2019年06月15日

令和元年司法試験短答式試験の結果について(4)

1.司法試験の合否は、短答と論文の総合評価によって決まります。今回は、短答でどのくらいの点数を取ると、論文でどのくらい有利になるのか、すなわち、短答の論文に対する寄与度をみていきます。
 総合評価の計算式は、以下のとおりです(「司法試験の方式・内容等について」)。

 総合評価の得点=短答式試験の得点+(論文式試験の得点×1400÷800)

 これを見るとわかるとおり、短答の得点はそのまま総合得点に加算されますが、論文は800分の1400、すなわち、1.75倍になって総合得点に加算されます。したがって、論文の1点は、総合評価では、短答の1.75点に相当するわけです。
 総合評価に占める比重という点からいうと、短答は175点満点がそのまま総合評価の加算対象となるのに対し、論文は、論文段階では800点満点だったものが、総合評価では1400点満点となるわけですから、総合評価段階での短答:論文の比重は、1:8となります。論文は、憲法、行政法、民法、商法、民訴法、刑法、刑訴法、選択科目の8科目。1:8という比重からすると、短答は9個目の科目である、という位置付けも可能でしょう。無視できるほど小さくはないけれども、選択科目と同じくらいと考えると、あまり過大視もできない、という感じです。その意味では、「短答の勉強と論文の勉強」というように、短答と論文を対等に位置付けるのは、短答を過大視しているといえるでしょう。もっとも、「選択科目と同じ比重なんだから、選択科目と同じくらいの勉強量でいいや。」などと言っていると、短答段階で不合格になってしまいかねません。この辺りが、短答の学習計画を考える際の難しさといえます。
 とはいえ、上記の比重を考えると、少なくとも短答の合格ラインを安定して超えるレベルになって以降は、積極的に短答の学習をするメリットは薄そうだ、ということが感じ取れます。

2.短答と論文の比重という点では、短答の寄与度は低そうだ、という印象でした。ただ、短答は、論文と違って、高得点を取りやすいシステムになっています。このことを考慮して、もう少し具体的に考えてみましょう。
 論文で、満点の75%といえば、優秀の水準を意味します。これは、現実には取ることが極めて難しい点数です。これに対し、短答における満点の75%(概ね131点)とは、今年の順位にすると1497位に相当します。これは、それなりに短答に自信のある人なら、普通に取れる点数です。また、論文には得点調整(採点格差調整)があります。これによって、強制的に、標準偏差が各科目の配点率(現在は10に設定されている。)に抑えられてしまいます。短答には、このような抑制機能を有するシステムはありません。このように、短答は、論文よりも稼ぎやすいといえるのです。
 ただし、短答で高得点を取っても、単純に総合評価でそれだけ有利になる、というわけではないことに注意が必要です。短答合格点未満の点数の人は、総合評価段階では存在しないからです。今年でいえば、108点未満の人は、そもそも総合評価の段階では存在しない。ですから、例えば、短答で150点を取ったとしても、総合評価で150点有利になるわけではないのです。有利になるのは、最大でも、150-108=42点だけです。しかも、それは短答ギリギリ合格の人と比べて、という話です。今年の短答合格者平均点である129.3点の人と比べると、150点を取っても、150-129.3=20.7点しか有利になりません。 しかも、総合評価の段階で、論文の得点は1.75倍になりますから、短答の得点を論文の得点に換算する場合には、1.75で割り算することになります。そうすると、短答における20.7点というのは、論文の得点に換算すると、11.8点程度ということになる。このように、短答は点を取りやすいとはいっても、それが論文に寄与する程度は、限定的なものになってしまうのです。

3.実際の数字でみてみましょう。短答でどのくらいの水準の得点を取れば、短答ギリギリ合格の人(108点)や、短答合格者平均点の人(129.3点)に対して、論文で何点分有利になるのか。以下の表は、これらをまとめたものです。

短答の
水準
得点 最下位
(108点)
との論文での差
短答合格者平均
(129.3点)
との論文での差
トップ 169 34.8点 23.3点
100番 152 25.1点 12.9点
500番 142 19.4点 7.2点
1000番 136 16.0点 3.8点
合格者平均
(1714番)
129.3点 11.4点 ---

