2018年06月17日

平成30年予備試験短答式試験の結果について(2)

1.以下は、直近5年の科目別平均点の推移です。一般教養だけは60点満点ですから、比較のため、括弧内に30点満点に換算した数字を記載しました。


平成
26年
平成
27年
平成
28年
平成
29年
平成
30年
憲法 17.8 17.3 17.6 16.7 16.8
行政 12.7 15.6 14.8 12.4 12.4
民法 17.7 16.9 16.3 16.3 14.7
商法 15.0 13.7 12.0 14.3 12.8
民訴 16.2 14.7 15.6 13.1 14.7
刑法 14.1 16.9 17.5 17.3 15.7
刑訴 12.4 15.5 16.5 15.3 16.1
教養 31.5
(15.75)
28.1
(14.05)
24.3
(12.15)
24.5
(12.25)
27.3
(13.65)
合計 137.3 138.7 134.6 130.0 130.5

 全体の平均点は、昨年より若干上昇したとはいえ、ほぼ変わらずといってよいでしょう。昨年は、従来の最低平均点だった平成23年の130.7点をさらに下回り、過去最低の平均点でした。今年も、昨年と同様、過去最低水準の平均点だったことになります。
 科目別の平均点をみると、昨年とほぼ変化がないのが憲法、行政法難化したといえるのが民法、商法、刑法易しくなったといえるのが、民訴、刑訴という感じになっています。憲法、民法は比較的点が取りやすく、行政法と商法は点が取りにくく、刑法、民訴、刑訴、一般教養は年によって変化が大きいというのが例年の大まかな傾向なのですが、それとの関係でいえば、今年は、民法で点が取りにくかったことがやや例外的で、それ以外は例年の傾向どおりであったといえるでしょう。

2.一般教養とそれ以外の法律科目との関係は、短答の学習戦略を考える上で、重要なポイントとなります。以下は、一般教養でどのくらいの得点を取ると、短答合格のために法律科目で1科目当たり何点を取る必要があるか、ということをまとめたものです。

一般教養
の得点
法律科目
1科目当たりの
得点
60点
(満点)
(今年の最高得点)
14.2点
54点
(9割)
15.1点
48点
(8割)
16.0点
42点
(7割)
16.8点
36点
(6割)
17.7点
30点
(5割)
18.5点
27.3点
(今年の平均点)
18.9点
12点
(実質零点)
21.1点

 今年の一般教養トップは、満点の60点でした。一般教養で満点が取れると、法律科目は5割未満でも合格できます。9割の54点でも、法律科目は5割強で合格できる。ただ、このような受かり方は推奨できません。そもそも一般教養で9割以上取ることが難しい、というだけでなく、合格した後の司法試験で苦しむことになりやすいからです。
 逆に、一般教養が12点で、法律科目を7割(21点)以上取って合格というのは、十分にあり得る戦略だと思います。一般教養はすべて5択ですから、デタラメに選んでも大体2割は取れてしまう。12点を、「実質零点」と表現しているのは、そのためです。つまり、これは一般教養を完全に捨てる戦略といえます。その上で、法律科目はガチガチに固めて7割以上を取る。これは、簡単とは言いませんが、決して不可能ではないことです。予備の段階で短答の知識をガチガチに固めておけば、その後の司法試験の学習が非常に楽になります。「司法試験は憲民刑以外の科目に短答がないのに、そこまでする意味があるの?」と思うかもしれませんが、短答の知識があると、論文の事例分析を速く、正確に行うことができるようになります。一般教養は、範囲が広すぎて対策を取ろうと思っても難しいということを考えると、中途半端な一般教養対策をするくらいなら、「法律科目7~8割」を目指す方が、予備の短答対策としては得策だろうと思います。予備の場合は、短答と論文の間に2か月程度の余裕があることも、この戦略を採りやすくしています。短答まではひたすら短答知識を詰め込んで、短答終了後にすばやく規範の詰め込みと答案の速書きの練習に切り替えれば、何とか間に合うだけの時間的余裕があるというわけです。
 もっとも、実際には、一般教養の対策を何もしていなくても、大学入試時代の知識や、たまたま知っている英語や時事的な知識等で解ける問題、それから、毎年2問程度出題される論理問題(今年は第10問、第11問)を拾っていけば、30点くらいは取れることが多いでしょう。一般教養で30点を確保できれば、法律科目は6割強を取れば合格できます。とはいえ、それでも6割強は必要ですから、やはり、法律科目で安定して7割以上を取れる実力は付けておく必要があるといえるでしょう。その意味でも、「法律科目7~8割」は、予備短答における王道の目標といえるのです。

