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2007年06月09日

刑法各論論証2

放火罪の「焼損」の意義

公共危険犯としての罪質から、火が媒介物を離れて、独立に客体が燃焼を継続できる状態に至ったことをいうと解する。

建造物の一体性

社会通念から、物理的一体性を基本とすべきである。
もっとも、生命身体への危険性という観点から、延焼可能性や機能的一体性も考慮せざるを得ないと解する。

非現住建造物放火罪における公共の危険の認識の要否

公共の危険が無い場合は全く適法である以上、構成要件要素として故意の対象となると解する。

難燃性建物における焼損

独立燃焼状態に至っていない以上、未遂である。

建造物等以外放火罪における公共の危険の認識の要否

公共の危険が無い場合は器物損壊に過ぎず、罪質の差異から、結果的加重犯とみることはできない。
構成要件要素として故意の対象となると解する。

写真コピーの文書性

今日では、写真コピーは証明手段として一般に利用されている。
従って、原本と同様の社会的機能と信用性を有する場合には、公共の信用が害されるので、文書性が認められる。

写真コピーの公文書性(作成名義人の問題)

性質上、原本と同一の意識内容を有し、原本と同様の証明手段として利用されることから、名義人は原本の作成名義人である。

写真コピーの有印性

性質上、原本と同一の意識内容を有し、原本と同様の証明手段として利用されることから、有印と解する。

代理資格冒用の名義人

意識内容に基づく効果が、本人に帰属する点を重視すべきである。
よって、名義人は本人である。

代表権濫用による文書

対外的には全く有効である。
従って、名義を偽っているとはいえないから、偽造罪は成立しない。

名義人の承諾(交通事件原票の供述書欄の氏名)

事件処理の性質上、作成者と名義人の同一性が厳格に要求されている以上、承諾があっても有形偽造である。

交通事件原票の私文書性

私人が記入することが予定されているから、公務員・公務所の作成すべき文書に該当しない。
よって、私文書である。

弁護士資格冒用

作成者とは異なる人格を意識させるような具体的状況の下では、人格の同一性を偽ったといえるので、有形偽造となる。

ファックスの文書性

ファクシミリは、送受信機能と共に、複写機能をも有する。
そして、その写しは、原本と同様の社会的機能と信用性を有するといえる。
よって、文書性を肯定しうると解する。

虚偽公文書作成罪の間接正犯の成否

157条の存在から、原則として否定すべきである。
もっとも、補助的作成権限者には、実質的作成権限を肯定できるから、間接正犯が成立しうると解する。

偽造運転免許証携帯運転は「行使」にあたるか

携帯運転のみでは、未だ認識可能性がない。
よって、「行使」にあたらない。

不知情だが利害関係を有しないものへの呈示は「行使」にあたるか

不特定又は多数人への認識可能性は否定できない以上、「行使」にあたる。

事実証明に関する文書図画の意義(自動車登録事項等証明書交付請求書、私大入試解答用紙氏名欄)

実生活に交渉を有する事項を証明するに足りる文書をいう。
そのような事実関係につき、保護すべき公共の信用が存在するからである。

電磁的記録不正作出罪は無形偽造を含むか

同罪が「不正に」とした趣旨は、偽造、変造、虚偽作成の概念区別が電磁的記録において困難であることから、
これらを包括的に表現した点にある。
従って、無形偽造をも含むと解すべきである。

印章偽造における印章の意義(印影に限るか、印顆も含むか)

公共の信用の対象は印影のみであり、印顆は手段にすぎない。
よって、印影に限ると解する。

公務執行妨害罪の適法性基準

基準の明確性と行為時適法行為の保護の必要性から、裁判所が、行為時にたって、客観的に判断すべきと解する。

適法性の錯誤

職務の適法性は、裁判官の規範的評価を要するから、規範的構成要件要素である。
よって、素人的意味の認識を要し、またそれで足りると解する。

公務執行妨害罪と業務妨害罪の関係(公務は業務に含まれるか)

