2008年12月16日

最新下級審裁判例

東京地裁判決平成20年09月30日

【事案】

 原告が,被告がウェブサイト(ホームページ)等で営業表示として使用する「TOKYU」及び「tokyu」の表示は,原告の周知又は著名な「商品等表示」(不正競争防止法2条1項1号又は2号)である「東急」の営業表示と類似のものであって,被告による上記表示の使用行為は同項1号又は2号の不正競争に該当すると主張して,同法3条に基づき,被告に対し,「TOKYU」又は「tokyu」の表示を営業表示として使用することの差止め等を求めた事案。

【判旨】

 ある営業表示が不正競争防止法2条1項2号にいう他人の営業表示と類似のものに当たるか否かについては,取引の実情のもとにおいて,取引者又は需要者が両表示の外観,称呼又は観念に基づく印象,記憶,連想等から両者を全体的に類似のものとして受け取るおそれがあるか否かを基準として判断するのが相当である(最高裁判所昭和58年10月7日第二小法廷判決・民集37巻8号1082頁参照)。
 そこで,この判断基準に基づいて,被告が使用する「TOKYU」及び「tokyu」の営業表示が原告の「東急」の営業表示と「類似のもの」に当たるかどうかについて検討する。
 ・・・「東急」の営業表示と「TOKYU」又は「tokyu」の営業表示とは,いずれも「とうきゅう」の称呼が生じる点で共通点を見いだし得るにすぎず,その外観においては明らかに異なり,その観念においても共通するとはいえないから,取引者,需要者が,「東急」の営業表示及び「TOKYU」又は「tokyu」の営業表示を全体的に類似のものとして受け取るおそれがあるとまで認めることはできない。
 そうすると,「TOKYU」又は「tokyu」の営業表示は,「東急」の営業表示と「類似のもの」(不正競争防止法2条1項2号)に当たるものとは認められない。
 以上のとおり,「東急」の営業表示と「TOKYU」又は「tokyu」の営業表示は類似するものと認められないから,被告が「TOKYU」及び「tokyu」の表示を営業表示として使用した行為は不正競争防止法2条1項2号の不正競争に該当せず,また,上記各営業表示が類似のものと認められない以上,その余の点を検討するまでもなく,被告の上記行為は同項1号の不正競争にも該当しないというべきである。

 

大阪地裁判決平成20年10月09日

【判旨】

 特許権者による訂正審判請求は,特許法その他の法令上,その回数や期間に制限が設けられているわけではない(ただし,特許法126条2項参照)。
 他方,特許権侵害訴訟において当該特許が特許無効審判により無効とされるべきものと認められるときは,特許権者は,相手方に対しその権利を行使することができないとされているところ(特許法104条の3第1項の抗弁),訂正審判請求がされ,同訂正審判請求が訂正要件を満たす場合において,それによって当該特許の無効理由が解消すると認められれば,当該特許が「特許無効審判により無効にされるべきものと認められるとき」には当たらないことになるので,特許法104条の3第1項の抗弁は認められないことになる(訂正の再抗弁)。
 ところで,特許権侵害訴訟において,特許無効審判手続による無効審決の確定を要せず,特許法104条の3第1項の抗弁(以下「無効主張」という。)をもって,特許権に基づく権利行使の制限を認めているのは,特許権の侵害に係る紛争をできる限り特許権侵害訴訟の手続内で,迅速に解決することを図ったものであると解される。そして,同条2項の規定が,同条1項の規定による攻撃防御方法が審理を不当に遅延させることを目的として提出されたものと認められるときは,裁判所はこれを却下することができるとしている趣旨は,無効主張について審理,判断することによって訴訟遅延が生ずることを防ぐためであると解される。このような同条2項の規定の趣旨に照らすと,無効主張のみならず,無効主張を否定し,又は覆す主張(以下「対抗主張」という。)も却下の対象となり,特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正を理由とする無効主張に対する対抗主張も,審理を不当に遅延させることを目的として提出されたものと認められれば,却下されることになるというべきである(最高裁平成20年4月24日第一小法廷判決・裁判所時報1458号153頁・民集62巻5号登載予定参照)。

 