3.「法律科目7~8割」を目指すためには、何をすればいいか。当サイトは、肢別問題集を解く、ということで、議論の余地はないと考えています。短答は、過去問で問われた知識が繰り返し問われるのが特徴です。ですから、まずは過去問ベースの肢別問題集を解く。市販されているものとしては、「肢別本」が有名です。
 肢別問題集を解く際には、単に正誤を答えられる、というだけでなく、それが判例なのか、条文なのか、学説なのか、誤っている肢は、正しくはどのような内容となるか、そういったことまで、答えられるようにすることが必要です。そこまで答えられて、初めて「正解」したといえます。目標は、全肢3回連続正解ですが、予備は学習期間が限られる上に7科目あるので、時間的にそこまで詰めるのは難しいかもしれません。短答当日までにできる限り詰める、という感覚でよいのだろうと思います。そして、短答終了直後に一気に論文に切り替える。短答の学習で、基礎的な知識は頭に入っているはずなので、論文対策は、主として規範の記憶と時間内に答案を書き切る訓練に特化して行うことになる。これは、短答と論文の間の2か月でギリギリやれるだろうと思います。
 短答はひたすら肢別問題集をやればいい、という当サイトの立場に対しては、批判的な意見も案外あるものです。例えば、「肢別問題集だけでは網羅性がないので基本書やテキストを読むべきだ。」という考え方もあるでしょう。しかし、これはなぜ肢別問題集が有効か、ということを理解できていません。短答は、過去問で出た知識が繰り返し出題されます。「過去に出た知識はもう出ないのではないか。」と思う人もいるかもしれませんが、そうではないのです。過去問ベースの肢別問題集は、過去問で出た肢をダイレクトに習得できるので、効率がよいのです。つまり、「過去問で出たところに特化し、網羅性がないこと」こそが、過去問ベースの肢別問題集の長所なのですね。基本書やテキストを読む勉強法だと、短答で繰り返し出題されている部分がどこなのか、わからないまま漫然と学習することになりやすい。「基本書やテキストに過去問で出題された部分をマーカーしておき、それを見直すという勉強法ならいいはずだ。」と言う人もいるかもしれませんが、過去問で出題されたものを確認してマーカーを引く時間があれば、既に過去問ベースで肢別に整理された問題集を解いた方がよいでしょう。また、知識はただ眺めているだけでは、頭に入ってきません。肢単位で正誤を考えるという作業をして初めて、うっかりしやすいポイントなどがわかるのです。基本書やテキストは、肢別問題集を解く前のざっくりした知識の確認や、間違った肢の知識の確認に使う程度にした方がよいと思います。ただ、憲法判例に関しては、過去問ベースの肢別問題集だけでは少し足りないかもしれません。司法試験の場合は、当サイトでも論文の学習を兼ねて判例の原文を読むことを推奨しています(「平成30年司法試験短答式試験の結果について(2)」)。ただ、予備の場合は、短答と論文の試験日にブランクがあり、短答と論文の学習期間が分離しやすいので、短答学習段階でじっくり判例原文を読む時間的余裕は、あまりないように思います。間違えた判例問題の肢を確認する際に、原文も確認してみる、という程度でもやむを得ないかな、という印象です。
 また、「過去問を解けばいいから、肢別問題集は不要である。」という意見もあるでしょう。過去問を解くのは、基本書やテキストで勉強するよりは効率的です。しかし、設問ごとの正解・不正解ということになるので、肢ごとの緻密な知識のチェックがやりにくいのです。「それぞれの肢ごとにきちんと記録を残していけば、過去問を解く方法でもいいはずだ。」という意見もあるでしょうが、それなら最初から肢ごとに整理されたものを使った方が速いでしょう。なお、時間を測って本試験と同じ時間内に解く、という訓練は、予備校の模擬試験を何回か受ける程度で十分だろうと思います。現在の短答では複雑な論理問題は出題されないので、試験時間全体を設問の数で割った1問当たりの時間を把握しておけば、それほど時間配分で困ることはないからです。それから、「本試験は肢の組み合わせで解くことが前提だから、肢ごとにバラしてしまっては意味がない。」という意見もあります。これは、主として旧司法試験時代の合格者に多い意見です。確かに、旧司法試験時代は、肢の組み合わせで解くことが前提の出題がされていて、わざと正誤がわからない肢が入ったりしていました。また、刑法を中心として、複雑な論理問題が出題された関係で、時間を節約するテクニックとして、「すべての肢を見ないで早く正解する。」ということが必要だったのです。そういった理由があったので、当時としては、肢の組み合わせで解く訓練をした方がよい、という指導がされ、それは正しかったのです。しかし、現在では、民事系以外では肢の組み合わせで解ける形式ではなくなっていますし、民事系も、旧司法試験時代のような肢の組み合わせを前提にした出題は、あまりされていないように思います。また、複雑な論理問題も出題されなくなりましたから、「すべての肢を見ないで早く正解する。」というよりは、「すべての肢を確認してケアレスミスをなくす。」ことの方が重要になっています。ですので、現在では、肢ごとに正誤を判断する訓練をしておけば十分だろうと思います。
 そして、非常に多いのが、「肢別問題集のような安易な方法で力が付くはずがない。もっと本質を理解する勉強をするべきだ。」というもので、大学教授やローの教官だけでなく、予備校の講師でも、このようなことを言う人はいるようです。これは、具体的な根拠を欠く主張であって、考慮するに値しないことは明らかなのですが、意外とこのような言説に惑わされる受験生が多いことも事実です。このような言説に出会ったなら、その人が短答の出題形式や出題傾向をどの程度踏まえているか、その人の推奨する勉強法で得点が取れるメカニズムはどのようなものか、それは現実味があるか、というようなことを、考えてみるとよいでしょう。短答試験の肢は、本質に遡って考えると、○とも×ともいえる、というものが結構あります。本質に遡って一生懸命考える人は、○×を判断できず、無駄に迷うことになる。このような場合、「この肢は過去問で誤りの肢として出題されていたのだから、×だよね。」と素早く判断できる方が、はるかに楽に受かります。たとえ本質を理解していても、○×を短時間で正確に判断できなければ、短答には合格できない、ということを、肝に銘じておくべきでしょう。

