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2015年05月31日

平成27年司法試験論文式民事系第3問参考答案

【答案のコンセプトについて】

1.現在の司法試験の論文式試験において、ほとんどの科目では、現在の合格ラインである「一応の水準の真ん中」に達するための要件は概ね

・基本論点を抽出できている。
・当該事案を解決する規範を明示できている。
・その規範に問題文中のどの事実が当てはまるのかを明示できている。

という3つです。ところが、民訴法(年によっては民法も)は、上記のような事例処理で解くような問題が出題されないという独特の傾向にあります。採点基準も独特です。民訴法では、以下のような書き方を守っているかどうかで、極端に差が付いています

(1)問題文で指定されたことだけに無駄なく答えている。
(2)参照判例がある場合、まずその判例の趣旨を確認している。
(3)例外が問われた場合、まず原則論を確認している。

 例えば設問1では、本件の場合を論じる前に、まず平成3年判決の趣旨を書く必要があります。特に、「相殺による簡易、迅速かつ確実な債権回収への期待と、相殺に供した債権について債務名義を得るという2つの利益を自働債権の債権者である被告が享受することは許されない」とはどういうことか、説明する必要があるでしょう。また、処分権主義に反しないとか、反訴被告の利益を害さない理由を書く前に、まず単純反訴を裁判所が勝手に予備的反訴と扱うことが、原則として処分権主義に反し、反訴被告の利益を害することを示す必要があるのです。設問2では、いきなり控訴裁判所のなすべき判決を書くのではなく、まず第1審判決取消し・請求棄却の場合と、控訴棄却の場合にどうなるかを確認する。設問3では、余計な検討はせずに、まず言われたとおり、各要件に言い分をきちんと当てはめる。いきなり先決関係を書くのではなく、まず既判力の作用する典型的場面である同一関係、矛盾関係に当たらないことを確認する

2.逆に言えば、上記を守ってさえいれば、細かい論述ではあまり差が付いていないな、という印象です。ですから、各設問で、いずれもこの書き方を守って解答できていれば、それだけで優秀・良好の水準になる。参考答案も、上記(1)から(3)までに従って淡々と書いているだけですが、全体の出来によっては優秀・良好の水準に入り得る内容になってしまっていると思います。そのくらい、多くの人が、上記の書き方で書けていないのです。現在の民訴は、知識や理解というよりも、答案の書き方で差が付く科目です。民訴が苦手な人は、上位の再現答案等を参考にしながら、意識して答案の書き方を改めないと、どんなに勉強量を増やしても得点は伸びないでしょう。慣れないうちは、参考答案のように、上記(1)から(3)に沿った項目立てをしてしまうのがよいと思います。他方で、他の科目と比較すると、問題文の事情をどんどん引っ張ってくる、という作業は必要ではありませんから、たくさん文量を書けない人でも、わかってしまえば高得点を取り易い科目ということができると思います。

 

【参考答案】

第1.設問1

1.L1が指摘した問題点第1について

(1)平成3年判決の趣旨

 平成3年判決は、本訴における相殺の抗弁に係る既判力(114条2項)と別訴の既判力の客観的範囲が重複するから、既判力の矛盾抵触が生じるとする。
 また、併合審理された場合にも同様であるとするのは、弁論が分離される可能性がある(152条1項)からと考えられる。

(2)本件の場合

 本件では、一旦提起された反訴が予備的反訴として扱われることで、本訴において相殺の自働債権として既判力ある判断が示された部分については反訴請求の訴訟物とされなくなるから、本訴における相殺の抗弁に係る既判力と反訴の既判力の客観的範囲は重複しない。
 また、予備的併合の場合には弁論の分離は許されない。
 よって、平成3年判決の場合と異なり、既判力の矛盾抵触が生じないから、同判決の趣旨は本件に妥当しない。

2.L1が指摘した問題点第2について

(1)平成3年判決の趣旨

 本訴において相殺の抗弁が認められると、自働債権について債権を回収したのと同様の効果を得ることができる。それにもかかわらず、さらに別訴で請求認容判決を受けた場合には、相殺に供した自働債権について債務名義を得て強制執行することができる。平成3年判決は、これを認めると債権を二重に回収できることになるから、許されないとするものと考えられる。

(2)本件の場合

 本件では、一旦提起された反訴が予備的反訴として扱われることで、本訴において相殺の抗弁が認められ、かつ、反訴において相殺で対抗した部分についても請求認容判決を受けるという可能性はない。
 よって、平成3年判決の場合のような債権の二重回収という事態は生じないから、同判決の趣旨は本件に妥当しない。

