2012年01月08日

最新下級審裁判例

東京地裁民事第2部判決平成22年03月30日

【事案】

(前回からの続き)

イ.争点(2)イ(本件規制の憲法適合性)について

(原告らの主張の要旨)

 以下のとおり,インターネット販売に対する規制と,薬局,店舗販売業及び特例販売業の規制との間にはおよそ不合理な不均衡があり,本件規制は不合理な法システムである上,一般用医薬品のインターネット販売による副作用の危険は,対面販売による副作用の危険と比べて有意に高いことはなく,しかも,情報提供の方法をきちんと義務付ければ,想定されるインターネット販売に伴う問題は回避されるので,インターネット販売自体を禁止する必要性・合理性はないというべきであり,本件改正規定は憲法22条1項に違反する。

(ア)a 本件規制は,医薬品の販売方法の禁止であり,その性質に照らせば,その必要性と合理性について統制密度を高めるべき事案であり,しかもインターネット販売という職業の人格的価値を否定するものであり,原告らが努力しても克服できない客観的条件による規制であるから,職業選択の自由に対する最も過酷な制限であり,必要最小限度の手段でなければ合憲性は認められないとの判断基準が採られるべきである。そして,本件は消極目的によるであるから,「対面販売」とは何なのか,それで医薬品の副作用を防げ,インターネット販売では防げないのかという点について,立法事実に立ち入った判断が行われるべきである。

b 職業選択の自由に関する規制の合憲性の判断は,単に形式的に許可制なのかどうかによるのではなく,具体的な規制内容,それにより制限される職業選択の自由の程度を比較考量して判断されなければならない。本件規制は,インターネット販売に着目すれば,例外を許さない新規の禁止であり,職業選択の自由そのものに対する強力な制限である。医薬品販売に関する許可は配置販売業など販売方法により分類された業態ごとに行われているところ,インターネット販売は,それ自体が一つの業態であり,本件規制も,インターネット販売を対面販売から区別して,情報提供方法のいかんを問わず,これまで許されていたインターネット販売の方法による第一類・第二類医薬品の販売を禁止しようとしているのであるから,許可制を超える厳しい規制である。そして,職業選択の自由は人格的価値と密接にかかわるものであり,本件規制はインターネット販売を行ってきた販売業者の人格権を著しく制限する。被告は,本件規制は販売方法の禁止にすぎないと主張し,現行法の体系に照らせばそのような仕組みになってはいるものの,許可制とするか販売方法の規制とするかは立法者の選択であって,規制の強弱の問題ではないから,販売方法の禁止という仕組みが採られているからといって,その司法審査の基準を当然に緩めてよいというものではなく,実質的に制限される権利の内実に着目すべきである。本件規制の内容は,インターネット販売という職業選択の自由を直接に害するもので,原告らのように,インターネット販売に大きな比重を置いている販売業者にとっては,事業の存続に重大な影響を及ぼす職業の不許可処分に等しく,また,インターネット販売のみを差別的に規制するものであるから,合憲性の判断には,より厳格な基準を用いるべきである。

c 被告は,本件規制については立法府の広い裁量が認められると主張するが,本件規制は消極目的による規制であり,その合憲性の判断に当たっては,いわゆる明白性の原則は採り得ず,規制の理由とされた立法事実を詳細に審査し,重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であるとの厳格な合理性の要件を満たすと判断されることが必要である。なお,被告が立法事実に踏み込んで判断することが適当でない事情として主張する「現在の医薬品を取り巻く環境をどのような形であるととらえ,その環境に合わせた政策としてどのような対策を講ずべきかといった判断」は,本件の争点となっていないし,「医薬品販売状況,販売者数の推移や販売業態の変化等の様々な事実から推認されるセルフメディケーションの進展状況の判断とその是非等」も,医薬品のインターネット販売を禁止することの立法事実とは関係がない。
 そもそも,本件では,国会においてインターネット販売を禁止することについての立法事実が明らかにされておらず,改正法案がインターネット販売を禁止する趣旨であることの説明はなかったのであり,国会において論点が明示され,議論の上で合理的な考慮がされたわけではなく,国会が立法裁量権を行使した場合とはいえないから,合憲性の推定が及ぶ前提を欠く。

d 仮に,本件規制が職業内容及び態様に対する規制であるとしても,国家権力の行使である以上,比例原則により,過大な規制は許されず,その規制が重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であるかどうかという厳格な合理性の基準により個別的にその適否が判断されなければならない。

(イ) 本件規制の目的は,国民の生命及び健康への危害防止という消極目的である。仮に,被告がその目的の中に対面販売まで含めるのであれば,それは本件規制の目的として相当ではない。

(ウ)a 医薬品には効用と副作用があり,いかにして効用を最大限に引き出し,副作用リスクを最小限に低減するかが課題である。リスクマネジメントの観点からすると,世の中のリスクをすべて除去することは不可能であり,十分に注意して使用しても生ずるかもしれない全く稀なリスクを事前に予防することは,かえって社会に過大な負担を課すものであり,事後の対策に待つしかない。薬事法でも,医薬品の購入時に防止できなかったリスクは,相談応需という事後の対応や医師の診断・治療によって対応することになっている。したがって,法的規制に当たっては,インターネット販売の禁止によって防止できる副作用被害があるのかどうか,仮にあるとした場合にどれだけあるのか,副作用を防止するのにインターネット販売の禁止が必要かつ合理的な規制であるのかを吟味しなければならない。

b まず,立法事実については,情報提供の不十分さによる単なる医薬品副作用被害が生ずる抽象的危険ではなく,インターネット販売による副作用被害が問題になるのであって,それが対面販売であれば防げるものであるか,また,インターネット販売の利便性をも減殺するほどのものであるかが問題とされるべきである。
 実際,インターネット販売で購入された医薬品の使用により副作用が生じたことが報告されている事例は1件のみであり,しかもその事例についてはインターネットを通じた販売方法に起因するものか否かの調査が行われていない。適切な情報提供がされていれば副作用を予防できた可能性がある例とされているものも,ごく稀なケースであり,しかも,インターネット販売を禁止することによって防げる件数は不明であり,これが規制の根拠になるとはいえないし,添付文書が分かりにくいというアンケート結果もインターネット販売を禁止することの根拠とはならない。そして,販売段階での情報提供があっても発症が避けられない副作用も多く,対面販売によりどれだけの副作用が防げるかについてまともな分析はされていない。そもそも,本件規制の対象は,一般用医薬品であるから,副作用が発生してもそれほど深刻なものではないことが前提とされ,副作用のリスクは決して大きくはない。
 なお,被告は,立法事実の不存在を原告らが論証すべきであると主張するが,これは,消極目的の規制については妥当しない。仮に,原告らが論証すべきであるとしても,インターネット販売の販売方法に起因する副作用被害の事例が報告されていないというだけで,立法事実が存在しない論証としては十分である。
 これらによれば,本件規制を基礎付ける立法事実は存在しない。

c 被告は,対面販売の優位性を強調するが,前述のとおり,そもそも,対面の原則の定義・根拠が,明確に確立されておらず,改正法及び改正省令の立案の過程で十分に議論された形跡もない。
 また,以下のとおり,情報提供手段として,インターネット販売と対面販売にはそれぞれ長短があり,一方的にインターネット販売のみにマイナス点があるというわけではなく,インターネット販売が対面販売と比較して情報提供において劣るとはいえない

(a)(Ⅰ) 対面で医薬品を購入する際でも,対面販売の特徴である柔軟で双方向的な会話をすることによって情報提供が行われることが常に必要なわけではなく,実際の販売の際にはそのような会話・説明は行われないのが普通である。同様に,対面販売の特徴とされる,対面により購入者側の情報を的確に把握して適切な対応を採ることができることについても,それが可能なのは例外的な事例に限られる。
 インターネット販売では,インターネット等を通じて薬剤師が組織的に丁寧な質問をし,情報を収集して販売することができる。この際,丁寧に質問項目を作り,チェックボックスを用いるなどして,質問に答えなければ購入できないようにすれば,口頭で行うよりも正確かつ統一的であり,購入者のすべての情報を把握できるようにすることができ,確実に履行される。また,インターネット販売では,質問への回答を通じて,店舗での販売よりも多くの副作用情報を得ることができる。インターネット販売では,いわゆる指名買いにより不適切な医薬品を購入する危険性が高いという点は観念的な憶測にすぎず,むしろ,同種の医薬品を比較検討でき,電話や電子メールを利用して薬剤師からの助言を得てより適切な医薬品を選択することが可能である(なお,テレビ電話を使えば,対面で双方向的なやり取りも可能となる)。また,インターネットを通じて医薬品を購入しようとする者は,もともとそれなりに理解力の高い者であり,高齢者であっても理解力があるので,高齢者に繰り返し説明をする必要があるような場合は想定し難い。
 さらに,インターネット販売では,視覚障害者,聴覚障害者,対人恐怖症その他の理由で他人と向き合うことが困難な消費者に対しても,分け隔てのない情報提供が可能である。
 対面販売では,製品や添付文書を示しながら説明が行われるとされるが,箱を開けて箱の中の添付文書を示すことは通常行われず,外箱を示すだけでは余り意味がない。これに対し,インターネット販売では,店舗では見られない医薬品の箱の中に入っている添付文書をインターネットの画面に購入前に表示させることもでき,購入後に注意事項を何度でも閲覧することも可能である。
 対面販売において丁寧な情報提供のために時間を掛けることは,販売者と購入者に過大な負担を課すことになり,現実には困難であると考えられるし,理解力に問題のある例外的な人を基準に必要以上に詳しく情報提供がされることになれば,かえって,重要な点を聞き損なうおそれがある。これに対し,インターネット販売では,使用者が,自分の時間のあるときにじっくりと必要な情報を得ることができ,情報収集に積極的であると考えられる。

(Ⅱ) 対面販売では,どれだけの説明が行われるのかにつき,対応する薬剤師等により個人差があり,制度的な保障がなく,説明の一部をし落とす可能性もあるし,また,無数にある薬の副作用について適切に把握していない場合もある。さらに,実際の説明内容が,医薬品の外箱に記載された説明の繰り返しにとどまることが多く,大勢の薬剤師に真に的確なアドバイスをする能力があるかどうかは疑わしいし,登録販売者は,その資格取得のハードルは低く,的確な判断ができるほど有能な資格ではないはずである。これに対し,インターネット販売では,上記のとおり統一的な情報提供が可能であり,専門家の資質を問わず確実な情報提供が可能である。

(Ⅲ) 自分の既往症を話したがらない人が多いことからすると,使用者の身体の調子を申告させ,発生する可能性のある副作用を注意喚起することは店舗では困難な場合が多いし,対人恐怖症,人に買っているところを見られたくない薬を買う消費者などは,対面販売では,情報提供を拒むことが予想され,安全性が確保されないことになる。また,このような場合にプライバシー侵害につながるおそれもある。これに対し,インターネット販売では,既往症等について他人に知られるおそれがないことから,プライバシーの問題も少なく,使用者に関する情報が確実に提供される。

(Ⅳ) 新薬事法施行後においても,薬局や店舗による医薬品販売の状況や情報提供の態様に変わりはなく,ドラッグストアでは情報提供はほとんど行われていないのが実情である。

(b)(Ⅰ) 購入者が虚偽の申告や誤った申告をする場合には,対面販売に当たる薬剤師や登録販売者であってもそれを見抜くことは困難である。

(Ⅱ) また,医薬品に関する相談応需についても,夜間等には即時の情報提供が期待できないだけでなく,薬局や店舗に対面で相談できる余裕があるのは限られた場合であり,かつ,薬剤師や登録販売者に相談する場合でも,結局は医師の診察を求めるべきことになる。これに対し,インターネット販売では,夜間等の相談応需についても,ある程度の対応は可能である。

(Ⅲ) そして,顔の色を見て購入者の情報を収集するのは診察行為になり,薬剤師がそのような行為を行うのは,医師法違反になるとも考えられる。

(Ⅳ) さらに,対面販売では,情報提供のやりとりをすべて書面にすることは容易ではなく,書面としては簡単な説明書が交付されるにとどまり,後日,どのように情報提供が行われたかを検証することは困難である。これに対し,インターネット販売では交信の記録をきちんと保存させることにより,後日,問題が発生したときの検証もできるし,緊急連絡も容易であり,また,規制の実効性も高い。

