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2013年06月28日

政府公表資料等情報

谷垣法相閣議後記者会見平成25年4月2日(火)より抜粋

成年被後見人の女性に選挙権を認めた判決に関する質疑について

【記者】
 成年後見制度の関係で,結果的に控訴という形になりましたが,それを振り返ってみて,政府内での議論のプロセスと,どのような問題があったのかということと,控訴についての大臣の御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

【大臣】
 成年後見制度というのは,財産管理の能力が必ずしも十分でない方の資産を,きちんと管理していく手段がなければいけないということで作られた制度です。ですから,選挙権があるかどうかという問題とは直ちに対応するものではありません。私の立場は,民事の基本法を所管している立場,それから,国の代理人になる立場と,両方の立場がありますが,まずは公職選挙法の観点から,選挙制度の中でこの問題をどう考えるかということが必要であると思います。それは,どちらかというと総務省の所管になると思いますので,そちらの方で,いろいろ議論をしていただいたということです。そして,今回,総務大臣が,このまま控訴をしないでいると非常に混乱するということを言われました。毎週のように選挙はありますし,そこにも大勢の成年被後見の方がいらっしゃるとなると,それに対応する選挙人名簿というものはできていませんから,選挙制度を所管する総務省としては,最低限,その混乱を避けなければならないとされたのは,当然の配慮であったと思います。そこから先は,国の代理人としての私の立場から申しますと,今回の判決を受けてからのいろいろな議論の中では,十分に議論はされていないかもしれませんが,法制度の根幹には,やはり一定の判断能力を前提としていることが基本法の根底にあります。刑法で言えば,刑事責任能力の有無に関して,例えば心神喪失であれば刑を科すことができない。これはやはり,一定の判断能力がある人でないと,処罰できないということがあります。それから,成年後見制度は,民事法における資産管理の観点から,一定の能力がやはり必要だろうということになっています。その背景には,意思能力のない者の行為は,法律行為としては効果を生じないという理論が基本にあると思います。選挙権の方も,二十歳から選挙権を与えることの背後にあるのは,一定の判断能力のある人に選挙権を与えるという,公職選挙法の明文にあるわけではないでしょうけれども,そういった理論の立て方が背景にあります。こうした議論を前提にして,どのような制度を立てたらよいのかという問題があって,それに対しては,いろいろな議論があると思います。従前,訟務部門で行っていた議論は,一定の能力を前提とすることは必要であり,成年後見制度を公職選挙法にも借用することは,一定の合理性があるというものです。私は,その辺を整理しなくていいというわけにはいかないのではないかと思います。そこのところは,選挙制度をはじめとする法律制度の基本ですから,しっかり論点を整理しておかないといけないという気持ちを持っています。

 

谷垣法相閣議後記者会見平成25年4月9日(火)より抜粋

法曹養成制度に関する質疑について

【記者】
 今日は,これから法曹養成制度検討会議がありますが,中間取りまとめによると,司法試験の年間合格者数を3,000人程度とする数値目標をなくしてしまう方向性のようですが,司法制度改革の理念の実現のための実効性がなくなってしまうことにはならないかという疑念を抱きます。大臣の御見解をお聞かせください。

【大臣】
 法曹養成制度検討会議の議論において,現状で3,000人を直ちに数値目標とすることは現実性等を欠いているという考え方が,おおむねの共通認識のようです。司法制度改革は,質,量ともに充実した法律家を養成していくという目標で出発しましたが,その方向性は現在も堅持していることは間違いないと思います。

 

谷垣法相閣議後記者会見平成25年4月12日(金)より抜粋

法曹養成制度に関する質疑について

【記者】
 先日,法曹養成制度検討会議の中間的取りまとめが出されました。最終的な取りまとめが本年8月ということで,検討期間はそれほど残されていないかと思いますが,検討会議の議論状況について,大臣としての御所感がありましたらお願いします。

【大臣】
 今日からパブリックコメントを始めたわけです。法務省としては,パブリックコメントでできるだけ多くの方に御意見をお寄せいただきたいと思っています。それを拝見して,8月2日の期限までに,精力的に議論を詰めていかなければならないと思います。人の養成制度ですから,一朝一夕に目覚ましい効果を目に見える形に現すことは難しいですが,今までの議論の成果を踏まえて,とにかく精力的に論点を煮詰めていただかなければならないと思います。

 

谷垣法相閣議後記者会見平成25年5月14日(火)より抜粋

法曹養成制度に関する質疑について

【記者】
 先日,文部科学省の方で,今年の春の法科大学院に入学した人の実数が発表されました。3,000人を切るだろうと言われていたのですが,2,600人台となりました。法科大学院の人気の低迷と言いますか,法科大学院離れがますます鮮明になったと思います。法科大学院の新入学者数がだんだん減っていることについての受け止めをお願いします。

【大臣】
 新入学者の数は2,698人だったかと思います。3,000人を下回って,これは過去最低の数字となったと報告を受けております。法科大学院制度は,質,量ともに豊かな法曹を養成しようという理念で始めました。今,法曹養成制度検討会議でいろいろと御議論をいただいているところですが,必ずしも法科大学院制度の中で,プロセスとして法律家を養成していく,選別して養成していくということが,必ずしも当初の狙いどおりとなっていないことは,多くの方の共通の認識だと思います。これはやはり,法科大学院における司法試験の合格状況が,それぞれの大学院によってばらつきも相当多い。それから,合格率も必ずしも高くなっていない。そして,司法試験に受かって弁護士等として就職していこうと思っても,壁が思ったより高いということで,そういったリスクを感じて進学する人が少なくなっているのだと思います。当初,毎年3,000人の司法試験の合格を目指していましたが,それがやや現実と離れていたということもあり,今,いろいろと御議論をいただいているわけですが,その中で教育水準等も上げるなど,法科大学院の魅力を引き出していくような取組を更にいろいろと行っていかなければならないと思います。

 

谷垣法相閣議後記者会見平成25年5月17日(金)より抜粋

司法試験及び司法試験予備試験に関する質疑について

【記者】
 本月15日から始まった司法試験ですが,受験者数が速報値で7,653人で2年連続の減少となりました。大臣として,この背景をどのように考えておられるかということ,また,本月19日から始まる司法試験予備試験では,出願者数が1万1,255人で2年連続の増加となりましたが,このことについての受け止めをお聞かせください。

【大臣】
 まず最初の質問ですが,これは想定されていたことです。文部科学省の方針になりますが,要するに競争倍率が2倍以上ない法科大学院に対して,文部科学省がいろいろ取り組んでおられます。そういったことで,法科大学院の入学定員数を絞ってきたということがこのところ数年続いています。そして,法科大学院修了者は,5年以内に3回まで受験できるということですから,司法試験受験者数が,このように絞られた結果になるのは,今までのそういった流れがあってのことだろうと思います。それから,予備試験の方はまだ始まったばかりですので,どのような要素でこういった状況になってきているのかというのは,もう少し様子を見て,いろいろな事を考えていかなければならないと思っております。

 

谷垣法相閣議後記者会見平成25年5月28日(火)より抜粋

現行の公職選挙法を違憲とした東京地裁判決の控訴に関する質疑について

【記者】
 昨日,成年被後見人に選挙権を与える公職選挙法改正案が成立しましたが,これを受けて,この改正案提出のきっかけとなりました東京地裁で違憲判決の控訴について,今後どのように対応されていくお考えかをお聞かせください。

【大臣】
 公職選挙法改正案が成立しましたので,選挙権の確認を求める本件訴訟については,その訴えの利益を欠くということで,終了することになると考えております。本件訴訟は,このことを前提に進行して判決が言い渡されることになるでしょうから,訴訟を担当する法務大臣としては,関係機関,特に総務省ですが,協議の上,適切に訴訟に対応していくということです。

【記者】
 判決を待たなくても,控訴を取り下げるという形で,早期に裁判を決着させるという選択肢もあるとは思うのですが,そのような選択肢を採らない理由をお聞かせください。

【大臣】
 控訴の取り下げは考えておりません。東京地裁の第一審では現行の公職選挙法が違憲との判決が出されました。しかし,私どもは,選挙権の付与について,意思能力との関係でどのように判定していくかということは立法政策の問題であり,現行の公職選挙法は憲法に違反しないと主張し,今の訴訟を進めてきたわけです。控訴を取り下げるということになると,そのまま第一審の結論が確定してしまうということになります。それは私どもの従来の主張と違うということです。

 

谷垣法相閣議後記者会見平成25年5月31日(金)より抜粋

法曹養成制度に関する質疑について

【記者】
 昨日の法曹養成制度検討会議で,中間的取りまとめに対するパブリックコメントの結果が明らかになりました。法科大学院生や司法修習生に対する経済的支援に関し,最も多い2,421通の意見が寄せられましたが,この経済的支援という部分について,大臣はどのような御意見をお持ちでしょうか。
 また,今後,この会議は,最終的取りまとめに向けて,6月中に議論することになりますが,委員の方々にどのような議論を望まれるのでしょうか。

