2020年11月21日

令和2年予備試験論文式刑訴法参考答案

【答案のコンセプトについて】

1.当サイトでは、平成27年から昨年まで、規範の明示と事実の摘示に特化した参考答案を掲載してきました(「令和元年予備試験論文式憲法参考答案」参照)。それは、限られた時間内に効率よく配点の高い事項を書き切るための、1つの方法論を示すものとして、一定の効果をあげてきたと感じています。現在では、規範の明示と事実の摘示を重視した論述のイメージは、広く受験生に共有されるようになってきているといえるでしょう。

2.その一方で、弊害も徐々に感じられるようになってきました。規範の明示と事実の摘示に特化することは、極端な例を示すことで、論述の具体的なイメージを掴みやすくすることには有益ですが、実戦的でない面を含んでいます。
 また、当サイトが規範の明示と事実の摘示の重要性を強調していた趣旨は、多くの受験生が、理由付けや事実の評価を過度に評価して書こうとすることにありました。時間が足りないのに無理をして理由付けや事実の評価を書こうとすることにより、肝心の規範と事実を書き切れなくなり、不合格となることは避けるべきだ、ということです。その背景には、事務処理が極めて重視される論文の出題傾向がありました。このことは、逆にいえば、事務処理の量が少なめの問題が出題され、時間に余裕ができた場合には、理由付けや事実の評価を付すことも当然に必要となる、ということを意味しています。しかし、規範の明示と事実の摘示に特化した参考答案ばかり掲載することによって、いかなる場合にも一切理由付けや事実の評価をしてはいけないかのような誤解を招きかねない、という面もあったように感じます。

3.以上のことから、平成27年から昨年までに掲載してきたスタイルの参考答案は、既にその役割を終えたと評価し得る時期に来ていると考えました。そこで、今年は、必ずしも規範の明示と事実の摘示に特化しない参考答案を掲載することとしました。より実戦的に、現場で答案に事実を書き写している間に思い付くであろう評価を付し、時間・紙幅に余裕がありそうな場合には、規範の理由付けも付すこととしています。
 もっとも、現時点でも、規範の明示と事実の摘示に最も配点があるという傾向自体には変わりはないと考えています。また、規範の理由付けと事実の評価を比較すれば、後者、すなわち、事実の評価の方が配点が高いというのが、これまでの再現答案等の分析からわかっていることです。ですので、参考答案では、規範の明示と事実の摘示を最優先とし、次に事実の評価、それでもまだ余裕がありそうなら規範の理由付け、という優先順位を設け、それに基づいて論述のメリハリを付けることとしています。また、応用論点についても、現場でそれなりに気付くことができそうなものについては触れていく、という方針を採用しました。

4.今年の刑訴法は、旧司法試験時代を思わせる単一マイナー論点型でした。最判平15・10・7を知っているかという、それだけの問題と感じさせます。このような問題の場合は、時間・紙幅に余裕があるわけですから、規範の理由付けや事実の評価も書くことになるでしょう。マイナー論点とはいえ、論証を準備していた人はそれなりにいただろうと思います。また、詳細な論証を覚えていなくても、一事不再理効の趣旨から公訴事実の同一性の規範を導くことは不可能ではないでしょうし、審判対象が訴因であることから訴因を対照する、という規範を導くことも可能だったのではないかと思います。一般論・抽象論の部分で、差が付くことになりそうです。
 後段の当てはめでは、常習傷害における常習性の意義が一応問題になるわけですが(暴力的習癖が認められる場合であっても、その発現と認められない偶発的犯行については常習傷害を構成しない(大阪高判昭41・2・5等)。)、もちろんそんなものは知っているはずがないそれでも、両訴因を比較すれば、「事件①と事件②って態様が随分違うよね。」ということはすぐ気付いたはずです。事件①の常習性とは、自宅で交際相手とちょくちょく口論とかになってつい手を出してしまうという常習性だろう(「近しい女性を対象とする粗暴犯の常習性」を認めた近時の裁判例として、福岡高判平30・9・27参照) 。その常習性が事件②に現れているといえるのか違うだろう(厳密には実体判断に伴ってその点も審理すべきというのが上記最判平15・10・7の趣旨だとは思いますが。)。本問ではそれなりに答案構成に時間を掛けることができるでしょうから、ある程度落ち着いて考える時間があります。事件①と事件②の違いを活かすとすればどのようなことが考えられるかという視点で考えれば、それなりに正解に近い方向性で解答することは可能だったろうと思います。
 なお、事件①の判決確定後に事件②が発覚した点については、検察官の同時処理を重視する説に配慮した事実関係ですが、判例・通説からは公訴権濫用の考慮要素(消極方向)となり得ます。もっとも、公訴権濫用の場合には、裁判所は公訴棄却判決(338条4号)をすることになります。本問の弁護人は免訴を主張しているので、これは本来解答にはそぐわない。なので、書くとしても、参考答案のように、「添える」感じで書くべきでしょう。本問の場合、通常の受験生は書くことがあまりないでしょうから、時間が余るようなら一応書いた方がよいと思います。
 参考答案中の太字強調部分は、「司法試験定義趣旨論証集刑訴法」に準拠した部分です。