(Ⅴ) 被告は,資格を有している者が情報提供を行っていることの確認が容易かどうかという点を指摘するが,対面販売でも名札を偽ったりすることはあるので,情報提供を行っている者が実際に有資格者であるかどうかの確認は難しい。インターネット販売でも,情報提供のルールの作成者,注文に対してその薬を販売してよいかどうかを判断するポスト及び相談応需の担当者を薬剤師として社内の勤務体制を作らせれば,無資格者による対応を防ぐためのものとしては十分であると考えられる。

(c)(Ⅰ) 新薬事法によれば,第二類医薬品はコンビニエンスストアで登録販売者による販売が可能であるが(新薬事法36条の5),第二類医薬品の販売の際の情報提供は努力義務にすぎない(新施行規則159条の16)ので,対面による情報提供がされるとは限らず,また努力義務の遵守を徹底させることは不可能であり,その実効性確保の方法はない。

(Ⅱ) 第一類医薬品についても,購入者が説明不要との意思を表明すれば,説明なしで販売することが認められている(新薬事法36条の6第4項)。この点につき,被告は,専門家が対面により購入者の状態を把握し,場合によっては説明を要しないとする理由等も確認した上で初めて情報提供義務が解除されると主張するが,そのような解釈は,法律の文言にない厳格な要件を追加するものであって,法治主義に反し,許されない。

(Ⅲ) 医薬品の購入者が使用者の代理人であるような場合に,専門家が使用者の属性,状態等を把握して必要な情報を使用者に伝えることは不可能あるいは著しく困難である。家族や会社内で長期間かけて消費される置き薬の場合も,同様である。インターネット販売では,医薬品の使用者本人が,電話や電子メールで薬剤師と直接やりとりをすることができ,使用者以外の者が薬局や店舗に赴いた場合よりも的確で安全な情報提供が可能である。

(Ⅳ) 旧薬事法35条の特例販売業の許可を改正法の施行前に得た業者が,同法附則14条により,本件規制を受けずに医薬品を通信販売しているが,上記附則では,「当分の間」,特例販売業の業務を行うことが認められており,終期が定められていない。また,厚生労働省は,このような通信販売を規制していない。

(Ⅴ) 既存配置販売業者については,年間数百件の苦情,十数件の副作用報告及び重篤な副作用が発生した事実があったにもかかわらず,改正法附則10条において,第二類医薬品の配置販売を登録販売者の資格を要せず事実上無期限でできることとされている。また,新施行規則159条の18において読み替えて準用する同規則159条の17によれば,購入者等において何か疑問等があるたびに,配置販売業者が情報提供のために遠隔地まで逐一来訪することが想定されているが,そのようなことが現実に行われるとは考えられない。

(d) なお,すべての副作用を防止するためには,禁忌事項と使用上の注意を,すべての使用者に対し,説明して確認しなければ意味がないことになるが,それは,販売者と購入者に過大な負担を課すことになるし,現実的でもない。仮に,購入者が医薬品について自分で判断できないことがあれば,購入をやめるか,外箱をしっかり読んで判断するか,丁寧な説明を求めるかすればいいのであり,消費者にもその程度の主体性は求められる。情報提供の必要性の基準は,通常の消費者が誤解するおそれがあるかどうかでなければならない。理解が困難な一部の消費者のために,大部分の理解力のある通常の消費者に過大な負担を掛けるべきではない。

d(a) 離島や山村の住民,出歩くことが容易でない障害者・高齢者,要介護者の家族,子育て中の親,介護中の者,引きこもりの者(外見上の問題,対人恐怖症等)及びプライバシー上の問題のある者(周囲の人間に知られたくない疾患を抱えている者)等は薬局,店舗,配置販売業から適切な医薬品を購入することは困難であり,インターネット販売が禁止されると必要な医薬品が入手できず,生存権が侵害されることになる。また,インターネット販売業者では多種の品揃えを確保して,消費者の希望に適時・適切に答えることができるし,流行性の疾患の感染拡大防止のために外出が抑制される事態になったような場合もインターネットで買う方が安全であり,このような場合に,配置販売業者で対応できるとはいえない。さらに,配置販売よりもインターネット販売の方が消費者に便利であり,リスクもない。そして,インターネット販売を利用すると,薬局に行くよりも購入が便利であるので,早期に医薬品を入手して治療ができるメリットもある。

(b) 改正法及び改正省令により,一方では規制緩和がされて一般用医薬品の販売に多くの新規参入が検討されている反面,医薬品のインターネット販売を行う多くの業者の営業に重大な影響が出ることが予想され,これは明白な人権侵害であるが,この点に対する配慮はない。現に,新薬事法施行後,原告らは,第二類医薬品の購入申込みの多くを断らなければならず,売上額の減少等による大きな損害が生じている。

(c) 加えて,本件規制により,医薬品の闇取引が横行するおそれもあり,そうなってしまった場合の取締りは困難である。

e 医師による処方を要するほどでもない医薬品であれば,薬剤師から十分に説明を受け,適切に判断して使用すれば問題はなく,説明の方法として,使用者が,薬局で薬剤師から面前で質問され,説明を受けるなら問題はないとされているところ,インターネット販売においても,薬剤師がインターネットを通じて購入者に質問をし,情報提供をすること,また,そのような方法を省令等で義務付けることは可能である。現に原告P1は,平成18年1月ころから,購入者が医薬品を購入する前に薬剤師からの質問にウェブ上で回答し,その回答内容に対して,薬剤師からの服薬説明をウェブ上で行うことによって,使用すべきでない医薬品の購入を防ぐとともに,購入者に対して適切な使用を促すための,インターネットによる服薬機能説明を導入し,また,NPO法人P4協会(以下「P4」という。)は安全な情報提供の在り方についての自主規制案を検討し,平成18年6月にはこれを厚生労働省に提出し,その後,平成20年11月及び12月にも内容を改訂した上で公表しているほか,より広く業界全体としての安全策を実現するため,P5株式会社と提携して策定した「一般用医薬品のインターネット販売における安全策について(業界ルール案)」を第二次検討会に提出し,同検討会においてインターネット販売と店頭での販売に共通した適切な情報提供の方法を定めるべきことを提案した。このように,情報提供等の方法を工夫して,省令ですべての一般医薬品の販売業者に義務付けるとか,副作用の表示を目立つようにし,かつ,説明書きを丁寧にするなど医薬品の外箱の表示の仕方を規制するとかいう方策を採った場合においても,薬局や店舗における対面販売より定型的に危険であり,医薬品の使用に伴う弊害を防止できないというのでなければ,一律にインターネット販売を禁止することは過大な規制である。改正省令(本件改正規定)は,上記のようなより制限的でない方法についての検討をすることなく,実証的な根拠なしにインターネット販売の一律の禁止を定めたものである。第一次・第二次検討会等の省令の検討過程においては,「インターネットは危険だから」といった漠然とした議論がされているにすぎず,インターネット販売における情報提供の義務付けの方法等について立ち入った議論は全くされていない。
 以上のとおり,対面での情報提供の義務付けが必要不可欠とされているのが本件規制の趣旨でありながら,実際には情報提供が担保されない法設計となっており,その矛盾は甚だしい。また,インターネット販売によって発生するリスクは考えられないばかりか,上記各事情によれば,仮に,インターネットによる販売方法が何らかの副作用を生ずると仮定しても,情報提供等の方法を工夫して義務付けるとか,医薬品の外箱の表示の仕方を規制するとかいうよりゆるやかな規制手段を採らず,第一類・第二類医薬品についてインターネット販売を全面禁止することは,到底,必要性・合理性のある規制とは考えられず,違憲である。

(エ) 再改正省令は,郵便等販売に関する経過措置(改正省令附則23条47ないし28条。以下「郵便等販売に関する経過措置」という。)を設けているが,これによっても,改正省令の違憲性・違法性が除去されるものではない。すなわち,離島居住者や継続購入者に限定した郵便等販売に関する経過措置に合理性はなく,インターネット販売を行っている業者に対する過度の規制であって,これらの業者や消費者に対する救済措置にならないことに変わりはない。
 さらに,上記継続購入者の経過措置の要件を満たさないにもかかわらず郵便等販売が行われている例があり,対面販売の原則が現実には守られていない。

(オ) 以上によれば,本件規制を定める本件改正規定は,いかなる審査基準を採ったとしても,憲法22条1項に違反し,違憲である。

ウ.争点(2)ウ(省令制定手続の適法性)について

(原告らの主張の要旨)

(ア) 改正省令は,改正省令案に対する意見公募手続(パブリックコメント)での反対意見が多かったにもかかわらず,それを公表せず,また,意見を何ら考慮することなく制定されたもので,行政手続法42条に反する。
 また,再改正省令は,やむを得ない理由がないにもかかわらず意見公募手続(パブリックコメント)の期間を短縮して行われ,期間短縮の理由も明示していない点で,行政手続法40条1項に違反して制定されたものである。なお,再改正省令の意見公募手続(パブリックコメント)においても,本件規制に反対する意見が圧倒的に多かったが,そのことが考慮された形跡もない。

(イ) 改正省令は,これまで許容されていたインターネット販売を,インターネット販売を行う事業者のみを対象として禁止するものであり,立案の過程で,当該事業者に対し,経過措置を設けたり,協議を行い,適切な指導をすることなどによって当該事業者の地位を不当に害することのないように配慮することが可能な場合にはそのような配慮がされるべき義務があるというべきところ(最高裁平成12年(行ツ)第209号,同年(行ヒ)第206号同16年12月24日第二小法廷判決・民集58巻9号2536頁参照),その制定に際しては,このような協議や配慮がされていないのであるから,違法である。

(ウ) 本件規制が検討された検討部会,第一次検討会及び第二次検討会(以下,両検討会を「第一次・第二次検討会」と総称する。)においては,インターネット販売の規制の在り方や規制の憲法上の根拠・限界に関するまともな議論はなく,特に検討部会及び第一次検討会では,構成員の選定に問題があり,偏った議論がされた。
 検討部会には,インターネット販売を行っている業者は参加しておらず,インターネット販売禁止の議論が初めて行われた平成16年6月23日の検討部会では,インターネット販売禁止についてはほとんど検討されなかったのみならず,個人輸入の問題や未承認医薬品等の違法販売などと,適法な薬局・店舗による医薬品のインターネット販売とを混同した発言が頻繁にされ,その後の検討部会においても,重大な事実誤認に基づく議論やずさんな議論が繰り返された。
 第一次検討会の構成員となった医薬品販売事業者は,通信販売とは潜在的に競合する関係にある医薬品販売団体の関係者に限られ,P4は,第一次検討会への委員としての参加を求めたが,認められなかった。第一次検討会は,厚生労働省からの天下りを受け入れている団体や多額の政治献金をしている団体など通信販売と競合する業界団体の利権確保の場であった。また,第一次検討会には,憲法・行政法に関する専門家の参加もなかった。第一次検討会の議論はあいまいで,結論先取りで,まともな理由が付された議論はされていない。第一次検討会第5回会議で,原告P1がP4の自主規制案について策定中であると返答したのは,法令にのっとる形でのルールは策定中という意味であり,原案はその当時に完成していて,厚生労働省にも提出しており,公開も検討したが,同省担当者から公開は慎重にするように勧められ,公開を取りやめたという経緯がある。
 第二次検討会は,座長が意見をまとめることができず,厚生労働省が既定方針どおり押し切ったものであり,インターネット販売については禁止ありきで,情報提供はどうあるべきかという議論はなかった。
 以上の点において,検討部会及び第一次・第二次検討会における議論にはその過程での手続的な瑕疵に起因する不備があるから,改正省令中の本件改正規定の制定手続は違法である。

(被告の主張の要旨)

(ア) 行政手続法42条に定める「考慮」とは提出意見の内容をよく考え,定めようとする命令等に反映すべきかどうか,反映するとしてどのように反映すべきかについて適切に検討することであり,当該提出意見の内容を定めようとする命令等の内容に反映しなければならない義務までが課されるわけではないから,改正省令の公布は,行政手続法42条に違反しない。
 また,再改正省令案に関する意見公募手続(パブリックコメント)については,その開始日から30日以上の意見提出期間を設定すると,改正法の施行日である平成21年6月1日に間に合わなくなることを勘案して,意見募集期間を1週間に設定したものであるから,やむを得ない理由に当たり,行政手続法40条1項に違反しない。なお,行政手続法42条の提出意見の考慮は,提出意見の内容に着目して行われるものであって,その多寡に着目するものではないから,反対意見の数や割合の多さをもって行政機関に命令等を見直す義務が課せられるものではない。

