2017年05月01日

平成29年司法試験の受験予定者数について

1.法務省から、平成29年司法試験の受験予定者数が公表されています。受験予定者数は6624人で、出願者数の6716人よりも92人減っています。出願したものの、法科大学院を修了できなかった人が、92人いたということです。その他、出願者数公表時には含まれていなかった情報について、簡単にみていきましょう。

2.まず、受験回数別の受験予定者数です。以下は、直近5年の受験回数別受験者数の受験予定者数全体に占める割合の推移です。

  1回目 2回目 3回目 4回目 5回目
平成25 43.6% 33.2% 23.0% --- ---
平成26 43.5% 32.2% 24.1% --- ---
平成27 35.0% 29.4% 24.2% 11.3% ---
平成28 34.9% 25.0% 22.4% 13.4% 4.1%
平成29 34.2% 24.3% 19.3% 15.6% 6.4%

 4回目、5回目の受験生が、初めて全体の2割を超えてきました。4回目、5回目の受験生は、短答に強いことがわかっています(「平成28年司法試験の結果について(16)」)。短答合格者数の枠のうち、一定数は、4回目、5回目の受験生が取っていくということです。特に、初回の受験生は、短答を甘くみていると、思わぬ結果になりかねないので、注意すべきでしょう。

3.受験回数別の受験予定者数から、わかることがあります。それは、昨年の受験予定者で合格しなかったもののうちの、何割が今年も受験しようとしているか。すなわち、どのくらいの割合が再受験したかという、「再受験率」です。具体的には、昨年の受験回数別受験予定者数から受験回数別合格者数を差し引いて得た数字を今年の受験回数別受験予定者数で除した数字を「再受験率」として算出します。これをまとめたものが、下の表です。厳密には、昨年の受験予定者で合格しなかったものの中には、受控えをした者が含まれていますが、ここでは便宜上、「昨年の不合格者」と表記しています。

今年の
受験回数
昨年の
不合格者
今年の
受験予定者
再受験率
2回目 1723 1611 93.4%
3回目 1543 1280 82.9%
4回目 1484 1035 69.7%
5回目 894 429 47.9%

 受験回数が増えると、再受験率が低下しています。一度不合格になった程度では諦めないが、不合格の回数が重なってくると、撤退を考える人の割合が増えてくる。自然なことといえるでしょう。ただ、5回目の再受験率がここまで低いのは、やや意外な感じもします。4回目まで受験したのであれば、最後まで受験してみたい、と思う方が、自然なようにも思えるからです。5回目の再受験率の低さの要因の1つには、論文試験特有の、「受かりにくい人は、何度受けても受からない」法則があるのでしょう。論文は、勉強量を増やしただけでは成績が上がりませんから、2回、3回、4回と受験しても、論文の成績はなかなか上がらない、むしろ、下がってしまうことも普通です。そのため、「もう受かる気がしない。」と考えて、5回目の受験を諦める人が多いのかもしれません。

4.それから、法科大学院在学中の予備試験合格者について、少しみておきましょう。法科大学院在学中の予備試験合格者で、出願段階で法科大学院を修了する見込みのものは、予備試験の資格で受験するか、法科大学院を修了した場合は法科大学院修了の資格で受験するかを、願書記入の段階で選ぶことができます。

 

(「平成29年司法試験 受験願書の記⼊要領」より引用)

 法科大学院課程修了と司法試験予備試験合格の両方の受験資格を取得している場合は,いずれの受験資格に基づいて出願するか(「1」,「2」又は「3」)を選択し記入します。

(引用終わり)

 

 今年の出願者数公表の段階では、「司法試験予備試験合格の資格に基づいて受験する者」が408人「法科大学院課程修了見込者で、同課程修了の資格に基づいて受験するが、同課程を修了できなかったときは司法試験予備試験合格の資格に基づいて受験する者」は138人でした。それが、受験予定者数公表の段階では、「司法試験予備試験合格の資格に基づいて受験する者」は、410人になっています。これは、出願段階で、「法科大学院課程修了見込者で、同課程修了の資格に基づいて受験するが、同課程を修了できなかったときは司法試験予備試験合格の資格に基づいて受験する者」であった138人のうち、2人が法科大学院を修了しなかったことを意味しています。逆にいえば、残りの136人は、法科大学院を修了したので、「法科大学院課程修了の資格に基づいて受験する者」の方にカウントされている、ということになります。
 このように、法科大学院在学中の予備試験合格者については、受験者の任意の選択によって、法科大学院修了者としてカウントされたり、予備試験合格者としてカウントされたりするのです。そのために、法科大学院在学中の予備試験合格者に関する情報が、統計情報として扱いにくくなってしまっています。法科大学院関係者の中には、「法科大学院在学中の予備試験合格者は、法科大学院のおかげで司法試験に合格できたのだから、一律に法科大学院修了者としてカウントすべきだ。」と考えている人もいるようです。

