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2016年06月11日

平成28年予備試験短答式試験の結果について(2)

1.以下は、直近5年の科目別平均点の推移です。一般教養だけは60点満点ですから、比較のため、括弧内に30点満点に換算した数字を記載しました。

平成
24年
平成
25年
平成
26年
平成
27年
平成
28年
憲法 15.1 16.5 17.8 17.3 17.6
行政 12.5 14.2 12.7 15.6 14.8
民法 16.3 19.7 17.7 16.9 16.3
商法 14.7 12.1 15.0 13.7 12.0
民訴 16.9 17.0 16.2 14.7 15.6
刑法 16.6 17.0 14.1 16.9 17.5
刑訴 15.6 17.9 12.4 15.5 16.5
教養 27.2
(13.6)
25.2
(12.6)
31.5
(15.75)
28.1
(14.05)
24.3
(12.15)
合計 134.7 139.5 137.3 138.7 134.6

 全体の平均点は、平成25年から昨年まではやや高めの水準でしたが、今年は、平成24年のレベルまで難化しています。
 ただ、科目別にみると、平成24年とは難しさの質が異なることがわかります。平成24年は公法系が難しかった。それが、全体の平均点を押し下げていました。この平成24年は、司法試験の短答式でも公法系が極端に難しく、公法系の最低ライン未満者が受験者の11.3%にのぼった年として有名です。それと比較すると、今年は、公法系はそれほど難しくない難化したのは、一般教養です。直近5年でみると、最低の平均点となっています。これまでで最も一般教養の平均点が低かったのは、第1回予備試験である平成23年の23.2点で、これには及びませんが、今年は、かなり一般教養の難易度が高かった年であったといえるでしょう。昨年と比較すると、4点ほど一般教養の平均点が下がっていますが、それがほぼそのまま、全体平均点の下落幅に対応しています。ですから、今年の平均点の下落は、一般教養の難化だけでほぼ説明が付くといえるでしょう。それ以外の科目では、商法の平均点の低さが目に付きます。もっとも、商法が難しいのは、いつもの傾向です。今年はその程度が若干強かったということです。

2.今年の合格点は、165点でした。とはいえ、これは前回(「平成28年予備試験短答式試験の結果について(1)」)にみたとおり、170点の累計人員が2000人にわずかに届かなかったという偶然の事情によるものでした。今年の合格点が170点だったとしても、不思議ではなかったのです。その意味では、今年170点未満の点数で合格した人は、運が良かった。本来であれば、落ちていたかもしれない、という認識を持つべきでしょう。
 ですから、来年以降の戦略を考える場合には、今年と同じくらいの難易度でも、確実に170点以上を取れるようにする。そのための戦略を考えることになります。その戦略は、受験生の属性によって異なってきます。

3.まず、大学在学中に予備試験を受験しようとする人は、大学受験の記憶がまだ多少残っているので、一般教養はそれなりに取れる反面、法律科目の学習時間が足りないので、どうしても法律科目は点が取れない。ですから、戦略としては、法律科目を最低限取って、一般教養で逃げ切るという形になります。そのような戦略は、可能なのでしょうか。
 具体的に考えてみましょう。ある程度自信のある一般教養では7割、すなわち、42点が取れるという前提で考えます。そうすると、

 170−42=128点

となりますから、法律科目で128点を取ればよい。法律科目の満点は、

 30×7=210点

です。この満点210点に対する128点は、

 128÷210≒60.9%

すなわち、満点の6割強ということになる。一般教養で7割を確保できたとしても、法律科目で6割強を取る実力がないと、短答を突破することは難しいということになります。
 仮に、一般教養で8割、すなわち、48点が取れた場合はどうか。これを上記と同様に計算すると、

 (170−48)÷210≒58.0%

ということになります。一般教養で8割を取る自信があれば、法律科目は58%で良いとはいえ、これでも大体6割は取らないといけないということですから、その程度の実力はどうしても必要だ、ということにはなるでしょう。
 以上のことからわかることは、「一般教養で稼ぐ戦略をとるとしても、最低限、法律科目を6割取る力は必要だ」ということです。法律科目の点数を短期決戦で伸ばすには、肢別問題集が有効です。辰已法律研究所の肢別本が定番になっています。

肢別本〈1〉公法系憲法〈平成27年版〉
肢別本〈2〉公法系行政法〈平成27年版〉
肢別本〈3〉民事系民法1 総則/物権〈平成27年版〉
肢別本〈4〉民事系民法2 債権/親族/相続/要件事実〈平成27年版〉
肢別本〈5〉民事系商法〈平成27年版〉
肢別本〈6〉民事系民訴〈平成27年版〉
肢別本〈7〉刑事系刑法〈平成27年版〉
肢別本〈8〉刑事系刑訴〈平成27年版〉

  これを高速で何度も回す。司法試験と違って、予備は7科目ですから大変ですが、試験当日までにできる限り何度も解く。その際に注意すべきことは、「単に正誤を当てただけで正解扱いにしない」ということです。正しい肢であれば、それは条文なのか、判例なのか、学説なのか。誤った肢であれば、どの部分が誤っていて、それは正しくはどのような記述とすべきなのかそこまで解答できるようにする。そうしないと、同じことを訊いている肢なのに、少し文章が変わってしまうと解けない、ということになってしまうからです。これを、全肢一度は正解した、というレベルまで何とか回す。それだけでも、6割を確保することは十分可能でしょう。

