2014年04月20日

危険の現実化説を用いる際の注意点

1 行為時の特殊事情(被害者の特異体質等)の処理

 危険の現実化説を一般論として採用する場合に、注意を要するのは、行為時の特殊事情の処理です。例えば、甲が、Vに対してカッターナイフで切りかかり、軽い切り傷を負わせたところ、通常人では死亡するはずはなかったのに、Vが血友病であったために失血死した、というような場合です。
 まず、やってはならないのは、この場合には相当因果関係説で処理する、という方法です。これは、行為時の事情と行為後の事情でなぜ基準を使い分けるのか、説明を要するでしょう。しかも、行為時の事情と行為後の事情は、必ずしも明瞭に区別できるものではありません。例えば、甲が、Vを殴って気絶させたところ、その後、付近にいたハブに噛まれて死亡したという事例の場合、ハブに噛まれたのは行為後ですが、ハブが付近にいたことは行為時の事情ともいえます。また、甲がVに暴行を加え、Vが逃走するため吊橋を駆け渡ろうとしたところ、吊橋が腐っていて崩落し、Vが死亡したという事例においても、吊橋崩落は行為後ですが、吊橋が腐っていた事実は行為時の事実ともいえます。このようなことから、行為時の事情と行為後の事情とで基準を使い分けるのは、問題が大きいのです。このことは、近時の早稲田ローの入試問題の出題の趣旨でも指摘されているところです。

 

2014年度 早稲田大学大学院法務研究科法学既修者試験 論述試験刑法(出題の趣旨)より引用、太字強調は筆者)

 まず、乙に関しては、A・Bの致死結果との関係で傷害致死罪の成否が問われるが、自動車で衝突して傷害を負わせるという実行行為と、A、Bの致死結果との間に、それぞれ刑法上の因果関係が認められるかが問題となる。Aに関しては、行為時点で知り得なかった被害者の持病があいまって結果が生じた点Bに関しては、行為後に看護師の重大な過失行為が介入した点がポイントであり、危険の現実化や相当因果関係説などの考え方を示して結論を導くことになろう(Aとの関係では折衷的相当因果関係説に立って因果関係を否定し、Bとの関係では、行為の危険性の大小、介入事情の異常性の大小、介入事情の寄与度の大小を総合的に考慮すべきで、これが「危険の現実化」の判断であるとした上で、本件では因果関係が肯定されるとする答案が多く見られた同じく因果関係を問題にしながら事例類型によって異なった基準を援用するのであれば、そこに説明が必要かもしれない。少なくとも、それらの判断基準の理論的な関係や異同については十分考えておいてほしい)。

(引用終わり)

 

 従って、行為時の事情の場合にも、危険の現実化を基準として考えるべきことになります。そこで、次にやってはならないのは、例えば、「カッターナイフで切り傷を負わせて、その傷からの出血で失血死したのだから、行為の危険が結果に現実化したといえる」などと簡単に危険の現実化を肯定してしまうことです。これでは、事案の問題意識を的確に捉えたとはいえません。ここでの問題意識は、被害者の死の結果は、行為者の行為の危険によるのか、それとも、被害者の特殊な体質の危険によるのか、ということです。
 ここで、危険の現実化説は、客観的帰属論「的」な考え方であることを想起する必要があります(なお、我が国の「危険の現実化説」は飽くまで因果関係の枠内の議論ですから、許された危険や答責領域性、規範の保護目的や未遂危険の帰属等は問題となり得ない以上、客観的帰属論そのものではないことに注意が必要です)。すなわち、発生した結果を行為者に帰属させる「べきか」という規範的判断によって結論を導く必要がある。
 血友病事例でいえば、被害者の死の結果は、確かに被害者の特異体質が原因となっているでしょう。しかし、そのリスクは、被害者に負わせるべきでしょうか。すなわち、血友病患者は、絶えず他者から軽微な切り傷を負わされることのないよう、注意して生活すべきである(すなわち、刑法はそのような場合には被害者を保護しない)、ということが妥当なのか。それとも、行為者が他者の身体に不法な侵害を加えた以上、他者の特異体質による重篤な結果についても責任を負うべきである(すなわち、刑法はそのような場合にも被害者を保護する)、ということが妥当なのか。一般には、後者が妥当だと考えられています。このことを、端的に指摘すべきなのです。
 司法試験定義趣旨論証集(刑法総論)では、客観的帰属論の立場から比較的よく用いられる言い回しを用いてコンパクトに理由付けをしています。

