2017年07月30日

平成29年予備行政法で行手法33条を適用すべき理由

1.今年の予備論文行政法設問1現場であまり気付いてしまいたくないことは、「甲県の知事Bによる行政指導だから、行手法33条は適用除外になるんじゃないの?」ということです。これは、完全に正しい行手法3条3項があるからです。

 

(行手法3条3項)

 第一項各号及び前項各号に掲げるもののほか、地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)及び行政指導、地方公共団体の機関に対する届出(前条第七号の通知の根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)並びに地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、次章から第六章までの規定は、適用しない

 

 行手法3条3項は、処分については、括弧書きで、「その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。」という限定を付していますから、廃棄物処理法に基づく産業廃棄物処理施設の設置許可については、行手法が適用されます。したがって、仮に本問が、設置許可の申請があったにもかかわらず、その申請に対する審査を行わなかった、という事例であれば、行手法7条の適用による違法が問題となり得ます。もっとも、本問は、そのような事例ではないわけですから、同条の適用によって結論が出るわけではありません。

 

(行手法7条)

 行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者(以下「申請者」という。)に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。

(問題文より引用。太字強調は筆者。)

 Bは,同条第4項に基づき,本件申請に係る必要事項を告示し,申請書類及び本件処分場の設置が周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査の結果を記載した書類(Aが同条第3項に基づき申請書に添付したもの。以下「本件調査書」という。)を公衆の縦覧に供するとともに,これらの書類を踏まえて許可要件に関する審査を行い,本件申請が法第15条の2第1項所定の要件を全て満たしていると判断するに至った

(引用終わり)

 

 一方で、行手法3条3項は、行政指導について、処分について付されたような限定を付していませんから、産業廃棄物処理施設の設置許可に関連する行政指導であっても、行手法が適用されるということにはならないのです。

2.そうすると、本問では、行手法33条を適用しないで、品川マンション事件判例(最判昭60・7・16) のみに依拠して解答すべきだった、ということになりそうです。しかし、話はそう簡単ではありません。仮に、甲県に行手法33条に相当する行政手続条例の規定が存在するなら、その条例の解釈問題として解答すべきことになるはずだからです。
 「甲県に行手法33条に相当する行政手続条例の規定が存在するという問題文の事情がないのだから、そのような行政手続条例の規定は存在しないことを前提にして解くんじゃないの?」と思うかもしれません。確かに、「甲県は行政手続条例において行手法33条に相当する規定を置いていない県である。」という前提が成り立ち得るならば、そのような理解は可能でしょう。しかし、それは考えられないのです。なぜなら、「行政手続条例において行手法33条に相当する規定を置いていない県」は、存在しないからです。

 

青森県行政手続条例31条)

 申請又は法律等申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請又は法律等申請をした者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請又は法律等申請をした者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。

行政手続条例31条(岩手県))

 申請(法律等に基づくものを含む。以下この条において同じ。)の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請をした者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請をした者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は、申請をした者が行政指導に従わないことにより公の利益に著しい障害を生ずるおそれがある場合に、当該行政指導を継続することを妨げない。

行政手続条例31条(宮城県))

 申請(法律及び法律に基づく命令(告示を含む。)に基づくものを含む。以下この条において同じ。)の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては,行政指導に携わる者は,申請をした者が当該行政指導に従う意思がない旨を明確に表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請をした者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は,申請をした者が行政指導に従わないことにより公益を著しく害するおそれがある場合に,当該行政指導に携わる者が当該行政指導を継続することを妨げない。

秋田県行政手続条例31条)

 申請(法律及び法律に基づく命令(告示を含む。)に基づくものを含む。以下この条において同じ。)の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請をした者が当該行政指導に従う意思がない旨を明確に表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請をした者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。

山形県行政手続条例31条)

 申請(法律等に基づくものを含む。)の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、当該申請をした者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請をした者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。

福島県行政手続条例31条)

 申請(法律等に基づくものを含む。以下同じ。)の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請をした者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請をした者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。

茨城県行政手続条例31条)

 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては,行政指導に携わる者は,申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項に規定するものを除くほか,行政手続法(平成5年法律第88号)第2条第3号に規定する申請に関連する行政指導にあっても,前項と同様とする。