 短答でトップを取ると、短答ギリギリ合格の人に、論文で34.8点のアドバンテージを取ることができます。これが、短答で付けることのできる最大のアドバンテージです。これは、どのくらい大きいのか。論文1科目の設問が3つあるとすると、おおよそ設問1個分に当たります。また、論文は8科目ですから、34.8を8で割ると、34.8÷8=4.35。1科目当たり、おおよそ4点くらい有利になる、という感じです。トップを取って、しかも、短答最下位の人と比べても、この程度しか論文で有利にはならない、ということです。論文では、4点程度の得点は、論点を1つ落としてしまったり、重要な当てはめの事実をいくつか落としてしまったりすると、簡単にひっくり返ってしまうものです。
 現実に、上位を狙って勉強をして、それなりに安定して取ることができそうなのは、500番くらいだろうと思います。しかも、そのような上位を狙える人は、論文で短答最下位の人と合否を争うことは考えにくい。このように考えてみると、現実的に短答を勉強するメリットを考える場合に考慮すべきなのは、500番と短答合格者の平均との差ということになると思います。これは、たったの7.2点です。論文8科目で割り算をすると、1科目当たり1点に満たない。これが、現実的な短答の論文に対する寄与度なのです。

4.このように、短答の寄与度は、それほど大きくありません。ですから、「短答でぶっちぎりの得点を取って、逃げ切る。」などという戦略は、あり得ないのです。とはいえ、短答を軽視していいかといえば、そうでもない。その理由は2つあります。
 1つは、憲民刑3科目になってからの短答は、油断すると簡単に不合格になる、ということです。確実に短答をクリアするには、実際にはかなりの時間を投入する必要がある。上記の総合評価における寄与度は、あくまで短答に確実に受かることが前提だということを、忘れてはいけません。
 それからもう1つは、短答の知識が、論文を書く際の前提知識となる、ということです。短答レベルの知識があやふやな状態では、論文の事例を検討していても、正しく論点を抽出することができません。ですから、短答合格レベルに達するまでは、短答の学習を優先することに意味があるのです。
 以上のことからいえることは、「短答に確実に合格できる水準までは、短答の学習を優先すべきである。」ということと、「短答に確実に合格できる水準になったならば、短答は現状の実力を維持する程度の学習にとどめ、論文の学習に集中すべきである。」ということです。この優先順位に従って学習をするためには、できる限り早く短答の学習に着手する必要があります。短答の学習に着手する時期が遅いと、短答合格レベルに達する前に、論文の学習に着手せざるを得なくなってしまいます。そうなると、どちらも中途半端なまま、本試験に突入してしまう、ということになりやすい。短答の学習は、未修者であればローに入学してすぐに着手する。既修者であれば、法学部在学中にも、着手しておくべきでしょう。今年、短答で不合格になった人は、今すぐ着手しなければ、来年までに間に合いません。短答の知識は、定着させるまでにかなり時間がかかるものの、一度定着するとなかなか忘れない、というのが特徴です。今年の予備組の短答受験者合格率は、98.9%です。385人が受験して、4人しか落ちていない。このことは、一度実力を付ければ、短答は安定して結果が出せることを示しています。
 短答合格レベルに達するまでに必要な膨大な勉強量を確保し、やり抜く
。これは、司法試験に合格するための前提となる第一関門です。これをクリアした先にあるのが、「受かりにくい者は、何度受けても受からない」法則のある恐怖の論文です。どんなに勉強量を増やしても、受かりにくい人は成績が全く伸びない。この論文の壁に苦しんでいる人にとっては、勉強量さえ確保できればクリアできる短答は、とても楽な試験だと感じられることでしょう。しかし、その勉強量の確保さえできない人も、実際にはかなりいるのです。

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2019年06月13日

令和元年司法試験短答式試験の結果について(3)

1.科目別の平均点、最低ライン未満者の状況をみてみましょう。以下は、直近5年間の科目別の平均点及び最低ライン未満者割合の推移をまとめたものです。憲法・刑法は50点満点ですが、民法は75点満点なので、比較のため、民法の平均点の欄の括弧内に50点満点に換算した数値を示しました。