2 因果関係の錯誤の処理

 因果関係の錯誤については、「錯誤が相当因果関係の範囲にとどまる限り故意を阻却しない」などと論証する人が多いと思います。しかし、因果関係について相当因果関係説を採用しないのに、上記のように論証することは論理矛盾です。
 上記の論述の言いたいことは、要するに、行為者の認識において法的因果関係が認められるならば、錯誤は構成要件の範囲にとどまるから、法定的符合説からは故意を阻却しないということです。司法試験定義趣旨論証集(刑法総論)では、そのことを端的に示す論証にしています。具体的な当てはめとしては、行為者の認識した事実において危険の現実化が認められるかを検討することになります。

3 不能犯の処理

 不能犯は、出題頻度がそれほど高くないためか、あまり問題意識を持っていない人が多いのですが、ここは因果関係論とパラレルな関係にあります。因果関係において基礎事情を問題にせず、客観的に判断するのであれば、不能犯の場合にも、具体的危険説は採りにくいことになる。厳密には、行為の危険性は事前判断であるが、結果の帰属は事後判断であるという理論構成はあり得るとは思いますが、論文試験でそのようなことを説明する余裕はないでしょう。従って、危険の現実化説を採用するのであれば、不能犯においても客観説を採用することになるわけです。また、前回の記事(「折衷的相当因果関係説か危険の現実化説か」)で述べたことと同じこと、すなわち、規範や当てはめの長さ、硬直性というデメリットは、具体的危険説にも同様に妥当するということも、客観説を採用する理由となります。
 判例は、絶対・相対不能説と言われますが、実際には、修正客観説に近い説明をしています(少なくとも、基礎事情を確定して、その後に危険性を判断するという二段階の判断はしていません)。司法試験定義趣旨論証集(刑法総論)でも、それに沿った論証にしています。不能犯の当てはめは、厳密に考えて論理的に結論が導かれるという感じではありません。結果発生が「あり得た」か「あり得なかった」かは、どうとでも言える部分があるからです。ここは、あまり深く考えずに、多数派の採りそうな結論や構成しやすい結論を簡単に説明できることがポイントです。不能犯は、因果関係とは違って、あまり論点としてのウエイトが高くないことが多いということを、覚えておくとよいと思います。とにかく、コンパクトに処理する。不能犯の論点については、当てはめは「勝負」するところではなく、「軽く流す」という程度のものだという認識でよいでしょう。その意味では、基礎事情論をわざわざ論じなければならない具体的危険説は、因果関係のときの折衷的相当因果関係説以上に、論文では不利な説ということになってしまうのです。

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2014年04月12日

折衷的相当因果関係説か危険の現実化説か

1 刑法の因果関係、特に行為後の事情の処理について、折衷的相当因果関係説で書くべきか、それとも、最近の判例の立場とされる危険の現実化説で書くべきか、悩んでいる受験生は多いと思います。司法試験定義趣旨論証集(刑法総論)では、危険の現実化説を採用しています。現在の司法試験の答案の書き易さを考えるとき、危険の現実化説の方に分があると考えたからです。そこで、今回は、その理由について説明したいと思います。

2 まず、規範の長さです。危険の現実化説は、「行為の危険が結果に現実化した」という最短の規範があります。これに対し、折衷的相当因果関係説では、「行為時において行為者の特に知っていた事情及び一般人が認識し得た事情を基礎に、当該行為から結果が発生することが社会通念上相当か」となり、基礎事情の部分を省略するわけにはいきません。
 司法試験の本試験では、知識や思考力も重要ですが、それ以上に大事なのが、時間管理です。ボールペンで答案に文字を手書きするのは、想像以上に時間のかかる作業です。コンパクトにできる部分は、極力短く書く。これがポイントになります。その観点からしたときに、折衷的相当因果関係説は規範の融通が効きにくいのです。

3 そのことは、当てはめでも言えます。折衷的相当因果関係説では、基礎事情の確定→結果発生の相当性の検討という二段階の作業を省略するのは難しい。したがって、行為者は認識していたか、一般人は認識できたか、それを基礎にして相当か、といったことを、わざわざ書かなければならない。これは、案外手間がかかることです。

4 そして、最も折衷的相当因果関係説にとって不利なのは、当てはめが硬直化しやすいという点です。現在の司法試験は、幅広い事実をうまく拾って評価することが、とりわけ刑法では評価を左右します。しかし、折衷的相当因果関係説では、ほとんどの場合、一般人の予見可能性だけで結論が左右されてしまいます。前記のように、規範や当てはめにかかる分量が多い割には、中身の充実した当てはめは難しいのです。このことは、憲法で安易にLRAの基準を用いる場合と同様の問題です。
 かつての旧試験では、むしろ、そのことがメリットでした。当てはめでさほど頭を使わなくてよいので、素早く事例処理ができる。当てはめよりも、論点をいくつ拾うかの勝負という面があったからです。しかも、問題文も現在の司法試験と比較すれば格段に短く、答案用紙も4頁しかなかったので、当てはめの充実といっても限度があったわけですね。そういったことから、かつての旧試験ではメリットの多かった折衷的相当因果関係説ですが、現在ではそれがデメリットとなってしまっているのです。