 

法科大学院特別委員会(第76回) 議事録より引用。太字強調は筆者。)

上田信太郎(北海道大学大学院法学研究科教授)委員「本人の司法試験の受験願書を書く際の自己申告に基づいてということになっていると思うのですけども,やはりどこかで歯止めというか,制度化をしていかないと,この司法試験に合格した功績というのが,予備試験なのか,それとも法科大学院なのかという問題があると思います。今,結構シビアな議論ずっとしていますので,こういう場合には,例えば修了生についてはもう法科大学院という形でカウントしていくというようなことを決めていかないと,ちょっと予備試験と法科大学院の教育の質というか,そういったものがないまぜになってしまうような感じが致します。あるいは,どこかで歯止めを掛けていく必要があるのではないかと思いますがどうでしょうか。」

(引用終わり)

 

 しかし、そのようなことが可能なのであれば、「法科大学院修了の資格のみを有する者」、「予備試験合格の資格のみを有する者」、「法科大学院修了及び予備試験合格の資格を有する者」に区分して統計を取ればよいのです。それができないのは、現状の方式では受験資格の有無を出願時に提出される資料によってしか確認できないからです。そのようなことを可能にするためには、どちらの資格で受験するかにかかわりなく、保有する資格をすべて願書に記載させる必要があります。その場合、予備試験合格の資格で受験するのに、法科大学院修了の資格を有することまで申告させてよいか、というような問題が一応生じますが、現在でも、受験の可否に必ずしも関係のない学歴等の情報を自己申告させていますから、そのような記載を自己申告で求めることは、不可能ではないでしょう。いずれにせよ、この点は、もう少し改善の余地があるように思います。

posted by studyweb5 at 11:56| 司法試験関連ニュース・政府資料等 | 更新情報をチェックする

2017年04月25日

平成29年予備試験の出願者数について

1.法務省から、平成29年司法試験予備試験の出願者数が公表されました。13178人でした。以下は、年別の予備試験の出願者数の推移です。


(平成)
出願者数 前年比
23 8971 ---
24 9118 +147
25 11255 +2137
26 12622 +1367
27 12543 -79
28 12767 +224
29 13178 +411

 平成25年、平成26年と急激に増加した出願者数は、平成27年にいったん頭打ちとなり、これからは減少傾向に転じるのではないかとも思われました。ところが、平成28年は微増今年も、微増の継続といった感じではありますが、やや増加幅を拡大させてきています。このような数字の推移をみると、また出願者数は増加傾向になるのかな、という印象も受けます。平成26年から平成28年までは1万2千人台で推移していたものが、今年は1万3千人台に入ってきたというのも、そのような印象を強くさせます。しかし、本当にそうなのでしょうか。

2.予備試験の出願者数が増えたのはなぜか。その原因を考えてみましょう。法曹になりたいと思った人には、法科大学院に入学するか、予備試験を受験するか、という選択肢があります。このことを大雑把に数式化すると、以下のような関係があることになります。

 法曹志願者総数=予備試験出願者数+法科大学院入学者数

 ただし、法科大学院に入学しても、在学中に予備試験を受ける人がいますから、それを考慮すると、

 法曹志願者総数=予備試験出願者数+(法科大学院入学者数-法科大学院在学中予備試験出願者数)

という関係が成り立つでしょう。これを変形すると、

 予備試験出願者数=法曹志願者総数-(法科大学院入学者数-法科大学院在学中予備試験出願者数)
 予備試験出願者数=法曹志願者総数-法科大学院入学者数+法科大学院在学中予備試験出願者数

という関係が成り立つことがわかります。

(1)まず、法科大学院入学者数に着目してみます。法曹志願者総数が一定で、法科大学院に入学する人が増えると、予備試験出願者数は減少し、逆に法科大学院に入学する人が減ると、予備試験出願者数が増えるという関係にある。そこで、法科大学院入学者数を確認してみましょう。以下は、平成20年以降の法科大学院の実入学人員の推移です(「各法科大学院の入学定員及び実入学者数の推移」参照)。