4.他方で、かつての旧司法試験の受験者や、受験回数制限を使い切って敗者復活を目指す人は、むしろ法律科目は得意です。逆に、一般教養は自信がない今さら一般教養の学習をしても、効率が良いとはいえないでしょう。ですから、法律科目で高得点を取って、一般教養は実質0点でも受かってやろう、という戦略をとることになります。
 具体的に考えてみます。一般教養の実質0点とは、実は12点を意味します。一般教養の問題は、全て5肢択一式なので、デタラメに選んでも5分の1の確率で正解できる。ですから、60点満点の5分の1である12点は、実は何ら知識がなくても取れる計算になるのです。ですから、ここでは、一般教養で12点を取った、という前提で考えてみましょう。そうすると、合格点である170点から12点を差し引いた158点が、法律科目で取るべき点数ということになります。これは、法律科目210点満点との関係では、

 158÷210≒75.2%

ということになる。すなわち、法律科目を7割5分強取れる実力があれば、一般教養は実質0点でも合格できるのです。実際のところ、ある程度実力があれば、法律科目を8割取ることは十分可能だろうと思います。上記の肢別本を、全肢3回連続で確実に正解できるようにする。そこまで詰めておけば、かなり取れるようになるはずです。また、それでもやや肢の数が足りない、と感じたなら、以下の教材で補充することも考えてみるとよいでしょう。

伊藤真が選んだ短答式一問一答1000 憲法
伊藤真が選んだ短答式一問一答1000 行政法
伊藤真が選んだ短答式一問一答1000民法〈1〉総則・物権・親族・相続
伊藤真が選んだ短答式一問一答1000 民法〈2〉債権総論・債権各論
伊藤真が選んだ短答式一問一答1000 商法―2014年法改正対応版
伊藤真が選んだ短答式一問一答1000 民事訴訟法
伊藤真が選んだ短答式一問一答1000刑法
伊藤真が選んだ短答式一問一答1000 刑事訴訟法

 このように、一般教養が実質0点でも、十分合格を狙うことは可能です。そして、法律科目の短答知識を高めておけば、判例で処理した場合の「本筋」が見えやすくなりますから、論文でおかしな法律構成を採って論点落ちになる、というリスクを減らすことができます。その意味でも、短答で高得点を取る学習は、予備試験の論文、それから、司法試験の攻略にも、十分役に立つのです。
 なお、上記の試算では、一般教養を12点としましたが、実際には、全く知識がなくても取れる論理問題が、毎年2問程度出題されます。今年の問題で言えば、第10問、第11問です。これだけは、図を描くなどしながら時間をかけてじっくり解けば、確実に解けます。これで、6点を確保できる。また、実際には、何問かは「偶然知っていて解けた」というものがあるものです。ですから、実際には、上記試算よりも余裕があると考えておいてよいでしょう。

5.一番つらいのは、社会人になってから、法曹を目指して勉強を始めた人です。このタイプの人は、法律科目を学習する時間も不足しているし、一般教養も自信がない。試験問題をよく知らないと、「社会人なのだから、一般教養は有利だろう。」と誤解しがちですが、一般教養の試験問題は、単なる大学受験の知識を問うだけの問題です。ですから、大学受験から時間が経つと、それだけで不利になるのです。ビジネス実務マナー検定のように、ビジネスマナーなどを問う出題であれば、社会人にも有利になるのでしょうが、残念ながら、そのような出題は1問もありません。
 かといって、今から大学受験の学習をするわけにもいきません。一般教養は範囲が広く、投入した時間に見合う成果は期待できない。ですから、基本的な戦略は、上記4の旧試験組、敗者復活組と同じということになってしまいます。すなわち、一般教養は捨てて、ひたすら法律科目を高める具体的な勉強法としては、上記の肢別式問題集を解きまくる、ということです。
 社会人に有利な点があるとすれば、それは、「職を確保しているので時間的な切迫感がない」ということでしょう。数年くらいかける覚悟で、就寝前や休日にコツコツと肢別問題集を回して、知識を定着させていく。毎年受験していれば、仮に合格できなくても、自分がどのくらいの位置にいるかは確認できます。そうやって確実に前に進んでいけば、やがては合格レベルに達するでしょう。大事なことは、法曹を目指すと決めたなら、早い時点で上記の作業に着手するということです。「実力が付いてから」とか「一通り学習が終わってから」などとは考えないことです。短答で苦戦する人の多くは、この作業に着手するのが、あまりに遅過ぎます。

posted by studyweb5 at 19:32| 司法試験・予備試験短答式試験関係 | 更新情報をチェックする

2016年06月10日

平成28年予備試験短答式試験の結果について(1)

1.平成28年予備試験短答式試験の結果が公表されました。合格点は165点合格者数は2426人受験者合格率は、23.2%でした。

2.以下は、合格点、合格者数等の推移です。

受験者数 短答
合格者数
短答
合格率
短答
合格点
23 6477 1339 20.6% 165
24 7183 1711 23.8% 165
25 9224 2017 21.8% 170
26 10347 2018 19.5% 170
27 10334 2294 22.1% 170
28 10442 2426 23.2% 165

 平成26年以降、受験者数はほぼ横ばいなのに、短答合格者数がどんどん増えている。しかも、今年は合格点まで下がった。これだけをみると、「法務省は合格点を下げてまで合格者数を増やそうとしている。」ようにみえる。しかし、本当にそうなのでしょうか。

3.平成25年以降、予備試験の短答合格点は、あるルールに従って決定されています。それは、「5点刻みで最初に2000人を超えた得点が合格点となる」というルールです。当サイトでは、これを「2000人基準」と呼んできました(「平成27年予備試験短答式試験の結果について(1)」)。今年は、このルールが破られたのでしょうか。以下は、法務省の得点別人員から、合格点前後の人員をまとめたものです。