栃木県行政手続条例31条)

 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を明確に表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は、申請者が行政指導に従わないことにより公益が著しく害されるおそれがある場合に、当該行政指導を継続することを妨げない。

群馬県行政手続条例31条)

 申請(法律等に基づくものを含む。以下この条において同じ。)の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請をした者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請をした者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は、申請をした者が行政指導に従わないことにより著しく公益を害すると認められる場合に、当該行政指導を継続することを妨げない。

埼玉県行政手続条例32条)

 申請(法律又は法律に基づく命令(告示を含む。)(以下「法令」という。)に基づくものを含む。以下この条において同じ。)の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請をした者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請をした者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は、申請をした者が行政指導に従わないことにより、災害防止、環境保全その他の公益の確保に著しい障害が生ずるおそれがある場合に、当該行政指導に携わる者が当該行政指導を継続することを妨げない。

千葉県行政手続条例31条)

 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、当該行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げてはならない。
2 前項の規定は、申請者が行政指導に従わないことにより公益を著しく害するおそれがある場合に、当該行政指導を継続することを妨げない。

神奈川県行政手続条例31条)

 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を明確に表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は、申請者が行政指導に従わないことにより公の利益に著しい障害を生ずるおそれがある場合に、当該行政指導に携わる者が当該行政指導を継続することを妨げない。

新潟県行政手続条例31条)

 申請(法律又は法律に基づく命令(告示を含む。)に基づくものを含む。以下この条において同じ。)の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請をした者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請をした者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。

富山県行政手続条例31条)

 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は、申請者が行政指導に従わないことが公益を著しく害するおそれがある場合に、当該行政指導に携わる者が当該行政指導を継続することを妨げない。

石川県行政手続条例31条)

 申請(法律等に基づくものを含む。以下この条において同じ。)の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請をした者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請をした者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は、申請をした者が行政指導に従わないことにより公共の利益に著しい支障を生ずるおそれがある場合に、当該行政指導に携わる者が当該行政指導を継続することを妨げない。

福井県行政手続条例31条)

 申請(法律等に基づくものを含む。)の取下げまたは内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請をした者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請をした者の権利を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は、申請をした者が行政指導に従わないことが公益を著しく害すると認められる場合に、当該行政指導を継続することを妨げない。

山梨県行政手続条例31条)

 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請をした者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請をした者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は、申請をした者が行政指導に従わないことにより公共の利益に著しい支障を生ずるおそれがある場合に、当該行政指導に携わる者が当該行政指導を継続することを妨げない。

長野県行政手続条例32条)

 申請(法律又はこれに基づく命令(告示を含む。)に基づくものを含む。以下この条において同じ。)の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請をした者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請をした者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は、申請をした者が行政指導に従わないことにより公益が著しく害されるおそれがある場合には、当該行政指導に携わる者が当該行政指導を継続することを妨げない。

岐阜県行政手続条例31条)

 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を明確に表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は、申請者が行政指導に従わないことにより公共の利益に著しい障害を生ずるおそれがある場合に、当該行政指導に携わる者が当該行政指導を継続することを妨げない。

静岡県行政手続条例31条)

 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請をした者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請をした者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。

愛知県行政手続条例31条)

 申請(法律等に基づくものを含む。以下この条において同じ。)の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請をした者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請をした者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は、申請をした者が行政指導に従わないことにより公益に著しい障害を生ずるおそれがある特別の事情が存する場合に、当該行政指導に携わる者が当該行政指導を継続することを妨げない。

三重県行政手続条例31条)

 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は、申請者が行政指導に従わないことにより公益に著しい障害を生ずるおそれがある場合に、当該行政指導に携わる者が当該行政指導を継続することを妨げない。

滋賀県行政手続条例30条)

 申請の取下げまたは内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を明確に表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は、申請者が行政指導に従わないことにより公益に著しい障害を生ずるおそれがある場合において当該行政指導に携わる者が当該行政指導を継続することを妨げない。

行政手続条例31条(兵庫県))

 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。

奈良県行政手続条例31条)