4.予備試験の短答式試験は、法律科目だけでも7科目あります。肢別問題集を解きまくるという勉強法に特化したとしても、膨大な時間がかかります。ですから、できる限り、早い段階で着手する必要がある。来年の予備試験の受験を考えているのなら、今から着手しなければ間に合いません。短答は、時間を掛ければ、素直に得点に結び付きます。その時間をいかに確保するか、毎日の生活の中で、上手に時間を作っていけるかどうかということも、合否を分ける1つのポイントになるでしょう。

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2018年06月14日

平成30年予備試験短答式試験の結果について(1)

1.平成30年予備試験短答式試験の結果が公表されました。合格点は160点合格者数は2612人受験者合格率は23.4%でした。

2.以下は、合格点、合格者数等の推移です。

受験者数 短答
合格者数
短答
合格率
短答
合格点
23 6477 1339 20.6% 165
24 7183 1711 23.8% 165
25 9224 2017 21.8% 170
26 10347 2018 19.5% 170
27 10334 2294 22.1% 170
28 10442 2426 23.2% 165
29 10743 2299 21.3% 160
30 11136 2612 23.4% 160

 平成25年から平成28年まで、短答合格者数は一貫して増加していましたが、昨年は減少に転じました。これだけをみると、何か意図的な合格者数の増減のようにみえます。しかし、実は、「2000人基準」、すなわち、「5点刻みで、最初に2000人を超えた得点が合格点となる。」というルールを形式的に適用した結果、偶然そうなったというだけだったのでした(「平成29年予備試験短答式試験の結果について(1)」)。今年は、昨年よりも、合格者数が313人も増加しています。これも、「2000人基準」を適用した結果、偶然そうなったのでしょうか。

3.以下は、法務省の得点別人員から、合格点である160点から170点までの人員をまとめたものです。

得点 人員 累計
人員
170 80 1727
169 76 1803
168 86 1889
167 93 1982
166 91 2073
165 68 2141
164 100 2241
163 90 2331
162 85 2416
161 87 2503
160 109 2612

 今年は、「5点刻みで、最初に2000人を超えた得点」は、165点です。ですから、「2000人基準」を適用するなら、165点が合格点となっていたはずです。それが、そうはなっていない。上記の数字をみると、今年の合格点である160点は、「5点刻みで、最初に2500人を超えた得点」になっていることがわかります。このことから、どうやら従来の「2000人基準」は、「2500人基準」になったようだ、という推測が成り立ちます。このように、今年の合格者数の増加は、従来どおりの基準を適用したら偶然そうなった、というのではなく、意図的に従来より500人程度増やそうとしてそうなったのだ、ということになります。平成25年から平成28年までの合格者数の増加とは、意味が全く異なるのです。

4.なぜ、短答の合格者数を増やしたのか。この背後には、昨年初めて明らかになった、論文式試験の合格点における「245点の上限」の存在があります。従来は、5点刻みで初めて400人を超える点数が合格点となる、という、「400人基準」によって、論文の合格者数は400人強に抑制されていました。それが、昨年、「245点の上限」という考え方によって、突破されたのでした。

