2018年07月03日

平成30年司法試験論文式公法系第2問設問1(1)の補足説明(2)

1.さて、前回の記事(「平成30年司法試験論文式公法系第2問設問1(1)の補足説明(1)」)の続きです。何の話をしていたかというと、本件条例は、処分の根拠法令なのか、墓埋法と目的を共通にする関係法令なのか、ということでした。「【検討会議の会議録】」の記述から、本件条例は執行命令の性質を有するものと考えれば、本件条例は処分の要件及び手続そのものを定める規定ということになりますから、処分の根拠法令だ、ということになります。このことは、本件条例に違反してされた許可が違法となることを考えれば、明らかでしょう(執行命令も委任命令と同様の法規命令です。)。これが、「処分を根拠付ける」ことの意味です。そのことを理解した上で行訴法9条2項を改めて見ると、「当該処分又は裁決がその根拠となる法令『又は目的を共通にする関係法令』に違反してされた場合に」とはしていないことに気が付くでしょう。処分がされることによって関係法令に違反する状況が生じたとしても、直ちに処分が違法となるわけではないからです。

 

(行訴法9条2項。太字強調は筆者。)

 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。

 

 そもそも、処分を定める法律の委任命令及び執行命令に当たる法令の趣旨・目的を考慮するのは当然のことです。行訴法9条2項に「目的を共通にする関係法令」が敢えて加えられた趣旨は、そのような処分の直接の要件・手続を規定する法令以外の法令の趣旨・目的をも考慮要素にすることによって、原告適格を拡大しようとする点にあったわけですから、執行命令をもって「目的を共通にする関係法令」であるとするのは、その趣旨を正しく理解しないものといえるでしょう。

 

衆院法務委員会平成16年04月27日より引用。太字強調は筆者。)

実川幸夫法務副大臣  考慮事項を定める今回の改正の趣旨ということでございますけれども、個々の具体的な事案におきましては、法律上の利益の有無につきまして、当該処分の根拠法令の文言のみによることではなくて、根拠法令の趣旨及び目的並びに当該処分におきまして考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮することとしております。
 また、根拠法令の趣旨及び目的を考慮するに当たりましては、これと目的を共通にします関係法令の趣旨及び目的をも参酌し、また、当該処分におきまして考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するに当たりましては、当該処分が当該法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質等をも勘案して、適切に判断されることを確保しようとするものでございます。
 これによりまして、原告適格が実質的に広く認められることになるものと考えております。

(引用終わり)

 

2.裁判例では、本件条例と同様の条例を目的を共通にする関係法令だ、としてしまったものがあります。

 

東京地判平22・4・16より引用。太字強調は筆者。)

 本件条例は,墓埋法10条の規定による経営の許可等に係る墓地等の構造設備及び管理の基準並びに事前手続その他必要な事項を定めることを趣旨とするものであり(本件条例1条),墓埋法と目的を共通にする関係法令ということができる。

(引用終わり)

 

 どちらにしても結論には影響しないわけですから、裁判例としてはこれでいいしかし、司法試験の答案としては、少し困るのです。なぜかというと、この点について気にしている考査委員がいるからです。

 

平成23年司法試験採点実感等に関する意見より引用。太字強調は筆者。)

・ 用語に関する基本的な誤解が目立つ。例えば,①行政処分の根拠法令に属する省令の規定をも,行政事件訴訟法第9条第2項にいう「関係法令」の一つに挙げる答案…などである。

(引用終わり)

 

 ここを間違えたからといって、直ちに合否に影響するようなことはないでしょう。とはいえ、上記の裁判例を参照して、本件条例を墓埋法と目的を共通にする関係法令であるとして解説するものが出てくるでしょうから、一応説明しておきました。ちなみに、平成23年の司法試験では、解説等でよく参照された裁判例として、場外発売場の設置の許可について、「原則的に禁止された場外発売場の設置を例外的に解除するという法律効果を有する,いわゆる許可(講学上の特許)に当たる」とした東京地判平18・12・20がありました。当サイトでは、これが誤りであり、高裁で訂正されていることを説明しました(「平成23年新司法試験論文式公法系第2問の感想と参考答案」)。現在でも、上記裁判例をそのまま参照して、特許とするのが正解だ、という解説が一部ではなされているようですから、注意を要します。なお、偶然ですが、この平成23年司法試験で問題となった東京地判平18・12・20と上記東京地判平22・4・16の裁判長は、いずれも杉原則彦裁判官です。

