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2014年09月30日

平成26年司法試験の結果について(11)

1.今回は、選択科目による合格率の差をみていきます。まずは、選択科目別の短答合格率です。

科目 短答
受験者数
短答
合格者数
短答
合格率
倒産 1633 1140 69.8%
租税 554 361 65.1%
経済 848 540 63.6%
知財 980 592 60.4%
労働 2466 1595 64.6%
環境 476 270 56.7%
国公 107 55 51.4%
国私 906 527 58.1%

 倒産法選択者が最も合格率が高いというのが、毎年の傾向です。短答には選択科目はありませんから、本来、選択科目と短答合格率とは関係がないはずです。にもかかわらず、このような差が付くのは、選択者の属性に傾向性があるということです。すなわち、倒産法選択者には実力者が多いということを意味しています。その理由ははっきりしませんが、既修者が選択しやすい科目だということが影響しているのかもしれません。倒産法ほど顕著ではありませんが、労働法も似た傾向です。
 他方で、国際公法、国際私法は合格率が低い傾向です。こちらは、倒産法とは逆に既習者があまり選択しない科目だということが関係している可能性があります。環境法も、似た傾向です。その他の科目は、平均的な合格率です。

2.次に、論文合格率をみてみましょう。

科目

論文採点
対象者数

論文
合格者数

論文
合格率
倒産 1140 410 35.9%
租税 361 128 35.4%
経済 540 186 34.4%
知財 592 207 34.9%
労働 1595 579 36.3%
環境 270 96 35.5%
国公 55 12 21.8%
国私 527 192 36.4%

 今年は、やや波乱が生じています。例年は、論文も倒産法がトップでした。しかし、今年は国際私法にトップの座を譲っています倒産法の最低ライン未満者が100人にのぼったことが、その原因でしょう。逆に言えば、最低ラインで100人も落とされた割には、それなりに高い合格率を維持しているともいえます。倒産法は、実力者が選択しているのに、最低ライン未満者が毎年多いという不思議な科目なのです。実力者同士で最低ラインを争うので、リスクの高い勝負をすることになります。倒産法は、そのような危険な科目だということは、認識しておくべきでしょう。一方で、選択者が多く、トップにはならないものの安定して高い合格率を維持しているのが、労働法です。選択科目の中で最も無難な科目が、労働法であるといえるでしょう。
 一方で、毎年低い傾向の国際公法、国際私法ですが、今年は国際私法がトップに躍り出ています。一方で、国際公法は最低の合格率、しかも、他の科目と比較しても10%以上低い数字になっています。他の科目はせいぜい数パーセントの差しかありませんから、驚くような合格率の低さです。各科目の問題の難易度は、合格率に直接は影響しません。どの科目の平均点も、得点調整後は全科目平均点を基準に調整されるからです。しかも、今年は国際公法の最低ライン未満者はゼロですから、最低ラインで不利になったということもありません。にもかかわらず、ここまで差が付いてしまうのは意外ですね。国際公法は、最も必須科目との関連性の薄い科目なので、必須科目に自信のない人が選択しやすい科目ということはいえますが、それだけでここまで差が付くのか、という感じはします。もっとも、母集団が少ないので、ちょっとした特殊要因によって合格率が大きく変動しやすいということはあるでしょう。国際私法の躍進の原因は、現段階ではよくわかりません。これが毎年の傾向となるのか、それとも、来年以降また低い数字になってしまうのか、注目したいところです。

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2014年09月29日のtweet






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2014年09月28日

平成26年司法試験の結果について(10)

1.今年は、合格者数が減ったことに注目が集まっていますが、それよりも注目すべきは、異常な最低ライン未満者数です。以下は、論文採点対象者に占める最低ライン未満者の割合の推移です。全科目平均点のカッコ内は、最低ライン未満者を含む数字です。

最低ライン
未満者
割合
前年比 論文試験
全科目
平均点
前年比
18 0.71% --- 404.06 ---
19 2.04% +1.33% 393.91 −10.15
20 5.11% +3.07% 378.21
(372.18)
−15.70
(---)
21 4.68% −0.43% 367.10
(361.85)
−11.11
(−10.33)
22 6.47% +1.79% 353.80
(346.10)
−13.30
(−15.75)
23 6.75% +0.28% 353.05
(344.69)
−0.75
(−1.41)
24 8.54% +1.79% 363.54
(353.12)
+10.49
(+8.43)
25 7.62% −0.92% 361.62
(351.18)
−1.92
(−1.94)
26 13.4% +5.78% 359.16
(344.09)
−2.46
(−7.09)

 平成20年から平成23年までは、5%前後で推移していました。それが、平成24年に跳ね上がります。当時、これは刑事系の問題が差が付き易い内容だったという特殊事情によるものだ、と説明していたのです(「平成24年司法試験の結果について(4)」)。また、平成25年も高めの数字ですが、当時は、これも倒産法という特殊要因があったからだ、という説明をしていました(「平成25年司法試験の結果について(7)」)。すなわち、平成24年、平成25年ですら、異常値だったのです。
 しかし、今年はその異常値をはるかに上回る数字です。これまで、最低ライン未満者が1割を超えたことはありませんでした。今年は、これを軽く超えています。論文採点対象者(短答合格者)のうち、実に1割以上が最低ラインで不合格になっているのです。今年の数字が、いかに異常であるかがわかるでしょう。どうして、こんなことになってしまったのでしょうか。

2.最低ライン未満者が増加する要因は、大きく分けて2つあります。
 一つは、全科目平均点の下落です。全体の出来が悪ければ、最低ライン未満者も増える。とても自然なことですね。上記の表で、最低ライン未満者の増加と、全科目平均点の下落の対応を確認してみてください。過去の例では、平成21年、平成24年、平成25年以外の年は、これで説明できます。
 全科目平均点の下落で説明できない場合には、第2の要因、すなわち、素点のバラつきの大きさが原因です。最低ラインの判定は、素点ベースで行われます。素点のバラつきが大きいと、同じ平均点でも極端に得点の低い人の数が増えますね。ですから、最低ライン未満者の数が増えるわけです。従って、全科目平均点が下落したのに最低ライン未満者が増えなかった平成21年は、素点のバラつきの小さかった年であり、逆に全科目平均点が上がったのに最低ライン未満者が増えた平成24年は、素点のバラつきの大きい年だったといえます。平成25年は、前年の揺り戻しと倒産法の特殊要因の影響を受けた年でした。

