2019年10月15日

令和元年予備試験論文式試験の結果について(2)

1.以下は、予備試験論文式試験の合格点及び平均点と両者の差の推移です。昨年以前の年の表記は、平成の年号によっています。

論文
合格点
論文
平均点
合格点と
平均点の差
23 245 195.82 49.18
24 230 190.20 39.80
25 210 175.53 34.47
26 210 177.80 32.20
27 235 199.73 35.27
28 245 205.62 39.38
29 245 208.23 36.77
30 240 200.76 39.24
令和元 230 191.58 38.42

 予備試験の論文は各科目50点満点で、10科目です(「司法試験予備試験に関する配点について」)。したがって、今年の合格点である230点は、1科目当たりにすると、23点。同様に、今年の平均点である191.58点は、1科目当たり概ね19点ということになります。合格点と平均点との間の差は、1科目当たり4点弱だということもわかります。
 さて、上記の得点は、考査委員が採点する上で、どのくらいの水準とされているのでしょうか。各科目の得点と評価の水準との対応は、以下のようになっています。 

 

(「司法試験予備試験の方式・内容等について」より引用。太字強調は筆者。)

(2) 各答案の採点は,次の方針により行う。

ア 優秀と認められる答案については,その内容に応じ,下表の優秀欄の範囲。
 ただし,抜群に優れた答案については,下表の優秀欄( )の点数以上。

イ 良好な水準に達していると認められる答案については,その内容に応じ,下表の良好欄の範囲。

ウ 良好とまでは認められないものの,一応の水準に達していると認められる答案については,その内容に応じ,下表の一応の水準欄の範囲。

エ 上記以外の答案については,その内容に応じ,下表の不良欄の範囲。
 ただし,特に不良であると認められる答案については,下表の不良欄[ ]の点数以下。

優秀 良好 一応の水準 不良
50点から38点
(48点)
37点から29点 28点から21点 20点から0点
[3点]

(引用終わり)

 

 合格点は一応の水準の真ん中よりやや下の辺り。平均点は、ぎりぎり不良になる水準であることがわかります。このことは、合格を目指すに当たり、優秀・良好のレベルを目指す必要は全然ないことを意味しています。
 当サイトでは、①基本論点の抽出、②規範の明示、③事実の摘示が、司法試験と予備試験に共通する合格答案の基本的要素であることを、繰り返し説明してきました。再現答案等を見ると、予備試験は、司法試験よりも①の要素で合否が分かれやすく、②・③はできていなくても合格水準に達している場合が多いと感じます。予備試験の場合、当たり前に書けるはずの基本論点を落としてしまう人がかなりいます。基本論点を抽出できないと、それ以降の規範の明示や事実の摘示も自動的に落とすので、配点をすべて落とすことになる。その結果、それだけで不良に転落することになっていきます。そのような答案が、予備試験では普通にあるのです。そのために、基本論点さえ拾っていれば、多少規範が不正確だったり、当てはめの中に規範が紛れているような書き方をしても、合格できてしまうことがある。当てはめについても、そもそも予備は司法試験ほど問題文の事情が詳細でないこともありますが、それにしても全然事実を引いてないよね、という答案を書く人でも、論点落ちがなければ受かってしまったりするものです。もっとも、そのような書き方だと、周りの出来によっては不合格になる可能性がありますし、仮に受かっても、そのような受かり方をした人は、司法試験の方で苦戦しがちなので、おすすめはできません。今年、そのような受かり方をした人は、司法試験に向けて、上記の点を意識して修正する必要があります。
 上記のように、優秀・良好は合格に不要である、という話をすると、「それは間違いだ。普段の学習で一応の水準を狙っているようでは、実際の本試験では不良になってしまう。だから、優秀・良好を狙う勉強をすべきだ。」などという人がいます。これは、短答と論文の特性を理解していないものであり、誤っていると思います。短答は、基本的に知識量がそのまま得点に結び付きますから、普段から合格点ぎりぎりの知識しか勉強していなかったら、本試験でケアレスミスをしたり、少し難しい問題が出題されたときに、不合格になってしまいます。ですから、短答は、確実に合格点を超えようとするなら、普段の学習で、それなりに上位の得点が取れるようになっておく必要があります。当サイトでも、予備試験の短答の場合、法律科目で7~8割が目標であるとしています(「令和元年予備試験短答式試験の結果について(2)」)。しかし、論文は、知識量がそのまま得点に結び付く試験ではない時間内に何文字書けるか、という要素によって、書ける上限が画されてしまうからです。知識的には4頁びっしり書ける水準であっても、文字を書く速度が遅くて2頁しか書けないのであれば、2頁分を超える配点を取ることは物理的に不可能です。しかも、現在の論文は、規範の明示と事実の摘示に極端な配点がある。そのスタイルで書こうとすると、それだけでかなりの文字数が必要です。論文で不合格になる人の多くは、優秀・良好を狙っていなかったから不合格になっているのではありません。むしろ、優秀・良好を狙うあまり、自分の筆力に見合わない文字数を書こうとして途中答案になってしまったり、理由付けや評価を優先して規範の明示や事実の摘示が雑になったりしてしまっているからなのです。すなわち、不合格の真の原因は、単純に筆力不足であるか、規範の明示と事実の摘示というスタイルで書けなかったというだけのことなのです。そのような理由で不合格になっている人に対し、「優秀・良好を狙う勉強をすべきだ。」などと指導することは、逆効果でしかありません。そのような人が採るべき対策は、「優秀・良好を狙う勉強をすること」ではなく、「規範の明示と事実の摘示というスタイルで書くクセを身に付けること、そのスタイルで書き切れるだけの筆力を身に付けること」です。そのようなスタイルで書き切れるようになった上で、なお時間的に余裕が出てきたのなら、事実に評価を付してみる。さらに余裕があれば、規範に理由付けを付してみる。それだけでも、十分に上位答案になってしまいます。このようなことは、司法試験の出題趣旨・採点実感や再現答案などの情報を確認し、実際に自分で答案を書いて物理的に可能か等を試したりしてみれば、容易にわかることです(※1)。もちろん、上記のことは、基本論点の抽出ができることが前提です。現在の予備試験では、その水準にすら達していない人が相当数いるというのは、既に説明したとおりです。しかし、それは「一応の水準になるための最低限の勉強」であって、「優秀・良好を狙う勉強」とは無関係です。
 ※1 現在の司法試験における一応の水準が、「規範の明示はできているが事実の摘示が不十分」というレベルであることについては、以前の記事(「平成30年司法試験の結果について(5)」)で説明しました。

2.一応の水準の真ん中より下くらいが合格水準だ、という話をすると、「予備試験は3~4%しか受からない試験なのに、どうして合格レベルがそんなに低いのか。」と疑問に思う人もいるかもしれません。「予備試験は極端に合格率が低いのだから、誰もが書けるようなことを普通に書いていては論文に受からない。」というのは、予備試験ではよくある誤解です。そのような誤解が生じるのは、短答受験者ベースの最終合格率を見ているからです。以下は、昨年までの予備試験の短答受験者ベースの最終合格率等の推移です。


(平成)
短答
受験者数
最終
合格者数
最終合格率
(短答受験者ベース)
23 6477 116 1.79%
24 7183 219 3.04%
25 9224 351 3.80%
26 10347 356 3.44%
27 10334 394 3.81%
28 10442 405 3.87%
29 10743 444 4.13%
30 11136 433 3.88%

 マスメディアや予備校、法科大学院等が流布する情報で目にするのは、この短答受験者ベースの最終合格率でしょう。このような数字を見て、「予備試験は上位3~4%しか受からない。だから、誰も書かないような高度な内容でないと合格答案にならない。」と言われると、「そうだよな。」と思ってしまいがちです。しかし実際には、論文は短答合格者しか受験できません。ですから、論文の合格答案の水準を考えるに当たっては、短答合格者(≒論文受験者)ベースの数字を見なければならないのです。以下は、予備試験における論文受験者ベースの論文合格率等の推移です。昨年以前の年の表記は、平成の年号によります。