年度
(平成)
実入学者数 前年比
20 5397 ---
21 4844 -553
22 4122 -722
23 3620 -502
24 3150 -470
25 2698 -452
26 2272 -426
27 2201 -71
28 1857 -344

 上記の入学者数の推移と、予備試験の出願者数が対応しているか、という目で見てみます。法科大学院の入学者数は、平成26年まで、一貫して下がり続けています。これに対して、予備試験出願者数は、平成25年、平成26年に大幅に増加していますが、平成24年はそれほど増加していない。これは、予備試験ルートの認知度が影響しています。予備試験が始まったのは平成23年ですが、当時の合格者数は116人にとどまっていました。そのため、当時はまだ、予備試験ルートを真剣に検討する人は、少なかったのです。それが、平成24年に合格者が219人とほぼ倍増したことから、「予備合格者は今後どんどん増える。予備ルートの方が近道だ。」と言われだした。そのために、平成25年から、どっと予備試験受験者が増えたのでした。このような経緯を踏まえると、平成25年、平成26年に、それまでの法科大学院入学者数の減少分を一気に吸収した結果が、予備試験の出願者数の推移に表れているとみることができるでしょう。法曹志願者のうち、法科大学院への入学を躊躇していた人が、予備にどっと流れたのが、この時期だったといえます。
 そのような流れが一時的に止まったのが、平成27年でした。この年は、法科大学院の実入学者数の減少が、わずかにとどまっています。これは、予備試験の出願者数が平成27年に一時的に減少に転じたことと符合しています。
 平成28年になると、法科大学院の実入学者数の減少幅が、また拡大しました。予備の出願者数が増加に転じたことは、これと符合しています。
 以上のように、法科大学院の実入学者数の増減と、予備試験の出願者数は、ある程度対応して変動していることがわかります。それでは、今後はどうなるのか。今後の法科大学院の実入学者数を考えるに当たっては、文科省が入学定員の削減から志願者数の確保に方針を転換したことが重要です。

 

法科大学院特別委員会(第75回)議事録より引用。太字強調は筆者。)

塩田専門職大学院室長「法曹人口の1,500人といったような数字を踏まえまして,当面,目指すべき法科大学院の定員規模を2,500人としたということでございまして,その2,500という数字を達成するために,加算プログラムを29年度以降も継続して実施するというような趣旨を書いているものでございます。…平成29年の予定ということでございますけれども…六大学が定員の見直しを行うということを予定されていて,募集停止となる2大学がございます。その定員分を含めまして…来年度は2,566人になる見込みということでございます。ということで,先ほど御説明しましたように,目標値として2,500人程度ということを掲げておりますので,数字がほぼ達成されるというような状況になってございます。
   加算プログラムにつきましては,自主的な組織見直しの促進ということと,各法科大学院における優れた取組を支援すると,こういったような目的で実施しておるわけでございますけれども,目標値である2,500人という数字が達成されるということでございますと,今後,基礎学の指標の取り方を含めまして何らかの修正を加える必要があるのかなとは認識してございます。」

(引用終わり)

(「「法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラム」の見直しについて 」より引用。太字強調は筆者。)

 入学定員の目標がほぼ達成され、今後は入学定員の適正化に代わって志願者数の確保が重要な課題となることから、定員充足率については指標から削除する。一方、入学者数が10名を下回る場合は、教育組織として規模が小さくなり過ぎているなど、法科大学院としてふさわしい教育環境の確保への影響が懸念されることから、3年連続で入学者数が10名未満となった場合は減点する。

(引用終わり)

 

 このことから、そろそろ実入学者数も下げ止まりそうだが、定員が下げ止まってもローに入学したいという人が増えてくるとは限らないので、正確なところはよくわからない、というのが、当サイトの立場です(「平成29年司法試験の出願者数について(1)」)。とはいえ、ここから更に減るといっても限界がありますから、減ったとしてもそれほど大きな減少にはならないだろうと思います。そうすると、これに対応して、予備試験の出願者数が増えるとしても、それほど大きな増加にはならないだろう、という予測ができます。

(2)もう1つ、法科大学院在学中の予備試験出願者について考えます。ローに入学する人が増えても、在学中に予備試験を受ける人が増えれば、予備試験の出願者数は増加します。以下は、法科大学院在学中の予備試験出願者数の推移です。