3.さて、今年は、どうか。今年は、前年と比較して、全科目平均点はそれほど下がっていません。過去の数字と比較しても、平成22年、平成23年の全科目平均点よりは、むしろ高い数字です。全科目平均点の下落では、これほどまでの最低ライン未満者の急増を説明できません従って、今年の最低ライン未満者の急増は、素点のバラつきが極端に大きかったことよって引き起こされたといえます。「受験生のレベルが下がったから最低ライン未満者が増えた」という説明がされがちですが、そのような説明は誤っています。

4.では、具体的にはどの科目が原因だったのか。以下は、5年分の科目別最低ライン未満者割合の推移です。選択科目については、当該科目選択者に占める割合を示しています。

  22 23 24 25 26
公法 2.25% 2.97% 3.74% 2.83% 10.33%
民事 1.00% 2.59% 0.76% 1.93% 1.69%
刑事 2.77% 2.17% 4.98% 3.09% 1.59%
倒産 2.71% 0.63% 2.77% 6.21% 6.12%
租税 0.87% 0.00% 1.85% 0.51% 1.98%
経済 0.53% 2.58% 0.96% 2.19% 0.82%
知財 2.48% 2.59% 1.46% 1.27% 1.12%
労働 2.02% 0.70% 0.72% 1.01% 1.33%
環境 1.28% 1.36% 0.34% 0.37% 0.21%
国公 0.00% 0.00% 1.31% 1.33% 0.00%
国私 0.00% 0.75% 0.76% 1.82% 1.65%

 主な原因は公法にあったことがわかります。公法だけで、論文採点対象者の1割が最低ライン未満となっています。過去に全く例のない、異常な数字です。また、昨年に引き続き、倒産法も高い数字になっています。倒産法も異常値なのですが、それが目立たないほど、公法の異常さが際立っています。

5.各科目の素点のバラ付きを確認してみましょう。以下は、素点ベース、得点調整後ベースの最低ライン未満者の人数をまとめたものです。素点ベースの数字は実際の最低ライン未満者数を、得点調整後ベースの数字は得点別人員調を基礎にしています。これを比較することで、素点と得点調整後の得点の変動をある程度知ることができます。

  素点
ベース
調整後
ベース
公法 525 259
民事 86 214
刑事 81 282
倒産 100 68
租税 11 20
経済 25
知財 11 40
労働 33 114
環境 16
国公
国私 15 36

 公法と倒産法だけが、素点ベースの方の人数が大きいことがわかります。それ以外の科目は、全て調整後ベースの方が人数が増えています。
 公法と倒産法は、素点ベースのバラつきが大きかったので、調整後はそのバラつきが抑制されています。その結果、素点だと最低ライン未満の点数だった者が、調整後は最低ラインから外れるという現象が生じているわけです。他方、それ以外の科目は、逆に素点であまり差が付いていなかった。そのために、得点調整によって得点差が広げられ、素点では最低ライン未満でなかった者までが、最低ライン未満の点数になったのです。
 公法は、従来から最低ライン未満者が多く、素点のバラつきも大きいという傾向がありました。しかし、今年はあまりにも極端です。どうしてそのような極端な採点がされたのか。出題趣旨と採点実感等に関する意見が公表された段階で、注意してみておく必要があります。現段階の予測では、憲法が原因ではないかと思っています。今年の問題は、明らかに薬事法判例をベースにした出題でした。にもかかわらず、薬事法判例を全く参照しない答案が一定数あったはずです。そのような答案が、極端に厳しい評価を受けた可能性があるでしょう。いずれにせよ、公法は例年極端な採点をされがちですので、出題趣旨、採点実感等に関する意見、再現答案等の分析の重要性が大きいといえます。

6.以前の記事(「平成26年司法試験の結果について(4)」)で、「全科目平均点の下落による上位陣の得点押下げ効果」が生じる条件として、「素点の標準偏差が配点率(司法試験では各科目10)を超えていること」が必要であるが、(新)司法試験では、この条件を満たしていないだろうということを説明しました。そのことは、上記のように、公法と倒産法以外の科目が、全てバラつきの小さい科目、すなわち、素点の標準偏差が配点率(司法試験では各科目10)を超えていない科目であるということが根拠になっています。確かに、今年の公法は、異常な素点のバラ付き具合でした。しかし、民事・刑事は逆に、得点調整後に最低ライン未満者が急増していることから、かなり標準偏差が小さい全体としてみると、「素点の標準偏差が配点率(司法試験では各科目10)を超えてはいない」と判断してよいのではないかと思います。
 それを確認する手がかりとして、最低ライン付近の得点が、得点調整によってどの程度変動しているのかをみてみましょう。これは、素点ベースで最低ラインをギリギリクリアした者の順位(最低ライン未満者数から逆算できます)に相当する得点調整後の得点(得点調整後の最低ライン)を調べることによってわかります。以下は、必須科目についてそれをまとめたものです。

  素点の
最低ライン
最低ライン
未満を免れる
最下位の順位
得点調整後の
最低ライン
素点との差
公法 50点 4555位 59点 +9点
民事 75点 4994位 61点 −14点
刑事 50点 4999位 34点 −16点

※ 成績表には得点調整後の得点が記載されますから、見かけ上最低ライン未満の得点(例えば刑事で40点)なのに総合評価の対象となっている、ということがあり得ます。しかし、上記表中の「得点調整後の最低ライン」未満の者が、総合評価の対象となることはあり得ません。逆に、成績表では公法で55点と記載されているのに、総合評価の対象になっていない、ということもあり得るわけです。公法でも、60点ならば総合評価の対象となっているはずです。

 

 公法は、素点のバラつきが大きかったので、得点調整が入ると、最低ライン付近の答案の得点が9点押し上げられる。他方、民事・刑事はその逆で、得点調整により民事は14点、刑事は16点、最低ライン付近の答案の得点が押し下げられています。全体としてみると、民事・刑事の影響の方が大きいといえます。このことは、上記の結論を裏付けます。

7.選択科目でみると、倒産法最低ライン未満者が多く、しかも、素点のバラ付きが大きい。これは、毎年の確立した傾向です(※)。倒産法は、実力者が選択する傾向があるのですが、最低ライン未満者も多いという不思議な傾向があるのです。同じく選択者の多い労働法には、そのような傾向はありません。選択者の多い科目で、最低ラインのリスクの低い科目を選択したいという人は、労働法を選択するのが無難だといえるでしょう。

