2013年09月30日

「平成25年司法試験状況」から読み取れること(上)

受験回数と短答、論文の合格率

法科大学院特別委員会の資料として、「平成25年司法試験受験状況(PDF)」が公表されている。
ここには、法務省が合格発表と同時に公表した資料からは読み取れない情報が含まれている。

以下は、受験回数と短答、論文合格率の関係である。
短答合格率は、受験者ベース、論文合格率は短答合格者ベースで算出されている。

受験
回数

短答
合格率

論文
合格率

1回目

65.78%

49.19%

2回目

67.10%

31.00%

3回目

73.93%

26.63%

短答は、受験回数が増えると合格率が上がる。
論文は、受験回数が増えると合格率が下がる。
これは、例年成り立っている法則である。

受験回数が増えると、勉強量が増える。
これが素直に結果に反映されるのが、短答である。
だから、短答に受かるには、単純に勉強量を増やせばよい。
短答に受からない人は、単なる勉強不足である。

しかし、論文は逆だ。
勉強量が増えると、かえって受かりにくくなる。
だから、論文に受かるには、単純に勉強量を増やしても意味がない。
問題文の読み方、答案の書き方など、テクニカルな部分を再検討すべきだ。
その部分が、合否に直結している。
勉強量だけを増やし、問題文の読み方や答案の書き方を改めない人。
そういう人は、来年もまた、現場で同じような書き方を繰り返す。
配点のない事柄を書き、配点のある事柄を平気で落とす。
その結果、「論文に受からない人は何度受けても受からない法則」が成立してしまう。

予備組の真の強み

上記の法則が当てはまらないのが、予備組である。
同じく法科大学院特別委員会資料として、「平成25年司法試験における予備試験合格者の受験状況等」が公表されている。
これによれば、平成25年司法試験における予備合格年別の合格率は、以下のようになる。

予備合格年

受験者数

合格者数

受験者
合格率

平成23年

38

27

71.0%

平成24年

129

93

72.0%

確かに、平成23年合格組の方が、平成24年組より合格率が低い。
しかし、その差は、微々たるものだ。
しかも、平成23年合格組の平成24年司法試験での合格率は、68.2%だった。
だとすると、平成23年合格組は、昨年よりむしろ合格率を高めている。
(予備組は短答全員合格(昨年は1名のみ不合格)だから、上記は論文だけの影響である。)
予備組は、回数が増えると論文合格率が上がる。
これが、予備組の真の強みである。

予備の合格率上昇の原因については、以前の記事で2つの仮説を立てた。

平成25年司法試験の結果について(6)より引用)

一つは、今年の予備受験者の若手の比率が高かったことだ。
昨年は、20代の予備受験者は、全体の41.1%だった。
それが、今年は45.5%に増えている。
前記のとおり、20代は9割以上受かる。
このことが、今年の予備の合格率を押し上げた。

もう一つの原因は、予備論文の合格体験である。
受験回数が増えると合格率が下がるのは、負の選抜による。
論文に受かりにくい勉強をする人が、滞留してまた論文を受ける。
このサイクルのせいである。
1度も論文に受かっていないから、受かり方がわからない。
だから、何度受けても落ちる。
しかし、予備組は、一度予備の論文に受かっている。
論文に受かるには、どうしたらいいか知っている。
予備組が司法試験に落ちる原因として、「本試験は予備と違う」という誤解がある。
予備は基本だけで受かるが、司法試験はそうではないのではないか。
そう誤解して、崩れてしまうケースである。
しかし、そういう場合でも、予備と同じでよいことが分かれば、リカバリーできる。
この違いではないか。
すなわち、予備組は、「論文は回数が増えると受かりにくくなる」法則が当てはまりにくい。

(引用終わり)

今回の数字をみる限り、前者の仮説は誤りで、後者が正しそうだ。
前者の仮説では、平成23年予備合格者の合格率の上昇を説明できない。
やはり、一度予備の論文をクリアした体験が、大きいとみるべきである。
このことは、予備と司法試験における論文試験の同質性を示唆している。

今後、受験回数制限が緩和されて5回までになる可能性が高い。
予備組が回を重ねるごとに強くなるとすれば、これは予備組の合格率を更に押し上げる。
5回もチャンスがあれば、予備組は全員合格。
すなわち、累積の合格率にすると100%が普通になっても全然おかしくない。

※7割の合格率で5回落ちる確率は、3割の5乗すなわち、0.243%である。
従って、理論上の累積合格率は、99.757%となる。
「ほぼ100%」と表現しても差し支えない数字である。
予備の単年度合格率が7割を下回らない限り、「ほぼ100%」が続くことになる。

それは、「予備組は遅かれ早かれ全員受かる」ことを意味する。
結果的に、2000人強の合格者の枠の一部が、「予備組指定席」と化す。
残りの枠を、ロー生同士で奪い合う。
そんな構図が、生まれつつある。

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