(平成)
法科大学院在学中の
予備試験出願者数
前年比
23 282 ---
24 706 +424
25 1722 +1016
26 2153 +431
27 1995 -158
28 1875 -120

 平成26年までは、一貫した増加傾向です。特に、平成25年の増加幅が大きい。このことが、平成25年の予備試験の出願者数の急増に対応しています。それが、平成27年になって、減少に転じました。平成27年は、予備試験の出願者数も減少に転じていますから、この点でも、対応関係があるといえるでしょう。
 ただ、平成28年に関してはロー在学中の予備出願者は減少を続けているのに、予備試験全体の出願者数は、むしろ増加しています。これは、前記2の法科大学院の入学者数の減少の影響の方が大きいのでしょう。
 今後、法科大学院在学中の予備試験出願者が増えるかというと、減る可能性の方が高そうです。そもそも、法科大学院の入学者数自体が減っているわけですから、その中から予備を受けようとする人の数も減るというのが自然です。そう考えると、予備試験全体の出願者数も、今後どんどん増えるという可能性は、あまりなさそうだ、ということになるでしょう。

3.以上のようにみてくると、これまでの予備試験出願者数の増減は、概ね法科大学院入学者数と法科大学院在学中の予備試験出願者数の増減によって説明が付くことがわかります。したがって、全体の法曹志願者数は、それほど増えたり減ったりしているわけではないということです。法曹志願者は例年あまり変わらないけれども、その法曹志願者が法科大学院入学を選ぶのか、予備試験受験を選ぶのか、という内訳が変動している、そういうことですね。前記1及び2でみたとおり、法科大学院入学者数が今後これ以上にどんどん減少することは考えにくいですし、法科大学院在学中の予備試験出願者がどんどん増えるということも考えにくいわけですから、今後、予備試験出願者数がどんどん増加することは、現状では考えにくい、という結論になるでしょう。言い方を変えれば、法曹志願者の法科大学院離れ、予備試験志向という一連のサイクルが、ほぼほぼ飽和状態に達した、ということです。予備試験出願者数が増加するのは、何かのきっかけで法曹志願者が増加する場合です。司法修習生に対する給付措置が、そのきっかけの1つとなる可能性はあるでしょう。

4.最後に、出願者数から予測できる今年の予備試験の短答・論文の難易度を確認しておきましょう。まず、受験者数の予測ですが、予備試験の受験率は、例年82%程度です。ですから、今年の予備試験の受験者数は、

 13178×0.82≒10805人

と予測できます。
 そして、予備試験の短答式試験の合格者数は、例年、「2000人基準」によって決まっています(「平成28年予備試験短答式試験の結果について(1)」)。ここでは、2100人くらいと考えておきましょう。そうすると、短答式試験の受験者合格率は、

 2100÷10805≒19.4%

と予測できます。これは、どのくらいの水準なのか。以下は、これまでの短答合格率(受験者ベース)の推移です。


(平成)
短答
合格率
23 20.6%
24 23.8%
25 21.8%
26 19.5%
27 22.1%
28 23.2%
29 19.4%?

 これをみると、例年より短答はやや厳しめ、過去の例でいうと平成26年と同じくらいになりそうだ、ということがわかります。
 次に、論文です。近時の論文式試験の合格点及び合格者数は、以下の法則によって決定されています(「平成28年予備試験論文式試験の結果について(1)」。

(1)210点に累計で400人以上存在しない場合は、210点が合格点となる。
(2)210点に累計で400人以上存在する場合は、5点刻みで初めて400人を超える点数が合格点となる(「400人基準」)。

 そして、平成27年、平成28年は、これまでの傾向では説明の付かない平均点の上昇が生じた結果、上記(2)の「400人基準」によって、合格点及び合格者数が決定されていたのでした(「平成28年予備試験論文式試験の結果について(2)」)。この傾向の変化の原因が考査委員の申し合わせに基づく採点方針の変更にあるとすれば、この傾向は今年も続くでしょう。そこで、ここでは、今年の合格者数も「400人基準」によって決まると仮定してみましょう。差し当たり、410人程度の合格者数を想定します。この場合、論文式試験の論文受験者(短答合格者)ベースの合格率は、

 410÷2100≒19.5%

ということになります。過去の数字と比べてみましょう。


(平成)
論文
受験者数
論文
合格者数
論文合格率
23 1301 123 9.45%
24 1643 233 14.18%
25 1932 381 19.72%
26 1913 392 20.49%
27 2209 428 19.37%
28 2327 429 18.43%
29 2100? 410? 19.5%?