※ ただし、倒産法に関しては、素点のバラつきではなく、倒産法の平均点が低いということも考えられます。得点調整後には平均点が全科目平均点と等しくなることから、全体の水準が引き上げられて最低ライン未満に該当する者が減るという仕組みです。公法の場合には、全科目平均点に対する寄与度が大きいので、公法の平均点が低ければ全科目平均点も下がるだろうという関係があります。しかし、倒産法は選択科目なので、その寄与度が小さく、他の選択科目は高めの平均点なのに、倒産法だけが極端に平均点が低い結果、毎年最低ライン未満者が出ているという可能性も、否定できないわけです。ただ、その場合には、倒産法だけ厳しく採点されているということを意味しますから、やはりリスクの高い科目である、という位置付けに変わりはありません。

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2014年09月26日

平成26年司法試験の結果について(9)

1.「平成26年司法試験の結果について(7)」では、予備組全体の合格率66.8%という数字の意味を検討しました。優秀と思われている予備組も、実は上位ロー既修と同じ位の合格率だ、ということがわかりました。しかし、実はこの情報も、予備組内部の年代によって細分化してみると、随分と見え方が違ってきます。下記の表は、予備試験合格の資格で受験した者の年代別の受験者合格率をまとめたものです。

年齢 受験者数 最終
合格者数
受験者
合格率
20代 122 116 95.0%
30代 62 32 51.6%
40代 40 12 30%
50代 15 20%
60代 0%

 圧倒的に若手有利です。20代の95%という数字は、驚異的です。受かって当たり前という感じですね。「20代予備合格者」に限ってみれば、上位ロー既修の初回受験者(最高の東大で84.2%)を上回る合格率になっているのです。20代に限ってみれば、やはり予備組は上位ローをも凌ぐ恐るべき実力だ、ということになります。
 この20代は、ほとんどが大学生かロー在学生でしょう。職種別の受験状況によれば、「大学生」の受験者は50人、「法科大学院生」の受験者は78人です。また、最終学歴別の受験状況によれば、「大学在学中」の受験者は50人、「法科大学院在学中」の受験者は78人です。いずれも合計128人で、20代の受験者数122人とほぼ重なります。大学生は、50人中47人合格で合格率94%。法科大学院生は、78人中72人合格で、合格率は92.3%です。興味深いのは、大学生の合格率が、上位ロー既修の初回受験者(平成25年修了生)やロー在学中の予備合格者より合格率が高いということです。ローの教育内容が、司法試験合格にとって不要なだけでなく、かえって有害である可能性を示唆しています。

2.これに対し、30代になると、合格率は一気に5割にまで落ち込んでしまいます。上位ロー既修にも劣る数字です。なぜ、こんなことになってしまうのでしょうか。
 上記の差が生じているのは、専ら論文です。短答は、1人を除いて全員合格しているからです。論文における若手の絶対的な優位性は、予備組に限らず、法科大学院修了生にもみられる確立した傾向です(「ロー生の年代別合格者数から読み取れること(下)」)。この原因を読み解くことが、論文攻略の重要なカギになります。原因は、大きく分けて2つあります。一つは、論文に受かりにくい者が滞留して高齢になっていくこと。もう一つは、加齢により集中力、反射神経が衰えてしまうことです。

3.まず、一つ目の原因、すなわち、論文に受かりにくい者の滞留について説明します。「平成26年司法試験の結果について(6)」で説明したとおり、論文は、受験回数が増えると、合格率が下がります。すなわち、論文に受かりにくい人は、勉強量を増やしても、やはり受かりにくい。受験回数が増えるに従って、受かりにくい人が滞留するので、合格率が下がっていくのです。当サイトでは、これを「論文に受かりにくい者は、何度受けても受かりにくい法則」と呼んでいます。
 この法則の影響を強く受けているのが、旧試験組と、受験資格喪失者(いわゆる三振者)です。
 旧試験に合格できなかったが、いまさらローに通うこともできないと思い、予備試験を受験したところ合格した。そういう人達が、旧試験組です。旧試験組は、旧試験の論文に合格できなかった人達ですから、論文に受かりにくい属性を持っています。旧試験受験者の多くは30代以降ですから、これが30代以降の合格率を下げていると考えられます(※1)。
 他方、受験資格喪失者は、(新)司法試験の論文に合格できなかった人達ですから、やはり論文に受かりにくい属性を持っています。受験資格喪失者は、最終学歴別の受験状況のうちの「法科大学院修了」のカテゴリーに属します(※2)。「法科大学院修了」のカテゴリーに属する者は、31人受験して、8人合格。受験者合格率は、25.8%です。予備組の中でみれば、これは低い数字です(※3)。受験資格を一度喪失して、予備試験を受験して合格し、再度司法試験に参戦する場合、ほとんどが30代以降になってしまいます。ですから、受験資格喪失者の存在は、30代以降の合格率を下げるのです。
 以上のように、論文に受かりにくい者の滞留という要素は、主として20代と30代の合格率の差に顕著に影響しているといえます。逆に、30代と40代、40代と50代の比較という観点では、この要素はあまり影響していない。従って、30代より以降に生じている合格率の低下は、次に説明する要因が大きいと思います。 

※1 ただし、30代が5割も受かっているのは、予備論文合格を体験したという限度での「受かりやすさ」があるからです。

※2 この情報は出願時現在のものですから、在学中に合格して法科大学院を修了した者が、予備試験合格の資格で受験する場合には、「法科大学院在学中」のカテゴリーに入ります。ですから、出願時に「法科大学院修了」のカテゴリーに属する者は、基本的に受験資格を喪失した者ということができるのです(例外は、ロー在学中の予備試験合格者がロー修了後に予備試験合格の資格で受験して不合格になり、翌年に再受験する場合です)。

※3 今年の司法試験受験者全体の合格率は、22.5%ですから、これと比較すると高い数字といえます。この点は、予備論文合格を体験したという限度での「受かりやすさ」の反映であるといえるでしょう。

 

4.30代以降の加齢により生じる合格率低下の原因として考えられるのが、集中力、反射神経の衰えです。論文試験では、非常に限られた時間の中で、問題文を読み、論点を抽出し、規範に沿った当てはめをすることが求められます。これをこなすには、瞬時に論点に気付いたり、素早く事案を整理、分析することが必要です。そのために必要な集中力、反射神経は、かなり高度なものです。また、答案用紙に書く際には、それなりのスピードで書く必要があります。答案構成を見ながら、すばやく文章化していくための集中力、反射神経もまた、相当高度なものが要求されるでしょう。年齢を重ねると、こういった能力に衰えが生じてきます。若い時はぱっと目を通しただけで意味が読み取れたのに、40代になってからは何度も読み返さないと頭に入ってこない。若手は、問題文を見て、すぐに論点に気付くのに、高齢になると、一度考えてみないと論点が浮かばない。若手は当然のようにたくさんの文量を書いてくるのに、高齢になると5ページが限界だ。こういったことは、論文ではかなりのハンデになります。これが、論文合格率に影響していると考えられるのです。

