2007年10月31日

親族・相続

婚姻届の法的性質

法律婚主義の沿革から、婚姻の成立要件であると解する。

婚姻意思の必要な時期

婚姻届が成立要件である以上、届出時に必要である。

婚姻意思の意義

婚姻制度濫用防止の観点から、実質的な夫婦共同体創設意思をいうと解する。

届出時の婚姻意思・意思能力の喪失

届出が成立要件である以上、その時点で婚姻意思・意思能力を欠けば、婚姻は無効となる。
もっとも、法的安定性の観点から、届出の受理以前に相手方・戸籍事務員への反対意思の表示が無い限り、婚姻の無効を主張できないと解する。

無効な婚姻の追認の可否

当事者意思を尊重し、116条類推適用により届出時に遡って婚姻は有効となる。

離婚意思の意義

婚姻制度の濫用の問題は生じない以上、形式的に届出意思と解する。

有責配偶者からの離婚請求の棄却(770条2項)の肯否

裁判離婚制度の趣旨から、原則として棄却されるべきである。
もっとも、長期の空洞化した法律婚を維持することは不当である。
よって、長期の別居、未成熟な子の不存在が認められれば、相手方配偶者の状況が過酷となり社会正義に反するような特段の事情が無い限り、有責配偶者の離婚請求は棄却すべきでないと解する。

財産分与請求権に慰謝料を含むか

慰謝料も財産的請求である以上、含ませる事が可能と解する。

財産分与に対する詐害行為取消の可否

原則として行使上の一身専属権であるから、詐害取消の対象とはならない(424条2項)。
もっとも、財産分与の趣旨に照らして不相当に過大である場合は、実質的な財産処分として詐害取消の対象となりうる。

認知無効の訴えの性質

明確性画一性の観点から、形成訴訟と解する。

相続人が存在する場合の内縁配偶者の賃借権の援用の可否

内縁配偶者の生活基盤確保の必要性と、利用形態に変化無く賃貸人に不都合が無いという許容性から、内縁配偶者は相続人の賃借権を賃貸人に対して援用しうると解する。
そして、相続人からの明渡請求は、明渡しの必要性に乏しい相続人が、内縁配偶者の生活基盤を奪うものであり、権利濫用となる。

占有権の相続による承継の可否

被相続人の事実上の支配が相続人に移ると解される以上、特段の事情ない限り、占有の承継を肯定すべきである。

相続による占有承継に187条の適用はあるか

承継した前主の占有と自己固有の占有という二面性がある以上、187条は適用される。

相続による自主占有への転換の可否

相続自体は包括承継であって、「新たな権原」(185条後段)にはあたらない。
もっとも、客観的態様の変更が所有の意思の表示(同条前段)にあたる場合がある。

遺産分割協議の債務不履行解除の可否

遺産分割は協議成立により終了するから、不履行債務は遺産分割とは別個の権利関係である。
よって、遺産分割自体を541条により解除する事はできない。

遺産分割協議の合意解除の可否

共同相続人全員の合意がある以上、私的自治の観点から可能である。

相続回復請求権の法的性格

法が時効のみ規定している以上、相続財産についての個々の権利の集合体と解する。
よって、884条の趣旨は、一括して消滅時効にかからしめることで、法的安定性を図る点にある。

相続人間における884条適用の可否

持分超過分については、相続人であっても相続侵害をなしうる以上、適用は否定されない。
もっとも、自らに相続権があると信じるに足りる合理的事由が無い場合は、時効を主張できない。

