2007年03月15日

刑事訴訟法5

狭義の択一的認定

「A罪またはB罪」という認定は合成的構成要件の設定であり、罪刑法定主義に反し許されない。
もっとも、論理的択一関係にあるか、論理的択一関係になくても第三の可能性がない場合は、
軽い犯罪の成立を認定できると解する。なぜなら、一方の否定が他方の存在を意味する以上、
利益原則に反しないと考えられるからである。

一事不再理効の根拠

二重の危険禁止の法理(憲法39後段)に求めるべきと解する。
なぜなら、訴因を審判対象とする現行法と整合的だからである。

実体裁判の既判力は別事件に及ぶか

否定すべきである。万一誤判の場合を考えると、別事件に波及させるべきでないからである。

偽装による形式裁判に既判力は生じるか

不利益再審が否定されている趣旨からして、既判力が生じ、再起訴はできないと解する。

一事不再理効の客観的範囲

公訴事実の同一性の範囲で生じると解する。
その範囲で訴因変更が認められており(312Ⅰ)、被告人は有罪の危険を負ったといえるからである。

免訴判決の法的性質

免訴事由があるにもかかわらず実体裁判するのは無益であるから、形式裁判と解する。

免訴判決に一事不再理効は生じるか

形式裁判と解する以上、生じないのが原則であるが、相当程度の実体審理に入った場合は、
その限度で有罪の危険を負担しているから、一時不再理効が生じると解する。

形式裁判に対して無罪を主張して上訴できるか

被告人は手続から解放される点で無罪と変わらず、上訴の利益は認められないから、否定すべきである。

控訴審の構造

原則として控訴趣意事項を調査するのである(392Ⅰ)から、事後審と解する。
もっとも、原判決を破棄して自判する場合には続審となるというべきである。

控訴審での訴因変更(404・312Ⅰ)の可否

控訴審を事後審と解する以上、審判対象は原判決であって、訴因ではない。
よって、原則として訴因変更できない。
もっとも、破棄自判の場合は続審となるので、訴因変更できると解する。

原判決以前の新証拠の取調べの可否

393Ⅰ本文に格別の制限がない以上、許されると解する。

再審における証拠の新規性(435⑥)

再審の趣旨は誤判救済にあるから、裁判所にとって新たな証拠であればよい。
もっとも、禁反言の法理から、秘匿した当事者からの再審請求は否定される場合があると解する。

証拠の明白性(435⑥)の程度

利益原則から、有罪認定に対し、合理的疑いを生じさせる程度であれば足りると解する。

明白性の評価方法

証拠は他の証拠との関連で評価されるべきであるから、旧証拠との総合評価により判断すべきである。
その際、事実誤認の救済という趣旨から、確定判決の認定には拘束されないものと解する。

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刑事訴訟法4

「証拠」(317)の意義

法が証拠能力を限定し(319以下)、証拠調べ手続きの方式を定めている(292)趣旨から、
証拠能力があり、適式な証拠調べを経た証拠をいうと解する。

「事実」(317)の意義

事実とは刑罰権発動の根拠となるものであるから、「罪となるべき事実」(335Ⅰ)すなわち公訴犯罪事実をいうと解する。

厳格な証明が必要な事実の範囲

刑事訴訟は刑罰権の実現のためのものであるから、刑罰権の存否・範囲を定める事実につき必要である。

被告人に有利な証拠も厳格な証明によるべきか

「犯罪の存否」との文言(314Ⅲ、321Ⅰ③)と322Ⅰ本文が被告人に有利な供述書に特信情況を要求していることから、
厳格な証明が必要であると解する。

裁判所に顕著な事実の証明の要否

刑事裁判の公正に対する国民の信頼確保の観点から、証明は必要と解するが、
当事者に争いが無ければ、証明を省略することも可能と解する。裁判官自身が最良の証人といえるからである。

違法性阻却事由・責任阻却事由の実質的挙証責任

利益原則から、被告人に挙証責任を負わせることはできない。
もっとも、犯罪阻却事由は、具体的主張があってはじめて検察官がその不存在を立証できる。
そこで、挙証責任は検察官が負うが、被告人は阻却事由の存在につき、証拠提出責任を負うと解する。

挙証責任の転換を認める立法(刑法207、230の2)の合憲性

利益原則も一切の例外を許さないものではなく、転換を認めるべき必要性・合理性があれば合憲と認めうると解する。
その基準としては、当該事実についての立証の難易、犯罪構成要素としての重要性の程度、刑罰の軽重などを考慮すべきである。