知財高裁判決平成20年10月16日

【判旨】

 特許請求の範囲の記載は,特許法36条6項1号が規定する「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。」という要件(サポート要件)に適合するものでなければならないところ,特許請求の範囲の記載が同要件に適合するか否かは,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か,また,その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきである(知的財産高等裁判所平成17年(行ケ)第10042号事件・平成17年11月11日特別部判決参照)。
 そこで,上記の観点から,本件特許明細書の特許請求の範囲の記載と詳細な説明の記載とを対比し,本件特許発明1が詳細な説明に記載された発明ということができるか否かについて,検討する。
 ・・・本件特許発明1は,「光触媒体の製造法」に関するものであって,光触媒体を「光触媒とアモルファス型過酸化チタンゾルとを混合し,コーティングした後,80℃以下で乾燥させ,固化させて得たことを特徴とする」ものであることが認められる。
 ・・・詳細な説明は,本件特許発明1において,光触媒とアモルファス型過酸化チタンゾルとを混合し,コーティングした後,乾燥させ,固化させる温度を「80℃以下」と規定していることと,これにより得られる効果との関係の技術的意義について,具体例を欠くものであり,また,具体例の開示がなくとも当業者が理解できる程度に記載されているということもできない。したがって,本件特許発明1は,詳細な説明に記載されたものであるということができないものというべきである。
 以上検討したところによれば,詳細な説明には,本件特許発明1における「光触媒とアモルファス型過酸化チタンゾルとを混合し,コーティングした後,80℃以下で乾燥させ,固化させて得たことを特徴とする」との構成のうち,「80℃以下で乾燥させ,固化させて得た」との部分に対応する記載があるとは認められない。
 そうすると,本件特許発明1についての特許がサポート要件を満たしていないとした審決の判断は,その結論において相当であり,認定判断の誤りをいう原告ら主張は理由がない。

 

東京地裁判決平成20年10月23日

【事案】

 被告らにおいて作成した「Meu Amigo Kanji 80Kanjis」(以下「被告教材80」という。),「Meu AmigoKanji 160 Kanjis」(以下「被告教材160」という。)及び「Meu Amigo Kanji 200 Kanjis」(以下「被告教材200」といい,被告教材80,同160及び同200を総称して「被告教材」という。)と題する外国人児童向け漢字教材並びに被告教材の試作品である「Gosto Muito de Kanji かん字80」(以下「被告教材試作品80」という。)及び「Gosto Muito de Kanji かん字160」(以下「被告教材試作品160」といい,被告教材試作品80及び同160を総称して「被告教材試作品」という。)が,原告ら及び被告Eが作成した「絵でわかるかんたんかんじ80」(以下「原告教材80」という。),「絵でわかるかんたんかんじ160」(以下「原告教材160」という。)及び「絵でわかるかんたんかんじ200」(以下「原告教材200」といい,原告教材80,同160及び同200を総称して「原告教材」という。)にそれぞれ改変を加えたものであり,被告らにおいて,被告教材を作成して別紙目録1記載の東京外国語大学公式サイト(以下「東京外大公式サイト」という。)に掲載した行為は,原告らが原告教材につき有する著作権(翻案権)及び著作者人格権(同一性保持権)を侵害するものであり,被告教材試作品を作成して東京外大公式サイトに掲載した行為は,原告らが原告教材につき有する著作者人格権(同一性保持権)を侵害する,と主張して,被告らに対し,著作権侵害及び著作者人格権侵害の不法行為に基づく損害賠償並びに著作者人格権侵害に基づく謝罪広告を求めるとともに,被告国立大学法人東京外国語大学(以下「被告東京外大」という。)に対し,著作権侵害及び著作者人格権侵害の停止又は予防として,別紙目録1記載の東京外大公式サイトに掲載した別紙目録2記載の電子ファイルの削除を求める事案。