 

【参考答案】

第1.前段

1.弁護人の主張の趣旨は、①事件の確定判決の一事不再理効が②事件に及ぶため、裁判所は、免訴判決をしなければならない(337条1号)という点にある。

2.一事不再理効は、起訴状記載の訴因と公訴事実の同一性が認められる範囲において生じる一事不再理効の根拠は、被告人を再度の訴追による二重の危険から解放することにある(憲法39条後段)ところ、検察官は公訴事実の同一性が認められる範囲において訴因変更が可能であり(312条1項)、被告人は、その範囲において有罪判決を受ける危険を負担したといえるからである

3.公訴事実の同一性(312条1項)とは、公訴事実の単一性又は狭義の同一性があることをいう公訴事実の単一性は、実体法上一罪であるか否かによって判断する
 弁護人は、②事件は既に有罪判決が確定した①事件とともに常習傷害罪の包括一罪を構成すると主張しているから、広義の公訴事実の同一性のうち、公訴事実の単一性が問題となる。
 訴因制度を採用する現行法において、審判対象は訴因であり、検察官は一罪の一部を起訴することもできると考えられる以上、一事不再理効の範囲の判断における公訴事実の単一性の判断についても、前訴と後訴の訴因のみを対照して行うべきである(八王子常習特殊窃盗事件判例参照)
 ①・②事件の訴因はいずれも単純傷害罪であり、併合罪(刑法45条前段)の関係に立つと考えられ、両罪が常習傷害罪の包括一罪を構成するとうかがわせる要素はないから、両罪の公訴事実の単一性を認めることはできない。
 以上から、①事件の確定判決の一事不再理効は、②事件に及ばない。

4.なお、検察官が恣意的に事件を分割した場合には公訴権濫用の問題が生じうるが、②事件は①事件の判決確定後に判明したから、検察官が濫用的に事件を分割して起訴したとは認められない。

5.よって、裁判所は、免訴判決をすべきでなく、実体判断をすべきである。

第2.後段

1.①事件の訴因が常習傷害罪の事実であることから、②事件の訴因がその常習傷害罪の一部といえるかを判断する。
 確かに、犯行日は、①が令和元年6月1日で、②は同年5月15日と近接している。
 しかし、犯行場所は、①がH県I市内の自宅であるのに対し、②はJ県L市内の路上であり、被害者は、①が交際相手の乙であるのに対し、②は見ず知らずの通行人丙であり、暴行態様は、①が顔面を平手で数回殴るなどであるのに対し、②は顔面、頭部を拳骨で多数回殴るなどであり、傷害の程度は、①が加療約5日間を要する顔面挫傷等であるのに対し、②は加療約6か月間を要する脳挫傷等である。
 ①事件の常習性は、軽微な家庭内暴力が習慣化したものと考えられる。これに対し、②事件は、路上において偶発的に生じたものと考えられ、相手を死亡させかねない重大な傷害事件である。そうすると、②事件を①事件の常習性の現れとみることは困難である。したがって、②事件が①の常習傷害の一部を構成すると認めるに足りないから、両罪の公訴事実の単一性を認めることはできない。
 以上から、①事件の確定判決の一事不再理効は、②事件に及ばない。

2.公訴権濫用の問題が生じないことは、前段同様である。

3.よって、裁判所は、免訴判決をすべきでなく、実体判断をすべきである。

以上

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2020年11月18日

令和2年予備試験論文式刑法参考答案

【答案のコンセプトについて】

1.当サイトでは、平成27年から昨年まで、規範の明示と事実の摘示に特化した参考答案を掲載してきました(「令和元年予備試験論文式憲法参考答案」参照)。それは、限られた時間内に効率よく配点の高い事項を書き切るための、1つの方法論を示すものとして、一定の効果をあげてきたと感じています。現在では、規範の明示と事実の摘示を重視した論述のイメージは、広く受験生に共有されるようになってきているといえるでしょう。

2.その一方で、弊害も徐々に感じられるようになってきました。規範の明示と事実の摘示に特化することは、極端な例を示すことで、論述の具体的なイメージを掴みやすくすることには有益ですが、実戦的でない面を含んでいます。
 また、当サイトが規範の明示と事実の摘示の重要性を強調していた趣旨は、多くの受験生が、理由付けや事実の評価を過度に評価して書こうとすることにありました。時間が足りないのに無理をして理由付けや事実の評価を書こうとすることにより、肝心の規範と事実を書き切れなくなり、不合格となることは避けるべきだ、ということです。その背景には、事務処理が極めて重視される論文の出題傾向がありました。このことは、逆にいえば、事務処理の量が少なめの問題が出題され、時間に余裕ができた場合には、理由付けや事実の評価を付すことも当然に必要となる、ということを意味しています。しかし、規範の明示と事実の摘示に特化した参考答案ばかり掲載することによって、いかなる場合にも一切理由付けや事実の評価をしてはいけないかのような誤解を招きかねない、という面もあったように感じます。