 

(「平成29年予備試験論文式試験の結果について(1)」より引用)

 予備合格者を増やすための理屈という点でありそうなのが、「合格点の上限を245点にしたのではないか。」という仮説です。以下は、これまでの予備論文式の合格点の推移です。


(平成)
論文
合格点
23 245
24 230
25 210
26 210
27 235
28 245
29 245

 これをみるとわかるように、予備試験の論文で、合格点が245点を超えたことは一度もないのです。この245点は、意味のある数字です。

 

(「司法試験予備試験論文式試験の採点及び合否判定等の実施方法・基準について」より引用。太字強調は筆者。)

(2) 各答案の採点は,次の方針により行う。

ア 優秀と認められる答案については,その内容に応じ,下表の優秀欄の範囲。
 ただし,抜群に優れた答案については,下表の優秀欄( )の点数以上。

イ 良好な水準に達していると認められる答案については,その内容に応じ,下表の良好欄の範囲。

ウ 良好とまでは認められないものの,一応の水準に達していると認められる答案については,その内容に応じ,下表の一応の水準欄の範囲。

エ 上記以外の答案については,その内容に応じ,下表の不良欄の範囲。ただし,特に不良であると認められる答案については,下表の不良欄[ ]の点数以下。

優秀 良好 一応の水準 不良
50点から38点
(48点)
37点から29点 28点から21点 20点から0点
[3点]

(引用終わり)

 

 予備試験では、一応の水準は28点から21点までの得点です。ですから、一応の水準の真ん中の数字は、(21+28)÷2=24.5点。予備試験の論文は各科目50点満点で、10科目です(「司法試験予備試験に関する配点について」)。したがって、各科目がそれぞれ一応の水準の真ん中である24.5点であるなら、全科目合計で245点となるわけです。
 このように、245点は、一応の水準の真ん中に相当する点数である。現在、司法試験の論文の合格点は、概ね一応の水準の真ん中よりやや下の水準となっています(「平成29年司法試験の結果について(5)」)。仮に、予備試験の論文の合格点を245点より高い数字にしてしまうと、「一応の水準より高い水準を予備試験に要求しているだけでなく、本体である司法試験の合格水準よりも高い水準を要求している」ことになってしまいます。これは、「予備試験合格者数が絞られることで実質的に予備試験受験者が法科大学院を修了する者と比べて、本試験受験の機会において不利に扱われることのないようにする」、「予備試験で課せられる法律基本科目、一般教養科目及び法律実務基礎科目について、予備試験に合格できる能力・資質と法科大学院を修了できる能力・資質とが同等であるべきである」とする閣議決定に合致しないでしょう。

 

規制改革推進のための3か年計画(再改定)(平成21年3月31日閣議決定)より引用。太字強調は筆者。)

 法曹を目指す者の選択肢を狭めないよう、司法試験の本試験は、法科大学院修了者であるか予備試験合格者であるかを問わず、同一の基準により合否を判定する。また、本試験において公平な競争となるようにするため、予備試験合格者数について、事後的には、資格試験としての予備試験のあるべき運用にも配意しながら、予備試験合格者に占める本試験合格者の割合と法科大学院修了者に占める本試験合格者の割合とを均衡させるとともに、予備試験合格者数が絞られることで実質的に予備試験受験者が法科大学院を修了する者と比べて、本試験受験の機会において不利に扱われることのないようにする等の総合的考慮を行う。
 これは、法科大学院修了者と予備試験合格者とが公平な競争となることが根源的に重要であることを示すものであり、法科大学院修了者と同等の能力・資質を有するかどうかを判定することが予備試験制度を設ける趣旨である。両者における同等の能力・資質とは、予備試験で課せられる法律基本科目、一般教養科目及び法律実務基礎科目について、予備試験に合格できる能力・資質と法科大学院を修了できる能力・資質とが同等であるべきであるという理念を意味する。

(引用終わり)

 

 司法試験予備試験考査委員会議の主管省庁及び庶務担当部局課は、法務省大臣官房人事課です(「司法試験予備試験考査委員会議」の「概要」欄を参照)。法務省の事務局担当者から、上記のような説明をされた上で、「以上のような予備試験制度の趣旨及び閣議決定の趣旨を踏まえますと、合格点の上限は245点とするのが適当と思われますがいかがでしょうか。」などと言われれば、考査委員としても「なるほどそうだよな。」となりやすいでしょう。しかも、少なくとも今年に関しては、合格点を245点としても急激に合格者数が増えるわけではないので、特段反対する理由もない。そういうことで、今年の合格点は245点となったのではないか。仮に、この仮説が正しいとすると、従来の基準には、実は以下のように(3)が存在した、ということになります。