論文
受験者数
論文
合格者数
論文合格率
23 1301 123 9.45%
24 1643 233 14.18%
25 1932 381 19.72%
26 1913 392 20.49%
27 2209 428 19.37%
28 2327 429 18.43%
29 2200 469 21.31%
30 2551 459 17.99%
令和元 2580 494 19.14%

 平成25年以降は、概ね20%前後、5人に1人くらいの割合で推移していることがわかります。ですから、上位2割になる程度の内容の答案を書いていれば、合格答案になるのです。予備試験の場合、論文対策を十分にしないまま受験している人が相当数いるので、基本論点すら拾えないレベルの答案が多数を占めます。その結果、前記1で示した程度の水準でも、上位2割に入ってしまうのでした。

3.最後に、得点のバラ付きについて考えます。論文式試験の得点は、各科目について得点調整(採点格差調整)がされるため、各科目の得点の標準偏差は毎年常に同じ数字です(法務省の資料で「配点率」と表記されているものに相当します。)。しかし、各科目の得点を足し合わせた合計点の標準偏差は、年によって変動し得る。そのことは、以下の表をみればわかります。憲民刑の3科目、100点満点で、ABCの3人の受験生が受験したと想定した場合の得点の例です。

X年 憲法 民法 刑法 合計点
受験生A 90 10 50 150
受験生B 50 90 10 150
受験生C 10 50 90 150

 

Y年 憲法 民法 刑法 合計点
受験生A 90 90 90 270
受験生B 50 50 50 150
受験生C 10 10 10 30

 X年もY年も、各科目における得点のバラ付きは、90点、50点、10点で同じです。しかし、合計点のバラ付きは、Y年の方が大きいことがわかります。このように、各科目の得点のバラ付きが一定でも、ある科目で良い得点を取る受験生は他の科目も良い得点を取り、ある科目で悪い得点を取る受験生は他の科目も悪い得点を取るというように、科目間の得点についての相関性が高まると、合計点のバラ付きが大きくなるのです。
 実際の数字を見てみましょう。以下は、法務省の公表している得点別人員調を基礎にして算出した予備試験の論文式試験における合計点の標準偏差の推移です。昨年以前の年の表記は、平成の年号によります。

標準偏差
23 39.4
24 37.3
25 41.3
26 39.4
27 39.6
28 44.2
29 52.5
30 44.4
令和元 44.2

 平成28年以降、標準偏差が高めの数字で推移するようになっていることがわかります。すなわち、科目間の得点の相関性が高まり、そのことによって、論文の合計点のバラ付きが大きくなってきているのです。
 では、合計点のバラ付きが大きくなると、どのような現象が生じるのでしょうか。下記の表をみて下さい。これは、X年とY年という異なる年に、100点満点の試験を10人の受験生について行ったという想定における得点の例です。

  X年 Y年
受験生1 60 80
受験生2 55 70
受験生3 50 60
受験生4 45 50
受験生5 40 40
受験生6 35 30
受験生7 30 15
受験生8 20 10
受験生9 15 5
受験生10 10 0
平均点 36 36
標準偏差 16.24 27.00

 X年とY年は、平均点は同じですが、得点のバラ付きを示す標準偏差が異なります。上記において、10人中の上位2名を合格とすると、合格率は同じ2割です。しかし、合格点をみると、X年は55点が合格点であるのに対し、Y年は70点が合格点となります。このように、得点のバラ付きが大きくなると、同じ平均点・合格率でも、合格点が上昇するのです。現在の論文式試験は、「400人基準」や「450人基準」のように、人数を基準にして合格点が決まっているとみえます(「令和元年予備試験論文式試験の結果について(1)」)。また、前記2でみたとおり、近時は概ね2割程度の合格率で推移しています。ですから、上記のことは、現在の論文式試験によく当てはまるのです。
 このことを受験テクニック的に考えると、次のようなことがいえます。すなわち、現在の司法試験・予備試験は、共通して、基本論点の規範と事実に極端な配点があり、基本論点について、規範を明示して、事実を摘示しつつ当てはめるスタイルで答案を書く人は、どの科目も上位になりやすい傾向にあります。このことが、科目間の相関性の高まりとして表れている。また、合計点のバラ付きの拡大による合格点の上昇は、ある特定の科目でたまたま良い得点が取れたというだけでは、合格するのが難しくなること、逆にいえば、安定して全科目で得点できる必要があることを意味します。その結果、上記のスタイルで書けない人は、ますます合格しにくくなり、論文特有の「受かりにくい人は、何度受けても受かりにくい」法則が成立しやすくなるというわけです。このような傾向を踏まえた対策は、前記1で説明したとおり、 「優秀・良好を狙う勉強をすること」ではなく、「規範の明示と事実の摘示というスタイルで書くクセを身に付けること、そのスタイルで書き切れるだけの筆力を身に付けること」です。そのための最もわかりやすい勉強法は、記憶作業は規範部分にとどめ(※2)、過去問等を素材にして答案を書きまくるということです。
 ※2 規範インプット用の教材としては、当サイト作成の「司法試験定義趣旨論証集」があります(ただし、現時点では一部科目のみ)。

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2019年10月13日

令和元年予備試験口述試験対策について

1.論文を突破しても、さらに口述試験があります。これが、予備試験の辛いところです。ただ、口述試験は、基本的には落ちない試験です。毎年、口述受験者ベースの合格率は9割を超えています。短答や論文のように、「できる人を受からせる」試験ではなく、「不適格者を落とす」試験なのです。その意味で、短答や論文とは位置付けが随分違います。また、試験時間という点でも、短答・論文は長時間にわたる試験で、体力勝負という側面がありますが、口述は、1日(1科目)当たり15分から25分程度です。しかも、考査委員を目の前にして口頭で答えるわけですから、多少疲れていても、集中力が切れるなどということはまずない。ですから、体力(疲労による集中力・気力の衰え)よりも精神面(緊張や動揺)の要素の方が合否に影響しやすいといえるでしょう。この点も、短答・論文とは違うところです。
 口述試験で不合格になると、来年はまた短答からやり直しです。実際に不合格になってしまうと、そのショックはかなり大きいものがあります。論文までは、低い合格率だからダメでも仕方がないという意味で、精神的に楽な部分がありますが、口述になると、「せっかく論文に受かったのに、こんなところで落ちるわけにはいかない。」という心理が生じます。また、試験会場の雰囲気や受験までの流れも、短答・論文とは随分違います。試験会場では、自分の順番が来るまで待たされます。順番によっては、数時間も待たされることがある。異常な雰囲気の中で、何時間も待機させられると、なかなか正常な精神状態を保てなくなるものです。そんな慣れない環境の中で、考査委員を目の前にして受け答えをするわけですから、その緊張感は短答・論文とは比較になりません。普段ならやらないような、とんでもない勘違いをしてしまいがちです。そのために、数字の上ではほとんど落ちない試験であるにもかかわらず、短答・論文よりも怖い試験であると感じられるのです。

2.口述試験の試験科目は、法律実務基礎科目の民事及び刑事の2科目です。2日間で行われますが、必ずしも民事が初日、2日目が刑事とは限りません。各自、受験票で確認しておく必要があります。
 それぞれの科目について、以下のような基準で採点されることになっています。

 

(「司法試験予備試験の方式・内容等について」より引用。太字強調は筆者。)

(1) 採点方針

 法律実務基礎科目の民事及び刑事の採点は次の方針により行い,両者の間に不均衡の生じないよう配慮する。

ア その成績が一応の水準を超えていると認められる者に対しては,その成績に応じ,

 63点から61点までの各点

イ その成績が一応の水準に達していると認められる者に対しては,

 60点(基準点)