5 では、危険の現実化説に欠点はないのかというと、そうではありません。危険の現実化説の最大の欠点は、折衷的相当因果関係説の硬直性とは逆で、融通性が大きすぎる、すなわち、慣れていないと、「何を書いてよいかわからない」ことです。
 一番やってはいけないことは、介在事情があるのに、その評価を全くすることなく、「人を刺してその人が失血死したから、行為の危険が結果に現実化したといえる」などと数行足らずで書いてしまうことです。危険の現実化説の長所は充実した当てはめをしやすいことですが、それだけに当てはめを手抜きすると、折衷的相当因果関係説で書いた場合よりも、むしろ評価を下げる結果になってしまうのです。

6 一つの解決策は、前田三要素説を結合して使う方法です。「介在事情がある場合の危険の現実化の判断に当たっては~」として、前田説にくっつけてしまうわけですね。これは、有力な方法です。現に、再現答案でもこの書き方で上位になっています。ただ、前田説でも、判断基準が曖昧で、当てはめにくいというところはあります。より確実なのは、類型ごとに規範を明確化していくことです。司法試験定義趣旨論証集(刑法総論)では、判例で問題となった類型を中心に、危険の現実化の判断の下位規範や理由付けの仕方を示しました。危険の現実化説の一般論を提示し、問題文の事例からどの類型であるかを特定した上で、各類型に応じた規範を示して当てはめていけばよいと思います。類型に応じて自然に判例を引用できる点も、前田説に繋げる方法より優れています。現在の司法試験では、受験生が想像している以上に、判例名を引用することによる加点は大きいのです。

7 なお、司法試験定義趣旨論証集(刑法総論)では、危険の現実化を基準とする理由を論証しないスタイルになっています。これは再現答案等を検討した結果、この点は評価をほとんど左右しない、むしろ、理由付けに充てる文量は下位規範定立や当てはめに回した方が評価を取りやすいという判断からです。仮に折衷的相当因果関係説を採る場合も、従来のように「構成要件は社会通念を基礎とした行為規範であるから」などの理由付けをするよりは、端的に規範を示して構わないとは思います。ただ、前記のとおり、理由付けを節約した分の下位規範や当てはめの充実という選択肢が、折衷的相当因果関係説には乏しい。それが、折衷的相当因果関係説の最大の欠点なのです。

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2014年04月05日

処分性要件と実効的な権利救済の合理性

1 今回は、司法試験定義趣旨論証集(行政法)における「段階的処分における処分性の判断基準」の論点について、その趣旨を補足しておきたいと思います。
 近時、処分性の要件として、従来からの公権力性、直接法効果性に加えて、実効的な権利救済の合理性も考慮すべきである、というように言われます。
 そのきっかけは、土地区画整理事業計画決定の処分性を認めた最大判平20・9・10です。

 

最大判平20・9・10より引用、太字強調は筆者)

 以上によれば,市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は,施行地区内の宅地所有者等の法的地位に変動をもたらすものであって,抗告訴訟の対象とするに足りる法的効果を有するものということができ,実効的な権利救済を図るという観点から見ても,これを対象とした抗告訴訟の提起を認めるのが合理的である。したがって,上記事業計画の決定は,行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たると解するのが相当である。

(引用終わり)

 

 従来の判例の規範からすれば、「抗告訴訟の対象とするに足りる法的効果を有する」の部分だけで、処分性肯定の結論が出るはずです。にもかかわらず、最高裁はさらに実効的な権利救済の合理性を追加しています。
 形式的にみると、上記判例は、処分性要件に新たに実効的な権利救済の合理性という要件を追加したようにも読めます。しかし、単純に要件を加重したと考えるのはおかしいでしょう。なぜなら、この判例は、従来処分性を認めていなかったものを認めた。すなわち、処分性を広げる判断をしたものだからです。単純に要件を加重すれば、むしろ処分性は狭くなるはずです。
 従って、本判例の上記部分は、むしろ、従来よりも直接法効果性の要件を緩和したので、不当に処分性の範囲が拡大しないようにするために、補充的要件として、実効的な権利救済の合理性を要求したと考えることになるわけです。

2 これまで、実効的な権利救済の合理性を考慮した判例としては、以下のようなものが挙げられます。

 

最判平21・11・26より引用、太字強調は筆者)