3.L1が指摘した問題点第3について

(1)原則

 単純反訴として提起された反訴について、裁判所が訴え変更の手続を要せずに予備的反訴として扱うことは、原則として許されない。
 なぜなら、反訴原告の意思によらずに審判対象を変更する点で処分権主義に反するだけでなく、反訴請求について本案判決を得たいと考える反訴被告の利益を害するからである。

(2)例外

 上記の原則論からすれば、反訴原告の合理的意思解釈から予備的反訴とする黙示的意思が認められ、反訴請求について本案判決を得られなくなっても反訴被告の利益を害することにならない例外的な場合には、裁判所が訴え変更の手続を要せずに予備的反訴として扱うことも許されると考えられる。
 平成18年判決の事案は、本訴被告(反訴原告)が反訴請求債権を自働債権として本訴請求債権と相殺する旨の抗弁を提出したというものである。従って、本訴で自働債権の存否につき判断がなされれば、反訴の審判対象である反訴請求債権の存否について既判力が生じる(114条2項)。これにより、反訴請求債権の存否についての紛争は解決されるから、反訴の訴訟係属を維持する必要はない。
 従って、反訴原告の合理的意思解釈から予備的反訴とする黙示的意思が認められ、反訴請求について本案判決を得られなくなっても反訴被告の利益を害することにならない。
 以上から、平成18年判決の事案では、裁判所が訴え変更の手続を要せずに予備的反訴として扱うことも許される。

(3)本件の場合

 本件の場合も、本訴被告(反訴原告)が反訴請求債権を自働債権として本訴請求債権と相殺する旨の抗弁を提出する場合であるから、平成18年判決の事案と同様に、単純反訴として提起された反訴を裁判所が訴え変更の手続を要せずに予備的反訴として扱うことが許される。

第2.設問2

1.第1審判決取消し・請求棄却の控訴審判決が確定した場合

(1)控訴審判決により、損害賠償請求権の不存在に既判力が生じる(114条1項)。

(2)他方、控訴審においては相殺の自働債権とされた請負代金請求権の存否については判断されないから、控訴審判決には請負代金請求権の不存在に係る既判力(114条2項)は生じない。
 また、予備的反訴として扱われるYの提起した反訴も、Xの控訴により移審する(控訴不可分の原則)ところ、第1審判決が取り消されたことにより同反訴の解除条件が成就しないことになるから、反訴はいまだ控訴審に係属することとなる。

(3)上記(2)の部分は、第1審判決と比較してXに不利であるから、不利益変更禁止の原則(304条)に反する。

2.控訴棄却により第1審判決が確定した場合

(1)第1審判決により、損害賠償請求権の不存在及び請負代金請求権の不存在に既判力が及ぶ(114条1項、2項)。

(2)この場合、瑕疵がないことにより損害賠償請求権が不発生であるとの控訴審裁判所の心証と、請負代金請求権の不存在についての既判力が維持されることとの間に食い違いが生じる。しかし、そのような結果になる原因はYによる控訴及び附帯控訴がないことによるから、制度上許されない結論であるとはいえない。

3.以上から、控訴審は、控訴を棄却する判決をすべきである。

第3.設問3

1.Yの言い分の不当利得返還請求権の要件への当てはめ

(1)不当利得返還請求権が認められるためには、受益、損失、因果関係及び法律上の原因がないことが必要である。

(2)これにYの言い分を当てはめると、以下のようになる。

ア.Xは、請負代金債務を負担するにもかかわらず、支払いを免れているから、Xには、同債務に相当する金額の受益がある。

イ.Yは、請負代金請求権を有するにもかかわらず、請求することができないから、Yに同請求権に相当する金額の損失がある。

ウ.Yが請負代金請求権を有するのに請求できないことによって、Xが請負代金債務の支払いを免れる関係にあるから、因果関係がある。

エ.請負代金請求権が存在する以上、Yがこれを請求できないこと、Xがその支払いを免れることについて、法律上の原因がない。

(3)以上のとおり、Yの言い分によれば、不当利得返還請求権の各要件は、いずれも請負代金請求権の存在を前提にしなければ充足しない。

2.上記1に対する既判力の作用

(1)既判力の作用する場面としては、同一関係、矛盾関係及び先決関係がある。

ア.同一関係とは、後訴の訴訟物が、前訴で既判力が生じた権利・法律関係と同一である場合をいう。

イ.矛盾関係とは、後訴の訴訟物が、前訴で既判力が生じた権利・法律関係と法律上両立しない場合をいう。

ウ.先決関係とは、前訴で既判力が生じた権利・法律関係が、後訴の訴訟物の存否を判断する前提となる場合をいう。

(2)本件では、Yが仮に後訴を提起した場合、後訴の訴訟物は不当利得返還請求権であって、前訴で既判力が生じる損害賠償請求権及び請負代金請求権と同一ではない。また、債権は相互に両立し得るから、直ちに法律上両立しないともいえない。
 従って、同一関係及び矛盾関係として既判力が作用することはない。