ウ その成績が一応の水準に達していないと認められる者に対しては,

 59点から57点までの各点

エ その成績が特に不良であると認められる者に対しては,その成績に応じ,

 56点以下

(2) 運用

 60点とする割合をおおむね半数程度とし,残る半数程度に61点以上又は59点以下とすることを目安とする。

イ 61,62点又は58,59点ばかりでなく,63点又は57点以下についても積極的に考慮する。

(引用終わり)

 

 口述では、得点にほとんど差が付かないことが知られています。上記引用部分の(2)イでは、「63点又は57点以下についても積極的に考慮する」と記載されていますが、実際には、このような点数が付くことは極めてまれです。さらにいえば、62点と58点も、なかなか付かないといわれています。ですから、大雑把にいえば、上位4分の1が61点、真ん中の半数が60点、残る下位4分の1が59点、という感じになっていると思っておけばよいでしょう。

各科目の
得点
評価 受験生全体
に対する割合
59点 一応の水準
に達しない
25%
60点 一応の水準 50%
61点 一応の水準
を超える
25%

 このことから明らかなように、口述は、個々の質問に何個正解したから何点、というような点の付き方はしない。飽くまで、考査委員の裁量、もっといえば印象によって、ざっくりと点が付く。ですから、考査委員に悪い印象を与える受け答えをしてしまうと、個々の質問にはそれなりに答えているのに、59点にされる、ということは、普通にあることなのです。それぞれの質問に対する回答が正解であるか否かは、そのような考査委員の印象に影響を与える1つの要素に過ぎないと思っておいた方がよいと思います。これも、口述の怖さの1つといえるでしょう。

3.口述試験の合否は、民事と刑事の合計点で決まります。ただし、どちらか一方でも欠席すると、それだけで不合格です。

 

(「司法試験予備試験の方式・内容等について」より引用。太字強調は筆者。)

(3) 合否判定方法

 法律実務基礎科目の民事及び刑事の合計点をもって判定を行う。

 口述試験において法律実務基礎科目の民事及び刑事のいずれかを受験していない場合は,それだけで不合格とする。

(引用終わり)

 

 では、実際の合格点は、どうなっているか。以下は、これまでの合格点の推移です。


(平成)
合格点
23 119
24 119
25 119
26 119
27 119
28 119
29 119
30 119

 毎年、119点が合格点になっています。前記のとおり、通常は、各科目最低でも59点です。民事と刑事が両方59点だと、118点で不合格になります。しかし、一方の科目で60点を取れば、片方が59点でも119点になりますから、ギリギリセーフ、合格となるのです。ですから、不合格になるのは、民事も刑事も59点を取ってしまった場合だ、と思っておけばよいわけです。
 各科目、概ね下位4分の1が59点を取るとすると、両方の科目で59点を取る割合は、16分の1、すなわち、6.25%です。ですから、93.75%が、理論的な口述の合格率となります(※)。
 ※ 厳密には、合格率は93.75%よりやや低めの数字になるのが自然です。なぜなら、この93.75%という数字は、民事と刑事の成績が完全に独立に決まる、という前提で算出された数字だからです。実際には、民事と刑事の成績には、一定の相関性がある。口述試験の形式自体に弱い人は、民事も刑事も失敗しやすいでしょう。また、基本的な法的思考力が不足している人も、民事と刑事両方で失敗しやすいはずです。このように、民事と刑事に一定の相関性がある場合には、合格率は93.75%より低い数字になるのです。わかりやすく、極端な例を考えてみましょう。民事と刑事の成績が、完全に相関するとしましょう。上位25%の人は、民事も刑事も61点を取り、真ん中の50%は、民事も刑事も60点を取る。そして、残りの下位25%が、民事も刑事も59点を取る。この場合、下位の25%は、全員118点ですから、不合格です。そうすると、合格率は75%になってしまいます。このように、民事と刑事の成績に相関性があると、民事も刑事も59点になる人が増えるので、合格率は93.75%より下がってしまうわけです。実際にはここまで極端な相関性はありませんが、理論的には、合格率は93.75%より少し低い数字になるはずなのです。

 実際の合格率をみてみましょう。以下は、口述試験の合格率(口述受験者ベース)の推移です。


(平成)
受験者数 合格者数 合格率 前年比
23 122 116 95.08% ---
24 233 219 93.99% -1.09%
25 379 351 92.61% -1.38%
26 391 356 91.04% -1.57%
27 427 394 92.27% +1.23%
28 429 405 94.40% +2.13%
29 469 444 94.66% +0.26%
30 456 433 94.95% +0.29%

 概ね、93.75%に近い数字で推移していることがわかります。平成26年までは、合格率は低下傾向でした。平成25年から平成27年までは、93.75%を下回っています。それが、平成27年以降は合格率は上昇傾向に転じ、平成28年以降は、93.75%よりも高い数字になっています。とはいえ、93.75%との乖離はわずかです。
 このように、実際の合格率の推移は、62点以上や58点以下を一切考慮しない場合の理論的な合格率に近いものになっています。このことから、62点以上や58点以下が、実際には無視できる程度しか付いていないことが推測できるのです。多くの人が心配するのは、「58点が付いてしまう可能性」です。片方の科目で58点が付いてしまうと、もう片方の科目が60点でも、合格できません。そうなると、上位4分の1以上に入って挽回することが必要になってしまう。これが怖い、ということですね。ただ、上記のような合格率の推移を見る限り、今のところ、その心配をする必要はほとんどなさそうです。

4.以上のことからわかる口述の基本的な戦略は、民事と刑事の両方で失敗しない、ということです。逆にいえば、片方を失敗しても、もう一方で60点を守る。そうすれば、119点で合格できるわけです。ですから、仮に初日の感触がとても悪かったとしても、翌日を普通に乗り切ればよい。このことは、とりわけ精神面の影響の大きい口述では、重要なことだと思います。
 口述試験は、1日目は出来が悪く、2日目はそれなりに答えられたと感じる人が多い試験です。初日は、試験の会場や待機の方法、試験室への入室までの流れなど、ほとんど全てのことが初めての経験で、極度に緊張します。このような状態では、普通の受け答えすらうまくできないのが普通です。ですから、初日の受験後の気分は最悪であることが、むしろ通常の心理状態なのですね。多くの人が、「1日目で落ちたかもしれない。」と感じてしまう。これが、口述試験の最も恐ろしいところです。中には、自暴自棄になって2日目を欠席しようと思ったりする人もいる。そうではなくても、2日目は「1日目の失敗を挽回しよう。」と思って無理をしてしまいがちです。そうなると、問われていないことまで答えようとしたり、パーフェクトな答えを思い付くまで回答できなくなり、焦って沈黙したり、法文を見ないで答えないと評価が下がると心配して、頑なに法文を見なかったり、撤回すると間違いを認めることになると心配して、頑なに撤回しない等、とんでもない受け答えをしてしまい、かえって失敗してしまうのです。これが、民事・刑事の両方で失敗する典型例です。ですから、1日目で失敗しても、2日目は普通に切り抜ければ合格できる、という信念を心の中に強く持っておく。これが、心理面の要素が強く作用する口述試験では、重要なキーポイントになります。2日目は、想像以上に1日目の体験が大きく、様々なことに慣れてしまっています平常心を維持してさえいれば、意外と普通に受け答えができるでしょう。
 前記3で、58点の可能性はあまり心配しない方がいい、と説明したのも、同様の理由です。厳密には、58点が付いてしまう可能性はゼロではないでしょう。しかし、その可能性を頭の片隅に置いてしまうと、ほとんどの人が最悪な気分で1日目を終えるので、自分は58点だと思い込んでしまいやすい。そうなると、上記のように無理をしてしまうことになる。仮に、1日目で58点が付いてしまったとしても、2日目に狙って61点を取れるものではありません。結局のところ、61点を取る最善の方法は、平常心で普通に受け答えをするしかないのですね。ですから、「58点は付かない。」という信念を持っていた方が、口述試験には受かりやすいといえるのです。

