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債権法改正で債務転形論が否定されたことは、解釈論に影響します。1つは、填補賠償請求権の消滅時効起算点です。改正前は債務転形論を根拠に履行請求権の行使可能時とされました(最判平10・4・24)。しかし、改正後はこの理屈は採れません。
https://t.co/UQ1nixKcRn at 01/18 13:50
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填補賠償請求権を履行請求権とは別個の新たに発生する権利だと考えるなら、解除権やその行使による原状回復請求権と同じく、填補賠償請求権発生時とするのが理論的です。166条1項1号の時効期間が5年と短いこともあり、今後は、填補賠償請求権発生時とする考え方が主流となっていきそうです。 at 01/18 13:51
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もう1つ、非金銭債権を被保全債権とする詐害行為取消権について、改正前は、債務転形論を前提に、金銭債権である填補賠償請求権に転化し得るとして肯定していました(最大判昭36・7・19)。これも、改正後は維持することが困難です。
https://t.co/7NHPSPLlKo at 01/18 13:53
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問題の所在は、土地二重譲渡事例において、第1譲受人の填補賠償請求権が成立するのが第2譲受人の登記具備時となるため、詐害行為である第2譲渡が填補賠償請求権成立の前になってしまう、ということでした。このことを理解すれば、改正後は424条3項の解釈論として解決すべきことがわかります。 at 01/18 13:54
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同項は、詐害行為の「前の原因」に基づいていればよいとします。その趣旨は、詐害行為後の遅延損害金(最判平8・2・8)などを含ませる点にありました。すなわち、損害賠償請求権の発生原因となる法律関係が詐害行為前に成立すれば足りるのです。
https://t.co/w9RiTaMT0P at 01/18 13:55
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「遅延損害金については詐害行為の後に生じたものであっても被保全債権たり得る…被保全債権が詐害行為の前の原因に基づいて生じたものである場合一般について,詐害行為取消権の行使を認めるべきであるという考え方…を(注3)で取り上げている。… https://t.co/6K0dpL1EVK at 01/18 13:55
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金関係官「被保全債権が詐害行為の前の原因に基づいて生じたものであることを要件とすることとしています…判例が被保全債権の発生を必ずしも厳格には捉えていないことなどを踏まえますと…中間試案の(注3)の考え方を採ることとしました。」
https://t.co/5AhTMGp7Ih at 01/18 13:57
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すなわち、先の例でいえば、第1譲渡が詐害行為である第2譲渡より前であれば、その後に発生した填補賠償請求権は、「前の原因」に基づいて生じたといえるため、その填補賠償請求権を被保全債権とすることができるのです。同様の解釈は、相殺に関する469条2項各号、511条2項でも妥当します。 at 01/18 13:59
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このように、改正後は、債務転形論を前提とした従来の解釈論を維持することはできず、改正の趣旨に沿った解釈論を考える必要があるのです。改正対応を謳う教材の中には、漫然と債務転形論の理由付けを維持するものや、強引に改正前の判例と同じ結論を採ろうとするものがあるので、注意が必要です。 at 01/18 14:00