憲法
平均点
民法
平均点
刑法
平均点
憲法
最低ライン
未満割合
民法
最低ライン
未満割合
刑法
最低ライン
未満割合
平成
27
32.8
51.6
(34.4)
36.3
2.3% 4.1% 4.3%
平成
28
34.3
49.5
(33.0)
36.2
2.3% 6.1% 4.6%
平成
29
32.0
48.0
(32.0)
33.8
3.7% 5.0% 3.2%
平成
30
33.2 47.8
(31.8)
35.9 1.7% 7.1% 3.0%
令和
30.5 57.4
(38.2)
31.4 4.0% 1.8% 8.2%

 前回の記事(「令和元年司法試験短答式試験の結果について(2)」)でみたとおり、今年は、全体の平均点が昨年よりも2.5点上昇しました。ところが、科目別でみると、憲法と刑法は、むしろかなりの難化です。全体の平均点が上昇したのは、憲法・刑法の難化を上回るほど、民法が大幅に易しくなったからでした。おそらく、作問者の感覚としては、憲法・刑法は32点、民法は48点くらいを適正な平均点とみているのでしょう。その感覚でいくと、昨年は憲法・刑法が少し易しかったかな、ということになるので、今年は厳しめに作ってみた。それが、やり過ぎてしまった。一方、民法は、平均点でみると現状維持でよいけれども、最低ライン未満者が多かったので、少し易しめに作ってみた。それが、やり過ぎてしまった。そういうことだったのかもしれません。来年は、この反動で、憲法・刑法は易しく、民法は厳しくなりやすいといえるでしょう。
 短答式試験の試験科目が7科目だった頃は、憲民刑の基本科目は比較的易しく、残りの4科目がやや難しいという感じでした。特に、民法はかなり易しく、普通に論文の学習をしているだけでも、7割くらいは取れる。短答対策をきちんとやっていれば、8割、9割は正解できて当然だろうという内容でした。しかし、憲民刑の3科目になってからは、そうもいかなくなっています。短答プロパーの知識をインプットしていないと、論文の学習だけでは、合格点を確実に取れるとはいえないという感じです。このことは、注意しておくべきことでしょう。短答7科目時代の合格者から、「論文の勉強を真面目にやっていれば短答は合格できるから、短答に特化した対策は不要ですよ。」というようなことを言われることがあるかもしれませんが、それは当時そうだった、というだけで、現在では当てはまらないことです。前回の記事(「令和元年司法試験短答式試験の結果について(2)」)でも説明したように、早い時期から肢別問題集をマスターしておくことが必要です。

2.最低ライン未満者割合をみると、憲法は増加、民法は大幅減少、刑法は大幅増加という変化の激しい結果になっています。これは、概ね平均点の変化に対応していますが、よくみると、平均点と対応していない部分もあることがわかるでしょう。憲法と刑法の平均点をみると、憲法の方が低いのに、最低ライン未満者割合は、刑法の方が圧倒的に多くなっています。過去の数字との比較でみても、例えば、平成27年の刑法の平均点は36.3点で、今年の憲法の平均点30.5点よりかなり高いにもかかわらず、最低ライン未満者割合は4.3%で、今年の憲法よりやや高い水準となっています。これは、各科目における得点のバラつきの差によって生じている現象です。
 一般に、平均点が下がると、全体の得点が押し下げられますから、最低ライン未満者は増える。これは、わかりやすい現象です。一方で、得点のバラつきが大きくなると、どうなるか。得点のバラつきが大きくなるということは、極端に高い点数を取る人や極端に低い点数を取る人が増えるということです。最低ライン未満者というのは、極端に低い点数を取った人です。ですから、得点のバラつきが大きくなると、平均点が一定でも、最低ライン未満者は増えるのです。このことを理解すると、憲法は得点のバラつきが小さく、刑法は、得点のバラつきが大きいのだろう、と予測できます。実際のところは、どうか。ここでは、得点のバラつきを示す指標として、標準偏差を用いましょう。各科目の標準偏差は、法務省が公表している科目別の得点別人員調から算出することができます。以下は、直近5年の標準偏差の推移です。憲法・刑法は50点満点ですが、民法は75点満点なので、比較のため、民法の欄の括弧内に50点満点に換算した数値を示しました。

