行の着手時期

実行行為の一部、すなわち、法益侵害惹起の危険性を有する行為を開始した時点である。

間接正犯の実行の着手時期

他人を利用する行為を実行行為と解する以上、利用行為の開始時である。

原因において自由な行為における実行の着手時期

責任能力の欠缺した自己を利用する行為を実行行為と捉える以上、原因行為時である。

択一的競合

一方のみの行為に帰責できない以上、因果関係は否定すべきである。

複数行為の全てを取り除けば結果は発生しない以上、その複数行為すべてに帰責すべきである。

相当因果関係の要否

条件関係のみでは、妥当な帰責範囲の限定ができないから、相当因果関係を要すると解する。

相当性判断の基礎事情

行為者にとって意外でない事情は排除すべきでない。
また、構成要件は社会通念を基礎とするから、一般人の認識可能な事情も考慮すべきである。
よって、行為時に、行為者が認識・予見した事情と、一般人なら認識・予見し得た事情を基礎とすべきである(折衷的相当因果関係説)。

行為後の事情

行為の前後で基礎事情の基準を異にする理由は無い。
行為後についても、行為者の予見した事情と、一般人なら予見し得た事情を基礎とするば足りる。

故意の内容

故意責任の本質は反規範的人格態度に対する道義的非難である。
従って、犯罪事実を認識し、さらに、これを認容することを要する。

具体的事実の錯誤・客体の錯誤(人違いによる殺人)

およそ人を殺そうとして人を殺したのであるから、殺人の故意はある。

具体的事実の錯誤・方法の錯誤(Aを狙ったがBに命中し、Bを死亡させた)

およそ人を殺そうとして人を殺した以上、Bに対する殺人の故意は肯定できる。
また、Aを殺そうとしていたので、Aに対する殺人の故意も肯定できる。
観念的競合として科刑上一罪となる以上、故意の個数は問題とならないと解する。

抽象的事実の錯誤・方法の錯誤(人を狙ったが、飼い犬に命中し、飼い犬が死んだ)

殺人の規範には直面していたが、器物損壊の規範には直面していない。
よって、人に対する殺人の故意は肯定できるが、飼い犬に対する器物損壊の故意は否定すべきである。

抽象的事実の錯誤・方法の錯誤(重なり合いがある場合)

重なり合いのある限度で規範に直面していたといえるので、その限度で故意を肯定してよい。

法定的符合説の一般的論証

故意責任の本質は反規範的人格態度に対する道義的非難であり、規範は構成要件で与えられるから、
構成要件が同一、または重なり合う限度で、故意を肯定しうると解する。

因果関係の錯誤

因果関係も構成要件要素である以上、故意の認識対象となる。
もっとも、錯誤が構成要件の範囲にとどまる限り、規範に直面しているので、故意は阻却されない。

ウェーバーの概括的故意の事案の行為の数

一つの結果に向けられた一連の行為である以上、全体を一個の行為と解する。

早すぎた構成要件の実現における行為の数

一つの結果に向けられた一連の行為である以上、全体を一個の行為と解する。

早すぎた構成要件の実現における故意の認定

一連の行為を一個の実行行為と捉える以上、行為・結果の認識はある。
よって、因果関係に錯誤があるに過ぎない。

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受験新報 2020年 08 月号

ジュリスト 2020年 07 月号

法学教室 2020年 07 月号

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刑法各論

ビギナーズ犯罪法

基本刑事訴訟法I 手続理解編 (基本シリーズ)

労働法〔第4版〕

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前科に関わる情報をSNSから削除することを求めた事例
東京地方裁判所令和元年10月11日判決
関西大学准教授 水谷瑛嗣郎

判例研究 地方議会議長の発言取消命令と司法審査(一)
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-最一判平成30年3月22日刑集72巻1号82頁を契機として-
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ログイン時のIPアドレス、発信者情報開示の対象にすべきか 総務省の有識者会議で議論

弁護士が解説!有給休業か無休か、休業手当の要否
新型コロナウイルスで急増する労務トラブルの対処法

受刑者エイズ発症、検査結果知らせず1年以上放ったらかし
刑務所に「人権侵害」を警告

命知らずな自転車、トラック真後ろで「風よけ走行」
急ブレーキで事故、どっちが悪い?