立証趣旨(規則189Ⅰ)の裁判所拘束力

自由心証主義から、原則として否定すべきであるが、不意打ち防止の観点から、
立証趣旨を限定して同意された伝聞証拠などについては、拘束力を認めるべきである。

被告人の証人適格

法は被告人質問(311)を用意しているし、黙秘権侵害の虞もあるので、否定すべきである。

現場写真の法的性格

その機械的正確性から、供述証拠ではないと解する。

写し(コピー)は証拠として許容されるか

最良証拠の原則(310参照)から、原則として認められないが、証拠としての価値が全く無いわけではないので、
原本が存在し、その提出が不能もしくは困難であって、内容が原本と一致していることが認められれば、
例外的に証拠とできると解する。

科学的証拠の自然的関連性

その原理、分析手法に対する一般的信頼性と、その実施についての具体的信頼性があれば、
最低限の証明力はあるといえるので、自然的関連性を肯定しうる。

余罪を量刑資料とできるか

犯罪に至らない非行を考慮できることとの均衡から、量刑資料としうると解する。

違法収集証拠排除法則

真実発見と適正手続との調和の観点から、令状主義を没却する重大な違法があり、
かつ、証拠として許容すると将来の違法捜査抑止の見地から相当でない場合は、
証拠排除されると解する。

毒樹の果実論

排除法則の実効性確保のために、派生的証拠にも証拠排除が及ぶ。
もっとも、違法性が希釈化され、または、別個の捜査から取得されたものである場合は、
違法捜査との関連性が薄いので、例外的に証拠とできると解する。

違法収集証拠に対する被告人の同意

違法捜査の抑止の要請は被告人の同意によって失われるものではない。
よって、同意によっても証拠とすることは出来ないと解する。

違法収集証拠の申立適格

違法捜査抑止の観点から、申立適格を違法捜査の対象者に限る必要は無い。
よって、違法捜査対象者以外にも申立適格を認めうる。

違法収集証拠の弾劾証拠としての利用の可否

違法捜査抑止の観点から否定すべきである。

私人による違法収集証拠

私人に対しては違法捜査抑止の趣旨は及ばないから、原則として証拠排除されないと解する。
もっとも、捜査機関の指示に従った場合等、公権力によるものと同視できる場合は排除の対象となると解する。

伝聞証拠の意義

伝聞証拠とは反対尋問を経ていない供述証拠をいう。
なぜなら、伝聞法則の趣旨は反対尋問権(憲37Ⅱ前段)の保障にあるからである。

精神状態の供述の伝聞性

知覚、記憶の過程に誤りの混入する危険がないので、非伝聞と解する。

321Ⅰ②前段に特信情況を要するか

明文に無い以上不要と解する(判例に同旨)

321Ⅰ各号の列挙事由は制限列挙か

各号列挙事由は証拠とすべき必要性を列挙したにすぎず、その他の事由を否定する趣旨とは解されない。
よって、例示列挙と解する。

相対的特信情況の判断方法

証拠能力の判断の段階では、出来る限り内容に立ち入るべきではない。
そこで、外部的付随事情によって判断するのを基本とし、
その推認資料とする限度でのみ、供述内容を斟酌できると解する。

実況見分調書の証拠能力

321Ⅲにより証拠能力を肯定できると解する。
なぜなら、検証とは任意処分か強制処分という違いがあるに過ぎず、
捜査活動としての性質は同じだからである。

鑑定受託者の鑑定書の証拠能力

321Ⅳを準用することにより肯定できると解する。
なぜなら、専門的かつ複雑で、書面によるほうが適切である点で、
鑑定人の鑑定書と同様だからである。

証人の国外強制退去は「国外にいる」(321Ⅰ各号)にあたるか

刑事手続と強制退去手続は別個の手続であるから、原則としてあたるというべきである。
もっとも、検察官が殊更に退去処分を利用する等、手続的正義の観点から、公正さを欠く場合は
該当性を否定されることもありうると考える。

公判期日に証人尋問された者が、検面調書作成後、再度尋問を受け、検面調書と異なる供述をした場合、
「前の供述」(321Ⅰ②後段)にあたるか。

公判中心主義の観点から否定すべきである。

他事件の検証調書の証拠能力

当事者の立会いがないものの、321Ⅱ後段の趣旨は検証調書自体の信用性を重視する点にある。
従って、立会いの有無は問題ではない。よって、321Ⅱ後段により証拠能力を認めてよい。