 公の施設である保育所を廃止するのは,市町村長の担任事務であるが(地方自治法149条7号),これについては条例をもって定めることが必要とされている(同法244条の2)。条例の制定は,普通地方公共団体の議会が行う立法作用に属するから,一般的には,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるものでないことはいうまでもないが,本件改正条例は,本件各保育所の廃止のみを内容とするものであって,他に行政庁の処分を待つことなく,その施行により各保育所廃止の効果を発生させ,当該保育所に現に入所中の児童及びその保護者という限られた特定の者らに対して,直接,当該保育所において保育を受けることを期待し得る上記の法的地位を奪う結果を生じさせるものであるから,その制定行為は,行政庁の処分と実質的に同視し得るものということができる。
 また,市町村の設置する保育所で保育を受けている児童又はその保護者が,当該保育所を廃止する条例の効力を争って,当該市町村を相手に当事者訴訟ないし民事訴訟を提起し,勝訴判決や保全命令を得たとしても,これらは訴訟の当事者である当該児童又はその保護者と当該市町村との間でのみ効力を生ずるにすぎないから,これらを受けた市町村としては当該保育所を存続させるかどうかについての実際の対応に困難を来すことにもなり,処分の取消判決や執行停止の決定に第三者効(行政事件訴訟法32条)が認められている取消訴訟において当該条例の制定行為の適法性を争い得るとすることには合理性がある
 以上によれば,本件改正条例の制定行為は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解するのが相当である。

(引用終わり)

 

最判平24・2・3より引用、太字強調は筆者)

 都道府県知事は,有害物質使用特定施設の使用が廃止されたことを知った場合において,当該施設を設置していた者以外に当該施設に係る工場又は事業場の敷地であった土地の所有者,管理者又は占有者(以下「所有者等」という。)があるときは,当該施設の使用が廃止された際の当該土地の所有者等(土壌汚染対策法施行規則(平成22年環境省令第1号による改正前のもの)13条括弧書き所定の場合はその譲受人等。以下同じ。)に対し,当該施設の使用が廃止された旨その他の事項を通知する(法3条2項,同施行規則13条,14条)。その通知を受けた当該土地の所有者等は,法3条1項ただし書所定の都道府県知事の確認を受けたときを除き,当該通知を受けた日から起算して原則として120日以内に,当該土地の土壌の法2条1項所定の特定有害物質による汚染の状況について,環境大臣が指定する者に所定の方法により調査させて,都道府県知事に所定の様式による報告書を提出してその結果を報告しなければならない(法3条1項,同施行規則1条2項2号,3項,2条)。これらの法令の規定によれば,法3条2項による通知は,通知を受けた当該土地の所有者等に上記の調査及び報告の義務を生じさせ,その法的地位に直接的な影響を及ぼすものというべきである。

 都道府県知事は,法3条2項による通知を受けた当該土地の所有者等が上記の報告をしないときは,その者に対しその報告を行うべきことを命ずることができ(同条3項),その命令に違反した者については罰則が定められているが(平成21年法律第23号による改正前の法38条),その報告の義務自体は上記通知によって既に発生しているものであって,その通知を受けた当該土地の所有者等は,これに従わずに上記の報告をしない場合でも,速やかに法3条3項による命令が発せられるわけではないので,早期にその命令を対象とする取消訴訟を提起することができるものではない。そうすると,実効的な権利救済を図るという観点から見ても,同条2項による通知がされた段階で,これを対象とする取消訴訟の提起が制限されるべき理由はない
 以上によれば,法3条2項による通知は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解するのが相当である。

(引用終わり)

 

最判平24・2・9より引用、太字強調は筆者)

 本件職務命令も,教科とともに教育課程を構成する特別活動である都立学校の儀式的行事における教育公務員としての職務の遂行の在り方に関する校長の上司としての職務上の指示を内容とするものであって,教職員個人の身分や勤務条件に係る権利義務に直接影響を及ぼすものではないから,抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらないと解される。なお,本件職務命令の違反を理由に懲戒処分を受ける教職員としては,懲戒処分の取消訴訟等において本件通達を踏まえた本件職務命令の適法性を争い得るほか,後述のように本件に係る事情の下では事前救済の争訟方法においてもこれを争い得るのであり,本件通達及び本件職務命令の行政処分性の有無について上記のように解することについて争訟方法の観点から権利利益の救済の実効性に欠けるところがあるとはいえない

(引用終わり)

 