得点 人員 累計
人員
170 86 1997
169 91 2088
168 79 2167
167 97 2264
166 79 2343
165 83 2426

 従来の合格点だった170点の累計人員をみると、1997人。惜しい。しかし、「最初に2000人を超えた得点」に当たらない以上、170点は合格点とはなりません。そして、165点で累計人員が2426人となり、「5点刻みで最初に2000人を超えた得点」となります。だから、165点が合格点になった。それだけのことです。ですから、「法務省は合格点を下げてまで合格者数を増やそうとしている。」などということはありません。今回の合格者数だけをみて、「法務省は予備試験合格者数を増やそうとしている。その意図は〜。」などという解説が一部でなされるかもしれませんが、そのような解説には意味はありません。

4.現在のところ、予備試験の論文の合格点の決定基準についての当サイトの仮説は、

(1)210点に累計で400人以上存在しない場合は、210点が合格点となる。
(2)210点に累計で400人以上存在する場合は、5点刻みで初めて400人を超える点数が合格点となる。

というものです(「平成27年予備試験論文式試験の結果について(1)」)。これによれば、210点以上を取る人が何人いるかが重要になります。その際に気になるのは、昨年に司法試験と予備試験の双方で生じた、「特に理由のない論文の平均点の上昇」という現象です(「平成27年司法試験の結果について(3)」、「平成27年予備試験論文式試験の結果について(2)」)。この現象が生じた原因についての当サイトの仮説は、考査委員間で得点分布の目安を守ろうという申し合わせがあったのではないか、ということでした。これが正しいとすれば、その方針は、今年も引き続きとられることになるでしょうから、今年も高めの平均点になる。その結果、昨年と同様に、210点以上を取る人が400人を超える可能性が高いでしょう。その場合、上記の(2)の基準が適用されて、合格者数は、昨年同様に400人強になる。ただ、短答合格者数が多いので、論文の競争率という意味での難易度は、昨年より高めになるでしょう。

posted by studyweb5 at 12:39| 司法試験・予備試験短答式試験関係 | 更新情報をチェックする

2016年06月08日

平成28年司法試験短答式試験の結果について(4)

1.短答の論文に対する寄与度です。総合評価の際には、論文は、800分の1400、すなわち、1.75倍になって総合得点に加算されますが、短答の得点は、そのまま総合得点に加算される仕組みとなっています(「司法試験における採点及び成績評価等の実施方法・基準について」)。
 ですから、論文の1点は、総合評価では、短答の1.75点に相当します。また、総合評価段階での短答の満点は175点のままであるのに対し、論文の満点は1400点に増えることになりますから、総合評価段階での短答:論文の比重は、1:8ということになるのです。論文は、憲法、行政法、民法、商法、民訴法、刑法、刑訴法、選択科目の8科目。1:8という比重からすると、短答は9個目の科目という位置付けになると考えることもできるでしょう。そう考えると、意外と大きいという感じもしますが、選択科目と同じ比重と考えると、逆に小さいと感じるかもしれません。
  ただ、気を付けたいのは、短答は、論文と違って、高得点を取りやすいということです。論文で、満点の75%といえば、優秀の水準を意味します。これは、現実にはほとんど取ることができない点数です。これに対し、短答における満点の75%(131.25点)とは、今年の短答合格者平均点(133.2点)よりも低い点数です。しかも、論文には、得点調整がある。強制的に、標準偏差が各科目の配点率(現在は10に設定されている。)に抑えられてしまうのです。このような抑制機能が、短答にはない。その意味でも、短答は稼ぎやすいといえるのです。

2.ただし、短答で高得点を取っても、単純に総合評価でそれだけ有利になる、というわけではありません。短答合格点未満の点数の人は、総合評価段階では存在し得ないからです。今年で言えば、114点未満の人は、そもそも総合評価の段階では存在しない。ですから、例えば、短答で150点を取ったとしても、総合評価で150点有利になる、というわけではなく、150−114=36点有利になるというに過ぎません。しかも、それは短答ギリギリ合格の人と比べて、という話です。短答合格者平均の133.2点の人と比べると、150点を取っても、150− 133.2=16.8点しか有利にならないのです。

3.「短答で差を付けて有利になる」ということの具体的な意味は、「論文での不利を短答で挽回できる」ということです。したがって、確認すべきことは、「短答で何点くらいを取れば、論文で何点くらいの不利を挽回できるのか」ということになります。論文の1点は、短答の1.75点に相当しますから、これは単純な割り算で算出できます。短答でどのくらいの水準の得点を取れば、短答ギリギリ合格の人(114点)や、短答合格者平均点の人(133.2点)に対して、論文で何点分の不利を挽回できるのか。以下の表は、これをまとめたものです。

短答の
水準
得点 最下位(114点)
との論文での
得点差
短答合格者平均
(133.2点)との
論文での得点差
トップ 167 30.2 19.3
100番 157 24.5 13.6
500番 148 19.4 8.4
1000番 143 16.5 5.6
短答合格者
平均
133.2 10.9 ---