非権力的公務は、民間業務と同様に要保護性があるから、業務に含まれる。
しかし、権力的公務は実力で妨害排除可能である。
よって、権力的公務は業務に含まれない。

非権力的公務は「公務」にあたるか

非権力的公務もその公共性ゆえに公務執行妨害罪の要保護性を認めうる。
よって、「公務」に含まれると解する。

犯人蔵匿罪における「罪を犯した者」の意義

刑事訴訟法上の被疑者被告人は真犯人に限られない以上、
刑事司法作用の保護の観点から、捜査・訴追の対象になっている者をも含むと解する。

犯人が既に身柄拘束されている場合

刑事司法作用は、単に身柄確保に尽きるものではないから、「隠避」に当たりうると解する。

犯人による犯人蔵匿・隠避教唆

他人を犯罪に巻き込む点につき、もはや定型的に期待可能性を欠くとはいえないから、教唆が成立すると解する。

共犯者による犯人蔵匿・隠避の成否

共犯者も犯人以外の者に他ならない以上、成立を肯定すべきである。

「罰金以上の刑に当たる罪」の認識

同要件は規範的構成要件要素であるから、素人的認識で足りる。
具体的には、殺人犯人、窃盗犯人であるといった認識で足りるが、侮辱罪の犯人であると誤信したような場合は故意を阻却する。

参考人の虚偽供述は証拠偽造罪にあたるか

供述には、不正確な内容が混入する危険を常に内包している。
また、偽証罪は宣誓した証人のみを処罰対象とする。
以上を考慮すれば、「証拠」に当たらないと解すべきである。

共犯事件は「他人の刑事事件」にあたるか

自己の刑事事件にも関わる証拠はについては、なお期待可能性欠如を認めうる。
しかし、専ら共犯者のためにする場合は、もはや期待可能性が欠けるとはいえないから、「他人の刑事事件」にあたると解する。

犯人による証拠偽造教唆の可罰性

他人を犯罪に巻き込む点につき、もはや定型的に期待可能性を欠くとはいえないから、教唆が成立すると解する。

親族が第三者を教唆した場合の105条適用の可否

第三者を巻き込んだ以上、期待可能性減少は認められないから、否定すべきである。

犯人が親族に証拠隠滅等を教唆した場合

親族を巻き込んだ点で、教唆犯の成立は認められるが、親族に105条が適用される事に準じ、105条を準用して、免除の余地を認めうると解する。

被告人による偽証教唆の可罰性

他人を巻き込む以上、期待可能性を欠くとはいえないから、可罰的と解する。

「職務に関し」(197条1項等)の意義

具体的事務分配の範囲のみでは、職務の公正とそれに対する信頼を確保できない。
よって、一般的抽象的職務権限に属する行為に加えて、密接関連行為も広く含むと解する。

再選を前提とした職務に対する収賄の成否

収賄当時現職であれば、再選後の行為に関するものであったとしても、職務に対する公正への信頼は害される。
よって、「職務に関し」にあたる。

転職前の職務に関する収賄の成否

転職後に収受した場合であっても、職務の公正に対する信頼は害される。
よって、「職務に関し」にあたる。

収賄と詐欺恐喝の罪数

意思形成過程に瑕疵があるにとどまり、任意性が完全に失われているわけではない。
また、両罪は保護法益を異にする。
よって、両罪の成立を肯定し、両罪は観念的競合となると解する。

