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2013年01月27日

最新最高裁判例

最高裁判所第二小法廷決定平成24年11月06日

【事案】

1(1) A及びB(以下「Aら」という。)は,平成22年5月26日午前3時頃,愛媛県伊予市内の携帯電話販売店に隣接する駐車場又はその付近において,同店に誘い出したC及びD(以下「Cら」という。)に対し,暴行を加えた。その態様は,Dに対し,複数回手拳で顔面を殴打し,顔面や腹部を膝蹴りし,足をのぼり旗の支柱で殴打し,背中をドライバーで突くなどし,Cに対し,右手の親指辺りを石で殴打したほか,複数回手拳で殴り,足で蹴り,背中をドライバーで突くなどするというものであった。

(2) Aらは,Dを車のトランクに押し込み,Cも車に乗せ,松山市内の別の駐車場(以下「本件現場」という。)に向かった。その際,Bは,被告人がかねてよりCを捜していたのを知っていたことから,同日午前3時50分頃,被告人に対し,これからCを連れて本件現場に行く旨を伝えた。

(3) Aらは,本件現場に到着後,Cらに対し,更に暴行を加えた。その態様は,Dに対し,ドライバーの柄で頭を殴打し,金属製はしごや角材を上半身に向かって投げつけたほか,複数回手拳で殴ったり足で蹴ったりし,Cに対し,金属製はしごを投げつけたほか,複数回手拳で殴ったり足で蹴ったりするというものであった。これらの一連の暴行により,Cらは,被告人の本件現場到着前から流血し,負傷していた。

(4) 同日午前4時過ぎ頃,被告人は,本件現場に到着し,CらがAらから暴行を受けて逃走や抵抗が困難であることを認識しつつAらと共謀の上,Cらに対し,暴行を加えた。その態様は,Dに対し,被告人が,角材で背中,腹,足などを殴打し,頭や腹を足で蹴り,金属製はしごを何度も投げつけるなどしたほか,Aらが足で蹴ったり,Bが金属製はしごで叩いたりし,Cに対し,被告人が,金属製はしごや角材や手拳で頭,肩,背中などを多数回殴打し,Aに押さえさせたCの足を金属製はしごで殴打するなどしたほか,Aが角材で肩を叩くなどするというものであった。被告人らの暴行は同日午前5時頃まで続いたが,共謀加担後に加えられた被告人の暴行の方がそれ以前のAらの暴行よりも激しいものであった。

(5) 被告人の共謀加担前後にわたる一連の前記暴行の結果,Dは,約3週間の安静加療を要する見込みの頭部外傷擦過打撲,顔面両耳鼻部打撲擦過,両上肢・背部右肋骨・右肩甲部打撲擦過,両膝両下腿右足打撲擦過,頚椎捻挫,腰椎捻挫の傷害を負い,Cは,約6週間の安静加療を要する見込みの右母指基節骨骨折,全身打撲,頭部切挫創,両膝挫創の傷害を負った。

2.原判決は,以上の事実関係を前提に,被告人は,Aらの行為及びこれによって生じた結果を認識,認容し,さらに,これを制裁目的による暴行という自己の犯罪遂行の手段として積極的に利用する意思の下に,一罪関係にある傷害に途中から共謀加担し,上記行為等を現にそのような制裁の手段として利用したものであると認定した。その上で,原判決は,被告人は,被告人の共謀加担前のAらの暴行による傷害を含めた全体について,承継的共同正犯として責任を負うとの判断を示した。

【判旨】

 所論は,被告人の共謀加担前のAらの暴行による傷害を含めて傷害罪の共同正犯の成立を認めた原判決には責任主義に反する違法があるという。
 そこで検討すると,事案1の事実関係によれば,被告人は,Aらが共謀してCらに暴行を加えて傷害を負わせた後に,Aらに共謀加担した上,金属製はしごや角材を用いて,Dの背中や足,Cの頭,肩,背中や足を殴打し,Dの頭を蹴るなど更に強度の暴行を加えており,少なくとも,共謀加担後に暴行を加えた上記部位についてはCらの傷害(したがって,第1審判決が認定した傷害のうちDの顔面両耳鼻部打撲擦過とCの右母指基節骨骨折は除かれる。以下同じ。)を相当程度重篤化させたものと認められる。この場合,被告人は,共謀加担前にAらが既に生じさせていた傷害結果については,被告人の共謀及びそれに基づく行為がこれと因果関係を有することはないから,傷害罪の共同正犯としての責任を負うことはなく,共謀加担後の傷害を引き起こすに足りる暴行によってCらの傷害の発生に寄与したことについてのみ,傷害罪の共同正犯としての責任を負うと解するのが相当である。原判決の事案2の認定は,被告人において,CらがAらの暴行を受けて負傷し,逃亡や抵抗が困難になっている状態を利用して更に暴行に及んだ趣旨をいうものと解されるが,そのような事実があったとしても,それは,被告人が共謀加担後に更に暴行を行った動機ないし契機にすぎず,共謀加担前の傷害結果について刑事責任を問い得る理由とはいえないものであって,傷害罪の共同正犯の成立範囲に関する上記判断を左右するものではない。そうすると,被告人の共謀加担前にAらが既に生じさせていた傷害結果を含めて被告人に傷害罪の共同正犯の成立を認めた原判決には,傷害罪の共同正犯の成立範囲に関する刑法60条,204条の解釈適用を誤った法令違反があるものといわざるを得ない。
 もっとも,原判決の上記法令違反は,一罪における共同正犯の成立範囲に関するものにとどまり,罪数や処断刑の範囲に影響を及ぼすものではない。さらに,上記のとおり,共謀加担後の被告人の暴行は,Cらの傷害を相当程度重篤化させたものであったことや原判決の判示するその余の量刑事情にも照らすと,本件量刑はなお不当とはいえず,本件については,いまだ刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。

【千葉勝美補足意見】

 私は,法廷意見に補足して,次の点について私見を述べておきたい。

1.法廷意見の述べるとおり,被告人は,共謀加担前に他の共犯者らによって既に被害者らに生じさせていた傷害結果については,被告人の共謀及びそれに基づく行為がこれと因果関係を有することはないから,傷害罪の共同正犯としての責任を負うことはなく,共謀加担後の暴行によって傷害の発生に寄与したこと(共謀加担後の傷害)についてのみ責任を負うべきであるが,その場合,共謀加担後の傷害の認定・特定をどのようにすべきかが問題となる。
 一般的には,共謀加担前後の一連の暴行により生じた傷害の中から,後行者の共謀加担後の暴行によって傷害の発生に寄与したことのみを取り出して検察官に主張立証させてその内容を特定させることになるが,実際にはそれが具体的に特定できない場合も容易に想定されよう。その場合の処理としては,安易に暴行罪の限度で犯罪の成立を認めるのではなく,また,逆に,この点の立証の困難性への便宜的な対処として,因果関係を超えて共謀加担前の傷害結果まで含めた傷害罪についての承継的共同正犯の成立を認めるようなことをすべきでもない。
 この場合,実務的には,次のような処理を検討すべきであろう。傷害罪の傷害結果については,暴行行為の態様,傷害の発生部位,傷病名,加療期間等によって特定されることが多いが,上記のように,これらの一部が必ずしも証拠上明らかにならないこともある。例えば,共謀加担後の傷害についての加療期間は,それだけ切り離して認定し特定することは困難なことが多い。この点については,事案にもよるが,証拠上認定できる限度で,適宜な方法で主張立証がされ,罪となるべき事実に判示されれば,多くの場合特定は足り,訴因や罪となるべき事実についての特定に欠けることはないというべきである。もちろん,加療期間は,量刑上重要な考慮要素であるが,他の項目の特定がある程度されていれば,「加療期間不明の傷害」として認定・判示した上で,全体としてみて被告人に有利な加療期間を想定して量刑を決めることは許されるはずである。本件を例にとれば,共謀加担後の被告人の暴行について,凶器使用の有無・態様,暴行の加えられた部位,暴行の回数・程度,傷病名等を認定した上で,被告人の共謀加担後の暴行により傷害を重篤化させた点については,「安静加療約3週間を要する背部右肋骨・右肩甲部打撲擦過等のうち,背部・右肩甲部に係る傷害を相当程度重篤化させる傷害を負わせた」という認定をすることになり,量刑判断に当たっては,凶器使用の有無・態様等の事実によって推認される共謀加担後の暴行により被害者の傷害を重篤化させた程度に応じた刑を量定することになろう。また,本件とは異なり,共謀加担後の傷害が重篤化したものとまでいえない場合(例えば,傷害の程度が小さく,安静加療約3週間以内に止まると認定される場合等)には,まず,共謀加担後の被告人の暴行により傷害の発生に寄与した点を証拠により認定した上で,「安静加療約3週間を要する共謀加担前後の傷害全体のうちの一部(可能な限りその程度を判示する。)の傷害を負わせた」という認定をするしかなく,これで足りるとすべきである。
 仮に,共謀加担後の暴行により傷害の発生に寄与したか不明な場合(共謀加担前の暴行による傷害とは別個の傷害が発生したとは認定できない場合)には,傷害罪ではなく,暴行罪の限度での共同正犯の成立に止めることになるのは当然である。

2.なお,このように考えると,いわゆる承継的共同正犯において後行者が共同正犯としての責任を負うかどうかについては,強盗,恐喝,詐欺等の罪責を負わせる場合には,共謀加担前の先行者の行為の効果を利用することによって犯罪の結果について因果関係を持ち,犯罪が成立する場合があり得るので,承継的共同正犯の成立を認め得るであろうが,少なくとも傷害罪については,このような因果関係は認め難いので(法廷意見が指摘するように,先行者による暴行・傷害が,単に,後行者の暴行の動機や契機になることがあるに過ぎない。),承継的共同正犯の成立を認め得る場合は,容易には想定し難いところである。

 

最高裁判所第三小法廷判決平成24年11月20日

【事案】

1.上告人らが,東広島市都市計画事業西条駅前土地区画整理事業(以下「本件事業」という。)に関し,東広島市が土地区画整理法78条3項において準用する同法73条3項に基づき上告人ら及び選定者Aを相手方として損失の補償につき行った土地収用法94条2項の規定による裁決の申請は,土地区画整理法77条7項に基づき同市が自ら行うべき建築物等の移転(以下「本件直接施行」という。)が完了していない段階のもので不適法であるから,上記裁決の申請を却下しないでされた広島県収用委員会の平成18年10月24日付け裁決(以下「本件損失補償裁決」という。)は違法であると主張して,被上告人を相手に,本件損失補償裁決の取消しを求める事案。なお,上告人らは,本件と併合審理された訴えにおいて,東広島市の本件直接施行が完了していない以上,本件損失補償裁決に対する上告人ら及び選定者Aの審査請求を棄却した国土交通大臣の平成21年7月22日付け裁決(以下「本件裁決」という。)も違法であると主張して,国を相手に,本件裁決の取消しをも求めていたが,原判決のうちその請求を棄却すべきものとした部分は既に確定している。

(参照条文)

土地区画整理法

77条1項 施行者は、第九十八条第一項の規定により仮換地・・を指定した場合・・において、従前の宅地・・に存する建築物その他の工作物又は竹木土石等(以下これらをこの条及び次条において「建築物等」と総称する。)を移転し、又は除却することが必要となつたときは、これらの建築物等を移転し、又は除却することができる。
2項 施行者は、前項の規定により建築物等を移転し、又は除却しようとする場合においては、相当の期限を定め、その期限後においてはこれを移転し、又は除却する旨をその建築物等の所有者及び占有者に対し通知するとともに、その期限までに自ら移転し、又は除却する意思の有無をその所有者に対し照会しなければならない。
7項 施行者は、第二項の規定により建築物等の所有者に通知した期限後・・においては、いつでも自ら建築物等を移転し、若しくは除却し、又はその命じた者若しくは委任した者に建築物等を移転させ、若しくは除却させることができる。この場合において、・・以下略。
8項 前項の規定により建築物等を移転し、又は除却する場合においては、その建築物等の所有者及び占有者は、施行者の許可を得た場合を除き、その移転又は除却の開始から完了に至るまでの間は、その建築物等を使用することができない。

78条1項 前条第一項の規定により施行者が建築物等を移転し、若しくは除却したことにより他人に損失を与えた場合・・においては、施行者(・・かっこ書き略。)は、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
3項 第七十三条第二項から第四項までの規定は、第一項の規定による損失の補償について準用する。この場合において、同条第四項中「国土交通大臣、都道府県知事、市町村長若しくは機構理事長等又は前条第一項後段に掲げる者」とあるのは「施行者」と、「同項又は同条第六項」とあるのは「第七十七条第一項」と読み替えるものとする。

73条2項 前項の規定による損失の補償については、損失を与えた者と損失を受けた者が協議しなければならない。
3項 前項の規定による協議が成立しない場合においては、損失を与えた者又は損失を受けた者は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法 (昭和二十六年法律第二百十九号)第九十四条第二項の規定による裁決を申請することができる。

土地収用法

94条2項 前項の規定による協議が成立しないときは、起業者又は損失を受けた者は、収用委員会の裁決を申請することができる。

133条 収用委員会の裁決に関する訴え(次項及び第三項に規定する損失の補償に関する訴えを除く。)は、裁決書の正本の送達を受けた日から三月の不変期間内に提起しなければならない。
2 収用委員会の裁決のうち損失の補償に関する訴えは、裁決書の正本の送達を受けた日から六月以内に提起しなければならない。
3 前項の規定による訴えは、これを提起した者が起業者であるときは土地所有者又は関係人を、土地所有者又は関係人であるときは起業者を、それぞれ被告としなければならない。

2.事実関係等の概要

(1) 上告人X1,上告人X2及び選定者Aは,亡Bの相続人である。

(2) B所有の広島県東広島市西条本町に所在する木造瓦葺平家(一部2階)建の建物その他工作物及び立竹木土石等(以下併せて「本件建物等」という。)並びに選定者Aを代表者とする上告人X3(以下「上告人会社」という。)所有の同町に所在する工作物等一式(以下「本件工作物等」という。)は,本件事業の平成15年度の移転区域に存していた。

(3) 東広島市は,平成15年10月30日付けで,上告人X1,上告人X2及び選定者Aに対して本件建物等の移転につき,上告人会社に対して本件工作物等の移転につき,それぞれ期限を同16年2月10日とする土地区画整理法77条2項の通知及び照会をした。
 東広島市は,同年3月24日,同条7項に基づき本件直接施行に着手し,同年9月29日,本件建物等及び本件工作物等を仮換地上に移動した上で,上告人ら及び選定者Aに対し,本件直接施行の完了を通知した。
 東広島市は,平成17年3月17日,同法78条1項の規定による損失の補償について上告人ら及び選定者Aとの間で協議をしたものの,当該協議が成立しなかったとして,同条3項において準用する同法73条3項に基づき,上告人ら及び選定者Aを相手方として,広島県収用委員会に損失の補償に係る裁決の申請をしたところ,同委員会は,同18年10月24日,本件損失補償裁決をした。

(4) 上告人ら及び選定者Aは,平成18年11月20日,本件損失補償裁決を不服として,国土交通大臣に対し審査請求をしたところ,同大臣は,同21年7月22日,上記審査請求を棄却する旨の本件裁決をした。本件裁決の裁決書の謄本は,同月23日,上告人ら及び選定者Aに対して送達された。
 上告人らは,平成22年1月19日,本件裁決の取消しを求める訴えを提起し,同年6月1日,行政事件訴訟法19条1項に基づき,本件裁決の原処分である本件損失補償裁決の取消しを求める訴えをこれに併合して提起した。

3.原審は,上記事実関係等の下において,要旨次のとおり判断し,本件損失補償裁決の取消しを求める訴えを却下すべきものとした。
 土地収用法133条1項は,収用委員会の裁決に関する訴えは,損失の補償に関する訴えを除き,裁決書の正本の送達を受けた日から3か月の不変期間内に提起しなければならないと規定し,行政事件訴訟法14条所定の出訴期間より短期の出訴期間を定めている。そして,収用委員会の裁決に対して審査請求をした場合の当該収用委員会の裁決の取消訴訟の出訴期間についても,土地収用法133条1項の規定が優先して適用される結果,行政事件訴訟法14条3項の定めにかかわらず,当該取消訴訟は,当該審査請求に対する裁決の裁決書の正本の送達を受けた日から3か月以内に提起しなければならない。本件損失補償裁決の取消しを求める訴えは,同法20条により,本件裁決の取消しを求める訴えが提起された平成22年1月19日に提起されたものとみなされるところ,同訴えは,本件裁決の裁決書に係る送達がされた同21年7月23日から3か月を経過した後に提起されたものであり,出訴期間を徒過した不適法な訴えである。

【判旨】

1.原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。

(1) 平成16年法律第84号(行政事件訴訟法の一部を改正する法律。以下「平成16年改正法」という。)により,国民の権利利益のより実効的な救済手続の整備を図る観点から,出訴期間の定めによる法律関係の安定を考慮しつつ,国民が行政事件訴訟による権利利益の救済を受ける機会を適切に確保するために,行政事件訴訟法14条1項所定の取消訴訟の出訴期間が3か月から6か月に延長された一方,平成16年改正法附則により,土地収用に係る法律関係の早期安定の観点から,土地収用法に「収用委員会の裁決に関する訴え(次項及び第3項に規定する損失の補償に関する訴えを除く。)は,裁決書の正本の送達を受けた日から3月の不変期間内に提起しなければならない。」との短期の出訴期間を定める特例規定(133条1項)が設けられた。しかし,収用委員会の裁決についての審査請求に対する裁決の取消訴訟の出訴期間については,このような不服申立てに対する裁決につき短期の出訴期間の特例を定める立法例がある中で,土地収用法に同様の特例規定が設けられなかったことから,その取消訴訟の出訴期間は,行政事件訴訟法14条1項及び2項により審査請求に対する裁決があったことを知った日から6か月以内かつ当該裁決の日から1年以内とされることとなった。これは,審査請求がされた場合における審査請求に対する裁決の取消訴訟については,同法の一般規定による通例の出訴期間に服させ,訴えの提起の要否等に係る検討の機会を十分に付与するのが相当であるとされたものと解される。
 他方,審査請求をすることができる場合(行政庁が誤ってその旨を教示した場合を含む。以下同じ。)において審査請求がされたときにおける原処分の取消訴訟の出訴期間について,平成16年改正法による改正前の行政事件訴訟法14条4項は,同条1項及び3項(現行の同条1項及び2項に相当)に対する起算点に限った特則として,「第1項及び前項の期間は,…その審査請求をした者については,これに対する裁決があったことを知った日又は裁決の日から起算する。」と規定するにとどめていたが,平成16年改正法による改正後の行政事件訴訟法14条3項は,同条1項及び2項とは別個の規定として,「処分又は裁決に係る取消訴訟は,その審査請求をした者については,前2項の規定にかかわらず,これに対する裁決があったことを知った日から6箇月を経過したとき又は当該裁決の日から1年を経過したときは,提起することができない。」と規定し,審査請求に対する裁決の取消訴訟の出訴期間と起算点を含めて同一の期間と定めている。