(1)210点に累計で400人以上存在しない場合は、210点が合格点となる。
(2)210点に累計で400人以上存在する場合は、5点刻みで初めて400人を超える点数が合格点となる(「400人基準」)。
(3)ただし、上記(2)を適用すると、合格点が245点を超える場合には、245点が合格点となる。

 この上記(3)によって、従来は400人強に抑えられていた合格者数が、理屈の上では青天井となったことになります。これは、予備の合格者数を増やしたい法務省としては、1つの大きなブレークスルーといえます。そして、受験生の側からすれば、今後も、「一応の水準の真ん中」さえクリアすれば合格できることを意味することになるのです。来年以降、合格点が245点を超えることがあるかどうか、注目されます。

(引用終わり)

 

 今年の短答式試験の結果は、論文式試験における合格者数が、今年も400人を大きく超えるであろうことを見越したものといえそうです。

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2018年06月13日

平成30年司法試験短答式試験の結果について(4)

1.司法試験の合否は、短答と論文の総合評価によって決まります。今回は、短答でどのくらいの点数を取ると、論文でどのくらい有利になるのか、すなわち、短答の論文に対する寄与度をみていきます。
 総合評価の計算式は、以下のとおりです(「司法試験における採点及び成績評価等の実施方法・基準について」)。

 総合評価の得点=短答式試験の得点+(論文式試験の得点×1400÷800)

 これを見るとわかるとおり、短答の得点は、そのまま総合得点に加算されますが、論文は、800分の1400、すなわち、1.75倍になって総合得点に加算されます。したがって、論文の1点は、総合評価では、短答の1.75点に相当するわけです。
 総合評価に占める比重という点からいうと、短答は175点満点がそのまま総合評価の加算対象となるのに対し、論文は、論文段階では800点満点だったものが、総合評価では1400点満点となるために、総合評価段階での短答:論文の比重は、1:8となります。論文は、憲法、行政法、民法、商法、民訴法、刑法、刑訴法、選択科目の8科目。1:8という比重からすると、短答は9個目の科目である、という位置付けも可能でしょう。無視できるほど小さくはないけれども、選択科目と同じくらいと考えると、あまり過大視もできない、という感じです。その意味では、「短答の勉強と論文の勉強」というように、短答と論文を対等に位置付けるのは、やや短答を過大視しているといえるでしょう。もっとも、「選択科目と同じ比重なんだから、選択科目と同じくらいの勉強量でいいや。」などと言っていると、短答段階で不合格になってしまいかねません。この辺りが、短答の学習計画を考える際の難しさといえます。
 とはいえ、上記の比重を考えると、少なくとも短答の合格ラインを安定して超えるレベルになって以降は、積極的に短答の学習をするメリットは薄そうだ、ということが感じ取れます。

2.短答と論文の比重という点では、短答の寄与度は低そうだ、という印象でした。ただ、短答は、論文と違って、高得点を取りやすいシステムになっています。このことを考慮して、もう少し具体的に考えてみましょう。
 論文で、満点の75%といえば、優秀の水準を意味します。これは、現実には取ることが極めて難しい点数です。これに対し、短答における満点の75%(概ね131点)とは、今年の順位にすると1503位に相当します。これは、それなりに短答に自信のある人なら、普通に取れる点数です。また、論文には得点調整(採点格差調整)があります。これによって、強制的に、標準偏差が各科目の配点率(現在は10に設定されている。)に抑えられてしまいます。短答には、このような抑制機能を有する得点調整のようなシステムはありません。このように、短答は、論文よりも稼ぎやすいといえるのです。
 ただし、短答で高得点を取っても、単純に総合評価でそれだけ有利になる、というわけではないことに注意が必要です。短答合格点未満の点数の人は、総合評価段階では存在し得ないからです。今年でいえば、108点未満の人は、そもそも総合評価の段階では存在しない。ですから、例えば、短答で150点を取ったとしても、総合評価で150点有利になるわけではないのです。有利になるのは、最大でも、150-108=42点だけです。しかも、それは短答ギリギリ合格の人と比べて、という話です。今年の短答合格者平均点である128.1点の人と比べると、150点を取っても、150-128.1=21.9点しか有利になりません。 しかも、総合評価の段階で、論文の得点は1.75倍になりますから、短答の得点を論文の得点に換算する場合には、1.75で割り算することになります。そうすると、短答における21.9点というのは、論文の得点に換算すると、12.5点程度ということになる。このように、短答は点を取りやすいとはいっても、それが論文に寄与する程度は、限定的なものになってしまうのです。