5.さて、上記2つの原因のうち、影響が大きいのは、前者、すなわち、論文に受かりにくい者の滞留です。これは、20代と30代の合格率低下が40%以上にもなるのに対し、30代以降の合格率低下幅は相対的に小さいことからわかるでしょう。ですから、30代以降の受験生は、まずこの点を克服すべきなのです。
 そのためには、「受かりにくさ」の正体を掴む必要があります。論文に受かりにくくなるクセというのは、人によって違います。ただ、概ね以下の2つの傾向を指摘できるでしょう。
 一つは、基本軽視の傾向です。出題趣旨をみるときに、どうしても優秀・良好に対応する事柄に目が行ってしまう。問題文を読むときにも、応用論点ばかり気になって、肝心の基本論点を落としてしまう。普段の学習でも、基本論点の規範があやふやなまま、難しい論点を勉強してしまう。あるいは、誰もが当たり前のように同じことを書く部分を、「現場思考」によって、自分の言葉で書いてしまう。こういった人は、配点の極端に大きい基本論点で点が取れないので、極端に受かりにくくなるのです。
 もう一つは、「学説重視、判例軽視」、「論証重視、規範軽視」の傾向です。現在の司法試験では、判例の規範を端的に示して当てはめたり、判例の規範が問題文の事例に妥当するかという点の検討が求められています。配点も、このような点にあるのです。ところが、確立した判例があるにもかかわらず、学説の規範を用いたり、規範に至る理由付け(いわゆる「論証」ですね)を長々と書いたりする人がいます。普段の学習でも、判例ではなく、学説の考え方を勉強したり、規範に至る理由付けを覚えようとする。これでは、点が取れなくて当然です。このような勉強法を続けている限り、極端に受かりにくい状況から抜け出すことができません。これには、一部の予備校教材の影響があると思います。旧試験時代の予備校論証は、ほとんどが判例を批判して学説、それも少数説を延々と論証するようなものでした。「この点判例は〜しかし〜で妥当でない。思うに〜」というのが、その典型です。それが、未だにアップデートされずに残ってしまっているものが一部にあるのです。また、答練等の解答例の中にも、残念ながら旧試験時代の名残を残しているものがあります。特に憲法で顕著ですが、判例の引用が全くない解答例も珍しくありません(今年の憲法で薬事法事件を参照しないのは、それだけで致命的です)。かつては、「判例は事案が少しでも違うと間違いになるから、問題文が判例と少しでも違う場合には引用してはいけない」、「判例と全く同じ事案などあり得ないから、判例の引用はしてはいけない」、「判例の暗記ではなく、あなた自身が自分の頭で考えたことを自分の言葉で書きなさい」、「『○○判例参照』とするのは考査委員に参照せよと命ずるものであって無礼である」などと誤った指導がされていたものです。未だにその影響が残っていて、判例を引用して端的に規範を示したり、判例の規範が問題文に妥当するかといった検討がなされていない解答例が多いのですね。そのような解答例の真似をしてしまうと、かえって受かりにくくなります。予備校メインで学習している人は、このような点に注意すべきです。
 以上のような点を克服すれば、比較的簡単に合格できてしまいます。大学生の予備合格者が94%受かるという事実は、知識的には大学生がフォローできる程度の勉強量で足りるということを意味しています。大学生がわからないような部分は、わからなくても合格できるのです。その意味では、合格レベルは高くない。それにもかかわらず、受かりにくい人がいつまでも受からないのは、論文の採点基準からすればおよそ点が付かないような答案を、良かれと思って書いてしまっているからです。およそ点が付かないようなことを修得するために、何年も必死に勉強している。このことに早く気付き、修正することが必要です。

6.一方で、加齢による集中力、反射神経の衰えは、ある程度は仕方がありません。ただ、演習を繰り返すことによって、一定程度補うことは可能です。事例問題を繰り返し解けば、頭と体が慣れてきて、手が勝手に動くようになります。そうすれば、若手と同じとまではいかなくても、差を縮めることはできるでしょう。
 また、疲労している時間帯に、時間を限って答案を書く訓練も必要です。つらい、苦しい中で、踏ん張って丁寧に答案を書く精神力を養う。若手に負けない気力を身に付けることが大切だと思います。司法試験の会場では、最後の最後で踏ん張って書けるか、心が折れて雑になるか、そこで決定的な差が付く場合も少なくありません。最終的には、「気合いだ」ということですね。

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2014年09月25日

黒猫さんの記事に関する補足説明

1.黒猫さんの2014/09/24付記事(「旧司法試験・合格基準点の読み方について」)について、若干補足しておきたいと思います。

2.まず、同記事の「批判@について」とする記述についてです。黒猫さんは、やはりまだ誤解をされています

 

(「旧司法試験・合格基準点の読み方について」より引用)

 論旨の骨格である「ある科目で上位の人が,他の科目では上位を取れない結果,総合得点が均衡する」状態が生じている場合,「素点の合計点は同じでも得点調整により調整後の総合得点が大幅に引き下げられてしまう」という統計上の現象が発生するか否かについて,黒猫も未だ確認はしていませんので,現時点における結論は留保せざるを得ません。

(引用終わり)

 

 黒猫さんは、当サイトの指摘した、「全科目平均点の下落による上位陣の得点押下げ効果」と、schulzeさんの主張する実力の均衡による合格点の低下の現象とを、混同しています。両者は全く別の現象です。これらを混同してしまっているため、的外れな議論になっているのです。
 黒猫さんは、全科目を平均的に得点する人と、それと同一の合計点であるが得意科目と不得意科目のある人とを比較して、前者が法曹として適格だという主張をしておられますが、これは上記のいずれの現象とも関係のない議論です。schulzeさんの主張する実力の均衡による合格点の低下というのは、同じ合計点で得意科目と不得意科目があるというのではなく、高得点を取れない科目が生じる結果、文字通り合計点が下がる場合です。それは、「平成26年司法試験の結果について(4)の補足」の表1と表2を比較すれば明らかです。なお、当サイトの指摘する「全科目平均点の下落による上位陣の得点押下げ効果」は、素点の標準偏差が一定の数値を超えると生じるもので、どの科目で何点を取ったかという内訳は関係ありません。
 schulzeさんの主張の前提には相対評価の発想、すなわち、実力が均衡する場合には出来のいい答案でも低い素点が付くという考え方がありますので、これを完全な絶対評価と考えている黒猫さんとはそもそもその前提レベルで議論が噛み合わないのでしょう。なお、当サイトでは、schulzeさんのいうような現象が起こることは極めて偶然的であり可能性が低いこと、さらに、そのような現象が起こるとしても、それは合格レベルが下がっていないことを意味しないことを説明しています(「平成26年司法試験の結果について(4)」 、「平成26年司法試験の結果について(4)の補足」)。