法定相続分と登記

遺産分割までは第三者出現余地は少なく、登記具備を要求するのは酷であるから、登記は不要である。

相続分指定と登記

遺産分割までは第三者出現余地は少なく、登記具備を要求するのは酷であるから、登記は不要である。

相続放棄と登記

放棄の有無は裁判所で確認でき、短期の期間制限(915条1項)があって第三者出現余地が少ないから、登記は不要である。

遺産分割と登記

遺産分割後は権利が確定し、第三者との取引が想定される反面、登記を要求しても酷ではないから、登記を要する。

遺贈と登記

遺贈は相続財産の移転である以上、登記を要する。

「相続させる」旨の遺言

特定相続財産を特定相続人に早期に帰属させたいとする被相続人の意思を尊重して、登記を要しないと解する。

無権代理と相続

当然に有権代理とすると相手方取消権を一方的に奪うなど、柔軟な結論を導けない。
そこで、無権代理人の地位と本人の地位が並存すると解する。

無権代理人による本人相続

自ら無権代理行為をした以上、追認拒絶権は信義則上行使できない。

本人による無権代理人相続

自らは無権代理行為をしていないから、追認拒絶を妨げられない。
この場合、相手方が117条の履行請求をしたとしても、特定物の引渡しについては拒絶できる。
相手方に相続による期待以上の利益を与えるべきではないからである。

無権代理人の地位の共同相続(追認権の単独行使の可否)

追認権は不可分であるから、単独行使は出来ない。
よって、共同相続人全員の追認によって初めて無権代理行為は有効となる。

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2007年10月26日

債権各論

取消に基づく不当利得返還請求権の同時履行関係の有無

原則として、相互の牽連性から同時履行関係となる。
もっとも、詐欺強迫による取消の場合には、公平の観点から詐欺強迫者は抗弁主張できない(295条2項類推適用)。

危険負担の債権者主義の適用範囲

双務契約の牽連性からは、債務者主義が原則である。
そうである以上、債権者主義は、引渡しにより目的物の支配が移転し、危険移転を正当化しうる段階以後に限って適用すべきである。
よって、534条1項は目的物の引渡し後にのみ適用されると解する。

違約手附と解約手附の並存の可否

手附金相当額の負担で解約することにも合理性がある以上、違約手附というだけでは、557条1項は排除されない。

「当事者の一方」(557条1項)の意義

当該要件は解除される者が不測の損害を受けることを防止する趣旨である。
よって、解除される相手方を指す。

「契約の履行に着手するまで」(557条1項)の意義

解除可能時を画する要件である以上、客観的に判断すべきである。
よって、客観的に外部から認識しうるような形で履行行為の一部をなし又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合をいうと解する。

敷金返還請求権の発生時期

敷金は明渡しまでに生ずる一切の賃借人の債務を担保するものである以上、明渡し時に返還請求権が発生する。

建物明渡しと敷金返還との同時履行の肯否

敷金返還請求権は明渡し時に生じる以上、建物明渡しが先履行であるから、同時履行は否定すべきである。

二重賃借人の優劣

債権には排他性はないから、先履行を受けた者が事実上優先するのが原則である。
もっとも、不動産賃借権には一定の排他性・対抗力が認められる(605条、借地借家法10条1項、31条1項)。
よって、不動産賃借権については、対抗要件を先に具備した者が優先すると解する。

賃借権に基づく妨害排除請求権の肯否

債権には排他性が無いから、原則として賃借権には妨害排除請求権は認められない。
もっとも、対抗力(605条、借地借家法10条1項、31条1項)を備えた不動産賃借権は排他性を有するから、妨害排除請求権を認めうると解する。