3.実際の数字でみてみましょう。短答でどのくらいの水準の得点を取れば、短答ギリギリ合格の人(108点)や、短答合格者平均点の人(128.1点)に対して、論文で何点分有利になるのか。以下の表は、これをまとめたものです。

短答の
水準
得点 最下位
(108点)
との論文での差
短答合格者平均
(128.1点)
との論文での差
トップ 167 33.7点 22.2点
100番 152 25.1点 13.6点
500番 142 19.4点 7.9点
1000番 136 16.0点 4.5点
合格者平均
(1822番)
128.1点 11.4点 ---

 短答でトップを取ると、短答ギリギリ合格の人に、論文で33.7点のアドバンテージを取ることができます。これが、短答で付けることのできる最大のアドバンテージです。これは、どのくらい大きいのか。論文1科目の設問が3つある場合には、おおよそ設問1個分に当たります。また、論文は8科目ですから、33.7を8で割ると、33.7÷8≒4.2点。1科目当たり、おおよそ4.2点有利になる、という感じです。トップを取って、しかも、短答最下位の人と比べても、この程度しか論文で有利にはならない、ということです。論文では、4点程度の得点は、論点を1つ落としてしまったり、重要な当てはめの事実をいくつか落としてしまったりすると、簡単にひっくり返ってしまうものです。
 現実に、上位を狙って勉強をして、それなりに安定して取ることができそうなのは、500番くらいだろうと思います。しかも、そのような上位を狙える人は、論文で短答最下位の人と合否を争うことは考えにくい。このように考えてみると、現実的に短答を勉強するメリットを考える場合に考慮すべきなのは、500番と短答合格者の平均との差ということになると思います。これは、たったの7.9点です。論文8科目で割り算をすると、1科目当たり1点程度の差でしかありません。これが、現実的な短答における論文の寄与度なのです。

4.このように、短答の寄与度は、それほど大きくありません。ですから、「短答でぶっちぎりの得点を取って、逃げ切る。」などという戦略は、あり得ないのです。とはいえ、短答を軽視していいかといえば、そうでもない。その理由は2つあります。
 1つは、憲民刑3科目になってからの短答は、油断すると簡単に不合格になる、ということです。確実に短答をクリアするには、実際にはかなりの時間を投入する必要がある。上記の総合評価における寄与度は、あくまで短答に確実に受かることが前提だということを、忘れてはいけません。
 それからもう1つは、短答の知識が、論文を書く際の前提知識となる、ということです。短答レベルの知識があやふやな状態では、論文の事例を検討していても、正しく論点を抽出することができません。ですから、短答合格レベルに達するまでは、短答の学習を優先することに意味があるのです。
 以上のことからいえることは、「短答に確実に合格できる水準までは、短答の学習を優先すべきである。」ということと、「短答に確実に合格できる水準になったならば、短答は現状の実力を維持する程度の学習にとどめ、論文の学習に集中すべきである。」ということです。この優先順位に従って学習をするためには、できる限り早く短答の学習に着手する必要があります。短答の学習に着手する時期が遅いと、短答合格レベルに達する前に、論文の学習に着手せざるを得なくなってしまいます。そうなると、どちらも中途半端なまま、本試験に突入してしまう、ということになりやすい。短答の学習は、未修者であればローに入学してすぐに着手する。既修者であれば、法学部在学中にも、着手しておくべきでしょう。今年、短答で不合格になった人は、今すぐ着手しなければ、来年までに間に合いません。短答の知識は、定着させるまでにかなり時間がかかるものの、一度定着するとなかなか忘れない、というのが特徴です。今年の予備組の短答受験者合格率は、99.5%です。433人が受験して、2人しか落ちていない。このことは、一度実力を付ければ、短答は安定して結果が出せることを示しています。
 短答合格レベルに達するまでに必要な膨大な勉強量を確保し、やり抜く
。これは、司法試験に合格するための前提となる第一関門なのです。これをクリアした先にあるのが、「受かりにくい者は、何度受けても受からない」法則のある恐怖の論文です。どんなに勉強量を増やしても、受かりにくい人は成績が全く伸びない。この論文の壁に苦しんでいる人にとっては、勉強量さえ確保できればクリアできる短答は、とても楽な試験だと感じられることでしょう。しかし、その勉強量の確保さえできない人も、実際にはかなりいるのです。