 なお、全科目を平均的に得点する人と、得意科目と不得意科目のある人とを比較して、前者が法曹として適格であるとする黒猫さんの主張は、前記のとおり本論と無関係ですが、その内容を考えても不適切だと思います。黒猫さんは、以下のような例を挙げて説明されています。

 

(「旧司法試験・合格基準点の読み方について」より引用)

 例えば受験者Aは素点が憲法80点,民法40点,刑法60点,受験者Bは素点が憲法60点,民法60点,刑法60点だったとします。この場合,素点の合計点はA,Bのいずれも180点,1科目平均60点ということになりますが,法曹となるために必要な学識及び応用能力を有するかという視点から見れば,Bの方が合格者に相応しいことは明らかです。

(引用終わり)

 

 黒猫さんは、得意科目のある例として、実務での重要性の低い憲法を得意科目とする者を挙げていますこれは恣意的です。仮に、以下のような例に置き換えたらどうでしょうか。

 

 受験者A
憲法:20点
民法:80点
刑法:80点

 受験者B
憲法:60点
民法:60点
刑法:60点

 

 黒猫さんも、これでは受験者Bの方が法曹に適格だ、とは言いにくいでしょう。また、仮に黒猫さんの前提とするように憲法が得意で民法が不得意だとしても、「人権派弁護士としてやっていくにはむしろこの方が適格だ」という主義・主張もあり得るのです。このような主義・主張を絶対的に誤りであると否定する客観的資料はありません。このように、どのような得点の取り方が法曹に適格であるか否かということは一定の主観的評価の問題であり、議論すること自体が生産的とはいえず、不適切なのです

2.もう一つ、興味深いのは、黒猫さんの下記のご指摘部分です。

 

(「旧司法試験・合格基準点の読み方について」より引用、太字強調は筆者)

 「合格した最上位層の素点は下がっていないのに得点調整で得点を下げられた」という現象が成立するには,「平成18年以降の旧司法試験では,従来なら択一すら合格しなかった低レベルの受験者がどしどし択一試験に合格し,論文試験で従来ならあり得ない低レベルの答案が大量に出てきた」ことが必要不可欠です
 択一の合格最低点が上がっていた移行期の旧司法試験について,このような前提を立てるのはいかにも不自然かつ強引な議論というほかなく,しかも全体の質は下がっているのに合格した最上位層だけは従来どおりまたはそれ以上の質を維持している可能性というのは,「明日世界が滅びる可能性も無くはない」程度の可能性に過ぎないのではないかという気がします。

(引用終わり)

 

 黒猫さんは、「択一の合格点が上がったのだから論文のレベルが下がるはずがない」と思っておられるのです。しかし、これは筆者のみならず、当サイトの読者であれば、誤りであることが自明です。なぜなら、択一の合格点が上昇すれば「択一常勝将軍」が圧倒的に有利になるからです。そして、この「択一常勝将軍」は、同時に「論文常敗将軍」でもあります。択一は当たり前のように受かるが、論文は当たり前のように落ちる。このように極端に論文の苦手な者が、論文受験者の大半を占めるようになるわけですから、論文のレベルは下がって当然です。このことは、来年以降、4回目、5回目の受験者が参入すると論文のレベルが下がるということと、同じ理由です(「平成26年司法試験の結果について(3)」)。
 さて、ではその論文に「択一常勝将軍」は合格しているのか。当然ですが、合格していません。末期の旧試験では、毎年のように大学生の合格者比率が増加し、特に最後の論文試験の実施された平成22年旧試験では、実に4割が大学生だったのです(「平成22年度旧司法試験論文式試験の結果について」)。つまり、論文受験者の母集団をみると、圧倒的に論文の苦手な択一常勝将軍が多かったのに、論文合格者は、むしろ択一で苦戦した大学生が圧倒的な比率を占めていたのです(※)。ここに、「論文の母集団は低レベルだが、合格者のレベルはそれほど下がっていない」という事実を推認させるとてもわかりやすい構造があるのですね。 schulzeさんの主張していた「母集団の実力均衡」とは全く逆の、「母集団の実力の二極分化」が生じていたわけです。ただし、上記のことは「大学生ですら書けるような内容を、択一常勝将軍は身に付いたこだわりやクセによって書けなかっただけで、合格した大学生の方がレベルが高いことを意味しない」というように理解することも可能です。そして、このことこそが、論文攻略の最大のキーポイントなのですね。
 上記のような構造は、当サイトで繰り返し述べてきている短答と論文の特性の違いに起因します。重要なことは、黒猫さんのように丹念に司法試験関係の情報を分析している方ですら、これを見落としてしまっているということです。ましてや、一般のローの教官や予備校関係者はなおさらでしょう。このような基本的な特性を把握することなく誤った受験指導がされていることが、「論文に受かりにくい者は何度受けても受かりにくい」法則を固定化させてしまっているといえるでしょう。

※ 平成22年旧試験の択一合格者に占める24歳以下の割合は16.6%ですが、論文合格者に占める24歳以下の割合は、46.2%です。

 

3.それから、「全科目平均点の下落による上位陣の得点押下げ効果」が末期の旧試験に特に妥当するという根拠となる要素を、黒猫さんが指摘しておられるので紹介しておきたいと思います。

 

(「旧司法試験・合格基準点の読み方について」より引用、太字強調は筆者)

 平成18年以降の旧司法試験は新司法試験への移行に伴い合格者数が抑制され,最終合格率は平成19年以降1%を下回るという,とんでもない難関試験になっています。論文試験の合格率だけを見ても,平成10年と概ね同レベルにあると評価できる平成18年はともかく,平成19年以降は過去最低を更新する勢いで論文合格率が下がり続けています
 論文試験の得点が,考査委員による採点格差を調整するため偏差値的手法が用いられていることに争いはありませんが,論文試験の得点分布が正規分布に従うと仮定するのであれば,合格率15%であれば概ね偏差値60以上の成績を取っていないと合格できない合格率7%であれば概ね偏差値65以上の成績を取っていないと合格できない,ということになります。