3.原告適格については、規範は覚えているものの、その当てはめ方がわからない、という人が多いように思います。「具体的利益」と「個々人の個別的利益」の意味が、必ずしも正確に理解されていないからでしょう。

 

(「司法試験定義趣旨論証集(行政法)」より引用。太字強調は筆者。)

 行訴法9条1項にいう法律上の利益を有する者とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいい、当該処分の根拠法令が、不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護する趣旨を含む場合には、このような利益も上記法律上保護された利益に当たる。そして、処分の相手方以外の者について上記の判断をするに当たっては、同条2項所定の要素を考慮すべきである(小田急線高架訴訟判例参照)。

(引用終わり)

 

 まず、具体的利益とはなにか。これは、裁判規範としての意味を持つ利益だ、ということです。すなわち、この利益を害する場合には、原則として処分をしてはならない、処分をすれば違法になる、という意味になります。逆に、抽象的利益であれば、それが侵害されたからといって、直ちに処分が違法となるわけではない。似たような用例を、憲法や刑法で学んでいるはずです。生存権の請求権的側面は抽象的権利であるから、法律をもって具体的に保護されない限り、直ちに違憲の問題は生じない、というとき、上記のような意味での「抽象的」、「具体的」という用語を用いています。また、抽象的危険犯においては法益侵害の危険が構成要件とならないが、具体的危険犯においては法益侵害の危険が構成要件となる、というときの「抽象的」、「具体的」という用語についても同様です。そして、原告適格の文脈では、上記のように、その利益を侵害する場合には処分をしてはならない、ということは、その利益の保護が処分の要件となっているということを意味しますから、これを必要とする考え方を、「処分要件説」と呼ぶのでした。

 

衆院法務委員会平成16年05月11日より引用。太字強調は筆者。)

塩野宏(東京大学名誉教授)参考人  第三者の原告適格の問題となるような処分というのは、つまり、当該第三者との利益調整が法の趣旨、目的の中に含められている。つまり、第三者への考慮というものが処分要件とされている場合でありますので、そうしますと、関係法令としてはまず目的を共通にするものが想定されますので、そのことを、私の変な言葉ですけれども、必要的考慮事項として定めたものである。だから、最高裁としては新潟空港判決で出てきたけれども、下級審判決もすべてこれを十分、必要的な考慮事項として考えたらどうかということではないかというふうに思います。

(引用終わり)

 

 判例も、初期の頃は、この論理をきちんと判示していましたが、次第にざっくりとした判示をするようになってきています。ですから、判例の論理を正しく理解するには、初期の頃の判例をきちんと読む必要があるのです。

 

新潟空港事件判例より引用。太字強調は筆者。)