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司法試験定義趣旨論証穴埋問題集(物権)
司法試験定義趣旨論証集(物権)
司法試験平成26年最新判例ノート
司法試験論文用平成26年会社法改正対応教材
司法試験定義趣旨論証穴埋問題集(民法総則)
司法試験定義趣旨論証集(民法総則)
司法試験定義趣旨論証穴埋問題集(刑法各論)
司法試験定義趣旨論証集(刑法各論)
司法試験定義趣旨論証穴埋問題集(刑法総論)
司法試験定義趣旨論証集(刑法総論)
司法試験平成25年判例肢別問題集
司法試験平成25年判例論証穴埋問題集
司法試験平成25年判例論証集
司法試験定義趣旨論証集(行政法)

  【最新ニュース・新刊書籍紹介】
司法試験予備試験用六法 平成30年版
平成30年司法試験予備試験短答式試験一般教養科目における出題の誤りについて
平成30年司法試験予備試験短答式試験の結果等
警察官のための憲法講義【補訂三版】
【第71期司法修習生対象】愛知県弁護士会主催の第2回就職説明会(7月27日)のご案内
平成30年司法試験予備試験論文式試験印刷物・審査用答案等の搬送業務の請負 一式
概説 憲法コンメンタール
民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について
18歳から成人で消費者被害増か 弁護士が懸念点を挙げる
憲法101問〈第1次改訂版〉 (昇任試験シリーズ 1)
法科大学院がピークの半分に 人気低迷、募集停止相次ぐ
司法予備試験で出題ミス=法務省
行政法理論と憲法
近畿大、法科大学院の募集停止=定員割れ続き
近畿大 法科大学院の募集停止 19年度から
国際人権法 (法律学の森)
懲戒処分 遺言を無視した弁護士、業務停止2カ月 /静岡
高まる精度、冤罪の危険も=刑事裁判のDNA鑑定・袴田事件
改訂版 はじめての憲法
袴田事件再審目指し支援者ら一丸
弁護士2.0「法×テクノロジー」で旧態モデル変えるベンチャー法律事務所「ZeLo」
事例問題から考える憲法 (法学教室ライブラリィ)
日本初のセクハラ訴訟「原告A子」と呼ばれて…「声をあげる女性は間違っていない、そう伝えたい」
東京地裁 「刑事免責」で証言へ 覚醒剤密輸、共犯被告
通信の自由と通信の秘密-ネットワーク社会における再構成
元保護者会長に死刑求刑=検察側「特異で冷酷」-千葉小3女児殺害・地裁
平成30年司法試験(短答式試験)の結果等
平成30年司法試験予備試験短答式試験受験状況
法学セミナー 2018年 07 月号
法科大学院の募集停止 横浜国立大
神奈川の法科大学院、ゼロに…横国大も募集停止
法科大学院試験六法[2019年度入試対応版]
裁判官の国民審査、国側争う姿勢 在外邦人投票権訴訟で、東京地裁
同性婚のケーキ作り拒否 米最高裁が「差別」判決を破棄
刑罰権の淵源
同性婚のウェディングケーキ、拒否したケーキ店が勝訴。米最高裁の判断とは
「同性婚ケーキ」裁判、サービス拒否の店主勝訴 米最高裁が判決
一問一答 平成28年刑事訴訟法等改正 (一問一答シリーズ)
「選択的夫婦別姓を実質的に実現することは許されない」 夫婦別姓訴訟、国が反論
「強い偏見で判断した薄っぺらな決定」 袴田弁護団憤る
接見交通権の理論と実務
再審開始取り消した大島裁判長 過去に横浜事件で免訴
高裁「DNA型鑑定、信用できぬ」 袴田さん釈放は維持
裁判例コンメンタール刑事訴訟法
検察粛々「犠牲者のことも考えるべき」
袴田さん姉「残念です」 再審開始取り消しに支援者憤る
警察官のための刑法講義〔第ニ版〕
袴田さん、今も拘禁反応 釈放後初めて書いた「幸せ」
「袴田」再審棄却 鑑定への評価が明暗を分けた
工藤北斗の実況論文講義 刑法
袴田事件、再審認めず 「とことん手続き尽くし特別抗告」弁護団一問一答
袴田事件、再審認めず 「振り出し」「考えられぬ」朗報信じた支援者落胆
判例講座 刑事訴訟法(公訴提起・公判・裁判篇)
死刑・拘置の執行停止を維持 袴田事件で東京高裁
認知症の賠償保険料負担 久留米市が議会へ提案
刑務所には時計がない―大学生が見た日本の刑務所
父子の確証 嫡出推定の知恵 民法、根強い「家制度」の影響
委任装い和解金受け取る 岐阜の弁護士を懲戒 
刑事訴訟法の基本