posted by studyweb5 at 14:34| 刑法論証 | 更新情報をチェックする

刑法各論論証1

胎児性障害

胎児は「人」にあたらないから、傷害罪は成立しない。
また、堕胎罪には過失処罰規定が無い。
よって、不可罰である。

逮捕監禁罪の保護法益

眠っている間は犯罪不成立となるのはおかしい。
潜在的・可能的自由が保護法益と解する。

住居侵入罪の保護法益

法益主体の明確化のため、住居の管理権であると解する。

230条の2の法的性質

表現の自由の枠内である以上、適法とされるべきである。
よって、違法性阻却事由であると解する。

違法性阻却事由の内容

「証明があったとき」という訴訟法的表現を実体法的観点から解釈すべきであるから、
証明可能な程度の真実性を言うと解する。

真実性の錯誤の処理

証明可能な程度の真実性を違法性阻却事由と解する以上、
十分な資料・根拠に基づいて、真実であると誤信した場合は規範に直面しておらず、
故意が阻却されると解する。

奪取罪の保護法益

今日の複雑な社会秩序を維持するためには、第一次的には占有それ自体を保護すべきである。
よって、占有が保護法益である。

財物の意義

財産的価値の多様化した現代では、有体物に限るべきでない。
もっとも、占有移転を観念するためには、物理的に管理可能でなければならない。
よって、物理的に管理可能なものをいうと解する。

死者の占有

死者には占有は認められない。
死者には占有の意思も事実もないからである。
もっとも、殺害直後の殺害者との関係では、被害者の生前の占有を保護すべきと解する。

下位占有者と占有補助者の区別

占有とは物に対する事実上の支配を言うから、事実上の支配がいずれにあるかで決すべきである。

使用窃盗の可罰性

占有侵害の確定性の観点から、不法領得の意思として自ら所有権者として振舞う意思が必要である。
使用窃盗はこれを欠くから、不可罰である。

領得罪と毀棄罪の区別

領得罪が重く処罰されるのは、その利欲犯的性格からである。
よって、不法領得の意思として、経済的用法に従い利用処分する意思があるか否かで区別すべきと解する。

情報の財物性

情報は物理的に管理不能であるから、「財物」にあたらない。
もっとも、情報を化体した物は、全体的にみて経済的価値を有するから「財物」にあたる。

情報を複写したのち、原本を返却する行為における不法領得の意思

外部に持ち出せない情報については、外部に流出させる目的で複写することも所有権者として振舞う意思の現われといえる。
また、外部に情報を流出させる行為は経済的用法に従った処分といいうる。
よって、不法領得の意思は認められる。

委託封緘物の占有

全体の事実上の支配は受託者にあるから、全体の占有は受託者にある。
もっとも、封緘されている以上、中身の事実上の支配は受託者にない。
よって、中身の占有は依然委託者にあると解する。