(イ) 原告らの主張に係る条例の制定過程における関係業者との協議及び配慮の義務に関する最高裁判決(前掲最高裁平成16年12月24日第二小法廷判決)は,本件とは明らかに事案を異にする。

(ウ) 検討部会は,様々な専門分野出身の委員20名により構成され,議論においては,対面販売による情報提供の必要性が指摘され,対面販売の優位性が示されている。また,取りまとめられた意見にも,販売方法については対面販売の原則が挙げられ,対面販売の原則が必要とされる理由についても,インターネット販売に対する優位性を含め,明確に示されている。
 第一次検討会においては,情報提供等の内容・方法や情報提供等を適正に行うための販売体制等について検討が行われ,原告P1代表者及びP4役員からのヒアリング等も行った上で,第一類医薬品については,情報通信技術を活用した情報提供による販売は適当でないとされ,第二類医薬品については,販売時の情報提供の方法について対面の原則が担保できない限り,販売することを認めることは適当でないとされた。そして,この検討結果に基づき,改正省令案は作成された。
 第二次検討会においては,薬局・店舗等では医薬品の購入が困難な場合の対応方策等,インターネット等を通じた医薬品販売の在り方等が検討事項とされ,その議論を踏まえて,再改正省令案が策定された。

(次回へ続く)

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2012年01月05日

最新下級審裁判例

東京地裁民事第2部判決平成22年03月30日

【事案】

(前回からの続き)

5.争点に関する当事者の主張の要旨

(1) 争点(1)(本件無効確認の訴え及び本件取消しの訴えの適法性)について

(原告らの主張の要旨)

ア.原告らは,改正省令(本件改正規定)に処分性が認められることを前提として,①本件無効確認の訴えについては,改正省令(本件改正規定)が無効であることの確認を求める抗告訴訟である処分の無効確認の訴え(行政事件訴訟法3条4項)として提起するとともに,②本件取消しの訴えについては,改正省令(本件改正規定)が違法であるが無効とまではいえないと解される余地があり得ることから,そのような場合に備えた抗告訴訟の予備的な訴えとしての処分の取消しの訴え(同条2項)として,改正省令(本件改正規定)の取消訴訟を提起するものである。
 法令は,一般には一般的・抽象的なものであるから,処分性は認められないが,それ自体で具体的な権利義務に直接の法律的な変動をもたらす性質を有する法令は,処分性を有すると解すべきである。
 改正省令(本件改正規定)は,これまで許可を得た上で適法に行われてきた営業行為(第一類・第二類医薬品のインターネット販売)を,何らの行政処分を介在させることなく,直接全面的に禁止するものであるから,上記営業行為に対する許可を取り消したものと同視でき,行政の外部にいる者の権利義務を直接に定めるという行政処分の要素を有する。また,本件規制は,実質的には上記営業行為を行ってきた限られた業者を対象とするものであり,一般的な規制とはいえない。したがって,改正省令(本件改正規定)には処分性が認められるべきである。
 また,対世効や仮の救済の手続において当事者訴訟では不十分な点があることからも,抗告訴訟が認められるべきである(後記イ参照)。

イ.無効等確認の訴えの要件に関する行政事件訴訟法36条の解釈についてのいわゆる二元説に立てば,「当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者」については,「現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないものに限り」との要件は必要とされないと解すべきであるから,本件無効確認の訴えは,行政事件訴訟法36条の要件を当然に充足することは明らかである。
 また,この点を措くとしても,無効等確認の訴えの判決には対世効があると解すべきであること,当事者訴訟における仮の救済の手続の存否が不明確であることからすれば,当事者訴訟では効果が不十分な場合があり,裁判所の各審級において各訴訟類型の適法性に関する判断が分かれた場合等の救済を図る観点からも,当事者訴訟が適法とされる場合であっても,「現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができない」場合に当たると解され,この補充性の要件の要否にかかわらず,当事者訴訟と抗告訴訟としての無効等確認の訴えの両方が適法とされるべきである。したがって,本件地位確認の訴えと本件無効確認の訴えを単純併合して提起するものである。

(被告の主張の要旨)

ア.原告らが無効確認及び取消しを求めている省令は,立法行為としての性質を有し,国民の法律上の地位に対して直接具体的な影響を及ぼすものではなく,特定の者の具体的な権利義務ないし法律上の利益に直接的な影響を及ぼすものでもないから,処分性は認められない。

イ.なお,本案訴訟が適法でなければ仮の救済の手続は問題とならないのであるから,本案の適法性を判断するに当たり,仮の救済制度について考慮する余地はない。

(2) 争点(2)(本件改正規定の適法性・憲法適合性)について

ア.争点(2)ア(委任命令としての適法性)について

(被告の主張の要旨)

(ア) 法律による行政の原理によれば,行政の内容はそのすべてをあらかじめ法律で詳細かつ具体的に規定しておくことが望ましいが,実際には複雑で専門・技術的な現代行政の諸施策の内容を法律で細部まで規定しておくことは困難であるため,法律自体には,実施すべき行政施策の目的や要件・内容等につき大綱的な定めを置くにとどめ,細目的な事項や技術的な事項は,それぞれの担当行政部局がその専門的な知見に基づいて定めるよう,行政権に命令の定立を委任する行政立法が行われてきた。そして,行政立法の専門性・技術性等にかんがみると,委任を受けた行政機関が,どの時点において,どのような内容の省令等を制定するかについては,法律の委任の範囲を逸脱しない範囲において,その専門的・技術的な判断にゆだねられているのであって,行政機関には省令等の制定について一定の裁量権が与えられているというべきである。そして,その委任の範囲は,授権法の文言だけではなく,当該制度の制定の経緯やその沿革等を考慮して,授権法の趣旨を解釈して判断すべきであり,本件においても,新薬事法が何をどの範囲で省令に委任する趣旨であるかは,当該規定の制定経緯,医薬品販売に関するその他の規定とその趣旨,さらには新薬事法全体の趣旨・目的を総合して判断されるべきである。

(イ) 改正省令中の本件改正規定により設けられた新施行規則中の本件各規定のうち,15条の4は新薬事法36条の5及び36条の6,159条の14は新薬事法36条の5,159条の15第1項1号は新薬事法36条の6第1項,159条の16第1号は新薬事法36条の6第2項,159条の17第1号及び第2号は新薬事法36条の6第3項の規定の委任をそれぞれ受けたものであって,本件各規定にはいずれも法律の授権規定が存在する。

(ウ) 改正法の成立に至る経過は,次のようなものである。すなわち,①制度と実態の乖離が生じ,医薬品の適切な選択及び適正な使用が担保されるように機能していなかったという旧薬事法の下の実状を踏まえ,医薬品の販売主体,客体,販売方法等を全般的に見直すこととし,②これを出発点として,検討部会においても,医薬品の特質にかんがみると,専門家が対面で情報提供し,販売することが極めて重要であり,他方,すべての店舗に薬剤師を常駐させ,すべての医薬品について情報提供を義務付けることはかえって実効性をなくすおそれがあることから,新しい医薬品販売資格を創設し,医薬品もリスクに応じて分類し,その分類に応じた情報提供及び販売の規制を行うことで柔軟な対応をすべきこととされ,③改正法案も検討部会で集約された意見に沿った趣旨のものとされ,医薬品は対面販売によることが重要であるという基本的発想に立って制度の骨格が定められ,④国会においても,対面販売の重要性が指摘され,検討部会の部会長から,改正法案は検討部会報告書及び検討部会における議論の結果を十分に踏まえたものである旨が説明され,政府参考人はインターネット販売には慎重な対応が必要である旨の答弁をし,厚生労働大臣は改正法を受けて省令において対面による情報提供を義務付ける旨の規定を設ける旨の答弁をし,こうした答弁を前提に質疑が行われ,⑤その上で,検討部会の取りまとめた意見を踏まえ,医薬品の販売主体,客体,販売方法という医薬品販売の全般についての規定を改正し,制度の骨格を定め,店舗販売業という新しい許可の種類を創設し,店舗販売業者については,店舗における販売に当たり,リスクの軽視できない第一類・第二類医薬品について専門家による積極的な関与を義務付けるとともに,制度全般につき具体的な定めを省令に委任する内容で改正法案が可決されたというものである。したがって,新薬事法25条,36条の5及び36条の6の規定の文言・内容のほか,こうした薬事法全体の改正経緯,立法者の意思,成立した新薬事法の医薬品販売に関する制度全体の仕組みやその趣旨などを総合的に考慮すると,新薬事法は,リスクの軽視できない医薬品については,専門家が店舗において購入者と対面し,その属性に応じて臨機応変に適切な情報を提供して販売することが重要であるとして,店舗販売業を,原則として「店舗において」医薬品を対面販売することが予定される業態と考えて創設したものであることは明らかであり,したがって,新薬事法が,店舗販売業者に対し,第一類・第二類医薬品について,来客との対面を前提に情報提供及び販売を義務付け,郵便等販売を原則として禁止し,その上で,個別具体的な販売方法等に関する諸規定についてはその定めを省令に委任する趣旨であることは明らかである。
 なお,改正法案が検討部会報告書に依拠した内容となっており,その内容・趣旨は国会審議において十分に審議されたことからすれば,新薬事法の趣旨・目的を検討する上で,検討部会報告書の内容は当然に考慮されるべきものである。
 そして,医薬品の販売方法に関しては,新薬事法に基づき,新施行規則において,医薬品の販売は第三類医薬品について郵便等販売を行う場合を除き対面で行う旨(新施行規則159条の14),情報提供の具体的な方法については対面で行う旨(新施行規則159条の15及び159条の16)及び郵便等販売については第三類医薬品に限って認める旨(新施行規則15条の4第1号)を定めたものであるところ,これらが対面での情報提供及び販売を基本とすべきとする立法者の意思あるいは新薬事法の趣旨に合致するものであることは明らかである。
 よって,改正省令(本件改正規定)は,新薬事法の委任の趣旨に沿うものであり,その委任の範囲を逸脱する無効なものではない。

(エ) 原告らは,新薬事法の文理から対面販売の趣旨は読み取れないとするが,これは,新薬事法の規定を個々に分断して硬直的に解釈したものであって相当ではない。上記(ウ)のとおり,新薬事法の主眼が専門家に積極関与させる対面販売を原則とすべきというところにあることからすれば,新薬事法25条の「店舗において」という文言は,店舗という場所における対面販売を原則として位置付けていることの表れというべきであり,新薬事法36条の6第1項が電磁的方法による情報提供を定めていないのは情報通信技術を利用した情報提供を許さない趣旨であることは明らかである。こうした条文相互の関係や立法経緯等を総合すれば,新薬事法25条,36条の5及び36条の6の規定が,店舗販売業者において,第一類医薬品及び第二類医薬品の店舗における対面での情報提供及び販売を義務付ける趣旨であり,これを前提として具体的な販売等の方法を省令により義務付ける趣旨であることも明らかであるというべきである。以上によれば,新薬事法25条,35条の5及び35条の6の各規定は,郵便等販売を許容するものではなく,改正法の立法経緯や上記の規定の趣旨によれば,新薬事法37条1項もまた,郵便等販売を許容するものではないと解すべきである。原告らは,新薬事法36条の5は販売従事者に関する規定であり,新薬事法36条の6は情報提供等に関する規定であって,インターネット販売を禁止する趣旨は読み取れない旨主張するが,販売時の情報提供に対面が要求されれば必然的に販売方法も対面販売になるのであり,販売時の情報提供の制限は,販売方法の制限に直結するので,この点に関する原告らの主張は失当である。なお,新薬事法36条の5は,販売従事者について規定した上で具体的な販売方法についても厚生労働省令に委任するものである。
 また,原告らは,第一類医薬品については,その購入の際に購入者が説明を不要と申し出れば,情報提供義務に関する規定が適用されなくなる点(新薬事法36条の6第4項),第二類医薬品については,新薬事法上,情報提供の努力義務が定められているにとどまる点,いずれも,使用者以外の者による購入が認められている点を指摘するが,新薬事法においては,専門家が店舗において対面で購入者の状態を直接確認し,医薬品のリスクに応じて情報を提供した上で販売することが基本的な理念として重要とされているといえ,これに対し,郵便等販売の方法では,そもそも専門家が購入者の状態を直接確認することすらできないのであるから,こうした前提を欠いたまま,上記の各点のみを取り上げて新薬事法が郵便等販売を禁止する趣旨を含まないと解することはできない。

(原告らの主張の要旨)