 短答でトップを取ると、短答ギリギリ合格の人に論文で30点差を付けられても、追いつくことが可能です。論文の30点というのは、どの程度なのでしょうか。昨年の論文の合格ラインは、400点でした(「平成27年司法試験の結果について(4)」)。論文は8科目ありますから、1科目当たりにすると、50点ということになります。そう考えると、30点というのは、かなり大きいという感じもします。もっとも、1科目当たりにすると、30÷8=3.75点に過ぎません。しかも、これは、トップと最下位を比べた場合です。短答で生じ得る差というのは、最大でもこの程度なのです。そもそも、短答でトップを取るような人が、短答ギリギリ合格の人に対して論文で挽回しなければならないという状況自体、ほとんど生じないでしょう。そこで、短答合格者平均と比較すると、19.3点しか有利になりません。これは、論文1科目当たり19.3÷8≒2.4点の差でしかありません。確かに、論文では1科目の標準偏差が10(現在の配点率)に抑えられてしまうために、1点の差はそれなりに大きいとはいえ、「短答でトップを取ってもこの程度なのか」という感じがします。
 このことからわかることは、「短答でぶっちぎりの点数を取って逃げ切る」という戦略は取り得ない、ということです。それよりも、「いかにして安定して論文で合格点を取るか」という方法論を考えるべきである。そしてそれは、わかってしまえば比較的容易なことなのです。当サイトで繰り返し説明しているとおり、「基本論点に関する規範を明示し、問題文を丁寧に引用して当てはめる」というスタイルで、最後まで書き切れるようにしさえすればよいのです。逆に言えば、それができない限り、短答がどんなに得意でも、論文で「受かりにくい人」になってしまう。このことは、受験回数別の合格率をみればわかることです。受験回数が増えると、短答はどんどん受かりやすくなりますが、論文はどんどん受かりにくくなるのです(「平成27年司法試験の結果について(12)」)。

4.とはいえ、短答をあまりに軽視すると、短答で不合格になってしまいます。短答に合格できないレベルの知識では、さすがに論文も解けません。基本的な法律構成を誤ってしまい、基本論点の抽出ができなくなるからです。ですから、短答で安定して合格レベルが取れるようになるまでは、短答の勉強を優先すべきです。短答合格レベルの知識は、論文の前提知識でもあるということです。
 短答で不合格になってしまった人は、単純に勉強不足です。短答は、単純に勉強量を増やせば、受かりやすくなる。ただ、そうは言っても、漫然と基本書を眺めているだけでは、なかなか肢の正誤を判断できるようにはなりません。短答で点を取るための効率的な勉強法は、ほぼ確定しています。過去問ベースの肢別問題集を解く、ということです。辰巳法律研究所が出版している肢別本が定番です。

肢別本〈1〉公法系憲法〈平成27年版〉
肢別本〈3〉民事系民法1 総則/物権〈平成27年版〉
肢別本〈4〉民事系民法2 債権/親族/相続/要件事実〈平成27年版〉
肢別本〈7〉刑事系刑法〈平成27年版〉

 上記の肢別本の全部の肢を3回連続で正解できるまで、何度も解く。既に正解できた肢は飛ばして、間違えた肢に集中して何度も解いていくと、効率がよいでしょう。その際に注意すべきことは、「単に正誤を当てただけで正解扱いにしない」ということです。正しい肢であれば、それは条文なのか、判例なのか、学説なのか。誤った肢であれば、どの部分が誤っていて、それは正しくはどういう記述とすべきなのか。そこまで解答できて、初めて正解扱いにする。その上で、全肢を3回連続正解まで何度も繰り返す。これをやれば、合格レベルにはすぐ到達します。この作業は、できる限り早い段階でクリアしたいところです。これをクリアして初めて、本格的な論文の学習に入れるのだ、という意識を持って、初学者の段階から早めに着手するようにしましょう。短答が苦手な人は、この作業に入るのが遅過ぎるように思います。
 なぜ、過去問ベースの肢別本を何度も解くのが有効かといえば、それは、同じような肢が何度も出るからです。過去問の肢を正確に切れるようになっていれば、大体合格ラインに達するようになっています。後は、予備校等の模試を利用して、そこで解けなかった肢、自信のなかった肢をストックする。問題文と解説を切り取るなどしてノートに貼り付けておき、オリジナルの肢別本のようにしてもよいでしょう。模試で出た肢も全肢切れるようになっておけば、かなり取れるようになるはずです。

posted by studyweb5 at 17:06| 司法試験・予備試験短答式試験関係 | 更新情報をチェックする

2016年06月07日

平成28年司法試験短答式試験の結果について(3)

1.科目別の平均点、最低ライン未満者の状況をみてみましょう。以下は、直近5年間の科目別の平均点及び最低ライン未満者割合の推移です。昨年から3科目となったので、昨年と今年に関しては、公法は憲法、民事は民法、刑事は刑法を示します。また、平均点の括弧内には、平成26年以前との比較のため、倍にした数字を示しました。

公法系
平均点
民事系
平均点
刑事系
平均点
公法系
最低ライン
未満割合
民事系
最低ライン
未満割合
刑事系
最低ライン
未満割合
24 54.8 97.6 72.0 11.3% 3.2% 1.3%
25 65.1 104.8 63.1 2.9% 1.4% 5.2%
26 61.0 99.8 57.9 3.9% 3.9% 9.0%
27 32.8
(65.6)
51.6
(103.2)
36.3
(72.6)
2.3% 4.1% 4.3%
28 34.3
(68.6)
49.5
(99.0)
36.2
(72.4)
2.3% 6.1% 4.6%

 前回の記事(「平成28年司法試験短答式試験の結果について(2)」)でみたとおり、3科目合計の平均点は、昨年とほとんど変わっていません。科目別にみると、刑法はほぼ昨年と同じ。憲法はやや易しく、民法がやや難化したといえますが、概ね昨年と同様といえるでしょう。
 7科目時代の短答は、年ごとに難易度が大きくブレる傾向にありました。例えば、平成24年は、公法が極端に難しかった。この年は、受験者の1割以上が、公法で最低ライン未満となってしまったのです。平成26年は、刑事系が難しかった。それと比べると、憲民刑の3科目になってからは、今のところ難易度が安定しているといえるでしょう。ただ、今後もその傾向が続くかどうかはわかりません。