私人の作成した実況見分調書の証拠能力

私人作成の実況見分調書には定型的信頼性がないので、321Ⅲは準用できない。
よって、321Ⅰ③の要件を満たさなければ証拠能力を肯定できないと解する。

再伝聞の証拠能力

再伝聞の各過程に伝聞例外の要件が備われば、証拠能力を認めうると解する。
なぜなら、伝聞例外に該当すれば、当該伝聞過程の伝聞性は治癒されると考えられるからである。

弾劾証拠は自己矛盾供述に限られるか

限られると解する。
なぜなら、その存在自体によって、証明力を減弱させるのは、
性質上、自己矛盾供述だからである。

「証明力を争う」(328)の意義

「争う」という文言から、証明力を増強するものは含まないと解する。
また、証明力を減弱するものに加えて、再弾劾も認められるべきであるから、回復する場合も含むと解する。

326条の同意の法的性格

伝聞法則の趣旨は反対尋問権(憲37Ⅱ前段)を保障する趣旨であるから、
同意の性質は反対尋問権の放棄であると解する。

同意当事者による、証明力を争うための証人尋問請求

反対尋問権を放棄した以上、許されないとも思えるが、同意は証拠の許容性に関するものに過ぎない。
よって、証明力については別個に考えるべきであるから、証人尋問請求は許されると解する。

退廷を命じられた被告人に対する擬制同意(326Ⅱ)の肯否

退廷を命ぜられたことにより、反対尋問権を喪失したと解されるから、擬制同意を肯定できると解する。

弾劾証拠は弾劾対象となる供述より以前のものでなければならないか

公判中心主義の観点から、以前のものに限られると解する。

自白法則の排除基準

自白の排除は、自白採取過程の手続の適正を担保するためである。
よって、採取過程に違法のある自白が排除されると解する。

反復自白

自白法則を違法排除として捉える以上、毒樹の果実論により解決すべきである。

補強証拠が必要とされる範囲

自白にかかる事実の真実性を保障するものであると解する(実質説)。
事実の真実性が担保されれば、誤判防止という補強証拠の趣旨が果たされるからである。

補強証拠に必要な証明力

事実の真実性が担保されれば、誤判防止という補強証拠の趣旨は果たされるのであるから、
自白とあいまって、犯罪事実を証明できる程度で足りると解する。

共同被告人の公判廷供述の証拠能力

被告人の反対質問権と共同被告人の黙秘権との調和の観点から、
反対質問が十分に行われた場合のみ、証拠能力を肯定すべきである。

共同被告人の証人適格

共同被告人も黙秘権を保障された「被告人」である以上、証人適格を否定すべきである。
もっとも、手続を分離すれば、訴外の第三者となるので、証人とすることができると解する。

共同被告人の公判廷外供述調書の証拠能力

共同被告人も被告人との関係では第三者である以上、321Ⅰの適用により証拠能力を認めうる。

共犯者の自白に補強証拠を要するか

要しないと解する。共犯者に対して反対尋問が可能だからである。

共犯者の自白を被告人の自白の補強証拠とできるか

共犯者の自白は被告人との関係では、第三者の証言と性質上異ならないから、
補強証拠となりうると解する。

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刑事訴訟法3

刑事裁判の遅延に対する救済手段

憲法37Ⅰは具体的権利と解されるから、同条を根拠に手続を打ち切ることができると解する。
その判断にあたっては、遅延の期間、原因と理由、被告人の受けた不利益などを考慮すべきであるが、
被告人に審理促進を要求することは酷であるから、積極的に審理促進を求めないからといって、
迅速な裁判を受ける権利を放棄したとすることは出来ない。
そして、具体的手続としては、公訴時効完成に準じて免訴とすべきである。

権利保釈の許否に余罪を考慮できるか

勾留の効力は事件単位で考えるべきであるから、余罪を考慮することは出来ないと解する。

証拠開示

316の25以下の規定の新設により、問題は実質的には解消されたと考える。

必要的弁護事件における弁護人不出頭

289条で保障される被告人の権利も、その濫用としか見れない場合は内在的制約に服する。
具体的には、裁判所が弁護人出頭に尽力したにも関わらず、被告人がこれを妨害し、出頭確保が極めて困難となった
場合には、289Ⅰの例外を認めうると解する。

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