憲法 民法 刑法
平成
27
6.2 11.1
(7.3)
8.4
平成
28
6.5 11.2
(7.4)
8.2
平成
29
6.3 10.2
(6.8)
6.9
平成
30
5.9 11.1
(7.3)
7.6
令和
5.9 10.6
(7.0)
7.8

 標準偏差は、得点のバラつきが大きくなれば値が大きくなり、得点のバラつきが小さくなれば値が小さくなります。憲法は、民法・刑法と比べて、得点のバラつきが小さいことがわかります。このことが、平均点では説明の付かない憲法・刑法の最低ライン未満者割合の差を生じさせていたのでした。
 憲法のバラつきが小さく、民法・刑法のバラつきが大きいというのは、近年の傾向です。すなわち、憲法はかなり勉強をしても正誤の判断に迷う問題がある一方で、誰もが取れる易しい問題もある。他方、民法・刑法は、誰もが取れる易しい問題は少ない反面、きちんと勉強していれば正解しやすい問題が多かった、ということです。このことは、満点を取った人の数にも、象徴的に表れています。今年でいえば、憲法は1人も満点がいませんが、民法は31人が満点を取っています。平均点がかなり下がった刑法でも、満点は4人います。その意味では、民法・刑法の方が、憲法よりも、勉強量が点数に結び付きやすいといえるでしょう。
 いずれにせよ、短答に合格するためには、誰もが取れる問題をしっかり取る、ということが重要です。過去問については、予備校等で問題ごとの正答率が公表されています。正答率が70%を超えるような問題を確実に解答できる程度の知識が、合格の目安になります。そのような問題というのは、ほとんどが過去問で繰り返し問われている知識を問うものです。過去問で繰り返し問われているので、誰もが正誤を正しく判断できるのです。そのようなことがあるので、過去問は、全肢潰すつもりでやるべきなのです。

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2019年06月10日

令和元年予備試験短答式試験の結果について(2)

1.以下は、直近5年の科目別平均点の推移です。一般教養だけは60点満点ですから、比較のため、括弧内に30点満点に換算した数字を記載しました。


平成
27年
平成
28年
平成
29年
平成
30年
令和
元年
憲法 17.3 17.6 16.7 16.8 14.7
行政 15.6 14.8 12.4 12.4 12.1
民法 16.9 16.3 16.3 14.7 20.3
商法 13.7 12.0 14.3 12.8 14.2
民訴 14.7 15.6 13.1 14.7 17.8
刑法 16.9 17.5 17.3 15.7 14.5
刑訴 15.5 16.5 15.3 16.1 15.6
教養 28.1
(14.05)
24.3
(12.15)
24.5
(12.25)
27.3
(13.65)
24.7
(12.35)
合計 138.7 134.6 130.0 130.5 133.8

 全体の平均点をみると、過去最低水準だった昨年、一昨年から3点強上昇しました。それでも、平成28年以前よりは低めの水準です。
 科目別でみると、公法系・刑事系はやや難しく、民事系は民法を筆頭にして、全般的に易しくなったという印象です。例年の大まかな傾向でいえば、易しめの憲法・民法、厳し目の行政法・商法、年によって変化の大きい刑法、民訴、刑訴、一般教養という感じなのですが、それとの関係でいえば、今年は憲法が厳しかった点に特色があったといえそうです。それから、ここ数年は、刑訴の難易度が安定してきています。

 2.一般教養とそれ以外の法律科目との関係は、短答の学習戦略を考える上で、重要なポイントとなります。以下は、一般教養の得点と、法律科目で1科目当たり何点を取れば合格できるか、ということの対応をまとめたものです。

一般教養
の得点
法律科目
1科目当たりの
得点
60点
(満点)
(今年の最高得点)
14.5点
54点
(9割)
15.4点
48点
(8割)
16.2点
42点
(7割)
17.1点
36点
(6割)
18.0点
30点
(5割)
18.8点
24.7点
(今年の平均点)
19.6点
12点
(実質零点)
21.4点