【判旨】

 著作物の翻案(著作権法27条)とは,既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう。そして,著作権法は,思想又は感情の創作的な表現を保護するものであるから(著作権法2条1項1号),既存の著作物に依拠して創作された著作物が,思想,感情若しくはアイデア,事実若しくは事件など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分について,既存の著作物と同一性を有するにすぎない場合には,既存の著作物の翻案に当たらないと解するのが相当である(最高裁判所平成13年6月28日第一小法廷判決・民集55巻4号837頁参照)。
 このように,翻案に該当するためには,既存の著作物とこれに依拠して作成された著作物との間において同一性を有する部分が,思想又は感情の表現であり,かつ,その表現が創作的であること(著作権法2条1項1号)が必要である。
 ・・・原告教材と被告教材又は被告教材試作品とは,いずれも,著作権法によって保護されない,表現それ自体でないアイデア又は表現上の創作性がない部分において同一性が認められるにすぎず,被告教材又は被告教材試作品を作成し,東京外大公式サイトに掲載する行為が,原告教材について原告らが有する翻案権及び同一性保持権を侵害するということはできない。

 

知財高裁判決平成20年10月28日

【判旨】

 原告は,行政庁が不利益処分をする場合,「異議申し立ての機会」を設けなければならないし(行政手続法13条参照),不服審査において,申立てがあった場合には口頭で意見を述べる機会を与えなければならない(行政不服審査法25条)にもかかわらず,特許庁は,原告からの異議申立ての機会を与えず,面会申入れにも応じずに審決をしたから,同審決には違法があると主張する。しかし,審判手続については,行政手続法第2章及び第3章の規定の適用が除外されている(特許法195条の3)から,同章第1節にある行政手続法13条(不利益処分をしようとする場合の手続)のほか,同章第2節(聴聞)の規定の適用はない。また,審決については,行政不服審査法による不服申立てをすることができないとされているから,同法25条(審理の方式)の規定の適用はない(特許法195条の4)。したがって,原告の上記主張は,主張自体失当である。

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リンさん殺害事件、両親が被告を提訴 約7千万円求める

森法相「法務省が確認した事実が実際の事実」 「異なる事実」を事実上修正

弁護士の常識は、社会の非常識? (2) 弘中弁護士はゴーン被告に”落とし前”をつけるべきでは?

米刑務所で新型コロナウイルスにおびえる服役囚が続出 懲役150年でも“出してくれ”

軽微な罪を寛容に、新型ウイルスで打撃の民間企業の再稼働を後押し

「入試不正・監察請託疑惑」のチョ・グク前韓国法務部長官の初めての裁判開始…起訴80日ぶり

ユン検察総長の義母、4年前の「虚偽残高証明書」処罰の可能性を知っていた

図解 東大医学部在学中に司法試験も一発合格した僕のやっている シンプルな勉強法

現代実定法入門-人と法と社会をつなぐ 第2版

実況文章 正月の叫び2020

注釈日本国憲法(3) -- 国民の権利及び義務(2)・国会 (有斐閣コンメンタール)

新プリメール民法3 債権総論〔第2版〕 (αブックス)

債権法民法大改正 ポイントと新旧条文の比較

新版 有利な心証を勝ち取る民事訴訟遂行

会社法 第22版 (法律学講座双書)

株主権の再評価

役員人事の法制度――経営者選解任と報酬を通じた企業統治の理論と機能

刑法総論の悩みどころ (法学教室LIBRARY)

実戦演習 刑法―予備試験問題を素材にして

労働法 第4版 (LEGAL QUEST)

強盗に際して犯行現場付近で見張りをしてほしいとの正犯者の依頼を受けて犯行現場に駆け付けたが、
到着した時点で既に正犯者が犯行を終えて逃げ出す段階になっていたため、
自身の運転する自動車に正犯者を乗せて逃走した者について、
強盗致傷罪に対する幇助犯の成立を認めた事例
(京都地判平成26年10月31日(LEX/DB 文献番号25505245))
一橋大学大学院法学研究科特任助教 酒井智之