(3)もっとも、前記1のとおり、Yの不当利得返還請求権の各要件に係る主張は、請負代金請求権の存在を前提とすることから、前訴の既判力は、先決関係として作用する。
 すなわち、後訴の受訴裁判所は、前訴の事実審の口頭弁論終結時において請負代金請求権は存在しないことを前提に、審理・判決をすることになる。

(4)本件では、Yは、確定した前訴第1審の口頭弁論終結後の事実について何ら主張していない。よって、後訴の受訴裁判所は、Yの不当利得返還請求権の各要件に係る主張の前提となる請負代金請求権の存在を認めることができないから、不当利得返還請求権の要件を充足しないとして請求を棄却する判決をすることになる。

以上

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2015年05月28日

平成27年司法試験論文式民事系第2問参考答案

【答案のコンセプトについて】

1.現在の司法試験の論文式試験において、現在の合格ラインである「一応の水準の真ん中」に達するための要件は概ね

(1)基本論点を抽出できている。
(2)当該事案を解決する規範を明示できている。
(3)その規範に問題文中のどの事実が当てはまるのかを明示できている。

という3つです。応用論点を拾ったり、趣旨や本質論からの論述、当てはめの事実に対する評価というようなものは、上記が当然にできているという前提の下で、優秀・良好のレベルに達するために必要となるに過ぎないのです。
 にもかかわらず、多くの人が、上記優秀・良好レベルの事柄を過度に重視しているように思います。現場思考で応用論点を拾いに行ったり、趣旨や本質から論じようとしたり、事実に丁寧に評価を付そうと努力するあまり、基本論点を落としてしまったり、規範を正確に示すことを怠っていきなり当てはめようとしたり、問題文中の事実をきちんと摘示することを怠ってしまい、結果として不良の水準に落ちてしまっているというのが現状です。

2.その原因としては、多くの人が参考にする出題趣旨や採点実感等に関する意見の多くの記述が、実は優秀・良好レベルの話であって、一応の水準のレベルは当たり前過ぎるので省略されてしまっていること、あまりにも上位過ぎる再現答案を参考にしようとしてしまっていることがあると思います。
 とはいえ、合格ラインギリギリの人の再現答案には、解答に不要なことや誤った記述などが散見されるため、参考にすることが難しいというのも事実です。そこで、純粋に上記(1)から(3)だけを記述したような参考答案を作ってみてはどうか、ということを考えました。

3.今回、掲載する参考答案は、上記のようなコンセプトに基づいています。「本問で基本論点はどれですか」と問えば、多くの人が指摘できるでしょう。「その論点について解決するための規範は何ですか」と問えば、事前にきちんと準備している人であれば、多くの人が答えられるでしょう。「その規範に当てはまる事実は問題文中のどこですか、マーカーを引いてみてください」と問えば、多くの人が正確に示すことができるものです。下記の参考答案は、いわば、それを繋ぎ合わせただけの答案です。
 それなりの実力のある人が見ると、「何だ肝心なことが書いてないじゃないか」、「一言評価を足せば良い答案になるのに」と思うでしょう。優秀・良好レベルの答案を書いて合格できる人は、それでよいのです。しかし、合格答案を書けない人は、むしろ、「肝心なこと」を書こうとするあまり、最低限必要な基本論点、規範、事実の摘示を怠ってしまっているという点に気付くべきでしょう。普段の勉強で規範を覚えるのは、ある意味つまらない作業です。本試験の現場で、事実を問題文から丁寧に引用して答案に書き写すのは、バカバカしいとも思える作業です。しかし、そういう一見するとどうでもよさそうなことが、合否を分けているのが現実なのです。規範が正確でないと、明らかに損をしています。また、事実を引いているつもりでも、雑に要約してしまっているために、問題文のどの事実を拾っているのか不明であったり、事実を基礎にしないでいきなり評価から入っているように読める答案が多いのです。そういう答案を書いている人は、自分はきちんと書いたつもりになっているのに、点が伸びない。そういう結果になってしまっています。
 今回の参考答案は、やや極端な形で、大前提として抑えなければならない水準を示しています。合格するには、この程度なら確実に書ける、という実力をつけなければなりません。そのためには、規範を正確に覚える必要があるとともに、当てはめの事実を丁寧に摘示する筆力を身につける必要があるでしょう。これは、普段の学習で鍛えていくことになります。
 この水準をクリアした上で、さらに問題文の引用を上手に要約しつつ、応用論点にコンパクトに触れたり、趣旨・本質に遡って論述したり、当てはめの評価を足すことができれば、さらに優秀・良好のレベルが狙えるでしょう。