5.上記の基本的な戦略を踏まえた具体的な方法論については、以前の記事(「平成28年予備試験論文式試験の結果について(5)」)で詳細に説明しました。参考にしてみて下さい。

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2019年10月11日

令和元年予備試験論文式試験の結果について(1)

1.令和元年予備試験論文式試験の結果が公表されました。合格点は230点合格者数は494人でした。以下は、予備試験論文式試験の合格者数及び合格点の推移です。 昨年以前の年の表記は、平成の年号によっています。

論文
合格者数
合格者数
前年比
論文
合格点
合格点
前年比
23 123 --- 245 ---
24 233 +110 230 -15
25 381 +148 210 -20
26 392 +11 210
27 428 +36 235 +25
28 429 +1 245 +10
29 469 +40 245
30 459 -10 240 -5
令和元 494 +35 230 -10

2.今年は、昨年よりも合格点が10点下がり、合格者数は35人増加しました。昨年は、論文の合格者数が初めて減少に転じた年でした。今年は逆に、論文の合格者数は500人に近い数字まで増加しています。この数字だけをみると、「昨年までは予備合格者を抑制する方針だったが、今年は500人に近い合格者になった。来年はいよいよ500人を超えてくるだろう。これは河井克行法務大臣の就任の影響に違いない。」などという観測が出てきそうです。河井克行法相は、以前から、予備試験の合格判定基準がおかしいのではないか、と主張していたからです。

 

衆院法務委員会平成22年5月21日議事録より引用。太字強調は筆者。)

河井克行(自民)委員 平成二十一年十一月十一日に司法試験委員会が公表しました「予備試験の実施方針について」という文書。この「第一」の一番最初の方には、こう書いてあります。予備試験は、法科大学院課程の修了者と同等の学識及びその応用能力などを判定することを目的とし、そのように書いてあります
 言うまでもありませんが、法科大学院に通うだけの時間あるいは経済的なゆとりがないといった理由などから、やむを得ず法科大学院を経由しないで新司法試験の受験をしたいという方に対しての最後の切り札というか、門戸を確保しているのがこの予備試験。私は、これは重要な試験だというふうに考えております。
 法科大学院の修了者と同等の学識及び応用能力、法律実務の素養と書いてあるからには、いかなる法科大学院の修了生とも同等の試験の難易度でなくては話が違ってくるというふうに私は考えております。
 具体的には、平成二十一年度ですが、新司法試験でわずか二名の合格者しか輩出することができなかった姫路獨協大学法科大学院でありますとか大阪学院大学法科大学院、あるいは、一名しか出すことができなかった京都産業大学法科大学院あるいは島根大学の法科大学院、そういった法科大学院を修了した人たちと同程度の学識、素養の合格基準でないと、私は、予備試験の制度設計の理念にもとるというふうに考えております。

 (中略)

河井克行(自民)委員 法科大学院と同等の修了レベルとおっしゃいますけれども、どの程度の法科大学院かなんですよ。上位校の法科大学院と同等水準だったら、これは極めて限られた予備試験の合格者しか生むことができない。
 繰り返しますけれども、文部科学省が、国が認可した、さっき言いました固有名詞、もう何度も言いませんけれども、ああいう法科大学院、合格者数が極めて少ない、そこも立派な法科大学院ですよ。そこを出た子供たちと同等の試験内容、そして難易度でないと、私は、さっき大臣の御答弁でおっしゃった公平という点にもとると思うんです。ですから、最も低いと言われている学力水準の法科大学院の修了者と全く同等にしてあげないと、私は、予備試験を設計した理念、思想に反すると思います。

 (中略)

河井克行(自民)委員 七十四校、現に法科大学院があるわけですから、これはすべて法科大学院。ですから、さっき申し上げたような具体的な法科大学院を修了した子供たちの学力水準と同じ水準をはかるために、だって、この人たちは予備試験なんか受けなくても新司法試験を受験できるわけですから、それと公平な立場を与えるという観点ですから、法科大学院上位校、中位校じゃなくて、下位校の修了者と同等にして初めて制度設計が生きてくる。 …法科大学院、三年間、行って来いで二千万近い経済的な負担。でも、うちの方がはるかにいい法曹ができますよと、何で予備試験を突破した人たちと正々堂々同じ土俵で勝負できないのか

(引用終わり)

衆院法務委員会平成24年6月8日議事録より引用。太字強調は筆者。)

河井克行(自民)委員 大臣、法科大学院課程の修了者と同等の力を判定するのが目的ということは、法科大学院を修了した人たちは全員がこの予備試験に合格しないと制度設計が間違っていたことになりますが、いかがでしょうか。

滝実法務大臣 制度の考え方は、恐らくそういうところにあるだろうと思います。

河井克行(自民)委員 ところが、この法科大学院修了生の合格率は何%だったんですか、予備試験で

滝実法務大臣 合格率は五・七%というふうに承知をいたしております。

河井克行(自民)委員 ですから、それは全員合格といっても、体調の不良とかさまざまなことがあるでしょうから、一〇〇%とは私も言いません。言いませんが、一〇〇%近く合格しないといけないという制度設計であるにもかかわらず、五・七%の人しかこの法科大学院を出た人が予備試験に通らない。これはどう考えてもおかしいと考えます…。

 (中略)

河井克行(自民)委員 予備試験を必要以上に難しくしている疑惑もあるんですよ。それは、法科大学院協会からすると、みんな自分たちの学校に行かないでどんどん予備試験に行かれちゃったら困る、経営が今以上に成り立たなくなっていく、そういう理屈でかなりなプレッシャーが当局にあるのではないかという話もあります…もう一つ言いますと、普通の現役大学生の予備試験の合格率は三・三%なんです、職種別の調査によると三・三%なのに、現役法科大学院生は四・二%なんです。わずか〇・九ポイントの合格率の向上のために大枚はたいて時間かけて法科大学院に通うことが強制されているのは全く無意味だということが、私は、この現役大学生、そして法科大学院生の合格率の比較によって明らかになったというふうに思っております。

(引用終わり)

 

 さて、本当に何らかの意図に基づいて、合格者数が増減したということができるのでしょうか。予備試験の論文の結果については、平成25年から平成28年までは、以下の2つの基準によって、合格者数、合格点を説明することができました(「平成29年予備試験論文式試験の結果について(1)」)。

(1)210点に累計で400人以上存在しない場合は、210点が合格点となる。
(2)210点に累計で400人以上存在する場合は、5点刻みで初めて400人を超える点数が合格点となる(「400人基準」)。

 上記の2つの基準には、相応の正当化の理屈がありました。

3.上記の(1)は、「資格試験としてのあるべき運用に配意」すると、210点未満を合格点にするわけにはいかない、という理屈によって正当化される基準です。

 

規制改革推進のための3か年計画(再改定)(平成21年3月31日閣議決定)より引用。太字強調は筆者。)

 法曹を目指す者の選択肢を狭めないよう、司法試験の本試験は、法科大学院修了者であるか予備試験合格者であるかを問わず、同一の基準により合否を判定する。また、本試験において公平な競争となるようにするため、予備試験合格者数について、事後的には、資格試験としての予備試験のあるべき運用にも配意しながら、予備試験合格者に占める本試験合格者の割合と法科大学院修了者に占める本試験合格者の割合とを均衡させるとともに、予備試験合格者数が絞られることで実質的に予備試験受験者が法科大学院を修了する者と比べて、本試験受験の機会において不利に扱われることのないようにする等の総合的考慮を行う。
 これは、法科大学院修了者と予備試験合格者とが公平な競争となることが根源的に重要であることを示すものであり、法科大学院修了者と同等の能力・資質を有するかどうかを判定することが予備試験制度を設ける趣旨である。両者における同等の能力・資質とは、予備試験で課せられる法律基本科目、一般教養科目及び法律実務基礎科目について、予備試験に合格できる能力・資質と法科大学院を修了できる能力・資質とが同等であるべきであるという理念を意味する。