 今年の一般教養トップは、満点の60点でした。一般教養で満点が取れると、法律科目は5割未満でも合格できます。9割の54点でも、法律科目は5割強で合格できる。ただ、このような受かり方は推奨できません。そもそも一般教養で9割以上取ることが難しい、というだけでなく、合格した後の司法試験で苦しむことになりやすいからです。
 逆に、一般教養が12点で、法律科目を7割強(21.4点)取って合格というのは、十分にあり得る戦略だと思います。一般教養はすべて5択ですから、デタラメに選んでも大体2割は取れてしまう。12点を、「実質零点」と表現しているのは、そのためです。つまり、これは一般教養を完全に捨てる戦略といえます。その上で、法律科目はガチガチに固めて7割以上を取る。これは、簡単とは言いませんが、決して不可能ではないことです。予備の段階で短答の知識をガチガチに固めておけば、その後の司法試験の学習が非常に楽になります。「司法試験は憲民刑以外の科目に短答がないのに、そこまでする意味があるの?」と思うかもしれませんが、短答の知識があると、論文の事例分析を速く、正確に行うことができるようになります。一般教養は、範囲が広すぎて対策を取ろうと思っても難しいということを考えると、中途半端な一般教養対策をするくらいなら、「法律科目7~8割」を目指す方が、予備の短答対策としては得策だろうと思います。予備の場合は、短答と論文の間に2か月程度の余裕があることも、この戦略を採りやすくしています。短答まではひたすら短答知識を詰め込んで、短答終了後にすばやく規範の詰め込みと答案の速書きの練習に切り替えれば、何とか間に合うだけの時間的余裕があるというわけです。
 もっとも、実際には、一般教養の対策を何もしていなくても、大学入試時代の知識や、たまたま知っている英語や時事的な知識等で解ける問題、それから、毎年2問程度出題される論理問題(今年は第9問、第10問)を拾っていけば、30点くらいは取れることが多いでしょう。一般教養で30点を確保できれば、法律科目は6割強を取れば合格できます。とはいえ、それでも6割強は必要ですから、やはり、法律科目で安定して7割以上を取れる実力は付けておく必要があるといえるでしょう。その意味でも、「法律科目7~8割」は、予備短答における王道の目標といえるのです。