612条2項の解除権の制限

賃貸借の継続性から、信頼関係を重視すべきである。
具体的には、背信行為と認めるに足りない特段の事情がある場合には、解除権は発生しない。

賃貸不動産の所有権移転により当然に賃貸人の地位の移転は生じるか

所有者と賃貸人の分離は法律関係を錯綜させるから、賃借人が対抗力を具備する限り当然に賃貸人の地位の移転も生じる(従たる権利、87条2項類推適用)。

賃貸人の地位の移転に賃借人の同意を要するか

賃貸人の債務の無個性性から、不要と解する。

賃貸人たる地位の主張に所有権登記を要するか

二重払い防止の観点から賃借人は登記欠缺を主張する正当な利益を有する以上、登記は必要である(177条)。

賃貸不動産の譲渡により敷金関係も移転するか

敷金は賃貸人債権を担保するものである以上、担保の随伴性から、旧賃貸人に対する未払債務を差し引いた残額について当然に新賃貸人に移転する。

賃借人の交代による敷金関係の移転の可否

旧賃借人が新賃借人に対して当然に担保を提供すべきとはいえない以上、敷金関係の移転は否定すべきである。

原賃貸借の合意解除を転借人に対抗できるか

合意解除は実質的には賃貸人の権利放棄であるから、398条、538条の法意に照らし、転借人にはこれを対抗できない。
もっとも、転借人の使用収益が確保されれば足りるから、転貸人(原賃借人)は法律関係から離脱する。

原賃貸借の債務不履行解除の場合の転借人への催告の要否

法律上解除の要件となっていない以上、不要と解する。

賃貸借についての541条適用の可否

賃貸借も契約である以上、541条は適用される。
もっとも、賃貸借の継続性に鑑み、信頼関係を破壊すると認めるに足りない特段の事情があるときは、信義則上、解除は許されない。
逆に、既に信頼関係が破壊されるに至っているときは、無催告で解除できる。

親族名義の建物登記に借地権の対抗力(借地借家法10条1項)が認められるか

他人名義登記では、自己の建物所有権すら対抗できない以上、借地権の対抗力を認めることは出来ない。

転借人の建物登記に借地権の対抗力が認められるか

転借人は転借地権者(借地借家法2条5号)であって、借地権者で無い以上、対抗力は認められない。

譲渡担保権者の建物登記に借地権の対抗力が認められるか

借地権者の登記でない以上、対抗力を認めることは出来ない。

表示の登記に借地権の対抗力が認められるか

借地権者名義の登記である以上、借地権者の借地権を推知させるに十分であるから、対抗力を肯定しうる。

借地権の存在について悪意の土地譲受人による対抗力を欠く借地人への明渡請求の可否

居住権保護という借地借家法の趣旨に鑑み、権利濫用(1条3項)として認められない。

建物買取請求に基づく代金支払いと土地明渡しとの同時履行・留置権の肯否

建物取壊しを回避する建物買取請求の趣旨から、肯定すべきである。

借地権が債務不履行解除により消滅する場合にも建物買取請求権を行使できるか

できない(借地借家法13条1項「期間が満了した場合」)。

造作買取請求に基づく代金支払いと建物明渡しとの同時履行・留置権の肯否

造作と建物では価値に著しい差があるから、公平の観点から否定すべきである。

借家権が債務不履行解除により消滅する場合にも造作買取請求権を行使できるか

できない(借地借家法33条1項「期間の満了又は解約の申入れによって」)。

請負人が材料を提供した場合の完成建物の所有権の帰属

材料と完成建物との同一性と、請負人の代金支払確保の観点から、請負人に原始的に所有権が帰属する。

出来方部分を注文者に帰属させる旨の請負人との特約に、下請人は拘束されるか

下請契約は元請契約を前提とする以上、下請人は元請人の履行補助者に過ぎない。
よって、下請人は注文者に独立の主張をなしえず、元請契約の内容に拘束される。

請負目的物完成後、引渡し前に不可抗力により目的物が滅失した場合の危険負担

請負は仕事完成に本質があるから、特定物の設定・移転を目的とする契約とはいえない。
よって、債務者主義(536条1項)が適用され、請負人は報酬債権を失う。

請負目的物の完成時期(担保責任の発生時期)