244条の親族関係の範囲

「法は家庭に入らず」という同条の趣旨から、占有者・所有者・盗取者の全ての間に親族関係が必要と解する。

244条の親族関係の錯誤

同条は処罰阻却事由に過ぎない。
よって、故意は阻却されない。

強盗罪における「暴行」の程度

奪取罪としての本質から、客観的に被害者の反抗を抑圧するに足りるものであることを要する。

強盗の実行行為に対し、自発的意思に基づいて財物を交付した場合

実行行為と財物移転の間の因果関係を欠くから、未遂となる。

強取の意思は、暴行開始時に必要か

必要である。
なぜなら、暴行脅迫が財物奪取に向けられていることが強盗罪の本質だからである。

居直り強盗の罪責

法益の共通性から、先行する窃盗未遂は、後の強盗に吸収される。
よって、強盗罪一罪が成立する。

2項強盗における処分行為の要否

反抗抑圧を伴う以上、処分行為は存在し得ないから、不要と解する。

事後強盗罪において、暴行脅迫から加功した者の罪責

事後強盗は窃盗犯人しか行い得ない真正身分犯である。
よって、65条の適用により罪責を決すべきと解する。

事後強盗における既遂未遂の判断基準

事後強盗も財産犯である以上、最終的に財物を取得したか否かによって判断すべきと解する。

強盗致傷における傷害の程度

軽微な傷害は、強盗の手段たる暴行において評価されているというべきであるから、
加療を要するような程度をいうと解する。

強盗致死傷罪における暴行脅迫と負傷死亡との関連性

刑事学上顕著であるのは、強盗の機会における被害者の死傷である。
よって、強盗の機会における死傷について関連性が認められると解する。

240条に故意ある場合を含むか

含むと解する。故意ある場合も刑事学上顕著な類型といえるからである。

強盗殺人における既遂未遂の基準

同罪の主たる保護法益は、人の生命である。
よって、殺人の既遂未遂により判断すべきと解する。

事後強盗予備の成否

事後強盗は「強盗として論ずる」(238条)とされる以上、その予備行為は強盗予備罪(237条)にあたると解する。

不法原因給付と1項詐欺の成否

詐欺されなければ不法原因給付をしなかったという関係にある以上、1項詐欺罪は成立しうると解する。

不法原因給付と2項詐欺罪の成否

民事上は保護すべき財産上の利益が無い以上、2項詐欺罪は成立しえないと解する。

民事上保護されなくても、刑法上はなお事実上の要保護性があるといえるから、2項詐欺罪は成立しうると解する。

2項詐欺罪における処分行為の要否

不可罰的利益窃盗との区別のために明確な処分行為が必要である。
よって、債務免除の意思表示を要すると解する。

1項詐欺罪における損害の意義

「交付」(246条1項)という文言から、個別財産であると解する。

国家的法益に対する詐欺罪の成否

国も財産権の主体となりうる以上、国家的法益にも詐欺罪は成立しうる。

旅券の財物性

旅券は一定の資格につき、官庁の証明を受けたに過ぎないから、財物性は認められない。

健康保険証の財物性

事実上医療費の一部を免れうる以上、財物性が認められる。

キセル乗車

乗車駅改札係員も下車駅係員も運賃免除の意思が無い以上、錯誤に基づく処分行為がない。よって、詐欺罪は成立しない。

クレジットカード詐欺

加盟店は信義則上支払能力の無い者のカード利用を拒絶すべき地位にあるから、加盟店に支払能力がないことを秘してカード利用をすることは、加盟店に対する欺く行為であり、加盟店は支払能力があると誤信して、商品を交付しているから、錯誤に基づく処分行為がある。そして、一項詐欺は個別財産に対する罪である から、商品交付自体が損害である。よって、一項詐欺が成立する。

訴訟詐欺

自由心証主義から、裁判所も欺罔されうる。 また、裁判所の裁判に相手方当事者は拘束されるのであるから、処分行為と損害 との因果関係は肯定しうる(三角詐欺)。

権利行使と恐喝

恐喝罪は個別財産に対する罪であるから、恐喝の構成要件に該当しうる。
また、社会通念上相当な範囲を逸脱すれば、正当な権利行使とはいえないから、違法性も認められる。

不法原因給付と横領

被害者は民事上返還請求権を有しない以上、「他人の物」にあたらないから、横領罪は成立しない。

横領の意義

領得罪という本質から、領得行為、すなわち不法領得の意思の発現たる行為をいうと解する。

使途を定めて寄託した金銭の流用

使途を定めた委託の趣旨から、当該金銭は「他人の物」にあたる。

盗品の横領

保護に値する委託信任関係がない以上、横領罪は成立しない。
もっとも、占有離脱物横領の余地はある。

二重譲渡人と横領

第一譲渡の時点で、目的物は「他人の物」となる以上、第二譲渡は不法領得の意思の発現行為であるから、横領罪が成立する。

二重譲受人の共犯の成否

民法上適法に所有権を取得しうる以上、違法性がないから、共犯は成立しない。
但し、背信的悪意ある場合は民法上も違法とされるので、共犯が成立しうる。

背任罪の本質

権限濫用に限る理由は無いから、委託信任関係違背であると解する(背信説)。

背任における財産上の損害

債権が存在しても回収不可能なら無意味であるから、経済的観点から考えるべきである。

背任罪の故意

図利加害目的が要求されていることから、確定的認識を要すると解する。

二重抵当と背任

譲渡人は債権者に円満に第一順位の登記を移転する義務を負うから、事務処理者であり、契約上の委託信任関係がある。
そして、抵当権の順位低下は財産上の損害といえる。
よって、背任が成立する。