4.商法に関しては、書くべき事が多いだけでなく、設問3で旧法下の判例に引きずられやすく、自然な条文操作が難しいことから、上記(1)から(3)までを記述しただけでも良好の水準に入るかな、という印象です。

 

【参考答案】

第1.設問1

1.競業取引(356条1項1号)に係る取締役会の承認(同項柱書、365条1項)を受けなかったことに基づく任務懈怠責任(423条1項)を検討する。

(1)競業取引というためには、「自己又は第三者のために」、「株式会社の事業の部類に属する」、「取引」であることを要する。

ア.「自己又は第三者のために」とは、自己又は第三者の名義ですることをいう。
 本件で、Bは平成22年4月以降、乙社の顧問に就任し、連日、乙社の洋菓子事業の陣頭指揮を執ったというのであるから、乙社名義で取引を行ったと考えられる。従って、「第三者のために」に取引をしたといえる。

イ.「株式会社の事業の部類に属する」とは、会社が現に行う事業又は具体的に準備に着手した事業と商品及び市場において競合することをいう。

(ア)本件で、甲社が現に行う乳製品事業とは、商品及び市場における競合がない。
 また、甲社が現に行う洋菓子事業との関係では、洋菓子という商品において競合するが、首都圏と関西地方とで市場における競合がない。

(イ)もっとも、従来から洋菓子を首都圏のデパートに販売していた甲社が関西地方への進出を企図して、マーケティング調査会社に市場調査を委託した平成22年1月の時点において、甲社は、関西地方のデパートでの洋菓子販売業について、具体的に準備に着手していたといえる。上記事業との関係では、乙社が関西地方のデパートへの販路拡大に成功して以降、乙社の事業は商品及び市場において競合する。

(ウ)以上から、乙社が販路拡大に成功した関西地方のデパートでの洋菓子販売は、「株式会社の事業の部類に属する」ものといえる。

ウ.「取引」とは、取締役自ら行った場合に限られず、事実上の主宰者として取引を指揮した場合も含まれる。
 本件では、Bは乙社の発行済株式の90%を取得し、その顧問に就任して、連日、乙社の洋菓子事業の陣頭指揮を執ったから、事実上の主宰者として取引を指揮したといえ、B自ら行っていなくても、「取引」をしたといえる。

エ.よって、Bが販路拡大に成功した関西地方のデパートでの洋菓子販売を陣頭指揮した行為は、競業取引に当たる。

(2)競業取引に係る取締役会の承認があったというためには、競業取引を認識した上で、所定の手続に従って取締役会の決議によって承認されたことを要する。
 本件で、Bは、この乙社株式の取得に際して、A及びCに対し、「乙社の発行済株式の90%を取得するので、今後は乙社の事業にも携わる。」と述べたが、A及びCは特段の異議を述べなかったというに過ぎず、その後の関西地方のデパートへの販路拡大という競業取引を認識して承認したのではなく、所定の手続に従って取締役会の決議によって承認されたともいえない。
 従って、競業取引に係る取締役会の承認があったとはいえない。

(3)競業取引に係る取締役会の承認を受けなかったことは法令違反(356条1項柱書、365条1項)である以上、そのこと自体がBの任務懈怠となる。Bは陣頭指揮を執っていた以上、仮にA及びCが特段の異議を述べなかったので許されると誤信していたとしても、少なくとも任務懈怠につき過失がある。

(4)競業取引により甲社の受けた損害について検討する。

ア.Bのした競業取引によってZ社の受けた利益は、関西地方のデパートへの販路拡大に成功した後の営業利益である1000万円から上記販路拡大以前の営業利益である200万円を差し引いた額である800万円であり、これが競業取引と因果関係のある甲社の損害と推定され(423条2項)、本件ではこの推定を覆すに足りる事実はない。

イ.また、甲社は、乙社が関西地方においてQ商標を付したチョコレートの販路拡大に成功したことを知って関西地方への進出を断念したから、甲社が関西地方への進出を企図して、マーケティング調査会社に支払った委託料500万円は、Bのした競業取引と因果関係のある損害といえる。