 航空機騒音障害の防止の観点からの定期航空運送事業に対する規制に関する法体系をみると、法は、前記の目的を達成する一つの方法として、あらかじめ定期航空運送事業免許の審査の段階において、当該路線の使用飛行場、使用航空機の型式、運航回数及び発着日時など申請に係る事業計画の内容が、航空機の騒音による障害の防止の観点からも適切なものであるか否かを審査すべきものとしているといわなければならない。換言すれば、申請に係る事業計画が法一〇一条一項三号にいう「経営上及び航空保安上適切なもの」であるかどうかは、当該事業計画による使用飛行場周辺における当該事業計画に基づく航空機の航行による騒音障害の有無及び程度を考慮に入れたうえで判断されるべきものである。したがつて、申請に係る事業計画に従つて航空機が航行すれば、当該路線の航空機の航行自体により、あるいは従前から当該飛行場を使用している航空機の航行とあいまつて、使用飛行場の周辺に居住する者に騒音障害をもたらすことになるにもかかわらず、当該事業計画が適切なものであるとして定期航空運送事業免許が付与されたときに、その騒音障害の程度及び障害を受ける住民の範囲など騒音障害の影響と、当該路線の社会的効用、飛行場使用の回数又は時間帯の変更の余地、騒音防止に関する技術水準、騒音障害に対する行政上の防止・軽減、補償等の措置等との比較衡量において妥当を欠き、そのため免許権者に委ねられた裁量の逸脱があると判断される場合がありうるのであつて、そのような場合には、当該免許は、申請が法一〇一条一項三号の免許基準に適合しないのに付与されたものとして、違法となるといわなければならない。

(引用終わり)

もんじゅ訴訟判例より引用。太字強調は筆者。)

 規制法は、原子力基本法の精神にのっとり、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の利用が平和の目的に限られ、かつ、これらの利用が計画的に行われることを確保するとともに、これらによる災害を防止し、及び核燃料物質を防護して、公共の安全を図るために、製錬、加工、再処理及び廃棄の事業並びに原子炉の設置及び運転等に関する必要な規制等を行うことなどを目的として制定されたものである(一条)。規制法二三条一項に基づく原子炉の設置の許可申請は、同項各号所定の原子炉の区分に応じ、主務大臣に対して行われるが、主務大臣は、右許可申請が同法二四条一項各号に適合していると認めるときでなければ許可をしてはならず、また、右許可をする場合においては、あらかじめ、同項一号、二号及び三号(経理的基礎に係る部分に限る。)に規定する基準の適用については原子力委員会、同項三号(技術的能力に係る部分に限る。)及び四号に規定する基準の適用については、核燃料物質及び原子炉に関する安全の確保のための規制等を所管事項とする原子力安全委員会の意見を聴き、これを十分に尊重してしなければならないものとされている(二四条)。同法二四条一項各号所定の許可基準のうち、三号(技術的能力に係る部分に限る。)は、当該申請者が原子炉を設置するために必要な技術的能力及びその運転を適確に遂行するに足りる技術的能力を有するか否かにつき、また、四号は、当該申請に係る原子炉施設の位置、構造及び設備が核燃料物質(使用済燃料を含む。)、核燃料物質によって汚染された物(原子核分裂生成物を含む。)又は原子炉による災害の防止上支障がないものであるか否かにつき、審査を行うべきものと定めている。原子炉設置許可の基準として、右の三号(技術的能力に係る部分に限る。)及び四号が設けられた趣旨は、原子炉が、原子核分裂の過程において高エネルギーを放出するウラン等の核燃料物質を燃料として使用する装置であり、その稼働により、内部に多量の人体に有害な放射性物質を発生させるものであって、原子炉を設置しようとする者が原子炉の設置、運転につき所定の技術的能力を欠くとき、又は原子炉施設の安全性が確保されないときは、当該原子炉施設の従業員やその周辺住民等の生命、身体に重大な危害を及ぼし、周辺の環境を放射能によって汚染するなど、深刻な災害を引き起こすおそれがあることにかんがみ、右災害が万が一にも起こらないようにするため、原子炉設置許可の段階で、原子炉を設置しようとする者の右技術的能力の有無及び申請に係る原子炉施設の位置、構造及び設備の安全性につき十分な審査をし、右の者において所定の技術的能力があり、かつ、原子炉施設の位置、構造及び設備が右災害の防止上支障がないものであると認められる場合でない限り、主務大臣は原子炉設置許可処分をしてはならないとした点にある

(引用終わり)

 

 このことを理解した上で、行訴法9条2項を見ると、「当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益」の部分が、上記の趣旨に対応していることがわかります。ある利益を侵害する場合には処分をしてはならない、すなわち、その利益の保護が処分の要件となっているということは、「処分が法令に違反してされた場合にその利益が害されることとなる」ことを意味するのです。