二重抵当と詐欺

欺く行為がなければ貸金の交付をしなかったという関係がある限り、
財産上の損害があるというべきであるから、詐欺は成立しうる。

横領と背任の区別

横領は領得をその本質とするから、自己の名義又は計算で行った場合であり、
背任は自己の名義でも計算でもない場合である。

盗品等罪の本質

保護法益の中心は、被害者の追求権である。
もっとも、本犯庇護的な行為態様も考慮すべきと解する。

被害者宅への盗品の運搬

被害者の正常な盗品の回復を妨げる事情(金銭を要求する等)がある限り、
追求権の侵害があるので、盗品運搬罪が成立する。

知情後の盗品の保管

追求権侵害は保管開始時に発生するので、本罪は状態犯である。
従って、保管の継続は実行行為にあたらず、保管罪は成立しない。

有償処分あっせん罪の既遂時期

追求権侵害が生じるのは、盗品等の移転時であるから、この時点に既遂になると解する。

257条の親族関係の範囲

同条の趣旨は、親族が本犯者の便宜を図ることには、期待可能性が乏しいという点にある。
よって、本犯者と盗品犯にあれば足り、被害者との親族関係は必要ないと解する。

257条の親族関係の錯誤

同条は一身的処罰阻却事由に過ぎないから、故意の成否に影響は無いと解する。

posted by studyweb5 at 14:27| 刑法論証 | 更新情報をチェックする

2007年03月15日

刑法総論3

共同正犯の本質

「共同して犯罪を実行」(60条)とあるので、数人で一つの犯罪を共同することに本質があると解する(犯罪共同説)。

共犯の処罰根拠

刑法の主目的は法益保護にあるから、法益侵害結果に対して、正犯を通じて因果性を及ぼした点に処罰根拠があると解する。

共謀共同正犯の肯否

共同正犯の一部実行全部責任の根拠は、相互利用補充関係にある。
よって、かかる関係が認められれば、実行行為自体を分担する必要はないと解する。

承継的共同正犯

先行者単独の行為には通常相互利用補充関係がないから、原則として否定すべきである。
もっとも、先行者の行為の効果を後行者と共に利用するような場合は、相互補充関係が認められるから、例外的に肯定すべきである。

強盗罪の承継的共同正犯

先行者の暴行脅迫による犯行抑圧状態を利用して、後行者と共に財物を強取する場合であるから、承継適用同正犯が成立する。

強盗殺人の承継的共同正犯

先行者の作出した犯行抑圧状態とその後の強取行為について相互利用補充関係が認められるにとどまるので、
死の結果については相互利用補充関係を認めることはできない。
よって、後行者には強盗の承継的共同正犯が成立するにとどまる。

片面的共同正犯

意思の連絡なくして相互利用補充関係を認めることは出来ないから、否定すべきである。

過失犯の共同正犯

共同の注意義務を負う者が、互いに共同者の注意義務違反を認識したにもかかわらず、互いに義務履行を促すことなく、ことさらに義務違反を共同した場合には、注意義務違反行為の相互利用補充関係が認められるので、肯定すべきである。

結果的加重犯の共同正犯

基本犯に加重結果発生の高度の危険性が含まれている以上、肯定しても責任主義に反しないと解する。

共同正犯と一部の者の正当防衛

違法の連帯性から、共同者全員の違法性が阻却されると解する。

共同正犯と一部の者の過剰防衛

責任の個別性から、過剰防衛の成立する者のみ減免される。

未遂の教唆

刑法の主目的が法益保護にある以上、教唆においても結果発生の認識は必要であるから、不可罰である。

未遂の教唆により意外にも結果が発生した場合

過失による教唆になるが、教唆は過失処罰規定が無い以上不可罰である(38条1項但書反対解釈)。

過失犯の教唆

犯意の誘発という教唆の本質に反するので、成立し得ない。

結果的加重犯の教唆

基本犯に加重結果発生の高度の危険性が含まれている以上、肯定してよいと解する。

幇助の因果性

幇助とは正犯の犯行を容易にする犯罪であるから、物理的又は心理的に正犯の犯行を容易にする程度で足りる。

片面的従犯

意思の連絡がなくても正犯の犯行を容易にすることは可能であるから、肯定すべきである。

共同正犯と従犯の区別

正犯で無い者が狭義の共犯である。
よって、共謀共同正犯が成立しない場合が従犯である。

着手前の離脱

離脱の意思の表明と残存者の了承があれば、相互利用補充関係が解消されるので、離脱が認められる。

着手後の離脱

既に、相互利用補充関係に基づく行為が行われているので、
離脱が認められるには、それを打ち消すための積極的な結果回避措置が必要である。

65条1項2項の関係

「身分によって構成すべき」「身分によって特に刑の軽重があるとき」との文言から、1項は真正身分犯についての規定であり、
2項は不真正身分犯についての規定であると解する。