 上記各判例に共通しているのは、明らかに処分となり得る手続の前段階の手続について、処分性が認められるかが問題となっているという点です。
 そもそも、処分に直接法効果性が必要とされてきたのは、効果の生じていないものを取り消す意味がない、という素朴な理由でした。これは、民法で、まだ契約が成立していないのに、詐欺取消しや錯誤無効を認める必要がないのと同じです。ところが、A→B→Cという手続の流れにおいて、Cは明らかに直接法効果性のある処分であるが、この段階で争っても権利救済が果たされない、という場面が生じた。そこで、Bの段階で処分性を認めて争うことができないか。そういうことが、問題になってきた。そこで、Bの場合にも処分性を認めるようになってきたのが、現在の判例の傾向です。
 ただ、その反面で、いつもBの段階で争えるとすると、今度は逆に広すぎることになる。そこで、その歯止めとして、実効的な権利救済の合理性が要求された。そのように理解することができます。このことは、上記各判例のうち、処分性を肯定するものは、常に直接法効果性と実効的な権利救済の合理性の両方を認めているのに対し、処分性を否定した最判平24・2・9においては、直接法効果性を否定した時点で処分性否定の結論が出るから、権利救済の実効性に関する判示部分は、「なお」として付言されているに過ぎないことからもわかります。

3 もっとも、段階的処分における前段階の手続に処分性を認めるという場面で、常に実効的な権利救済の合理性が独立の要件となるかは微妙です。問題となっている前段階の手続の性質、とりわけ、その時点で生じる法的効果との相関関係で考慮すべきであるともいえるからです。そのため、司法試験定義趣旨論証集(行政法)では、「段階的処分における処分性の判断基準」において、「考慮すべき」という表現にとどめています。
 それに対して、やや踏み込んでいるのが、「行政指導の直接法効果性」の論点です。ここでは、病床数削減勧告の処分性に関する判例を引用していますが、この判例自体は明示していない実効的な権利救済の合理性を、要件として加えています。行政指導には何ら法的効果はありませんから、従来の判断基準によれば処分でないことが明らかなものであるために、実効的な権利救済の合理性を独立して要求する必要性が強いからです。この判例の事案も、保険医療機関の指定を争ったのではそれまでの病院開設準備が無駄となるために、勧告段階で争うことに実効的な権利救済の合理性が認められる場合であり、判示もそれを当然の前提としていました。同判例がこれを明示しなかったのは、最初にこの要件を判示した前記最大判平20・9・10より前の判例だったからだ、と理解できます。この要件を入れていないと、行政指導不遵守と他の制度における申請に対する処分又は不利益処分が事実上結びつく場合一般が広く含まれてしまいますから、これは必須の要件でしょう。こういうところは、事例判例を一般化して使う際には気をつけなければならない点です。

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大阪・富田林署逃走は「計画的」 樋田被告、検察側が論告

野田市小4虐待死事件の「全容」~全公判を傍聴してわかったこと

『毎月10万円プレゼント』…”ウソの動画”を配信し現金だまし取った「GIFT」詐欺 主犯格の初公判

森雅子法相の「検察官逃げた」騒動 答弁の裏にある成功体験

直ちに告発受理し捜査を 関電金品受領、検察に要請

検察、再び有罪を求める、乳腺外科医控訴審結審(3月25日追記)

「検察は第三者機関」との首相答弁の表現は適切 菅官房長官

弁護士の常識は、社会の非常識? (3) 面会簿に署名して逃亡を謀議する奴は”本当に”いないのか?

中国、北海道教育大教授を捜査 スパイ容疑と発表、検察に送致

新型コロナ、威嚇の「せき」は英国なら禁錮2年-「犯罪」と検察言明

故意にせき、英で相次ぐ 検察、暴行罪で摘発強化

後輩のズボン脱がせたショートトラック元韓国代表に懲役刑求刑

「チョ・グク守護」を掲げた開かれた民主党「チョ・グク事態は検察のクーデター」

n番ルーム事件、「犯罪団体組織罪」の適用は可能か?

朴槿恵前大統領弁護団、弾劾時の憲法裁判所裁判官9人相手取り損害賠償請求

米弁護士ら、武漢ウイルス研究所などを提訴 損害賠償20兆ドル

トルコ検察、サウジ記者殺害事件で20人起訴 皇太子側近も

改正民法趣旨・規範ハンドブック

司法試験定義趣旨論証集(物権)【第2版】

法学入門(第3版)

平等権解釈の新展開: 同性婚の保障と間接差別の是正に向けて

憲法判例50! 第2版 (START UP)

いちばんやさしい憲法入門 第6版 (有斐閣アルマ > Interest)

憲法と要件事実 法科大学院要件事実教育研究所報第18号

行政法概説Ⅰ -- 行政法総論 第7版

行政法 第2版 (有斐閣ストゥディア)