2.気になるのは、最低ライン未満者です。今年は、昨年と比べて、民法の最低ライン未満者の割合が2%増加しています。実数でいえば、昨年の民法の最低ライン未満者は336人。今年は、423人と、87人の増加です。確かに、今年は、昨年に比べて民法は平均点が2点程度下がっています。とはいえ、それにしては最低ライン未満者の増加幅が大きい。過去の数字と比較しても、同じくらいの平均点だった平成26年の1.5倍近い割合です。また、刑法は、昨年と最低ライン未満者割合はほとんど変わっていませんが、同じくらいの平均点だった平成24年と比べると、3倍以上の割合になっていることがわかります。

3.常識的に考えると、平均点と最低ライン未満者の数には相関があるはずです。平均点の低い科目は、問題が難しかったということですから、最低ライン未満者も増える。これが、普通の感覚でしょう。しかし、3科目になってからの短答の結果をみると、それでは説明がつかない。それは、憲法と刑法の平均点と、最低ライン未満者割合を見るとわかります。昨年と今年のいずれも、憲法の方が、刑法より平均点は低いのです。しかし、最低ライン未満者は、刑法の方が、憲法より倍近く多い。これは、どういうことなのか。昨年の記事(「平成27年司法試験短答式試験の結果について(3)」)では、その原因は、得点分布の二極化にあるとされています。これは、今年にも当てはまることなのでしょうか。
 以下は、法務省の公表した得点別人員調を、より大掴みなものに集計し直したものです。括弧内は、受験者数に対する割合を示しています。赤く着色された枠は、最低ライン未満に該当する部分です。民法・刑法との比較のため、今年の民法に近い平均点だった平成26年民事系、今年の刑法に近い平均点だった平成24年刑事系のものも掲載しました。

憲法 民法 刑法
得点 人員 得点 人員 得点 人員
40〜50 1662
(24.0%)
60〜75 1374
(19.9%)
40〜50 2787
(40.3%)
30〜39 3730
(54.0%)
45〜59 3401
(49.2%)
30〜39 2744
(39.7%)
20〜29 1292
(18.7%)
30〜44 1648
(23.8%)
20〜29 991
(14.3%)
10〜19 161
(2.3%)
15〜29 413
(5.9%)
10〜19 306
(4.4%)
0〜9
(0.01%)
0〜14 10
(0.1%)
0〜9 18
(0.2%)

 

平成26年民事系 平成24年刑事系
得点 人員 得点 人員
120〜150 1276
(15.9%)
80〜100 2560
(30.5%)
90〜119 4507
(56.2%)
60〜79 4408
(52.5%)
60〜89 1871
(23.3%)
40〜59 1249
(14.8%)
30〜59 314
(3.9%)
20〜39 114
(1.3%)
0〜29
(0.02%)
0〜19
(0.01%)

 まず、民法をみてみます。平成26年民事では、上から2番目の枠には56.2%がいたわけですが、今年の民法では、その割合が7%減っています。この層がどこに移動しているかといえば、一番上の枠に4%が移動し、残りの3%が、概ね下から2番目の最低ライン未満者の方に移っている。また、今年は一番下の枠に10人もいる、というのも、見逃せない事実です。
 次に、刑法をみてみましょう。平成24年刑事では、上から2番目の枠には52.5%がいたわけですが、今年の刑法では、その割合が13%ほど減っています。この層がどこに移動しているかといえば、一番上の枠に10%が移動し、残りの3%が、概ね下から2番目の最低ライン未満者の方に移っている。また、今年は一番下の枠に18人もいる、というのも、見逃せません。
 このように、平均点は同水準でも、得点分布が上下に二極化したために、最低ライン未満者の割合が増加したのです。昨年は、この現象が刑法だけに顕著に現れていましたが、今年は、それが民法にも拡大してきたということです。

4.なぜ、このような現象が生じるのか。昨年の記事(「平成27年司法試験短答式試験の結果について(3)」)では、憲法と刑法の問題の特性に原因があるのではないか、という考え方をしていました。しかし、今年のように民法にまでこの傾向が拡大してくると、なかなかそれだけでは説明が難しいように思います。
 昨年・今年に共通している平成26年以前からの根本的な変化として、短答3科目化と受験回数制限の緩和の2つがあります。昨年は、前者の変化に着目して考えていたのですが、むしろ、後者の方が、より得点分布にダイレクトに影響する要素であるように思います。
 受験回数制限が緩和されると、受控えが減少する。それは何を意味するか。ここで考えるべきは、これまで受控えをしてきたような人は、どのような人なのか、ということです。これは、多くの場合、「短答すら突破できない人」です。短答で不合格になってしまえば、論文は採点すらされませんから、あまりにも無駄が大きい。しかも、短答は、論文と違って、自分の実力が比較的容易にわかります。ですから、せめて短答くらいは確実に突破できるようになってから、受験しよう。そう思うのが普通だからです。さて、そうなると、今まで受控えをしていた人が受験するようになったことは、何を意味するか。それは、「とても短答を突破できない人達が増える」ことを意味します。それは、下位層の増加を意味する。これで、下位層の増加の理由はわかりました。
 では、上位層の増加の理由は何か。これも、受験回数制限の緩和によって説明できます。すなわち、受験回数4回目以降の受験生の参入です。短答は、勉強量がダイレクトに結果に影響しますから、受験回数の多い受験生は、短答が得意です。このことは、平成26年以前からの得点分布の変化において、何を意味するか。「短答が異常に得意な人が増える」ことを意味します。それは、上位層の増加を意味する。これで、上位層の増加の理由もわかりました。