(2) 行政事件訴訟法14条3項は,審査請求をすることができる場合において審査請求がされたときにおける原処分の取消訴訟の出訴期間の一般原則を定めるものであり,特別法の規定の解釈により例外的にその短縮を認めることについては,国民が行政事件訴訟による権利利益の救済を受ける機会を適切に確保するという同条の改正の趣旨に鑑み,慎重な考慮を要する。
 土地収用法に,収用委員会の裁決につき審査請求がされた場合における当該審査請求に対する裁決の取消訴訟について短期の出訴期間を定める特例規定が設けられなかったのは,上記(1)のとおり,当該審査請求に対する裁決の取消訴訟について訴えの提起の要否等に係る検討の機会を通例と同様に確保する趣旨であると解され,そうすると,収用委員会の裁決につき審査請求がされなかった場合に法律関係の早期安定の観点から出訴期間を短縮する特例が定められているとしても,収用委員会の裁決につき審査請求がされた場合における収用委員会の裁決の取消訴訟の出訴期間について,これと必ずしも同様の規律に服させなければならないというものではない。収用委員会の裁決につき審査請求をすることができる場合において審査請求がされたときにおける当該裁決の取消訴訟の出訴期間と当該審査請求に対する裁決の取消訴訟の出訴期間については,両者とも行政事件訴訟法14条3項を適用して同一の期間と解することができるところ,むしろその解釈によることが,国民が行政事件訴訟による権利利益の救済を受ける機会を適切に確保するという同条の改正の趣旨に沿ったものであるといえる。のみならず,行政事件訴訟法20条は,同法19条1項前段の規定により処分の取消しの訴えをその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えに併合して提起する場合について,出訴期間の遵守については処分の取消しの訴えは裁決の取消しの訴えを提起した時に提起されたものとみなす旨を規定しており,これは,同法10条2項が裁決の取消しの訴えにおいては処分の違法を理由として取消しを求めることができないとしていることを看過するなどして処分の違法を理由とする裁決の取消しの訴えを提起した者につき,原処分の取消訴訟の出訴期間の徒過による手続上の不利益を救済することに配慮したものと解されるところ,審査請求をすることができる場合において審査請求がされたときにおける原処分の取消訴訟の出訴期間と裁決の取消訴訟の出訴期間につき,仮に特別法により前者が後者より短期とされれば,一定の範囲で行政事件訴訟法20条による救済がされない場合が生ずることとなるのに対し,同法の一般規定のとおり両者が同一の期間であれば,同条による救済が常に可能となるのであって,上記のように両者を同一の期間と解することが同条の趣旨にも沿うものというべきである。
 したがって,収用委員会の裁決につき審査請求をすることができる場合において,審査請求がされたときは,収用委員会の裁決の取消訴訟の出訴期間については,土地収用法の特例規定(133条1項)が適用されるものではなく,他に同法に別段の特例規定が存しない以上,原則どおり行政事件訴訟法14条3項の一般規定が適用され,その審査請求に対する裁決があったことを知った日から6か月以内かつ当該裁決の日から1年以内となると解するのが相当である。

(3) 以上によれば,本件損失補償裁決の取消しを求める訴えの出訴期間は,本件裁決があったことを知った日から6か月以内かつ本件裁決の日から1年以内(行政事件訴訟法14条3項)となるところ,本件損失補償裁決の取消しを求める訴えは,本件裁決の裁決書の謄本が送達されて当該裁決があったことを知った日から6か月以内であって本件裁決の日から1年以内の平成22年1月19日に提起された本件裁決の取消しを求める訴えに,同法19条1項前段の規定により追加的に併合して提起されたものであり,同法20条によって同日に提起されたものとみなされることから,出訴期間を遵守して提起されたものというべきである。

2.以上のとおり,本件損失補償裁決の取消しを求める訴えが出訴期間を徒過した違法なものであるとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり,原判決のうち被上告人に関する部分は破棄を免れない。そして,同部分につき,第1審判決を取り消し,@ 本件直接施行が土地区画整理法77条の規定に従って行われ,同法78条1項の「前条第1項の規定により施行者が建築物等を移転し,若しくは除却したことにより他人に損失を与えた場合」に当たるものとして,かつ,A 同法78条3項において準用する同法73条3項の「前項の規定による協議が成立しない場合」に当たるものとして,施行者である東広島市が広島県収用委員会の裁決を申請することができるのか否か等,本件損失補償裁決の適法性について審理させるため,本件を第1審に差し戻すべきである。

【田原睦夫補足意見】

 本件は,差戻審において,本件損失補償裁決の適法性が一から審理されることになるところ,その審理の参考に供する趣旨で,本件記録から認められる若干の問題点について私の考えるところを以下に補足的に指摘しておくこととする。

(1) 本件直接施行の瑕疵の有無について

 本件損失補償裁決が適法か否かの判断をなすに当たっては,その裁決と前提となる各手続の瑕疵の有無が問われるところ,本件においては,本件直接施行が土地区画整理法77条の規定に基づくものと評価できるか否かが問われることとなる。
 ところで,上告人らの主張によれば,東広島市が上告人らに対して,平成15年10月30日付で,同16年2月10日を期限とする同条2項に基づく本件「通知及び照会」をした時点では,その移転先たる本件仮換地は,同地上に存したパチンコ店等の取壊し,撤去が未だなされておらず,その後に行われる宅地造成工事等の完成予定日も未定であったというのである(原判決の認定によれば,仮換地の造成工事の完成検査は,本件「通知及び照会」で移転期限とされた平成16年2月10日より後の同年3月30日である。)。
 上告人らの上記主張どおりの事実が認められる場合には,本件「通知及び照会」に定められた期限内に上告人らにて本件建物等を移転することは物理的に可能であったか否か自体に疑問が存し,仮に,その期限内に移転することが物理的に困難であったと認められる場合には,本件「通知及び照会」の瑕疵は重大なものといわざるを得ず,ひいては本件直接施行をもって同条に基づくものと評価することができるか自体に疑問が生じるといわざるを得ない。
 また,上告人らは,本件建物は,建築基準法施行前の建物であって,その移転工事をするには,同法に基づき建築確認手続が必要である旨主張しているところ,仮に上告人ら主張どおり建築基準法の手続が必要であるならば,本件における移転期限を定めるに当たっては,その手続に必要な期間をも考慮する必要があるといえるのであって,かかる観点からも,本件「通知及び照会」の瑕疵の有無及び程度が検討される必要があるといえよう。

(2) 土地区画整理法78条1項の移転の完了の有無について

 上告人らは,本件建物の移転は,建築基準法に定められた手続を経ていないから,土地区画整理法78条1項の移転の完了とはいえないと主張しているのに対し,原判決は,同項の移転の完了の有無は施行者の判断に委ねられているところ,直接施行による移転が完了したとするには,施行者が物理的に移転したものと判断し,その旨を客観的に明らかにすれば足りる旨判示する。
 しかし,同法77条7項による移転が行われる場合,その建築物等の所有者及び占有者は,その移転の開始から完了に至るまでの間は,その建築物等を使用することができないとされ(同条8項),その完了後にはその使用をすることができるところ,それは,移転前において適法な状態の建物として使用することができていた場合には,移転後においても適法な建物として使用できることが予定されているといえるのであって,単に物理的に移転を終えただけでは,直ちには,同法78条1項の移転の完了とは評価し得ないものというべきである。
 ところで,上告人らは,曳家工法で移転がなされた本件建物は,その移転前は建築基準法施行の際に現に存する建物として同法は適用されない建物であったところ(同法3条2項),曳家工法による移転であっても,その移転には同法の適用がある旨主張している。
 上告人らの主張するとおり本件建物の移転にも同法が適用されるならば,移転した建物が同法に違反する場合には,同法9条により除却,修繕,使用禁止,使用制限等の措置を命じられる可能性が存するのであり,仮に本件移転後の建物に対して上記措置が命じられる現実の可能性が存するときには,物理的に移転したことのみをもって移転が完了したと評価できるかは疑問であるといわざるを得ない。
 原判決の如く,移転後の建物につき建築基準法が適用されるか否か,適用される場合には,本件建物が同法の定める基準に適合しているか否か,適合していない場合に上記措置が命じられる可能性の有無,程度等について何らの検討を加えることなく,物理的な移転の完了をもって,土地区画整理法78条1項の移転が了したと解するのは,粗雑な解釈であるといわざるを得ない。
 また,仮に移転した建物が建築基準法上の違法な建築物として是正命令の対象たり得るような建物である場合に,土地区画整理法78条1項の定める「通常生ずべき損失」を適正に算定することができるかについては,大いに疑問である。
 差戻審においては,以上の諸点をも参考にして,更に審理が尽くされることを望むものである。

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2013年01月21日

政府公表資料等情報

衆院法務委員会平成24年06月08日より抜粋(下線は当サイトによる)

○城内実委員 自由民主党の城内実でございます。・・私は、無所属の時代から一貫して司法修習生への給費制存続を訴えてきました。私は当初、貸与制でいいかと思ったんですが、いろいろな声を聞いて、これはもう絶対に給費制を存続すべきという立場に転向しました

 まさに、司法修習生は、将来の司法と社会秩序の維持、人権擁護を担い、法治国家を支える、社会になくてはならない人材であるのですが、そうした方々が、財源がないからというまさに財務省のそろばん勘定で、それだけで返還義務のある貸与制に変更されるということ、これはどうしても私は賛成できないんです。私は、自由民主党所属になって初めてのこの法務委員会の質問ですけれども、その立場は変わりません。

 今般の裁判所法修正案、自民党の要求も受け入れられましたし、また、司法修習生への経済的支援に関しましては、より修習生の立場に立って、返還猶予等の規定も盛り込まれましたし、かつ、単なる国家財政的理由ではなくて、法曹制度全体から見て検討が行われるということでありますから、私は、まだ十分納得はできませんけれども、一定の評価をしております

 しかし、幾つかの疑問点がございますので、順次これから質問させていただきます。

 まず、裁判所法の六十七条の二に、「、又は修習資金の貸与を受けた者について修習資金を返還することが経済的に困難である事由として最高裁判所の定める事由があるとき」という文言が追加され、また、同条に附則が追加され、「司法修習生に対する適切な経済的支援を行う観点から、法曹の養成における司法修習生の修習の位置付けを踏まえつつ、検討が行われるべき」とすることというふうになりました

 私は、この適切な経済的支援という文言は、これはやはり給費制であるというふうに思います。六月一日の公明党の大口委員に対します辻委員の答弁にもありましたけれども、政務三役が一新され、状況も変わってきましたので、もう一度質問させていただきたいと思います。

 検討の内容には給費制復活というものも視野に入っているのか、含まれているのか、そういう理解でよろしいかどうかというのが一つ。

 また、二点目は、修正法案においては、既に貸与制となっている第六十四、第六十五期の方々について、返還猶予に関する新しい規定が及ばないのではないかという疑問も一部から呈されておりますが、私は当然これは遡及されて適用されると。というのは、適用される人とされない人、こういうのは非常に法のもとの平等に反すると思うんですが、遡及されて適用されるという理解でよろしいかどうか。

 この二点について御質問させていただきたいと思います。

○辻恵委員 お答えいたします。

 三権分立の一翼を担う司法が、インフラが非常に危うい状況になっている。その中で、法曹養成制度をしっかりともう一度立て直すということが喫緊の課題だという前提でこの修正案を出させていただいております。

 その中で、適切な経済的支援を行うということは当然の前提であり、給費制を排除する趣旨ではありませんし、今おっしゃられた、過去にさかのぼって公平、平等な支援を検討するというのも当然含まれている課題だ、このように考えております。

○城内委員 今、辻委員から前向きな御答弁をいただきましたので、給費制も排除する趣旨ではないということと、当然過去にさかのぼっていくことも検討されるという御答弁でしたので、ほっと安心した次第でございます。

 次に、合議制の組織について質問させていただきたいと思います。

 まず第一に、附則第二条に、「一年以内に検討を加えて一定の結論を得た上、速やかに必要な措置を講ずる」とありますが、一年以内といったっていろいろあるわけで、一カ月後とか二カ月後とかありますけれども、一年以内のいつごろ検討が始まるのか、また、一年以内に一定の結論がきちんと得られるのか、確認したいと思います。さらに、「速やかに」とありますけれども、どの程度速やかなのか。大体の勘どころでいいので、感じでいいので、御答弁いただきたいと思います。

○辻委員 附則で、政府は施行後一年以内に検討を加えて一定の結論を得るということであります。したがって、あらゆる課題についてしっかりと議論をして、原則一年以内にしっかりとした結論を出すということでありますし、そのための合議制組織が、政府が一年以内に結論を出すということでありますから、合議制組織はそれの相当程度前の段階で結論を得るということが前提であろうというふうに思っております。

 以上です。

○城内委員 今、辻委員から原則一年以内というお言葉がありましたけれども、私は、論点とか議論はもう出尽くしているわけですから、本当に早急に結論を出していただきたいというふうに思っております。

 そして、組織の構成について質問させていただきたいんです。

 従前の検討体制をより強化するというふうになっておりますが、まさに多様な意見が反映される形でどんどん議論をしていただきたいと思います。よもや、今の法曹フォーラムのメンバーの一部の方がそのまま横滑りして就任することはないというふうに私は理解しております

 と申しますのは、法曹フォーラムのメンバーの方は、多くが貸与制論者で、何か非常にバランスを失しているような感じがいたしますので、私は、合議制の組織というのであれば、例えば当事者であるビギナーズ・ネットの方もメンバーに入れてしまう、こういうことも思い切ってやるべきじゃないかと思うんですけれども、この点についてはどうお考えでしょうか。

○黒岩宇洋委員 お答えいたします。

 今、城内委員の御指摘のとおり、新たな合議制につきましては、従前の検討体制よりもちろん強力なものにする、新たに整備するとなっております。きょうも議論がありましたけれども、当然、法科大学院や法曹関係者以外の多様な意見も反映されるというふうに整備してくださいと私ども修正案の提案者として盛り込んでおりますので、この点につきましてちゃんと受けとめて、本当にさまざまな幅広い検討がなされる、そういう合議体を政府におきましてつくっていただく、このことを要請している次第でございます。

○城内委員 要するに、現場の声を知らないような学者の方ばかりではなくて、ビギナーズ・ネットを初め、まさに当事者というか関係者の悲痛な叫び、これについてはまた私は後で御紹介させていただきたいと思いますけれども、そういう声もちゃんと反映できるような合議制の組織にぜひしていただきたいというふうに思っております。

 次に、大臣に質問させていただきたいと思います。

 大臣はもともと自治省御出身でありますから、財務省の論理と違った形で、自治省として、官僚として本当に御苦労されてきたと思うんですけれども、だからこそ、私は、司法修習生の適切な経済的支援というのは、財務省のお金がないからとか足らないからとかいう論理ではなくて、必要かどうか、そういう至極当然の観点から考えていただきたいというふうに思っておるんです。

 残念ながら、小川前大臣は法曹界出身で司法修習を受けられた方であるにもかかわらず、大口委員の、私は出席できませんでしたけれども、先般の、六月一日の記録を見ると非常に人ごとのような冷淡な答弁をしておりましたし、その前の平岡元大臣も何か冷淡だったんですね。

 ですから、私は、滝大臣であるならばしっかりと、財務省の論理ではなくて、必要かどうかという観点から、経済的支援は削られるべきではないというふうにお考えになっているというふうに理解しておりますが、大臣、どうでしょうか

○滝国務大臣 基本的に、私は法曹ではありませんから、ある意味では中立かもしれません

 そういう中で、今委員からお話しのようなことは、まだ合議制の中で、これから新しくし直す合議体の中でどういうふうな結論になるかということはございますので、あらかじめそれに先立って私の方から意見を申し上げるというのはいかがかと思いますけれども、やはりこれまでの皆さん方の意見は意見として十分に体して法務省も受けとめていかなければいけない、こういうふうに思っております。

 特に、先ほど河井先生も、そして今また委員からもお話がございました。そういうことは、やはり基本的な問題として、どう法曹を育てるかということに視点を当てて、これまでのいきさつはいきさつとして、やはり新たな実態というものはどう反映するかというのはこれからの課題だろうというふうに思っております。

○城内委員 いや、今大臣、御自身は法曹ではないとおっしゃいましたけれども、自民党時代も法務副大臣というか、実質的には南野大臣にかわる法務大臣だったわけですよ。ですから、本当に当事者意識を持っていただいて、まさに政治主導でしっかりと合議制の、もちろん議論はあると思いますけれども、正しい方向に持っていっていただきたいと思います。

 最後に、ビギナーズ・ネットの皆さんの声を幾つか紹介させていただきたいと思いますが、今貸与制で修習している新六十五期の修習生の皆さんから、こんな声があります

 例えば、ちゃんと食べていけるか不安な中で、本来したい公益活動、例えば東北大震災の支援活動だと思いますけれども、かかわることができないのが残念だ。あるいは、もともと経済的に余裕がある人間しか弁護士になれなくなり、法曹の多様性が崩れるのが心配です。さらに、三つ目は、修習を終了しても就職できなかったり、貸与金の返済が始まった時点で返済できるだけの収入を得られず、貸与金を返済できないのではないか、そういう不安がある。また、修習期間という最も見識を深める時期に書籍の購入を控えなければならない同期との親睦を深めたり、知見を広げるためのそういった懇親会、交際費、そういうものが全く捻出できない経済的な不安が大き過ぎて修習に集中できない。こういう声は、私は本当の声だというふうに思っています。