(引用終わり)

 

  予備試験の論文は各科目50点満点で、10科目です(「司法試験予備試験に関する配点について」)。したがって、210点というのは、1科目当たりにすると、21点。これは、一応の水準の下限の数字でした。

 

(「司法試験予備試験の方式・内容等について」より引用。太字強調は筆者。)

(2) 各答案の採点は,次の方針により行う。

ア 優秀と認められる答案については,その内容に応じ,下表の優秀欄の範囲。
 ただし,抜群に優れた答案については,下表の優秀欄( )の点数以上。

イ 良好な水準に達していると認められる答案については,その内容に応じ,下表の良好欄の範囲。

ウ 良好とまでは認められないものの,一応の水準に達していると認められる答案については,その内容に応じ,下表の一応の水準欄の範囲。

エ 上記以外の答案については,その内容に応じ,下表の不良欄の範囲。
 ただし,特に不良であると認められる答案については,下表の不良欄[ ]の点数以下。

優秀 良好 一応の水準 不良
50点から38点
(48点)
37点から29点 28点から21点 20点から0点
[3点]

(引用終わり)

 

 210点未満を合格させてしまうことは、不良の水準でも合格させてしまうことを意味する。それは、「資格試験としてのあるべき運用に配意」すると、許されない、ということです。

4.上記の(2)の「400人基準」は、閣議決定の「予備試験合格者に占める本試験合格者の割合と法科大学院修了者に占める本試験合格者の割合とを均衡させる。」とは、うまく行っていない法科大学院修了者の合格率に予備試験合格者の合格率を合わせるという意味ではなく、法科大学院修了者の合格率を引き上げる方策を検討すべきであるという趣旨であるから、法科大学院がうまく行っていない現状においては、予備試験合格者数をこれ以上増やすべきではない、という理屈によって、正当化される基準でした。

 

規制改革推進のための3か年計画(再改定)(平成21年3月31日閣議決定)より引用。太字強調は筆者。)

 法曹を目指す者の選択肢を狭めないよう、司法試験の本試験は、法科大学院修了者であるか予備試験合格者であるかを問わず、同一の基準により合否を判定する。また、本試験において公平な競争となるようにするため、予備試験合格者数について、事後的には、資格試験としての予備試験のあるべき運用にも配意しながら、予備試験合格者に占める本試験合格者の割合と法科大学院修了者に占める本試験合格者の割合とを均衡させるとともに、予備試験合格者数が絞られることで実質的に予備試験受験者が法科大学院を修了する者と比べて、本試験受験の機会において不利に扱われることのないようにする等の総合的考慮を行う。
 これは、法科大学院修了者と予備試験合格者とが公平な競争となることが根源的に重要であることを示すものであり、法科大学院修了者と同等の能力・資質を有するかどうかを判定することが予備試験制度を設ける趣旨である。両者における同等の能力・資質とは、予備試験で課せられる法律基本科目、一般教養科目及び法律実務基礎科目について、予備試験に合格できる能力・資質と法科大学院を修了できる能力・資質とが同等であるべきであるという理念を意味する。

(引用終わり)

法曹養成制度改革顧問会議第8回会議議事録より引用。太字強調は筆者。)

吉戒修一(元東京高裁長官)顧問 「予備試験合格者に占める本試験合格者の割合と法科大学院修了者に占める本試験合格者の割合とを均衡させる」ということが書いてあるので、これをどう読むかです。・・・今の時点で予備試験合格者に占める本試験合格者の割合は約7割です。それに対し、法科大学院修了者に占める本試験合格者の割合は約3割です。本来、法科大学院修了者の司法試験合格率は7~8割というのが目標ですから、現在は、それにはるかに及ばない、3割という低いところにいるわけです。したがって、これを7~8割までに引き上げるべきと読めるかと思います。これを低減させる方向で、つまり、法科大学院修了者の3割のラインに予備試験合格者の水準も下げるというのはおかしいだろうと思います。

(引用終わり)

法曹養成制度改革顧問会議第9回山根顧問提出資料より引用。太字強調は筆者。)

 予備試験の合格者数に関しては,「規制改革推進のための3か年計画」の存在が問題視されているが、この閣議決定は“両方のルートからの司法試験合格率がどちらも7~8割”となるという形での均衡を言っているのであって、法科大学院修了者の司法試験合格率が3割を切るという当時想定していなかった現状の中で、それに合わせて予備試験合格者を増加すべきと言っているものではないと考える。従って法科大学院制度の改革が進み、修了生が7~8割司法試験に合格できるようになるまでの当面の間は予備試験合格者の数を現状維持、あるいは減少させることが適当であると考える。

(引用終わり)

法科大学院特別委員会(第61回)議事録より引用。太字強調は筆者。)

土井真一(京都大学大学院法学研究科教授)委員  政府の規制改革推進3か年計画の中で、新司法試験の合格率において、予備試験合格者と法科大学院修了者の間で可能な限り差異が生じないようにすべきであると指摘されていますけれども、しかし、これは本来法科大学院が期待されていた役割を十全に果たしているという状況を前提にして、それと比べて予備試験合格者を不公平に取り扱わないという趣旨だったものだと私は理解しております。決して課題を抱えている法科大学院の現状に予備試験を合わせていって、法科大学院が抱えている課題をより深刻にするというようなことを意図しているわけではないと思います。その意味では、対症療法の一つとして、この閣議決定が間違っているというわけではなくて、本来の趣旨というものを適切に理解した上でその運用をお考えいただくということが大変重要なことではないかと思います。

片山直也(慶應義塾大学大学院法務研究科(法科大学院)委員長・教授)委員 仮にこの閣議決定に拘束力があることを前提に、今合格率の均衡を図る必要があるということだとしましても、その方法はいろいろ考えられるわけでありまして、その均衡を達成するために予備試験の合格者数を増やすというのは、これは本末転倒の議論ではないかという印象を受けております。

(引用終わり)

法曹養成制度改革顧問会議第8回会議議事録より引用。太字強調は筆者。)

有田知德(元福岡高検検事長)顧問 私、この前にもお話ししましたように、もう土俵が全く違ってきているのではないかなという感じを持っているのです。ですから、これはこれとして、今、射程範囲を超えた状況にあるわけですから、現状をどうするのかという視点で見た場合、一応、これは横に置いておくという措置しか私はないと。それで、その横に置いておくための理由付けをどうするのかというのをもう少し肉づけした上で、みんなに分かっていただくような方法がいいのではないのか。

橋本副孝(元日弁連副会長)顧問 私としては、現状、国として、法科大学院の卒業生に関して、一方で7~8割は受かるという目標設定をして、それを達成するための施策を立案し、実行している過程にある。他方で、予備試験合格者について、書かれているように法科大学院の卒業生と合格率の点で均衡させることを謳っている。こういう状態なのですから、国としては、この両方の要請を満たす形で考えないと、方針として一貫しないのではないかと思います。
 そういう意味で、両方を整合させて考えるのであれば、低い方の合格率に合わせて全体の制度を設計するというのは・・・前提が違うのではないかと思います。ここからどういう対応策を導くかという議論はあるとは思いますが、ただ、両者の要請があることを前提としたものにしないと政策として一貫しませんし、本来の趣旨が生きないのではないかと考えています。

(引用終わり)

法曹養成制度改革顧問会議第10回会議議事録より引用。太字強調は筆者。)