65条1項の「共犯」に共同正犯を含むか

非身分者も身分者を介して法益を侵害でき、正犯たりうるので、共同正犯も含むと解する。

不真正身分犯において、身分者が非身分者に加功した場合

65条2項は身分に応じて、適切な刑を科すという趣旨であるから、身分者には重い刑が成立する。

業務上横領罪と65条(業務上の占有者を教唆した非身分者)

占有者は真正身分であり、業務者は不真正身分であるから、1項2項の適用により、単純横領罪の教唆が成立する。

予備罪の共同正犯

予備には実行行為が存在しない以上、共同正犯は成立しないと解する。

予備罪と狭義の共犯

予備には実行行為が存在しない以上、正犯は観念し得ないから、狭義の共犯は成立しないと解する。

不作為犯に対する教唆

作為義務は一種の身分であるから、65条1項により、教唆犯が成立する。

観念的競合と併合罪との区別

構成要件は社会通念を基礎にしている以上、社会観念上1個の行為かで判断すべきである。

かすがい現象

併合罪との牽連犯という処理が出来ない以上、一体的に牽連犯として処理する他ないと解する。

posted by studyweb5 at 18:43| 刑法論証 | 更新情報をチェックする

刑法総論2

被害者の同意

同意に基づく行為は、原則として、社会的相当性を有するから違法性が阻却される。
もっとも、同意の内容が反社会的である場合は、社会的相当性を有するとはいえないので、違法性は阻却されない。

対物防衛

法の名宛人は人であるから、物は違法足り得ない。
よって、対物防衛は否定すべきである。

偶然防衛

社会的相当性の観点から、防衛の意思を要するところ、
偶然防衛はこれを欠くから、正当防衛は成立しない。

積極的加害意思

社会的相当性の観点から、防衛の意思を要するところ、
積極的加害意思ある場合は防衛の意思があるとはいえず、正当防衛は成立しない。

自招侵害

正当防衛の要件を見たす以上、原則として正当防衛が成立するが、
全体として社会的相当性を欠くに至っている場合は、例外的に成立を否定すべきである。

自招危難

緊急避難の要件を見たす以上、原則として緊急避難が成立するが、
全体として社会的相当性を欠くに至っている場合は、例外的に成立を否定すべきである。

防衛行為が第三者の法益を侵害した場合

第三者との関係では、正対不正の関係が無い以上、緊急避難の問題となる。

自救行為

社会秩序維持の観点から、原則として許されない。
もっとも、社会的相当性の観点から、官憲による事後救済を待つことの出来ない緊急の必要性があり、
その手段・方法が、相当と認められる場合に限り、例外的に違法性が阻却されると解する。

違法性の意識は故意の要件か

違法性の意識がなくとも、そのような人格形成につき非難しうる。
もっとも、その可能性すら無い場合は責任非難ができない。
よって、違法性の意識の可能性は必要と解する。

規範的構成要件要素の錯誤

裸の事実認識に加えて、素人的な意味の認識を要すると解する。
なぜなら、規範に直面するためには、その程度の意味の認識は必要であり、かつ、それで十分だからである。

誤想防衛

違法性阻却事由ありと誤信した場合、規範に直面していない。
よって、事実の錯誤として故意を阻却する。
もっとも、誤信につき過失があるときは、過失犯が成立する。

過剰防衛の減免根拠

緊急事態おいては、恐怖や興奮などの心理状態から、多少の行き過ぎがあることはやむを得ない。
したがって、責任が減少することに根拠があると解する。

誤想過剰防衛(過剰性の認識ある場合)