5.わかってしまえば、「当たり前過ぎてつまらない」という感じもします。ただ、このようなことは、言われてみないと意外とわからない。また、理屈でそうなるはずだ、ということと、現実の統計データがそうなっている、ということとは、意味合いが違います。昨年、そして今年の結果から、受験回数制限の緩和による下位層及び上位層の増加という影響が、憲法についてはあまり現れていないが、民法、刑法では顕著になってきていることがわかった。今後は、二極化の傾向が来年以降も続くのか、憲法にも二極化の影響が及ぶのか、という点に注目する必要があります。

posted by studyweb5 at 00:48| 司法試験・予備試験短答式試験関係 | 更新情報をチェックする

2016年06月05日

平成28年司法試験短答式試験の結果について(2)

1.以下は、過去の司法試験における短答式試験の合格点等の推移です。昨年から試験科目が3科目となり、満点が以前の350点の半分(175点)になっていますので、比較のため、括弧内に倍にした数字を記載しています。

合格点 平均点 合格点と
平均点の差
受験者数 合格者数 受験者
合格率
18 210 232.9 22.9 2091 1684 80.5%
19 210 231.7 21.7 4607 3479 75.5%
20 230 250.7 20.7 6261 4654 74.3%
21 215 228.1 13.1 7392 5055 68.3%
22 215 230.8 15.8 8163 5773 70.7%
23 210 219.2 9.2 8765 5654 64.5%
24 215 224.5 9.5 8387 5339 63.6%
25 220 233.0 13.0 7653 5259 68.7%
26 210 218.7 8.7 8015 5080 63.3%
27 114
(228)
120.7
(241.4)
6.7
(13.4)
8016 5308 66.2%
28 114
(228)
120.0
(240.0)
6.0
(12.0)
6899 4621 66.9%

 

 まず、平均点をみると、昨年とほぼ同じ数字です。全体的な問題の難易度は、昨年とほとんど変わらなかった。過去の平均点と比較すると、平成20年以来の高さです。3科目になって、点が取りやすくなったように見えます。
 合格点は前回みたとおり、昨年と同じ平均点がほとんど変わらなかったことからしても、これが穏当な数字であることがわかります。7科目時代と比較すると、平成20年以来の高さということになります。平均点が高くなったが、合格点も上がっている。3科目になって点が取りやすくなったからといって、それがそのまま受かりやすさに繋がっているわけではないということです。もっとも、合格点と平均点の差は、過去5年でみると、昨年と平成25年に次いで大きくなっています。このことは、平均点の上昇幅ほど、合格点は上がっていないことを意味する。すなわち、点が取りやすくなった分がそのまま受かりやすさに繋がっているわけではないけれども、それでも、7科目時代の平成23年、24年、26年と比べれば、数字の上では楽になっている普通に点を取れば、危なげなく合格できたことを意味しているように見えます。受験者合格率も、直近5年でみると、昨年をわずかに上回り、平成25年に次いで高い数字となっています。

2.ただ、上記のことは、実は見かけの数字から単純に読み取った場合の理解に過ぎません。平成26年までの数字と単純に比較することは、適切とはいえないのです。それは科目数が違う、ということではなく、3回目の受験生までしか参戦していない、という点で、大きな違いがあるからです。当サイトで繰り返し説明しているとおり、短答は、単純に勉強量を増やせば、点が取れるようになります。受験回数が1回増えると、1年余分に勉強できますから、勉強量が増える。そのために、受験回数が増えると、短答合格率は上昇する。これは、過去のデータから明らかな確立した傾向です。したがって、4回目、5回目の受験生が参戦すると、実際の難易度がそれほど変わらなくても、全体の合格点、平均点、短答合格率を押し上げるのです。ですから、平成26年以前の数字と比較するためには、この4回目、5回目受験生の参入の影響を除去しなければならないというわけです。

3.実際のところ、4回目、5回目受験生の参入は、どの程度の影響があるのでしょうか。昨年の今頃、当サイトでは、昨年から参入した4回目受験生の参入の影響を試算していました。試算のためには、4回目受験生の短答合格率を考える必要があるのですが、その時点では4回目受験生の短答合格率は不明でした。そこで、4回目受験生の短答合格率を、80%と仮定したのです。当時の記事では、「4回目受験生の短答合格率が8割というのは、さすがにちょっと高すぎるという感じもします」とされています(「平成27年司法試験短答式試験の結果について(2)」)。当時の筆者の感触としては、「いくら4回目受験生が短答に強いと言っても、8割はさすがにないだろう」という感じだったのです。
 ところが、実際に公表されたデータを見てみると、4回目受験生の短答合格率は、なんと81.09%でした(「平成27年司法試験の結果について(12)」)。3回目受験生が64.03%ですから、圧倒的な強さです。「4回目受験生は短答に強い」とわかっていた筆者でさえ、「さすがに8割はない」と思っていたのに、さらにそれを超える合格率だったわけですね。とはいえ、概ね8割で当たっていたともいえるでしょう。そこで、今回も、4回目、5回目受験生の短答合格率は、80%と仮定して考えてみたいと思います(※)。

 ※ 厳密には、5回目受験生はさらに合格率が高くなるかもしれませんが、さすがに8割を大きく超えるのは難しいのではないか、ということと、5回目受験生の人数が少ない(314人)ということもあり、計算を簡単にするために、ここでは4回目受験生と同じ合格率として考えます。

 