【大臣】
 パブリックコメントの結果が公表されたわけですが,中間的取りまとめに記載された事項について,非常に幅広い御意見を寄せていただいたと思っております。特に今御指摘のありましたように,法科大学院生や司法修習生に対する経済的支援に関連して,約2,400通の御意見が寄せられたということです。これだけたくさんの御意見を頂くということは,法曹養成ということに対して,非常に高い関心があるのだろうと思います。検討会議では,このパブリックコメントの結果も踏まえまして,最終的取りまとめに向けた議論が行われます。私どももこのパブリックコメントの結果についてよく分析しなければならないと思いますが,検討会議においてもよく分析していただいて,充実した議論をしていただきたいと思います。その結果を関係閣僚会議においても検討を行い,8月2日までに一定の結論を出す予定です。

【記者】
 パブリックコメント全体を見ますと,経済的支援のことのみならず,様々な問題や課題についての意見が寄せられています。全体的に手厳しいものが多かった気がしましたが,寄せられた意見の全体を御覧になって,現在の大臣の受け止めをお願いします。

【大臣】
 私も閣僚会議のときに申し上げるべきことは申し上げなければなりませんが,今は議論をしていただいているところですので,現段階ではあまり突っ込んだことは申し上げにくいです。ただ,やはり法曹養成に関しては必ずしも最初の制度設計どおりに動いているとは限らず,想定できないいろいろなこと,つまり世の中というものは,実際に動いてみると多様な反応が出てきますので,こういった結果になったのかなと思います。私どももよく分析して,対応,議論していかなくてはならないと思います。

 

谷垣法相閣議後記者会見平成25年6月7日(金)より抜粋

法曹養成制度に関する質疑について

【記者】
 昨日,法曹養成制度検討会議において最終取りまとめ案が出されました。内容については,政府目標である司法試験の合格者数3,000人を撤回する内容だったと思うのですが,大臣の御所見を改めてお伺いできますでしょうか。

【大臣】
 委員の方々には大変御苦労いただきました。また,中間試案へのパブリックコメントもたくさんの御意見をお寄せいただきましたが,そういったものを踏まえて御議論いただいたわけです。それを受けて中間試案から変化したところもございますが,8月2日までにとにかく結論を出すということですから,精力的にまとめていただきたいと思っております。

 

谷垣法相閣議後記者会見平成25年6月21日(金)より抜粋

法曹養成制度に関する質疑について

【記者】
 法曹養成制度検討会議の最終提言が本月19日にまとまりました。あるべき法曹人口や合格率が低い法科大学院の抜本的改革が先送りされた形になり,法曹を志す学生や学識経験者から懸念の声も上がっていますが,大臣はいかがお考えでしょうか。

【大臣】
 法曹養成制度検討会議では,1年間という期間で,非常に精力的にいろいろな論点から議論していただいてきました。取りまとめについては,本月26日の検討会議で最終的に決定がされます。その後に関係閣僚会議で報告されて,8月2日までに,相当急がなければなりませんが,一定の結論を出す予定です。それまでは,いろいろなことを申し上げるのは差し控えたいと思います。

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2013年06月18日

平成25年司法試験論文式民事系第1問参考答案

問題文は、こちら

第1.設問1

1.必要な主張

 AC間の連帯保証契約が書面(446条2項)でされた旨の主張である。具体的には、以下のとおりである。
 確かに、事実4の連帯保証の書面は、当初Cの了解を得ることなく、Bの無権代理によって作成された。
 しかし、Cの追認(事実5)により、Bの代理行為は当初から遡って有効にCに帰属する(116条本文)。そうである以上、Bの代理行為はCの意思に基づくものといえるから、AC間の連帯保証契約は、Cの意思に基づく書面によってなされたといえる。

2.問題点

 446条2項の趣旨は、自らの負う責任を理解しないまま安易に保証が行われがちであることから、責任を理解した上で慎重に保証人となるか否かを判断する機会を与える点にある。
 上記趣旨から、同項の書面は、保証人自ら作成することを要し、本問のCは自ら書面を作成していないから、AC間の連帯保証契約は無効ではないかが問題となる。

3.当否

 同項の趣旨を、主として保証人の責任を理解させる点にあると考えるならば、同項の書面は必ずしも保証人自ら作成する必要はなく、保証人となるべき者が書面を閲覧して負担する責任を理解したと認められれば足りる。上記理解によれば、本問のCは、連帯保証の書面を示され、その責任内容につきBから説明を受けた上で、Aに対して追認の意思表示をした(事実5)から、Cは自らの負担する責任を理解していたといえ、AC間の連帯保証契約は有効であると解しうる。
 しかし、同項が設けられたのは、安易に保証人となることによってトラブルとなる事例が続出したからである。そうであるとすれば、同項の主たる趣旨は、書面に自ら署名することを通じて保証人となる際の慎重を期する点にあるというべきである。そうすると、同項の書面は、保証人自身が作成することを要する。
 本問で、Cは事実4の連帯保証の書面を自ら作成していない。そうである以上、当該書面は同項の書面に当たらないから、AC間の連帯保証契約は同項の要件を欠いて無効である。
 よって、AC間の連帯保証契約が書面でされた旨の上記1の主張は失当である。

第2.設問2

1.Bの主張

 亀裂の直接の原因はHの過失によるが、FはHを手足として用いていたから、信義則上Hの過失はFの過失と同視できる(履行補助者の理論)。そうすると、Fが過失により亀裂を生じさせたことは用法遵守義務(616条、594条1項)ないし善管注意義務(616条、597条1項、400条)に違反する債務不履行であるから、Bの被った損害である修繕費100万円につきBに賠償する義務を負う(415条前段)。

2.Fの主張

 FH間の契約は、Hが工事の完成を約し、Fが工事の結果に対して報酬を支払うのであるから、請負である(632条)。請負人は、一般に独立性を有し、請負人の過失は当然に注文者の過失とはみなされない(716条参照)。また、Hは飲食店の内装工事を専門とし、内装業を営む者である。そうである以上、HはFの手足として使用される履行補助者ではない。むしろ、Fに代わって内装工事を引き受けてする履行代行者とみるべきである。
 履行代行者を使用する者は、法律上使用が許されるときは、選任監督上の過失においてのみ責任を負うと解される(105条1項参照)。
 本問では、Fは、Hに内装工事を行わせることにつきBの承諾を得ており(事実13)、法律上Hの使用が許される(104条参照)。亀裂は、Hの過失によるもので、この点につきFに選任監督上の過失があったことを認めるに足りる事実はない。
 従って、Fは、Bに対して損害賠償責任を負わない。

3.各主張の当否

(1)契約上の本来的義務を履行する場合、履行に伴うリスクは債務者が負担すべきである。また、補助者の不履行があっても、債権者と補助者に契約関係はないから、債権者は当然に補助者に損害賠償を請求できるわけではない。この点において、請負人の不法行為の場合(716条参照)とは異なる。従って、たとえ補助者が独立的地位にある場合であっても、その者が生じさせた損害について債務者が選任監督上の過失の限度でしか責任を負わないのは妥当でない。上記補助者の過失も、当然に債務者の過失と同視すべきである。債務者は、履行に当たり補助者を利用するか、どの業者を利用するかを選択しうるし、債権者に損害を賠償した後の求償は妨げられないから、債務者にとって酷であるともいえない。

(2)これに対し、付随義務違反が問題となる場合には、債務者は積極的履行義務を負うわけではないから、生じた損害について当然にリスクを負担すべきとまではいえない。また、上記(1)の本来的義務を履行する場合と異なり、補助者の過失は債権者に対する不法行為を構成する一般的注意義務違反となるから、債権者は補助者の不法行為責任を追及すべきである。そうである以上、付随義務違反が問題となる場合には、選任監督上の過失等により債務者自身の付随義務違反が問題となるのは格別、補助者の過失を債務者の過失と同視することはできない(安全配慮義務に関する履行補助者の過失についての判例参照)。
 本問では、Fの用法遵守義務ないし善管注意義務の違反が問題となるが、賃借人の本来的義務は、賃料支払義務(601条)であって、用法遵守義務ないし善管注意義務は、付随的義務である。Fは、内装工事の専門業者であるHに発注し、Bの承諾も得ているのであって選任監督上の過失はなく、他にF自身の用法遵守義務ないし善管注意義務違反を認めるに足りる事実はない。よって、Fの過失は認められない。
 以上から、Bの主張は妥当でなく、Fの主張は結論において正当である。

第3.設問3

1.Gが、Eに修繕を依頼したのは、Gの賃借する丙建物2階部分の窓が損傷し、外気が吹き込む状態となって、児童や生徒に対し授業をすることにも支障が生じた(事実18)ため、賃借目的である学習塾としての使用が困難となったことによる。従って、Gが、Eに支払った修繕費用は、賃借目的に適する状態に復するための維持、保存の費用であるから、必要費(608条1項)に当たる。
 よって、同項により、Gは、Bに対し、修繕費を支払った平成24年9月9日の時点で、直ちにその償還を請求できる。