(ア)a 憲法で保障された国民の権利を制限し,国民に義務を課すには,法律の定めが必要であり,各省大臣が定めるにすぎない省令では法律の明確な委任がなければ義務を課し,権利を制限することはできないところ,新薬事法には,旧薬事法で認められていた第一類・第二類医薬品のインターネット販売を禁止することを省令に委任する趣旨の授権規定は見当たらない。本件規制は,これまで認められてきたインターネット販売を禁止するものであるから,法律の条文による明確な授権が必要である。被告は,本件改正規定の根拠となる新薬事法の規定は36条の5及び36条の6であると主張するが,新薬事法36条の5は,販売に従事する者についての規制であって,対面販売にも触れておらず,インターネット販売を禁止する省令の根拠とはなり得ないし,同法36条の6第1項は第一類医薬品についての薬剤師による情報提供の義務を課し,同条2項は第二類医薬品についての薬剤師等による情報提供の努力義務等を課し,同条3項は購入者からの相談に応ずる義務を課すものであるところ,これらの規定は,情報提供の方法を授権しているにすぎず,情報提供の方法にとどまらない販売方法の規制に該当するインターネット販売の禁止を授権しているとはいえない。新薬事法には対面販売の原則は規定されていないし,「対面」という言葉も用いられず,対面販売の定義はされていない。新薬事法25条は店舗販売業の定義を「店舗において」販売等することとしているが,これは,インターネット販売や電話注文による配達販売を違法としていなかった旧薬事法37条1項の「店舗による」と同義と解すべきであり,この文言が郵便等販売を禁止する趣旨を含むということはできず,新薬事法25条が許可したことを禁止するためには,同法36条の5及び36条の6により明確な規定が必要であるし,また,特に定めがない以上,薬事法36条の6第1項が電磁的方法による情報提供について規定していないからといってそれが許されないとの趣旨であると解すべきではない。新薬事法中の本件各規定の委任規定についての厚生労働省の説明は,不正確かつあいまいであって,確実な説明がされたのはかなり後になってからであることからすれば,厚生労働省が,薬事法の改正の際,第一類・第二類医薬品のインターネット販売を禁止する意図を有していなかったことがうかがわれる。

b 被告は,法律の省令への委任の範囲は,単に改正法の該当条文の文言・内容のみならず,当該規定の制定経過,医薬品販売に関するその他の規定とその趣旨,さらには改正法全体の趣旨・目的を総合して判断されるべきであると主張するが,これは,茫漠として広すぎるのであり,国会が唯一の立法機関であり,委任は白紙委任であってはならず,具体的でなければならず,少なくとも,権利自由を制限する場合には授権法は明確でなければならないという憲法原則からみて相当ではない。
 また,立法者の意思といえるためには,条文として明確な形で現れるか,少なくとも提案理由又は附帯決議で現れている必要があり,単に国会における議論の過程や答弁に現れているだけで,条文の形になっておらず,提案理由又は附帯決議にも現れていないものを立法者意思とするのは,法律の解釈の限界を超え,法律による行政の原理に反する。

(イ) 改正法及び改正省令の制定過程においても,新薬事法が第一類・第二類医薬品のインターネット販売を禁止する趣旨を省令に委任したことをうかがわせる事情は見当たらない。

a 国会の審議過程をみても,新薬事法が第一類・第二類医薬品のインターネット販売を禁止する趣旨であることは読み取れない。まず,法案の提案理由では,対面販売の義務付けへの言及はない。国会審議においても,平成18年4月13日の参議院(厚生労働委員会。以下この項において同じ。)の政府答弁でインターネット販売については慎重に検討すべきであるという認識を厚生労働省が有しているという説明はされているが,改正後の薬事法の規定においてインターネット販売が禁止されるという趣旨の説明はなく,厚生労働大臣も実効ある情報提供体制の整備が主眼であると述べるにとどまる。また,同月14日の参議院の議事では,厚生労働省は,インターネット販売禁止を法律の条文に書き込んだとは述べていない。同月18日の参議院の議事では,厚生労働大臣が,予定される省令の説明をしているが,インターネット販売を禁止できるとの説明はしておらず,インターネット販売業者が第一類医薬品を販売している事案について,実態を確認の上,注意喚起や指導を行うこととしたい旨述べるにとどまる。なお,同日の厚生労働大臣の「対面販売により情報提供することを求めることになっております」との答弁は第一類医薬品についてのものであり,そもそも,このような片言隻句を根拠に授権法の趣旨を読み取るのは強引である。また,同年6月7日の衆議院(厚生労働委員会)における答弁によれば,この時点では,厚生労働省は慎重な対応が必要であると考えていたというにすぎず,第二類医薬品のインターネット販売禁止は念頭に置かれていない。そうすると,少なくとも第二類医薬品のインターネット販売禁止を正当化するためには,省令制定の段階で,慎重に検討した結果,利便性やIT技術活用により対面販売に準じた対応も可能として規制を緩和すべきであるという意見を排斥した理由及びそれが薬事法の下の省令の立法裁量の範囲内であることが示される必要があるが,それは全くされていない。参考人の意見中に,インターネット販売の禁止に関するものがあるが,参考人の意見は立法者意思とは異なるし,参考人の意見も一致しているわけではないから,その一部のみを立法者意思とするのは相当ではない。厚生労働省が改正法成立後に作成した改正法の概要にもインターネット販売を禁止することに結び付く記載はない。

b(a) 厚生科学審議会における審議は立法過程そのものではないから,同審議会等の議論の有無や内容が法律による授権の有無に直結するわけではないし,検討部会において,インターネット販売の規制の在り方や規制の憲法上の根拠・限界に関するまともな議論はなかった。

(b) 厚生労働省は,遅くとも平成16年9月の段階で,ドイツでは医療保険近代化法の成立により医薬品のインターネット販売が認められていたことを把握していたにもかかわらず,同年6月8日に開催された検討部会において,ドイツにおいて薬局からの医薬品のインターネット販売が禁止されている旨記載された資料を提示し,また,平成17年2月10日に開催された検討部会においては,インターネット販売が禁止されている旨の記載を資料から削除し,ドイツにおいて郵送による医薬品販売禁止の制度に変更があったことを認識していたはずであるにもかかわらず,インターネット販売が禁止されているかのように誘導する旨の委員の発言を是正せず,検討部会の議論を誤った方向に導いた。検討部会や国会で正しい情報が提示されていれば,議論の結果は異なっていた可能性が高い。さらに,内閣法制局における法案審査の際も,インターネット販売を禁止する措置の定めを省令に授権する趣旨は資料に記載されておらず,その前提で法案審査がされた形跡はない。また,厚生労働省が作成した国会における改正法案の想定問答集にも,インターネット販売が改正後の薬事法で禁止されるとか,これを省令で禁止するとかいう内容の記載はない。

c 改正法による医薬品の販売に関する規制において,第二類医薬品の販売については,情報提供が単なる努力義務とされており(同条2項),法的な拘束力のない努力義務を根拠として,適切な情報提供の可能な郵便等販売を禁止するのは不均衡である。

イ.争点(2)イ(本件規制の憲法適合性)について

(被告の主張の要旨)

(ア)a 経済的自由権の規制立法は,精神的自由権の規制立法とは異なり,憲法適合性の判断の在り方に関し,合憲性推定の原則が働く。そして,経済的自由権の規制立法に関する憲法適合性の判断について,規制目的により憲法適合性の判断の在り方に差が生じることに一定の合理性は認められるものの,規制目的が積極目的であるか消極目的であるかの判別が難しい場合があり,両目的が混在する場合やいずれかに割り切れない場合も十分に想定されることなどからすれば,規制目的の判別だけによって憲法適合性の判断の在り方が決定されると考えるのは不適切である。規制目的を判別することは,司法における憲法適合性の判断の在り方を決する上で,そうした規制目的に出た立法政策に対して司法がその判断能力の観点からどの程度立法事実に踏み込んで判断することができるかをみる要素として考慮することに意義があるが,経済的自由権の規制立法について合憲性が推定されるのは,健全な民主的手続を経て制定された経済的自由権の規制立法は,通常,規制により得られる利益と制約される利益との調整が合理的に図られたものと考えられるから,その判断を原則として尊重すべきとするところに本質的な理由があるのであって,裁判所の判断能力に限界があることに本質的な理由があるわけではない。
 そして,健全な民主的手続を経て制定された経済的自由権の規制立法は,規制により得られる利益と制約される利益との調整が合理的に図られた結果であると推定される以上,その判断は尊重されるべきであり,ただ,裁判所は,規制目的のほか,法律で明らかにされた規制の対象や規制の具体的な方法,制約される権利の内容・程度等からみて利益調整の合理性に疑義があるような場合には,合憲性が推定されるとしつつも,より慎重に憲法適合性を判断すべきことになり,これが尊重すべき立法府の裁量の幅を決する要素であり,同時に司法がどの程度立法事実に立ち入った判断をすべきかを決する要素であるというべきである。

b これを本件規制についてみると,①本件規制の規制目的は,購入者における医薬品の適切な選択及び適正な使用を確保して国民の健康被害を防止する必要があること及びセルフメディケーションの進展といった医薬品販売を取り巻く環境にかんがみ,医薬品に関する適切な情報を提供して知識の普及を図るというものであり,積極・消極の二分論では割り切れず,また,現在の医薬品を取り巻く環境をどのような形であるととらえ,その環境に合わせた政策としてどのような対策を講じるべきかといった判断は,医薬品の販売状況,販売業者数の推移や販売業態の変化等の様々な事実から推認されるセルフメディケーションの進展状況の判断とその是非等に基づいて議論され,国民的合意の下でその方向性が決定されるべき性質のものであるから,その限度では,司法において,立法事実に踏み込んで判断するにはなじまない性質も含まれていること,②本件規制の対象は,既存業者にもこれから新規に許可を得て医薬品を販売しようとする者にも等しく及ぶもので,新規参入予定業者にのみ及ぶような旧薬事法の適正配置規制とはその性質を異にするものであること,③本件規制の方法が,一部の医薬品について対面販売を義務付け,郵便やインターネットという手法での販売を許さないとする態様のもので,医薬品販売という職業の選択そのものを許さない規制ではなく,選択した医薬品販売という職業に関して郵便等販売という一つの販売方法を規制するものにすぎないから,旧薬事法の適正配置規制のような狭義の職業選択の自由そのものに対して強い制約を課すものではないこと,④本件規制の手段は,専門家が購入者と対面して情報を提供しながら販売することを義務付け,これができない郵便等販売を許さないとするもので,医薬品の適切な選択及び適正な使用を確保するという本件規制の目的の達成に直結することからすると,本件規制は,立法府において規制により得られる利益と制約する利益との調整が合理的に図られた結果であるとの推認が十分に維持されるものといえるから,改正法の憲法適合性を判断するに当たっては,立法府の広い裁量が認められるべきであり,対面の重要性を認め,対面が確保できない郵便等による方法での医薬品販売を一部規制することについての必要性及び合理性を認めた立法府の判断は十分に尊重されるべきである。
 このような前提に立つと,改正法の憲法適合性を判断するに当たっては,規制目的が公共の福祉に合致しないことが明らかであるか,又は規制手段がその目的を達成するための手段として必要性若しくは合理性に欠けていることが明らかでない限り,違憲とはならないものと解すべきである。

c 原告らは,インターネット販売という一つの独立した業態を想定すべきであると主張するが,新薬事法は,郵便等販売を,医薬品販売業という職業を選択した者が採り得る販売方法の一つとしてとらえていることは明らかであり,また,仮に原告ら主張のような理解をすると,職業選択に対する制約と職業遂行における態様等の制約を区別する意味がおよそなくなるのであるから,相当でない。
 また,原告らは,本件規制は原告らが努力しても克服できない客観的条件であるとするが,医薬品販売という職業選択の可否という観点から見た場合,原告らが努力しても職業選択それ自体が不可能となるようなものではない。

(イ) 新薬事法は,専門家による積極的な関与の下に,購入者に対し,対面での情報提供を行って医薬品を販売することによって,適切な知識の普及に努めつつ,医薬品に伴う副作用を未然に防止するなどして国民の健康被害を防止することを目的としており,こうした規制目的が国民全体の身体・健康の安全に直接かかわるものであることからして,これが重要な公共の利益に合致することは明白である。