 司法修習制度は法曹全体の改革の中で議論されるべきことは私も承知しています。しかし、特に、今申し上げましたように、東日本大震災で多くの弁護士の方がボランティアで現地に行かれて二重ローンの問題に中心的に取り組んだりしたわけでございますし、まさにこの六十年の、こういった公益のために仕事をするという、弁護士さんも検事さんも裁判官さんもいますけれども、支えてきたのは給費制であったのではないかと私は思うんです。ビギナーズ・ネットの皆さんも、きょうもいらっしゃっていますけれども、人のために何かをしたいと。だから、自分で何か金稼ぎをしたいとか、そういう人というのは私はほとんどいないと思いますよ。社会のために、公益のために働きたい、だから、弁護士になりたい、裁判官になりたい、検事になりたい、そういうつもりでやってきたと思うんです。

 しかし、大学、ロースクールでお金を借りて、さらに司法修習生になって借金を背負う。これは二重苦ですよね。私が十年いたドイツでは、修習生はきちっとやはり国が国費でちゃんと研修費を払っていますよ。この間、大口委員も質問されたようですけれども、そういう国の方が多いんじゃないですか。しかも、司法修習生は兼職もアルバイトもできない地方の修習を命じられても、私が聞いたところでは、交通費も出ないこれでは、公益のために一生懸命働く弁護士さんが減る一方だと思いませんか。私は本当に、何でこんな制度なのかよくわからないんですが。

 もちろん、繰り返しになりますけれども、法曹制度全体が問題ですけれども、その中の最重要案件の一つとして、貸与制を給費制に戻す、そういうことをやはり念頭に置いていただきたいと思いますが、この点について、最後に大臣の見解をお伺いします。

○滝国務大臣 重ねてのお尋ねでございます。

 確かに、日本の制度は、どちらかというとドイツの法曹養成制度に近いかもしれません。恐らく、それが模範になって今日まで続いているんだろうと思います。そういう意味では、そういうドイツの例というものも検討に値するというか、当然、踏まえた議論をしていかなければいけない。

 ただ、今、委員がおっしゃいましたけれども、司法制度改革全体で膨大なというか、従来から比べると膨大な財政資金がこの改革に投入されているということも政府としては考慮に入れていかないといけないということもございますものですから。

 いずれにいたしましても、私の口からどうするかというよりも、せっかく、これから新しい合議体でこの問題について、経済的な困窮をするようなことがないようにというような角度からの議論がされるということでございますから、その議論を待って、受けとめていきたいと思います。

 ただし、毎年毎年十一月からは新たな修習生が誕生するわけでございますから、そういう時期的な問題も念頭に置いて結論を出していかなければいけない、そういうふうに思っております。

○城内委員 今、滝大臣、膨大な財政的な問題があるとおっしゃいましたけれども、私、何度も言いますように、確かにお金がなければできないということはあると思いますけれども、やはり、何が大事か、何が必要か、何が日本の社会にとって大事かという観点から、お金がないからやめますなんというのは誰でも言えることですから、ぜひ、政治主導で、この点についてはより積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。

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2013年01月14日

最新最高裁判例

最高裁判所大法廷判決平成24年10月17日

【大橋正春反対意見】

 私は,多数意見と異なり,本件定数配分規定は本件選挙当時憲法に違反するに至っていたものと考える。その理由は,次のとおりである。

1.多数意見3項(※判旨1)が述べる判断枠組みは,いわゆる参議院議員選挙の定数訴訟において,昭和58年大法廷判決以降,当裁判所が採用してきたものであり,私も,判例の継続性の観点に鑑み,本件選挙当時の本件定数配分規定の憲法適合性の判断に当たって,この判断枠組みを維持することが適当であると考える。また,本件選挙当時,本件定数配分規定が違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたとする多数意見の見解にも賛成するものである。
 しかし,本件選挙までの間に本件定数配分規定を改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超えるものとはいえず,本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたということはできないとする多数意見の結論には賛成することはできない。

2.当裁判所は,昭和58年大法廷判決以降,参議院議員通常選挙の都度,上記の判断枠組みに従い参議院議員定数配分規定の憲法適合性について判断してきたが,平成4年7月26日施行の参議院議員通常選挙当時の最大較差1対6.59について平成8年大法廷判決が違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態が生じていた旨判示したものの,いずれの場合についても,結論において,各選挙当時,参議院議員定数配分規定は憲法に違反するに至っていたものとすることはできないと判示してきたところである。
 しかし,平成16年大法廷判決,平成18年大法廷判決及び平成21年大法廷判決では,当該選挙を違法とする反対意見が付されただけでなく,当該定数配分規定は憲法に違反しないとする多数意見に賛成する裁判官の中からも,立法府の改正作業について厳しい批判が述べられている。その詳細は,多数意見2項(4)(※事案2(4))の記載のとおりである。

3.上記の各大法廷判決を受けて立法府が行った較差是正のための活動は,多数意見2項(4)から(6)まで(※事案2(4)から(6)まで)の記載のとおりである。

4.現行の選挙制度の仕組みを維持する限り,各選挙区の定数を振り替える措置によるだけでは,最大較差の大幅な縮小を図ることは困難であり,これを行おうとすれば,現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要となることは否定できず,また,このような見直しを行うについては,参議院の在り方をも踏まえた高度に政治的な判断が必要であり,事柄の性質上課題も多く,その検討に相応の時間を要することを認めざるを得ないことは多数意見が指摘するとおりである。
 しかし,いうまでもなく,それは,そのことを口実に,立法府が改革のための作業を怠ることを是認するものではない。仮に,早期の結論を得ることが困難であるというならば,その具体的な理由と作業の現状とを絶えず国民に対して明確に説明することが不可欠なのであり,この点に関し,私は,藤田宙靖裁判官の平成16年大法廷判決補足意見2,平成18年大法廷判決及び平成21年大法廷判決各補足意見に賛同するものである。
 このような見地に立って,本件で問題とされる議員定数配分規定の合憲性についてみるならば,問われるべきは,平成16年大法廷判決以後本件選挙までの間に,立法府が,定数配分をめぐる立法裁量に際し,諸々の考慮要素の中でも重きを与えられるべき投票価値の平等を十分に尊重した上で,それが損なわれる程度を,二院制の制度的枠内にあっても可能な限り小さくするよう,問題の根本的解決を目指した作業の中でのぎりぎりの判断をすべく真摯な努力をしたものと認められるか否かであるといわなければならないことも,藤田裁判官が,平成21年大法廷判決補足意見で平成19年選挙について述べられたとおりである。
 平成16年大法廷判決後の最初の定数是正のための公職選挙法改正は平成18年6月に行われたが,その内容は,較差5倍を超えている選挙区及び近い将来5倍を超えるおそれのある選挙区について較差の是正を図るいわゆる4増4減案に基づくものであった。同改正と立法府の真摯な努力については,飽くまでもそれが「当面の」是正策として成立させられたものである限りにおいては(つまり,今後の更なる改善の余地が意識的に留保されており,また改善への意欲が充分に認められる限りにおいては),その段階において許される一つの立法的選択であると評価することもできないではなく,問題の根本的解決に向けて,立法府が真摯な努力を続けつつあることの一つの証であると見ることも,不可能ではなかった(平成21年大法廷判決藤田裁判官補足意見参照)。
 しかし,その後の立法府の動向を見ると,平成18年改正の4増4減措置は,表向きは暫定的なものとされていたものの,その真意は,それを実質的に改革作業の終着駅とし,しかも,最大較差5倍を超えないための最小限の改革に止めるという意図によるものであったと評価せざるを得ない。すなわち,平成18年改正以降現在まで較差是正のための公職選挙法改正は行われていないだけでなく,さきに述べた立法府による改正作業を見ると,立法府は,平成18年改正による4増4減措置の導入後現在に至るまで,およそ6年間に,更なる定数是正につき本格的な検討を行っているようには見受けられない。平成24年8月に国会に提出された改正法案も再び4増4減措置を定めるにすぎず,附則において抜本的な見直しについて引き続き検討を行う旨の規定が置かれているものの,実際には抜本的改正を先送りし最大較差5倍を超えないための最小限の改革に止めるという意図によるものと評価せざるを得ない。そして,抜本的改革が何故なされないのか,更なる定数是正にはどのような理論的・実際的な問題が存在し,どのような困難があるために改革の前進が妨げられているのか等について,立法府は,国民の前に一向にこれを明らかにしていない。
 よって,本件選挙については,憲法の違反があったと判断せざるを得ない。なお,上記に述べたところを前提にすれば,平成19年選挙についても,憲法の違反があったと評価することが相当であったと考える。

5.立法府が較差是正のための公職選挙法改正に当たって考慮すべき基準については,次のように考える。
 憲法は,両議院の議員の任期と参議院議員の半数改選制を自ら定めるほかは,議員の定数,選挙人及び被選挙人の資格,選挙区,投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項について,挙げて国会の立法に委ねているから(43条ないし47条),これらの事項をいかに定め,どのような形態の選挙制度を採用するかに関し,立法府が広範な裁量権を有していることは明らかであり,選挙制度を決定するに当たって,投票価値の平等が唯一,絶対の基準となるものではないことも当然である。
 しかし,投票価値の平等は,全ての有権者が国政選挙に対して平等な権利を持ち,その意味において国民の意見が国政に公正に反映されることを保障する憲法上の要請であるから,立法府が選挙制度を決定するに際して考慮すべき単なる一要素にすぎないものではなく,衆議院のみならず参議院においても,選挙制度に対する最も基本的な要求として位置付けられるべきものである。
 一般に,憲法の平等原則に違反するかどうかは,その不平等が合理的根拠,理由を有するものかどうかによって判定すべきであると考えられているが,投票価値の平等についても,基本的には同様の考え方が妥当すると考える。投票価値の較差については,その限度を2倍とする見解が有力であるが,2倍に達しない較差であっても,これを合理化できる理由が存在しないならば違憲となり得る反面,これを合理化できる十分な理由があれば,2倍を超える較差が合理的裁量の範囲内とされることもあり得ると考えられる(昭和22年2月公布の参議院議員選挙法(昭和22年法律第11号)による定数配分の最大較差は1対2.62であったが,憲法が昭和21年11月3日公布された直後の状況において,選挙権の意義及び投票価値の平等の重要性に対する認識がいまだ十分に浸透していなかった状況の下で,かつ短期間に制定されたのであり,スタートとしては,やむを得ないものであったという意味で合理的裁量の範囲内にあったと理解されるが,そのことから常に1対2.62以内の較差が憲法上許容されているということにはならない。)から,2倍は理論的,絶対的な基準とまではいえないように思われる。しかし,2倍という数値は,常識的で分かりやすい基準であり,国会議員選挙における投票価値の平等といった,全国民に関係する,国政の基本に関わる事柄について,基準の分かりやすさは重要であるから,著しい不平等かどうかを判定する際の目安としては重視すべきであると考える(平成21年大法廷判決金築誠志裁判官補足意見参照)。
 これに対して,二院制の下での参議院の独自性を根拠に,参議院では衆議院とは異なり,厳格な人口比例原理が適用されず,あるいは適用すべきでないと主張されることがある。しかし,憲法が参議院について定めるのは,衆議院のほかに参議院を置くこと(42条),参議院議員の任期を6年とし,3年ごとに半数を改選すること(46条)及び参議院には解散がないことだけであり,二院制の下で参議院の独自性が求められるとしても,その基本となるのは,憲法の定めによって生じる参議院の比較的な安定性に由来するものに限られ,その他の独自性は立法政策により設定されるものにすぎず,したがって,選挙制度に対する最も基本的な要求である投票価値平等原則の制約を受けるものである。
 昭和22年制定の参議院議員選挙法以来,地方選出議員(選挙区選出議員)については,都道府県を単位とする選挙区において選出されるものとしている。都道府県が歴史的にも政治的,経済的,社会的にも独自の意義と実体を有し一つの政治的まとまりを有する単位として捉え得ることから,都道府県を選挙区とすることには一定の合理性があるということができるが,しかし,なお投票価値平等原則の制約を受けることには変わりがない。また,参議院議員選挙法における地方選出議員は,都道府県の住民の利益を代表する地域代表ではなく,国会が広く地方の実情を把握し,また,有用な多種,多様な人材を参議院議員として確保するには,各地方の選挙区から選出する途を設けるのが望ましいとの位置付けで設けられた制度であり,そのこと自体を参議院の独自性の重要な要素とするのは,制度の趣旨に反するものといわなければならない(平成21年大法廷判決田原睦夫裁判官反対意見参照)。

6.最高裁昭和49年(行ツ)第75号同51年4月14日大法廷判決・民集30巻3号223頁は,昭和47年12月10日に行われた衆議院議員の千葉県第一区における選挙について,公職選挙法の選挙区及び議員定数の定めが当該選挙当時において全体として違憲とされるべきものであったとしながら,いわゆる事情判決の法理に従って,当該選挙は憲法に違反する議員定数配分規定に基づいて行われた点において違法である旨を判示するにとどめ,選挙自体はこれを無効としないものとした。同判決は直接には衆議院議員を対象とするものではあるが,そこで採用された事情判決の法理は本件のような参議院議員選挙にも同様に適用されるべきものであり,このことは平成16年大法廷判決,平成18年大法廷判決及び平成21年大法廷判決の反対意見が一様に事情判決の法理の適用を説示していることからもうかがわれるところである。
 事情判決の法理の適用については,定形的に請求棄却の事情判決を繰り返すほかはないとの見解があるが正当ではなく,具体的事情のいかんによっては当該選挙を無効とする判決の可能性があることが前提となっていると理解すべきである。こうした例としては,議員定数配分規定が憲法に違反するとされながらいわゆる事情判決の法理に従った処理をされた場合には,そこではその後当該規定につき立法府による是正がされることの期待の下に,この是正の可能性の存在と,当該規定改正の審議については当該違法とされた選挙に基づいて当選した議員も参加してこれを行うことが妥当であると考えられることなどが比較衡量上の重要な要素とされていたものと推察されるから,同判決後も相当期間かかる改正がされることなく漫然と放置されている等,立法府による自発的是正の可能性が乏しいとみられるような状況の下で更に新たに選挙が行われたような場合が想定される(最高裁昭和56年(行ツ)第57号同58年11月7日大法廷判決・民集37巻9号1243頁の中村治朗裁判官反対意見参照)。
 ただし,上に述べたことは,ひとたび事情判決がなされた場合には,同一の定数配分規定による選挙については再度の事情判決が許されないということではない。例えば,事情判決が出された後,短期間の後に選挙が行われ,定数規定改正のための検討がほとんど不可能であったような場合には,再度の事情判決を行うことが,事情判決の法理を認めた趣旨に合致するといえる。
 ところで,将来において事情判決の法理が適用されずに定数配分規定の違憲を理由とする選挙無効判決が確定した場合には,その判決の対象となった選挙区の選挙が無効とされ,当該選挙区の選出議員がその地位を失うことになる以上,その欠員の補充のための選挙が必要となる。その場合の選挙の具体的方法については,公職選挙法109条4号の再選挙によるのか又は特別の立法による補充選挙として実施するのか,憲法に適合するように改正された定数配分規定に基づいて行うのか又は改正される定数配分規定とは別に先行的な措置として行うのか等の検討が必要となるものの,少なくとも,特別の立法による補充選挙を先行的な措置として行うことについては憲法上の支障はなく,また,その他の方法についても立法上の工夫により憲法上支障なく実施することも可能であると考える。
 本判決において,全裁判官が一致して違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたとされた本件定数配分規定については,その速やかな是正を図ることが立法府として憲法の要請に応えるものであるが,更に,選挙制度の策定に広範な裁量権が認められた立法府として,選挙無効判決が確定するという万一の場合に生じ得る混乱を最小限に抑えるため,欠員の補充のための選挙についての立法措置についても検討を始めることが今後必要となるものと思われる。

7.以上により,私は,本件定数配分規定は,本件選挙当時,違憲であり,いわゆる事情判決の法理により,請求を棄却した上で,主文において本件選挙が違法である旨を宣言すべきであると考える。

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2013年01月11日

政府公表資料等情報

谷垣法務大臣初登庁後記者会見平成24年12月27日より抜粋(下線は当サイトによる)

司法制度改革等に関する質疑について

【記者】
 裁判員制度や強制起訴制度などが始まって3年以上過ぎているので,その問題点も見えてきたと思うのですけれど。

【大臣】
 強制起訴制度が始まったときに,率直に言うと私は批判的な目で見ていたのです。ただ,私は3年経ってそれはある程度問題点も出てきたのかもしれませんが,もう少し見てみたいなという気持ちがございます。今までもいくつか問題がありましたので,そこはよく研究していかなければいけないと思っております。裁判員制度は,長い間掛けて司法改革をやってきたわけですけれども,問題はまだあるのかもしれませんが,全体としては比較的うまく行っているのかなという認識を持っております。しかし,これもこの役所に来ましたので,本当に問題はないかどうかよく勉強してみたいと思っております。また,司法制度の中で,司法試験制度やロースクール制度は,やはり相当問題があって,これは政府の中にも関係閣僚会議などを作っておりますので,その中でじっくり議論も煮詰めていかなければいけないのであろうと思っております。

【記者】
 先ほど司法制度の中でロースクール制度にも問題があってという発言もありましたが,自民党政権時代に規制緩和の流れの中で74校が乱立したということが,一つの要因であるとの指摘もされていますが,具体的にどのような問題があると捉えられているのかという点についてお考えかお聞かせください。

【大臣】
 ロースクールは,あの当時,私も党の司法制度調査会等でその議論に多少関与していたのですが,あのときは今,御指摘のようにロースクールの定員やロースクールの設置数を人為的に抑えると,そこで参入障害,参入障壁が起きてしまうという意見が非常に強かったのです。今となってそう言っても,ずるい言い方かもしれませんが,私はそうかなあという気持ちは多分にありましたけれども,当時はそういう規制緩和論が非常に強かった。しかし,現実にはなかなか合格者を出さないところもたくさん出てくるし,あまりロースクールの数が多過ぎると,結局,司法試験を受けようという人の先行きも見通しも立たないという状況もあったと思います。他方,では,もう少しロースクールの数を制限するかといっても,今度は大都市にあるロースクールはそれなりに人が集まって,教員の能力等も高くて合格者が出せるけれども,地方ではやはりロースクールが必要であると思って作っている例もあって,なかなかそういうものを本当にやりだすと,地方の法曹養成ができるのかという,いろいろな問題があると感じています。ただ,まだそこのところは,私も十分考えが整理できていません。その辺のところは,また関係閣僚会議でも議論していたと思いますので,その議論の成果を聞いてみたいと思っております。