ウ.以上から、競業取引により甲社の受けた損害の額は、合計で1300万円である。

(5)よって、Bは、甲社に対し、1300万円の損害賠償責任を負う。

2.次に、BがEを引き抜いた点についての任務懈怠責任を検討する。
 従業員の引抜きは、それが不当な退職勧誘を伴う場合には忠実義務(355条)に違反するものとして任務懈怠となる。
 本件で、Bは、甲社におけるノウハウを活用するために、洋菓子工場の工場長を務めるEを甲社から引き抜き、乙社に転職させたが、それ以上に不当な退職勧誘を行ったと認めるに足りる事実はない。従って、任務懈怠は認められない。
 よって、Eを引き抜いた点につき、Bは、甲社に対し、損害賠償責任を負わない。

第2.設問2

1.甲社は、乳製品及び洋菓子の製造販売業を営んでいるから、洋菓子事業は甲社の事業の一部である。従って、第1取引、第2取引等による洋菓子事業の売却は、「事業の重要な一部の譲渡」に当たり、株主総会特別決議を要する(467条1項2号、309条2項11号)のではないか。

2.洋菓子事業部門の資産は2億5千万円であるから、甲社の総資産7億円の35%超を占めている。よって、「重要な一部」に当たる。

3.事業譲渡とは、一定の事業の目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産を譲渡し、これによって、事業活動を譲受会社に受け継がせ、譲渡会社が法律上当然に競業避止義務を負う結果を伴うものをいう(富士林産工業事件判例参照)。

(1)本件で、洋菓子事業部門については、甲社の洋菓子工場で製造した洋菓子を首都圏のデパートに販売していて、P商標を付したチョコレートが甲社の洋菓子事業部門の主力商品となっているというのであるから、第1取引の目的である洋菓子工場に係る土地及び建物並びに第2取引の目的であるP商標に係る商標権は、一定の事業の目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産であるといえる。

(2)また、甲社の洋菓子事業部門の従業員については、一旦甲社との間の雇用関係を終了させるものの、その全員につき新たに丙社が雇用するものとされ、甲社の取引先についても、一旦甲社との間の債権債務関係を清算するものの、その全部につき新たに丙社との間で取引を開始することとされたというのであるから、事業活動を譲受会社に受け継がせるものといえる。

(3)もっとも、第1取引及び第2取引に係る売買契約において、甲社の競業が禁止されない旨の特約が明記されたから、譲渡会社が法律上当然に競業避止義務を負う結果を伴うものとはいえない。

(4)以上から、「事業の…譲渡」に当たらない。

4.よって、株主総会特別決議は不要であるから、第1取引及び第2取引は、いずれも有効である。

第3.設問3

1.募集新株予約権の行使条件を取締役会に一任した点について検討する。

(1)甲社の定款には、譲渡による甲社株式の取得について甲社の取締役会の承認を要する旨の定めがあるから、甲社は非公開会社(2条5号参照)である。

(2)非公開会社においては、株主割当て以外の方法による新株予約権の募集事項の決定は株主総会特別決議によらなければならない(238条2項、309条2項6号、240条1項対照)。そして、募集事項の決定を取締役会に委任する場合にも、新株予約権の内容は株主総会特別決議で定めることを要する(239条1項1号、309条2項6号)。
 そうである以上、新株予約権の内容である行使条件を取締役会に一任することは許されない。そして、新株予約権の内容に係る株主総会特別決議がないことは重大な瑕疵であるから、新株予約権発行の無効事由となる。

(3)本件で、本件新株予約権の行使条件が取締役会に一任されたから、本件新株予約権の発行には無効事由がある。
 もっとも、本件新株予約権の発行がされたのは平成25年7月1日であるから、既に新株予約権無効の訴えの出訴期間である1年(828条1項4号第2括弧書き)が経過している。従って、上記違法は、Gに対して発行された甲社株式の効力を左右しない。

2.次に、取締役会により上場条件が廃止された点を検討する。

(1)前記1(2)のとおり、新株予約権の行使条件を取締役会で決定できない以上、一度定められた行使条件を取締役会で変更することも許されない。

(2)そして、非公開会社において、株主総会の特別決議を経ないまま株主割当て以外の方法による募集株式の発行がされたことは、上記株式発行の無効原因になる(判例)。このことは、行使条件の変更につき株主総会特別決議がない場合にも当てはまる。
 従って、行使条件が変更された新株予約権の行使に基いて発行されたことは、株式の無効事由となる。

(3)以上から、取締役会により上場条件が廃止された本件新株予約権の行使に基いてGに対し発行された甲社株式には無効事由がある。

3.よって、上記甲社株式は、発行日である平成26年12月12日から1年(828条1項2号括弧書き)を経過するまでは、新株発行無効の訴えの対象となる。

以上

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