工程が終了すれば、仕事として一応完了する以上、最終工程終了時に目的物が完成すると解する。

請負担保責任の損害賠償の範囲

瑕疵の無い仕事の完成を担保するものである以上、履行利益まで及ぶ。

事務管理によって当然に代理権が発生するか

事務管理は管理者・被管理者間の対内関係を定めるものに過ぎないから、代理権は当然には発生しない。

準事務管理の肯否

事務管理は利他的行為の規律である(697条1項「他人のために」)以上、否定すべきである。
不当利得・不法行為により処理すれば足りる。

過失相殺能力

責任能力と異なり責任負担の根拠となるものでないから、事理弁識能力があれば足りる。

被害者側の過失を過失相殺で考慮できるか

公平な損害の分担の趣旨から、被害者と身分上・生活関係上一体をなす関係にある者の過失は考慮できる。

被害者の身体的素因に基づく損害の負担

疾患に基づく損害は、全てを加害者に負わせるのは公平でない場合もある。
よって、損害の公平な分担という過失相殺制度の趣旨から、722条2項が類推適用される。
もっとも、疾患に至らない身体的特徴は、個体差の範囲にとどまるから、722条2項の類推適用を否定すべきである。

被害者の心因的素因に基づく損害の負担

心因的素因に基づく損害は、全てを加害者に負わせるのは公平でない場合もある。
よって、損害の公平な分担という過失相殺制度の趣旨から、722条2項が類推適用される。

逸失利益の算定に事故後の事情を考慮できるか

賠償請求権は事故時に発生し、内容が確定する以上、事故後の事情は考慮できない。

711条列挙者以外の遺族の慰謝料請求の可否

711条は立証責任を軽減するものに過ぎないから、709条・710条に基づき慰謝料請求できる。

生命侵害以外の場合の近親者の慰謝料請求の可否

711条は立証責任を軽減するものに過ぎないから、709条・710条に基づき慰謝料請求できる。

財産的損害賠償請求権の相続性

即死の場合でも、観念的には死者に発生して相続人に相続されると解する。

慰謝料請求権の相続性

被害法益が一身専属的であるに過ぎず、単純な金銭債権に変わりは無い以上、相続性を認めうる。

責任能力者の監督者の責任

714条は過失の推定規定に過ぎないから、709条に基づく責任は生じうる。

714条と失火責任法との関係

責任無能力者に代わって監督者に責任を負わせる714条の趣旨と失火責任限定という失火責任法の趣旨から、監督者に重過失があった場合に監督者が責任を負うものと解する。

「事業の執行について」(715条1項)の意義

被害者保護の観点から、行為の外形上職務の範囲内に属すると認められるものを広く含む。
もっとも、被害者が職務の範囲外であることにつき悪意・重過失である場合、使用者責任は追及できない。

使用者による被用者への求償の範囲

被用者を使用して利益を得ながら、損害を全て被用者に帰せしめることは報償責任の原理に反する。
よって、損害の公平な分担の見地から信義則上相当な範囲に限られる。

被用者から使用者への逆求償の可否

使用者は被用者を使用して利益を得ている以上、ある程度の損害を負担すべきである。
よって、損害の公平な分担の見地から、負担割合に応じた逆求償が可能と解する。

715条と失火責任法との関係

使用者は被用者に代わって責任を負うのであるから、被用者について重過失があることを要し、それで足りる。

717条と失火責任法との関係

717条の危険責任原則の趣旨と失火責任法の責任限定の趣旨との調和の観点から、工作物の設置・保存について重過失ある場合に責任を負うものと解する。

「共同の不法行為」(719条1項)の意義

被害者保護の観点から、客観的関連共同があれば足りるが、個人責任の原則から、加害者各人が不法行為の要件を充足する事を要すると解する。

不当利得における受益と損失の因果関係

実質的妥当性の見地から、社会観念上、受益者の受益が損失者の損失に帰するものであると認められれば、因果関係が認められる。

横領・騙取した金銭による弁済に法律上の原因はあるか

「法律上の原因」とは、公平の観点から当該財貨移転を法的に正当化しうる実質的理由をいう。
とすれば、横領騙取の事実につき、弁済受領者が悪意・重過失であった場合、当該弁済は公平の観点から正当化し得ないから、法律上の原因を欠くことになる。

転用物訴権における法律上の原因の判断基準

修繕目的物の所有者・賃貸人が賃借人との賃貸借契約全体において対価無く修繕利益を受けたと評価できる場合には、当該修繕利益は正当化されないといえ、「法律上の原因」を欠くと解する。