2.Dが依拠する判例によれば、抵当権者の物上代位による差押えがされた後は、抵当権設定登記後に取得した賃貸人に対する債権と物上代位の目的となった賃料債権との相殺は許されない。
 相殺は、相手方に対する相殺の意思表示によってする(506条1項前段)ところ、本問で、GがBに対して相殺の意思表示をした事実はない。従って、上記判例によれば、既に差押命令の送達によって差押えの効力が生じた(民執法193条2項、145条4項)以上、Gは相殺をもってDに対抗できないことになりそうである。
 しかし、本問における賃借人の債権は、必要費償還請求権である。必要費は、使用収益を継続するために支出せざるを得ない費用である。賃借人としては、抵当権設定登記の有無を確認して修繕等をするか否かを決定できるわけではない。そうである以上、抵当権設定登記による公示を主たる理由とする上記判例の趣旨は、必要費償還請求権をもって相殺する場合には妥当しない。
 また、賃貸人の修繕義務(606条1項)は、賃貸人の本来的義務である使用収益させる義務(601条)の一部である。従って、賃借人の賃料債務とは直接の対価的牽連関係にある。そして、必要費の償還が直ちに認められる(608条1項)のは、上記修繕義務に代わる支出であり、本来的に賃貸人の負担に属するからである。賃貸人が費用を負担して修繕義務を果たした場合との均衡をも考慮すれば、必要費償還請求権については、賃借人は相殺の意思表示を要せずして、当然に賃料との差引きを主張できると解すべきである。従って、専ら相殺の可否について判示した上記判例の趣旨は妥当しない。
 以上のとおり、いずれにせよDの依拠する判例は本問に適切でなく、Gは、Dに対し、修繕費用30万円を差し引いた60万円のみを支払えば足りる。

以上

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2013年06月14日

平成25年予備試験短答式の結果について

法務省から、平成25年予備試験短答式の結果が公表された(法務省HP)。
合格点は、170点。
合格者数は、2017人だった。
合格点は、5点上がり、合格者は306人増えた。
合格点は、これまで2年続けて165点だった。
これは、満点のほぼ6割。
予備は、毎年これで固定になるとも思われた。
しかし、今年初めて、165点以外の合格点になった。
この数字は、どんな感じで決まったのか。

短答の合格点は、司法試験ではキリのいい数字で決めてくる。
概ね、5点刻みになっている。
どうやら、予備でも同様の決め方のようだ。
仮に、例年どおり165点だと、どうか。
法務省の得点別人員によれば、合格者数は2492人になる。
これは、さすがに多すぎる。

昨年より受かりにくかった

他方、175点だと、どうか。
これは、1645人となる。
昨年は、1711人。
これと比べると、あってもよさそうな数字にみえる。
しかし、合格率を加味して考えると、ちょっと採用しにくい数字だった。

以下は、年別の短答、論文の合格率の推移である。
(短答合格率は受験者ベース、論文合格率は短答合格者ベースの数字である。)

 

受験者数

短答
合格者数

短答
合格率

論文
合格者数

論文
合格率

23

6477

1339

20.6%

123

9.1%

24

7183

1711

23.8%

233

13.6%

25

9224

2017

21.8%

2017人でも、昨年より2%合格率が落ちている。
仮に、1645人だと、どうなるか。
これは、17.8%になる。
これは、ちょっと合格率が下がりすぎ、という感じだ。
そういうわけで、間の170点、2017人に落ち着いた。
そんな感じだろう。

今年は、昨年より合格者数は増えたが、合格率は下がっている。
これは、合格者増よりも受験者増の方が大きかったことによる。
仮にこの傾向が続けば、短答は次第に受かりにくくなっていく。
現在、ローの志願者減が止まらない。
その分、予備の方に流れている。
もうしばらくは、この傾向は続きそうである。
予備の短答合格率は、やや低下傾向になりそうだ。

科目別状況

以下は、各科目の平均点の推移である。
一般教養のかっこ内は、比較のため、30点満点に換算した数字である。

 

平成23年
平均点

平成24年
平均点

平成25年
平均点

憲法

15.8

15.1

16.5

行政法

12.2

12.5

14.2

民法

19.2

16.3

19.7

商法

12.9

14.7

12.1

民訴法

14.7

16.9

17.0

刑法

18.6

16.6

17.0

刑訴法

14.0

15.6

17.9

教養

23.2
(11.6)

27.2
(13.6)

25.2
(12.6)

合計

130.7

134.7

139.5

昨年より、5点ほど合計点が上がっている。
合格点が5点上がったのは、これに対応している。

商法を除くと、法律科目は全て平均点が上がっている。
法律科目は、解き易い問題が多かった。
昨年より平均点が上がったのは、法律科目の全般的な易化のせいである。
一方で、一般教養は、平均点が2点下がっている。
しかし、それでも平成23年より2点高い。
昨年が易しかったとみるべきだろう。

例年、行政、商法、一般教養の出来が悪い。
今年も、その傾向は続いている。
ただ、これはやむを得ない面もある。
上記3科目を勉強するより、憲法や民法の方が、伸びしろがあるだろう。
今年の問題なら、憲法、民法は8割以上取りたい。

予備でよく言われるのは、一般教養は零点でも受かる、ということだ。
今年の合格点は、170点。
法律科目は、7科目である。
従って、各科目平均で、170÷7≒24.2点取ればよい。
24点は、30点満点の8割である。
従って、法律科目で8割強を取れば、教養は零点でもよかった。
とはいえ、実際には法律科目全科目で8割強は、なかなか難しい。

逆に、法律科目を7割取ると、教養は何点必要なのか。
法律科目7割は、合計で147点である。
そうすると、170−147=23点を教養で取る必要がある。
これは、今年の教養の平均点より約2点下の水準である。
さらに、法律科目が6割だと、どうか。
法律科目6割は、合計で126点である。
そうすると、170−126=44点を教養で取らないと受からない。
これは、60点満点の7割強である。
こうなると、むしろ教養で逆転するイメージになる。
従って、教養を平均以上取る自信のない人は、法律科目7割を確保したい。

司法試験の短答では、概ね6割強を取れば受かる。
もちろん、全科目法律科目である。
教養を7割強取る人を除けば、予備は法律科目7割が必要。
すなわち、予備は、司法試験より1割くらい短答が厳しい。
予備組が全員司法試験の短答に受かるのは、10%の差が堅いことを示している。
体調等による得点の振幅が、10%以上生じない。
多少調子が悪くても、予備で7割取れた者が司法試験で6割未満に落ちることがない。
これが、短答の安定性である。
逆に、教養で逆転する人は、法律科目は6割程度。
すなわち、司法試験でもギリギリのラインである。
このような層が一定数いれば、予備全員合格は難しい。
司法試験短答の予備全員合格は、教養で逆転するタイプの人がほとんどいないことを示している。
教養逆転型の人が少ないということは、予備に一般教養を課す意味に疑問を投げかける。

論文の予測

気になるのは、今年の論文の合格者数である。
以下は、いくつかの想定される今年の論文合格者数と合格率の組み合わせである。

想定論文
合格者数

想定論文
合格率

備考

300

14.8%

 

274

13.6%

昨年の合格率

250

12.3%

 

233

11.5%

昨年の合格者数

183

9.1%

平成23年の合格率

123

6.0%

平成23年の合格者数

平成23年の水準は、ちょっとなさそうだ。
さすがに、これは合格者数、合格率共に低すぎる。

昨年と同じ合格者数(233人)だと、どうか。
合格率は、11.5%となる。
合格率としては、ちょうど昨年と平成23年との中間くらいの数字になる。
今年の司法試験の短答では、予備が全員合格した。
しかも、予備の受験者数は増加傾向だ。
昨年より合格者数を絞る、ということは考えにくい。
そうすると、この数字が予想の下限ということになる。
最も厳しい想定でも、上位1割に入れば、十分受かる。
そのくらいの受かり易さ、ということになる。

昨年と同じ合格率(13.6%)だと、どうか。
この場合、合格者数は、274人となる。
昨年より、41人合格者数が増える。
ありそうな数字である。
この場合は、受かり易さは昨年と同程度ということになる。
昨年の再現答案の水準が、そのまま参考になる。

仮に、300人まで合格した場合は、どうか。
この場合、合格率は14.8%になる。
概ね、上位15%に入れば、受かる。
300という数字は、一つの心理的な節目である。
今回は、この辺りが上限ではないか、という感じだ。
最も甘い想定でも、上位15%は必要だ、ということになる。
上位20%以下では、合格は難しい。

今年の短答は、合格者数が増えた反面、合格率は下がった。
論文も同じようになるとみると、250人、12.3%が、ありそうな数字となる。
この場合、昨年よりも、やや受かりにくくなる。
それでも、上位1割に入れば問題ない。
いずれにせよ、目標は上位1割、ということだろう。

現実的な数字としては、合格者数は250〜280。
合格率は、12%〜14%の辺りに収まりそうである。

合格ラインは、「一応の水準」の下の方

昨年の論文合格率は、短答合格者ベースで13.6%だった。
すなわち、上位13.6%に入らないと、受からなかった。
これは、どの程度の水準なのだろうか。

昨年の論文の合格点は、230点。
これは、500点満点の46%である。

得点率46%とはどのくらいの水準なのか。
これは、「一応の水準」の下限に近い水準である。

(「司法試験予備試験論文式試験の採点及び合否判定等の実施方法・基準について」より引用)

1.採点方針

(1) 白紙答案は零点とする。

(2) 各答案の採点は,次の方針により行う。

ア.優秀と認められる答案については,その内容に応じ,下表の優秀欄の範囲。
 ただし,抜群に優れた答案については,下表の優秀欄(  )の点数以上。

イ.良好な水準に達していると認められる答案については,その内容に応じ,下表の良好欄の範囲。

ウ.良好とまでは認められないものの,一応の水準に達していると認められる答案については,その内容に応じ,下表の一応の水準欄の範囲。

エ.上記以外の答案については,その内容に応じ,下表の不良欄の範囲。
 ただし,特に不良であると認められる答案については,下表の不良欄[  ]の点数以下。

優秀

良好

一応の水準

不良

50点から38点
(48点)