森友問題で自殺した赤木俊夫さんの妻を支える弁護士の一言

前田敦子さん、勝地涼さんに別居報道…離れて暮らす前に知りたいポイントは

カナミックネットワークと弁護士ドットコムが医療・介護業界向けに
電子契約「クラウドサイン」販売で業務提携

「県議に現金」メモ押収 河井前法相直筆か、複数枚―参院選買収・検察当局

菅原一秀前経産相、選挙違反を認めたのに不起訴処分…裏で自民党と検察が“司法取引”か

女性転落殺害の初公判 女が無罪主張 福岡県八女市

遺族「真実知りたい」 八女市の転落殺害
初公判 33歳女が無罪主張 福岡県

「俺コロナ」男に実刑判決 名古屋市

客のブログで発覚…13年勤めた料亭から“器105万円分”
盗み自分の店で使う 「使いたかった」

母子殺害で51歳被告男に10年求刑
検察「中学生を巻き込んだ」

指揮権発動から8カ月、長期政権に幕
戦後初期、内閣が倒れた二つの疑獄事件(6)

【関電】金品受領問題が泥沼化の関西電力
「関西検察」天下りOBたちの責任

検察「馬乗りで首を絞めたあと警棒で頭を複数叩いた」と強い殺意を指摘
妻殺害の罪に問われた夫の初公判

検察への逆送、強盗などに拡大 少年法改正、年齢は引き続き議論

山梨県南アルプス市の住宅で750万円奪う
検察 主犯とされる男に懲役12年を求刑

政活費不正受給、2市議の不起訴不当…検察審査会

仏留学生不明事件、チリ人の容疑者引き渡しを7月23日に延期

米検察、ゴーン被告ほう助の容疑者保釈に反対 「逃亡の恐れ」

カナダ検察、先住民族の首長の起訴取り下げ
逮捕時の警官による暴力に非難

マスク着用命じられたブラジル大統領が控訴

Amazon、偽造品撲滅チームを立ち上げ
元検察官や捜査官などで構成。不正者に対し刑事責任追及も

「コンピューターが間違ったんだな」AIの顔認識で誤認逮捕される

24歳が設立、「世界初のロボット弁護士」企業が13億円調達

ティム・クックCEO、LGBTQの雇用差別禁じた最高裁の判断に「感謝」

米最高裁「一部難民申請者の即時送還は合憲」 政権に追い風

米政権、オバマケア廃止を最高裁に要請 コロナ禍の中「残酷」と野党

若き男性カップル、同性愛者への抗議デモの前でキス!
その愛と勇気あふれる行動に称賛の声

米最高裁、25%鉄鋼関税の差し止め認めず-業界団体の訴え退ける

米最高裁、郵便投票の対象拡大認めず テキサス州で

崔順実被告は再調査しないのか

検察・メディア癒着疑惑のチャンネルA記者解雇

サムスントップは「不起訴」相当 最高検の専門家委員会=韓国

審議委員会の「李在鎔 不起訴」勧告に、韓国与党「罪を償え」…検察に圧力

「食い物」にされている韓国の元慰安婦たちの悲痛な手紙を公開

慰安婦支援団体の不正会計疑惑 関係者らを参考人として相次ぎ聴取

独最高裁、米フェイスブックはデータ収集制限に従うべきと判断

ワイヤーカードのブラウン前CEOを拘束、現金不明で-独検察

令和2年司法試験予備試験実施延期に伴う受験手数料の返還について

令和2年司法試験実施延期に伴う受験手数料の返還について

会社法の一部を改正する法律案

民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)

商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律案

民法の一部を改正する法律(債権法改正)について

令和2年司法試験予備試験の実施について

令和2年司法試験の実施について

司法試験考査委員の不適切行為に関する通報窓口

司法試験ファイル,旧司法試験第二次試験ファイル及び
司法試験予備試験ファイルに係る開示請求について


  【司法研修所教材・講義案・調査官解説等】
事件記録教材 法科大学院教材
調査官解説
事例で考える民事事実認定
プラクティス刑事裁判 平成30年版
プロシーディングス刑事裁判 平成30年版
検察講義案 平成27年版
新問題研究要件事実
紛争類型別の要件事実 民事訴訟における攻撃防御の構造 改訂
刑事第一審公判手続の概要
刑事判決書起案の手引
民事判決起案の手引
民事訴訟第一審手続の解説
情況証拠の観点から見た事実認定
民事訴訟における要件事実 第2巻
民事訴訟における要件事実 増補 第1巻
書記官研修講義案等