(引用終わり)

 

 得点調整が偏差値的手法を採っていることは、上位の点数ほど素点との乖離が激しくなることを意味します。すなわち、平均点50点の試験では、素点50点を取れば偏差値も50です。しかし、素点で100点を取った人が、標準偏差が10を超えている限り、偏差値100ということはあり得ません。例えば、標準偏差が20であれば、偏差値は、

 (100−50)×10÷20+50=75

となります。素点と比較すると、100点の素点が75になってしまうのですから、25もの差が生じてしまうわけです。このように、上位陣になればなるほど、調整後の得点押下げ効果は高まるのです。
 そうすると、論文合格率が極端に低下した末期の旧試験では、合格最低点もかなり上位の水準になりますから、得点調整による得点押下げ効果の影響を強く受けていたことになります。このことが、「全科目平均点の下落による上位陣の得点押下げ効果」が、旧試験末期には顕著に影響したであろうと推測できる根拠です。

posted by studyweb5 at 02:23| 司法試験関連ニュース・政府資料等 | 更新情報をチェックする

2014年09月24日

平成26年司法試験の結果について(8)

1.今年の司法試験の結果を受けて、今年の予備試験の合格者数は増えるのか。以前の記事(「平成26年予備試験短答式の結果について(4)」、「平成26年予備試験短答式の結果について(5)」では、合格率均衡の要請からすれば増えるはずだが、予備論文の合格点の下限によって、合格者数が抑えられる、という説明をしました

2.現在では、さらに、合格者数増加要因であるはずの合格率均衡の要請までも、揺らいできています。従来、合格率均衡とは、「予備試験の合格率が法科大学院修了生の合格率と等しくなるまで、予備試験の合格者を増やす」という意味で理解されていました。

 

((規制改革推進のための3か年計画(再改定)(平成21年3月31日閣議決定)より引用、太字強調は筆者)

  法曹を目指す者の選択肢を狭めないよう、司法試験の本試験は、法科大学院修了者であるか予備試験合格者であるかを問わず、同一の基準により合否を判定する。また、本試験において公平な競争となるようにするため、予備試験合格者数について、事後的には、資格試験としての予備試験のあるべき運用にも配意しながら、予備試験合格者に占める本試験合格者の割合と法科大学院修了者に占める本試験合格者の割合とを均衡させるとともに、予備試験合格者数が絞られることで実質的に予備試験受験者が法科大学院を修了する者と比べて、本試験受験の機会において不利に扱われることのないようにする等の総合的考慮を行う。 これは、法科大学院修了者と予備試験合格者とが公平な競争となることが根源的に重要であることを示すものであり、法科大学院修了者と同等の能力・資質を有するかどうかを判定することが予備試験制度を設ける趣旨である。両者における同等の能力・資質とは、予備試験で課せられる法律基本科目、一般教養科目及び法律実務基礎科目について、予備試験に合格できる能力・資質と法科大学院を修了できる能力・資質とが同等であるべきであるという理念を意味する。

 (引用終わり)

法科大学院特別委員会(第61回)議事録より引用、太字強調は筆者)

松本委員(推進室副室長) 規制改革推進のための3か年計画(再改定)というものがございます。・・・予備試験合格者数については、予備試験合格者に占める本試験合格者の割合と法科大学院修了者に占める本試験合格者の割合とを均衡させる、こういう閣議決定がなされているところです。これをどう読むのかというのもいろいろ解釈があるところでございますが、一つの読み方としまして、合格のパーセンテージを均衡させるという形で読みました場合には、今、予備試験からの司法試験合格者が7割程度を占めている中で、ロースクールからの合格者の割合が御案内のような状況でございますので、この閣議決定を単純に守ろうといたしますと、司法試験予備試験が資格試験だというところは置いておきまして、この閣議決定を充足しようとしますと、予備試験の合格者を増やして、予備試験からの司法試験合格率を逆に下げる、予備試験の合格者を増やすという方向に働くのではないかと読める内容となっております。

(引用終わり)

 

 ところが、最近では、合格率の均衡とは、「法科大学院修了生の合格率を上げるよう努力する」趣旨であって、予備合格者数を増やす趣旨ではない、とする解釈が主張されるようになりました閣議決定を実質的に空文化させる逆転の発想といえるでしょう。

 

法曹養成制度改革顧問会議第8回会議議事録より引用、太字強調は筆者)

吉戒修一(元東京高裁長官)顧問 「予備試験合格者に占める本試験合格者の割合と法科大学院修了者に占める本試験合格者の割合とを均衡させる」ということが書いてあるので、これをどう読むかです。・・・今の時点で予備試験合格者に占める本試験合格者の割合は約7割です。それに対し、法科大学院修了者に占める本試験合格者の割合は約3割です。本来、法科大学院修了者の司法試験合格率は7〜8割というのが目標ですから、現在は、それにはるかに及ばない、3割という低いところにいるわけです。したがって、これを7〜8割までに引き上げるべきと読めるかと思います。これを低減させる方向で、つまり、法科大学院修了者の3割のラインに予備試験合格者の水準も下げるというのはおかしいだろうと思います。

(引用終わり)

法曹養成制度改革顧問会議第9回山根顧問提出資料より引用、太字強調は筆者)

 予備試験の合格者数に関しては,「規制改革推進のための3か年計画」の存在が問題視されているが、この閣議決定は“両方のルートからの司法試験合格率がどちらも7〜8割”となるという形での均衡を言っているのであって、法科大学院修了者の司法試験合格率が3割を切るという当時想定していなかった現状の中で、それに合わせて予備試験合格者を増加すべきと言っているものではないと考える。従って法科大学院制度の改革が進み、修了生が7〜8割司法試験に合格できるようになるまでの当面の間は予備試験合格者の数を現状維持、あるいは減少させることが適当であると考える。

(引用終わり)

 

 また、上記の解釈を明示的には採らないとしても、少なくとも、上記閣議決定は現状では妥当しないとする見解が、法科大学院関係者のみならず、法曹養成制度改革顧問会議の顧問も含めてほぼ共通の認識となっています。

 

法科大学院特別委員会(第61回)議事録より引用、太字強調は筆者)