37点から29点

28点から21点

20点から0点
[3点]

(引用終わり)

各科目50点満点だから、得点率46%は、23点。
一応の水準は、28点から21点の間だから、真ん中よりも下。
むしろ、下限に近い水準であることがわかる。
これは、平均点の水準ではない。
合格ライン、すなわち、上位13.6%の水準である。
なお、平均点は190.2点だから、得点率38%。
1科目にすると、19点で、不良の方に落ちている。

※なお、合格率が9.1%だった平成23年の合格点は、245点だった。
この場合、得点率は49%。
1科目にすると、24.5点である。
上位9%水準でも、一応の水準の真ん中であった。

このことからいえるのは、「一応の水準」に入れば概ね受かる、ということだ。
「優秀」や「良好」という枠は、ないと思った方がよい。
この点を、多くの人が誤解している。
予備の合格率は低いから、優秀のレベルを書かないと受からない。
そう思っている人が多い。
そういう人は、誰も書かないような問題意識を大展開する。
その結果、かえって一応の水準の事柄を落とす。
実力のある不合格者のほとんどは、こういう自滅型である。

昨年の大学生の論文合格率は、28.5%である。
全体の13.6%の、倍以上の合格率である。
大学生が受かりやすいのは、余計な論点を思いつかない。
基本事項だけを、素直に書いてくるからである。
基本とは、大学生でも知っているレベルの基本である。
(ローで教わることは、合格には必要でない。)
配点は、そういうところにしかない。
実力者しか思いつかない論点は、書いても零点、むしろマイナスになる。
再現答案等をみていても、そういう感じの採点になっている。
「当たり前だから書かない」ではなく「当たり前だけを書く」。
この発想の転換が、必要である。

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2013年06月11日

平成25年司法試験論文式公法系第2問参考答案

問題文は、こちら

第1.設問1

1.問題点

 「認可」は、文言上処分とされる(行手法2条3号参照)。もっとも、抗告訴訟の対象となる「処分」というためには、紛争の成熟性の観点から、個別の国民に対する直接法効果性を要する。本件認可については、この点が問題となる。

2.土地区画整理組合の法的性格

(1)組合は、都道府県又は市町村と同様に土地区画整理事業を施行する(法3条2項)。また、賦課金等の滞納が生じた場合に市町村長に対し徴収申請ができる(法41条1項)。のみならず、市町村長が滞納処分に着手しない等の場合には、都道府県知事の認可を受けて組合の理事が滞納処分をすることができる(同条4項)。このように、組合は行政上の法律関係の主体としての地位を有するから、行政主体性を有する。組合設立認可(法14条1項)は、上記行政主体としての地位の付与という法的効果を有するから、講学上の特許として処分性が認められる。

(2)他方、組合は、その定款等の変更について都道府県知事の認可を受けなければならない(39条1項)。また、市町村長から報告等を求められ、又は勧告等を受ける(法123条1項)。さらに、都道府県知事の監督を受ける(法125条1項)。このように、組合は、下級行政機関としての性質を有する。

3.定款変更認可の法的性質

(1)前記2から、組合設立認可とは異なり、定款変更認可は、上級行政機関である都道府県知事による下級行政機関としての組合に対する監督手段に過ぎず、当然には外部的効力は生じない。従って、定款変更認可には個別の国民に対する直接法効果性が認められないから、処分性は認められないのが原則である(成田新幹線事件参照)。

(2)もっとも、本件定款変更は、費用分担(法15条6号)につき定款に賦課金を新設する(6条2号)。その法的効果を完成させるのが、本件認可である。

ア.定款の費用分担の定めに賦課金を新設した場合、以後個別の賦課金決定については定款の定めを要しない(法40条1項)。そのため、組合は、賦課金新設の定款変更が認可されれば、その後は認可を要することなく組合員から賦課金を徴収できる。すなわち、組合員は、上記定款変更により、一方的に賦課金を徴収される法的地位に立たされる。そうすると、個別の賦課金決定を争い得ない場合には、定款変更認可による賦課金新設を争わせる必要がある。

イ.以上から、定款変更認可であっても、賦課金新設の定款変更に係るものであって、個別の賦課金決定を争う機会が組合員に与えられない場合には、上記アの法的効果を完成させる講学上の認可としての直接法効果性を根拠として、処分性が認められる。

ウ.本問で、本件認可は賦課金新設の定款変更に係るものであって、本件要綱が同時に議決されたため各組合員は直ちにその有する地積に応じて個別的に賦課金の負担を負うことになり、これを争う機会は、本件認可の段階以外にない。なお、滞納処分(41条3項、4項)の段階では、年利10.75%の高率の延滞金が課される(定款8条)から、この段階まで待って争わせることは現実的でない。

エ.よって、本件認可には、処分性が認められる。

(3)これに対し、市町村が主体となる場合の施行規程が条例事項である(法53条1項)ところ、組合施行の場合に定款が施行規程と同様の位置づけとなる(法15条、53条2項対照)ことから、本件認可は条例制定行為と同様に処分性がないとする主張が考えられる。
 確かに、処分というためには個別の法効果の発生を要するから、一般的法規範である条例の制定行為は原則として処分ではない。しかし、他の処分を待たずに直接個別の法効果を生ずるときは、その法的効果において処分と異ならないから、処分性が認められる(保育所廃止条例事件参照)。このことは、定款変更認可にも同様に当てはまる。
 本問では、前記(2)のとおり、本件認可により、各組合員は、他に何らの処分を待たずに直接に賦課金を徴収される法的地位に立たされる。よって、上記主張を前提としても、本件認可の処分性は認められる。

第2.設問2

1.違法とする法律論

(1)本件事業は実質的に破綻しており、施行に必要な経済的基礎を欠いている。従って、本件認可は違法である(法39条2項、21条1項4号)。

(2)Dは白紙の書面議決書500通に勝手に賛成の記載をしたから、本件定款変更の変更手続に違法がある。従って、本件認可は違法である(法39条2項、21条1項2号)。

(3)一部の組合員の賦課金を免除することは、賦課金額の公平を定める法40条2項に反する。本件定款変更は、上記違法な賦課金免除の利益を受ける者が賛成することによって初めて承認され得るものであった。従って、本件認可は違法である(法39条2項、21条1項2号)。

2.適法とする法律論

(1)法21条1項各号の不許可事由該当性判断は都道府県知事の自由裁量であり、C県知事が同項4号に該当しないと判断したことに違法はない。

(2)組合員の署名捺印のある白紙の書面議決書は、慣例上賛成票とすべきであるから、Dがこれに賛成の記載をしても違法ではない。

(3)賦課金免除は小規模宅地所有者等に対する政策的配慮によるものであって、実質的公平を害するとはいえないから、法40条2項に違反しない。仮に違法であるとしても、賦課金の算定方法は定款で直接定められていないから、本件定款変更の内容には違法はない。従って、法21条1項2号には当たらない。

3.私見

(1)法21条1項4号該当性の判断には、専門技術的知見を要するから、都道府県知事の裁量があることは否定できない。もっとも、賦課金新設に係る定款変更認可は、一度認可されれば個別の賦課金決定を組合員が争うことは困難となるから、賦課金新設に係る同号該当性の判断は、客観的な事実に裏付けられた合理的なものであることを要する。
 一般に賦課金新設により事業の好転が見込めるのは、一時的な資金不足の場合であって、慢性的な資金不足の場合には、早期に破たん処理をすべきである。本問では、本件組合は資金計画の変更を繰り返しており、事業の前提であった保留地の高値売却は計画どおりに進んでいない。すなわち、慢性的な資金不足の場合である。そうである以上、賦課金の新設による事業の好転は見込めない。他に上記と反対の判断を導きうる客観的事実はない。
 以上から、賦課金新設につき事業の遂行に必要な経済的基礎が十分であるとして本件認可をしたC県知事の判断は、客観的な事実に裏付けられた合理的なものとみることはできない。
 よって、本件認可には、法21条1項4号の判断を誤った違法がある。

(2)白紙の書面投票が賛成を意味するという慣例は必ずしも確立しているとはいえず、総会決議の結果を左右する重要な事柄であることからすれば、そのような取扱いは、定款に記載することを要する。
 本問で、本件組合の定款に白紙の書面投票をもって賛成と扱う旨の記載があることはうかがわれない。
 よって、これを当然に賛成票と扱った点に、本件定款変更の決定手続の違法があるから、本件認可は法39条2項、21条1項2号に違反し、違法である。