 概ね、平成25年以降と同じくらいだ、ということがわかります。平成28年が低めの合格率になっているのは、短答における「2000人基準」を適用した結果、たまたま短答合格者数が多めになってしまったことが原因です(「平成28年予備試験短答式試験の結果について(1)」)。その意味では、今年も、短答の「2000人基準」と、論文の「400人基準」を適用した場合の数字のブレによって、合格率が上がったり、下がったりする可能性は十分あるということです。とはいえ、概ねこの前後の数字で収まるでしょう。ですから、論文については、例年どおりの難易度だと考えておけば良いと思います。

posted by studyweb5 at 14:12| 司法試験関連ニュース・政府資料等 | 更新情報をチェックする

2017年02月28日

平成29年司法試験の出願者数について(2)

1.今回は、明らかになった出願者数の速報値から、今年の司法試験についてわかることを考えてみます。以下は、直近5年の出願者数、受験者数等をまとめたものです。

出願者数 受験者数 受験率
(対出願)
25 10315 7653 74.1%
26 9255 8015 86.6%
27 9072 8016 88.3%
28 7730 6899 89.2%
29 6716 ??? ???

 

短答
合格者数
短答
合格率
(対受験者)
25 5259 68.7%
26 5080 63.3%
27 5308 66.2%
28 4621 66.9%
29 ??? ???

 

論文
合格者数
論文
合格率
(対短答)
論文
合格率
(対受験者)
25 2049 38.9% 26.7%
26 1810 35.6% 22.5%
27 1850 34.8% 23.0%
28 1583 34.2% 22.9%
29 ??? ??? ???

2.まず、受験者数の予測です。これは、出願者数に受験率を乗じることで、算出できます。受験率は、受験回数制限が緩和されて以降、概ね88%、89%程度で推移しています。ここでは、受験率を89%と仮定して、試算しましょう。そうすると、

 6716×0.89≒5977

 受験者数は、5977人と推計できます。概ね6000人前後で、昨年より900人程度減少するという計算になります。

3.次に、短答合格者数です。当サイトでは、現在の短答の合格点は、以下のようなルールによって決まっているのではないか、と考えています。

 

(「平成28年司法試験短答式試験の結果について(1)」より引用。太字強調は現在の筆者による。)

 従来、短答式試験は7科目350点満点で、その6割である210点が下限の合格点。それで合格者数が多すぎるようなら、5点刻みで上方修正する。これが、7科目時代の合格点の決まり方でした。
 昨年から、短答式試験の試験科目は憲民刑の3科目175点満点になりました。3科目になった場合、合格点はどのように決まるのか。当サイトの仮説は、満点(175点)の6割5分である113.75の小数点を切り上げた114点が基本的な合格点。それで合格者数が多すぎたり、少なすぎたりするようなら微修正する、というものです(「平成27年司法試験短答式試験の結果について(1)」)。

(引用終わり)

 

 直近の数字をみる限り、合格率66%というのが、居心地の良い数字のようです。ちょうど、下位3分の1を落とす、という感じになっていることが、そう感じさせる理由なのでしょう。これより高かったり、低かったりするようなら、微修正をして、66%に近づけるのではないか。ここでは、差し当たりそのように考えてみましょう。そこで、今年も短答の合格率(対受験者)が66%となると仮定すると、

 5977×0.66≒3944

 短答合格者は、3944人と推計できます。概ね4000人前後ということですね。
 合格率を一定にして試算していますから、合格者数が4000人前後であれば、短答の難易度は、それほど変わらないということになります。ただ、初回受験者は、気を付ける必要があるでしょう。短答は、受験回数が増えると、受かりやすくなる、という傾向があるからです。以下は、平成28年の受験回数別の短答合格率(受験者ベース)です。