 

衆院法務委員会平成24年06月08日より抜粋(下線は当サイトによる)

○河井克行委員 ・・きょうは、裁判所法の一部を改正する法律案、また法科大学院の教育と司法試験等との連携、いわゆる連携法について含めた改正案についての質疑でありますけれども、もうこの委員会でもたびたび、法曹人口三千人の目標と法科大学院を中心とする法曹養成制度については、私自身あるいは先輩、同僚の議員も質疑に立ってきています。

 実は、新しい動きがありまして、総務省が四月の二十日、さまざまな見直しを法律に基づく権限によって勧告いたしました。

 きょうは総務副大臣もお見えでございますが、いろいろな勧告が書いてあるんですけれども、そもそも、法科大学院の制度そのもの、法科大学院という存在そのものの是か非についての評価はしていないと私は説明を事前に聞いた段階で認識したんですが、それで間違いありませんね。

○大島敦副大臣 お答えをさせていただきます。

 是か非かについての判断については、今回は、個々の点についての勧告をさせていただいておりますので、そこまでの言及はございません。

○河井委員 だからこそ、きょうは大変お忙しい中、政府に設けられております法曹養成に関するフォーラム、各省庁の政務三役の皆様にお越しをいただきました。

 私は、政治家にとって大事なことは、個別の議論だけでなく、制度そのものの是非を論じて、よりよく姿を変えていくために対策を決めていくことだと信じております。

 私の尊敬する高村正彦先生、元法務大臣は、この法曹養成、法曹人口の自民党内の勉強会の際にいつもおっしゃっています。論より証拠、不都合な現実を直視する、そして、理念よりも現実を見ると。新法務大臣、どうかその意識で、ゆめゆめ、既得権益にはまってしまった人たちの意見ではなくて、そしてあなたの後ろにたくさんいらっしゃるお役所の方々の意見ではなくて、現場の声にしっかりと耳を傾けていただきたい、心からお願いをいたします。

 きょうはパネルを用意してきました。理事会のお許しをいただいて、資料もお配りしております。もう先生方にとってはよく御存じのことだと存じますけれども、衆議院テレビを通じて、多くの関係者の方々が関心を持っていらっしゃるだろうということで、法曹養成の仕組みを、最初の法科大学院に入る前の適性試験から、そして実際に任官をされる、弁護士登録をされるまでの、この流れにのっとってきょうは質疑をさせていただきます。

 今回の議員立法は、法曹の卵たち、つまり、司法研修所修習生たちへの資金の貸し付けについてでありますけれども、その前に、法科大学院という大きな塊があります。ここでの費用が膨大にかかっている。法学部以外から進学するいわゆる未修については、私が法務副大臣のときの試算では、三年間で二千万円。つまり、学費や生活費、そしてその間、専業の仕事につくことができませんから、私学に行ったときは三年間で最大二千万近く要る。

 ですから、この法科大学院の部分を根こそぎ変えない限り、また数年後、同じ議員立法を審議することは明らかだ。そうならないために、きょうは提出者の先生方にもお見えをいただいておりますけれども、連携法によって合議制の組織をつくって、その意見を踏まえつつ、法律の施行後一年以内に検討して結論を得、速やかに必要な措置を講ずると明記をされているわけでありまして、事は大変急いでいる、私はそのように考えております。

 ここで一つ提出者にお尋ねをしますが、これは委員長、こちらから個別の方を指名していいんでしょうか。

○小林興起委員長 はい。

○河井委員 では、階先生にお尋ねをいたしますが、ここで「合議制の組織」と書いてございますけれども、一般的に合議制という場合、意見が食い違ったりすることを口実にして、いたずらに時間をかけるとか、関係者間の利害を調整することに追われてしまうこともあり得ますけれども、私は、それは今回のこの議員立法の趣旨から反する、合議制という組織ではあるけれども、全員の意見の一致は必要ない、もっと早く今の現状を改革すべきだ、そう信じておりますが、立法者としての御認識をお聞かせください

○階猛委員 お答えいたします。

 まさに改革は急を要するわけでございまして、一定の結論を得るためには、全員一致でないと物事が決まらない、進まないということではまずいわけです。この法律のたてつけとしましては、意思決定に全会一致を要求するものではありません

○河井委員 私は、もう法科大学院問題は、個別の学校の問題という次元を超えて、制度そのものが破綻しているのではないかと心から危惧をいたしております。

 加えて、法曹人口三千人目標は、総務省が言うように、現実離れしていると結論しておりますけれども、それだけではなくて、もう新しい弁護士さん、若い弁護士さんが、食うことができない人たちが日本じゅうにあふれ返ってきている。ゼロワン地域の解消も終わって、逆に余り過ぎている現状では、極論かもしれませんが、私は、新規の合格者数を緊急措置で数年間凍結するぐらいの深刻な状況だというふうに実は考えているんです。

 私がそういう認識を抱くに至った悲惨な実態ですとか現場の悲鳴を今から紹介いたしますので、ぜひ、法務大臣を初め政務三役の方々にはよく聞いていただきたいんです。なぜなら、役所は恐らく、皆さんには不都合な真実は知らせないからです。

 ここに私は、法曹関係者がつづった二冊の手記を持ってまいりました。いずれも、定期刊行物、そしてホームページでありますので、紹介しても差し支えないと存じます。私がずっと危惧していたとおり、金持ちの子弟しか法曹になれない今の現状がつづってあります。

 まず最初に、戸籍時報、平成二十一年十月号におさめられた「法科大学院雑記帳」、愛知学院大学法科大学院教授の米倉明先生。題して、「おかねのない者は法曹になるな?」と書いてあります。一部を引用いたします。

 「法科大学院、新司法試験、より広くは法曹養成制度のスキーム自体、および、それが果している機能を観察すると、「貧乏人は法曹になるな」、「悪いことはいわないから、貧乏人は法曹の道を諦めなさい」と、声には出さぬにしても、実質的には、声高に叫んでいるといえるような印象を、私は消すことができない。」「才能の有無、又は、向き不向きが不明のまま、おかねがないというただそれだけの理由で、法曹への道の第一歩すら踏み出せないように事実上なっている。いわば門前払いされるわけである。」「貧乏人閉め出しのスキーム」「結果として、法曹の世界をおかねのある者だけで占めることになっている。」現場の教官の手記です

 もう一つは、もう今は恐らく退官されているんじゃないかと思いますが、札幌高等裁判所民事第二部総括裁判官の末永進さんという方が、平成二十一年五月二十五日に、母校の同窓会のホームページ、函館ラ・サール学園、「同窓生からの手紙」というところに掲載されています

 一部引用いたしますと、「問題なのは、法曹資格者を毎年三千人程度に増員しようとしていることなのです。」「質の低下が危惧されますし、現に、私の法廷では、その傾向がはっきりと窺われます。」こんなことを言っているんですよ。「法廷がロースクール化することもあります。」「今では、大学の法学部を卒業した上、法科大学院に入学し、多大な授業料を支払った上、司法修習生となっても国家からの給与は支給されないこととなり、すべて順調に行ったとしても、二十五歳にならなければ、自分で稼ぐことができず、その結果、裕福な家庭の子女でなければ、法曹となれないような制度ができあがってしまっている」加えて、「事件にならないものが、弁護士の報酬獲得のために、事件として裁判となる」と

 まさに、私たちが共通認識として、立法者も含めてでありますけれども、危惧していることが、もう現場で起こり始めている。

 そういう状況の中で、現場の学生の皆さん、法科大学院から逃げ始めてきています

 文部科学副大臣、きょうお見えをいただいておりますけれども、まず一番最初の関門である適性試験、受験者数は激減をしていますね。それから、法科大学院の志願者数も激減をしていますね。入学定員の充足率も、つまり入学定員に対して実際学生が何人入ったかの率も激減していますね。そして、そもそも社会人とか法学部以外の幅広い法曹を養成しようという趣旨で始まったにもかかわらず、社会人入学者の割合も激減していますね。そして、法学部以外の未修者入学生の割合も減少していますね。

 そのあたり、制度が始まった初年と平成二十三年度、最新のものとの比較の数字がもし今お手元にありましたら、お答えください。五つの項目です。

○高井美穂副大臣 御指摘の件、まず一番目の適性試験の総受験者数については、初年度は、平成十五年度、五万三千八百七十六人。翌十六年度には三万三千七百二十八人。それ以降、減少傾向が続いておりまして、平成二十三年度、一万二千百七十三名でございます。

 二番目の法科大学院の志願者数については、初年度の平成十六年度は七万二千八百人。翌十七年度は四万一千七百五十六人。そして……(河井委員「パーセントはないんですか、実数しかないんですか」と呼ぶ)パーセンテージは、一番目の適性試験の総受験者数については、対十五年度比で七七・四%のマイナス。二番目の志願者数については、今言った十六年、十七年について、二十三年度の直近のデータでは二万二千九百二十七名で、対初年度の十六年度比では六八・五%のマイナスということです。

 三番目の入学定員の充足率につきましては、平成十六年度の一〇三・二%から平成二十年度までは九〇%以上で推移をしておりましたが、平成二十一年度以降は減少傾向ということで、近年、競争倍率の確保を求めているということもありまして、平成二十三年度は七九・二%。これも、対十六年度比では二四%のマイナスということです。

 四番目の社会人入学者の割合につきましては、平成十六年度の四八・四%以降、これも減少傾向にあり、御指摘のとおりで、平成二十三年度は二一・一%、対平成十六年度比で二七・三%のマイナス

 最後の未修者、法学部以外の入学者でございますけれども、この割合につきましても、平成十六年度二九・一%以降、毎年減少傾向にございまして、平成二十三年度は一五・一%ということで、これも対平成十六年度比では一四%のマイナスということでございます。

○河井委員 一番わかりやすいのが、入る前の適性試験、受ける人自体が最初の年の一三・四%になってしまった。一三・四%減ったんじゃないんですよ、一三・四%になってしまったということが、学生が法科大学院に魅力を感じなくなった一番わかりやすい証左だと私は感じております。

 次に、数だけではありません、法科大学院教育において質が低下をしている

 法科大学院を修了して初めて新司法試験を受験することができるわけですけれども、法務大臣、この新司法試験の採点者による採点実感、これは法務省のホームページでも公開されておりますが、抜粋でも結構ですから、お読みになったことはありますでしょうか

○滝実国務大臣 かなりページがありますけれども、ざっとは目を通してまいりました

○河井委員 どういう印象を抱かれましたか。最初が平成二十年で、直近が平成二十三年ですが、その採点者の評価の記述の変化、あるのかないのか含めて、雑感で結構ですから総合的な印象をお聞かせください。

○滝国務大臣 記述の変化というところまで申し上げる能力がありませんけれども、大変基本的なことの指摘が羅列されている、こういう印象でございます。

 したがって、これは何のためにやるかといえば、この試験の結果というか感想を集めて記したというふうに思っておりますけれども、法科大学院に対して、こういうような点が今回の試験では目立つというようなことでございますから、そういう意味では、克明な記録だと思いますけれども、かなり基本的な点が欠陥として見受けられる、こういうように私は読ませていただきました

○河井委員 平成二十三年と平成二十年の新司法試験とを比べると、私が見るところ、評価の記述に余り変化がないつまり、質の改善というものをうかがうことがなかなか難しいんです。もちろん、これは主観的なものの集まりではありますけれども、実際に採点した人たちの実感ですから、私は大いに参考にしなきゃいけないと考えております。

 例えば、平成二十年では、こんなことを言われているんですね。数カ所ずつ引用しますと、基礎的な理解が不十分、今、法務大臣もおっしゃった。基礎理論を身につけていない、基本的な事項を理解する点で甚だ不十分な答案が目立った、水準に達しない答案がかなりあったといった記述

 それが、平成二十三年になっても同じように、基本的な知識と応用力があれば比較的容易なのに、水準に達していない答案が多々あったとか、極めて残念な答案が多く、なぜ法科大学院修了者の答案が基本的欠陥を多く抱えるのか、原因を究明する必要がある、あるいは、特に難しい問題ではなかったが、紙の上の勉強に偏している答案だとか、現実離れした答案が多いということです

 私が思わず苦笑してしまったのが、平成二十年と二十三年の刑事訴訟法の採点実感において、一字一句、ほとんど変わらない記述があったんです。「問題文中の事実をただ書き写しているかのような解答もあり、法律試験の答案の体をなしていないものもあった。」これは、二十年と二十三年の違いは、「法律試験の答案」、その「の」があるかどうかの違いだけ。三年たっても全く同じようになっている。

 申しわけないけれども、法科大学院修了生の質が劇的に向上したということは、これからはうかがうことができません

 一方で、法科大学院を修了して、司法試験という難関も突破して、司法研修所で勉強もした人たちが司法研修所を出るときの司法修習生考試。最高裁事務総局、きょうお見えをいただいておりますが、二〇〇八年に、なかなかはっきり物を言わない最高裁にしては珍しく、恐らくよっぽどひどい状況だったんでしょう、新六十期について、不可答案の概要というものを公表いたしました

 一部引用いたしますと、基本法における基礎的な事項についての論理的、体系的な理解が不足している、具体的には、これら不可答案は、記述の一部に問題があるというだけで不可とされたのではなく、一点にとどまらず複数積み重なって、答案全体を見ても、実務法曹として求められる最低限の能力を修得しているとの評価を到底することができなかったものである

 これは、繰り返しますけれども、司法試験を突破した人たちの能力のことを言っている。

 御丁寧に、括弧して、「(なお、考試問題のレベル、不可答案の判断の方法は、従来と基本的に同様である。)」つまり、難しくはしていませんということ言っている。

 最高裁、その後、平成二十年以降、この概要というものは作成しているんでしょうか。もし作成しているんだったら、なぜ公表しないのかも含めてお答えください

○安浪亮介最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 不可答案におきます問題点の傾向というものは、その後の二回試験においても、基本的には変わっていないものと承知しております。

 不可答案の概要ペーパーにつきましては、そういうこともありまして、新しいものをつくってはおりません

○河井委員 つまり、それほど水準が変わっていないから、その後も作成をしていないということだと思いますが、その後の状況を推測する資料として、政府に設けられた例の法曹養成フォーラムで、ことしの一月二十七日に小林事務総局審議官がこういう発言をされております

 民法、刑法などの基本法における基礎的な事項、論理的、体系的な理解が不足しているために、ごく基本的な考え方が身についていないことが明らかな場合など、一定の修習生については不合格と評価せざるを得ないのが現実でございます

 つまり、質は不可答案の概要のときと比べて向上したのか、あるいは向上していないのか。認識をお聞かせください

○安浪最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 二回試験におきます不合格者の数でございますけれども、一番最近に行われましたのが、昨年の十一月に実施されたものでございます。応試いたしました者二千四十七名中五十六人が不合格となっております。パーセントで申し上げますと、二・七%でございます。その一年前が四・四%ということでございますので、数字の上では、若干の出入りはありますけれども、同じような割合になっているものと承知しております。

○河井委員 つまり、明らかな向上は見られていないという答弁でありました

 このように、法科大学院から学生たちの数は減る、質は上がらないその一方で、ここからが一番大事なんです、私たち国会議員にとっては。膨大な国費、税金、そして、ここに通っている子供たちは、家族も含めた膨大な私費を投入し続けなくては司法試験を受けることができないという、国家が法律で強制をしている

 きょう、財務副大臣、お見えでございますけれども、平成十六年度の制度創設から二十三年度まで、国の財政支援総額は幾らになるでしょうか。お答えください。

○五十嵐文彦副大臣 お答えいたします。

 法科大学院の予算については、国立大学法人の場合、使途の定めのない渡し切りの運営費交付金でございます。その内数ですので、その内数については文部科学省に任せてございますので、文部科学省にお聞きをいただきたい

 また、私立大学についても、私立大学等経常費補助金の中の内数でございますので、これは日本私立学校振興・共済事業団において法科大学院の実態に応じて配分をしているところでございまして、財務省としては直接積算をいたしておりません

○河井委員 お勧めのありました文部科学副大臣、数字を、持っていらっしゃらない、すぐ出てきませんか。すぐ出てこないなら、時間が限られていますから、では私から答弁しましょうか

 言いますから、もし間違っていたら言ってください、後で。後でというか、この委員会の質疑中に答弁をしてください。

 私の計算では千五百九十八億円です国立大学法人への運営費交付金と私立大学等経常費補助金と専門職大学院への教育改革の取り組み支援と日本学生支援機構の奨学金、これらを合わせると千五百九十八億円つまり、八年間ですから、年間およそ二百億円をこの法科大学院制度のために使ってきたという計算になります。違っていたら後でお答えください。

 加えて、学生たちの個人負担、これは、平成十六年度から二十三年度までに法科大学院に入学した人たちは四万七百九十一人でした。全員がそのままずっと勉強を続けたと仮定して、かつ、私立そして未修者という最大限の計算をいたしますと、掛け算をすると、八千百五十八億二千万円国と学生、家族の負担額の合計は、最大で九千六百八十八億円にこの八年間でなるというのが私なりの試算であります

 ところが、先日この法務委員会にやってきたある業界団体の参考人は、名前は言いませんけれども、こう言ってのけた法科大学院制度が発足してやっと八年がたっただけなので、制度の撤廃につき判断を下すのは時期尚早だとおっしゃったんです。八年間たってまだ早かったら、これから先、一体何年間このお金を国民の税金と子供たちのお金でずっと費やさなきゃいけないのか今、消費税の増税をめぐってこれだけ国会が紛糾をしている。正直言って与党も野党の中も紛糾をしているときに、こういうことを平然と言うということは私は認めるわけにはいかないし、増税する前に、私はこの制度を廃止するべきだというふうに心から思っております。

 そうまでして国も子供たちもお金をかけた法科大学院が一体何をやっているか。よく聞いてくださいよ。客の奪い合いをやっている文科省、きちんと把握していますか、入学試験成績優秀者に対する異常とも言える経済支援制度の実態。御存じですか。お答えください。