 

(行訴法9条2項。太字強調は筆者。)

 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする

 

 次に、個々人の個別的利益とは、何か。これは、上記のように判断して認められた具体的利益が、誰に帰属するかが区別できる、ということを意味します。例えば、ある不動産の所有権であれば、通常は、それが誰に帰属し、誰に帰属しないかを容易に判断することができます。では、空港や原子炉などの施設が建設されたことによって生じる騒音や健康被害のおそれ等から保護される利益については、どうか。この点についても、初期の頃の判例は、基本的な考え方を示してくれています。

 

新潟空港事件判例より引用。太字強調は筆者。)

 航空機の騒音による障害の被害者は、飛行場周辺の一定の地域的範囲の住民に限定され、その障害の程度は居住地域が離着陸経路に接近するにつれて増大するものであり、他面、飛行場に航空機が発着する場合に常にある程度の騒音が伴うことはやむをえないところであり、また、航空交通による利便が政治、経済、文化等の面において今日の社会に多大の効用をもたらしていることにかんがみれば、飛行場周辺に居住する者は、ある程度の航空機騒音については、不可避のものとしてこれを甘受すべきであるといわざるをえず、その騒音による障害が著しい程度に至つたときに初めて、その防止・軽減を求めるための法的手段に訴えることを許容しうるような利益侵害が生じたものとせざるをえないのである。このような航空機の騒音による障害の性質等を踏まえて、前述した航空機騒音障害の防止の観点からの定期航空運送事業に対する規制に関する法体系をみると、法が、定期航空運送事業免許の審査において、航空機の騒音による障害の防止の観点から、申請に係る事業計画が法一〇一条一項三号にいう「経営上及び航空保安上適切なもの」であるかどうかを、当該事業計画による使用飛行場周辺における当該事業計画に基づく航空機の航行による騒音障害の有無及び程度を考慮に入れたうえで判断すべきものとしているのは、単に飛行場周辺の環境上の利益を一般的公益として保護しようとするにとどまらず、飛行場周辺に居住する者が航空機の騒音によつて著しい障害を受けないという利益をこれら個々人の個別的利益としても保護すべきとする趣旨を含むものと解することができるのである。したがつて、新たに付与された定期航空運送事業免許に係る路線の使用飛行場の周辺に居住していて、当該免許に係る事業が行われる結果、当該飛行場を使用する各種航空機の騒音の程度、当該飛行場の一日の離着陸回数、離着陸の時間帯等からして、当該免許に係る路線を航行する航空機の騒音によつて社会通念上著しい障害を受けることとなる者は、当該免許の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として、その取消訴訟における原告適格を有すると解するのが相当である。 

(引用終わり)

もんじゅ訴訟判例より引用。太字強調は筆者。)

 同法二四条一項三号所定の技術的能力の有無及び四号所定の安全性に関する各審査に過誤、欠落があった場合には重大な原子炉事故が起こる可能性があり、事故が起こったときは、原子炉施設に近い住民ほど被害を受ける蓋然性が高く、しかも、その被害の程度はより直接的かつ重大なものとなるのであって、特に、原子炉施設の近くに居住する者はその生命、身体等に直接的かつ重大な被害を受けるものと想定されるのであり、右各号は、このような原子炉の事故等がもたらす災害による被害の性質を考慮した上で、右技術的能力及び安全性に関する基準を定めているものと解される。右の三号(技術的能力に係る部分に限る。)及び四号の設けられた趣旨、右各号が考慮している被害の性質等にかんがみると、右各号は、単に公衆の生命、身体の安全、環境上の利益を一般的公益として保護しようとするにとどまらず、原子炉施設周辺に居住し、右事故等がもたらす災害により直接的かつ重大な被害を受けることが想定される範囲の住民の生命、身体の安全等を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むと解するのが相当である。

(引用終わり)

 