(ウ)a 経済的自由権の規制の場合は,現実的・具体的危険がある必要はなく,原告らにおいて,抽象的危険もないことを立証しなければならないが,次のとおり,本件では,抽象的危険のみならず,現実的・具体的危険も十分に認められる。

b 医薬品の適切な選択及び適正な使用に関しては,次のような事情がある。すなわち,①一般用医薬品の副作用が報告された事例の中で,専門家による適切な説明があれば,副作用の発生を未然に防止できた可能性が高い事例が存在すること,②購入者が医薬品の適切な選択及び適正な使用を確保するために必要な情報を有していない場合も多いこと,③医薬品の適切な選択及び適正な使用を確保するために必要な情報の内容や提供の方法は,購入者の年齢によっても大きく異なること,④そもそも医薬品の服用方法に関する常識的な知識すら普及していない可能性があることにも配慮しなければならない状況にあること,⑤購入者側でも医薬品の安全性や副作用に関する情報が不足していると感じ,適切な情報提供を望む声が多く,求める情報提供の内容からして,詳しい説明を薬剤師等の専門家に期待していることは明らかであることといったものである。
 このような事情からすると,現時点では,医薬品の適切な選択及び適正な使用を購入者の自発的な情報収集に期待することには無理があり,また適切でもないという実情にあるといわざるを得ず,医薬品の適切な選択及び適正な使用を確保するために求められる情報提供及び販売の方法については,購入者の属性等に応じて真に必要な情報を抽出したり,専門用語をかみ砕くなどの工夫をこらして分かりやすく情報を提供すること,様々な観点から質問をして事情を聞くことにより提供すべき情報の内容や量を決めること,購入者の年齢や購入態度等,購入者側の属性等により臨機応変に対応することが必要である。
 そして,医薬品の適切な選択及び適正な使用を確保すべく,実効性のある情報提供方法が必要であるとする改正法の趣旨・目的を達成するためには,購入者の属性,状態,購入態度等を把握して,双方向の柔軟な意思疎通を行うことが必要不可欠であり,これは,対面による情報提供及び販売という方法によって初めて実践可能なものである。なお,使用者と異なる者が購入しようとする場合も,専門家は,購入者以外の者が使用することを前提に,慎重に使用者の事情を聞き,提供すべき情報の内容を変えるなど,臨機応変の対応をすることができるから,このような場合でも,対面での情報提供及び販売を義務付けることの必要性・合理性は認められる。

c これに対し,インターネットによる情報提供の方法は,現在のシステム環境の下では,まずは利用者(購入者)の自己責任を前提とせざるを得ない上,技術的にも購入者の属性等を把握したり柔軟な意思疎通を図ったりすることは極めて困難である。購入者を直接見て対応することで,様々な問いかけをすることができ,場合によっては販売を差し控えることができるということは,インターネット販売ではなし得ないことである。
 原告らは,対面販売を義務付けることに合理性が認められないことを主張するに当たって,購入者の理解力等に対する根拠のない過度の信頼・期待を基礎としているが,前記のとおり,購入者の実態は原告ら主張のようなものとは異なるものであり,原告らのこの点に関する主張は失当である。そして,新薬事法は,購入の手軽さや簡易さといった利便性は購入者にとって真の意味での利便性とはいえず,仮にこのような利便性に配慮するにしても,リスクの軽視できない医薬品については利便性よりも安全性を優先すべきとの考えに立っていることに加え,現在の購入者側における医薬品に関する知識の普及の程度や購入現場における実態をも考慮すれば,医薬品の適切な選択及び適正な使用を第一次的には購入者の自発性や自己責任にゆだねれば足りるといえる状況には全くないことによれば,インターネットによる情報提供で十分であるとする原告らの主張は理由がない。実際,業界団体によるルール案によっても,購入者の属性等の把握が購入者側による自発的な申告にゆだねられてしまうのに等しいこと,形式的,定型的,表面的,一方的な情報提供にとどまること,購入者側が説明を理解したかどうかの確認が困難であること等からすれば,インターネット販売による情報提供は,対面販売の際の情報提供とは本質的に性質が異なるものである。
 その他,対面販売とインターネット販売の間には,対面販売では製品や添付文書を示しながら説明ができるのに対しインターネット販売ではそれが困難である点,インターネット販売では購入者が虚偽の申告や誤った申告をした場合にそれを見抜いたり防止したりすることが対面販売に比して著しく困難である点,インターネット販売では,インターネットを通じた情報提供を実際に専門家が行っているかどうかを購入者が確認することが対面販売に比して困難である点,対面販売では購入者と専門家がその場で直接やりとりを行うことができ購入者の質問に即時に対応できるのに対し,インターネット販売では電子メールやファクシミリを利用するなど購入者が情報提供を求めた場合の対応に時間を要することになる点において,対面販売にはインターネット販売と比較して明らかな優位性が認められる。

d このように,インターネットを用いる手法は,対面による方法とは本質的に性質が異なっているのであるから,技術的な工夫によって対面と同様の効果を得ることは困難である。結局,インターネットの性質上の限界から,改正法の趣旨・目的を達成することは困難といわざるを得ず,インターネットは対面に代わるものということはできない。
 したがって,改正法が,前記(イ)の規制目的を達成するため,対面での情報提供及び販売を義務付け,これに郵便等による販売を禁止する趣旨を含め,その委任を受けた改正省令において,第一類・第二類医薬品につき郵便等販売を禁止する措置を採ったことについて,その必要性・合理性は明らかというべきであり,加えて,インターネットによる方法では,改正法の規制目的を達成することが困難である以上,インターネット販売を許容した上で具体的な販売方法を規制することによって改正法の規制目的を達成することもできないから,改正法の本件規制よりも制限的でない規制方法で規制目的を達成することはできない。

e(a) 原告らは,インターネット販売であることを原因として薬害が発生した事実やその危険性があるとの事実は説明されておらず,インターネット販売を規制すべき立法事実を欠いていると主張するが,本件規制における立法事実として重要なのは,不十分な情報提供を原因とする医薬品による副作用被害が発生する抽象的危険の存在であり,上記被害が相当数存在したことによれば,上記危険が存在したことは明らかであるところ,改正法及び改正省令は,上記危険を防止する観点から,適切な情報提供方法として,対面による方法の方がインターネット等の対面によらない方法に比較して明らかに優位性が認められ,後者によっては上記危険を防止できないという事情を踏まえて,第一類・第二類医薬品について郵便等販売を禁止したものであるから,何ら立法事実として欠けるところはない。

(b) 原告らは,夜間等の対応において対面販売には不十分な点があると主張するが,新薬事法は販売時における医薬品の情報提供が重要であるとの認識の下に,販売時の対面を義務付けているのであり,販売時の即時の応答・指導の可否が検討されなければならないのであって,対面販売であればこれが可能であるのに対し,インターネットの場合には即時の応答・指導ができる制度的環境にはなく,販売業者側の努力も常に期待できるものではないし,即時の応答・指導を法令上義務付けたとしても,応答が返ってくるのを待つかどうかの判断を購入者にゆだねるものであって,不適切といわざるを得ない。

(c) 新薬事法36条の6第4項については,専門家が購入者の状態を確認し,問題がないと判断されることを前提として,購入者の申出により説明を省略できるのであるが,インターネット販売では,購入者の状態を直接確認できないのであるから,その省略を認める前提を欠くものといわざるを得ないし,そもそも,このようなごく一部の例外的場合の存在を根拠に規制手段の合理性が失われるとはいえない。また,使用者以外の者が店頭を訪れた場合は,専門家は使用者の状況を聞き,店頭を訪れた者を通じて使用者に情報提供するのであるから,対面販売の必要性はより高まる。
 第二類医薬品の販売における情報提供の努力義務も,購入者が店舗で専門家と対面することを前提としており,このような前提を欠く郵便等販売と同列に論ずることはできない。また,努力義務であっても,義務として規定されている以上,無視しても許されるものではない。

(エ) 改正法附則又は改正省令附則に基づく経過措置は,それぞれ次の各理由に基づく特例として設けられたものであり,インターネット販売に対する本件規制の合理性を補強しこそすれ,これを否定する根拠となり得るものではない。

a 特例販売業については,特定の種類の医薬品に限り,必要やむを得ない場合に限って例外として認められた業態であったことを踏まえ,激変緩和措置として,当分の間,引き続き当該業務を行うことができることとし,新薬事法36条の5及び36条の6の規定は適用しなかったものである。

b 既存配置販売業者については,配置販売業が,旧薬事法において明確に医薬品販売業の一業態として規定され,長い間認められてきた販売形態であり,地域の実情もあるため,購入者や事業活動に無用の混乱を与えないよう経過措置が設けられたものであって,既存配置販売業者に関する経過措置が認められたことをもって,インターネット販売まで許容されるべきものということはできない。

c 離島居住者に関する経過措置は,離島居住者が地理的制約から薬局又は店舗において対面で医薬品を購入することが特に困難であることから,経過措置を定めることで,例外的に,一定期間に限り,第二類医薬品の郵便等販売を可能にしたものであり,また,継続使用者に関する経過措置は,改正省令の施行前に購入した医薬品を現に使用中の者が,改正省令の施行後に当該医薬品を引き続き購入できなくなる不便を考慮し,専門家が情報提供を要しない旨の意思を確認し,かつ,情報提供を行う必要がないと判断した場合に限るなどの一定の条件を付した上で,例外的に,一定期間に限り,継続使用者が同一の薬局等から同一の医薬品を郵便等販売により購入することを可能とした例外的な措置である。

(オ) これらの事情によると,改正法は,上記(ア)で述べた基準によれば憲法22条1項に反しないのみならず,いわゆる厳格な合理性の基準によっても憲法22条1項に反するものではない。

(次回へ続く)

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2012年01月03日

最新下級審裁判例

東京地裁民事第2部判決平成22年03月30日

【事案】

1.平成18年法律第69号(以下「改正法」という。)による改正後の薬事法(以下「新薬事法」という。)の施行に伴い制定された平成21年厚生労働省令第10号(薬事法施行規則等の一部を改正する省令。平成21年2月6日公布,同年6月1日施行。以下「改正省令」という。その施行前に,平成21年厚生労働省令第114号(改正省令の一部を改正する省令。同年5月29日公布・施行。以下「再改正省令」という。)により,附則に経過措置が追加されている。)により,薬事法施行規則に,薬局開設者又は店舗販売業者が当該薬局又は店舗以外の場所にいる者に対する郵便その他の方法による医薬品の販売又は授与(以下「郵便等販売」という。改正省令による改正後の薬事法施行規則(以下「新施行規則」という。)1条2項7号参照)を行う場合は第一類医薬品及び第二類医薬品(以下「第一類・第二類医薬品」と総称する。)の販売又は授与は行わない旨の規定並びに第一類・第二類医薬品の販売又は授与及び情報提供は有資格者の対面により行う旨の規定(15条の4第1項1号(142条において準用する場合を含む。),159条の14,159条の15第1項1号,159条の16第1号並びに159条の17第1号及び同条2号。以下「本件各規定」と総称する。)が設けられたことについて,医薬品のインターネットによる通信販売(以下「インターネット販売」という。)を行う事業者である原告らが,改正省令は,新薬事法の委任の範囲外の規制を定めるものであって違法であり,インターネット販売について過大な規制を定めるものであって憲法22条1項に違反し,制定手続も瑕疵があって違法であり,無効である等として,①原告らが第一類・第二類医薬品につき郵便等販売をすることができる権利(地位)の確認(以下「本件地位確認の訴え」という。)及び②改正省令中の薬事法施行規則に本件各規定を加える改正規定(以下「本件改正規定」という。)が無効であることの確認(以下「本件無効確認の訴え」という。)を求めるとともに,予備的に,③本件改正規定の取消し(以下「本件取消しの訴え」という。)を求めている事案(上記①及び②は単純併合の請求,上記③は同各請求の予備的請求)である(なお,以下,本件各規定における第一類・第二類医薬品の郵便等販売に係る上記内容の規制を「本件規制」という。)。

2.関係法令の定め

(1) 新薬事法及び改正法附則

ア.新薬事法

(ア) 一般用医薬品の区分

 一般用医薬品(専ら動物のために使用されることが目的とされているものを除く。)は,次のように区分する(36条の3第1項)。

① 第一類医薬品 (a)その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品のうちその使用に関し特に注意が必要なものとして厚生労働大臣が指定するもの及び(b)その製造販売の承認の申請に際して14条8項1号に該当するとされた医薬品(既に製造販売の承認を与えられている医薬品と,有効成分,分量,用法,用量,効能,効果等が明らかに異なるとされた医薬品)であって当該申請に係る承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないもの(同項1号)

② 第二類医薬品 その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品(第一類医薬品を除く。)であって厚生労働大臣が指定するもの(同項2号)