「給付」(708条)の意義

終局性無き場合に返還を否定すれば、かえって不法の促進になる。
よって、「給付」とは、相手方に終局的利益を与えるものをいうと解する。

不法原因給付物の所有権に基づく返還請求の可否

不法に法は助力しないという708条の趣旨から否定すべきである。

不法原因給付物の所有権の帰属

給付者からの返還請求が否定される反射的効果として、受領者に所有権が帰属する。

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2007年10月23日

債権総論

取立債務の特定時期

他の物と区別される必要があるから、準備・通知(口頭の提供)だけでなく、分離まで要する。

瑕疵物の提供で特定は生じるか

瑕疵物の提供では「物の給付をするのに必要な行為を完了」(401条2項)したとはいえないから、特定は生じない。

詐欺取消しに基づく不当利得返還請求権に対する同時履行の抗弁の可否

詐欺者が同時履行を主張するのは信義則(1条2項)に反するから、同時履行の抗弁は主張できない。

相手方の受領拒絶意思が明確な場合の弁済提供の要否

あらかじめ受領を拒んでいる場合に口頭の提供で足りるとしている(493ただし書)のは、現実の提供が無意味だからである。
だとすれば、受領拒絶意思が明確で口頭の提供すら無意味な場合は、弁済提供は不要となるというべきである。

利息制限法超過利息の任意支払分の元本充当の可否

超過利息は利息制限法1条により無効である以上、元本に充当される(491条1項)。

利息制限法超過利息任意支払分の不当利得返還請求の可否

超過分の元本充当により、元本が消滅した以上は、その余の弁済は不当利得となる。
なぜなら、利息制限法1条2項は元本の存在を前提とするからである。

危険負担における債権者主義の適用範囲

支配の移転あって初めて危険の移転を正当化できるから、引渡しがあって初めて債権者主義が適用されると解する。

履行過程における債権者の一般的法益侵害に対する契約責任の成否

契約履行にあたり、債権者は債務者の一般法益を侵害しないよう配慮する信義則上の付随的注意義務を負う。
従って、これに違反すれば契約責任を負う。

瑕疵物からの拡大損害に対する契約責任の成否

瑕疵物の提供自体が債務不履行となる場合は、416条により賠償の対象となり得る。
瑕疵物の提供が債務不履行とならず、瑕疵担保責任の対象になるにとどまる場合でも、契約履行にあたり、債権者は債務者の一般法益を侵害しないよう配慮する信義則上の付随的注意義務を負う以上、これに違反するものとして契約責任を負う。

安全配慮義務違反による契約責任の成否

契約により特別な社会的接触関係に入った以上、当事者は信義則上互いに安全配慮義務を負うと考えられる。
よって、これに違反すれば契約責任を負う。

履行補助者の故意過失による契約責任の成否

履行補助者の故意過失は信義則上本人の故意過失と同視すべきであるから、本人は契約責任を負う。

承諾転借人の故意過失による賃借人の責任

転借人は、賃借人の義務履行を補助する関係にある以上、賃借人の履行補助者である。
よって、信義則上、転借人の故意過失は賃借人のそれと同視すべきである。

承諾ある場合は、転借が法的に許容される以上、選任監督に過失無き限り、賃借人は責任を負わない。

履行補助者の安全配慮義務違反による契約責任の成否

履行補助者の安全配慮義務違反は、信義則上、債務者のそれと同視できる以上、債務者が契約責任を負う。

契約締結上の過失による契約責任の成否

契約が原始的無効であっても、当事者は有効な契約締結に対する期待を互いに保護すべき信義則上の義務を負う。
従って、これに違反すれば、契約責任が発生する。

契約準備段階の過失による契約責任の成否

未だ契約締結前であっても、当事者は契約締結に至る期待を互いに保護すべき信義則上の義務を負う。
従って、これに違反すれば、契約責任が発生する。

契約終了後の余後効による契約責任の成否

契約終了後であっても、当事者は契約による利益を互いに保護すべき信義則上の義務を負う。
従って、これに違反すれば、契約責任が発生する。

債権侵害による不法行為責任の成否

債権は特定人に対する権利であるが、第三者から履行を侵害されないという意味で不可侵性を有する。
よって、これを侵害すれば、不法行為責任が生じる。
もっとも、排他性はないから、二重譲渡等、私法上優先する権利を並存させる行為は、自由競争の範囲を逸脱しない限り、違法性を欠くと解する。