納谷廣美(前明大学長)座長 現状では、法科大学院修了者の司法試験合格率について、累積合格率が約7割と当初目指していた水準にほぼ達する法科大学院がある一方、累積合格率が全国平均(約5割)の半分未満の法科大学院も相当数あり、全体として法科大学院修了者の約5割(単年では約3割弱)しか司法試験に合格していないことから、法科大学院全体としては大きな課題を抱えており、極めて深刻な事態である。このように認識している。
 一方、平成23年から始まった予備試験については、これまでの実績を見ると、合格者の司法試験合格率が単年で7割程度で推移している。しかし、法務省の公表データ、今日のデータもありますが、自己申告によるものではあるが、予備試験に合格した者のうち法科大学院生と大学生が占める割合は高く、彼らのほとんどが司法試験に合格しており、その現象は増大傾向にあることが読み取られる。上記閣議決定当時には想定されていなかった事態が生じていると思います。このことから、予備試験合格者の司法試験合格率と、法科大学院修了者の司法試験合格率を単純に比較することは適当でないと思います。
 以上の問題状況に鑑みると、法科大学院教育については、その教育内容、水準及び質を早急に根本的に改善・充実させることが必要であるところ、法科大学院制度と予備試験制度との関係が当初想定されていた姿となっていない現状においては、予備試験の合否の判定を現状の法科大学院修了者の水準に合わせることは適当ではない
 こんなところでまとまるかなと思ってペーパーにまとめました。言葉は言い尽せないところもありますし、もう少し付加したいところもあるのですが、おおよそ閣議決定についてはこのように考えていけたらどうなのだろうか。このように顧問会議の御意見を集約させていただいたところでございます。

(引用終わり)

 

 現状では、予備試験合格者の方が、法科大学院修了生よりはるかに合格率が高いですから、合格率均衡の要請は、予備試験合格者を増やす方向で作用します。もっとも、この合格率均衡の要請は、現在のように法科大学院在学生が予備試験を受験できる状況の下では、額面どおりに実行することができないことは明らかです。すなわち、予備試験の合格者を増やすと、その分だけ法科大学院在学生が予備に受かりやすくなり、上位者からどんどん合格していきます。先に予備試験に受かった上位者と、在学中に予備試験に受からなかった法科大学院修了生とを比較するわけですから、両者の合格率が均衡するはずはありません。どんどん予備試験を簡単にしても、その簡単な予備試験にすら受からない修了生と比較すれば、常に予備合格者の合格率の方が高くなるのは当たり前です。結局、合格率均衡とは、際限なく予備合格者を増やすことを意味することになる。その先にあるのは、「予備試験が簡単過ぎて法科大学院在学生が全員合格してしまい、わざわざ法科大学院を修了する人がいなくなる。」という状況です。法科大学院制度を前提とする限り、これは受け入れられない帰結でしょう。上記(2)の「400人基準」は、このような際限のない予備試験合格者の増加を抑制するものといえます。

5.平成29年には、新しい状況が生じます。同年の論文式試験では、210点以上を取った人が累計で1082人いたことから、基準(1)ではなく、基準(2)の「400人基準」 によって合格点が決まるはずでした。ところが、5点刻みで初めて400人を超える点数は250点であるのに、実際の合格点は245点で、 合格者数は469人でした。「400人基準」では、説明が付かないのです。この結果について、当時は、2つの説明が考えられました。1つは、(2)の「400人基準」が、「450人基準」となったのではないか、というもの。もう1つは、合格点の上限を245点にしたのではないか、というものでした。 当時、当サイトでは、前者の説明は、なぜ急に「450人基準」になったのか、という説明が困難ではないか、と考えたのでした。他方、後者の考え方は、「予備試験合格者数が絞られることで実質的に予備試験受験者が法科大学院を修了する者と比べて、本試験受験の機会において不利に扱われることのないようにする」、「予備試験で課せられる法律基本科目、一般教養科目及び法律実務基礎科目について、予備試験に合格できる能力・資質と法科大学院を修了できる能力・資質とが同等であるべきである」とする閣議決定から説明しやすいだろう、と考えたのでした。

 

規制改革推進のための3か年計画(再改定)(平成21年3月31日閣議決定)より引用。太字強調は筆者。)

 法曹を目指す者の選択肢を狭めないよう、司法試験の本試験は、法科大学院修了者であるか予備試験合格者であるかを問わず、同一の基準により合否を判定する。また、本試験において公平な競争となるようにするため、予備試験合格者数について、事後的には、資格試験としての予備試験のあるべき運用にも配意しながら、予備試験合格者に占める本試験合格者の割合と法科大学院修了者に占める本試験合格者の割合とを均衡させるとともに、予備試験合格者数が絞られることで実質的に予備試験受験者が法科大学院を修了する者と比べて、本試験受験の機会において不利に扱われることのないようにする等の総合的考慮を行う。
 これは、法科大学院修了者と予備試験合格者とが公平な競争となることが根源的に重要であることを示すものであり、法科大学院修了者と同等の能力・資質を有するかどうかを判定することが予備試験制度を設ける趣旨である。両者における同等の能力・資質とは、予備試験で課せられる法律基本科目、一般教養科目及び法律実務基礎科目について、予備試験に合格できる能力・資質と法科大学院を修了できる能力・資質とが同等であるべきであるという理念を意味する。

(引用終わり)

 

 245点は、当時の司法試験の合格水準である一応の水準の真ん中に相当する点数なので、予備試験の論文の合格点を245点より高い数字にしてしまうと、上記の閣議決定に合致しないことになる。そのため、245点を予備試験の論文式試験の合格点の上限とすることは、理屈が立ちやすいというわけです。また、過去に論文の合格点が245点を超えたことはなかったことから、これまでの結果とも整合的です。当サイトは、そのようなことから、後者、すなわち、「(2)の基準を適用すると合格点が245点を超える場合には、245点が合格点となる。 」という基準(3)が存在していた、という仮説に立って、説明していたのでした(「平成29年予備試験論文式試験の結果について(1)」)。そして、昨年は、「400人基準」によって説明できる結果だったため、この仮説とも矛盾しないものだったのでした(「平成30年予備試験論文式試験の結果について(1)」)。

6.以上のことを踏まえて、今年の結果をみてみましょう。まず、基準(1)の「210点に累計で400人以上存在しない場合は、210点が合格点となる。 」との関係を調べます。法務省の公表する得点別人員調によると、210点を取った者は864人います。したがって、基準(1)によっては、合格点は決まりません。では、基準(2)との関係は、どうか。以下は、合格点である230点前後の累計人員の抜粋です。

得点 人員
240 349
235 417
230 494
225 571
220 677

 5点刻みで初めて400人を超える点数は、235点です。245点を超えていませんから、上記仮説の基準(3)の「(2)の基準を適用すると合格点が245点を超える場合には、245点が合格点となる。 」によっても、合格点は変わらないはずなのです。ところが、実際は、230点が合格点になっている。このように、今年の結果は、上記の仮説によっては、説明ができないのです。これが、今年の結果の特徴です。

7.そこで、平成29年の時点でもう1つの候補となっていた仮説、すなわち、(2)の「400人基準」が、「450人基準」となったのではないか、という可能性を、再考する余地がありそうです。そのような目で、平成29年以降の合格点付近の累計人員をみてみましょう。太字になっているのが、実際の合格点となった数字です。

平成29年
得点 人員
255 337
250 403
245 469
240 538
235 616

 

平成30年
得点 人員
250 304
245 380
240 459
235 549
230 662

 