(3)確かに、本件要綱は、小規模宅地の所有者等に賦課金負担を求めることの現実性を考慮すれば、必ずしも法40条2項に反するとまではいい難い。また、仮に同項に違反するとしても、直ちに本件定款変更の違法を基礎付けるものではない。本件定款変更は、賦課金の新設を認めるにとどまるからである。
 しかし、免除対象組合員が、総組合員の約80%、総地積の約41%を占めることからすれば、本件定款変更の特別決議成立は免除対象組合員の賛成によるところが極めて大きい。総会の議決権行使についての利益供与は、条理上当然に違法である。本件定款変更の議決に当たり、同時に本件要綱によって免除を明示すれば、免除対象組合員が本件定款変更に賛成することは当然である。従って、賦課金の算定方法は、たとえ本件要綱で定められ、定款で直接定められていないとしても、本件定款変更の賛否の判断を歪める利益供与といえるから、本件定款変更の議決についての違法を構成する。
 以上のとおり、本件定款変更の決定手続に違法があるから、本件認可は法39条2項、21条1項2号に違反し、違法である。

以上

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2013年06月10日

平成25年司法試験論文式行政法の参考資料2

名古屋地裁判決平成15年10月16日より引用、下線は筆者

【事案】

 原告所有地を包含する地域を施行地区として土地区画整理事業を計画している土地区画整理組合の設立を被告が認可したことから,原告が,当該認可について,主位的に無効確認を,予備的に取消しを求めた抗告訴訟。

【原告の主張】

 そもそも本件組合は行政官庁ではなく,認可申請も行政行為ではないから,被告としては,申請の逸脱濫用のみをチェックすれば足りるというものではなく,例外的不認可事由を厳密に判断しなければならず,被告がこの点について広い裁量権を有するものとは考えられない。このことは,昭和63年に法21条1項4号が,「……必要な経済的基礎がないこと」から「……必要な経済的基礎及びこれを的確に施行するために必要なその他の能力が十分でないこと」と改められ,不認可事由が広くなっていることや,法施行規則10条1号が「資金計画のうち収入予算においては,収入の確実であると認められる金額を収入金として計上しなければならない。」と定めていることからも裏付けられる。しかるに,被告は,本件組合の経済的基礎について,正確なことは分からないまま,現在の一般的な可能性をもとに,明らかに不当といえるような計画ではないとして,上記要件に該当するか否かの判断を放棄して本件認可に及んでいるが,事業計画が「予定どおり進行する可能性がある」という程度では認可することはできないのが道理であるし,保留地購入者等は本件組合が考えるべきというのは無責任であり,企業を誘致するという発想自体,法の理念に反する。認可の時点では一般的な可能性で判断し,認可後にうまくいくかどうかは土地区画整理組合の責任というのでは,法が被告に認可権限を与えた意味が全くないのであって,被告が,このような事実を調査することなく行った本件認可は,違法である。

【被告の主張】

 そもそも,法14条1項の土地区画整理組合の設立認可は,いわゆる講学上の特許に属し,法21条1項が「次の各号……の一に該当する事実があると認めるとき以外は,その認可をしなければならない。」と規定して,不認可事由が存しない限り,認可が義務付けられていることに照らすと,処分権者である知事が設立認可をしないことの効果裁量は制限され,設立認可をする要件の認定はその自由裁量に委ねられているというべきところ,同項4号所定の経済的基礎の要件の判断は,これが将来生じる事象の予測であること,専門技術的な観点からなされるべきことを考慮すると,設立認可が裁量権を逸脱し又は濫用するものとして違法となるのは,知事が当該事業の施行のために必要な経済的基礎が十分であると判断したことが不合理である場合に限られる

【判旨】

 被告は,本件認可は,被告の自由裁量に属すると主張するのに対し,原告は,昭和63年の法改正などを根拠としてこれを争うところ,法21条1項は,「都道府県知事は,……(土地区画整理組合の設立)認可の申請があった場合においては,次の各号の一に該当する事実があると認めるとき以外は,その認可をしなければならない。」旨規定しており,その体裁に照らせば,知事に対し,各号所定の不認可事由があると認めるとき以外は,原則的に設立認可を義務付けていることが明らかである(これは,組合設立の自主性を尊重する趣旨に出たものと考えられる。)。したがって,知事は,不認可事由があると認められないにもかかわらず,不認可処分を行うことはできないという意味において羈束されているが,逆に不認可事由の存否が不明の場合に,認可することができる要件裁量を有するかについては,必ずしも明らかではない。しかるところ,同項の定める不認可事由のうち,4号の「土地区画整理事業を施行するために必要な経済的基礎……が十分でないこと。」の存否の判断については,相当期間にわたる将来的な予測が必要であり,流動的な要素をしんしゃくすることが避けられないことなどを考慮すると,知事が一定範囲の要件裁量を有することは否定し難い
 しかしながら,他方で,土地区画整理組合の設立認可は,その事業施行地区内の宅地の所有権等を有する者をすべて強制的にその組合員とした上,当該組合に土地区画整理事業を施行する権限を与える効果を付与するものであり,かつ,当該事業の実施に反対の意見を有する者であっても,法18条所定の要件が充たされる以上,そこから離脱したり,その申請を阻止する手段はなく,このように関係者の権利,利益に重大な影響を与え得る行政処分であることに照らすと,知事としては,設立認可申請に対し,現在の一般的な可能性をもとに,明らかに事業計画が不当といえるか否かについて判断するだけでは足りず,一般的に必要と考えられる調査を尽くし,収集した資料を注意深く検討して,当該組合に事業施行に必要な経済的基礎が十分に具備されているか否かを判断すべきである
 そして,裁判所も,かかる観点から,知事の判断が合理性を有するか否かについて司法審査権を有するというべきである。

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2013年06月06日

平成25年司法試験短答式試験の結果について

220点、5259人

法務省から、司法試験短答式試験の結果が公表された(法務省HP)。
合格点は、220点。
合格者数は、5259人だった。
受験者合格率は、5259÷7653≒68.7%となる。

合格率反転、平成21年並みの受かり易さに

以下は、年度別の合格者数等の推移である。

年度

合格点

平均点

合格点と
平均点の差

受験者数

合格者数

受験者
合格率

18

210

232.9

22.9

2087

1684

80.6%

19

210

231.7

21.7

4597

3479

75.6%

20

230

250.7

20.7

6238

4654

74.6%

21

215

228.1

13.1

7353

5055

68.7%

22

215

230.8

15.8

8163

5773

70.7%

23

210

219.2

9.2

8765

5654

64.5%

24

215

224.5

9.5

8332

5339

64.0%

25

220

233.0

13.0

7653

5259

68.7%

昨年と比べて、全体の平均点が8.5点上がっている。
昨年よりも、易しかった。
ただ、過去の数字をみると、平均点230点前後が多い。
従って、今年は、平均的な難易度だった。
むしろ、平成23、24年が難しかったということになる。

一方、合格率をみると、4.7%の上昇となっている。
これまで、合格率は一貫して低落を続けてきた。
例外は、平成22年だが、この年も2%の増加にとどまっている。
(この年は、例の「平成22年頃まで3000人」の年だった。多少無理をしたのだろう。)
従って、今年は、司法試験史上最大の上昇幅ということになる。
その結果、短答合格率は平成21年の水準まで回復した。
短答は、平成21年並みに受かり易くなった。

今後の合格率の予測

合格率上昇の原因は、明らかだ。
受験者数の減少である。
受験者数をみると、ちょうど平成21年の水準に近い。
一方で、合格者数は、さほど減っていない。
この傾向が続く限り、合格率の上昇傾向も続くことになる。

では、受験者数の減少の原因は、何か。
これも、明らかである。
ローの修了者の減少である。
定員削減、志願者減の傾向は、今のところ止まる気配がない。
従って、合格率上昇傾向は、今後も続くと予想できる。

ただ、一時的に合格率を押し下げる要因が生じた。
それは、受験回数制限の緩和である。

時事ドットコム2013/05/30-20:25配信記事より引用、下線は筆者)

司法試験「5年で5回」に緩和=法曹検討会議が座長試案−政府

 司法試験や法科大学院の在り方の見直しを進めている政府の「法曹養成制度検討会議」(座長・佐々木毅元学習院大教授)は30日、座長試案を公表した。司法試験の受験回数制限を緩和し、現行の法科大学院修了後5年間で3回から5回とした。受験生の心理的な負担を和らげるのが狙いだ。

(引用終わり)

これが実施されると、合格率は確実に下がる。
5年5回だと、受け控えに何のメリットもない。
そのため、全員受験するようになるからだ。
ただ、これは一時的な現象である。
ロー修了生全体が減少すれば、全員受験しても受験者数全体の数字は下がる。
従って、長い目でみれば、合格率の上昇傾向には変わりはないだろう。
とはいえ、回数制限緩和が導入された初年度及びその翌年は、影響が顕著に出る。
法曹養成制度検討会議事務局の試算がある(99ページから104ページ参照)。
この中で、参照に値するのは103ページのもの。
すなわち、2000人合格、既に5年経過した者の復活は認めない案によるものである。

※それ以外は、いわゆる「咬ませ犬」の案だろう。
1500人の案は、累積7割を達成できず、受け入れられない。
5年経過者復活案は、導入時合格率低落が激しすぎるから、同様である。
事務局は、敢えてこのような案を用意し、2000人、復活否定の案を通すつもりなのだろう。
審議会では、よくある手法だ。
一応検討したがダメであった、というアリバイ作りである。

この案によると、平成27年導入で試算した受験者(最終)合格率は以下のようになる。

24 24.6%
25 26.7%
26 31.1%
27 20.2%
28 25.9%
29 32.2%
30 37.8%
31 41.8%
32 44.5%
33 46.5%
34 48.0%
35 49.1%