 施設の騒音等による利益の侵害は、その性質上、施設周辺の一定の地域的範囲の住民に限定される。だから、そのような地域的範囲外の住民は、そのような侵害を受けない利益を享受しないだろうと区別できる。さらに、その施設のもたらす利便性を考慮すれば、ある程度の騒音等は仕方がないが、受忍限度を超えるものは、具体的利益の侵害があるといえる。だから、上記の一定の地域的範囲の周辺住民のうち、社会通念上著しい障害、ないしは、直接的かつ重大な被害を受けることとなる者については、そのような利益が個別的に帰属しているといえるだろう。逆にいえば、それ以外の者は、そのような利益が帰属していないと区別できる。このような意味だということです。
 このことを理解した上で、行訴法9条2項をみると、「害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度」の部分が、上記の趣旨に対応していることがわかります。違法な処分による侵害が、その利益の内容・性質から、一定範囲の者に限定されるか、受忍限度を超えるような態様・程度の者はさらに絞られるか、等々を考慮せよ、というようなことを意味しているのです。

 

(行訴法9条2項。太字強調は筆者。)

  裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする

 

 以上を論証化すると、以下のようになるでしょう。

 

(「司法試験定義趣旨論証集(行政法)」より引用)

 周辺住民が処分による法益侵害を受けるおそれを主張してその取消し等を求める場合において、処分の根拠法令及びその関係法令から、上記法益侵害が生じるおそれがある場合には当該処分をすべきでない旨の趣旨が読み取れるときは、当該法益は具体的利益として保護されているといえる。そして、当該処分がされると上記法益を直接かつ著しい程度に侵害されるおそれのある者が一定範囲の周辺住民に限られるときは、上記法益は一般的公益の中に吸収解消させることが困難であるから、上記著しい法益侵害を直接的に受けるおそれのある範囲の住民の個別的利益を保護する趣旨を含むと解される。よって、上記範囲の周辺住民には原告適格が認められる(新潟空港事件、もんじゅ訴訟、小田急高架訴訟事件各判例参照)。 

(引用終わり)

 

 以上のような理解を踏まえて、次回から本問のD及びEについて、具体的に検討していきます。

posted by studyweb5 at 20:27| 新司法試験論文式過去問関係 | 更新情報をチェックする


  【当サイト作成の電子書籍一覧】
司法試験平成29年最新判例ノート
司法試験平成28年最新判例ノート
平成29年司法試験のための平成28年刑訴法改正の解説
司法試験定義趣旨論証集刑訴法(逐次改頁版)
司法試験定義趣旨論証集刑訴法(通常表示版)
司法試験平成27年採点実感等に関する意見の読み方(民法)
司法試験平成27年出題趣旨の読み方(民法)
司法試験平成27年採点実感等に関する意見の読み方(行政法)
司法試験平成27年出題趣旨の読み方(行政法)
司法試験平成27年採点実感等に関する意見の読み方(憲法)
司法試験平成27年出題趣旨の読み方(憲法)
司法試験定義趣旨論証穴埋問題集(会社法)
司法試験定義趣旨論証集(会社法)
司法試験定義趣旨論証穴埋問題集(物権)
司法試験定義趣旨論証集(物権)
司法試験平成26年最新判例ノート
司法試験論文用平成26年会社法改正対応教材
司法試験定義趣旨論証穴埋問題集(民法総則)
司法試験定義趣旨論証集(民法総則)
司法試験定義趣旨論証穴埋問題集(刑法各論)
司法試験定義趣旨論証集(刑法各論)
司法試験定義趣旨論証穴埋問題集(刑法総論)
司法試験定義趣旨論証集(刑法総論)
司法試験平成25年判例肢別問題集
司法試験平成25年判例論証穴埋問題集
司法試験平成25年判例論証集
司法試験定義趣旨論証集(行政法)