過剰性の認識がある以上、規範に直面しているから、故意は認められる。
もっとも、過剰防衛の場合と同様の責任減少が認められるから、36条2項の準用を肯定すべきと解する。

過失犯の構造

危険行為を一般的に違法と評価すべきではない。
従って、構成要件段階でも過失を考慮すべきである。
その判断は、結果予見可能性を前提とした、結果回避義務違反の有無により決すべきである。

予見可能性の判断基準

予見可能性は結果回避義務を基礎付けるものであるから、
結果回避を動機付ける程度の具体的な予見可能性を要する。

結果についての予見可能性

結果回避を動機付けるためには、結果と因果関係の基本的部分の予見可能性が必要であると解する。

一般人ならば結果を予見しうるような中間項の予見可能性があれば、結果回避義務を基礎付けうるから、結果に対する予見可能性はあったものと認定してよいと解する。

信頼の原則の体系的地位

信頼の原則は結果の予見はあっても他者の行動を信頼してよいとする趣旨であるから、
結果回避義務が否定されることになると解する。

過失の競合

複数の行為を過失行為とするのは、明確性を欠く。
結果を直接惹起するのは、直近の過失行為である以上、直近の過失行為のみ問題にすべきである。

中止犯の法的性格

「自己の意思」が重視されていることから、責任が減少すると解する。

中止犯の任意性

「自己の意思により」という以上、外部的障害によらないことを要すると解する。

中止と結果不発生との因果関係の要否

因果関係が無くとも責任は減少するから、不要である。

不能犯と未遂犯の区別

刑法の主目的は法益保護にある以上、法益侵害惹起の危険性の有無で区別すべきである。
その判断は、行為時に、行為者が特に認識した事情と一般人が認識可能な事情を考慮して、社会通念に基づいてすべきである。
なぜなら、事後的に全ての事情を考慮するなら、全て不能犯となってしまうからである。

他人予備の可罰性

予備は定型性が緩やかであり、処罰は限定すべきであるから、他人予備は否定すべきである。

予備の中止

予備の中止も予備である以上、43条但書の準用はできないと解する。
強盗予備に免除が無いのは犯情を考慮したものであり、多少の不均衡は止むを得ない。

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刑法総論1

不真正不作為犯の実行行為性

法益保護と罪刑法定主義・自由保障との調和の観点から、作為義務、作為可能性、作為との構成要件的同価値性がある場合に限り、実行行為性を認めうると解する。

作為と不作為の区別

刑法の目的は第一次的には法益保護にある。
従って、作為とは、法益侵害状態を作出する行為であり、
不作為とは、既にある法益侵害状態を回復させない行為をいうと解する。

不作為の因果関係

不作為においては、仮定的作為を考慮せざるを得ない。
よって、不作為においては、作為による結果回避の高度の蓋然性の有無によって判断すべきと解する。

作為義務の錯誤

作為義務は実行行為性を基礎付ける要素であるが、
裁判所の規範的評価を要するから、規範的構成要件要素である。
従って、素人的認識を欠く場合に限り、事実の錯誤として故意を阻却すべきである。

間接正犯の実行行為性

他人を道具とする場合にも、法益侵害惹起の現実的危険性があるといえるので、実行行為性を認めうる。
そして、道具といえるためには、反対動機の形成可能性がないこと、すなわち、被利用者が規範に直面しないことを要する。

身分なき故意ある道具

身分がない以上、たとえ故意があっても、被利用者は規範に直面しないといえる。
よって、道具性を認めうる。

他の犯罪の故意ある道具

利用者の意図する犯罪については、被利用者は規範に直面していない以上、道具性を認めうる。

故意ある幇助的道具

原則として、道具性を否定すべきである。
故意ある以上、規範に直面しているというべきだからである。
もっとも、幇助の態様が、規範に直面していないと評価できる程度の軽微性を有すると認められる場合もある。
その場合は、例外的に道具性を認めうる。

被利用者の適法行為(正当防衛など)を利用する場合

被利用者は規範に直面していないから、道具性を肯定できる。
従って、原則として、間接正犯は成立する。
もっとも、あまりに偶然性が強い場合は利用行為と認められないので、間接正犯は成立しないと考える。