平成27年と28年は、顕著に合格率が低くなる。
しかし、それ以降は、順調に上昇する。
この試算は、予備を考慮していない。
また、平成27年以降の新規受験者数を2236人で固定している。
これらの点は、問題だろう。
それから、既にこのような情報が公になる点が考慮されていない。
平成27、28が厳しいとわかっていれば、修了年度をずらす人も出てくる。
その結果、多少この差が緩和されることも考え得る。
とはいえ、そのような行動を採れる人は、少数にとどまるだろう。
全体の傾向は、概ねこのようになると予想できる。

平均年齢、微増傾向とみるべきか

以下は、短答合格者の平均年齢の推移である。

年度

短答合格者
平均年齢

18

29.92

19

30.16

20

30.36

21

30.4

22

30.8

23

30.7

24

30.9

25

31.0

年齢を上下させるのは、主として以下の要因である。

1.受験生の累積は、上昇要因となる。
 昨年の受験生は、今年は一つ歳を取るからである。

2.知識問題の比重が高いと、上昇要因となる。
 勉強量の多い受験生ほど、有利になるからである。

3.受験回数制限等による退出者の数の増加は、下落要因となる。
 歳を取った受験生が退出するからである。

4.新規修了生の増加は、下落要因となる。
 通常、新規の修了生は、滞留者より若いからである。
 なお、予備試験合格者の平均年齢は、30.31歳(平成24年)である。
 しかも、数が少ない。
 従って、予備の新規参入は、ほとんど変動要因とはならない。

これまでは、30歳で安定している。
そういう見方をしていた。
ただ、今年は31歳に乗せてきた。
平成18年以降、数字を順に見ると、安定ではなく微増傾向。
そう評価すべきようにも見えてくる。
ローに入り直す人の影響かもしれない。
すなわち、上記4の中に、30代を超える人が増えてきた。
このことは、短答−論文の年齢差が拡大傾向にあることとも符合する。
平成24年度新司法試験の結果について(5)参照)
一度受験資格を喪失する人は、論文に受かりにくい属性を強く持つからである。

短答の総合評価への寄与度

今年の最高点は、329点だった。
一方、総合評価段階での最低点は、220点ということになる。
その差は、109点。
総合得点では、109÷2=54.5点の差である。
司法試験における採点及び成績評価等の実施方法・基準について参照)

これは、論文では何点になるのか。
54.5÷1400×800≒31.1点である。
例年、大体これくらいの差になっている。
概ね、設問1つ分の差といってよい。
これは、結構大きい。
短答トップなら、これくらいの差が付く。

では、上位10%なら、どうか。
受験者7653人の上位10%は、765位である。
765位に相当する得点は、277点である。
220点との差は、57点。
総合得点では、28.5点の差だ。
論文換算なら、16.2点となる。
トップの場合と比べると、相当差は縮まっている。

上位20%もみてみよう。
受験者7653人の上位20%は、1530位である。
1530位に相当する得点は、265点である。
220点との差は、45点。
総合得点では、22.5点の差。
論文換算なら、12.8点となる。

上記10%と上位20%の差は、論文だと3.4点しかない。
上位20%を取る労力と、上位10%を取る労力の差と、釣り合うかどうか。
この辺りを勘案して、短答に投入する勉強時間を考えることになる。
無難に上位20%が取れるようになったならば、論文重視でもよい、という感じだろう。
論文は、勉強量と成績とが連動しにくい。
しかも、得点調整により、偏差値換算になる。
偏差値の1点は、なかなか上がらない。
だから、とにかく短答をやるべきだ、と言われたりもする。
しかし、論文でも、無難に得点率50%を取る勉強は可能だ。
得点率50%を維持すれば、昨年なら論文で1321位になる。
これに、12.8点のアドバンテージを加えると、1058位に上昇する。
1000番代でも構わない、というのであれば、一番受かりやすい作戦である。
こういう作戦を採った結果、予想外に上位になることも多い。
多くの受験生が、ハードルを高く設定しすぎて自爆するからである。
偏差値換算でも、得点率50%を取るのは、さほど難しくない。
偏差値70を71にするのと比較すると、格段に容易だ。
勉強の方向性を間違えなければ、論文重視でも良いように思う。
上位20%を取った上で、論文の勉強を深めていけば、短答の点も伸びるものである。
条文・判例の意味を理解するので、知識として定着しやすくなるからだ。
結果として、上位10%ラインに食い込んでいく、というのが理想形だろう。

逆に、上位20%、すなわち265点に届かない人は、知識不足である。
今年の問題での265点は、特に対策をしなくても取れそうな得点である。
この水準が取れない人は、論文に必要な基礎知識も足りない。
従って、とにかく短答重視でやるべきだろう。

科目別得点状況

以下は、各科目の平均点及び最低ライン未満者の割合の推移である。

年度

公法系
平均点

民事系
平均点

刑事系
平均点

公法系
最低ライン
未満割合

民事系
最低ライン
未満割合

刑事系
最低ライン
未満割合

18

58.5

101.4

73.0

1.9%

0.6%

0.1%

19

60.2

103.0

68.5

4.3%

2.1%

0.9%

20

69.7

104.8

76.2

0.7%

1.3%

0.4%

21

63.0

101.7

63.4

2.7%

2.5%

3.9%

22

71.5

96.5

62.8

0.5%

2.4%

4.5%

23

59.3

102.6

57.3

4.4%

1.7%

8.0%

24

54.8

97.6

72.0

11.3%

3.2%

1.3%

25

65.1

104.8

63.1

2.9%

1.4%

5.2%

昨年は、公法系が厳しかった。
その反動で、今年は公法、特に憲法が易しかった。
昨年と比べて、10点以上平均点が上がっている。
最低ライン未満者も、一気に3%程度まで下がった。
ただ、今年の憲法は異例の易しさだったので、来年はもう少し厳しくなるだろう。

民事も、平均点が高い。
過去の数字をみると、最も高い平成20年と同じ数字である。
数字の上では、最も易しかったといえる。
とはいえ、例年との差はそれほどでもない。
受験した実感としては、さほど易しいとは感じなかったのではないか。

他方、刑事は昨年より平均点が落ちている。
最低ライン未満者が最も多かったのも、刑事だった。
ただ、過去5年でみると、平年並みである。
昨年が、易しかった。
来年以降も、この水準くらいなら対応できるようになっておく必要がある。
判例がどのような場合に何罪を成立させたか等を、覚えていくしかない。
できれば、論文の自説の感覚と判例の結論とを一致させておく。
そうすると、現場の感覚で答えても正解しやすくなる。
自分の感覚とあまりに違う判例だけを、特に覚えるようにする。
その方が、効率的だろう。

予備組全員合格

昨年、予備組は85人受験して、84人合格。
すなわち、1名を除いて全員合格した。
(その1名も、病欠の可能性が高い。)
今年は、167人が受験して、167人合格。
名実共に、パーフェクトを達成した。

このことから言えることは、短答は成績が安定し易い、ということである。
一度合格レベルに達すると、何度受けても安定して上位になる。
「短答は裏切らない」などと言われるのは、この安定性を意味する。
逆に言えば、短答にはマグレの可能性が少ない。
模試で一度も合格点を取ったことのない人が、本試験でいきなり合格点を取る。
そういうことは、生じにくい。

これに対して、論文では、なかなかそうもいかない。
昨年、予備組の論文合格率は約69%だった。
予備の論文をクリアしても、3割は落ちる。

※今年は、もう少し予備の合格率は落ちるだろう。
上記3割の再受験者は、ほぼ確実に合格率を下げる。
受験回数が増えると、論文合格率は顕著に下がるからである。
また、平成24年の予備合格者の数が増えている。
このことも、予備組の合格率を下げる要因である。

確かに、予備と司法試験の論文は、問題文の長さ等が違う。
それにしても、短答と比較したときの落差が大きい。
論文は、成績が安定しない。
このことは、重要な特性である。
もっとも、論文も、安定して取る方法はある。
それは、前記の得点率50%を確実に取る、という方法だ。
得点率50%とは、論文の採点基準では、「一応の水準」の中央値である。
司法試験における採点及び成績評価等の実施方法・基準について参照)
採点実感に関する意見で、一応の水準として言及されているレベルを確実に取る。
これは、それほど難しくない。
多くの受験生は、優秀、良好のレベルの記述を気にして、自滅している。
この点に気付くかどうかが、論文攻略のカギになる。

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2013年06月05日

平成25年司法試験論文式行政法の参考資料

平成21年桶川市議会第4回定例会 第15日議事録より抜粋(下線は筆者)