 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は、申請者が行政指導に従わないことにより公益が著しく害されるおそれがある場合に、当該行政指導を継続することを妨げるものではない。

和歌山県行政手続条例31条)

 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は、申請者が行政指導に従わないことにより公の利益に著しい障害を生ずるおそれがある場合に、当該行政指導に携わる者が当該行政指導を継続することを妨げない。

 (鳥取県行政手続条例32条)

 法第2条第3号に規定する申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、当該申請をした者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請をした者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。

島根県行政手続条例31条)

 申請(第2条第4号の規定にかかわらず、法令に基づき、許認可等を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。以下この条において同じ。)の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請をした者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請をした者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定にかかわらず、申請をした者が行政指導に従わないことにより公の利益に著しい障害を生ずるおそれがある場合には、当該行政指導に携わる者は当該行政指導を継続することができる。

岡山県行政手続条例31条)

 申請(法律及び法律に基づく命令(告示を含む。)に基づき、行政庁の許認可等を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものを含む。以下この条において同じ。)の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請をした者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請をした者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。

広島県行政手続条例31条)

 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を明確に表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定にかかわらず、当該申請者の権利の行使が公共の利益に反すると認められるときは、当該行政指導の継続を妨げるものではない。

山口県行政手続条例30条)

 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。法令申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっても、同様とする。

徳島県行政手続条例31条)

 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を明確に表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は、申請者が行政指導に従わないことにより公益に著しい障害を生ずるおそれがある場合に、当該行政指導に携わる者が当該行政指導を継続することを妨げない。

香川県行政手続条例31条)

 申請(法令(条例等を除く。)に基づき、行政庁の許認可等を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものを含む。以下この条において同じ。)の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請をした者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請をした者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。

愛媛県行政手続条例31条)

 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は、申請者が行政指導に従わないことにより公共の利益の確保に著しい障害を生ずるおそれがある場合に、当該行政指導に携わる者が当該行政指導を継続することを妨げない。

高知県行政手続条例31条)

 申請(法律又は法律に基づく命令に基づくものを含む。)の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は、申請者が行政指導に従わないことにより公益を著しく害するおそれがある場合に、当該行政指導に携わる者が当該行政指導を継続することを妨げない。

福岡県行政手続条例31条)

 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の正当な権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。

佐賀県行政手続条例32条)

 申請(第2条第4号の規定にかかわらず、法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分その他公権力の行使に当たる行為を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。以下この条において同じ。)の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請をした者が当該行政指導に従う意思がない旨を明確に表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請をした者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は、申請をした者が行政指導に従わないことにより公益の確保に著しい障害を生ずるおそれがある場合に、当該行政指導に携わる者が当該行政指導を継続することを妨げない。

長崎県行政手続条例31条)

 申請(法律等に基づくものを含む。)の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は、申請者が行政指導に従わないことにより公の利益に著しい障害を生ずるおそれがある場合に、当該行政指導に携わる者が当該行政指導を継続することを妨げない。

熊本県行政手続条例31条)

 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を明確に表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は、申請者が行政指導に従わないことが当該行政指導の目的とする公の利益を害するおそれがあり、かつ、社会通念上許容できないと認められる特段の事情が存する場合に、当該行政指導に携わる者が当該行政指導を継続することを妨げない。

大分県行政手続条例31条)

 申請(法第二条第三号に規定する申請をいう。以下この条において同じ。)の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請をした者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請をした者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は、申請をした者が行政指導に従わないことが公益を著しく害するおそれがある場合に、当該行政指導を継続することを妨げない。

宮崎県行政手続条例31条)

 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請をした者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請をした者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は、申請をした者が行政指導に従わないことが公益を著しく害するおそれがある場合に、当該行政指導に携わる者が当該行政指導を継続することを妨げない。

鹿児島県行政手続条例31条)

 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては,行政指導に携わる者は,申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は,申請者が行政指導に従わないことにより公の利益に著しい障害を生ずるおそれがある場合は,当該行政指導に携わる者が当該行政指導を継続することを妨げない。

沖縄県行政手続条例31条)

 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は、申請者が行政指導に従わないことにより公の利益に著しい障害を生ずるおそれがある場合に、当該行政指導に携わる者が当該行政指導を継続することを妨げない。