  【最新ニュース・新刊書籍紹介】
平成30年司法試験予備試験論文式試験問題
体験型プログラム~法科大学院生対象~(法務省)
民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)
問題演習 基本七法
弁護士・菊間千乃さん 父の「おまえはすごい」力に
NHK受信料に20年の時効なし 最高裁が初判断
民事訴訟法 第3版 (LEGAL QUEST)
砂川事件 「再審せず」確定 最高裁が特別抗告を棄却
砂川事件の再審認めず 最高裁、特別抗告を棄却
民事紛争解決の基本実務
参院「定数6増」より筋の悪い「特定枠」の正体
参議院「定数6増」はいくらなんでも酷すぎる
日弁連研修叢書 現代法律実務の諸問題<平成29年度研修版>
タイ汚職 初の司法取引、法人免責 元取締役ら在宅起訴
社員と協力して上層部摘発のはずが… 初の司法取引、想定と正反対で疑問視も
民事訴訟法辞典
AIが「弁護士の目」になる日がやってくるのか
てるみ社長 詐欺「常習性明白」 東京地裁、懲役6年判決
民事訴訟法用語辞典
受刑者逃走、人間関係から逃れたくて…検察側が動機指摘
夫婦別姓に消極的な日本は「失われた30年そのもの」 東京地裁で裁判始まる
簡裁民事ハンドブック5 訴え提起前の和解編
なぜ日本人は結婚すると夫の姓を名乗るか
日本弁護士連合会主催環境法に関するサマースクール
訴訟弁護士入門
県迷惑防止条例違反 奈良検察事務官、女性を触り逮捕 容疑否認
二審の逆転無罪破棄、審理差し戻し 米子強殺で最高裁 
「間接事実の総合評価欠いた」 逆転無罪を破棄、差し戻し 鳥取の強盗殺人事件で最高裁
若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務
「堂々と人種差別された」大量懲戒請求を受けた弁護士が提訴「タガが外れている」
「盗撮罪の創設を」弁護士有志が問題提起 鳥貴族だけじゃない…社長室やマッサージ店での被害深刻
「盗撮罪」新設、弁護士ら訴え 条例対象は公の場所のみ
ピンポイント民事訴訟法 (DAILY法学選書)
大量懲戒請求呼びかけ、弁護士が投稿者の情報求め提訴
未成年者相談にライン活用 弁護士会が利用促す
民事訴訟法判例研究集成 (学術選書180)
捜索中に電話禁止「違法」 福岡高裁
懲戒処分 預かり金を着服の弁護士 京都弁護士会 /京都
民事訴訟法
預かり金返さず、弁護士を業務停止1カ月 京都弁護士会
裁判所トイレ「ボヤ騒動」初公判 元弁護士は否認「タバコを吸ったが火はつけていない」
簡裁民事ハンドブック4 民事保全編
労組アンケートで懲戒処分=大阪市の元特別顧問-弁護士会
野村修也弁護士に業務停止1月、違法なアンケートの実施責任認定…野村氏「懲戒に相当しない」
ロースクール演習民事訴訟法
(社説)君が代判決 強制の追認でいいのか
君が代不起立で再雇用拒否 最高裁、都の裁量権認める
君が代不起立で再雇用拒否 元教職員側が逆転敗訴
ベーシックスタディ民事訴訟法
法曹養成制度改革連絡協議会第10回協議会
法務省だより「あかれんが」 第61号(2018年7月)
〔労働時間・残業代〕裁判所の判断がスグわかる本
和歌山カレー事件・20年目の真実〜林真須美は本当に毒を入れたのか
ハーグ条約 母親上告断念、確定へ 名古屋高裁差し戻し審
弁護士「好きな仕事×経営」のすすめ―分野を絞っても経営を成り立たせる手法―
自律走行車の普及は、都市を本当に「幸せ」にするのか?
印、仮想通貨業を「違法化」 銀行扱い禁止、中銀命令を最高裁支持
ロシアでエホバの証人狩り、ソ連「宗教弾圧」の悪夢再び
インド最高裁、被告の死刑判決を支持 12年の強姦殺害で
米最高裁、保守色鮮明に 判事にカバノー氏指名