損害賠償額の算定基準時

損害賠償請求権が発生した時に権利内容が定まる以上、履行不能又は解除時であると解する。

共同賃貸人による催告解除の方法

賃貸の解除は管理行為である以上、共同賃貸人の過半数による(252条本文)。
従って、解除不可分の原則(544条1項)は適用されない。

共同賃借人に対する催告解除の方法

解除不可分の原則から、解除は共同賃借人全員に対して行わなければならない(544条1項)。
また、各人に履行の機会を与えるべきであるから、催告も全員に対して行わなければならないと解する。

解除の効果の法的構成

法的効果の簡明さを重視して、契約の遡及的消滅と解する。

原状回復義務の目的物が滅失毀損した場合の法的効果

解除は双務契約の清算であるから、危険負担により処理すべきである。
そして、自らの支配領域で生じたリスクは自ら負担すべきであるから、受領者が滅失の危険を負担し、滅失当時の目的物の価額を返還する義務を負うとともに、それと引換に対価の返還を請求することができると解する。

解除前の第三者の保護

545条1項は解除の遡及効制限規定であるから、解除前に新たに法律関係に入った第三者は保護されうる。
その際、解除されるかは不確定である以上、善意は不要である。
もっとも、権利保護要件として、登記(引渡し)の具備を要すると考える。

解除後の第三者の保護

545条1項は解除の遡及効制限規定であるから、解除後の第三者に同条の適用は無い。
もっとも、解除の遡及効は一種の擬制であり、復帰的物権変動を観念することができる。
よって、二重譲渡と同様、対抗要件を先に具備したものが優先する。

受領遅滞の法的性質

債権者は権利者であって義務者でないから、受領遅滞は信義則上特に定められた法定責任である。

担保責任の法的性質

特定物は現状引渡しで足りる(483条)から、債務不履行責任は生じない。
よって、担保責任は特定物売買の等価的均衡を保つための法定責任であると解する。

担保責任における損害賠償の範囲

特定物売買においては、完全な履行を観念できないから、履行利益の賠償は含まず、信頼利益に限られる。

法律的制限は瑕疵担保責任の対象となるか

570条の「瑕疵」とは、通常有すべき性質・性能の欠缺をいう。
法律的制限があると通常の利用が出来なくなる以上、「瑕疵」に法律的制限も含むと解される。
よって、瑕疵担保責任の対象となる。

賃借権売買における賃貸目的物の瑕疵による瑕疵担保責任の成否

賃貸目的物は賃借権売買の目的ではないから「瑕疵」にあたらず、瑕疵担保責任は成立しない。

担保責任と錯誤

570条は95条の特則的位置にあるから、570条が適用され、95条は排除される。

担保責任と詐欺

570条は96条の特則的位置にあるから、570条が適用され、96条は排除される。

他人物売買の担保責任と債務不履行責任との競合

売主の移転義務(560条)の不履行が帰責事由に基づく以上は、債務不履行責任が発生するというべきである。

他人物売買の担保責任による解除の場合の使用利益の返還先

給付利得の返還である以上、売主に返還すべきである。

数量指示売買における損害賠償の範囲

担保責任は履行利益を観念しえない以上、信頼利益にとどまる。

錯誤無効の代位行使の可否

表意者保護という錯誤制度の趣旨と責任財産保全という代位制度の趣旨の調和の観点から、債権保全の必要があり、表意者が錯誤を認めている時は、第三者が錯誤無効を代位行使することが出来ると解する。