 

 それならば、答案において、「甲県には、行手法33条と同様の規定があるものとして、以下、行手法33条の規定に沿って検討する。」とすればよいかというと、厳密にはそれもダメです。なぜなら、問題文上、「甲県には、行手法33条と同じ内容の規定がある。」と規定されていない以上、甲県が行手法33条に相当する規定として、どのような規定を設けているか、明らかではないからです。上記の各県の行政手続条例を見ればわかるとおり、各県で微妙なバリエーションがあります。法技術的な差異を除くと、例えば、意思表明について、「明確に」という文言を付加するものがあります。

 

秋田県行政手続条例31条)

 申請(法律及び法律に基づく命令(告示を含む。)に基づくものを含む。以下この条において同じ。)の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請をした者が当該行政指導に従う意思がない旨を明確に表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請をした者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。

 

 行手法33条には、「明確に」の文言は入っていません。

 

(行手法33条)

 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。

 

 これに対し、品川マンション事件判例は、「真摯かつ明確」であることを要求しています。

 

品川マンション事件判例より引用。太字強調は筆者。)

 いつたん行政指導に応じて建築主と付近住民との間に話合いによる紛争解決をめざして協議が始められた場合でも、右協議の進行状況及び四囲の客観的状況により、建築主において建築主事に対し、確認処分を留保されたままでの行政指導にはもはや協力できないとの意思を真摯かつ明確に表明し、当該確認申請に対し直ちに応答すべきことを求めているものと認められるときには、他に前記特段の事情が存在するものと認められない限り、当該行政指導を理由に建築主に対し確認処分の留保の措置を受忍せしめることの許されないことは前述のとおりであるから、それ以後の右行政指導を理由とする確認処分の留保は、違法となるものといわなければならない。

(引用終わり)

 

 このように比較すると、行手法33条は、上記判例の趣旨を具体化するものであるはずなのに、敢えて「真摯かつ明確」の要件を除いているようにもみえる。他方で、「明確に」だけを追加している条例もある。これは、解釈論上何か意味を持つのか。このことは、本問の隠れた応用論点のうちの1つです。
 もう1つ。品川マンション事件判例は、行政指導に従う意思がない旨の表明がある場合であっても、行政指導の継続が認められる例外の余地があることを明示的に認めています。

 

品川マンション事件判例より引用。太字強調は筆者。)

 確認処分の留保は、建築主の任意の協力・服従のもとに行政指導が行われていることに基づく事実上の措置にとどまるものであるから、建築主において自己の申請に対する確認処分を留保されたままでの行政指導には応じられないとの意思を明確に表明している場合には、かかる建築主の明示の意思に反してその受忍を強いることは許されない筋合のものであるといわなければならず、建築主が右のような行政指導に不協力・不服従の意思を表明している場合には、当該建築主が受ける不利益と右行政指導の目的とする公益上の必要性とを比較衡量して、右行政指導に対する建築主の不協力が社会通念上正義の観念に反するものといえるような特段の事情が存在しない限り、行政指導が行われているとの理由だけで確認処分を留保することは、違法であると解するのが相当である。

(引用終わり)

 

 これに対し、行手法33条は、何ら例外的な場合を規定していません。他方で、上記各県の行政手続条例をみると、上記判例に対応するような例外的な場合を規定するものが相当数存在することがわかります。例えば、岩手県では、2項で例外的な場合を規定しています。例外を定める県では、概ねこれに似た規定を置いています。

 

行政手続条例31条(岩手県))

 申請(法律等に基づくものを含む。以下この条において同じ。)の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請をした者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請をした者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
2 前項の規定は、申請をした者が行政指導に従わないことにより公の利益に著しい障害を生ずるおそれがある場合に、当該行政指導を継続することを妨げない

 

 やや変わった形で例外の余地を認めようとしているのが、福岡県です。同県では、2項を設けるのではなく、「権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。 」の部分に、「正当な」という限定を加えることで、同様の趣旨を実現しようとしています。

 

福岡県行政手続条例31条)

 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の正当な権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。

 