法執行システムと行政訴訟: 髙木光先生退職記念論文集

国賠判例にみる権限不行使と警察の責務

民法Ⅴ 事務管理・不当利得・不法行為 第2版 (LEGAL QUEST)

民法7 親族・相続 第6版 (有斐閣アルマ)

スタートライン債権法 第7版

債権法各論[第2版] (スタンダール民法シリーズ 4)

不動産登記法〔第2版〕

Law Practice 商法〔第4版〕

民事執行・保全法 第6版 (有斐閣アルマ > Specialized)

ベーシック労働法 第8版 (有斐閣アルマ > Basic)

サブテクスト国際法 教科書の一歩先へ

弁護士のためのマネー・ローンダリング対策ガイドブック

違法薬物の所持を装って警察官らに被告人を追跡するなどの
捜査活動を余儀なくさせた行為が偽計業務妨害に当たるとされた事例
(名古屋高金沢支判平成30年10月30日 LEX/DB 25561935)
刑事判例研究会 大阪大学大学院法学研究科博士後期課程 久保英二郎

作為態様の中止には,結果発生防止に必要かつ適切な措置を講じることが求められるとして,
中止未遂の成立を否定した一事例 (札幌高判平成 30・10・1 判例集未登載)
刑事判例研究会 大阪市立大学大学院法学研究科教授 金澤真理

危惧感説と具体的予見可能性説の異同再論
――長野地松本支判平成31・3・25平成26年(わ)第260号を素材として――
立命館大学大学院法務研究科教授 松宮孝明

不法残留者との同居と不法残留の幇助
立命館大学大学院法務研究科教授 松宮孝明

預金債権の準共有〔序説〕 ――誤振込事例と信託を素材として――
立命館大学大学院法学研究科教授 岸本雄次郎

民法724条の「不法行為の時」の解釈基準と「損害の性質」に着目した不法行為類型
立命館大学大学院法務研究科教授 松本克美

会社法356条2項の改正
立命館大学法学部教授  品谷篤哉

◇ 退職記念講義 ◇ 法の支配について
平野仁彦

計画確定決定の衡量統制に関する一考察(1) ――衡量の瑕疵とその有意性――
立命館大学大学院法務研究科教授 湊二郎

計画確定決定の衡量統制に関する一考察(2・完) ――衡量の瑕疵とその有意性――
立命館大学大学院法務研究科教授 湊二郎

司法修習委員会(第38回)

“失言の美魔女”森雅子法務大臣 貧困からの栄達物語に隠された「短所」とは?

コロナウィルスの影響で24時間365日利用できるレンタル自習室
イーミックスへ利用者の問い合わせが殺到しております。

関電金品受領問題は「戦後最大の経済犯罪」~原発事業をめぐる「闇」の解明が不可欠

「関電再生」には刑事責任の追及が不可欠だ

コロナ感染者のふりには大きなリスク「偽計業務妨害」容疑で逮捕も

カスタマーハラスメントに遭う前に。弁護士に聞いた「最低限の準備」

受動喫煙は「犯罪」にならないの? 「刑罰」への待望論も、「行政罰」が望ましい理由

成年後見制度 使い勝手良くして利用促進を

「ただただ気持ち悪かったです」19歳の実娘への性的暴行で父親に有罪 “逆転”の理由

当時19歳の実の娘に性的暴行…二審で逆転有罪の父親が上告 名古屋

最高裁が親告罪だったころの「強制わいせつ」も“告訴なし”で起訴できると判断した意味

ロッキード事件の裁判長、草場良八氏死去 94歳、老衰

草場良八氏が死去 元最高裁長官

無期懲役の判決確定 異議申し立てを棄却 今市事件

仏留学生不明事件、日本人留学生の家族が法廷で証言

筑波大生不明事件、フランス警官が証言 遺体、川に流された可能性―チリ

停職取り消し4月判決、最高裁 教諭のいじめ隠し

【名古屋闇サイト殺人事件】「事件について何も思いません」犯人から届いた非情な手紙

辺野古訴訟 県敗訴の見通し 最高裁が弁論せず判決

橋下徹のケンカの鉄則…負けを回避するには「躊躇なくいったん退く」

勤め先から「契約更新しない」と言われたら… 雇い止めに遭ったときの対処法

新型コロナの影響で起きた内定取り消し、不当解雇、賃金未払いに対抗するために。
無料で加入・内部告発もできるオンライン労働組合「みんなのユニオン」

急死した父の”前妻の子”に知らせず「しれっと遺産相続」 は絶対ダメ! むずかしい関係こそ大切なのは…

県議の質疑「8割コピペ」で物議 政治では禁忌、質問にも権利?