○高井副大臣 済みません、承知しておりません

○河井委員 こういうことも承知しないで法曹養成のフォーラムなんて政府で設けても、時間稼ぎだけだと私は思うんですよ。

 これは日弁連のホームページに公開されています。要するに、いわゆる特待生制度なんですよ。私は、入学した後の優秀な学生への奨学金はわかるんですよ。経済的に厳しいから、その子たちをいろいろと支援しなきゃいけない。でも、今、七十四校中五十六校で実施している、四校に三校が実施しているこの制度は、単に頭のいい子を金で囲い込む。つまりは、自分の学校での学習到達に自信がないから、はなから司法試験に合格しそうな子供たちを集めているだけだと疑われても仕方ないぐらいの実態がある

 幾つか紹介しますと、これは全部、日弁連でもう公表されていることですからね。青山学院、龍谷、そして京都産業大学においては、法学部を出た既修者全員が最初から授業料を全額免除されている。甲南大学は、法学部を出ていない未修者全員に一定額が支給されている。京都産業大学は、未修者全員に一定額が支給されている。

 この全員の授業料を免除するということは、もうこれは優秀者に対する支援じゃないんですよ。誰でもいいから、金を出すから何とかうちの学校に来てください、そういう単なる客集めにすぎない状況が現場で起こっている

 さらに、国立大学である島根大学とか、香川・愛媛大学連合は、定員の五割が全額免除対象になっている。関東学院では、定員の半分以上が全額免除対象。愛知学院、中京、神戸学院、広島修道では、全額免除と半額免除と一定額免除を合計すると、入学者数以上の人たちが対象になっている。駒沢、専修、大阪学院、ここは定員の二割が全額免除対象。近畿大学は、全額免除と半額免除の合計が入学者数の八割にも達している。そして、いわゆる上位校と言われている慶応大学ですら、二十人が全額免除、それ以外の二百九人全員に四十万円を支給しているんですよ。

 ほかにも、山梨学院は、入学者数の半分以上に全額免除か半額免除を施した上で、一人一席の机を置いた図書室を二十四時間開放して、家具つきで月二万円の学生寮を用意して、その寮のお金も半分以上を免除して、おまけにノートパソコンまで無料貸与している。

 さらに、司法試験に合格したら、大阪学院は、かかった学費の総額の半額が返還される。東洋大学は、三十万円、合格したら報奨金が出てくる。そして、京都産業はすごい。何と、通ったら二百万円報奨金をもらえる。

 これら紹介した学校は、これだけやってもほとんどの学校で入学者数はふえていないんですよ。こんなことをやっていて、教員の人件費すら賄えない真面目なほかの学部の学生やほかの大学院の院生の授業料が法科大学院の運営費に回されている。これは明らかなんですよ。その正当性は一体どこにあるのか。

 彼らの負担によって、彼らというのは、ほかの学部とかほかの院生の負担によって、法科大学院は成り立っている制度。それで、これらの学校には、さっき明らかにしたように、多額の国民の税金が行っているんです。つまり、税金を使って、法務大臣、いいですか、生徒を集めるためのノートパソコンを用意したり、寮費を賄ったり、学費を支払っている。それで、さっき最高裁が言いましたよ、少なくとも質は向上していないんだと。これは本当に、納税者に対して、国民に対して、私たちは国民の代表として説明することができませんよ。

 私が副大臣のときに、法務省の推薦を断って、それは、いいところしか多分見せてくれないから、自分で選びますといって、全国十四校、法科大学院の現場を視察しました。現場に行って驚いたのは、とにかく法科大学院の建物が立派過ぎる。建物のよさとこういった資金的な援助で学生を集めているという構図が、今でもずっと続いている。

 一方で、この法科大学院に行くだけでは合格できないんですよ、司法試験に。これは本当におかしい話です。文科副大臣、受験予備校の質問をしますから、ちょっとこっちに耳を傾けてください。

 かなりの法科大学院生が司法試験の受験予備校に、これは好きこのんでじゃない、通わざるを得ない現実があるんですよ。これは役所として実態調査をしたことはありますか

○高井副大臣 文科省としては、法科大学院の学生が受験予備校に通っているかどうかは調査はしておりません

 ただ、学生が自分の力を試すということで受験予備校が行う模擬試験を受けることもあるというふうにも聞いておりますが、役所としては調査はしておりません。

○河井委員 これは調査してください。そんな、一過性の模擬試験で力試しなんというレベルじゃないんです。受験予備校に同時に通わないと、本来だったら質、量ともに向上すると生みの親たちが約束したはずの法科大学院なのに、司法試験に通らなくなっていってしまう

 副大臣、実態調査するということをちょっと約束してください。

○高井副大臣 どのような形で調査が行えるか、ちょっと検討をしてみます。

○河井委員 検討検討とおっしゃいますが、そういうのをやりますと言うのが政治家なんですよ。

 そもそも、この受験予備校から脱却するために法科大学院制度はつくられたんですよ。それが一番大きな理由だったんですよ。国民の税金が優秀学生の獲得競争に使われ、その優秀学生たちは、法科大学院では試験に合格しないので、受験予備校に金を払って通っている。つまり、受験予備校は国民の税金で経営が成り立っていると言えなくもない大変皮肉な状態が今起こっているんですよ、文科副大臣。もっとちゃんと現場の声を本当に、役所の人たちの話ばかり聞いたってだめですよ。きょうずっと、お忙しい中、経産政務官も官房副長官もお見えいただいているから、ちゃんと私の話を聞いて、現場の声にしっかりと耳を傾けてください。

 一方で、このように多額の金をかけながら、さっき最高裁が認めた質の向上が明らかに認められない法科大学院に、さまざまな事情で行けない人たちがいるその人たち向けに、去年の十一月に第一回の、ここにちょっとありますけれども、予備試験というものが行われました

 法務大臣、ここで、この予備試験の実施方針、お手元に行っていると思いますよ、これをちょっと読み上げてください。最初の五行。

○滝国務大臣 これは、平成二十一年の十一月十一日に作成した司法試験委員会の実施方針でございます。最初の五行を申し上げますと、「予備試験は、司法試験法第五条第一項において、法科大学院課程の修了者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的とし、短答式及び論文式による筆記並びに口述の方法により行うものとされている。」これが最初の出だしでございます。

○河井委員 つまり、大臣、法科大学院課程の修了者と同等の力を判定するのが目的ということは、法科大学院を修了した人たちは全員がこの予備試験に合格しないと制度設計が間違っていたことになりますが、いかがでしょうか

○滝国務大臣 制度の考え方は、恐らくそういうところにあるだろうと思います。

○河井委員 ところが、この法科大学院修了生の合格率は何%だったんですか、予備試験で。

○滝国務大臣 合格率は五・七%というふうに承知をいたしております。

○河井委員 ですから、それは全員合格といっても、体調の不良とかさまざまなことがあるでしょうから、一〇〇%とは私も言いません。言いませんが、一〇〇%近く合格しないといけないという制度設計であるにもかかわらず、五・七%の人しかこの法科大学院を出た人が予備試験に通らない。これはどう考えてもおかしいと考えますが、提出者、階先生でも辻先生でも結構ですけれども、お答えください。

○階委員 まさしくそのとおりでございまして、先ほど法務大臣が読み上げた制度の要綱からして、ほとんど一〇〇%に近い数字が合格率になっていないとおかしいわけでございます。

 他方、私が考えるに、その原因は何かというときに、二つ考えられるのではないか。一つは、法科大学院の教育水準が余りに低い、それからもう一つは、予備試験が難し過ぎる、どっちかだと思うんですね。

 私は、その原因を突きとめる方法が一つあると思っていまして、それは、法科大学院修了者全員に予備試験を受けさせればいいと思うんですよ。それで、その合格率が八割、九割だったら、これは、ロースクールはちゃんと教育している、昨年の予備試験が難し過ぎるということだし、この合格率が二、三割ということであれば、やはりロースクールの教育はおかしいということになると思いまして、そういう検証の仕方もあるのではないか。

 済みません、個人的な見解ですけれども、申し上げたいと思います。

○河井委員 私が思いつかないほど、今のは大変おもしろい御提案だと思いました。

 何か私がここで通訳するのも変ですけれども、法務大臣、今の御提案を聞いて、いかがですか。これはやはり、リトマス試験紙というかあぶり出しというかわかりませんけれども、一つの方法ですよ。どうぞ、お答えください。

○滝国務大臣 基本的に、予備試験の中身の問題ということに全てはなってくるんだろうというのが、問題点としてはなってくると思います。

 試みに短答式をやってみると歯が立たなかったという実務家もかなりおいでになるようでございますから、かなり、基礎的なことではあるんでしょうけれども、レベルが高いということは言われております。

 したがって、今、階提案者がおっしゃいましたけれども、もう一遍、この辺のところはいろいろな角度から実証していく必要はあるだろうと思います。

○河井委員 大臣、いろいろな角度の中に、今おっしゃった全員受けさせるというのはまた別な話として、試験的に抽出して受けさせるというのはいかがですか。お答えください。

○滝国務大臣 試験的にといっても、どういう試験をするのか、なかなか難しいだろうと思いますけれども、一遍、その辺のところはよく検討してみます

○河井委員 今、法務大臣がおっしゃったんですけれども、予備試験を必要以上に難しくしている疑惑もあるんですよ。それは、法科大学院協会からすると、みんな自分たちの学校に行かないでどんどん予備試験に行かれちゃったら困る、経営が今以上に成り立たなくなっていく、そういう理屈でかなりなプレッシャーが当局にあるのではないかという話もありますので、この点はしっかりと、予備試験の制度設計そのものにかかわることですから、階先生の御提言も踏まえて対処していただきたい。

 もう一つ言いますと、普通の現役大学生の予備試験の合格率は三・三%なんです、職種別の調査によると三・三%なのに、現役法科大学院生は四・二%なんです。わずか〇・九ポイントの合格率の向上のために大枚はたいて時間かけて法科大学院に通うことが強制されているのは全く無意味だということが、私は、この現役大学生、そして法科大学院生の合格率の比較によって明らかになったというふうに思っております。

 次に、法曹人口の問題についてです

 三千人の合格目標ですけれども、法務大臣、毎年の目安というものが平成十八年から二十二年まで示されておりましたが、なぜ毎年この合格者数の目安を下回ってきたんでしょうか。その原因は何だと思われますか。

○滝国務大臣 基本的に、新試験と旧試験の並行して行われている時期は、その割り振りの必要がございますので、目安を設定したという経緯があると思います。ただし、実際にはそれを下回ってきたということは御指摘のとおりでございます。

 ただ、その辺のところになりますと、これは試験委員会の判断の問題でございますので、どういう理由で下回ってきたというのは、数字の上から、あるいは今までの経緯からでは何とも判断のしようがないということも御理解をいただきたいと思います。

○河井委員 いやいや、それは試験委員会の仕事ではあるんですが、なぜ目安を下回る合格者数しか出すことができなかったのか、また、質の向上が前提としての三千人に到達しなかった理由はどこにあるのかということは、私は、それは法務省としても把握をしておくべきだと思いますよ。法科大学院の教育の質が上がらなかったということがその背景にあるんじゃないですか、法務大臣。

○滝国務大臣 結果的にはそういうような判断をせざるを得ないだろうと思います。恐らく、試験問題を提出する司法試験の委員会としてはそれぞれ合格点というものを考えながら採点をしているはずでございますから、したがって、その結果が下回ってきたという面も多分にあるだろうとは推測をいたしております。

○河井委員 加えて、年を追って、棒グラフというんですか、偏差が、徐々にではあるんですけれども悪い点数の方に多くなってきているという指摘がありますが、そのことは大臣、承知していらっしゃいますか

○滝国務大臣 実際の合格者の数を見れば、その辺のところは推測をせざるを得ないと思います。

○河井委員 文科省、今、そういう法科大学院の教育の質も含めた問題があるという認識が法務大臣から示されたんですが、文科省はどのようにこの問題を認識していますか、法科大学院とのことも含めて。

○高井副大臣 当然のごとく、法科大学院の質の向上は大事だと思っております。

 改善方策について、これまで、二十一年の四月の中教審でも、法科大学院特別委員会の報告に基づいて入学定員の削減等による入学者の質の確保、成績進級判定の厳格化による修了者の質の確保、一定の指標に基づく公的支援の見直しによる教育体制の見直しの推進、それから省令改正による質を重視した評価システムの構築というところの取り組みを行ってきたところでございます。

 今後も、課題のある法科大学院群を中心に、公的支援のさらなる見直しなどを通じて、入学定員のさらなる適正化や教育体制の抜本的見直しの加速、それから、未修者教育の充実など、法科大学院教育の質の改善の促進、取り組みをさらに加速させて、法曹養成の中核機関としての職責を果たせるよう、社会全体から信頼感を得るように努力をしてまいりたいと思っています。

○河井委員 今、いろいろな取り組みといいましょうか対策が文科副大臣から示されたんですけれども、提出者の方にここで確認をしたいんですけれども、階先生で結構です。

 今回、附帯決議の中に、法科大学院及び法曹関係者以外の多様な意見を入れるという文言を、これは自民党、そして民主党、公明党の実務者の先生方の御努力もあり、私が強く強く要望した点ですけれども、入れてもらいました

 今、文科副大臣がいろいろな手だてを講じていますと言っていますけれども、では、その中教審の法科大学院特別委員会の委員をしている人、法務省の検討ワーキングチームの取りまとめに当たった人、そして、法曹養成フォーラムの第一次の取りまとめと論点整理の第二次の取りまとめに当たった人、実は全部同じ人物がこういった審議会等に名前を連ねているそれも法科大学院の業界団体の人ですよ。法科大学院協会という名前の業界団体の人たち

 中立で、客観性のある、国民のための議論、検討をしなきゃいけないところに何で同じ人物たちが、今二人いるわけですけれども、何でずっと入っていなきゃいけないのか特定の人間がなぜ毎回、有識者として重用され続けていなきゃいけないのか。しかも、その人たちは利害関係者であり、法科大学院への税金投入により明らかに利益をこうむる人たちなんですよ、利益を得る人たちこういった人たちが集まって幾ら議論を尽くすといっても、さっきお答えになった合議制の組織で議論を尽くしても、私は既得権益を打ち破ることはできないというふうに確信をしています。だからこそ、わざわざ明文化して、この人たち以外というふうに言いました

 これは、階先生、立法者として、こういった人たちは排除する。なぜ同じ人たちがずっとかかわっていなきゃいけないのか。しかもそれが明らかに利益を受けている人たち。私は、この際、そういう姿勢を明確にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○階委員 ・・附帯決議の中で、多様な意見も反映されるよう合議制の組織を整備すべきであるというふうに言っております

 既に、フォーラムを通じて、今おっしゃられたお二方の意見については十分反映されてここまで来ているわけですから、今さらながら、その人たちの意見を新たな合議体で取り入れる必要はないのではないかと私は思います。多様な意見を取り入れるのであれば、今まで意見を聞いたことのないような人を入れるというのが私はこの附帯決議の趣旨だというふうに理解しております。

○河井委員 文科副大臣にお尋ねをします。

 第三者認証評価機関による法科大学院の評価についてなんですけれども、この法科大学院が適切かどうかということを評価する第三者機関、第三者機関といいながら、実は身内が評価をしているんですよ。

 これは三機関によって評価をされているけれども、日弁連がつくったものが不適格と認定したものが二五%、学位授与機構は同じく二五%、ところが大学基準協会によると五六%、つまり、機関によって倍以上の適格か不適格かの判断の差が出てきている。私はこれは不自然ではないかというふうに思っておりまして、そして、この評価委員が勤務する法科大学院の評価を行った各機関の実績を調査したところ、不自然な偏りがあるところに気づいたんです。

 というのは、日弁連がつくったところは七人中四人が、学位授与機構は十四人中十一人が、そして基準協会は十八人中二人のみが評価委員が自分が所属してる大学を評価していた。言っている意味がわかりますか。つまり、結果として評価委員が所属している大学の割合が少ないんですよ、大学基準協会はそこの不可率がほかの二倍以上になっている

 これは私は不自然じゃないかと思いますよ。身内で、もちろんお互いに冷静中立に、客観中立にしなきゃいけないとは言っているけれども、評価委員が所属している大学の割合が少ない大学基準協会だけがなぜ第三者評価の不可の割合が高くなってきているのか

 このあたり、文科省として問題意識を持っておりませんか。数字のこの不自然さについては問題だという認識はありませんか。お答えください。

 時間がありませんので、簡潔にお願いします。

○高井副大臣 御指摘の件は第三者評価ということで、専門的、客観的な立場から評価するものというふうにありますけれども、法科大学院の教員等が参画することというのは、当該法科大学院の教員等が参画するということは認められないけれども、法科大学院の教育活動の内容に踏み込んで評価をするということのため、他の法科大学院に所属する教員等が参画するということは許容されるのではないかというふうに思います。

 これに加えて、先生も御指摘あったとおり、法科大学院関係者以外の者も参加もしておりますので、客観的公平性、透明性というのは担保できているのではないかというふうに思っております。

○河井委員 あなた、私の質問の意味がわかっていないですね。そうじゃないんですよ。自分が自分の大学を評価すると言っていないんですよ。自分が所属している大学の評価を、ほかの評価委員が、同じ大学に所属する評価委員がしているのが、大学基準協会のその割合が、不可にしている割合が二倍以上高いなぜかというと、基準協会は余りお互いに評価をし合っていないということがあるから、不自然じゃないかと言っているんですよ。

 さらに言うと、日弁連がつくった評価機関、評価委員二十六人のうち三八%が法科大学院の教授なんです。学位授与機構は五九%。そして、基準協会は何と七五%なんですよ。ということは、これは私たちの世界でいえば、選挙管理委員会の委員に現職の政治家がなるようなものなんですよ。利益相反で、中立性のかけらも感じられない。それは大学基準協会の規程には書いていますよ、その所属する大学の認証評価にかかわることはできないと書いてあるけれども、仲間による仲間のための、仲間のためのお手盛り検査だと言われても仕方がない。自分が立候補した選挙の管理を政治家自身が行うようなものなんですよ。