代位行使に対する第三債務者の虚偽表示の抗弁の可否

94条2項の趣旨から、代位権者が善意の第三者に当たる場合、虚偽表示無効を対抗できない。

代位債権者の直接自己への引渡請求の可否

債務者が受領拒絶した場合の実効性確保のため、肯定すべきである。
もっとも、不動産については、登記を移転すれば足りる以上、否定すべきである。

債権者代位権の転用の可否

条文上否定されていない以上、他の有効な手段がなく、必要性合理性が認められる限度で肯定すべきと解する。

移転登記請求権の代位行使

現行法下では代位行使の他に有効な手段がなく、被代位者は特に不利益を受けないから、合理性も認められる。
よって、移転登記請求権の代位行使は肯定できる。

妨害排除請求権の代位行使

被代位者には特段の不利益が無く、合理性が認められるから、代位行使以外に有効な手段が無いと認められれば、代位行使を認めうる。

建物買取請求権の代位行使

土地賃貸人の建物買取請求権行使により得る利益たる代金債権は、建物賃貸人の賃借権を保全しない以上、建物賃貸人による建物買取請求権の代位行使は認められない。

詐害性の判断基準

妥当な結論を導くため、詐害意思と行為の客観的詐害性との相関関係によって個別具体的に決すべきである。

弁済の詐害行為該当性

弁済は債務者の義務であるから客観的詐害性は小さい。
よって、一部の債権者と通謀して優先的満足を得させる意図があった場合に限り、詐害性を肯定すべきである。

不動産の時価売却の詐害行為該当性

相当額であっても、流動性の高い金銭にする点で、客観的詐害性が高いといえる。
よって、資金調達や生活のためやむを得ないと認められる場合を除き、詐害性が認められる。

担保権設定の詐害行為該当性

共同担保を減少させる点で、客観的詐害性が高い。
よって、資金調達や生活のためやむを得ないと認められる場合を除き、詐害性が認められる。

詐害行為取消権の法的性質

取引安全と責任財産保全の趣旨の調和の観点から、相対的に詐害行為を取消し、逸失財産の回復請求をする権利であると解する。

受益債権者による按分額取得の抗弁の可否

受益者を保護することになり、共同担保保全の趣旨に反するから否定すべきである。

特定債権保全のための債権者取消権の肯否

特定債権も単純な金銭債権たる損害賠償債務に変じうる(417条)。
よって、その保全のために債権者取消権を行使しうる。

詐害取消による直接自己への履行請求の可否

債務者が受領拒否した場合の実効性を考慮して肯定すべきである。
もっとも、不動産については、債務者に登記移転すれば足りるから否定すべきである。

非代替債務の保証

不履行の場合には、代替的な金銭債務たる損害賠償債務に転化する(417条)以上、保証をなし得る。

主債務解除の原状回復義務についての保証人の責任の肯否

主債務との牽連性から、これを含むことが当事者の合理的意思に合致する。
よって、保証人の責任に含まれる。

物上保証人は主債務者の相殺権を援用できるか

物上保証人は利害関係を有する第三者弁済権者(474条2項)である以上、肯定すべきである。

保証人は主債務者の取消権を援用できるか

保証人は取消権者(120条)ではないが、附従性から、取消権の存在を理由に弁済拒絶しうると解する。

物上保証人の事前求償権

明文上事後求償権に限られることは明らかである(372条・351条・459条1項)から、否定すべきである。

債権譲渡禁止特約違反の債権譲渡の効果

契約自由の原則にかかわらず特に規定された以上、物権的効力を生じ、債権譲渡は無効となる。

466条2項の「善意」の意義

単に「善意」とある以上、無過失までは要しない。
もっとも、取引通念上、重過失は悪意と同視すべきであるから、無重過失は必要である。

譲渡禁止特約付債権の譲渡に対する債務者の承諾の効果

遡及的に有効となる(116条本文類推適用)。

譲渡禁止特約付債権に対する転付命令の効力

公的執行手続を私人の合意で排除することはできないから、転付命令は認められる。

債権二重譲渡において譲受人が共に確定日付ある通知を具備している場合の優劣基準

債務者の認識を一種の公示とする467条の趣旨から、先に通知が到達した者が優先する。

確定日付ある通知の同時到達の場合の処理

優劣を決する事が出来ないが、免責させるべきでもないから、不真正連帯債権となると考える。
すなわち、譲受人はいずれも債務者に全額請求でき、債務者はいずれかに支払えば免責される。
譲受人間は、按分で求償関係が生じる。