3.「法律科目7~8割」を目指すためには、何をすればいいか。当サイトは、肢別問題集を解く、ということで、議論の余地はないと考えています。短答は、過去問で問われた知識が繰り返し問われるのが特徴です。ですから、過去問ベースの肢別問題集を解く。市販されているものとしては、「肢別本」が有名です。
 肢別問題集を解く際には、単に正誤を答えられる、というだけでなく、それが判例なのか、条文なのか、学説なのか、誤っている肢は、正しくはどのような内容となるか、そういったことまで、答えられるようにすることが必要です。そこまで答えられて、初めて「正解」したといえます。目標は、全肢3回連続正解ですが、予備は学習期間が限られる上に7科目あるので、時間的にそこまで詰めるのは難しいかもしれません。短答当日までにできる限り詰める、という感覚でよいのだろうと思います。そして、短答終了直後に一気に論文に切り替える。短答の学習で、基礎的な知識は頭に入っているはずなので、論文対策は、主として規範の記憶と時間内に答案を書き切る訓練に特化して行うことになる。これは、短答と論文の間の2か月でギリギリやれるだろうと思います。
 短答はひたすら肢別問題集をやればいい、という当サイトの立場に対しては、批判的な意見も案外あるものです。例えば、「肢別問題集だけでは網羅性がないので基本書やテキストを読むべきだ。」という考え方もあるでしょう。しかし、これはなぜ肢別問題集が有効か、ということを理解できていません。短答は、過去問で出た知識が繰り返し出題されます。「過去に出た知識はもう出ないのではないか。」と思う人もいるかもしれませんが、そうではないのです。過去問ベースの肢別問題集は、過去問で出た肢をダイレクトに習得できるので、効率がよいのです。つまり、「過去問で出たところに特化し、網羅性がないこと」こそが、過去問ベースの肢別問題集の長所なのですね。基本書やテキストを読む勉強法だと、短答で繰り返し出題されている部分がどこなのか、わからないまま漫然と学習することになりやすい。「基本書やテキストに過去問で出題された部分をマーカーしておき、それを見直すという勉強法ならいいはずだ。」と言う人もいるかもしれませんが、過去問で出題されたものを確認してマーカーを引く時間があれば、既に過去問ベースで肢別に整理された問題集を解いた方がよいでしょう。また、知識はただ眺めているだけでは、頭に入ってきません。肢単位で正誤を考えるという作業をして初めて、うっかりしやすいポイントなどがわかるのです。基本書やテキストは、肢別問題集を解く前のざっくりした知識の確認や、間違った肢の知識の確認に使う程度にした方がよいと思います。ただ、憲法判例に関しては、過去問ベースの肢別問題集だけでは少し足りないかもしれません。司法試験の場合は、当サイトでも論文の学習を兼ねて判例の原文を読むことを推奨しています(「令和元年司法試験短答式試験の結果について(2)」)。ただ、予備の場合は、短答と論文の試験日にブランクがあり、短答と論文の学習期間が分離しやすいので、短答学習段階でじっくり原文を読む時間的余裕は、あまりないように思います。間違えた判例問題の肢を確認する際に、原文も確認してみる、という程度でもやむを得ないかな、という印象です。
 また、「過去問を解けばいいから、肢別問題集は不要である。」という意見もあるでしょう。過去問を解くのは、基本書やテキストで勉強するよりは効率的です。しかし、設問ごとの正解・不正解ということになるので、肢ごとの緻密な知識のチェックがやりにくいのです。「それぞれの肢ごとにきちんと記録を残していけば、過去問を解く方法でもいいはずだ。」という意見もあるでしょうが、それなら最初から肢ごとに整理されたものを使った方が速いでしょう。なお、時間を測って本試験と同じ時間内に解く、という訓練は、予備校の模擬試験を何回か受ける程度で十分だろうと思います。現在の短答では複雑な論理問題は出題されないので、試験時間全体を設問の数で割った1問当たりの時間を把握しておけば、それほど時間配分で困ることはないからです。それから、「本試験は肢の組み合わせで解くことが前提だから、肢ごとにバラしてしまっては意味がない。」という意見もあります。これは、主として旧司法試験時代の合格者に多い意見です。確かに、旧司法試験時代は、肢の組み合わせで解くことが前提の出題がされていて、わざと正誤がわからない肢が入ったりしていました。また、刑法を中心として、複雑な論理問題が出題された関係で、時間を節約するテクニックとして、「すべての肢を見ないで早く正解する。」ということが必要だったのです。そういった理由があったので、当時としては、肢の組み合わせで解く訓練をした方がよい、という指導がされ、それは正しかったのです。しかし、現在では、民事系以外では肢の組み合わせで解ける形式ではなくなっていますし、民事系も、旧司法試験時代のような肢の組み合わせを前提にした出題は、あまりされていないように思います。また、複雑な論理問題も出題されなくなりましたから、「すべての肢を見ないで早く正解する。」というよりは、「すべての肢を確認してケアレスミスをなくす。」ことの方が重要になっています。ですので、現在では、肢ごとに正誤を判断する訓練をしておけば十分だろうと思います。
 そして、非常に多いのが、「肢別問題集のような安易な方法で力が付くはずがない。もっと本質を理解する勉強をするべきだ。」というもので、大学教授やローの教官だけでなく、予備校の講師でも、このようなことを言う人はいるようです。これは、具体的な根拠を欠く主張であって、考慮するに値しないことは明らかなのですが、意外とこのような言説に惑わされる受験生が多いことも事実です。このような言説に出会ったなら、その人が短答の出題形式や出題傾向をどの程度踏まえているか、その人の推奨する勉強法で得点が取れるメカニズムはどのようなものか、それは現実味があるか、というようなことを、考えてみるとよいでしょう。短答試験の肢は、本質に遡って考えると、○とも×ともいえる、というものが結構あります。本質に遡って一生懸命考える人は、○×を判断できず、無駄に迷うことになる。このような場合、「この肢は過去問で誤りの肢として出題されていたのだから、×だよね。」と素早く判断できる方が、はるかに楽に受かります。たとえ本質を理解していても、○×を短時間で正確に判断できなければ、短答には合格できない、ということを、肝に銘じておくべきでしょう。