令和元年
得点 人員
240 349
235 417
230 494
225 571
220 677

 いずれの年も、5点刻みで初めて450人を超える点数が合格点になっていることがわかります。したがって、「400人基準」が「450人基準」になった、と考えれば、すっきり説明できるのです。昨年の時点で、再考の余地が生じなかったのは、昨年の数字が特殊だったからでした。合格点の5点上の245点の累計人員が380人だったため、「400人基準」でも、「450人基準」でも、説明が付いてしまったのでした。
 以上のことから、「基準(2)は、平成25年から平成28年までは「400人基準」だったが、平成29年以降は「450人基準」になった。」と考えれば、これまでの結果を説明できることがわかりました。このように考えると、平成29年以降の合格者数の増減は、450人前後に存在する累計人員の分布によって生じた結果だったということになります。すなわち、昨年は合格者数を450人に近い数字に抑制しようとしたとか、今年は500人に近い数字にして、来年以降はいよいよ500人を超えるぞ、というメッセージを送ろうとした、などという意図はなく、単なる偶然だったということです。したがって、「昨年までは予備合格者を抑制する方針だったが、今年は500人に近い合格者になった。来年はいよいよ500人を超えてくるだろう。これは河井克行法務大臣の就任の影響に違いない。」などという観測は、適切とはいえないでしょう。

8.上記のように、平成29年以降の数字の増減は、単なる偶然に基づくものですが、平成28年から平成29年になって、「400人基準」が「450人基準」となったことは、単なる偶然ではありません。平成29年の段階で、予備試験の論文合格者を50人程度増やそう、という明確な意思決定があったことを意味します。予備試験合格者数を増やしたいと思う組織はどこかといえば、それは優秀な若手を多く採りたいと願う法務省です。合格者の若年化は、旧司法試験以来からの、一貫した法務省の希望でした。

 

参院法務委員会平成03年04月16日より引用。太字強調は筆者。)

政府委員(濱崎恭生君) 司法試験は、御案内のとおり、裁判官、検察官、弁護士となるための唯一の登竜門としての国家試験でございますが、最近といいますか昭和五十年ごろから急速に、合格までに極めて長期間の受験を要する状況になっております。その状態は大勢的には次第に進行しておりまして、今後放置すればますます進行するということが予想されるわけでございます。 具体的には、現在、合格者の平均受験回数が六回ないし七回。それに伴って合格者の平均年齢も二十八歳から二十九歳ということになっておりまして、二年間の修習を経て実務につくのは平均的に三十歳になってからという実情になってきているわけでございます。そのこと自体大変大きな問題でございますが、そういうことのために法曹となるにふさわしい大学法学部卒業者が最初から司法試験というものをあきらめてしまう、そんな難しい試験は最初からチャレンジしない、あるいは一、二回試験を受けてそれであきらめてしまうというような、いわゆる試験離れの状況を呈しております。これは法曹界に適材を吸引するという観点から大変大きな問題であろうと思っております。
 さらには、合格者の年齢がそういうことから総体的に高くなっていることによって、裁判官、検察官の任官希望者の数が十分に確保できないのではないかという懸念が次第に強くなってきているわけでございます。
 そういうことで、こういう状態は一刻も放置できない、何らかの改革を早急に実現しなければならないということで取り組んでまいったわけでございまして、今回の改正の目的を端的に申しますと、こうした現状を緊急に改善するために、法曹としての資質を有するより多くの人がもっと短期間の受験で合格することができる試験にしようということでございます。もっと短い期間で合格する可能性を高めるということが今回の改正の目的でございます。

 (中略)

 御指摘の合格枠制、若年者にげたを履かせるという御指摘でございました。これが短絡的な発想ではないか、あるいは便宜的ではないかという受け取り方をされがちでございますけれども、こういう改革案を必要とする理由については、先ほど来るる申し上げさせていただきました。やはり合格者を七百人程度に増加させるということを踏まえました上で、もう少し短い期間で合格する可能性を高めるという方策といたしましてはこういう方策をとるほかはない、こういう制度をとらなくてもそういう問題点が解消できるということならばそれにこしたことはないというふうに思っておりますが、この制度はすべての受験者にとってひとしく最初の受験から三年以内は合格しやすいという利益を与えるわけでございまして、決して試験の平等性を害するというものではないと思っております。

(引用終わり)

 

 上記は、旧司法試験で合格枠制、いわゆる丙案を導入する際の議論です。「丙案」という名称は、議論の際に、「甲案」、「乙案」、「丙案」を念頭に議論されていたことに由来します。

 

衆院法務委員会平成元年11月22日より引用。太字強調は筆者。)

○井嶋政府委員 司法試験制度は委員御承知のとおり法曹三者の後継者を選抜いたします事実上唯一の試験でございまして、国家試験の中でも最難関の試験であるというふうに言われておるわけでございますけれども、近年、この試験が非常に異常な状況を呈してまいっておりまして、平均受験回数が六回以上、合格者の平均年齢が二十八・九一歳というようなことに象徴されますように、司法試験の受験を目指す者にとって非常に過酷な試験になっておるという現状があるわけでございます。そういったことから、法曹の後継者を実務家として修練する機会と申しますか、開始する機会が非常に遅くなってきているということもございます。そのような結果、定年制を持ってキャリアシステムで進んでまいります判事、検事につきましては、給源としての問題も非常に出てまいっておるという面もございます。そういったことで、本来法曹三者がバランスよく採用される、登用されるという姿であるべき司法試験が異常な形になってまいっておりますために、そのバランスよく採るという点においても一つの破綻を来しておるということがあるわけでございます。
 そういったところから、法務省といたしましても、まず司法試験の現状を改めて、より多くの人がより早く合格できるような試験制度に改めて、若くて優秀な人たちが司法試験に魅力を感じて受けてもらえるようなものにしたいという観点で改革の提言を行ったわけでございます。そして昨年十二月から一昨日まで十一回、法曹三者協議会でこの問題について討議を重ねてまいりました。その間におきまして、司法試験の抱えております現状と問題点をそれぞれ資料に基づいて分析、検討いたしまして、協議を行ってまいったわけでございます。まだ認識の程度あるいは質において必ずしも全部が一致したというわけではございませんけれども、少なくとも共通項といたしまして、現状の試験を改革する必要性があるという点におきましては認識が大体まとまった。そこで、ではこれからはいかにすべきかということを審議するために、提案者でございますので、法務省としてのたたき台をお示ししようということで、一昨日、司法試験制度改革の基本構想というものを提出したわけでございます。
 それで、今申しましたような経緯でございますので、改革の基本的構想というのは、まさに現在の司法試験に比べまして、より多くの者がより短期間に合格し得るような試験とするということを目途といたしまして、次のような改革の具体的内容を提言いたしました。
 まず、制度上の改革でございます。
 一つは、甲案と申しておりますけれども、司法試験第二次試験におきまして、初めて受験した年から五年以内に限って受験することができる。これは一つの受験資格の制限という方向の改革でございます。したがって、五年以内に連続いたしますと五回受けられる、しかしそれ以上は受けられません、こういう形にする案がまず甲案でございます。
 しかし、それだけで打ち切ってしまいますと、法曹というものは必ずしも若いときだけでなくて、いろいろな社会経験を積んだ後に法曹を目指して司法試験を受ける方も現実におられますし、またそういった方々のキャリアも法曹にとって重要であるというような観点もございますから、これを単に一律に当初から五年連続五回でおしまいだということでは酷であるということで、復活制というものを設けまして、五年引き続いてやって失敗されましたら五年間はお休みいただきます、五年お休みいただきましたら前と同じように、原則と同じように、さらにまた五年間連続受けていただけます、こういうような制度にいたしまして、いわゆる社会経験をされた方で改めて司法試験を目指そうという方にも道を開くということを考えたわけでございます。
 それから、乙案と申しますのは、そういった五年以内連続五回という受験制限の考え方を一応原則といたしまして、合格者数の八割ぐらいに当たるものをそういった五回以内の方々から選ぶ、しかし、現実に現行制度では制限をしておらないわけでございますから、そういった方も将来ともあるだろう、そういうことのために、残りの二割ぐらいの合格者の数につきましては、引き続き六回、七回、十回と受けておられる方の中からでも採るようにしよう、そのぐらいの枠をその方々に提供しよう、ただし、もちろん合格最低点はいわゆる八割の方の合格最低点と同じものにする、こういう考え方が乙案でございます。
 丙案は、これは逆にと申しますか、発想を変えておりまして、現在五百名ばかり採っておるわけでございますけれども、現在の姿をそのまま維持いたしましょう、したがって受験回数制限も一切いたしません、その方々で大体七割くらいを採らしていただきましょう、残りの三割につきまして、今度は受験回数三回以下の方々についてこの枠でもって合格の判定をさせていただきましょう、こういう考え方を示しておるわけでございます。