◎堀越修西部区画整理推進事務所長 永野議員さんのご質問にお答えさせていただきます。
 事業見直しに当たって、なぜなったのかの究明なくしてはだめだというお声があるという中で、理事長が何か知事と約束したとのことを知っていますかということでございますけれども、多分ご推察させていただきますと、事業認可の第7回をもらったときに、県のほうに呼ばれました、理事長が。そのときに認可をするときの条件というのではないのですけれども、県のほうの立場上の指導という中で、4項目いただきました。3つについては、普通の一般的なものでございましたけれども、4番目に、総会等のその今言った誤解を招くような、そういったことをしないようにというきつい文書が知事名で書かれていました。それにつきましては、一応理事長がそれに対してしっかりやりますというふうに答えたということだと思いますので、これを報告させていただきます。
 それと、負担について納得していないと、組合運営について指導をちゃんとしているのかというようなお話もございます。
 あと、計画変更についての説明不足ということでございます。その内容については、第1回からの中で件数が多いと、300件ですか、さっき言ったとおり、こういったものについては、先に先行してやってきたと、その責任は市が検証すべきだろうと、住民によく説明されていないというようなことでございますけれども、一応原因追求につきましても、説明会、2カ月以上もかけまして、小地権者、大中地権者、大地権者も含めて事前にお話し合いをさせていただいて、説明は十分行っております。その中で、先ほど議員さんのおっしゃるとおり、いろいろそういうご不満がございました、確かに。ですけれども、これにつきまして十分説明はさせていただきました。
 それと、今言った総会は可決していないのではないかということでございますけれども、それにつきましては、先ほどの説明した中で、今言った3分の2という面積及び組合員数の数、この2つがかつ同時に検証され、クリアできないと、総会自体オーケーもらえません。ですので、定款の先ほど言った賦課金を入れ込むやつにつきましては、十分にお話し合いをさせていただいて、総会でクリアしたと。組合員の方も理解していただいたと。先ほどおっしゃっているとおり、一部の方、必ずしも100%オーケーということはあり得ません。ですので、その方々につきましては、先ほども高野議員の中で説明させていただきましたけれども、理事さんが一緒に入って、地権者に説明して話し合いを進めていくと、それで納得していただくと、そういう方向で持っていくというふうに聞いております。
 それと、公園を売り払う計画は同意はとれていないのではないですかという話でございますけれども、これは5月17日の総会のときに、事業計画の変更ということで、第7回、第8回、第9回というちょっと異例の説明の仕方をしました。これは最終的に第8回、9回が最後の見直しということでございまして、第7回はあくまでも事業見直しをして、その定款に賦課金を入れて、それによって国の無利子を借りられるような形をとるということで、暫定的な事業計画の変更でございます。これによって、先ほどから説明しております、足かせになっておりますその利息、それを外すという形をとる、その救済措置の一つでございます。
 それで、現在その公園につきましても、第8回の変更で行う予定でございます。その8回の事業計画を変更するに当たりまして、今現在、9メーターの都市計画道路の追加変更を現在行っております。それと同時に、やはり公園の位置変更の手続を行っている最中でございます。それを行いまして、今言ったように事業資金を確保することが見通しが立てば、第8回の事業計画の変更でもう一回申請をすると、そういう計画でございます。
 ついでですから、もう一回言わせていただければ、第9回がございます。第9回につきましては、さらに賦課金の出し方が現金で出せない方がおります、当然。皆さん農家地権者でございますので、そんなにいっぱい大金は持っていると、そういうこと言っては失礼なのですけれども、今言ったように、土地を持っている方が多いと思います。ですので、土地とお金もしくは土地、そういった選択ができるような形を組合の中で選んでもらう。チョイスです。選んでもらって、そこで決まった最終的なものが第9回、これが最終的な第9回の事業計画の変更で、資金計画も含めた形で見直す内容にございます。ですから、そのときになってはっきり上日出谷南の変更計画案ができ上がるというふうに理解していただきたいと思っております。
 以上でございます。

○議長(関根隆夫議員) 17番、永野議員。

◆17番(永野朋子議員) 組合の理事長が県に認可7回目のときに呼ばれて指導されたということですけれども、その4項目めの総会で「誤解を招くようなことをするな」、そういうふうに指導された。その「誤解を招くようなことをするな」。「しっかりやります」。これはどういうことなのか、ちょっとよくわからないので、ご説明いただきたいと思います。
 それから、何度もこの2カ月以上も十分に事前に話し合いを行って理解を求めているのだから十分だ。十分だ。2回か3回おっしゃいましたけれども、そうではないと思いますよ。なぜこの50億の負債を抱えるまでに至ったか、これきっちり説明されていないと思います。先ほどそもそも事業計画がもともと合っていないということを私指摘しましたけれども、議事録の中に、桶川市のこれ丹羽さんと天沼さんですか、それからその他、昭和株式会社の方が行かれているみたいです。出席されておりますけれども、県のほうに何でこうなったかということの説明です。逆線引きか区画整理かの選択を迫られた事業認可直前に約300戸の駆け込み建築があり、また認可直前の事業区域拡大で要移転戸数はさらに増加していた。そして、また区画整理への反対が残る中で、同意のとり直しは不能と判断された。そのため認可当初の事業計画には、基本的にこれらの移転増が修正されなかった。そして、まとめに残りは建物移転補償分の収支がもともと合っていない。こういうふうに報告というか、議事録です、これ。されているのですけれども、これを皆さんに明らかにきちんとしていれば、賦課金だれも、一部の方が抵抗しているみたいな言い方されていますけれども、賦課金出すのが嫌やとか、そういうことではないのですよ、そもそも。そもそも何でこうなったかという原因究明をきちっと説明してほしいということが住民の意向なのですよ。先ほど来3分の2の方が理解してもらっていると、土地の3分の2も確保しているというふうなことですけれども、これそもそも何、300平米以下の方は賦課金を出さないでいいよというふうな免除制度があるわけでしょう。あの手この手でやってきて、その原因究明をしっかり、この事業の計画がもともと合っていないということの説明もきちっとされないで、前へ進むというのはちょっとあり得ないというふうに私は思うわけです。住民がそこをちゃんときちんと説明してくれというのはもっともなことだと思いますよ。そこをきちんとしないで、今回このまた焦げつくことがあってはいけない前提だということですけれども、結局さっき交付金とかおっしゃいましたけれども、これお金借りるわけでしょう。だから、大変無謀な計画だというふうに私自身は思いますけれども、その辺はきちっと説明いただきたいのですけれども、どうなのでしょうか。
 以上です。

○議長(関根隆夫議員) 西部区画整理推進事務所長。

   〔堀越修西部区画整理推進事務所長登壇〕

◎堀越修西部区画整理推進事務所長 2回目のご質問の中で十分に説明をしていなかったという、済みません。ごめんなさい。その前に、理事長がその誤解のないようという知事について答えたということでございますけれども、一般的に4項目めは普通入っていない項目らしいのですけれども、いろいろと先ほどのおっしゃっているとおり、今言った事業計画なり、総会等に反対の方が県のほうに行かれて、いろいろと県の指導内容について聞かれたものということにうちのほうは理解しておるのですけれども、その中で、先ほど言ったいろいろ誤解を招かないようにということで指導しなさいというような形で文書書かれております。今現在ちょっと手元にないのでお答えできないのですけれども、ありましたら、また今度お渡ししてもいいと思っております、その資料につきましては。
 それと、十分に詳しく説明していないと、本当の内容ですよね。ですから、議会の中で再三当初の計画にのっとらない駆け込みがございましたということで、それは事実そのとおりでございますし、ただ、それが今言った訂正されなかったということでございますけれども、大体その事業計画書の内容の当初のものですと、土地の単価が非常に高かったのです、当初の中では。ですので、その保留地処分金等について、当初のとおり、お金がある程度処分できるような値段で売れていれば、結構そのカバーもできたという状況があったと思うのです、その状況の中では。
 それと、途中でその補償負担、補償費が約1.5倍ぐらい上がっております。ですから、その辺の計算も全然入れていなかったという経緯がございます、当初については。その中でどうしてもお金が足りなくなったというのが現実的なものでございます。
 それで、今言った300平米以下の免除についても、3分の2の地権者の数でやっているのではないかということでございます確かに300平米の控除につきましては、いろいろ議論があるかと思います。その中で、一応公平性の中で法40条第2項、賦課金の公平性についてということで一応うたわれております原則的にはその地権者全員から集めるものだというのが一般常識でございます。ただ、その見直し検討委員会の中の19年の中でやっている中で、その300平米以下の地権者に負担をかけないその考え方というものが出されております。その中で、先ほどの内容の中で、区画整理地内の小宅地のうち400件に及ぶ戸数については、工事が施工され、使用収益を受け、事業効果の上がった宅地を購入しており、この人たちに賦課金をかけることは理解されず、総会において同意を得ることは困難であろうということも出されております、1つとして。2つ目としては、上日出谷地域、江川土地改良区内を除き、昭和45年の都市計画法によって市街化区域に編入され、ミニ住宅団地の住宅化が進行したと。その中で昭和50年代後半、埼玉県は区画整理を施行しながら、市街化区域から調整区域に逆線引きを行うとして、区画整理を行うかどうかの選択をその当時区域の住民は区画整理を先行するということで選択しております。その中で、今言った駆け込みのミニ住宅団地、それから住宅の地域の多くの農家の組合、土地区画整理設立準備委員会が発足されて、その区画整理の住宅の促進を図るという中で、62年に組合が設立されております。その経緯の中で、先ほどその都市計画決定道路ですか、幹線道路の支障にならないものから街路として整備いろいろ残されてきている経緯がございます。その中でその宅地の方に賦課金を求め、理解をいただくということは、到底同意が得られないというのを検討の中で入っております。もしやるとなると、当然その2年なり3年かけて同意を求めなければいけないという経緯がございます。当然これだけの人数がいる中で総会を開いて否決されると、それの繰り返しをやっていかなければいけないわけです。当然それだけの時間と余裕とお金があれば、当然それがやるべき本当の姿だというふうには思っております。ただ、今回、先ほどもおっしゃっているとおり、どうしても破綻してしまうと、その中で理事さんが9,300万のお金を出して事業運営を行っているという状況になっています。ですので、去年理事さんがその9,300万を出されていなければ、当組合はもう破綻に入っております、はっきり言いまして今現在多分節約して6,000万ぐらいまだ残っております。それはあくまでも残された補助金を使ってやっているだけの事業、粛々とやっているだけでございます。ここで見直しが1年以内にできないとなると、それも破綻してしまうという状況にございます。そうなりますと、市のほうとしても指導責任もございます。最終的にも責任を市のほうにおっかぶさってくるのではないかという中で、やはりその今300平米の小地権者の方の賦課金は控除をするというようなことで決まってきている経緯がございます。それを受けて県のほうにも先ほど言ったとおり、土地所有者の面積の多い人の犠牲の下にその土地所有者の少ない人が利益を受ける関係ではなくして、今言った理事、協力金等市の援助、負担として、土地所有者全員から一律に免除したものであると。これによって一応先ほど言った40条の2項の公平性に対して違法ではないというふうな形でやらせていただくという形で考えております。