土井真一(京都大学大学院法学研究科教授)委員  政府の規制改革推進3か年計画の中で、新司法試験の合格率において、予備試験合格者と法科大学院修了者の間で可能な限り差異が生じないようにすべきであると指摘されていますけれども、しかし、これは本来法科大学院が期待されていた役割を十全に果たしているという状況を前提にして、それと比べて予備試験合格者を不公平に取り扱わないという趣旨だったものだと私は理解しております。決して課題を抱えている法科大学院の現状に予備試験を合わせていって、法科大学院が抱えている課題をより深刻にするというようなことを意図しているわけではないと思います。その意味では、対症療法の一つとして、この閣議決定が間違っているというわけではなくて、本来の趣旨というものを適切に理解した上でその運用をお考えいただくということが大変重要なことではないかと思います。

片山直也(慶應義塾大学大学院法務研究科(法科大学院)委員長・教授)委員 仮にこの閣議決定に拘束力があることを前提に、今合格率の均衡を図る必要があるということだとしましても、その方法はいろいろ考えられるわけでありまして、その均衡を達成するために予備試験の合格者数を増やすというのは、これは本末転倒の議論ではないかという印象を受けております。

磯村保(早稲田大学大学院法務研究科教授)委員 結局法科大学院の中においても、試験でいい成績が取れる学生が予備試験のルートを通って合格しているにすぎないので、そのルートを通っている法科大学院と、在学している法科大学院生を比較して、どちらがどうかという話をしているのと同じようなものになります。それを、例えば数値のみでみた結果として、予備試験ルートと法科大学院ルートを同じようにするべきだというのは、その前提を見誤った議論ではないかというのが率直な感想です。

(引用終わり)

法曹養成制度改革顧問会議第8回会議議事録より引用、太字強調は筆者)

有田知コ(元福岡高検検事長)顧問 私、この前にもお話ししましたように、もう土俵が全く違ってきているのではないかなという感じを持っているのです。ですから、これはこれとして、今、射程範囲を超えた状況にあるわけですから、現状をどうするのかという視点で見た場合、一応、これは横に置いておくという措置しか私はないと。それで、その横に置いておくための理由付けをどうするのかというのをもう少し肉づけした上で、みんなに分かっていただくような方法がいいのではないのか。

橋本副孝(元日弁連副会長)顧問 私としては、現状、国として、法科大学院の卒業生に関して、一方で7〜8割は受かるという目標設定をして、それを達成するための施策を立案し、実行している過程にある。他方で、予備試験合格者について、書かれているように法科大学院の卒業生と合格率の点で均衡させることを謳っている。こういう状態なのですから、国としては、この両方の要請を満たす形で考えないと、方針として一貫しないのではないかと思います。
 そういう意味で、両方を整合させて考えるのであれば、低い方の合格率に合わせて全体の制度を設計するというのは・・・前提が違うのではないかと思います。ここからどういう対応策を導くかという議論はあるとは思いますが、ただ、両者の要請があることを前提としたものにしないと政策として一貫しませんし、本来の趣旨が生きないのではないかと考えています。

(引用終わり)

法曹養成制度改革顧問会議第10回会議議事録より引用、太字強調は筆者)

納谷廣美(前明大学長)座長 現状では、法科大学院修了者の司法試験合格率について、累積合格率が約7割と当初目指していた水準にほぼ達する法科大学院がある一方、累積合格率が全国平均(約5割)の半分未満の法科大学院も相当数あり、全体として法科大学院修了者の約5割(単年では約3割弱)しか司法試験に合格していないことから、法科大学院全体としては大きな課題を抱えており、極めて深刻な事態である。このように認識している。
 一方、平成23年から始まった予備試験については、これまでの実績を見ると、合格者の司法試験合格率が単年で7割程度で推移している。しかし、法務省の公表データ、今日のデータもありますが、自己申告によるものではあるが、予備試験に合格した者のうち法科大学院生と大学生が占める割合は高く、彼らのほとんどが司法試験に合格しており、その現象は増大傾向にあることが読み取られる。上記閣議決定当時には想定されていなかった事態が生じていると思います。このことから、予備試験合格者の司法試験合格率と、法科大学院修了者の司法試験合格率を単純に比較することは適当でないと思います。
 以上の問題状況に鑑みると、法科大学院教育については、その教育内容、水準及び質を早急に根本的に改善・充実させることが必要であるところ、法科大学院制度と予備試験制度との関係が当初想定されていた姿となっていない現状においては、予備試験の合否の判定を現状の法科大学院修了者の水準に合わせることは適当ではない
 こんなところでまとまるかなと思ってペーパーにまとめました。言葉は言い尽せないところもありますし、もう少し付加したいところもあるのですが、おおよそ閣議決定についてはこのように考えていけたらどうなのだろうか。このように顧問会議の御意見を集約させていただいたところでございます。  

(引用終わり)

 

3.以上のように、現在では、合格率均衡の要請を定めた閣議決定すら、実質的に無視して構わないという考え方が公然と主張されるようになっています。今年の予備試験の合格者数が増加する可能性は、ますます低くなったと考えるべきでしょう。

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2014年09月22日

平成26年司法試験の結果について(7)

1.予備組の結果をみてみましょう。今年は、予備試験合格の資格で受験した244人中、最終合格したのが163人です。合格率は、66.8%。これは、過去の予備組の実績と比較すると、どの程度の数字なのでしょうか。以下は、予備組が司法試験に参入した平成24年以降の予備試験合格の資格で受験した者の合格率の推移です。


(平成)
受験者数 合格者数 受験者
合格率
24 85 58 68.2%
25 167 120 71.8%
26 244 163 66.8%

 今年は、過去最低の合格率であったことがわかります。とはいえ、数パーセント程度の違いしかありませんから、誤差の範囲といえなくもないレベルの変化です。
 予備組については、考えられる2つの合格率低下要因があります。一つは、予備試験合格者数の急激な増加もう一つは、平成24年及び平成25年に不合格となった予備組滞留者の再受験です。前者については、合格者数の急増と同時に上位ローの予備試験受験者も急増しているため、影響は限定的です。他方、後者については、本来はそれなりに大きな影響を与えるはずです。受験回数の増加は、論文合格率を顕著に低下させるという確立した傾向があるからです。ところが、予備組については、いまのところ受験回数増加による論文合格率低下の傾向が現れていません(「「平成25年司法試験状況」から読み取れること(上)」)。
 そう考えてくると、上記の2つの要因は、現状では決定的な合格率低下要因ではないということになります。今年の合格率が微減にとどまったのも、こうした理由によるものと考えられます。従って、以上のような事情に変化がない限り、今後の予備組の合格率は、微減又は横ばいという傾向になると予想できます。