元榮太一郎「僕の勝ち方」(3)赤字会社の人心掌握術

【法律相談】相続で発覚した共有不動産を現金化する方法

愛人から突き返された夫 妻と子どもに面倒を見る義務はあるのか?

会社の懇親会が「強制参加」…これってアリ? 「労働時間」と認めてもらう条件

【弁護士の見解】香川県ネット・ゲーム依存防止条例は憲法違反の可能性十分

香川県「ゲームは1日60分」条例、違憲性への懸念 「不当な干渉」「憲法13条に違反」…作花弁護士が指摘

走行中にフェラーリ炎上、欠陥を認める判決 東京地裁

「マスク緊急増産」なら残業させ放題って本当? 厚労省の通知、実のところは…

新型コロナ影響で資金不足どう対策 「返済猶予」を弁護士が解説

弁護士「東京五輪のボランティアは途中でバックレてもOKです」

弁護士ドットコム、法律書籍のサブスクサービス 「BUSINESS LAWYERS LIBRARY」提供開始

弁護士ドットコム、法律書籍、雑誌のサブスクサービス開始--月額6300円で約400冊読み放題

「陽性」でジムへ行ったら罪? 新型コロナトラブルQ&A【弁護士に聞いた】

続々と施行、堀天子 弁護士が語るフィンテック関連で確認すべき法改正とは

【弁護士・公認会計士】ダブル資格で、新境地に挑む横張 清威さんに聞く

女子高生ひき逃げ死亡「悲劇繰り返さぬため無罪」の妥当性

心愛さん虐待死、父に懲役16年 「凄惨で陰湿」 六つの罪全て認定・千葉地裁

心愛さん虐待死事件で父親に懲役16年、謝罪を口にするも最後まで非は認めず

河井案里氏の秘書と前法相の政策秘書ら逮捕 検察の最終ターゲットは安倍首相首相か

ウグイス嬢事件 案里氏は全裸で克行氏は転倒…河井夫妻の抵抗劇

「元レーサーが犯行持ちかけた」“八百長”元競艇選手ら初公判で検察側指摘 20レースで順位操作し利益

妊娠中の母親と2歳長男が車にはねられ母親死亡…運転していた男に“執行猶予付き”の有罪判決

廿日市女子高校生殺害事件 被告に無期懲役の判決

リンさん殺害事件、両親が被告を提訴 約7千万円求める

森法相「法務省が確認した事実が実際の事実」 「異なる事実」を事実上修正

弁護士の常識は、社会の非常識? (2) 弘中弁護士はゴーン被告に”落とし前”をつけるべきでは?

米刑務所で新型コロナウイルスにおびえる服役囚が続出 懲役150年でも“出してくれ”

軽微な罪を寛容に、新型ウイルスで打撃の民間企業の再稼働を後押し

「入試不正・監察請託疑惑」のチョ・グク前韓国法務部長官の初めての裁判開始…起訴80日ぶり

ユン検察総長の義母、4年前の「虚偽残高証明書」処罰の可能性を知っていた

図解 東大医学部在学中に司法試験も一発合格した僕のやっている シンプルな勉強法

現代実定法入門-人と法と社会をつなぐ 第2版

実況文章 正月の叫び2020

注釈日本国憲法(3) -- 国民の権利及び義務(2)・国会 (有斐閣コンメンタール)

新プリメール民法3 債権総論〔第2版〕 (αブックス)

債権法民法大改正 ポイントと新旧条文の比較

新版 有利な心証を勝ち取る民事訴訟遂行

会社法 第22版 (法律学講座双書)

株主権の再評価

役員人事の法制度――経営者選解任と報酬を通じた企業統治の理論と機能

刑法総論の悩みどころ (法学教室LIBRARY)

実戦演習 刑法―予備試験問題を素材にして

労働法 第4版 (LEGAL QUEST)

強盗に際して犯行現場付近で見張りをしてほしいとの正犯者の依頼を受けて犯行現場に駆け付けたが、
到着した時点で既に正犯者が犯行を終えて逃げ出す段階になっていたため、
自身の運転する自動車に正犯者を乗せて逃走した者について、
強盗致傷罪に対する幇助犯の成立を認めた事例
(京都地判平成26年10月31日(LEX/DB 文献番号25505245))
一橋大学大学院法学研究科特任助教 酒井智之