受験回数 短答合格率
(対受験者)
1回 63.1%
2回 63.4%
3回 62.4%
4回 71.5%
5回 83.1%

 平成28年の特徴は、1回目から3回目までがあまり差がなく、むしろ3回目は少し合格率が落ちている一方で、4回目、5回目の合格率が顕著に高くなっていることです。4回目、5回目の短答合格率が顕著に高いことは、受験回数制限が緩和されて以降、確立した傾向となっています。逆にいえば、初回受験者は、短答を甘くみていると、やられてしまいやすい、ということです。肢別本に代表される肢別の問題集を全肢3回連続間違えずに正解できる、というのが1つの目安ですが、そのレベルまで早い段階で高めておく必要があります。短答は、勉強時間さえ確保すれば、ダイレクトに得点に結び付けることができますから、手抜きをせずにやっておくべきです。

4.さて、論文です。ここは、1500人の下限が破られるか、というのが、ポイントになります。

 

(「法曹養成制度改革の更なる推進について」(平成27年6月30日法曹養成制度改革推進会議決定)より引用、太字強調は筆者)

  新たに養成し、輩出される法曹の規模は、司法試験合格者数でいえば、質・量ともに豊かな法曹を養成するために導入された現行の法曹養成制度の下でこれまで直近でも1,800人程度の有為な人材が輩出されてきた現状を踏まえ、当面、これより規模が縮小するとしても、1,500人程度は輩出されるよう、必要な取組を進め、更にはこれにとどまることなく、関係者各々が最善を尽くし、社会の法的需要に応えるために、今後もより多くの質の高い法曹が輩出され、活躍する状況になることを目指すべきである

(引用終わり)

 

 論文合格者数は、昨年の段階で、既に1583人まで減少しています。上記は飽くまで「されるよう…目指す」ものに過ぎませんし、実際に合格者数を決めるのは、司法試験委員会です。これまでも、司法試験委員会は、政府の合格者数の目安を無視してきました。ですから、1500人が守られる保証は、どこにもないのです。したがって、現時点では、合格者数がどうなるのか、予測が難しいといえます。ここでは、いくつかのケースを想定して考えてみましょう。
 まず、下限が守られ、1500人だった場合です。この場合、論文の短答合格者ベースの合格率は、

 1500÷3944≒38.0%

となります。これは、直近でみると、平成25年に次ぐ高めの数字です。やや高すぎるという印象を持ちますね。このことは、1500人の下限が破られそうだと感じさせます。
 次に、1000人だった場合を考えてみましょう。これは、おそらく想定できる最悪の数字でしょう。直感的な予想に過ぎませんが、さすがに1000人を割ることはない、という感覚は、現段階で多くの人が共有しているところだろうと思います。この場合、論文の短答合格者ベースの合格率は、

 1000÷3944≒25.3%

となります。対受験者の合格率は、16.7%。これは、新司法試験では過去に例のない極端に低い数字です。合格率でみても、さすがにこれはない、という印象を持ちます。
 最後に、当サイトの仮説に基づく推計をしてみましょう。当サイトの仮説は、「司法試験委員会は、累積合格率7割が達成できる単年度合格率である23%を意識して、最終合格者数を決めている。」というものでした(「平成28年司法試験の結果について(3)」)。そこで、今年の受験者ベースの論文合格率が23%となる合格者数を考えると、

 5977×0.23≒1374

 論文合格者数は、1374人ということになります。感覚的にも、ありそうな数字だと感じさせます。この場合、短答合格者ベースの論文合格率は、

 1374÷3944≒34.8%

となります。これは、平成27年、平成28年とほぼ同水準です。これより合格者数が多ければ昨年より易しく、これより合格者数が少なければ昨年より厳しい。そのような感覚を持っておけばよいのだろうと思います。最後に、上記の数字をまとめておきましょう。

出願者数 受験者数 受験率
(対出願)
24 11265 8387 74.4%
25 10315 7653 74.1%
26 9255 8015 86.6%
27 9072 8016 88.3%
28 7730 6899 89.2%
29 6716 5977? 89%?

 

短答
合格者数
短答
合格率
(対受験者)
24 5339 63.6%
25 5259 68.7%
26 5080 63.3%
27 5308 66.2%
28 4621 66.9%
29 3944? 66%?

 

論文
合格者数
論文
合格率
(対短答)
論文
合格率
(対受験者)
24 2102 39.3% 25.0%
25 2049 38.9% 26.7%
26 1810 35.6% 22.5%
27 1850 34.8% 23.0%
28 1583 34.2% 22.9%
29 1500?
1000?
1374?
38.0%?
25.3%?
34.8%?
25.0%?
16.7%?
23%?