2.今度は、ロー修了生と比較してみましょう。以下は、上位ローと言われる東大、京大、一橋、慶応の受験者合格率です。

  受験者数 合格者数 受験者
合格率
東大 304 158 51.9%
京大 245 130 53.0%
一橋 136 64 47.0%
慶応 336 150 44.6%

 いずれのローも、5割から4割台です。このようにみると、予備組が突出して優れているようにみえます。もっとも、上記は既修と未修の両方を含んだ数字です。これを、既修者に限ってみると、見え方が違ってきます。

  受験者数
(既修のみ)
合格者数
(既修のみ)
受験者
合格率
(既修のみ)
東大 173 131 75.7%
京大 179 119 66.4%
一橋 92 53 57.6%
慶応 205 129 62.9%

 京大と慶応は、ほぼ予備と互角、一橋はやや劣りますが、東大は予備に1割近い差を付けて勝っています。このように、既修者に限ってみると、予備合格者と遜色のない結果を出しているのです。
 さらに、平成25年修了、すなわち初回受験の既修に限るとどうなるか。それが、下の表です。

  受験者数
(平成25年修了
の既修のみ)
合格者数
(平成25年修了
の既修のみ)
受験者
合格率
(平成25年修了
の既修のみ)
東大 121 102 84.2%
京大 123 92 74.7%
一橋 59 39 66.1%
慶応 152 111 73.0%

 一橋を除けば、大差で予備組に勝っています。むしろ、予備組が見劣りするくらいです。ただし、この比較は公平ではありません。なぜなら、予備組の66.8%という数字は、初回受験者に限らない数字だからです。とはいえ、上記のように、直近の上位ロー修了生が予備合格者より高い合格率となるのですから、在学中の上位ロー生が予備試験を受験すれば、合格するのが当然といえるでしょう。そうなると、上位ローでは、学生がどんどん予備に合格して抜けていってしまうことになります。
 先日、上位ロー6校が予備試験を制限する方向の提言(「司法試験予備試験制度に関する緊急の提言」)を行ったのも、こうしたことに対する危機感があるからです。ローの教育内容が悪いから予備に負けるのだ、という批判があります。ローの教育内容に問題があるのは、そのとおりでしょう。ただ、予備合格のレベルが上位ロー在学生のレベルより下の水準である限り、ローの教育内容のいかんにかかわらず、予備で学生が抜ける現象は起こるわけですから、この問題については教育の質とは別個の問題として対処する必要があるように思います。そうでなければ、本当にローに通えない人達の枠を、本来予備を受ける必要のない上位ロー在学生が奪い取る構図が恒常化することになってしまうでしょう。

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2014年09月20日

平成26年司法試験の結果について(6)

1.以下は、今年の受験生のうち、法科大学院修了生の資格で受験した者の各修了年度別、未修・既修別の合格率です。

  受験者数 合格者数 受験者
合格率
21未修 636 33 5.1%
21既修 173 20 11.5%
22未修 698 49 7.0%
22既修 289 51 17.6%
23未修 935 111 11.8%
23既修 557 114 20.4%
24未修 955 145 15.1%
24既修 819 229 27.9%
25未修 1130 188 16.6%
25既修 1579 707 44.7%

 今年も、以下の2つの法則が成り立っています。

 1:同じ年度の修了生については、常に既修が未修より受かりやすい
 2:既修・未修の中で比較すると、常に年度の新しい者が受かりやすい

 このように既修・未修、修了年度別の合格率が一定の法則に従うことは、その背後にある司法試験の傾向を理解する上で重要なヒントとなります。

2.既修と未修の差は、どこで付いているのでしょうか。以下は、「平成25年司法試験受験状況」を基にして作成した平成25年(昨年)の既修・未修別の合格率です。短答は受験者ベース、論文は短答合格者ベースの合格率です。

  短答
合格率
論文
合格率
既修 83.4% 45.9%
未修 56.7% 29.2%

 短答、論文の双方で、大きな差を付けられていることがわかります。新司法試験が始まった当初は、短答段階では未修・既修の差が顕著だったものの、論文段階では、それほど大きな差は付かないという傾向でした。ですから、既修・未修の差は、主として短答段階で付いている、という説明でよかったのです。
 ところが、昨年のデータでは、論文でも既修・未修の差が大きくなってきている。この点についての今年のデータがまだ明らかになっていませんが、仮に、論文での既修・未修の差がさらに開いてくるようであれば、何らかの傾向変化が生じた可能性を考慮する必要があるでしょう。一つの可能性としては、論理性や現場思考よりも、知識の比重が強まっている。そのために、知識に難のある未修に不利に作用しているのではないか。そういう仮説は考えられるでしょう。特に、来年以降は短答が憲民刑の3科目となることから、それ以外の科目では、知識を論文で問うてくる可能性があります。今後、このような知識重視の傾向変化の可能性には、注意する必要がありそうです。

3.では、修了年度別の合格率の差は、どこで生じているのでしょうか。以下は、同じく「平成25年司法試験受験状況」を基にして作成した平成25年(昨年)の受験回数別の合格率です。短答は受験者ベース、論文は短答合格者ベースの合格率です。

受験回数 短答
合格率
論文
合格率
1回目 65.7% 49.1%
2回目 67.1% 31.0%
3回目 73.9% 26.6%

 当サイトで繰り返し説明している、短答・論文の性質の違いです。短答は、受験回数が増えると、合格率が上がる。他方、論文は、受験回数が増えると、合格率が下がる。これは、毎年生じている確立した傾向です。短答は勉強量を増やせば素直に成績が伸びるが、論文はむしろ逆だということですね。
 修了年度が古くなると、短答はむしろ有利です。ところが、それを上回る論文段階での合格率押下げ効果のために、全体の合格率は、修了年度が古くなるほど低くなってしまうのです。

4.上記の傾向から読み取れることは、短答は知識で差が付くが、論文はそうではない、ということです。ですから、まず、短答合格レベルに達するまでは、知識重視で勉強をする。そして、その段階をクリアした後の論文対策は、知識とは異なる論文独特の点の付き方を意識した勉強法にシフトする。そういう段階を踏んだ学習計画が有効だということになります。もっとも、上記2で述べたように、近時は、論文でもやや知識重視の傾向が出てきているかもしれません。とはいえ、上記3でみたように、短答・論文の性質の違いは未だに顕著ですから、現段階では、そこまで気にすることではないと思います。

posted by studyweb5 at 19:07| 司法試験関連ニュース・政府資料等 | 更新情報をチェックする


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