 だから、この第三者評価機関というものの仕組み自体に文科省として問題意識を持って、きちっと見直していただきたいと私は思いますが、いかがでしょうか。

○高井副大臣 今、ちょっと手元にその詳しいデータがございませんので、しっかり調べて、また検討したいと思います。

○河井委員 私、ちゃんと第三者認証評価機関についてというふうに質問通告していますよ。どういう中身があるか、しっかりと事前に準備されるのは当然じゃないですか。

 時間がそろそろなくなりつつありますので、きょうは経産政務官と内閣官房の齋藤副長官もお見えでございます。きょうのこの議論をお聞きになって、お二人とも法曹養成フォーラムにそれぞれ組織として、構成員として入っていらっしゃる。自民党の私が言うのも変ですけれども、既得権益を打ち破って、国民の生活第一と言って政権をおとりになったのが、たしか民主党、二年九カ月前の政権交代ではなかったのでしょうか。

 これは、正直言って、高村先生の私たちの議員連盟とか、あるいはその前の自民党の若手の法曹関係者、非法曹関係者、もう平成二十年の五月から繰り返し言い続けていることですよ。今私たちは野党だから、残念ながら、この場でこうやってわあわあ言うしかできない。あなたたちは政権の座にいるんだから、役所とか業界団体の既得権益を打ち破って、国民の生活第一の政治をしてくださいよ。

 決意をお二人からお聞かせください。

○齋藤勁内閣官房副長官 齋藤でございます。

 この間のフォーラムにかかわります政府側からの、官邸側からの副長官は、関係省庁との協議がということでございまして、事務方の竹歳副長官が出席をしております。

 しかし、きょう、そしてまたこれまでの経緯を含めて、熱心な御質疑について私も拝聴をさせていただきながら、この裁判所法改正案修正案の今後の審議の状況や推移を見守りつつ、適切に対応していきたいというふうに思います。

 そして、法律の施行後一年以内に検討を加えるということが出ておりますので、この制度のあり方、法曹の養成に関するフォーラムにおける論点整理を踏まえ、政治主導、今こういう河井議員のお話がございましたけれども、私ども、そういう認識で今政府のそれぞれの要所要所、立場にいるつもりでございますので、これまでの推移、これまでの取り組み、そして、これからの国会における審議、そしてその内容に基づきまして、政治としてしっかり対応させていただきますよう、私自身も官邸の中で、官房長官、また総理の方に伝えさせていただきたいというふうに思います。

 ありがとうございます。

○中根康浩大臣政務官 経済産業省といたしましては、産業界から、国際競争の激化による国際法務の強化の必要性などが指摘をされております。具体的には、法的素養を備えながら、国際感覚やビジネスに対するリスク感覚を持った人材に対するニーズがあるというようなことを法曹養成フォーラムを通じて認識をいたしておりますので、法曹人材の養成につきまして、関係省庁と適切に連携をしながら取り組んでまいりたいと決意を述べさせていただきます。

○河井委員 時間が参りましたので終わりますが、これだけ明々白々な、さまざまな問題が明らかになっているにもかかわらず、政権として法務大臣を中心に手をこまねき続けている状態が続くのだったら、もう本当にあなたたちが政権をやっていく資格はないと私は思いますよ。ぜひ、いつまで続くかわかりませんが、続いている限りは責任を持って、この現場の声に耳を傾けて、具体的な根こそぎの改革のために頑張っていただきたいし、私たちも協力できるところはしていきたいと思います。

 以上です。終わります。

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2013年01月07日

最新最高裁判例

最高裁判所大法廷判決平成24年10月17日

【須藤正彦反対意見】

 私は,参議院に求められる独自性を考慮した上,多数意見の依拠する基本的な判断枠組みの下で考察したところ,多数意見の結論とは異なり,本件定数配分規定は憲法に違反し,したがって本件選挙も違法であるとの見解に至った。その理由は以下に詳述するとおりであるが,骨子は,第1に,現行選挙制度が合理的な理由なく投票価値に不平等を生ぜしめるものとなっているという点において,第2に,これに対し,当審が遅くとも平成18年には現行の選挙制度の枠組みの見直しを促したといえるメッセージを示したにもかかわらず,今日に至るもそれが確としてなされないままで投票価値の著しい不平等状態が維持されているという点において,国会の裁量権の限界を超えているということである。

1.憲法の二つの求め

(1) 憲法は,参議院議員の選挙制度の決定を国会の裁量に委ねているが(44条,47条),同時に,第1に,選挙における投票価値の平等を直接に求めているというべきである(14条1項,44条)。選挙権が主権者たる国民の参政権としてとりわけ重要な権利であることに照らせば,それは民主主義の根幹に関わる根本的な求めであって,それについて譲歩を求めることは特に合理的理由が要求され,それが認められない限り許されないというべきである。第2に,憲法は,国会について二院制を採用しているところ,両議院が立法機関としてほぼ対等の権限を有することで相互の抑制と均衡で立法活動を慎重ならしめることに意義を認めつつも,それらが同じ役割を果たすにしかすぎないのであれば二院制の価値が十分に発揮され難いことに鑑み,参議院と衆議院とで違った役割を果たさせることとし,そのために参議院議員の選挙制度も,参議院が独自の役割を発揮するのにふさわしいものとすべく,衆議院議員の選挙制度とは異なったものとなることを求めているというべきである。

(2) 後者の参議院の独自性に関しては,憲法は,参議院議員の任期を衆議院議員のそれが4年であるのに対し6年とし,かつ,内閣は参議院の解散に係る権能を有しないので,その権能の行使によって参議院議員の任期は短縮されることはなく,しかも,3年ごとに議員の半数を改選するものとしているから(45条,46条,69条),参議院議員を衆議院議員に比して身分を安定させ,かつ,上記の半数改選制により,議院としての活動の継続性を図っているといえる。特に,議員に6年の任期を与え,その短縮を認めないことは,憲法は,選挙民がひとたび議員として選んだ以上は任期満了時までの期間を信任してその身分を失うリスクを生じさせないこととし,その半面,議員は,その間国民の政治的意思から乖離することがないようにしつつも,選挙民等の逐一の望みや党派的利害に適宜の距離を置き,より大局的な観点ないしは多元的な見地から行動することを可能ならしめているというべきである。これらの点に鑑みると,憲法は,参議院の在り方の基本理念の決定について,国会の立法政策としてその合理的裁量に委ねつつも,全国民を代表する機関たる参議院に長期的かつ総合的な視点から国政上の重大問題に対応させ,衆議院(あるいはそこにおける政党)のみでは十分に代表されない国民各層の多種多様な意見を多角的に反映させるようにし(ややもすれば,少数者の声は軽視ないし黙殺されがちである。),これによって独自の役割を発揮することを求めているというべきである(急速に情報化,国際化が進展している中で,我が国の将来にわたり,平和と安全と豊かな自然環境の国土で,経済(地方経済も特に念頭に置かれるべきである。)が活性化し,雇用が確保され,教育や福祉が充実することが大切であると私は思うが,これらはいずれも,上記の意味での国政上の重大な問題であろう。)。

(3) 前者の投票価値の平等に関していうと,衆議院は内閣総理大臣の指名権の行使において参議院に優越し,衆議院のみが内閣不信任の議決権を行使する権能を有し,内閣は衆議院の解散に係る権能を有している(憲法67条,7条3号,69条)。そのことは,憲法が,基本的に,統治の主体(政権)たる内閣(政府)の選択と存立,その結果としての政策の帰すうを衆議院の多数派政党をして決定せしめているといえるから,衆議院議員選挙における投票価値については厳格な人口比例による平等を要求する度合いが特に大きいというべきである。これに対し,憲法は,参議院について,議院内閣制での立ち位置を上記の意味において衆議院とは異ならしめるとともに,前記のとおりの独自性を求めており,他方,これに関連しての参議院議員の3年ごとの改選制に由来する技術的な事由で些少の不平等は不可避的とも思われるので,それらは,参議院議員選挙制度においては,厳格な投票価値の平等に譲歩を求めるに足り,しかも憲法自らが認めている特別の合理的理由に該当し得るものとしてこれを容認するといえる。

(4) しかしながら,前記のとおり,選挙権が参政権としてとりわけ重要な権利であり,投票価値の平等の求めが民主主義の根幹に関わる憲法上根本的なものであることに照らせば,憲法は,国会が参議院議員選挙制度の仕組みについて立法的措置を講じるに当たって,極力,人口比例による投票価値の平等を確保しつつ参議院の独自性を発揮できるような制度設計をすることを求めているというべきであり,また,後者のために余儀なく投票価値の平等に譲歩を求めなければならないとしても,独自性を発揮させることと投票価値の平等を制限することとの間に合理的関連性があることを要求しているというべきである。そのことよりすると,憲法は,その独自性の具体的な内容が客観的に認められ,かつ,その譲歩はそれを発揮させるという目的のために必要最小限度にとどめられるものでなければならず,しかも,国会において,投票価値の平等に譲歩を求めざるを得ないこと及びその平等が制限される程度とその独自性の発揮によって得られる価値とがおおむね均衡を保っていることについて相応の説明をすることを要求しているものというべきである。そのことはまた,投票価値の平等が制限される程度が大きい場合であるほどに,それより低い程度の投票価値の平等の制限をもってしては参議院の独自性を発揮できない所以について常識的に理解可能な説明がなされなければならないことをも意味するといえる。参議院議員の選挙制度の決定は,国会の立法政策としてその裁量に委ねられているが,投票価値の平等が根本的に重要であることに鑑みれば,そこには以上の意味での憲法上の制約があるというべきである。結局,上記の点での説明や前記の技術的事由があるか,又は差異を設けることを正当化する何らかの特別の合理的理由がある場合を除き,結局,参議院議員の選挙制度も,人口比例原則によって定められなければならないというべきであり,また,人口比例原則が,参議院議員の選挙制度についての決定が国会の裁量権を超えているか否か,言い換えれば投票価値の不平等が生じている場合に違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っているか否かを評価するに当たって基本的かつ中心的な考慮要素であるというべきである。

2 本件選挙における投票価値の不平等は憲法に違反するか

(1) 違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態について

@ 多数意見は,最大較差が1対5.00の本件選挙は違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたと判断しており,私もこれに賛同するものである。

A 現行の選挙区選出議員の選挙制度の仕組みは都道府県ごとの地域的特性への配慮に基づくものとされている。この地域的特性への配慮ということは,議員が都道府県代表であるということと捉えられて,憲法43条1項に規定されている「全国民を代表する選挙された議員」と抵触するなどの疑念はあるが(衆議院議員選挙についての最高裁平成22年(行ツ)第207号同23年3月23日大法廷判決・民集65巻2号755頁における私の補足意見参照),都道府県は歴史的にみて地域社会としてその原型を古い時代に遡ることができ,政治的,経済的,社会的に一定の結び付きあるいは地域住民の住民感情等において固有の事情や独自の意義を認めることが可能であり,その都道府県の選出議員は選挙運動や日頃の政治活動によってその地の実情に精通し専門的知識を有していると考え,この地域的特性への配慮という事由を,例えば過疎関連問題等に直面している人口の少ない県の選出の議員が,多数決原理によれば少数者として顧られないおそれのあるその住民の意見を,一地方の問題ではなく地域経済の活性化などの国政上の重大な課題に還元して,専門的な見地から参議院に反映させることができるとの意味に理解して参議院の独自性の内容を構成するという考えも成り立ち得ないわけではなく,また前記のとおり,参議院の場合は衆議院ほどに投票価値の厳格な平等が要求されないという一面もあることから,投票価値の平等に譲歩を求めるに足りる事由としての参議院の独自性の内容になり得ないではないと思われる。もっとも,そのような専門的意見も,反映されるべき長期的かつ総合的な視点からの専門的意見,あるいは多角的な又は少数者ないし弱者に関わる多くの意見のうちの限定された一部にしかすぎないから,参議院の独自性の一内容としての地域的特性への配慮ということは,投票価値の平等に譲歩を求めるに当たって決して大きくは評価できないというべきであり,しかも,前記のとおり,その譲歩は最小限度にとどめられなければならないから,そのことよりすると,1対2前後程度の最大較差が考えられ得る許容範囲ということになろう(なお,衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条1項参照)。その点からすると,現行制度の前身の参議院議員選挙法を制定した昭和22年当時の最大較差が1対2.62であることが問題となるが,これは,上記数値域から隔たること僅かであり,かつ,独自性としての都道府県ごとの地域的特性への配慮ということとの合理的な関連性も相応に説明がなされたものとして,限界的な意味で許容範囲内にあるということはできよう。

B しかるところ,その後,昭和37年の参議院議員通常選挙になると,早くも最大較差は1対4.09に達し,以後本件選挙までの累次の参議院通常選挙も,最大較差が多くは1対5前後で中には6倍前後に達するものもあるという状況で推移した。このような著しい不平等状態はひとえに我が国が社会的,経済的に急激な変化を遂げ,その人口構造において農村部から都市部への流入現象が不断に続いたために惹起されたものとされているのであって,そのことはもちろん参議院の独自性とは関係ないことであり,したがってまた,参議院の独自性との実質的関連性は何ら説明され得ないことである。そうすると,それらの1対4ないし1対5という最大較差(この両者の違いは小数点以下のそれも含めて五十歩百歩である。)のうち前記の許容され得る最大較差を大きく超える部分については,人口比例原則を基本的かつ中心的な考慮要素として評価されるべきものであり,その下では,一般的な常識からみても到底看過し得るものではなく,したがって,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていると評価するよりほかないのである。最大較差1対5.00たる本件選挙も以上述べたような意味で著しい不平等状態に至っているといえるし,更には,およそ最大較差が1対4ないし1対5といった投票価値の著しい不平等状態が当面の選挙制度の枠組みからして不可避であるなら,それ自体を速やかに見直されなければならないと考えられてくるところである。

(2) 当審の判断

@ しかるところ,昭和58年大法廷判決で示され,かつ,本件の多数意見を含めて累次の大法廷判決でも維持されている当審の基本的な判断枠組みによれば,社会的,経済的変化の激しい時代にあって不断に生ずる人口変動による投票価値の著しい不平等状態が相当期間継続しているにもかかわらずこれを是正する措置を講じないことが国会の裁量権の限界を超えると判断される場合には,当該議員定数配分規定は憲法に違反するに至るものと解されている。

A この判断枠組みの下で,まず,前記のとおり生じて来た投票価値の不平等の状態に関しての当審の判断の流れなどをみてみるに,多数意見2(2)及び(4)(※事案2(2)及び(4))に記されているとおり,当初以来,最大較差が6.59の平成4年参議院議員選挙についての平成8年大法廷判決を除いては,違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態が生じていたとはせず,また,到底看過することができないと認められる程度の著しい不平等状態に達していることも否定して来たが,平成16年大法廷判決に至ると,最大較差が1対5.06の平成13年選挙について,6名の裁判官が憲法に違反するとする反対意見を述べたほか,4名の裁判官が,同選挙では投票価値の平等が大きく損なわれ,参議院議員選挙法立法当初の較差からはあまりにもかけ離れた較差が生じているとの認識の下に,都道府県を唯一の単位とする選挙制度の在り方の変更について言及し,漫然と同様の状況が維持されるならば違憲判断がされる余地がある旨を指摘する「補足意見2」を付するに至ったのである。この平成16年判決において,当審では,上記の意味での多数を占めるに至った裁判官の個別意見において,投票価値の平等が厳格に解され,投票価値の1対5前後の不平等状態及びそれが長期にわたり固定化されることに否定的評価がされるに至ったのであり,立法府への一つのメッセージが示されたといえるものである。

B 果たして,参議院では,この平成16年大法廷判決を受け,参議院改革協議会が設けられ,平成17年10月にはその下に設置された選挙制度に係る専門委員会によって同判決,特にその「補足意見2」を踏まえたことがうかがわれる報告書が提出され,現行選挙制度の仕組みを維持する限り,較差を1対4以内に抑えることは相当の困難がある旨が指摘された。

C 次いで,平成18年大法廷判決は,最大較差が1対5.13の平成16年選挙について,較差是正のための国会における不断の努力が求められるが,都道府県選挙区,偶数配分という選挙制度の仕組みの下ではそれは容易でない旨指摘した上,「国会においては…これまでの制度の枠組みの見直しをも含め,選挙区間における選挙人の投票価値の較差をより縮小するための検討を継続することが,憲法の趣旨にそうものというべきである。」と末尾に述べるに至った。同判決は平成16年大法廷判決の前記補足意見2の立場を取り込んだものと評価することができるとの指摘もなされているところであるが,当審判示として選挙制度の枠組みの見直しに言及したのは初めてであり,しかも,その検討を継続することについて「憲法の趣旨にそうものというべきである」とまでの言辞を用いているところよりすれば,国会における立法的措置を伴う選挙制度の枠組みの見直しを婉曲的にせよ促したか,促したに等しいと解されるものである。

D さらに,平成21年大法廷判決は,最大較差が1対4.86の平成19年選挙について「現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要となることは否定できない。」とし,「国会において,速やかに…適切な検討が行われることが望まれる。」とまで判示し,選挙制度の仕組みの見直しを一層強調するものとなっている(なお,平成18年大法廷判決は「選挙制度の枠組み」という言葉を用い,平成21年大法廷判決は「選挙制度の仕組み」という言葉を用いているが,本件の問題では同義と考えてよいと思われる。)。

(3) 選挙制度の仕組みの見直し及びその基準時について

@ 次に,前記の基本的な判断枠組み中,国会が不平等状態の是正措置を講ずべき相当期間という点であるが,その起算点ともいうべき基準時に関して述べる。既に述べたとおり,一般的な常識からすれば,最大較差が1対4ないし1対5に達している昭和37年以来の累次の参議院議員選挙は違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に達していると評価されざるを得ないと考えられるものの,当審は,前記のとおり,平成16年大法廷判決に至るまでは,平成8年大法廷判決を除いては,多数意見において到底看過することができないかあるいは違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態が生じていたことは肯定していないし,選挙制度の仕組みの見直しを求めているわけでもない以上,昭和37年からの平成16年までの42年間については国会の立法不作為を問擬するのは不相当と思われる。
 しかしながら,前記のとおり,平成16年大法廷判決は,前記の意味での多数を占めるに至った裁判官の個別意見において,投票価値の1対5前後の不平等状態及びその長期の固定化につき否定的な評価を示し,平成18年大法廷判決は,当審として初めて選挙制度の枠組みの見直しを促すといえる判示をし,更には,平成21年大法廷判決はそのことを一層強調する判示をしたのである。そうすると,国会としては,平成16年大法廷判決の時点をもって参議院議員選挙制度における投票価値の不平等状態の是正に向けての仕組みの見直しに着手すべきであったということは十分に可能であり,現に,前記のとおり,参議院内で選挙制度の仕組みの見直しがされ始めたのである。その場合,仮にその時点からの1,2年間を準備期間ないしは助走期間とするとしても,少なくともそのことを判決文をもって促したといえる平成18年大法廷判決時を基準時として,その時点から本格的にそれに取りかかるべきであったと思われる。