被利用者の途中知情

知情後の行為により因果関係が否定されるため、未遂となる。

原因において自由な行為(責任能力欠缺の場合)

責任能力を欠く自己を道具として利用する行為を実行行為と解する。
利用行為時には責任能力があるから、完全な責任を認めうる。

原因において自由な行為(限定責任能力の場合)

限定責任能力にとどまる場合、道具といえないから、完全な責任を問い得ない。

限定責任能力においても、規範的障害は極めて微弱であるから、なお道具と考えうる。
よって、完全な責任を問いうると解する。

実行行為の途中で責任能力を失った場合

責任能力を欠缺した自己を利用する意思を欠く以上、故意が否定されるから、完全な責任は問い得ない。

実行の着手時期

実行行為の一部、すなわち、法益侵害惹起の危険性を有する行為を開始した時点である。

間接正犯の実行の着手時期

他人を利用する行為を実行行為と解する以上、利用行為の開始時である。

原因において自由な行為における実行の着手時期

責任能力の欠缺した自己を利用する行為を実行行為と捉える以上、原因行為時である。

択一的競合

一方のみの行為に帰責できない以上、因果関係は否定すべきである。

複数行為の全てを取り除けば結果は発生しない以上、その複数行為すべてに帰責すべきである。

相当因果関係の要否

条件関係のみでは、妥当な帰責範囲の限定ができないから、相当因果関係を要すると解する。

相当性判断の基礎事情

行為者にとって意外でない事情は排除すべきでない。
また、構成要件は社会通念を基礎とするから、一般人の認識可能な事情も考慮すべきである。
よって、行為時に、行為者が認識・予見した事情と、一般人なら認識・予見し得た事情を基礎とすべきである(折衷的相当因果関係説)。

行為後の事情

行為の前後で基礎事情の基準を異にする理由は無い。
行為後についても、行為者の予見した事情と、一般人なら予見し得た事情を基礎とするば足りる。

故意の内容

故意責任の本質は反規範的人格態度に対する道義的非難である。
従って、犯罪事実を認識し、さらに、これを認容することを要する。

具体的事実の錯誤・客体の錯誤(人違いによる殺人)

およそ人を殺そうとして人を殺したのであるから、殺人の故意はある。

具体的事実の錯誤・方法の錯誤(Aを狙ったがBに命中し、Bを死亡させた)

およそ人を殺そうとして人を殺した以上、Bに対する殺人の故意は肯定できる。
また、Aを殺そうとしていたので、Aに対する殺人の故意も肯定できる。
観念的競合として科刑上一罪となる以上、故意の個数は問題とならないと解する。

抽象的事実の錯誤・方法の錯誤(人を狙ったが、飼い犬に命中し、飼い犬が死んだ)

殺人の規範には直面していたが、器物損壊の規範には直面していない。
よって、人に対する殺人の故意は肯定できるが、飼い犬に対する器物損壊の故意は否定すべきである。

抽象的事実の錯誤・方法の錯誤(重なり合いがある場合)

重なり合いのある限度で規範に直面していたといえるので、その限度で故意を肯定してよい。

法定的符合説の一般的論証

故意責任の本質は反規範的人格態度に対する道義的非難であり、規範は構成要件で与えられるから、
構成要件が同一、または重なり合う限度で、故意を肯定しうると解する。

因果関係の錯誤

因果関係も構成要件要素である以上、故意の認識対象となる。
もっとも、錯誤が構成要件の範囲にとどまる限り、規範に直面しているので、故意は阻却されない。

ウェーバーの概括的故意の事案の行為の数

一つの結果に向けられた一連の行為である以上、全体を一個の行為と解する。

早すぎた構成要件の実現における行為の数

一つの結果に向けられた一連の行為である以上、全体を一個の行為と解する。

早すぎた構成要件の実現における故意の認定

一連の行為を一個の実行行為と捉える以上、行為・結果の認識はある。
よって、因果関係に錯誤があるに過ぎない。

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