モバゲー利用規約「違法」 弁護士らDeNAを提訴
米政権、大学入試で少数派を優遇する措置廃止
名古屋の裁判所でも金属探知で所持品検査 仙台地裁の警察官刃物切り付け事件受け
司法試験トップ合格者らが伝えておきたい勉強法と体験記
千葉女児殺害、無期懲役判決 地裁「犯行は卑劣で悪質」
架空請求詐欺で無罪判決も 渋谷被告裁判員裁判担当の野原俊郎裁判長
要件事実入門 紛争類型別編
松戸女児殺害 死刑回避、過去の裁判例との公平性を重視
香港最高裁、同性愛者に扶養家族ビザと同等の就労権認める
司法試験予備試験 短答式問題と解説〈平成30年度〉
「TBSは死んだ」再び。映像の押収を公表せず
オウム真理教 教祖、語らぬまま 松本死刑囚、刑執行 独り言つぶやき続け
スキルアップのための企業法務のセオリー 実務の基礎とルールを学ぶ
生きた麻原死刑囚は小さくともテロの脅威を残していた=ロシア宗教学者
オウム事件・麻原彰晃死刑囚の四女が刑執行を受けてコメント掲載「今はその死を悼みたい」
レベルアップをめざす企業法務のセオリー 応用編 一段上の実務とマネジメントの基礎を学ぶ
「検討が不十分」「執行は当然」 死刑めぐり弁護士賛否
坂本弁護士の母、さちよさんもコメント「終わったね。安らかにねと言ってあげたい」
英文契約書レビューに役立つ アメリカ契約実務の基礎
「法廷で空中浮揚」計画も… 麻原彰晃が本気で明かしたかった「私の真実」とは? 元主任弁護士が語る
麻原死刑囚ら死刑執行「強く支持する」被害者支援弁護士が会見 「救われる遺族は多い」
弁護士「好きな仕事×経営」のすすめ―分野を絞っても経営を成り立たせる手法―
戦後最大規模の死刑執行、世界に衝撃 非人道的と批判も
「執行」その瞬間…3人の刑務官が同時にボタン押し2つはダミー
実効的子会社管理のすべて
【死刑執行】松本智津夫死刑囚「教誨室」「前室」「執行室」死刑執行の手順
7死刑囚、刑執行 惨劇忘れぬ 遺族「当然」「一つの区切り」
会社法の到達点と展望: 森淳二朗先生退職記念論文集
オウム事件「平成」終幕意識 松本死刑囚ら7人刑執行
極めて異例…オウム 麻原ら7人同時死刑執行 天皇退位、自民総裁選前の時期選ぶ?
ピンポイント会社法 (DAILY法学選書)
元教祖ら7人死刑 執行は法治国家の責務だ 終わってはいないオウム事件
オウム松本死刑囚の刑執行=教団事件で初、7人一斉-地下鉄サリンから23年
M&A実務の基礎〔第2版〕
オウム真理教・松本智津夫死刑囚ら7人の死刑執行 
金沢弁護士会のロゴを作成しました!
ピンポイント会社法 ピンポイントシリーズ
「ほれ薬」使用未遂で懲戒 福岡の45歳弁護士 
法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会第11回会議議事録等
別冊商事法務№434 機関投資家の議決権行使方針及び結果の分析〔平成30年版〕
「袴田事件」再審認めず 82歳の袴田氏は自分を「23歳」と認識
大崎事件の再審求め姶良で集会  原口さん支援者ら40人
債権総論 第4版 (伊藤真試験対策講座 3)
司法修習32人、返金猶予を申請 国貸与52億円、1700人が期限 弁護士、請求撤回求める
若者の法曹離れ食い止めへ 兵庫県弁護士会が本腰
司法試験短答式問題と解説 平成30年度
【東京】≪司法試験受験者対象≫企業への就職を希望する方向け個別相談会
【大阪】≪司法試験受験者対象≫司法試験結果発表後の進路について考える為の個別相談会
【名古屋】司法試験受験者の為のスタートダッシュ!今後のキャリアについて考える個別就職相談会
マンガでやさしくわかる試験に出る民法改正
兵庫県内15市町で弁護士ゼロ 神戸・阪神間が8割