訴訟代理人弁護士が受刑者に宛てて発した信書の検査をめぐる法的問題
一橋大学大学院法学研究科教授 葛野尋之

私的刑法学 ―常識を疑い、常識を守る―
専修大学大学院法務研究科教授 橋本正博

民法学と公共政策──近時の日本民法学変貌を踏まえて「債権法改正」を考える──
吉田邦彦

愛知県議会議長の同県議会議員に対する発言取消命令の適否は、司法審査の対象とはならないとされた事例。
公法判例研究 盛永悠太

人体と機械の融合に伴う法律問題についての研究 ── 科学技術と刑法の調和 ──
小名木明宏

アメリカにおける終身刑の最新動向について
一橋大学大学院法学研究科博士後期課程  唐春楊

フランス憲法院判例における「公序(ordre public)」の概念
 一橋大学大学院法学研究科博士後期課程・日本学術振興会特別研究員 DC 田中美里

連邦憲法裁判所における一般的平等原則審査の変遷
一橋大学大学院法学研究科博士後期課程・日本学術振興会特別研究員 DC1 辛嶋了憲

“結婚後の性別変更”認めず…特例法は「合憲」と最高裁が判断

性別変更、特例法の要件は「合憲」 最高裁初判断

性同一性障害 結婚後に戸籍上の性別変更認めずは合憲 最高裁

仮免中違反の罰金命令破棄 非常上告受け最高裁是正

実の娘に性的暴行 2審は逆転有罪 父に懲役10年判決 名古屋高裁

【名古屋・逆転有罪判決】被害者のAさんがコメントを発表「信じてくれる人は少なかった」

「ひかりの輪」観察処分は適法 国側逆転勝訴の判決確定 最高裁

受精卵で無断出産は「自己決定権侵害」 元妻に賠償命令

法科大学院認証評価における評価手数料の改定について

司法試験委員会 第156回会議(令和2年2月26日)

令和3年司法試験会場の公募について

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案

著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律案

資格スクエア予備試験講座(全講座)を高校生向けに期間限定で無料開放致します。

「傍聴席減らす」新型コロナで裁判所が異例措置 希望者「入りたい」とトラブルも

成年後見の報酬算定は2階建てで設定 最高裁が考え方を示す

引退してから優しくなれた プロボクサーと弁護士を両立
坂本尚志の意志を貫く力「頑張ってからやめた方が胸を張れる

授業とボクシングの練習以外は図書館へ
元・東大出身の弁護士ボクサー坂本尚志「頑張る自分でありたい」

新型コロナで結婚式延期、交渉したらキャンセル料8割減 女性「まるっともらう気だったのか」

若手の環境に危機感抱く 日弁連次期会長・荒中(あら・ただし)さん

日弁連会長に荒氏(相馬出身) 仙台弁護士会 東北から初当選

日弁連 次期会長に仙台弁護士会の元会長 荒氏

水俣病高裁判決 司法救済の門を閉ざすな

原告「最悪の不当判決だ」 水俣病互助会・国賠訴訟

水俣病第2世代訴訟原告全面敗訴(熊本県)

「人と思えぬ」まさかの全員敗訴 水俣病賠償訴訟、福岡高裁

水俣病訴訟 胎児・幼少期被害を認めず 福岡高裁 8人全員、国基準踏襲

夫の車がラブホテルの駐車場に 勤務中の不貞を会社に伝えていいか

コロナ「ばらまく」と来店の男、逮捕には「壁」も 捜査の焦点は?

「コロナばらまき男」を愛知県警が捜査開始 意外に高い“逮捕、起訴のハードル”

致死性ウイルスを故意に感染させると殺人罪、殺人未遂罪の適用も

「ウイルスばらまいてやる」男性“店内映像”報道、本人の同意がない場合は問題ないのか聞いた
弁護士「店舗側やメディア側が訴えられる可能性」

コロナで高まる「内定取り消し」のリスク  相談事例から対処法を解説する

改正健康増進法施行へ 飲食店の「喫煙」厳しく制限、何がどう変わる?

Googleマップに悪評を書かれた歯科医 投稿者分からず落胆

会社法の一部を改正する法律案

民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)

商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律案

民法の一部を改正する法律(債権法改正)について

令和2年司法試験予備試験の実施について

令和2年司法試験の実施について

司法試験考査委員の不適切行為に関する通報窓口


  【司法研修所教材・講義案・調査官解説等】
事件記録教材 法科大学院教材
調査官解説
事例で考える民事事実認定
プラクティス刑事裁判 平成30年版
プロシーディングス刑事裁判 平成30年版
検察講義案 平成27年版
新問題研究要件事実
紛争類型別の要件事実 民事訴訟における攻撃防御の構造 改訂
刑事第一審公判手続の概要
刑事判決書起案の手引
民事判決起案の手引
民事訴訟第一審手続の解説
情況証拠の観点から見た事実認定
民事訴訟における要件事実 第2巻
民事訴訟における要件事実 増補 第1巻
書記官研修講義案等