5.仮に、当サイトの仮説に基づく試算どおりの結果になると、合格者数が1500人を割ってしまうので、合格者数1500人を前提に入学定員2500人を想定していた文科省は困るのか。それは実はそうではない、ということは、以前の記事(「平成28年司法試験の結果について(3)」)で説明したとおりです。

posted by studyweb5 at 15:58| 司法試験関連ニュース・政府資料等 | 更新情報をチェックする


  【当サイト作成の電子書籍一覧】
司法試験平成28年最新判例ノート
平成29年司法試験のための平成28年刑訴法改正の解説
司法試験定義趣旨論証集刑訴法(逐次改頁版)
司法試験定義趣旨論証集刑訴法(通常表示版)
司法試験平成27年採点実感等に関する意見の読み方(民法)
司法試験平成27年出題趣旨の読み方(民法)
司法試験平成27年採点実感等に関する意見の読み方(行政法)
司法試験平成27年出題趣旨の読み方(行政法)
司法試験平成27年採点実感等に関する意見の読み方(憲法)
司法試験平成27年出題趣旨の読み方(憲法)
司法試験定義趣旨論証穴埋問題集(会社法)
司法試験定義趣旨論証集(会社法)
司法試験定義趣旨論証穴埋問題集(物権)
司法試験定義趣旨論証集(物権)
司法試験平成26年最新判例ノート
司法試験論文用平成26年会社法改正対応教材
司法試験定義趣旨論証穴埋問題集(民法総則)
司法試験定義趣旨論証集(民法総則)
司法試験定義趣旨論証穴埋問題集(刑法各論)
司法試験定義趣旨論証集(刑法各論)
司法試験定義趣旨論証穴埋問題集(刑法総論)
司法試験定義趣旨論証集(刑法総論)
司法試験平成25年判例肢別問題集
司法試験平成25年判例論証穴埋問題集
司法試験平成25年判例論証集
司法試験定義趣旨論証集(行政法)

  【最新ニュース・新刊書籍紹介】
平成29年司法試験予備試験短答式試験結果
無資格で法律業務40年 弁護士装った疑いで81歳男を逮捕
はじめての刑法総論 (3日でわかる法律入門)
職質の警官、弁護士会館に無断立ち入り 府警に抗議へ
任意同行拒否し、大阪弁護士会館に入った男性を警察官が追尾
「施設管理権の侵害」と弁護士会が抗議へ
経済刑法――実務と理論
【東京開催】≪司法試験受験者対象≫択一試験合格発表後のスタートダッシュ!個別就職相談会
【東京開催】≪弁護士対象≫ワークライフバランスを重視する弁護士の為の個別転職相談会
財産犯バトルロイヤル 絶望しないための方法序説 (法セミLAW CLASSシリーズ)
「伝説の裁判官」が実名告発!なぜ裁判官は政府に逆らえないのか?
訴訟準備書面に「馬鹿馬鹿しい」 男性弁護士処分
刑法各論 (Next教科書シリーズ)
【東京開催】≪弁護士対象≫土曜日開催!平日多忙な方向け個別転職相談会
関西学院大、西宮北口に法科大学院を移転 19年4月
ホーンブック新刑法総論(改訂2版)
警視庁GPS捜査、一部無罪確定 東京地裁判決
仙台地裁刺傷 容疑者、突然「この腐った司法制度が…」
基礎から学ぶ刑事法 第6版 (有斐閣アルマ)
難民希望者の施設で「苦痛」 豪政府、58億円支払いへ
JR西無罪確定 安全運行への努力を重ねよ
入門刑事法 第6版
JR西無罪確定 遺族の無念を安全に刻め
脱線事故で娘を亡くした「組織罰を実現する会」代表の大森さん
「誰かが責任を負わないと組織は変わらない」 福知山線脱線事故無罪確定へ