(引用終わり)

 

 上記の「甲案」が、現在の受験回数制限へと引き継がれていったのでした。ここで重要なことは、上記の議論において、合格者の平均年齢が28歳であることをもって、「非常に異常な状況」と表現されていることです。今年の司法試験における合格者の平均年齢はといえば、28.9歳です。すなわち、法務省からすれば、現在も、「非常に異常な状況」は何ら改善されていない、ということになるわけですね。ちなみに、現在の司法試験制度の導入を検討していた際には、合格者の平均年齢は、概ね24歳、25歳くらいが想定されていました。

 

参院法務委員会平成13年11月06日より引用。太字強調は筆者。)

○佐々木知子君 続いて、法科大学院を修了するための要件として、法学部出身者と他学部出身者とを区別せず、三年の在学期間を原則とすべきであるとの意見もあると聞いております。しかしながら、法科大学院に入学する学生の多くは、実際のところは法学部の出身者であろうと思われるわけです。その場合、学部で四年、大学院でさらに三年、合わせて七年間法律を学ぶということになるわけですね。これでは法曹となるまでの年月が余りに長くなってしまい、多くの有為な若者が法曹を目指すことをちゅうちょしてしまうのではないか。それとともに、頭のやわらかいときに余りにも法律法律と詰め込むことによって、実際は何も融通のきかない頭のかたい若者を育てる結果になってしまうのではないかということを私は非常に憂慮しているものでございますが、法科大学院の在学期間について、法務大臣の見解を求めます。

○国務大臣(森山眞弓君) 法科大学院におきましては、必ずしもいわゆる法学部の出身者だけを頭に置いているわけではございませんで、いろいろな分野の勉強をした若者が法曹を志してもらいたいという気持ちがあるわけでございます。
 司法制度改革審議会意見では、法科大学院における標準修業年限を三年とし、法学既修者、つまり法学部等で法律を勉強した者については、短縮型として二年での修了を認めるべきであるというふうにもおっしゃっているわけでございます。
 また、その教育内容については、厳格な成績評価及び修了認定を不可欠の前提としておりまして、修了者のうち相当程度の者が新司法試験に合格できるように充実したものとするべきであるということも言っております。
 そうしますと、司法試験合格時の年齢はおよそ二十四、五歳ということになろうかと推定されるわけでございますが、一方、現行の司法試験の合格者は、その平均受験期間がおよそ四年から五年となっておりますので、合格時の平均年齢がおよそ二十六、七歳ということが現実でございます。したがいまして、法科大学院制度導入後において、現行制度に比べて法曹資格を取得するまでの期間が長くなるとは必ずしも言えないかと思います。

(引用終わり)

 

 このように、当初の想定よりも合格者の平均年齢が高くなりすぎているので、法務省としては、予備の合格者数を増やして若手を採りたいのです。しかし、これに反対しているのが、法科大学院関係者です。予備試験のせいで法科大学院制度がうまくいっていない、と考えているからです。現在では、マスメディアも概ねそれに近い姿勢で報道しています。「予備試験が抜け道になって、法科大学院制度が危うくなっている。」式の報道は、よく目にすることでしょう。

 

2019年10月1日慶應塾生新聞「2019年司法試験合格者発表 慶大、5年ぶり合格率50%を超え首位返り咲き」より引用)

 今年度の試験でも依然、「予備試験合格者」が強さをみせている。予備試験受験者は年々増加し、今年度合格者数は慶大を抜く315人、合格率は81.8%と初めて8割の大台に乗せ、他大学を大きく引き離した。経済的にロースクールに通うことのできない人を救済する目的で始まった予備試験制度であるが、北居教授は「一発勝負で決まるため、点ではなく線で法曹教育を行う司法試験改革の方針を骨抜きにするものである」と眉をひそめる。

(引用終わり) 

2019/09/29 05:00読売新聞社説「進む法曹離れ 司法の基盤が揺らぎかねない」より引用)

 法科大学院を修了しなくても司法試験の受験資格を得られる予備試験を経て、法曹を目指す人が目立つ。法科大学院で実践的な教育を行い、即戦力を育てるシステムの空洞化は明らかだ。

(引用終わり)

 

 そして、前記4で説明したとおり、そのような反対派によって予備試験合格者数抑制の原理として考え出されたのが、基準(2)の「400人基準」だったのでした。とはいえ、予備試験を直接に所管しているのは法務省なので、法務省がその気になれば、合格者数を増やすことはできそうです(※)が、そのためには、正当化する理屈が必要です。
 ※ 司法試験の合格者数が抑制されてきたのは、従来から法務省が急激な増員に消極的な姿勢をとっていたからです(「合格者増員方針は転換されたと言われているが」)。法務省は、「合格者数は法曹の質という観点から司法試験委員会が独立して決めている。数が増えていないのは質が確保できなかったからであり、仕方がない。」と言いながら、巧みに急激な増員を回避してきたのでした。また、法曹養成制度改革顧問会議において予備試験の受験資格の制限が議論された際に、推進室長など主要な構成員を法務省からの出向者で占める法曹養成制度改革推進室(組織構成に関する資料)がこれに極めて消極的な態度で臨み、受験資格制限の議論を封殺したのでした(「予備試験制度に関する意見の整理等」)。

  平成28年まで、「400人基準」となっていたのは、法務省が合格者数増のうまい理屈を立てられないでいた、ということなのでしょう。 それが、平成29年になって、なぜ、法務省は予備合格者の基準人数を増加させることに成功したのでしょうか。これには、平成29年司法試験の予備組合格率が前年の61.5%から72.5%に急上昇したことが関係していそうです。前記4で説明したとおり、基準(2)の「400人基準」は、予備組とロー生の合格率均衡の要請を骨抜きにするためのものでした。とはいえ、全く無視できるものでもない。法務省は、この予備組の合格率急上昇の機会を捉えて、「ここまで予備組の合格率が急上昇した以上、50人くらいは増員させるべきである。」という理屈を考えたのでしょう。司法試験予備試験考査委員会議の主管省庁及び庶務担当部局課は、法務省大臣官房人事課です(「司法試験予備試験考査委員会議」の「概要」欄を参照)。論文式試験の合格者数を決定する考査委員会議において、法務省の事務局担当者から、「確かに、合格率の均衡は、差し当たりこれを額面どおりに実現することには致しておりませんが、今年の司法試験の結果をみますと、予備試験合格の資格で受験した者の合格率は72.5%にのぼっており、これは昨年の61.5%から11ポイントもの上昇でございます。他方、法科大学院修了の資格で受験した者の合格率はいまだ22.5%にとどまってございます。このことを踏まえますと、基準人数を50名程度増加させるのが相当ではないかと考えまして、今回、450人を基準人数とする合格判定の案をお示しさせて頂いたものでございます。」などと説明され、考査委員としても「50人くらいなら仕方がないか。」となったのかもしれません。

9.以上のような考え方が正しいとすれば、今後も、当面は「450人基準」が採用されることになりそうです。また、予備組の合格率の上昇傾向が続いている(「令和元年司法試験の結果について(8)」)ことを踏まえると、さらに、「500人基準」、「550人基準」というように、基準人数が増加することも、ないとはいえないと思います。

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