③ 第三類医薬品 第一類・第二類医薬品以外の一般用医薬品(同項3号)

(イ) 一般用医薬品の販売に従事する者

 薬局開設者,店舗販売業者又は配置販売業者は,厚生労働省令で定めるところにより,一般用医薬品につき,次の各号に掲げる区分に応じ,当該各号に定める者に販売させ,又は授与させなければならない(36条の5)。

① 第一類医薬品  薬剤師(同条1号)

② 第二類医薬品及び第三類医薬品  薬剤師又は登録販売者(同条2号)

(ウ) 情報提供等(薬局開設者又は店舗販売業者)

① 薬局開設者又は店舗販売業者は,その薬局又は店舗において第一類医薬品を販売し,又は授与する場合には,厚生労働省令で定めるところにより,医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師をして,厚生労働省令で定める事項を記載した書面を用いて,その適正な使用のために必要な情報を提供させなければならない(36条の6第1項)。

② 薬局開設者又は店舗販売業者は,その薬局又は店舗において第二類医薬品を販売し,又は授与する場合には,厚生労働省令で定めるところにより,医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師又は登録販売者をして,その適正な使用のために必要な情報を提供させるよう努めなければならない(同条2項)。

③ 薬局開設者又は店舗販売業者は,その薬局若しくは店舗において一般用医薬品を購入し,若しくは譲り受けようとする者又はその薬局若しくは店舗において一般用医薬品を購入し,若しくは譲り受けた者若しくはこれらの者によって購入され,若しくは譲り受けられた一般用医薬品を使用する者から相談があった場合には,厚生労働省令で定めるところにより,医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師又は登録販売者をして,その適正な使用のために必要な情報を提供させなければならない(同条3項)。

④ 上記①の規定は,医薬品を購入し,又は譲り受ける者から説明を要しない旨の意思の表明があった場合には,適用しない(同条4項)。

(エ) 情報提供等(配置販売業者)

① 配置販売業者は,その業務に係る都道府県の区域において第一類医薬品を配置する場合には,厚生労働省令で定めるところにより,医薬品の配置販売に従事する薬剤師をして,厚生労働省令で定める事項を記載した書面を用いて,その適正な使用のために必要な情報を提供させなければならない(36条の6第5項において読み替えて準用する同条1項)。

② 配置販売業者は,その業務に係る都道府県の区域において第二類医薬品を配置する場合には,厚生労働省令で定めるところにより,医薬品の配置販売に従事する薬剤師又は登録販売者をして,その適正な使用のために必要な情報を提供させるよう努めなければならない(36条の6第5項において読み替えて準用する同条2項)。

③ 配置販売業者は,配置販売によって一般用医薬品を購入し,若しくは譲り受けようとする者又は配置した一般用医薬品を使用する者から相談があった場合には,厚生労働省令で定めるところにより,医薬品の配置販売に従事する薬剤師又は登録販売者をして,その適正な使用のために必要な情報を提供させなければならない(36条の6第5項において読み替えて準用する同条3項)。

④ 上記①の規定は,医薬品を購入し,又は譲り受ける者から説明を要しない旨の意思の表明があった場合には,適用しない(36条の6第5項において準用する同条4項)。

イ.改正法附則(経過措置)

(ア) 一般販売業に関する経過措置

① 改正法の施行の際現に改正法による改正前の薬事法(以下「旧薬事法」という。)26条1項の一般販売業の許可を受けている者(以下「既存一般販売業者」という。)については,改正法の施行の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日(平成24年5月31日)までの間は,新薬事法26条1項の店舗販売業の許可を受けないでも,引き続き既存一般販売業者に係る業務を行うことができる(改正法附則2条前段)。

② 上記①の規定により引き続きその業務を行う既存一般販売業者については,その者を新薬事法26条1項の店舗販売業の許可を受けた者とみなして,前記ア(イ)及び(ウ)の規定を適用する(改正法附則3条)。

(イ) 配置販売業に関する経過措置

① 改正法の施行の際現に旧薬事法30条1項の配置販売業の許可を受けている者(以下「既存配置販売業者」という。)については,新薬事法30条1項の配置販売業の許可を受けないでも,引き続き既存配置販売業者に係る業務を行うことができる。この場合において,旧薬事法30条1項の規定は,薬事法24条2項の許可の更新については,なおその効力を有する(改正法附則10条)。

② 上記①の規定により引き続き業務を行う既存配置販売業者については,その者を新薬事法30条1項の配置販売業の許可を受けた者とみなして,前記ア(イ)及び(エ)の規定を適用する。この場合において,同(イ)②並びに(エ)②及び③の規定中「登録販売者」とあるのは,「既存配置販売業者の配置員」とする(改正法附則11条1項)。

(ウ) 特例販売業に関する経過措置

 改正法の施行の際現に旧薬事法35条の特例販売業の許可を受けている者は,当分の間,従前の例により引き続き当該許可に係る業務を行うことができる(改正法附則14条)。

(2) 新施行規則及び改正省令附則

ア.新施行規則

(ア) 郵便等販売の方法等

 薬局開設者は,郵便等販売を行う場合は,次に掲げるところにより行わなければならない(15条の4第1項)。

① 第三類医薬品以外の医薬品を販売し,又は授与しないこと(同項1号)。

② (略)(同項2号,3号)

(イ) 店舗販売業者については,上記(ア)の規定を準用する(142条)。

(ウ) 薬剤師又は登録販売者による医薬品の販売等

① 薬局開設者,店舗販売業者又は配置販売業者は,前記(1)ア(イ)の規定により,第一類医薬品については,医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師に,自ら又はその管理及び指導の下で登録販売者若しくは一般従事者をして,当該薬局若しくは店舗又は当該区域における医薬品を配置する場所(医薬品を配置する居宅その他の場所をいう。)(以下「当該薬局等」という。)において,対面で販売させ,又は授与させなければならない(159条の14第1項)。

② 薬局開設者,店舗販売業者又は配置販売業者は,前記(1)ア(イ)の規定により,第二類医薬品又は第三類医薬品については,医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師又は登録販売者に,自ら又はその管理及び指導の下で一般従事者をして,当該薬局等において,対面で販売させ,又は授与させなければならない。ただし,薬局開設者又は店舗販売業者が第三類医薬品を販売し,又は授与する場合であって,郵便等販売を行う場合は,この限りでない(同条2項)。

(エ) 一般用医薬品に係る情報提供の方法等

① 薬局開設者又は店舗販売業者は,前記(1)ア(ウ)①の規定による情報の提供を,次に掲げる方法により,医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師に行わせなければならない(159条の15第1項)。

a 当該薬局又は店舗内の情報提供を行う場所において,対面で行わせること(同項1号)。

b 医薬品を購入し,又は譲り受けようとする者における当該医薬品の使用が適正なものであること又は不適正なものとならないことを確認するための質問又は説明を行わせること(同項2号)。

② 前記(1)ア(ウ)①の厚生労働省令で定める事項は,次のとおりとする(同条2項)。

a 当該医薬品の名称(同項1号)

b 当該医薬品の有効成分の名称及びその分量(同項2号)

c 当該医薬品の用法及び用量(同項3号)

d 当該医薬品の効能又は効果(同項4号)

e 当該医薬品に係る使用上の注意のうち,保健衛生上の危害の発生を防止するために必要な事項(同項5号)

f その他当該医薬品を販売し,又は授与する薬剤師がその適正な使用のために必要と判断する事項(同項6号)

(オ) 薬局開設者又は店舗販売業者は,前記(1)ア(ウ)②の規定による情報の提供を,次に掲げる方法により,医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師又は登録販売者に行わせるよう努めなければならない(159条の16)。

① 当該薬局又は店舗内の情報提供を行う場所において,対面で行わせること(同条1号)。

② 医薬品を購入し,又は譲り受けようとする者における当該医薬品の使用が適正なものであること又は不適正なものとならないことを確認するための質問又は説明を行わせること(同条2号)。

③ 上記(エ)②に掲げる事項について説明を行わせること(同条3号)。

(カ) 薬局開設者又は店舗販売業者は,前記(1)ア(ウ)③の規定による情報の提供を,次に掲げる方法により,医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師又は登録販売者に行わせなければならない(159条の17)。

① 第一類医薬品の情報の提供については,当該薬局又は店舗内の情報提供を行う場所において,医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師に対面で行わせること(同条1号)。

② 第二類医薬品又は第三類医薬品の情報の提供については,当該薬局又は店舗内の情報提供を行う場所において,医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師又は登録販売者に対面で行わせること(同条2号)。

③ 医薬品の使用に当たり保健衛生上の危害の発生を防止するために必要な事項について,医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師又は登録販売者に説明を行わせること(同条3号)。

イ.改正省令附則(郵便等販売に関する経過措置)

 次の(ア)ないし(カ)の経過措置の規定は,いずれも,再改正省令によって改正省令の制定後・施行前に同省令の附則に加えられたものである。

(ア) 店舗販売業者が,薬局及び店舗販売業の店舗が存しない離島に居住する者に対して郵便等販売を行う場合においては,平成23年5月31日までの間は,前記ア(イ)において準用する同(ア)の規定の適用については,同(ア)①の規定中「第三類医薬品」とあるのは,「第二類医薬品又は第三類医薬品」とする(改正省令附則23条2項)。

(イ) 上記(ア)に規定する場合において,薬局開設者又は店舗販売業者は,同(ア)の規定により医薬品を販売し,又は授与したときは,遅滞なく,その販売又は授与の相手方の氏名,住所,連絡先及び当該医薬品の名称その他必要な事項を記載した記録を作成し,その作成の日から3年間保存しなければならない(改正省令附則23条3項)。

(ウ) 薬局開設者又は店舗販売業者が,上記(ア)の規定により第二類医薬品の郵便等販売を行う場合においては,平成23年5月31日までの間は,前記ア(ウ)②の規定の適用については,同②ただし書の規定中「第三類医薬品」とあるのは「第二類医薬品又は第三類医薬品」とし,前記ア(オ)の規定の適用については,同(オ)①の規定中「当該薬局又は店舗10内の情報提供を行う場所において,対面で」とあるのは「電話その他の方法により」とする(改正省令附則26条)。

(エ) 薬局開設者又は店舗販売業者に,薬局及び店舗販売業の店舗が存しない離島に居住する者であって,その薬局若しくは店舗において第二類医薬品若しくは第三類医薬品を購入し,若しくは譲り受けようとするもの又はその薬局若しくは店舗において第二類医薬品若しくは第三類医薬品を購入し,若しくは譲り受けたもの若しくはこれらの者によって購入され,若しくは譲り受けられた第二類医薬品若しくは第三類医薬品を使用するものから相談があった場合においては,平成23年5月31日までの間は,前記ア(カ)の規定の適用については,同(カ)②の規定中「当該薬局又は店舗内の情報提供を行う場所において,医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師又は登録販売者に対面で」とあるのは,「医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師又は登録販売者に電話その他の方法により」とする(改正省令附則27条)。

(オ) 既存一般販売業者又は既存薬種商等(店舗販売業の許可を受けた者を含む。以下同じ。)が,この省令の施行前に当該既存一般販売業者又は既存薬種商等から購入し,又は譲り受けた第二類医薬品をこの省令の施行の際現に継続して使用していると認められる者に対して,当該医薬品と同一の医薬品の郵便等販売を行う場合(当該店舗の薬剤師又は登録販売者が電話その他の方法により当該医薬品を購入し,又は譲り受ける者から前記(1)ア(ウ)②の規定による情報の提供を要しない旨の意思を確認し,かつ,同規定による情報の提供を行う必要がないと判断した場合に限る。)においては,平成23年5月31日までの間は,前記ア(イ)において準用する同(ア)の規定の適用については,同(ア)①の規定中「第三類医薬品」とあるのは,「第二類医薬品又は第三類医薬品」とする(改正省令附則28条2項)。

(カ) 既存一般販売業者又は既存薬種商等は,上記(オ)の規定により医薬品を販売し,又は授与したときは,遅滞なく,その販売又は授与の相手方の氏名,住所,連絡先及び当該医薬品の名称その他必要な事項を記載した記録を作成し,その作成の日から3年間保存しなければならない(改正省令附則28条3項)。

3.前提事実

(1) 当事者

ア.原告P1株式会社(以下「原告P1」という。)は,医薬品その他の各種商品の販売,通信販売業等を目的とする株式会社であり,旧薬事法26条1項の一般販売業の許可を得た医薬品の既存一般販売業者(改正法附則2条)である。
 原告P1は,改正法の施行前,同原告のインターネットサイトを通じて,医薬品,健康食品,日用品等を販売していた。