 上記のような条例の規定は、品川マンション事件判例を意識しつつも、同判例とは表現ぶりが異なるものともいえます。これは、敢えてそうやっている、という読み方もできるでしょう。上記の規定を当てはめる場合、判例と全く同じように、比較衡量的な当てはめ方でよいのでしょうか。それ以前に、行手法33条が、品川マンション事件判例を具体化しようとしているのに、例外規定を置かなかった趣旨は何か問題となり得ることも、理解できるでしょう。このように、本問の甲県に、行手法33条に相当する行政手続条例の規定があるとしても、上記の様々なバリエーションのうちのどれであるのか、それによって生じ得る解釈上の問題点が異なるにもかかわらず、本問ではその点が全く不明なのです。

3.さて、ここまでの検討でわかることは、「本問は、厳密に考えると、このままでは解きようがない。」ということです。このことは、本問の作問担当者が認識していれば、容易に対応可能なことです。現に、この点について、問題文上で対応した実例があるのです。

 

平成24年予備試験論文式試験行政法試験問題より引用)

 なお,乙市は,1996年に乙市行政手続条例を施行しており,本件処分に関する手続について,同条例は行政手続法と同じ内容の規定を設けている。

(引用終わり)

 

 「行政手続法と同じ内容の規定」と書いてあれば、その行政手続条例には、行手法33条と同じように、「明確に」という文言はなく、例外規定も置いていない、ということがわかります。
 認識していれば容易に対応できるにもかかわらず、何ら対応していない場合というのは、大体の場合、気付いていないのです。当サイトは、おそらく、本問の作問担当者が、Bの行政指導に行手法33条が適用されないという問題があることを失念していて、他の考査委員もこれに気付かないまま、出題されてしまったのだろうと予測します(※)。「考査委員がそんな初歩的なミスをするはずがない。」と思うかもしれませんが、過去問を詳細に検討してみると、この種の見落としのようなものは、案外あるものです。
 このことを前提にすると、おそらく、出題者としては、品川マンション事件判例を踏まえつつ、行手法33条の文言解釈をして、当てはめをすることを求めていたのだろうと思います。そうだとすれば、行手法33条が適用除外になると思って、同条の文言を無視してしまうと、評価を落とすことになりやすい。また、採点段階で考査委員が適用除外に気が付いたとしても、考査委員自身の不手際によって仕方なく行手法33条の適用を前提に解答した答案に対して、減点するという処理は、やりにくいでしょう。
 ※ おそらくは、本問が廃棄物処理法に基づく設置許可に関する事案であったことから、行政手続法が問題なく適用されるだろう、という認識に基づく誤解があったのでしょう。これは、実は条例を制定する際にもややこしい問題を生じさせます。法律に基づく処分を求める申請については行手法の適用があるので、行政手続条例はこれについて規定を設けないけれども、法律に基づく処分を求める申請に関連する行政指導については行手法の適用が除外されるので、行政手続条例に規定を置かなくてはならない。仮に、条例で、「申請」の定義を法律に基づく処分を求める申請を除外するものとして規定していた場合には、別途、法律に基づく処分を求める申請をも含む趣旨の文言を挿入しなければなりません。例えば、青森県では、「申請」と「法律等申請」という2つの用語を定義し、青森県行政手続条例31条が双方について適用されることを文言上明らかにしています。その他の各県の行政手続条例においても、法律に基づく処分を求める申請に関連する行政指導にも行手法33条に相当する行政手続条例の規定の適用があるように、法技術的な工夫がされています。詳論は避けますが、各県の対処の方法の違いを確認してみるのも面白いかもしれません。

4.そんなわけで、本問では、行手法3条3項による適用除外に気付かない方がよかったし、仮に気が付いても、開き直って行手法33条を適用して解答すべきだった、というのが、当サイトの立場です。適用除外に気が付いてしまった人は、どうすべきかどうしても迷ってしまうでしょうから、この点については、結果的に時間をロスをしてしまったということになる。このように、知識、理解が深い人の方が不利になることもあるのが、論文試験の理不尽なところであり、また、面白いところです。

posted by studyweb5 at 20:09| 予備試験論文式過去問関係 | 更新情報をチェックする


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