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2013年06月04日

平成25年司法試験論文式公法系第1問参考答案

問題文は、こちら

第1.設問1

1.デモ行進の不許可処分について

(1)B県集団運動に関する条例(以下「集団運動条例」という。)は、萎縮的効果のある事前抑制手段である許可制を採用している(2条)。同条例には許可推定条項がないから、実質的に届出制であるということもできない。
 よって、同条例は、デモ行進の自由を侵害するから憲法21条1項に違反する。従って、同条例に基づく不許可処分も違憲である。

(2)仮に同条例が合憲であったとしても、Aらによるデモ行進は平穏なもので、不許可事由がない以上、不許可処分は違法である。

2.教室使用の不許可処分について

(1)B県立大学教室使用規則(以下「規則」という。)は教室使用につき一般的な許可制を定めている。これは集会の自由に対する許されない事前抑制であるから、憲法21条1項に違反する。

(2)Aらは、CゼミとしてC教授の了承も得た上で使用願を提出したのであるから、従来の運用からすれば許可されるべきであるのに、不許可とした大学の判断は違法である。

第2.設問2

1.B県側の反論

(1)デモ行進について

 集団運動条例は実質的に届出制であるから合憲であり、同条例3条1項4号該当と判断したB県公安委員会の判断に裁量の逸脱濫用があるとはいえないから、不許可処分に違法はない。

(2)教室使用について

 教室使用の許否は大学の裁量事項であり、規則及びその適用について、裁量逸脱濫用はないから、不許可処分は適法である。

2.私見

(1)デモ行進の不許可について

ア.条例の合憲性について

(ア)憲法21条1項は集会の自由を定めている。デモ行進は、動く集会として同項で保障される。デモ行進は、受け手と送り手の固定化した現代にあって一般市民が世論に訴えかける重要な手段であり、そのためには道路、公園、広場等の公共空間の使用を当然の前提とするから、上記憲法上の保障は、上記道路等の使用を妨げられない自由をも包含する。そうである以上、一般的な許可制による事前規制を定めることは許されない。
 もっとも、集会は行動を伴うことから、一定の制約を受けざるを得ない。特にデモ行進は、屋外で、しかも場所的移動を伴うことから、公共の安全との調整を図る必要性が大きい。デモ行進実施前に交通整理等秩序維持の体制を整える必要もあるから、事前にデモ行進の実施を把握する必要もある。従って、特定の場所又は方法につき、明確かつ合理的な基準の下にあらかじめ届出をさせ、公共の安全に対し明らかな差し迫った危険が予見される場合に、これを禁止しても憲法21条1項には違反しない(新潟県公安条例事件判例参照)。また、「許可」の用語が用いられていても、不許可の場合が厳格に制限され、その外は許可すべきことが義務付けられていれば、実質において届出制である(東京都公安条例事件判例参照)。

(イ)以上を集団運動条例についてみると、1条において対象となる場所及び方法を特定し、3条1項各号で不許可事由が厳格に制限され、各号不該当ならば許可しなければならない(同項柱書)。また、B県住民投票に関する条例(以下「住民投票条例」という。)14条1項2号及び3号は、デモ行進の重要性を考慮してもなお受忍限度を超える程度の行為を指し、集団運動条例3条1項4号は上記が「明らか」な場合としているから、明確かつ合理的な基準の下に明らかな差し迫った危険が予見される場合を禁止対象とするものである。

(ウ)以上によれば、集団運動条例は憲法21条1項に違反しない。
 なお、同条例には許可推定条項はないが、上記(ア)の趣旨からすれば、不許可処分による明示の禁止がない限り自由であることは特に規定がなくても当然であること(なお、行手法37条参照)、許可の義務付けの訴え(行訴法3条6項2号)の手段もあることからすれば、直ちに違憲の理由とはならない。

イ.条例の適用について

(ア)上記ア(ア)からすれば、不許可事由該当性の判断は、B県公安委員会の裁量行為ではない。従って、裁量逸脱濫用の観点ではなく、客観的に不許可事由の有無を判断して決すべきである。

(イ)B県公安委員会は、交通渋滞発生及び住宅街の交通事故発生のおそれ並びに騒音被害が住民投票条例14条1項2号に該当し、飲食店の売上減少が同条3号に該当するとして、集団運動条例3条1項4号に該当すると判断したと思われる。

(ウ)しかし、前記(1)アで述べたデモ行進の意義からすれば、交通渋滞は利便性の問題に過ぎず、受忍限度を超えるものではないし、住宅街の交通量の増加は歩行者、自動車運転者等が交通規則を遵守する限り当然には交通事故の発生につながるものではなく、適宜条件を付し(同条2項3号)、又は交通整理を行うことも可能である。また、過去2回のデモ行進の態様から拡声器等の使用は予見されず、行進場所は閑静な住宅街ではなく、県内最大の商業ゾーンであることから、騒音被害は受忍しうる範囲のものである。そうすると、住民投票条例14条1項2号に当たらない。
 また、飲食店の売上減少は、デモ行進の参加者による積極的妨害によるものではない。道路の使用状況による間接的な影響は道路工事、各種行事の実施等その他の要因でも生じ得るもので、特別の事情がない限り飲食店が甘受すべきものである。本問では受忍限度を超えるような上記特別の事情はうかがわれない。従って、同条3号にも当たらない。

(エ)以上から、集団運動条例3条1項4号に該当しないから、B県公安委員会の不許可処分は、違法である。

(2)教室使用の不許可について

ア.規則の適法性について

(ア)講演会も集会の一類型であるから、集会の自由として憲法21条1項で保障される。
 もっとも、大学の教室は、道路、公園、広場等とは異なり、誰もが自由に出入りできる公共空間ではなく、大学の管理に服する。学生であっても、大学の許可なく上記道路等と同様に教室を使用できるわけではない。そうである以上、上記集会の自由は、たとえ学生であっても、大学の教室を当然に使用することを請求できる権利までは含まない。
 以上から、教室使用の許否は大学の裁量に委ねられるから、規則によって一般的な許可制を定めても違憲の問題は生じない。

(イ)もっとも、裁量逸脱濫用の違法の問題は生じうる。
 本問で、大学は教育・研究を目的とする機関であるから、その施設の使用も上記目的に合致する場合に限ることは何ら不合理ではなく、裁量逸脱濫用には当たらない。
 よって、規則の定めに違法はない。

イ.規則の適用について

(ア)Aらの教室使用願は、従前の運用からは許可されるはずであった。もっとも、従前の運用と異なる判断が、直ちに裁量逸脱濫用とはいえない。従前と異なる判断が著しく妥当性を欠いているかという観点から検討すべきである。

(イ)本問で、大学が従前と異なる判断をした理由は、Cゼミ主催の講演会の政治的色彩の強さから政治目的使用と判断したことにある。
 しかし、前記(1)イ及びデモ行進が住民意思を拘束又は干渉するとはいえず、住民投票条例14条1項1号にも当たらないことから、条例違反はない。学問の批判的本質から、県政批判と教育・研究目的は矛盾しない。講演者が政治家であっても、賛成反対の両立場を招いたから中立性は保たれている。以上から、政治的色彩が強いとする判断の妥当性に疑問を抱かせる。
 また、ニュースで流されたAの発言を学長及び副学長が観たこと、同じく格差問題をテーマとする経済学部のゼミの申請は許可したこと、上記発言が県政批判であることが理由の一つとされたことから、上記Aの発言を過度に重視した疑いもある。

(ウ)しかし一方で、デモ行進及び上記Aの発言の政治性は否定できないこと、中立性が保たれていることは、政治性がないことを意味しないこと、経済学部のゼミについては評論家を招くにとどまったという以外に許可の理由が明らかでなく、ニュースで流されたAの発言を学長及び副学長が観たという事実のみから大学の恣意性を直ちに認めることも困難であることからすれば、なお著しく妥当性を欠くとはいえない。

(エ)以上から、不許可とした大学の判断に裁量逸脱濫用は認められないから、不許可処分は適法である。

以上

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