A 思うに,いかなる選挙制度とするか,これにつきどのような仕組みを構築するかは,元来は国会の広い裁量権に委ねられる事柄である(憲法44条,47条)。そうすると,立法府と司法との関係において,裁判所がこのような立法的措置を伴う制度の見直しを促すようなことはよくよくのことであると考えられるところであるが,平成18年大法廷判決が,前記のとおり,あえて見直しを促すといえる判示を行うに至ったのは,立法府も憲法の下にある一方において,憲法は最高法規であり(憲法98条),最高裁判所は,一切の法律,命令,規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である(同81条)ことに鑑み,当審において,当時のような投票価値の不均衡がその後も継続すれば近い将来に立法府の不作為が憲法に抵触する状態に至る可能性が大きいと考えたからこそであろう。しかるところ,少なくとも今後その不均衡状態が違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に達するおそれがあるとの評価を踏まえなければ,憲法に抵触する状況に至る可能性があると考えることも想定し難いと思われるから,平成18年大法廷判決もおおむねそのような評価を前提として前記の見直しを促したものと私は考えるものである。同判決は,前記平成17年専門委員会報告を踏まえ,人口の都市部への偏在傾向が続く状況の中でこの著しい不平等状態が生じているという事実を認めた上で,これを解消し違憲の問題を生じさせないようにするためには,各選挙区の定数を振り替える措置により較差の是正を図るという平成18年改正におけるような方法をもってしては十分とはいえず,選挙制度の仕組みそのものを改めることが憲法の趣旨に沿うとの認識に立って,立法府に対しその作為を促すメッセージを示したと解されるべきものと思われる。
 このように考えると,国会が社会的,経済的変化の激しい時代にあって不断に生ずる人口変動による投票価値の著しい不平等状態につき,その是正措置としての選挙制度の仕組みの見直しを講ずべき相当期間において,その起算点たる基準時は,遅くとも平成18年大法廷判決が出された同年10月頃とするのが相当である。

(4) 選挙制度の仕組みの見直し状況について

@ そこで次にはこの基準時とされる平成18年10月より後の選挙制度の仕組みの見直し状況について検討するに,本件選挙までに4年近くが,現在までは6年余が経過している。確かに多数意見2(5)(※事案2(5))で述べるとおり,平成18年改正後は,参議院改革協議会の下に専門委員会が設置されて6回にわたる協議がなされ,また,本件選挙後は参議院に選挙制度の改革に関する検討会が発足し,特に平成23年7月までに参議院議長や各政党から様々な改革案が提出された。しかし,これらはいずれも検討途上のものにとどまるものであった。これらの案は,選挙制度の仕組みの見直しに関わり,あるいは参議院の独自性を明らかにする方向での検討作業と理解できるものもあり,また,人口比例原則に向けてより忠実になることを目指しているという意味で一応の評価を得ていることは疑いないが,それにしても本件選挙時には何らの改革も実現していない。

A のみならず,その時点から2年余も経過した今日に至るも,選挙制度の仕組みの見直しは具体化するに至っていないといえる。本件選挙の直前に提出された上記専門委員会の報告書においては,平成25年参議院議員通常選挙での選挙制度の見直しを行うためには,平成23年中に公職選挙法の改正案を取りまとめ,同年中にそれを国会に提出することが必要であるとの認識の下に,その旨を記した「今後の大まかな工程表(案)」が示されているが,平成24年8月に至って国会に提出された公職選挙法の改正法案(以下「平成24年改正法案」という。)はいわゆる4増4減を内容とするものにとどまり,結局,平成25年選挙は現行の仕組みのままで実施されることになっただけで,その仕組みの見直しは先送りされてしまっている。

B 平成18年改正時,平成19年選挙と本件選挙とが抜本的改革へ向けての当面の措置と位置付けられたという事情は看取されるとしても,このような現状では,当面の措置とはいえなくなってしまったというべきである。およそ,選挙制度の仕組みの見直しを行うことは,参議院の在り方をも踏まえた複雑かつ高度な政策的な考慮と判断も必要であり,事柄の性質上各議員の資格の得喪や政党のありようにかかわるなど,難題も少なくなく,したがって,多大な時間が不可欠で,恐らく想像し難いほどの難作業と思われる。そのことに鑑みると,仕組みの見直しに向けて真摯な検討作業が不断に進められなければならないと思われるが,上記の取組状況は,前後や中間に長い空白期間が存在するなど,いわば間欠的とも評価せざるを得ない。

(5) 本件選挙時の立法不作為の違憲性

@ 他面,もしも平成18年から今日まで仕組みの見直しに向けての真摯な努力が不断に続けられてきたのであれば,今日ではかなり異なった様相を呈していると思われるし(実際,既に平成17年に参議院で開始された前述の取組は,参議院議員の6年任期制及び半数改選制によって議院としての継続性が図られていることからすれば,そのまま継続し得たはずであるとみられ,この点からしてもその感を深くさせられる。),また,そのような真摯な努力にもかかわらず,本件選挙時において改革が実現しておらず,また,平成25年選挙時までに現行の仕組みの見直しを経た本件定数配分規定の改正が実現するという見通しが立っていない状況であるというのであれば,そのような事態になるについて合理的理由があることが認められ,相当期間是正措置を講じていないということにはならないであろう。しかしながら,平成18年から今日までの長期間の経過の中で選挙制度の見直しに向けての上記の取組状況からすると,投票価値の平等の根本的重要性に照らし,むしろ,著しい不平等状態が慢性的に維持されてきているとさえいわざるを得ない。

A また,いずれも違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態であると評価すべき平成16年選挙と平成19年選挙について合憲判断を行った平成18年大法廷判決及び平成21年大法廷判決との比較において若干触れると,(ア)平成18年大法廷判決については,対象とする平成16年選挙が,投票価値の平等の観点から従前より厳格に解するようになったとみられる同年大法廷判決の日から約6か月しか経過しておらず,かつ,平成16年大法廷判決の前記「補足意見2」及びこれを基にしたといえる前記平成17年専門委員会報告を踏まえたことがうかがわれ,更に過渡的な当面の措置として抜本的な改革へ向けての道程の一歩を進めたと評価され得た平成18年改正が平成18年大法廷判決の直前に実現したなどの事情があり,また,(イ)平成21年大法廷判決については,対象とする平成19年選挙が平成18年改正の1年2か月後で最初に行われたもので,しかも,当審が立法府による選挙制度の仕組みの見直しに関して初めて判示した平成18年大法廷判決から約9か月しか経過していない選挙であったことなどの事情があることからして,それぞれ憲法上要求される合理的期間内に是正する措置を講じなかったと判断するには躊躇させる事情があったといえるのである(平成18年及び平成21年の各大法廷判決における藤田宙靖裁判官の各補足意見参照)。しかしながら,前記(3)@の基準時から4年近くも経過した本件選挙では,そのような事情は見いだされないから同列には考えられない(本件選挙より9か月前の平成21年大法廷判決は,前記のとおり,国会による選挙制度の仕組みの見直しを促したといえる平成18年大法廷判決をより一層強調した表現となってはいるものの,基本的にはそれと同趣旨のものと解されるから,上記のような躊躇させる事情には当たらない。)。むしろ,現時点では,遺憾ながら,平成18年改正も平成24年改正法案も,結局,目先の必要に応じた小幅な修正にとどめて問題を先送りしたものではないか,そして,今や選挙制度の仕組みの見直しに向けた姿勢は消え失せてしまったのではないか,との疑念にさえ行き着かざるを得ないのである。

B 以上からすると,社会的,経済的変化の激しい時代にあって不断に生ずる人口変動の結果,違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態が生じ,かつ,それが相当期間経過しているにもかかわらず国会がこれを是正する立法的措置を講じなかったといえるから,かかる立法不作為は,憲法で認められた立法裁量権の限界を超えると評価せざるを得ないと思われる。

3.結論

(1) これを要するに,本件定数配分規定は,本件選挙当時,合理的理由なく投票価値の著しい不平等を生じさせているという点においても,それについて相当期間是正する立法的措置を講じなかったという点においても,国会の裁量権の限界を超えており,憲法に違反するに至っていたものというべきである。

(2) ただし,本件選挙については,前記のとおり,平成18年改正時において,平成19年選挙と本件選挙とが「当面の措置」との位置付けがなされ,本件選挙でそれが「完了」することと観念されていたということが看取されることから,その事情を斟酌し,いわゆる事情判決の法理を適用して違法宣言にとどめることが相当である。

(3) しかしながら,平成25年選挙に至ってもなお現状のままで選挙制度の枠組みの改変について見るべき取組も見いだされない状態であるならば,同選挙における選挙無効訴訟の提起された選挙区の選出議員の選挙に限っては無効とせざるを得ないというべきである。この場合,参議院は,同選挙におけるその余の選挙区選出議員,非改選の選挙区選出議員及び比例区選出議員のみによって審議がなされるということが避けられないことになる。

(4) 付言するに,参議院選挙制度については,参議院の独自性が国民の前に明らかにされ,それにふさわしい制度が構築されることが望まれるが,その場合においても,選挙権が主権者たる国民の参政権であり,民主主義の根幹に関わることよりすれば,投票価値の平等を確保することをまず基本として選挙制度の仕組みが定められるべきである。国会がそのための立法的措置を講じるについては,幾多の困難があることは想像に難くないが,衆議院とともに唯一の立法機関として憲法上最も枢要な任務を担う参議院が,一日も早くその構成員の選出の在り方において曇りなき国権の最高機関となることを強く期待するものである。

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2013年01月04日

政府公表資料等情報

衆院法務委員会平成24年06月01日より抜粋(下線は当サイトによる)

○小林興起委員長 ・・第百七十九回国会、内閣提出、裁判所法の一部を改正する法律案及びこれに対する大口善徳君提出の修正案を一括して議題といたします。
 この際、本案に対し、黒岩宇洋君外二名から、民主党・無所属クラブ提案による修正案が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。辻惠君。

○辻惠委員 ただいま議題となりました裁判所法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。
 司法修習生に対する経済的支援については、昨年十月末までの給費制の延長措置が終了し、昨年十一月より、修習資金を貸与する制度が適用されているところでありまして、本修正案は、この制度について、政府原案と同様に裁判所法の一部を改正し、修習資金を返還することが経済的に困難である場合における措置を講じております。
 他方で、法曹の養成を取り巻く現在の状況を見ますと、司法修習を終えた者の社会のさまざまな分野への進出が進んでいないほか、法科大学院志望者数の減少、司法試験合格率の低迷等の状況が生じており、法曹の養成に関する制度全体について速やかに見直しを行うことが急務となっております。
 本修正案は、このような状況に鑑み、新たに、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律の一部を改正し、国民の信頼に足る法曹の養成に関する制度について、当初予定された平成二十五年四月以降を待たず、この法律の施行後一年以内に学識経験を有する者等により構成される合議制の組織の意見等を踏まえつつ検討を加えて一定の結論を得た上、速やかに必要な措置を講ずるものとしております。また、裁判所法の一部を改正し、修習資金を貸与する制度については、この検討において、司法修習生に対する適切な経済的支援を行う観点から、法曹の養成における司法修習生の修習の位置づけを踏まえつつ、検討が行われるべきものとしております
 以上が、本修正案の趣旨及び概要であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

○小林委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
 この際、大口善徳君提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。小川法務大臣。

○小川敏夫国務大臣 本法律案に対する修正案については、政府としては反対であります

○小林委員長 この際、お諮りいたします。
 本案及び両修正案審査のため、本日、政府参考人として総務省行政評価局長新井英男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

○小林委員長 これより原案及び両修正案を一括して質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。大口善徳君。

○大口善徳委員 ・・まず、法曹人口について、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
 政権交代後、千葉法務大臣は、平成二十二年三月十二日の当法務委員会において、法曹人口について、「基本的に、平成二十二年ごろには合格者数三千人程度を目指すという、既に閣議決定をいただきながら進めてきたものを今見直すということは考えておりません。」こういう答弁をされています
 また、江田法務大臣は、これは二十三年四月十四日の参議院法務委員会におきまして、「司法制度改革のスタートのときに三千人という目標を立てて、そこへ持っていこうといろんな努力をしましたが、それが実現できていないということはこれは大変残念なことで、しかし、できていないにはできていない理由があるわけですから、これと真正面と向き合いながら、合格者数のことについても、何が何でも三千というわけではなくて、やはりそこはいろんな工夫をしながら、しかし法曹人口を増やしていく、日本の法的サービスというのをもっと層の厚いものにしていくという努力はしていかなきゃいかぬと思っております。」こう答弁されています
 今後の法曹人口について、法務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

○小川国務大臣 年間三千人程度ということを理念として出発しました法曹養成制度でありますが、しかし、現実には、そういう状況になっていないというのが実情でございます。
 そうした観点を踏まえまして、今直ちに見直すということを決定するということではございませんが、しかし、そうした当初の理念に達していないという現状を踏まえて、これについてさまざまな、つまり、法曹の職域の拡大等といった問題もございます。あるいは、ロースクールの教育の中身といったような問題もございます。さまざまな点が絡んでいるところでございますので、今、法務省あるいは政府といたしましては、法務省、文科省等関係六省庁によりまして、それから有識者を踏まえて法曹養成フォーラムを設けて、その場におきまして法曹養成制度全般を検討しておるわけでございまして、当然、その中には、この司法試験合格者三千人についても検討するものでございます。
 そうした検討を踏まえて、この合格者の人数についても検討してまいりたい、このように考えております。

○大口委員 去る四月二十日、総務省は、法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価書を公表いたしました。その中で総務省は、法務省に対してと文科省に対して勧告をしているわけですね。
 法務省に対しては、「司法試験の合格者数に関する年間数値目標については、これまでの達成状況との乖離が大きく、また、法曹・法的サービスへの需要の拡大・顕在化も限定的であることから、これまで及び今後の弁護士の活動領域の拡大状況、法曹需要の動向、法科大学院における質の向上の状況等を踏まえつつ、速やかに検討すること。」と勧告しています
 総務省、この総務省の勧告について、勧告先である省庁はどのような尊重義務があるのか、お伺いします。

○新井英男政府参考人 お答えいたします。
 総務大臣には、設置法または政策評価法上の権限といたしまして、調査結果に基づき、関係大臣に対し勧告を行うことができることとなっており、勧告は、法令解釈上相手方を拘束する意味を持つものではございませんが、それが尊重されることを前提としているものと理解しております。
 また、勧告につきましては、その実効性を確保するため、法律上、勧告に基づいてとった措置について報告を求めることができることとなっており、勧告の際、総務大臣から閣議の場で関係大臣に対しまして適切な改善措置を要請するとともに、勧告後の実施状況につきまして、二回にわたりフォローアップを実施しているところでございます。

○大口委員 この年間合格者数の数値目標のこと、あるいは法曹人口のことで総務省の勧告があったわけです。これに対して法務大臣はどのように対応されようとしておりますか

○小川国務大臣 いただきました勧告につきましては、その趣旨を十分尊重して検討してまいりたいと思っております。
 ただ、これから新たに始めるといったことではなくて、先ほども申し述べました法曹養成フォーラム、ここには、法務省、文科省のほか、総務省等、関係省庁六省の中に総務省も入っておりますが、そうした点、有識者も含めた法曹養成フォーラムで現在検討中でございます。今回の総務省の勧告も、法曹養成フォーラムの中でこれも公表、検討ということで説明していただきました。そうした点を踏まえて、これから真摯に検討してまいりたいと思っております。

○大口委員 次に、民主党修正案についてお伺いをいたします
 まず、一条で「司法修習生に対する適切な経済的支援を行う観点から、法曹の養成における司法修習生の修習の位置付けを踏まえつつ、」こうあるわけでございます。この中で、法曹の養成における司法修習生についての検討をした結果、司法修習生に対する適切な経済支援として修習資金の貸与制を給費制に戻すことを排除しない、こう考えてよいのか、お伺いしたいと思います。

○辻委員 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、給費制に戻すことを排除しない趣旨であります

○大口委員 経済的な事情によって法曹への道を断念する事態を招くことがないようにすることが大前提と私どもは考えておりますが、それについてどうでしょうか。

○辻委員 委員御指摘のとおり、法曹を目指す者が経済的な事情でその目的を断念することがあってはならないと考えております。
 本修正案は、法曹養成制度全体の速やかな検討を行い、一定の結論を得ることと、その中で、修習資金の貸与については、司法修習生に対する適切な経済的支援を行う観点から検討することを主な内容としております。法曹養成制度全体の検討が早期に行われることの中で、司法制度改革の基本原理である高い資質を備えた多数の法曹の養成及び確保を実現するための経済的支援のあり方が検討されることが重要であり、経済的な事情で法曹を目指す者がその目的を断念することがあってはならない、このように考えております

○大口委員 次に、「司法修習生の修習の位置付けを踏まえ」というのはどういう意味かということです。
 昨年十二月、当委員会で漆原委員が明らかにしましたように、旧憲法下では裁判官、検察官と弁護士が別々に養成されていたのを、新憲法の司法権強化と人権保障の観点で、法曹三者は統一の修習制度として国が養成することとしたわけでして、法曹三者は対等な立場で司法制度の一翼を担う重要な存在と位置づけました。そのような理解を前提としているのか、お伺いします。