4.さて、今年は、受験予定者の段階で、4回目受験生が1031人、5回目受験生が314人でした。この受験予定者の何割が実際に受験したのか。昨年の4回目受験生の受験率は、90.8%でした。ここでは、4回目、5回目の受験生のいずれも9割が実際に受験したと仮定しましょう。4回目、5回目の受験予定者の合計1345人の9割は、

 1345×0.9≒1210人

ということになります。そして、このうちの8割が短答に合格したとすると、

 1210×0.8=968人

が4回目、5回目の合格者数ということになる。今年の合格者数は、全体で4621人ですから、上記968人を差し引いた3653人が、1回目から3回目までの受験生の合格者数だということになります。これを、全体の受験者数6899人から上記4回目、5回目受験生の受験者数の推計値である1210人を差し引いた5689人で割ると、

 3653÷5689≒64.2%

となって、これが、4回目、5回目の受験生の参入の影響を差し引いた1回目から3回目までの受験生の短答合格率の推計値ということになります。全体の合格率66.9%と比べると、2.7%下がっていますこれが、4回目、5回目の受験生の参入による影響です。

5.2.7%を大きいと見るか、小さいと見るか。それは、人によって感じ方は違うでしょう。いずれにせよ、平成26年以前の数字と比較するときは、単純に全体の合格率で比較するだけでなく、上記の4回目、5回目の受験生の参入の影響を除いた実質的な難易度の変化も見る必要があるのです。その観点から見ると、64.2%という数字は、直近でみると、平成24年、平成26年よりは高いが、平成25年よりは低く、平成23年に近い数字だということができるでしょう。実質的な難易度としては、その程度のものであった、ということができます。その意味では、3科目になっても、必ずしも「短答が易しくなった」とはいえないということです。

posted by studyweb5 at 19:33| 司法試験・予備試験短答式試験関係 | 更新情報をチェックする

2016年06月04日

平成28年司法試験短答式試験の結果について(1)

1.平成28年司法試験短答式試験の結果が公表されました合格点は、昨年と同じ114点でした。

2.従来、短答式試験は7科目350点満点で、その6割である210点が下限の合格点。それで合格者数が多すぎるようなら、5点刻みで上方修正する。これが、7科目時代の合格点の決まり方でした。
 昨年から、短答式試験の試験科目は憲民刑の3科目175点満点になりました。3科目になった場合、合格点はどのように決まるのか。当サイトの仮説は、満点(175点)の6割5分である113.75の小数点を切り上げた114点が基本的な合格点。それで合格者数が多すぎたり、少なすぎたりするようなら微修正する、というものです(「平成27年司法試験短答式試験の結果について(1)」)。

3.上記の仮説によれば、今年の合格点は、基本的な合格点である114点で合格者数が多すぎたり、少なすぎたりしなかったので、そのまま114点が合格点になった、という理解になります。実際の合格者数等の数字を見てみましょう。以下は、直近5年の受験者数、短答合格者数、短答合格者数ベースの受験者合格率の推移です。

受験者数 合格者数 受験者
合格率
24 8387 5339 63.6%
25 7653 5259 68.7%
26 8015 5080 63.3%
27 8016 5308 66.2%
28 6899 4621 66.9%

 合格者数は、昨年よりかなり減っているようにも見えますが、これは受験者数の減少に見合った程度のものです。そのことは、受験者合格率が昨年とほぼ同じ、むしろわずかに上昇していることからもわかります。
 今年の出願者数が確定した時点で、当サイトでは、受験者数、合格者数の一応の試算をしていました(「今年の出願者数からわかること」)。それによれば、受験者数は6725人、合格者数は4371人でした。それと比べると、実際の数字は、試算よりも受験者数が174人多く、合格者数は250人多かった。これは、想定よりも受験率及び受験者合格率がやや高かったことによります。とはいえ、事前に想定した数字と、それほど大きく違わないともいえるでしょう。法務省としても、この程度の数字なら、別段多すぎて困るという感じではなかっただから、基本的な合格点である114点をそのまま維持した。今年の合格点は、そのような思考過程によって決定されたのだろう、と理解できます。

posted by studyweb5 at 19:22| 司法試験・予備試験短答式試験関係 | 更新情報をチェックする

2015年06月12日

平成27年予備試験短答式試験の結果について(2)

1.科目別の状況をみてみましょう。以下は、科目別平均点の推移です。一般教養だけは60点満点ですから、比較のため、括弧内に30点満点に換算した数字を記載しました。

平成
23年
平成
24年
平成
25年
平成
26年
平成
27年
憲法 15.8 15.1 16.5 17.8 17.3
行政 12.2 12.5 14.2 12.7 15.6
民法 19.2 16.3 19.7 17.7 16.9
商法 12.9 14.7 12.1 15.0 13.7
民訴 14.7 16.9 17.0 16.2 14.7
刑法 18.6 16.6 17.0 14.1 16.9
刑訴 14.0 15.6 17.9 12.4 15.5
教養 23.2
(11.6)
27.2
(13.6)
25.2
(12.6)
31.5
(15.75)
28.1
(14.05)
合計 130.7 134.7 139.5 137.3 138.7

 全体的にみると、公法2科目はやや易しめ民事3科目はやや難しめ刑事2科目は普通一般教養は昨年ほどではないが、やや易しめ、といったところでしょう。
 平均点が低くなり易いのは、行政法、商法、刑訴、一般教養の4科目です。今年は、商法以外はそれほど難しくなかった。そのことが、全体の平均点をやや高めの数字にしています。
 他方、従来、高めの点数になり易かったのは民法ですが、今年はやや得点を落としています。これは、司法試験の短答が3科目となり、民法で細かい知識が問われたことが影響しているのでしょう。共通問題だけでなく、独自問題もその傾向の影響を受け、やや難しくなっているという印象です。