4.予備試験の短答式試験は、法律科目だけでも7科目あります。肢別問題集を解きまくるという勉強法に特化したとしても、膨大な時間がかかります。ですから、できる限り、早い段階で着手する必要がある。来年の予備試験の受験を考えているのなら、今から着手しなければ間に合いません。短答は、時間を掛ければ、素直に得点に結び付きます。その時間をいかに確保するか、毎日の生活の中で、上手に時間を作っていけるかどうかということも、合否を分ける1つのポイントになるでしょう。

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新法相、夫婦別姓と同性婚は「家族のあり方の根幹に関わる」…死刑廃止は「適当ではない」
司法試験・予備試験 体系別短答式過去問集 (1) 憲法 2020年 (W(WASEDA)セミナー)
「命を守るという親として最低限度の行動を起こさなかった」検察が懲役11年を求刑した理由
「死にたい」と泣き崩れた船戸優里被告、最後の被告人質問
新・司法試験予備試験に独学合格する方法
報酬かさ上げ、検察も把握=事件化困難か-日産西川社長
諫干最高裁判決 国の責任で「農漁共存」
法学セミナー 2019年 10 月号
<諫早訴訟>差し戻し審で「和解の場を」 漁業者側弁護団が声明
「司法の信頼保たれた」=胸なで下ろす漁業者側―諫早訴訟
家族法改正を読む:親族・相続法改正のポイントとトレンド
諫干「争いいつまで」 漁業者「混迷、国の責任重い」
漁業者の開門請求権認める
多数当事者間契約の研究
「宝の海」めぐり地域分断…複雑な構図も 諫早、現場の素顔
諫早湾訴訟、司法判断の「ねじれ」とは(Q&A)
解説 民法(相続法)改正のポイント
翻弄された諫早干拓 最高裁審理差し戻し 「今回で解決したかった」開門反対営農者らさらなる長期化に落胆
<諫早訴訟>最高裁、開門確定判決の特殊性も指摘
論点体系 判例民法<第3版> 9 不法行為II
諫早湾干拓訴訟、最高裁が国勝訴の高裁判決破棄
「憤りが原動力」=避難者の告訴が一歩-東電強制起訴公判
論点体系 判例民法<第3版> 8 不法行為I
津波予見可能性、どう判断=旧経営陣、全面対決-東電公判19日判決・東京地裁
仲の悪い兄弟…相続相談にのる税理士に弁護士から一本の電話
抵当権「代位」の法構造―担保法学研究、その理論と実務
1000万円近い請求金額が…子の自死による賃貸物件の損害賠償
被害者保護の「当番弁護士制度」導入を  遺族ら支援の弁護士が提唱
離婚に伴う財産分与-裁判官の視点にみる分与の実務-
男性自認の受刑者に女性下着強制 刑務所に弁護士会勧告
「裁判長が検察に偏っていた」強盗事件弁護人が地裁提訴
【プロセス講義】民法2 物権 (プロセス講義民法シリーズ)
弁護士ドットコム、ウェブ完結型クラウド契約サービス「クラウドサイン」のサービスロゴを刷新
病院経営に常勤弁護士というパートナーを~ C&Rリーガル・エージェンシー社の「院内弁護士紹介」 ~
売買における買主の追完請求権の基礎づけと内容確定
冷めたおでんを警察官に投げつけた男を逮捕…もしも、「熱々」だったら?
人工知能弁護士時代=韓国
リーガルAIと弁護士がガチ対決 気になるその結果は?
評伝 法学博士 星野通先生 ある進歩的民法・民法典研究者の学者人生
【熱血弁護士・堀内恭彦の一筆両断】条例でヘイトスピーチに「罰則」
アメリカ初の自閉症を公言した弁護士 「違うことは特別なこと」
アガルートの司法試験・予備試験 総合講義1問1答 民法
米最高裁、難民抑制措置を支持=トランプ政権は歓迎
米最高裁、政権の難民申請制限を支持 訴訟中の実施認める
法廷は日本ムラの象徴だ! 元最高裁裁判官が語る日本人のタコツボ化
非占有動産担保の競合 (北九州市立大学法政叢書21)