無戸籍 県内に9人、法務局調査 弁護士会と支援協設立 /奈良
他人のPC「借用」仮想通貨計算 ウイルスか合法技術か
刑事訴訟法基本判例解説(第2版)
福岡・博多のタクシー暴走 「踏み間違えた」聞いた 目撃者が証言 地裁公判
松戸の女児殺害 裁判長、専門用語に苦言 検察に「わかりやすく」 公判 /千葉
GPS捜査とプライバシー保護: 位置情報取得捜査に対する規制を考える
福岡地裁 性犯罪被害者の女性氏名、被告が叫び退廷
検事の仕事に関する説明会・体験会の開催について
受験新報 2018年 07 月号
【東京】司法試験受験者のための就職活動スタートダッシュセミナー!(総論編)
【東京】司法試験受験者のための就職活動スタートダッシュセミナー!(各論編)
法学教室 2018年 06 月号
【東京】司法試験結果発表後の進路にお悩みの方へ。これからの方向性を決める為の個別相談会
【名古屋】≪司法試験受験者対象≫試験結果を踏まえて今後の進路について考える個別相談会
ジュリスト 2018年 06 月号
「企業法務のプロである弁護士」から学べる就職合同説明会を弁護士ドットコムが6月6日に開催
著作権法の一部を改正する法律
試験勉強の「壁」を超える50の言葉
全国初、令状取得のGPS捜査裁判 検察が懲役12年を求刑 千葉地裁
司法取引1日スタート 経済犯罪を想定、対応急ぐ企業 
警察官のための刑法講義〔第ニ版〕
司法試験委員会 第139回会議(平成30年3月26日)
最高裁判事の宿舎削減へ 一等地なのに入居者ゼロ
よくわかる刑法[第3版] (やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ)
「やるだけのことやった」=設立者の岡村弁護士-犯罪被害者の会、来月解散
三田の野焼き問題 市の法解釈「妥当でない」 「例外」巡り、オンブズ調査結果 /兵庫
刑事政策 第2版
愛知・大府市 公文書で「徘徊」使わず 「認知症理解深めて」
結婚前のルールづくり、婚前契約書ってなに?〜「諦めを知らない男」弁護士・佐藤大和
司法試験にまさかの一発合格!? ずるい勉強法とは…「諦めを知らない男」弁護士・佐藤大和
警察政策 第20巻(2018)
【1円訴訟】ハリルの新相棒は、超ド級エリート女性弁護士~フランス育ち、東大卒
「黙秘されて、罪に問えなかった…」娘を失った遺族が直面した司法の不条理
刑法各論 第5版(大谷實)
改正望まれる「少年法」の年齢引き下げ
大量懲戒請求された弁護士の提訴予告は「品位失う非行」 市民団体代表の男性が懲戒請求
刑法総論 第5版(大谷實)
歪んだ正義感はなぜ生まれたのか…弁護士への大量懲戒請求にみる“カルト性”
孤独死や弁護士費用に備え ミニ保険の契約数が急増
司法試験 体系的問題解析 刑法
「民間企業の研究活動に関する調査報告2017」[NISTEP REPORT No.177]
労災認定基準「時間外月65時間に」 弁護士らが意見書 
刑法講話
佐賀県警、強制わいせつ逮捕公表せず 「二次被害懸念」
津波避難で犠牲、自治体の責任初確定 宮城県の小学校
ピンポイント刑法 ピンポイントシリーズ
商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律案
民事執行法の改正に関する中間試案(平成29年9月8日)
民法の一部を改正する法律(債権法改正)について

刑事訴訟法等の一部を改正する法律について
法曹養成制度関係閣僚会議
民法の一部を改正する法律案
法曹養成制度改革の推進について(PDF)
法曹養成制度改革推進会議
法曹養成制度改革顧問会議
平成30年司法試験予備試験の実施について
平成30年司法試験の実施について
司法試験考査委員の不適切行為に関する通報窓口

  【司法研修所教材・講義案・調査官解説等】
事件記録教材 法科大学院教材
調査官解説
事例で考える民事事実認定
プラクティス刑事裁判
プロシーディングス刑事裁判
検察講義案 平成24年版
新問題研究要件事実
紛争類型別の要件事実 民事訴訟における攻撃防御の構造 改訂
刑事第一審公判手続の概要
刑事判決書起案の手引
民事判決起案の手引
民事訴訟第一審手続の解説
情況証拠の観点から見た事実認定
民事訴訟における要件事実 第2巻
民事訴訟における要件事実 増補 第1巻
書記官研修講義案等