平成30年版人権教育・啓発白書
民法演習サブノート210問
出版業界の新たな希望「ネットで書籍の全文検索」が可能になれば、売上は伸びるのか?
ゲイだとバラされ転落死「一橋大アウティング事件」の裁判で、同級生と遺族が和解
はじめての債権各論 (3日でわかる法律入門シリーズ)
成年後見人の仕事って? 認知症などの人の財産管理
弁護士が教職員に助言、大阪府「スクールロイヤー制度」試行実施
最高裁判所判例解説民事篇 平成27年度 下 7月~12月分
小室圭さん8月に渡米、ロースクール入学へ
法廷内で暴れ親子逮捕 公務執行妨害の疑い 函館
最高裁判所判例解説民事篇 平成27年度 上 1月~6月分
佐賀・生き埋め殺害 「重機が事件当日稼働」 GPS記録で警官証言 佐賀地裁公判
<残土置き場殺人>「死因」対立浮き彫り 計画性、動機焦点に
英文契約書レビューに役立つ アメリカ契約実務の基礎
大分県教委の教員採用汚職 教員採用取り消し訴訟 県へ賠償命令確定 最高裁、処分判断分かれる
県教委の教員採用汚職 2訴訟確定 「なぜ判断異なる」 敗訴側、最高裁決定に怒り /大分
若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務
割れた高裁判決確定 県教委汚職10年
市立病院職員の懲戒免職取り消し 判決受け停職6カ月
民法判例百選II 債権(第8版) 別冊ジュリスト
パートナー制度、異性カップルにも認める 英最高裁
英最高裁、異性愛カップルにも市民パートナーシップ適用認める判断
民法判例百選I 総則・物権(第8版) 別冊ジュリスト
わいせつ無人自販機、どんな店? 年齢監視は不十分
入国規制の最高裁判断にトランプ氏「多大なる勝利」 国境警備など強化へ
民法判例百選III 親族・相続(第2版) 別冊ジュリスト
入国規制措置 最高裁が支持の判決 トランプ政権に追い風
【社説】超然と法の支配を守った米最高裁
判例分析による民法解釈入門
トランプ氏、米最高裁の入国禁止令支持「素晴らしい」と称賛
入国禁止令、最高裁判断は戦時中の日系人に言及
〔民法改正対応版〕時効の管理
トマト飲料巡る訴訟 カゴメの勝訴が確定
宮崎・性的暴行 盗撮ビデオ没収可 最高裁判断
新プリメール民法2 物権・担保物権法 (αブックス)
性犯罪隠し撮りビデオ、最高裁が没収認める決定
法制審議会民事執行法部会第14回会議議事録等
破産から新民法がみえる
 民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)
商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律案
民事執行法の改正に関する中間試案(平成29年9月8日)
民法の一部を改正する法律(債権法改正)について

刑事訴訟法等の一部を改正する法律について
法曹養成制度関係閣僚会議
法曹養成制度改革の推進について(PDF)
法曹養成制度改革推進会議
法曹養成制度改革顧問会議
平成30年司法試験予備試験の実施について
平成30年司法試験の実施について
司法試験考査委員の不適切行為に関する通報窓口

  【司法研修所教材・講義案・調査官解説等】
事件記録教材 法科大学院教材
調査官解説
事例で考える民事事実認定
プラクティス刑事裁判
プロシーディングス刑事裁判
検察講義案 平成24年版
新問題研究要件事実
紛争類型別の要件事実 民事訴訟における攻撃防御の構造 改訂
刑事第一審公判手続の概要
刑事判決書起案の手引
民事判決起案の手引
民事訴訟第一審手続の解説
情況証拠の観点から見た事実認定
民事訴訟における要件事実 第2巻
民事訴訟における要件事実 増補 第1巻
書記官研修講義案等