法科大学院等特別委員会(第94回) 配付資料
司法修習ドットコム、司法修習生向け求人情報提供サービスを開始
行政法 第6版
令和元年司法試験合格発表の日時等について
【第73期司法修習予定者対象】合同就職説明会(10月12日)のご案内(大阪弁護士会)
2020年版 司法試験&予備試験 完全整理択一六法 民事訴訟法【逐条型テキスト】
トリエンナーレ政治家発言憲法学者はこう考えた
最高裁判所判事に就任した林氏が会見 「真相に迫った良い解決を導きたい」
2020年版 司法試験&予備試験 完全整理択一六法 刑事訴訟法【逐条型テキスト】
例大祭に公費支出 「政教分離 違反しない」 須坂市長が見解
民事裁判の審理、半年以内に 最高裁判所などの研究会が検討
予備試験短答過去問パーフェクト 令和元年 単年度版
中学教師から15歳で性被害、女性が控訴「子どもが受けた性暴力の特殊性に理解を」
高松市一家4人切りつけ事件 最高裁が上告棄却し男の実刑確定
司法試験短答過去問パーフェクト 令和元年 単年度版
「これ送れば捕まらない」ネットのデマ信じて逮捕 弁護士が検証
池袋母子死亡暴走事故 加害者はなぜ逮捕されないのか…逮捕の必要性とは
2020年版 司法試験&予備試験 完全整理択一六法 刑法【逐条型テキスト】
弁護士が失業? AIで法務が劇的に簡素化
企業法務弁護士が語る「ベンチャー企業へのカーブアウト」
~顧問弁護士への相談時間も繰り越せる時代~ “フレックス顧問契約” 
2020年版 司法試験&予備試験 完全整理択一六法 行政法【逐条型テキスト】
母親のむせび泣きが法廷に響いた。結愛ちゃん死の直前に夫が暴行「知らなかった」【目黒5歳児虐待死裁判・詳報①】
「体重が200g減ったら、チョコレートをこのくらい」異様な食事の実態【目黒5歳児虐待死裁判・母親への質問①】
母親「私と夫が結愛を追い込んだ」 結愛ちゃんノートの訴えに涙 目黒女児虐待死
2020年版 司法試験&予備試験 完全整理択一六法 憲法【逐条型テキスト】
宇都宮元日弁連会長「日本の企業は韓国最高裁の判決を受け入れるべき」
「N国党」新宿区議員の当選が取り消された理屈
個人情報保護法制
純粋な悪…19歳で一家4人を惨殺した男の「恐るべき素顔」と「誤算」
日本刀横領、会社代表の実刑確定へ
地方自治法 (Next教科書シリーズ)
坂本弁護士一家を慰霊 殺害30年、遺体発見現場で 
道弁連、総理演説ヤジ排除の根拠を道警に要求
行政法研究【第31号】
民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)
商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律案
民法の一部を改正する法律(債権法改正)について

刑事訴訟法等の一部を改正する法律について
法曹養成制度関係閣僚会議
法曹養成制度改革の推進について(PDF)
法曹養成制度改革推進会議
法曹養成制度改革顧問会議
平成31年司法試験予備試験の実施について
令和元年司法試験の結果について
司法試験考査委員の不適切行為に関する通報窓口

  【司法研修所教材・講義案・調査官解説等】
事件記録教材 法科大学院教材
調査官解説
事例で考える民事事実認定
プラクティス刑事裁判 平成30年版
プロシーディングス刑事裁判 平成30年版
検察講義案 平成27年版
新問題研究要件事実
紛争類型別の要件事実 民事訴訟における攻撃防御の構造 改訂
刑事第一審公判手続の概要
刑事判決書起案の手引
民事判決起案の手引
民事訴訟第一審手続の解説
情況証拠の観点から見た事実認定
民事訴訟における要件事実 第2巻
民事訴訟における要件事実 増補 第1巻
書記官研修講義案等