2.一般教養で平均点の28点を取った場合、合格するにはその他の法律科目で142点を取る必要があります。1科目当たりにすると、おおよそ各科目20点、すなわち、3分の2(66%)を取る必要がある安定して短答をクリアするには、普段の学習で、法律科目は安定して7割を取れるようにしておくことが必要だといえます。
 逆に、法律科目を8割取れる自信のある人は、一般教養をどの程度取る必要があるのでしょうか。法律科目7科目を8割取ると、24×7=168点となります。あと2点。一般教養は、全問題が5択ですから、デタラメに選んでも5分の1、すなわち、12点は取れます。ですから、法律科目を8割取れる人は、一般教養は真面目に解く必要がないのです。
 では、法律科目が6割だとどうか。法律科目7科目を6割取ると、18×7=126点です。そうなると、一般教養で44点を取る必要がある。これは、満点(60点)の約73%です。一般教養によほど自信のある人はともかく、そうでない人は、やはり法律科目6割では厳しいといえるでしょう。
 なお、今年の司法試験の短答の合格点は114点で、満点(175点)の約65%に当たります。予備で法律科目65%だと、おおよそ136点になりますから、一般教養で34点を取る必要がある。これは、一般教養で逃げ切るイメージです。このように、司法試験の短答合格レベルは、予備よりも要求水準がやや低いのです。しかも、司法試験の短答は今年から3科目でした。司法試験を受験する資格を獲得するための予備試験の短答は、本体の司法試験より厳しいものとなっています。このことからすれば、予備組が司法試験の短答を楽々とクリアするのは、当然といえるでしょう。

3.短答をクリアした人は、7月の論文が待っています。論文合格者数が、気になるところでしょう。しかし、今のところ、論文合格者数の数は、一応の水準の下限をクリアした人が何人いるかによって決まっています平成26年予備試験論文式試験の結果について(1)平成25年予備試験論文式試験の結果について(3))。ですから、合格者数が何人かを気にするよりも、自分が一応の水準の下限を確実にクリアすることを考えるべきです。
 事例処理型の問題であれば、基本論点を拾い、正確に規範を示し、問題文からどの事実が規範に当てはまるのかをきちんと示していれば、ほぼ確実に一応の水準の下限はクリアできます判例分析型であれば、まず、参照判例の見解を確認する。憲法の統治や民訴などで制度の例外が問われている場合には、制度趣旨から原則論をまず確認する。こういった基本形を守った上で、なお余裕があるときには、本質からの論述や、事実の評価を加えていけばよいのです。優秀・良好を狙おうとするあまり、上記の基本形を崩してしまうことのないよう、注意すべきでしょう。
 また、事実をきちんと答案に摘示するためには、十分な時間が必要です。その時間を確保するためには、あまり答案構成に時間を割くことはできません。個人差はありますが、答案構成は長くても15分程度で切り上げたいところです。普段の演習で、最後まで書き切る訓練をする必要があるでしょう。

posted by studyweb5 at 22:59| 司法試験・予備試験短答式試験関係 | 更新情報をチェックする

2015年06月11日

平成27年予備試験短答式試験の結果について(1)

1.平成27年予備試験短答式試験の結果が公表されました。合格点は170点合格者数は2294人受験者合格率は、22.1%でした。

2.目に付くのは、合格者数が多いな、ということです。以下は、合格点、合格者数等の推移です。

受験者数 短答
合格者数
短答
合格率
短答
合格点
23 6477 1339 20.6% 165
24 7183 1711 23.8% 165
25 9224 2017 21.8% 170
26 10347 2018 19.5% 170
27 10334 2294 22.1% 170

 過去2年は、合格者数はほぼ2000人で推移していました。当サイトでは、これを「2000人基準」と呼んでいます(※)。しかし、今年はこれより200人以上も多い。特に、今年は予備試験史上初めて、受験者数の増加が止まり、わずかですが減少に転じた年でした。それなのに、短答合格者数は増えている。これは、どういうことなのでしょうか。

※ 「平成26年予備試験短答式の結果について(1)」参照。かつては、「2000人基準」は、司法試験の合格者数にも適用された基準でした(平成25年司法試験の結果について(2))。しかし、昨年は、これが破られています(平成26年司法試験の結果について(1))。

 

3.これまで、当サイトが「2000人基準」と呼んでいたのは、「5点刻みで最初に2000人を超えた得点が合格点となる」というルールです。今年は、これが破られているのか。法務省の得点別人員から、合格点前後の人員をまとめたのが、以下の表です。

得点 人員 累計
人員
175 73 1892
174 98 1990
173 76 2066
172 79 2145
171 66 2211
170 83 2294
169 76 2370
168 92 2462
167 72 2534
166 88 2622
165 88 2710

 1点刻みでみると、2000人を初めて超えるのは173点ですから、173点が合格点になるのでしょう。しかし、キリのよい5点刻みでみてみると、175点では、まだ2000人を超えていません。初めて2000人を超えるのが、170点だったのです。ですから、今年も、「2000人基準」は維持されていた、ということができます。

4.以上のように、今年の合格者数が昨年より200人以上増えたのは、司法試験委員会が意図的に合格者数を増やそうとしたというよりは、従来どおりの基準を適用すると、たまたまこの数字になった、というように考える方が妥当でしょう。ですから、短答合格者が増えたから、論文合格者も増えるのでは、という期待は、持たない方がよさそうです。
 3年連続で2000人という人数を基準にしても、合格点が170点で動かない。これは、一般教養も含めた8科目について、全体の難易度にほとんどブレがないということを意味しています。その意味では、法務省の作問は見事です。

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