イ.原告有限会社P2(以下「原告P2」という。)は,医薬品その他の各種商品の販売等を目的とする特例有限会社(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律3条2項)であり,旧薬事法26条1項の一般販売業の許可を得た医薬品の既存一般販売業者(改正法附則2条)である。
 原告P2は,改正法の施行前,P3というインターネットサイト内に開設した同原告のウェブページを通じて,医薬品,化粧品,健康食品等を販売していた。

(2) 改正法による薬事法の改正に至る経緯

ア.厚生労働大臣の諮問機関である厚生科学審議会は,平成16年4月,厚生労働大臣から,医薬品のリスク等の程度に応じて,専門家が関与し,適切な情報提供等がされる実効性のある制度を構築するための医薬品販売の在り方全般の見直しについて諮問を受け,その調査審議を行うため,同審議会の下に,関係各界の専門家・有識者等を委員とし,厚生労働省担当官らを事務局とする「医薬品販売制度改正検討部会」(以下「検討部会」という。)を設置した。厚生科学審議会は,検討部会において,同年5月14日から平成17年12月15日までの約1年半余にわたり,23回の部会を開催して検討を行い,また,平成16年10月に検討部会の下に設置された関係各界の専門家等を委員とする「医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等に関する専門委員会」(以下「専門委員会」という。)が平成16年10月22日から平成17年11月14日までに12回の委員会を開催して行った検討の結果も踏まえ,同年12月15日,検討部会の検討結果として「医薬品販売制度改正検討部会報告書」(以下「検討部会報告書」という。)を取りまとめ,厚生労働大臣に報告するとともに,公表した。

イ.上記アの報告を受けて,厚生労働省において,同報告書の内容を踏まえ,薬事法の一部を改正する法律案(改正法の法律案。以下「改正法案」という。)の立案作業が行われ,平成18年3月7日,閣議決定を経て第164回国会に改正法案が提出され,同国会における審議を経て,同年6月8日に修正なく可決成立した。

ウ.平成18年6月14日,改正法が平成18年法律第69号として公布され,その後の政令による施行期日の定めにより平成21年6月1日から改正法が施行され,これにより,薬事法に36条の3,36条の5,36条の6等の規定が新設された。

(3) 改正省令による薬事法施行規則の改正に至る経緯

ア.平成20年2月1日,一般用医薬品のリスクの程度に応じて,専門家が関与し,販売時の情報提供等が適切に行われる等,国民からみて分かりやすく,かつ,実効性のある販売制度を構築することにより,医薬品の適切な選択及び適正な使用に資することを目的とする改正法の趣旨に照らし,平成21年中の施行が予定されている新薬事法において規定された販売の体制や環境の整備を図るために必要な省令等の制定に当たって必要な事項を検討するため,関係各界の専門家・有識者等を構成員とし,厚生労働省担当官らを事務局とする「医薬品の販売等に係る体制及び環境整備に関する検討会」(以下「第一次検討会」という。)が設けられることとされた。

イ.第一次検討会は,平成20年2月8日から同年7月4日までの約半年にわたり8回の検討会を開催し,同日,省令(薬事法施行規則)の改正の在り方等に関する第一次検討会の検討結果として,「医薬品の販売等に係る体制及び環境整備に関する検討会報告書」(以下「第一次検討会報告書」という。)を取りまとめ,厚生労働大臣に報告するとともに,公表した。

ウ.上記イの報告を受けて,厚生労働省において,同報告書の内容を踏まえ,薬事法施行規則等の一部を改正する省令案(改正省令の省令案。以下「改正省令案」という。)の立案作業が行われ,厚生労働省は,平成20年9月17日,「「薬事法施行規則等の一部を改正する省令案」に関する意見の募集について」との表題で改正省令案の概要を示し,これに対する意見公募手続(パブリックコメント)を行った。

エ.厚生労働省は,上記ウの意見募集を経て,同ウの改正省令案の立案作業を進め,平成21年2月6日,その意見公募手続の結果等を公表した。

オ.平成21年2月6日,改正省令(薬事法施行規則等の一部を改正する省令)が平成21年厚生労働省令第10号として公布され,同年6月1日(改正法の施行日)から施行され,これにより,薬事法施行規則に本件各規定が新設された。

(4) 新薬事法並びに改正省令及び再改正省令の施行に至る経緯

ア.平成21年2月13日,改正法の全面施行を同年6月1日に控え,新制度の下,国民が医薬品を適切に選択し,かつ,適正に使用することができる環境づくりのために国民的議論を行うことを目的として,厚生労働大臣の指示により,関係各界の専門家・有識者等を構成員とする「医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」(以下「第二次検討会」という。)が設けられることとされた。

イ.第二次検討会は,平成21年2月24日から同年5月22日までの間に7回の検討会を開催するなどして,改正法に基づく医薬品の新販売制度の円滑な施行のための方策を検討した。

ウ.上記イの検討の結果等を踏まえ,厚生労働省において,改正省令の一部を改正する省令案(再改正省令の省令案。以下「再改正省令案」という。)の立案作業が行われ,平成21年5月12日,厚生労働省は,「「薬事法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令案」に関する意見の募集について」との表題で再改正省令案の概要を示し,同月18日を締切日として,これに対する意見公募手続(パブリックコメント)を行い,再改正省令案の立案作業を進めた。

エ.平成21年5月29日,再改正省令(改正省令の一部を改正する省令)が平成21年厚生労働省令第114号として公布され,改正法及び改正省令の施行に先立ち同日から施行され,これにより,改正省令附則に前記2(2)イ(ア)ないし(カ)の郵便等販売に関する経過措置の規定等が加えられた。

オ.平成21年6月1日,改正法及び改正省令が施行された。

(5) 本件訴訟の提起原告らは,平成21年5月25日,本件訴えを提起した。

4.争点

(1) 本件無効確認の訴え及び本件取消しの訴えの適法性(本案前の争点)

(2) 本件改正規定の適法性・憲法適合性(本案の争点)

ア.委任命令としての適法性

イ.本件規制の憲法適合性

ウ.省令制定手続の適法性

(次回へ続く)

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「遺産は愛人に全額贈与じゃ!」ダメ親父のアホ遺言書はどうしたらいいのか

ウイルス汚染で職場が危険、法律上勤務拒否は可能か…元アイドル平松弁護士が解説

伊賀ドキの人 悩みに寄り添う 米沢龍史さん(33)

<判決に望む 呼吸器事件再審>(下) 元検察官・市川寛弁護士に聞く

旧最高裁の大法廷に飾られていた3枚の聖徳太子の絵 日本画の巨匠が込めた思いとは

袴田さん、最高裁へ再審開始要請 釈放6年、支援者ら

相模原殺傷事件控訴に「時間の無駄」「早く死刑に」と語る人々:全ての命の重みとは

19人殺害で死刑 植松被告の弁護士が控訴

植松被告の弁護士 判決不服控訴

3万人から税金取り過ぎの大阪市 最高裁敗訴で返還額3倍に膨らむ可能性高まる

「ギャラ飲み」「パパ活」って犯罪?トラブルになる前に弁護士に相談

容疑者引き渡し巡り結審 筑波大生不明、チリ最高裁

受刑者の手紙禁止しないよう勧告 岡山刑務所に弁護士会

マスク着用強要可能?自宅待機中の給料は? 社労士有志が中小向け対応ガイド無料配布

選択的夫婦別姓訴訟がまた敗訴、最高裁に上告へ 「再婚連れ子の姓に考慮を」

熊谷6人殺害事件・被告の無期減刑に対し、被害者遺族と弁護人が会見…「被害者側にも固有の上訴権を」

熊谷6人殺害事件で妻子を奪われた遺族 被告減刑で心情激白「自分で手を下すしかないのでしょうか」

「ゴルフ場で飲んだ」弁護士が“酒酔い運転”

女性同士の内縁関係でも「不倫に110万円の慰謝料」が認められた理由

熊本銀行、熊本県弁護士会と連携協定 事業承継で

弁護士事務所の業務をゲキテキに改善する事件管理サービス

賭け麻雀「危ない俗説」を法的検証、「フリーは大丈夫」「テンピン以上が摘発対象」は本当か?

ドン・ファン遺産獲得に予算 田辺市、弁護士経費1億円超

不倫「離婚したくないけど、慰謝料がほしい」弁護士の見解は?

【リーガルテック】弁護士向け事件管理サービス『LegalWin』が文書OCR・文書管理機能をリリース
手持ち文書全体に検索・ブックマークで瞬時にアクセス

「パチンコのために子供4人放置」両親初公判 検察側懲役2年求刑

初公判で夫婦が起訴内容認める 子ども4人を家に置き去りパチンコ店に/兵庫県

停職3ヵ月の懲戒処分 検察事務官が女性の尻を触る【岩手】

捜査書類を29年間自宅に放置 検察事務官を懲戒処分

常習賭博のインターネットカジノ店店長に1年6か月を求刑(富山県)

ラーメン店強盗で男送検 事件前後には・・・(富山県)

カフェで“睡眠導入剤”入りコーヒー飲ませ…43歳女性に性的暴行 46歳男に懲役5年6か月の判決

大手メーカーの機密情報を転職先のライバル会社に漏らす…66歳男に有罪判決「私欲的な行為」

大阪・富田林署逃走は「計画的」 樋田被告、検察側が論告

野田市小4虐待死事件の「全容」~全公判を傍聴してわかったこと

『毎月10万円プレゼント』…”ウソの動画”を配信し現金だまし取った「GIFT」詐欺 主犯格の初公判

森雅子法相の「検察官逃げた」騒動 答弁の裏にある成功体験

直ちに告発受理し捜査を 関電金品受領、検察に要請

検察、再び有罪を求める、乳腺外科医控訴審結審(3月25日追記)

「検察は第三者機関」との首相答弁の表現は適切 菅官房長官

弁護士の常識は、社会の非常識? (3) 面会簿に署名して逃亡を謀議する奴は”本当に”いないのか?

中国、北海道教育大教授を捜査 スパイ容疑と発表、検察に送致

新型コロナ、威嚇の「せき」は英国なら禁錮2年-「犯罪」と検察言明

故意にせき、英で相次ぐ 検察、暴行罪で摘発強化

後輩のズボン脱がせたショートトラック元韓国代表に懲役刑求刑

「チョ・グク守護」を掲げた開かれた民主党「チョ・グク事態は検察のクーデター」

n番ルーム事件、「犯罪団体組織罪」の適用は可能か?

朴槿恵前大統領弁護団、弾劾時の憲法裁判所裁判官9人相手取り損害賠償請求

米弁護士ら、武漢ウイルス研究所などを提訴 損害賠償20兆ドル

トルコ検察、サウジ記者殺害事件で20人起訴 皇太子側近も

改正民法趣旨・規範ハンドブック

司法試験定義趣旨論証集(物権)【第2版】

法学入門(第3版)

平等権解釈の新展開: 同性婚の保障と間接差別の是正に向けて

憲法判例50! 第2版 (START UP)

いちばんやさしい憲法入門 第6版 (有斐閣アルマ > Interest)

憲法と要件事実 法科大学院要件事実教育研究所報第18号

行政法概説Ⅰ -- 行政法総論 第7版

行政法 第2版 (有斐閣ストゥディア)

法執行システムと行政訴訟: 髙木光先生退職記念論文集

国賠判例にみる権限不行使と警察の責務

民法Ⅴ 事務管理・不当利得・不法行為 第2版 (LEGAL QUEST)

民法7 親族・相続 第6版 (有斐閣アルマ)

スタートライン債権法 第7版

債権法各論[第2版] (スタンダール民法シリーズ 4)

不動産登記法〔第2版〕

Law Practice 商法〔第4版〕

民事執行・保全法 第6版 (有斐閣アルマ > Specialized)

ベーシック労働法 第8版 (有斐閣アルマ > Basic)

サブテクスト国際法 教科書の一歩先へ

弁護士のためのマネー・ローンダリング対策ガイドブック

違法薬物の所持を装って警察官らに被告人を追跡するなどの
捜査活動を余儀なくさせた行為が偽計業務妨害に当たるとされた事例
(名古屋高金沢支判平成30年10月30日 LEX/DB 25561935)
刑事判例研究会 大阪大学大学院法学研究科博士後期課程 久保英二郎

作為態様の中止には,結果発生防止に必要かつ適切な措置を講じることが求められるとして,
中止未遂の成立を否定した一事例 (札幌高判平成 30・10・1 判例集未登載)
刑事判例研究会 大阪市立大学大学院法学研究科教授 金澤真理

危惧感説と具体的予見可能性説の異同再論
――長野地松本支判平成31・3・25平成26年(わ)第260号を素材として――
立命館大学大学院法務研究科教授 松宮孝明

不法残留者との同居と不法残留の幇助
立命館大学大学院法務研究科教授 松宮孝明

預金債権の準共有〔序説〕 ――誤振込事例と信託を素材として――
立命館大学大学院法学研究科教授 岸本雄次郎

民法724条の「不法行為の時」の解釈基準と「損害の性質」に着目した不法行為類型
立命館大学大学院法務研究科教授 松本克美

会社法356条2項の改正
立命館大学法学部教授  品谷篤哉

◇ 退職記念講義 ◇ 法の支配について
平野仁彦

計画確定決定の衡量統制に関する一考察(1) ――衡量の瑕疵とその有意性――
立命館大学大学院法務研究科教授 湊二郎

計画確定決定の衡量統制に関する一考察(2・完) ――衡量の瑕疵とその有意性――
立命館大学大学院法務研究科教授 湊二郎

司法修習委員会(第38回)

“失言の美魔女”森雅子法務大臣 貧困からの栄達物語に隠された「短所」とは?