確定日付無き通知による二重譲渡

第三者対抗要件を具備していない以上、債務者はいずれが債権者か確定していない事を理由に弁済を拒める。
もっとも、対債務者対抗要件を具備している以上、弁済した場合は有効である。

無留保承諾(468条1項)の法的性質(主観的要件)

468条1項は無留保承諾を信頼した譲受人を保護して債権取引安全を図る趣旨であるから、譲受人は善意無過失である事を要する。

「事由」(468条1項)の意義

債権譲渡による債務者の抗弁喪失の不利益を回避するのが、468条2項の趣旨である。
そうである以上、2項の「事由」は、抗弁発生の基礎となる事由も含むべきである。
1項は、2項の例外を規定する以上、同じく抗弁発生の基礎となる事由を含むと解する。

弁済により消滅した債務者所有不動産の担保権は無留保承諾で復活するか

468条1項により消滅を対抗できなくなる結果、担保権は復活する。

弁済により消滅した債務者所有不動産の担保権は無留保承諾で復活するか(後順位抵当権者がいる場合)

無留保承諾前の後順位抵当権者との関係では、順位上昇の利益を保護すべきであるから、抵当権は復活しない。
無留保承諾後の後順位抵当権者との関係では、既に担保権は復活している以上、これを対抗できる。

弁済により消滅した物上保証人所有不動産の担保権は無留保承諾で復活するか

物上保証人は無留保承諾をしたのではなく、担保権の消滅を対抗できる以上、担保権は復活しない。

担保権が無留保承諾で復活する場合の登記の流用の肯否

現在の権利関係の公示としている以上、流用を肯定すべきと解する。

保証人がいる場合の無留保承諾による保証債務の復活の肯否

保証人は無留保承諾をしたのではなく、保証債務の消滅を対抗できる以上、保証債務は復活しない。

仮装債権の譲受人は「第三者」(94条2項)にあたるか

仮装債権作出に加功した債務者より譲受人を保護すべきであるから、「第三者」にあたると解する。

解除された債権の譲受人は「第三者」(545条1項ただし書)にあたるか

債権譲渡によって債務者に抗弁喪失の不利益を負わせないという468条2項の趣旨を重視し、解除された債権自体の譲受人は「第三者」にあたらないと解する。

債権の劣後譲受人は準占有者にあたるか

劣後譲受人が真の権利者らしい外観を有する場合がある以上、準占有者にあたりうると解する。

詐称代理人に対する弁済に対する478条適用の可否

詐称代理人も真正な弁済受領権者らしい外観を有するものに変わりが無いから、478条の適用がある。

定期預金の期限前払戻しに対する478条適用の可否

払戻しには解約を伴うが、解約に応じるのが通常であるから、実質的には弁済と変わらない。
よって、478条の適用がある。

預金担保貸付けに対する相殺の可否

預金担保貸付けは経済的には期限前払戻しと同視できるから、478条を類推適用により、相殺を対抗しうる。

両債権が共に不法行為で生じた場合の相殺の可否

不法行為誘発防止の趣旨が妥当しない以上、509条の適用がなく、相殺できる。

差押えと相殺の優劣

相殺の担保的機能を重視し、差押え前に取得した債権であれば相殺できる(511条反対解釈)と解する。

相殺予約の効力

契約自由の原則から有効である。

債権譲渡と相殺の優劣

相殺の担保的機能を重視し、債権譲渡の通知承諾前に取得した債権であれば相殺を対抗できると解する(468条2項)。

順相殺と逆相殺の優劣

相殺の効力は意思表示により生じる(506条1項本文)以上、意思表示の先後で決する。

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