○辻委員 戦前の分離修習ではなくて、戦後の法曹養成については、法曹三者はそれぞれ司法の担い手であり、職業としての法曹は一体であるべきであって、法曹たるものはひとしく高度の一般的教養と法律的素養を身につけているべきであるという考え方のもとで、法曹三者の統一の試験、修習が実施されてきたものであります。
 今後の検討においても、司法修習生に対する経済的支援のあり方の検討においても、このような法曹養成全体における司法修習の意義を踏まえて検討されるべきだと考えております。

○大口委員 次に、新たな合議制の組織についてお伺いしたいと思いますが、法曹養成制度の制度全体の見直しというのは非常に大きなテーマなわけでございます。第二の司法制度改革とも言えるわけですね。ですから、本来からいえば、かつての司法制度改革審議会のような法的な根拠を持った機関において集中的に議論をすべきであるわけですよ。
 ところが、今回、内閣官房、総務、法務、財務、文科、経産の六大臣の申し合わせ事項という形で法曹の養成に関するフォーラムというものをつくられたわけであります。そういう点では、これではやはり法曹養成制度全体の抜本的な見直しということにおいては、委員も、果たして我々の議論してきたことを政府はそのまま実行してくれるのかというような意見まで出るまで、ある意味では立脚するところが弱いわけでございます。フォーラムの先生方は一生懸命されているわけでありますけれども、そういうことが言えると思います。
 そこで、今回の新たな合議制の組織と現在開催されている法曹の養成に関するフォーラムはどのような関係にあるのか、お伺いしたいと思います。

○黒岩宇洋委員 お答えいたします。
 法曹養成フォーラムは、一昨年の裁判所法の一部改正、この法律に関する衆議院の法務委員会決議を受けまして、法曹の養成に関する制度のあり方についての検討を行うために、今おっしゃられた関係六大臣の申し合わせに基づきまして制定されているものであります。
 一方、本修正案におきましては、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律、いわゆる連携法の附則第二条におきまして、国民の信頼に足る法曹の養成に関する制度について、学識経験を有する者等により構成される合議制の組織の意見等を踏まえて検討を行うこととしておりまして、この合議制の組織につきましては、閣議決定に基づくものとし、そしてこのフォーラムによる従前の検討体制をより強力にして、新たに整備することを想定しているというところでございます。

○大口委員 そうしますと、フォーラムでこれまで議論してきた内容を参考にするとしても、閣議決定による新たな合議組織である以上、フォーラムのこれまでの取りまとめに拘束されるわけではないと考えてよろしいですか

○黒岩委員 おっしゃるとおりでございます
 この組織での検討におきましては、必ずしもフォーラムでの検討内容に拘束されるようなことはないと考えております。

○大口委員 新たな合議制組織は、法曹養成全体について審議するわけでありますが、具体的にはどのようなことを検討するということですか

○黒岩委員 まずは、法曹有資格者の活動領域拡大のための方策、そして、今後の法曹人口のあり方のほか、法科大学院、ロースクールにおける法学教育、司法試験、司法修習といった各法曹養成の課程につきまして、制度全体が検討されることになると考えております。

○大口委員 新たな合議制組織の委員の人選に当たって、どのようなことが重視されるのかということでございます。
 フォーラムの皆さんは一生懸命されていることは認めますけれども、やはりいろいろな御意見があります。ですから、人選というのは極めて大事でございまして、そこについてどういう点を重視されて人選をするのか、お伺いしたいと思います。

○黒岩委員 お答えします。
 修正案におきましては、学識経験を有する者等により構成される合議制の組織の意見等を踏まえつつ検討を行うこととしております。
 これは、実務者協議でもさまざまな御意見をいただきまして、それを反映いたしまして、この組織については、従前の検討体制をより強力なものにすると先ほど申し上げましたが、さらに、法科大学院及び法曹関係者以外の多様な意見も反映されるよう整備されるものと考えております。そして、特定の関係者に偏ることなく、幅広い分野の学識経験者等の意見を得られるようにすることが重要と考えております。

○大口委員 特に私が思うのは、貸与制の賛成論者が非常に多い構成になっていて、そういう点では、法曹養成全体のあり方についてしっかり議論をしていただかなきゃいけないという点では、人選をしっかりやっていただきたいと思います。
 この法施行後、一年以内に検討を加えて一定の結論を得るとありますが、この一定の結論とは、政府の講ずべき措置の内容及び実施時期を明記した工程表と解してよいのか、お伺いします。

○階猛委員 大口委員におかれましては、法曹養成制度の見直しについて、いつも的確な御意見を御披瀝されておりまして、本当に敬意を持っております。
 今御指摘されたのは、連携法の附則二条に関する修正案の部分でございまして、一定の結論というのは、委員おっしゃるとおり、政府の講ずべき措置の内容及び実施時期を明記したものでございます。それを工程表と言うかどうかはこれは別にしまして、いずれにしましても、そういう、いつまでに何をやるかということを明示したものを政府として発表されるというふうに理解しております。

○大口委員 「速やかに必要な措置を講ずる」の、この「速やか」とはどれぐらいの期間を考えておりますか

○階委員 同じ附則二条の関係でございますけれども、「速やかに」というのは、立法措置をとるということが仮に結論としてあった場合は、これは国会の審議などもありますからすぐに実行に移すことはできませんけれども、基本的には、一刻の猶予もならないわけですから、やれるものはすぐ実行する、法改正などを要するものは、法改正ができ次第、実行するというようなことになると思います。

○大口委員 大臣にお伺いします。
 今、与党修正案についてお伺いしましたが、これは政府・与党一体でございますので、大臣として、今、提出者からの答弁について大臣としても責任を持って実行していく、その点、お伺いしたいと思います。

○小川国務大臣 その趣旨を尊重しまして、適切に対応してまいります

○大口委員 次に、諸外国の例を引いて、ちょっと給費制の問題についてお伺いしたいと思います。
 まず、諸外国の法曹養成制度を見ますと、ドイツでは、日本と同様に、法曹資格の取得のために統一修習が義務づけられていて、二年間の修習期間中、国費から給与が支給されることになっています。
 また、韓国では、法学専門大学院制度の導入により司法研修院での司法研修は廃止されることになりましたが、旧制度も並行して続いているわけですけれども、旧制度では、二年間の研修期間中、国費から給与が支給されています
 さらに、ロースクールと修習が併存するカナダにおいても、州により多少の違いはありますが、ロースクール卒業後の法曹資格付与コース、BACにおいて、実務修習期間中は修習先から給与を支給されることになっています。
 他方、アメリカでは、ロースクール卒業後、試験に合格すれば弁護士資格を取得できることになっています。
 韓国でも、新たに導入された法学専門大学院制度においては、法学専門大学院卒業後、試験に合格すれば弁護士資格を取得できることになっておりまして、統一修習はありません。これは、みんながまず弁護士になって、それから裁判官あるいは検事になっていくわけですね。
 給費制は法曹養成制度の根幹であり、現行の司法修習制度は、国家が国家の責任において司法機能の充実のために実施するものとして六十年以上営まれてきたわけであります。統一修習を実現するために、修習専念義務を課し、兼業やアルバイトを禁じた上、給費を支給してきたものであります。修習専念義務を課しながら自費による修習を強要することは、現在の法曹養成制度のもとで経済的な負担を負う修習生にさらに過大な負担を課すことにほかなりません。
 このように、法曹資格の取得のために修習専念義務がつけられている国においては修習生に対して給与が支給されており、また給与は支給されるべきだと考えているわけですが、法務大臣の所見をお伺いします
 また、諸外国のうち、統一修習を行っている国で、司法修習生に対し修習専念義務が課されているにもかかわらず給与を支給していない国があるのか、これもあわせお伺いしたいと思います。

○小川国務大臣 まず後者の方でございますが、ドイツにおきましては委員の御指摘のとおりでございますが、それ以外の国におきましては、まだ把握し切れておりませんので、承知していないというふうに答弁させていただきます。
 そして、委員の御質問の中で、修習生、法曹となろうとする者が経済的事情によって困難なことがあってはならないという点は、全く御指摘のとおりであると思っております。
 ただ、給費制か貸与制かというところでございますが、一つの考え方といいますか、私どもの考え方といたしましては、修習しているとき、専念義務があるそのときに経済的に困難な方には、その経済的な支援を、いわば支えるということが必要ではないかと思います。そうした意味で貸与制があるわけでございますが、修習中に経済的な支援を受けられるということでは、給費制も貸与制も実質的には同じではないかと。ただ、法曹になった後に、返還できるという経済力をつけた段階ではお返しいただきたいということでございます。
 そうした意味で、修習中、全く経済的な支援を行わない、あるいは、経済的な力がない人には修習あるいは法曹になる道を閉ざしているということではないということをぜひ御理解いただきたいと思っております。

○大口委員 私の方で通告してあったわけですよね。今ドイツのことを言及されましたが、韓国には、法務省は事情もよくわかっておられるわけだし、大体、主要国について、全部の国を挙げているわけではないわけですよ。限られた国を挙げているわけですから、そこをもう一度、御見解をお伺いしたいと思います。

○小川国務大臣 韓国では、従前の、給費制であった、我が国と同じような仕組みでございましたが、これが制度が変わりまして、現時点では、大学の後、三年間の法科専門大学院を修了して弁護士試験に受かれば資格を得られるという仕組みになっておりますので、制度が変わっております。委員も、韓国で旧制度という御指摘がありました。旧制度は委員の御指摘のとおりでございます。
 また、アメリカ、イギリス、フランス、こうした主要国につきましては、統一修習と国費の支給という仕組みはとっておらないようでございますが、それ以外の国につきまして、統一修習をとっている国、そして給費、国費を支給しているという制度をとっている国については調査し切れておりませんので、きょうのところは、承知していないということで答弁させていただきます

○大口委員 大臣は副大臣時代からこの問題をずっとやっておられて、お勉強もされているわけですから。今、基本的なことをお伺いしているわけですよ。
 しかも、アメリカとか韓国の新しい制度においては、法科大学院を卒業すれば弁護士になれるわけですよね。我が国においては、司法修習を終了しなければなれないわけですから、そういう点では構造が違うわけですね。
 法曹一元化ということでいえば、アメリカ、韓国は、とにかく法科大学院を卒業して試験に受かれば、修習を要しないで誰でも弁護士になって、そして、そこから検事や裁判官といくわけです。これが法曹一元化の一つの形ですよね。しかし、我が国においては、そうではなくて、統一修習をすることによって、そこで法曹三者が対等な形で修習をしていくわけです。その場合、統一修習をしなければ法曹資格が得られないわけですから、そこはアメリカや韓国の新しい制度と根本的に違うわけですよね。そして、そこで修習専念義務を課されるわけであります。
 そういうことからいきますと、私どもの調査によりますと、諸外国のうち統一修習を行っている国で、司法修習生に対して修習専念義務が課されているにもかかわらず給与を支給していない国はない、こう思っているんですね。ですから、このことについてしっかり調査をしないで一定の結論を得るということ自体、おかしなことであると思うんですね。フォーラムでも、やはり本当はそこら辺もしっかり調査しなきゃいけなかったと思うんですが、その点をお伺いします。

○小川国務大臣 確かに、委員の御指摘もごもっともでございますが、ドイツ、フランス等ヨーロッパ、ただ、国の数も大変多いものでございまして、例えばドイツのように、統一修習、国費支給という制度をとっている国がヨーロッパの中にどこがあるのかということにつきましては、まことに申しわけございません、現時点では、今答弁できる資料を持ち合わせておりません。しかし、そうした点をさらに調べるようにという委員の御指摘はごもっともでございますので、主要な国についてさらに範囲を広げて確認してみたいと思います。

○大口委員 司法修習生には修習専念義務が課されている、アルバイト等も禁止されている。これは、司法修習制度はより質の高い法曹を生み出すことを目的とし、裁判官、検察官、弁護士のもとで、実際の生の事件を扱うものであります。一年間という限られた期間で、終日にわたって充実した修習を行う必要があることから、修習生に修習専念義務を課すことが、効果的、効率的に司法修習を行うため極めて重要であることに基づいておるわけであります。
 しかし、現在の貸与制のもとでアルバイト等が禁止されている状態では、法科大学院修了に至るまでに多額の借金を負っている修習生が生活を維持するには大変な経済的な負担が発生しております。給費制を維持することが一番望ましいと考えておりますが、現在、既に昨年十一月から貸与制に移行しています。
 そこで、修習期間中の最低限の生活費に加え、自宅を離れて配属地に移転する場合の引っ越し代、住居費、交通費等は援助する等、適切な財政支援を行う必要があると考えますが、法務大臣の見解をお伺いしたいと思います。

○小川国務大臣 一般論としまして、適切な財政支援を行うべきであるという考えはそのとおりであると思っておりますが、具体的に今、現行の貸与制も、従前の給費制のときと同じ金額をいわば貸与するわけでございます。また、住居を賃借する等という事情があれば、それに加算するということでございますので、そうした考慮はしてあるものというふうに思っております。

○大口委員 大臣、大臣も司法修習生の時期があったわけでありまして、そういう点で、やはり経済的理由によって今、法科大学院へチャレンジしようとする人まで急激に減少している、また、法学部自体に入学しようとされる方が非常に減少している、こういうことでは、法曹あるいは法治国家における一つの人材の基盤が崩れ落ちようとしているわけですよ。
 そこをやはり、しっかり認識はされておると思いますけれども、認識していただいて、今後、この新たな合議機関、一年という中で集中的に法曹養成制度全体について議論をして、日本が国際社会においてそれこそ存在感を持ち、また国民の人権が守られ、正義が達成できるような、こういう社会を目指して、これから法曹養成のあり方について議論をすることが非常に大切である、こういうふうに申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

 (中略)

○小林委員長 これより原案及び両修正案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。大口善徳君。

○大口委員 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となっております政府提出に係る裁判所法の一部を改正する法律案につきまして、公明党提出に係る修正案に賛成、仮に公明党提出に係る修正案が否決された場合には、次善の策として民主党提出に係る修正案に賛成の立場から討論を行うことといたします。
 法曹養成に関する制度については、法科大学院の志望者の減少、司法試験合格率の低迷を初めとするさまざまな問題点が指摘されている現状を踏まえ、制度全体の見直しを早急に行う必要があります
 修習資金の貸与制についても、この全体の見直しの中で、法曹の養成における司法修習生の修習の位置づけを踏まえつつ検討が行われるべきであり、その間については、貸与制への移行を停止し、給費制を復活すべきと考えます。
 この点、公明党提出に係る修正案は、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律の改正規定を加え、現行法上、来年四月以降に行うこととされている法曹養成に関する制度についての検討を直ちに行うこととした上、その検討に関し法律に基づく合議制の機関の意見を踏まえることとし、所要の措置を講ずる期限として平成二十五年十月三十一日を定めるなど、法曹養成に関する制度の見直しを早急かつ確実に行うことができる内容となっております。
 また、裁判所法の改正規定において、平成二十五年十月三十一日までの間の修習資金の貸与制の停止と給費制の暫定的な復活をした上、貸与制については、法曹の養成に関する制度についての検討において、法曹になろうとする者が経済的理由から法曹になることを断念することがないよう適切な財政支援を行う観点から、司法修習の位置づけを踏まえつつ検討することとしております。法曹の養成に関する制度全般の中で検討を行うことも、また法曹志願者の経済的負担の重さが問題となっている現状をあわせ考えても、妥当な内容であります。
 以上のような点から、公明党提出に係る修正案が最善であると考えております。
 一方、民主党提出に係る修正案は、公明党の主張を取り入れ、法曹の養成に関する制度に関する検討を直ちに行うこととした上、合議制の組織の意見を踏まえることや、結論の取りまとめを一年以内に行って速やかに必要な措置を講ずる旨を定めております。また、修習資金の貸与制についても、法曹の養成に関する制度の検討において、修習生に対する適切な経済支援を行う観点から、法曹の養成における司法修習生の位置づけを踏まえつつ検討することとしており、審議の中で修習資金の貸与制を給費制に戻すことを排除しないことも確認されています
 民主党提出に係る修正案においては、法曹の養成に関する制度に関する検討に関し設置される合議制の組織が別に法律の定めるところによるものでなく閣議決定によるものであるということ、そして、検討期間においても修習資金の貸与制が適用され続けることなど、なお十分でない点があると考えております。
 しかし、大きな方向性としては評価すべきものであり、早急に法曹養成の制度に関する検討を行うべき状況にも鑑み、公明党提出に係る修正案が否決された場合には、次善の策として民主党提出に係る修正案に賛成することを表明いたします。
 以上です。

○小林委員長 これにて討論は終局いたしました。

○小林委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、裁判所法の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。
 まず、大口善徳君提出の修正案について採決いたします
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

○小林委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました
 次に、黒岩宇洋君外二名提出の修正案について採決いたします
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

○小林委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました
 したがって、政府原案は、本修正案のとおり修正議決すべきものと決しました

○小林委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、黒岩宇洋君外四名から、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。辻惠君。

○辻委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    裁判所法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

 一 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律附則第二条の規定による合議制の組織は、閣議決定に基づくものとし、従前の検討体制をより強力にし、かつ、法科大学院及び法曹関係者以外の多様な意見も反映されるよう整備すること。

 二 一の合議制の組織においては、法科大学院志願者数の減少、司法試験合格率の低迷等の法曹養成制度の問題状況を踏まえ、その原因を探求の上、法科大学院における適正な定員の在り方や司法試験の受験の在り方を含め、質の高い法曹を養成するための法曹養成制度全体についての検討を加えた結果を一年以内に取りまとめ、政府においては、講ずべき措置の内容及び時期を直ちに明示することとすること。

 三 二の検討に当たっては、以下の点に特段の配慮をすること。

  1 法科大学院教育、司法試験及び司法修習等の法曹の養成に関する各課程の役割と相互の連携を十分に踏まえたものとすること。

  2 我が国の司法を支える法曹の使命の重要性や公共性に鑑み、高度の専門的能力と職業倫理を備えた法曹を養成するために、法曹に多様かつ有為な人材を確保するという観点から、法曹を目指す者の経済的・時間的な負担を十分考慮し、経済的な事情によって法曹への道を断念する事態を招くことがないようにすること。

  3 司法修習生に対する経済的支援については、司法修習生の修習専念義務の在り方等多様な観点から検討し、必要に応じて適切な措置を講ずること。

 以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

○小林委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

○小林委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました
 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小川法務大臣。

○小川国務大臣 ただいま可決されました裁判所法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

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