コロナウィルスの影響で24時間365日利用できるレンタル自習室
イーミックスへ利用者の問い合わせが殺到しております。

関電金品受領問題は「戦後最大の経済犯罪」~原発事業をめぐる「闇」の解明が不可欠

「関電再生」には刑事責任の追及が不可欠だ

コロナ感染者のふりには大きなリスク「偽計業務妨害」容疑で逮捕も

カスタマーハラスメントに遭う前に。弁護士に聞いた「最低限の準備」

受動喫煙は「犯罪」にならないの? 「刑罰」への待望論も、「行政罰」が望ましい理由

成年後見制度 使い勝手良くして利用促進を

「ただただ気持ち悪かったです」19歳の実娘への性的暴行で父親に有罪 “逆転”の理由

当時19歳の実の娘に性的暴行…二審で逆転有罪の父親が上告 名古屋

最高裁が親告罪だったころの「強制わいせつ」も“告訴なし”で起訴できると判断した意味

ロッキード事件の裁判長、草場良八氏死去 94歳、老衰

草場良八氏が死去 元最高裁長官

無期懲役の判決確定 異議申し立てを棄却 今市事件

仏留学生不明事件、日本人留学生の家族が法廷で証言

筑波大生不明事件、フランス警官が証言 遺体、川に流された可能性―チリ

停職取り消し4月判決、最高裁 教諭のいじめ隠し

【名古屋闇サイト殺人事件】「事件について何も思いません」犯人から届いた非情な手紙

辺野古訴訟 県敗訴の見通し 最高裁が弁論せず判決

橋下徹のケンカの鉄則…負けを回避するには「躊躇なくいったん退く」

勤め先から「契約更新しない」と言われたら… 雇い止めに遭ったときの対処法

新型コロナの影響で起きた内定取り消し、不当解雇、賃金未払いに対抗するために。
無料で加入・内部告発もできるオンライン労働組合「みんなのユニオン」

急死した父の”前妻の子”に知らせず「しれっと遺産相続」 は絶対ダメ! むずかしい関係こそ大切なのは…

県議の質疑「8割コピペ」で物議 政治では禁忌、質問にも権利?

元榮太一郎「僕の勝ち方」(3)赤字会社の人心掌握術

【法律相談】相続で発覚した共有不動産を現金化する方法

愛人から突き返された夫 妻と子どもに面倒を見る義務はあるのか?

会社の懇親会が「強制参加」…これってアリ? 「労働時間」と認めてもらう条件

【弁護士の見解】香川県ネット・ゲーム依存防止条例は憲法違反の可能性十分

香川県「ゲームは1日60分」条例、違憲性への懸念 「不当な干渉」「憲法13条に違反」…作花弁護士が指摘

走行中にフェラーリ炎上、欠陥を認める判決 東京地裁

「マスク緊急増産」なら残業させ放題って本当? 厚労省の通知、実のところは…

新型コロナ影響で資金不足どう対策 「返済猶予」を弁護士が解説

弁護士「東京五輪のボランティアは途中でバックレてもOKです」

弁護士ドットコム、法律書籍のサブスクサービス 「BUSINESS LAWYERS LIBRARY」提供開始

弁護士ドットコム、法律書籍、雑誌のサブスクサービス開始--月額6300円で約400冊読み放題

「陽性」でジムへ行ったら罪? 新型コロナトラブルQ&A【弁護士に聞いた】

続々と施行、堀天子 弁護士が語るフィンテック関連で確認すべき法改正とは

【弁護士・公認会計士】ダブル資格で、新境地に挑む横張 清威さんに聞く

女子高生ひき逃げ死亡「悲劇繰り返さぬため無罪」の妥当性

心愛さん虐待死、父に懲役16年 「凄惨で陰湿」 六つの罪全て認定・千葉地裁

心愛さん虐待死事件で父親に懲役16年、謝罪を口にするも最後まで非は認めず

河井案里氏の秘書と前法相の政策秘書ら逮捕 検察の最終ターゲットは安倍首相首相か

ウグイス嬢事件 案里氏は全裸で克行氏は転倒…河井夫妻の抵抗劇

「元レーサーが犯行持ちかけた」“八百長”元競艇選手ら初公判で検察側指摘 20レースで順位操作し利益

妊娠中の母親と2歳長男が車にはねられ母親死亡…運転していた男に“執行猶予付き”の有罪判決

廿日市女子高校生殺害事件 被告に無期懲役の判決

リンさん殺害事件、両親が被告を提訴 約7千万円求める

森法相「法務省が確認した事実が実際の事実」 「異なる事実」を事実上修正

弁護士の常識は、社会の非常識? (2) 弘中弁護士はゴーン被告に”落とし前”をつけるべきでは?

米刑務所で新型コロナウイルスにおびえる服役囚が続出 懲役150年でも“出してくれ”

軽微な罪を寛容に、新型ウイルスで打撃の民間企業の再稼働を後押し

「入試不正・監察請託疑惑」のチョ・グク前韓国法務部長官の初めての裁判開始…起訴80日ぶり

ユン検察総長の義母、4年前の「虚偽残高証明書」処罰の可能性を知っていた

図解 東大医学部在学中に司法試験も一発合格した僕のやっている シンプルな勉強法

現代実定法入門-人と法と社会をつなぐ 第2版

実況文章 正月の叫び2020

注釈日本国憲法(3) -- 国民の権利及び義務(2)・国会 (有斐閣コンメンタール)

新プリメール民法3 債権総論〔第2版〕 (αブックス)

債権法民法大改正 ポイントと新旧条文の比較

新版 有利な心証を勝ち取る民事訴訟遂行

会社法 第22版 (法律学講座双書)

株主権の再評価

役員人事の法制度――経営者選解任と報酬を通じた企業統治の理論と機能

刑法総論の悩みどころ (法学教室LIBRARY)

実戦演習 刑法―予備試験問題を素材にして

労働法 第4版 (LEGAL QUEST)

強盗に際して犯行現場付近で見張りをしてほしいとの正犯者の依頼を受けて犯行現場に駆け付けたが、
到着した時点で既に正犯者が犯行を終えて逃げ出す段階になっていたため、
自身の運転する自動車に正犯者を乗せて逃走した者について、
強盗致傷罪に対する幇助犯の成立を認めた事例
(京都地判平成26年10月31日(LEX/DB 文献番号25505245))
一橋大学大学院法学研究科特任助教 酒井智之

訴訟代理人弁護士が受刑者に宛てて発した信書の検査をめぐる法的問題
一橋大学大学院法学研究科教授 葛野尋之

私的刑法学 ―常識を疑い、常識を守る―
専修大学大学院法務研究科教授 橋本正博

民法学と公共政策──近時の日本民法学変貌を踏まえて「債権法改正」を考える──
吉田邦彦

愛知県議会議長の同県議会議員に対する発言取消命令の適否は、司法審査の対象とはならないとされた事例。
公法判例研究 盛永悠太

人体と機械の融合に伴う法律問題についての研究 ── 科学技術と刑法の調和 ──
小名木明宏

アメリカにおける終身刑の最新動向について
一橋大学大学院法学研究科博士後期課程  唐春楊

フランス憲法院判例における「公序(ordre public)」の概念
 一橋大学大学院法学研究科博士後期課程・日本学術振興会特別研究員 DC 田中美里

連邦憲法裁判所における一般的平等原則審査の変遷
一橋大学大学院法学研究科博士後期課程・日本学術振興会特別研究員 DC1 辛嶋了憲

“結婚後の性別変更”認めず…特例法は「合憲」と最高裁が判断

性別変更、特例法の要件は「合憲」 最高裁初判断

性同一性障害 結婚後に戸籍上の性別変更認めずは合憲 最高裁

仮免中違反の罰金命令破棄 非常上告受け最高裁是正

実の娘に性的暴行 2審は逆転有罪 父に懲役10年判決 名古屋高裁

【名古屋・逆転有罪判決】被害者のAさんがコメントを発表「信じてくれる人は少なかった」

「ひかりの輪」観察処分は適法 国側逆転勝訴の判決確定 最高裁

受精卵で無断出産は「自己決定権侵害」 元妻に賠償命令

法科大学院認証評価における評価手数料の改定について

司法試験委員会 第156回会議(令和2年2月26日)

令和3年司法試験会場の公募について

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案

著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律案

資格スクエア予備試験講座(全講座)を高校生向けに期間限定で無料開放致します。

「傍聴席減らす」新型コロナで裁判所が異例措置 希望者「入りたい」とトラブルも

成年後見の報酬算定は2階建てで設定 最高裁が考え方を示す

引退してから優しくなれた プロボクサーと弁護士を両立
坂本尚志の意志を貫く力「頑張ってからやめた方が胸を張れる

授業とボクシングの練習以外は図書館へ
元・東大出身の弁護士ボクサー坂本尚志「頑張る自分でありたい」

新型コロナで結婚式延期、交渉したらキャンセル料8割減 女性「まるっともらう気だったのか」

若手の環境に危機感抱く 日弁連次期会長・荒中(あら・ただし)さん

日弁連会長に荒氏(相馬出身) 仙台弁護士会 東北から初当選

日弁連 次期会長に仙台弁護士会の元会長 荒氏

水俣病高裁判決 司法救済の門を閉ざすな

原告「最悪の不当判決だ」 水俣病互助会・国賠訴訟

水俣病第2世代訴訟原告全面敗訴(熊本県)

「人と思えぬ」まさかの全員敗訴 水俣病賠償訴訟、福岡高裁

水俣病訴訟 胎児・幼少期被害を認めず 福岡高裁 8人全員、国基準踏襲

夫の車がラブホテルの駐車場に 勤務中の不貞を会社に伝えていいか

コロナ「ばらまく」と来店の男、逮捕には「壁」も 捜査の焦点は?

「コロナばらまき男」を愛知県警が捜査開始 意外に高い“逮捕、起訴のハードル”

致死性ウイルスを故意に感染させると殺人罪、殺人未遂罪の適用も

「ウイルスばらまいてやる」男性“店内映像”報道、本人の同意がない場合は問題ないのか聞いた
弁護士「店舗側やメディア側が訴えられる可能性」

コロナで高まる「内定取り消し」のリスク  相談事例から対処法を解説する

改正健康増進法施行へ 飲食店の「喫煙」厳しく制限、何がどう変わる?

Googleマップに悪評を書かれた歯科医 投稿者分からず落胆

会社法の一部を改正する法律案

民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)

商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律案

民法の一部を改正する法律(債権法改正)について

令和2年司法試験予備試験の実施について

令和2年司法試験の実施について

司法試験考査委員の不適切行為に関する通報窓口


  【司法研修所教材・講義案・調査官解説等】
事件記録教材 法科大学院教材
調査官解説
事例で考える民事事実認定
プラクティス刑事裁判 平成30年版
プロシーディングス刑事裁判 平成30年版
検察講義案 平成27年版
新問題研究要件事実
紛争類型別の要件事実 民事訴訟における攻撃防御の構造 改訂
刑事第一審公判手続の概要
刑事判決書起案の手引
民事判決起案の手引
民事訴訟第一審手続の解説
情況証拠の観点から見た事実認定
民事訴訟における要件事実 第2巻
民事訴訟における要件事実 増補 第1巻
書記官研修講義案等