刑法からみた企業法務
尼崎JR脱線 歴代3社長の無罪確定へ 最高裁「危険性認識できず」
個人の責任、立証に壁 JR西・元3社長の無罪確定へ
ケースブック刑法 第3版
法科大学院と沖縄少年院・女子学園がエクスターンシップ協定を締結
玄海原発差し止め却下 佐賀地裁の「妥当な決定」稼働容認の司法判断定着
刑法演習ノート: 刑法を楽しむ21問
6カ国入国制限の差し止めを支持 サンフランシスコ高裁
わいせつ罪成立要件 見直しの可能性 最高裁大法廷で審理へ
法学セミナー 2017年 07 月号
平成29年司法試験短答式試験結果
平成29年司法試験予備試験短答式試験受験状況
民事訴訟法講義―理論と演習
【名古屋開催】≪法務部門対象≫転職をじっくり考えたい方の為の個別転職相談会
直方市職員に弁護士 筑豊初、法務能力に期待 [福岡県]
紛争類型別 事実認定の考え方と実務
好奇心で得た「薄く広い知識」は、後で役立つ マネックス松本大氏のユニークな「目的意識」
弁護士逮捕 合同庁舎のトイレットペーパーに火 警視庁
基礎から学ぶ簡易裁判所の諸手続 判事が語る実務のポイント
日航の整理解雇、元客室乗務員の逆転敗訴が確定
裁判員制度 失敗を直視せよ
現代民事手続の法理
山手線の新型車両に「防犯カメラ」設置へ…痴漢トラブル対策の決め手になる?
ウエストロー・ジャパン株式会社が新商品 Practical Law(プラクティカル・ロー)を発表
争点整理と要件事実―法的三段論法の技術
区割り法が成立 「1票の格差」2倍未満に
袴田事件DNA鑑定 検証の別の専門家「DNA抽出できず」
ケース演習 民事訴訟実務と法的思考
取り調べ可視化増加 最高検、16年度7万9845件 
NY裁判所、チンパンジーに人間と同じ権利認めず
自治体職員のための 民事保全法・民事訴訟法・民事執行法
コミ―証言、トランプ大統領の司法妨害を立証できるか?
トランプ、コミー氏証言で司法妨害の疑い強まる可能性も
民事訴訟法 第7版 (有斐閣Sシリーズ)
トランプ氏、「入国禁止令」の呼称に固執 司法省の修正を批判
トランプ氏、入国制限「早期審理を」 英テロ受け厳格化主張 
証拠収集実務マニュアル 第3版
「コミー・メモ」自ら流出と証言 トランプ氏側は批判
刑事訴訟法判例百選 第10版〈別冊ジュリスト232号〉
青学大、法科大学院の募集を停止
立教大と桐蔭横浜大、法科大学院の募集停止
会社法訴訟 (【企業訴訟実務問題シリーズ】)
【大阪開催】≪弁護士インハウス希望者対象≫弁護士のキャリアを共に考える!個別転職相談会
受験新報 2017年 07 月号
法学教室 2017年 06 月号
【東京開催】司法試験受験者のための就職活動スタートダッシュセミナー!(各論編)
【東京開催】司法試験受験者のための就職活動スタートダッシュセミナー!(総論編)
ジュリスト 2017年 06月号
【横浜開催】≪法務対象≫電話相談でもOK!土曜日も開催!地元・神奈川県で働きたい方向け個別転職相談会
会社法入門(第五版)
判例検索ソフトの「コピペ裁判官」増加 最高裁も危機感募らす実態
法曹養成制度改革連絡協議会第7回協議会配布資料
会社訴訟ハンドブック
法務省だより あかれんが第57号(2017年5月)
国際的な視点から見た日本の教育に関する調査研究
企業組織法: 会社法等 (企業法要綱)

刑事訴訟法等の一部を改正する法律について
いわゆるコンピュータ・ウイルスに関する罪について(PDF)
法曹養成制度関係閣僚会議
民法(債権関係)の改正に関する要綱案
民法の一部を改正する法律案
法曹養成制度改革の推進について(PDF)
法曹養成制度改革推進会議
法曹養成制度改革顧問会議
平成29年司法試験予備試験の実施について
平成29年司法試験の実施について
司法試験考査委員の不適切行為に関する通報窓口

  【司法研修所教材・講義案・調査官解説等】
事件記録教材 法科大学院教材
調査官解説
事例で考える民事事実認定
民事訴訟における事実認定 契約分野別研究(製作及び開発に関する契約)
プラクティス刑事裁判
プロシーディングス刑事裁判
検察講義案 平成24年版
新問題研究要件事実
紛争類型別の要件事実 民事訴訟における攻撃防御の構造 改訂
刑事第一審公判手続の概要
刑事判決書起案の手引
民事判決起案の手引
民事訴訟第一審手続の解説
情況証拠の観点から見た事実認定
民事訴訟における要件事実 第2巻
民事訴訟における要件事実 増補 第1巻
書記官研修講義案等