訴訟代理人弁護士が受刑者に宛てて発した信書の検査をめぐる法的問題
一橋大学大学院法学研究科教授 葛野尋之

私的刑法学 ―常識を疑い、常識を守る―
専修大学大学院法務研究科教授 橋本正博

民法学と公共政策──近時の日本民法学変貌を踏まえて「債権法改正」を考える──
吉田邦彦

愛知県議会議長の同県議会議員に対する発言取消命令の適否は、司法審査の対象とはならないとされた事例。
公法判例研究 盛永悠太

人体と機械の融合に伴う法律問題についての研究 ── 科学技術と刑法の調和 ──
小名木明宏

アメリカにおける終身刑の最新動向について
一橋大学大学院法学研究科博士後期課程  唐春楊

フランス憲法院判例における「公序(ordre public)」の概念
 一橋大学大学院法学研究科博士後期課程・日本学術振興会特別研究員 DC 田中美里

連邦憲法裁判所における一般的平等原則審査の変遷
一橋大学大学院法学研究科博士後期課程・日本学術振興会特別研究員 DC1 辛嶋了憲

“結婚後の性別変更”認めず…特例法は「合憲」と最高裁が判断

性別変更、特例法の要件は「合憲」 最高裁初判断

性同一性障害 結婚後に戸籍上の性別変更認めずは合憲 最高裁

仮免中違反の罰金命令破棄 非常上告受け最高裁是正

実の娘に性的暴行 2審は逆転有罪 父に懲役10年判決 名古屋高裁

【名古屋・逆転有罪判決】被害者のAさんがコメントを発表「信じてくれる人は少なかった」

「ひかりの輪」観察処分は適法 国側逆転勝訴の判決確定 最高裁

受精卵で無断出産は「自己決定権侵害」 元妻に賠償命令

法科大学院認証評価における評価手数料の改定について

司法試験委員会 第156回会議(令和2年2月26日)

令和3年司法試験会場の公募について

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案

著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律案

資格スクエア予備試験講座(全講座)を高校生向けに期間限定で無料開放致します。

「傍聴席減らす」新型コロナで裁判所が異例措置 希望者「入りたい」とトラブルも

成年後見の報酬算定は2階建てで設定 最高裁が考え方を示す

引退してから優しくなれた プロボクサーと弁護士を両立
坂本尚志の意志を貫く力「頑張ってからやめた方が胸を張れる

授業とボクシングの練習以外は図書館へ
元・東大出身の弁護士ボクサー坂本尚志「頑張る自分でありたい」

新型コロナで結婚式延期、交渉したらキャンセル料8割減 女性「まるっともらう気だったのか」

若手の環境に危機感抱く 日弁連次期会長・荒中(あら・ただし)さん

日弁連会長に荒氏(相馬出身) 仙台弁護士会 東北から初当選

日弁連 次期会長に仙台弁護士会の元会長 荒氏

水俣病高裁判決 司法救済の門を閉ざすな

原告「最悪の不当判決だ」 水俣病互助会・国賠訴訟

水俣病第2世代訴訟原告全面敗訴(熊本県)

「人と思えぬ」まさかの全員敗訴 水俣病賠償訴訟、福岡高裁

水俣病訴訟 胎児・幼少期被害を認めず 福岡高裁 8人全員、国基準踏襲

夫の車がラブホテルの駐車場に 勤務中の不貞を会社に伝えていいか

コロナ「ばらまく」と来店の男、逮捕には「壁」も 捜査の焦点は?

「コロナばらまき男」を愛知県警が捜査開始 意外に高い“逮捕、起訴のハードル”

致死性ウイルスを故意に感染させると殺人罪、殺人未遂罪の適用も

「ウイルスばらまいてやる」男性“店内映像”報道、本人の同意がない場合は問題ないのか聞いた
弁護士「店舗側やメディア側が訴えられる可能性」

コロナで高まる「内定取り消し」のリスク  相談事例から対処法を解説する

改正健康増進法施行へ 飲食店の「喫煙」厳しく制限、何がどう変わる?

Googleマップに悪評を書かれた歯科医 投稿者分からず落胆

会社法の一部を改正する法律案

民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)

商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律案

民法の一部を改正する法律(債権法改正)について

令和2年司法試験予備試験の実施について

令和2年司法試験の実施について

司法試験考査委員の不適切行為に関する通報窓口


  【司法研修所教材・講義案・調査官解説等】
事件記録教材 法科大学院教材
調査官解説
事例で考える民事事実認定
プラクティス刑事裁判 平成30年版
プロシーディングス刑事裁判 平成30年版
検察講義案 平成27年版
新問題研究要件事実
紛争類型別の要件事実 民事訴訟における攻撃防御の構造 改訂
刑事第一審公判手続の概要
刑事判決書起案の手引
民事判決起案の手引
民事訴訟第一審手続の解説
情況証拠の観点から見た事実認定
民事訴訟における要件事実 第2巻
民事訴訟における要件事実 増補 第1巻
書記官研修講義案等