2007年03月15日

手形小切手法1

有価証券の意義

その本質は権利と証券の結合であるから、有価証券とは財産的価値を有する私権を表章する証券で、権利の発生・移転・行使の全部または一部に証券を要するものをいうと解する。

貨物引換証の要式性(571条2項)

貨物引換証は証券外の運送契約により権利義務が発生する以上、要式性は緩やかで良い。
よって、法定記載事項の一部を欠いても、運送契約の内容が特定できれば、効力が認められると解する。

貨物引換証の有因性と文言性(572条)

貨物引換証は証券外の運送契約により権利内容が定まるので有因証券である。
よって、文言性(572条)は本質的なものではなく、取引の安全の見地から定められたものと解する。
従って、善意無重過失の所持人には品違い・空券であることを運送人は対抗できないと解する。

貨物引換証の物権的効力(575条)の根拠

間接占有の移転と解すると、運送人が一事紛失した場合、所持人の占有も失われることになって不都合であるから、証券の引渡自体が特殊の占有移転であると解する。

手形理論(手形上の権利はいつ発生するか)

手形法に特則無い以上、手形の交付を伴う契約により発生すると解する。

交付欠缺

手形の交付契約が無い以上、手形上の権利は発生しないのが原則である。
もっとも、それでは手形取引の安全を害する。
そこで、権利外観理論により、外観の存在とそれに対する相手方の信頼(善意無重過失)、手形債務者の帰責性を要件として、手形上の権利が発生するものと解する。

権利外観理論における帰責性の程度

単に手形に署名しただけで手形債務を負担させるのは酷であるから、何らかの形で手形を流通におく原因を与えたことを要すると解する。

確定日払手形に振出日の記載は必要か

手形の種類を問わず手形要件とされている(1条7号、75条6号)以上、必要と解する。

振出日前の満期の記載された手形の有効性

振出日(1条7号、75条6号)と満期(1条4号、75条3号)は共に手形要件である。そして、振出日に満期が過ぎているのは矛盾である。
手形要件相互が矛盾している以上、手形要件を欠いたと同視すべきであるから、手形は無効と解する。

支払地外の支払場所の記載

支払地は手形要件である(1条5号、75条4号)が支払場所は手形要件ではない。
そこで、本来支払場所は支払地にあることを前提とする以上、支払地外の支払場所の記載は無効であるが、手形自体は有効であり、所持人は支払地内の債務者の現在の住所・営業所に支払呈示できると解する。
もっとも、禁反言の見地から、所持人が支払場所に記載された場所で支払呈示したとしても、振出人はこれを拒めないと解する。

支払呈示期間経過後の支払場所の記載の効力

支払呈示期間経過後も支払場所に資金を留め置くことを手形債務者に強いるのは酷である。
よって、支払場所は効力を失い、所持人は支払地内の債務者の現在の住所・営業所に支払呈示すべきと解する。

明文無き任意的記載事項

手形の流通確保のため、画一性を重視すべきであるから否定すべきと解する。

指図文句と指図禁止文句の併存

振出人が特に記載したことを考慮すると、指図禁止文句の効力を認めるべきであると解する。

文字による手形金額の記載が明らかな誤記である場合

手形の流通確保のため、画一性を重視すべきであるから、一律に6条を適用して処理すべきと解する。

錯誤・詐欺による手形行為に民法の適用はあるか

手形法にこれを排斥する規定は無いから、適用があると解する。
もっとも、転得者の取引安全も保護すべきであるから、権利外観理論を適用すべきである。

手形金額の一部錯誤

手形債務は単純な金銭債権(1条2号、75条2号)であるから可分である。
よって、錯誤の生じていない部分については、手形債務者は無効を主張できないと解する。

後者の抗弁(二重無権のケース)

所持人は手形を所持する実質的理由を失った以上、17条1項の適用を主張できない。
よって、手形債務者は前者に対する抗弁を主張して、支払いを拒むことができる。

後者の抗弁(二重無権で無いケース)

所持人は手形を所持する実質的理由を失っている以上、権利行使は権利の濫用として許されない。

狭義の「支払いのために」と「担保のために」の区別(原因関係上の債権を先に行使できるか)

通常債務者は手形による決済を期待するといえるから、原則として狭義の支払いのために振り出されたと解する。
もっとも、第三者方払いの記載がなく債務者が唯一の手形債務者である場合は、債務者に不利益が無いので、担保のために振り出されたものと解する。

原因債務の支払と手形の受戻しは同時履行か

二重払いの危険を回避させるため、信義則上(民法1条2項)、手形の返還と引換のみ原因債務を支払うという、一種の同時履行関係を主張することができると解する。

通称名、雅号での手形署名の有効性(周知性・慣用性の要否)

自己を表示するものとして署名した以上、周知性・慣用性が無いからといって、手形債務を免れさせることは不当である。
よって、周知性・慣用性が無くとも、署名は有効である。

手形行為のみの許諾に14条(名板貸人の責任)の類推適用はあるか

同条は名板貸人を取引主体と誤信したものを保護する趣旨である。
手形行為のみにつき許諾があった場合も、名板貸人を取引主体と誤信する点は同じである。
よって、14条の類推適用により、名板貸人の責任を認めうると解する。

法人の機関方式の有効性

権限のある代表者による署名である以上、これを有効と解する。

署名代行の可否

権限のあるものによる代行である以上、有効と解する。

押印のみで記名が無い場合

押印のみで署名と認めることはできない。もっとも、記名部分白地の白地手形として有効と解する余地がある。
※署名=自署による氏名の表示をいう 記名=自署以外の氏名表示(ワープロ字など)をいう
  記名+押印=署名とされる(商法32条)

手形行為への表見代理規定の適用の可否

手形法にこれを排除する規定が無い以上、適用を肯定すべきである。
もっとも、代理権限の存在を誤信するのは直接の相手方に限られるから、それ以降の取得者には適用は無い。
これらの者の保護は権利外観理論によるべきと解する。

手形の被偽造者の責任

原則として責任を負わないが、帰責性ある場合は、取引安全を優先すべきであるから、表見代理規定の類推適用により責任を負う余地があると解する。

手形偽造者の責任

無権限で本人が責任を負うかのような手形行為をした点で、無権代理と異ならないから、8条を類推すべきと解する。

手形取引は会社法356条1項2号の「取引」にあたるか(手形行為は利益相反取引として承認を要するか)

あたると解する。原因債務より一層厳格な支払義務を負うことになるからである。

手形の被変造者の責任

変造前の文言に従って責任を負えば足りるのが原則である(69条)。
もっとも、変造されたことにつき帰責性がある場合、外観を信頼した者の保護を優先すべきである。
そこで、権利外観理論により、被変造者の責任を肯定すべきと解する。

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