3.以上のことから、平成27年から昨年までに掲載してきたスタイルの参考答案は、既にその役割を終えたと評価し得る時期に来ていると考えました。そこで、今年は、必ずしも規範の明示と事実の摘示に特化しない参考答案を掲載することとしました。より実戦的に、現場で答案に事実を書き写している間に思い付くであろう評価を付し、時間・紙幅に余裕がありそうな場合には、規範の理由付けも付すこととしています。
 もっとも、現時点でも、規範の明示と事実の摘示に最も配点があるという傾向自体には変わりはないと考えています。また、規範の理由付けと事実の評価を比較すれば、後者、すなわち、事実の評価の方が配点が高いというのが、これまでの再現答案等の分析からわかっていることです。ですので、参考答案では、規範の明示と事実の摘示を最優先とし、次に事実の評価、それでもまだ余裕がありそうなら規範の理由付け、という優先順位を設け、それに基づいて論述のメリハリを付けることとしています。また、応用論点についても、現場でそれなりに気付くことができそうなものについては触れていく、という方針を採用しました。

4.今年の刑法は、オーソドックスな事務処理型でした。論点抽出も、それほど難しくない。このような問題では、単純に規範の明示と事実の摘示で差が付くでしょう。当てはめに入る前に規範を明示していなかったり、問題文の事実を答案に摘示していないと、どんなに「自分の言葉で評価」しても、点は付きません。後で成績が送られてきた際に、予想外に成績が悪かった、という人は、参考答案に記載された規範と事実が再現答案にきちんと書かれていたか、問題文に存在しない事実を摘示していないか、確認してみるとよいでしょう。とりわけ詐欺罪との関係では、どの事実が欺く行為を構成するのか、改めて検討してみると、どの事実の摘示が必要であったかがわかるでしょう。事実の摘示は、何も考えずに問題文の事実を書き写すだけでよいこともありますが、書き写すべき事実の取捨選択を要することもあるのです。「言っている意味がわからない。」という人は、仮に甲が変更後の氏名で(しかし暴力団員であることは告げずに)賃貸借契約を締結していたら詐欺罪にならないのか、免許証と預金口座は何のために提示したのか(欺くつもりがない場合は代わりに何を提示すればよいというのか。)、ということを、考えてみるべきでしょう。なお、偽造について文書の性質上賃貸借契約書に本名の記載が必要であると考えてしまった場合、暴力団員かどうか以前に本名でない氏名で賃貸借契約を締結したこと自体がそのまま欺く行為となってしまうはずですから、その意味で論理的整合性にも注意が必要です。仮に、「暴力団員か否かの判断等に必要となるため、賃貸借契約書の性質上本名の記載が必要である。」と考えた場合、暴力団員でない人が何らかの事情で本名以外の通称名を記載した場合にも偽造になってしまうが、それでよいか、ということを、現場で考えてみるべきでしょう。「こいつ暴力団員やから犯罪成立させとけばええやろ。」という安易な感覚だった人は、反省しなければなりません。もっとも、このような当てはめの適切さ等は、それほど大きな差にはならない、というのが、近時の経験則です。とはいえ、「暴力団員である甲」と「暴力団員でない甲」で同一性を偽ったとやってしまえば、単なる当てはめの不適切というレベルを超えて、用いるべき規範とその意味を誤っているので、さすがに減点は免れないでしょう。これをやってしまった人は、国際旅行連盟事件判例がどのような場合について判示したかについて、再度確認すべきです。国際運転免許証は無権限者が発給しても免許証としての機能を有しないので、名義人は「発給権限を有する〇〇」となるわけですが、本問の場合、暴力団員が締結しても契約が有効だからこそ本件条項によって無催告解除できるとされているのであり、暴力団員が作成した賃貸借契約書であっても処分証書としての機能を有することは明らかですから、「暴力団員でない甲」が名義人になるはずがないのです。
 規範と事実をきちんと答案に示すためには、相応の文字数が必要です。問題をみて、事務処理型だと判断できたなら、答案構成を手早く済ませて、書く時間を確保すべきです。今年の場合、刑訴の方が単一マイナー論点型で、文字数をそれほど必要としないか、人によっては確実に配点のある論述が難しいと感じるでしょうから、刑訴の問題も確認した上で、刑訴の時間を短縮して刑法の方に時間を割くという戦略も、あり得たところです。予備の場合には、複数の科目を同じ時間で解くので、時間配分をどのように考えるか、答案構成だけ全科目先にやってしまうのか、普通に各70分で順番に解くのか、色々とやり方があり得ます。普段の演習の際に色々と試してみて、自分なりのやり方を確立しておくべきでしょう。
 そのようなことも踏まえ、今回は、4頁をフルに用いた参考答案①と、3頁に抑えた参考答案②を用意しました。いずれの答案でも、2項詐欺における財産上の損害の要否(必要とするなら賃料支払の意思・能力のある本問で損害とは何か(資産価値低下のおそれ?現実化していないが既遂?))、財産上の利益の移転性(甲が使用できる反面Bは使用できなくなる。)、丙への暴行の行為の個数(主観的にも侵害の継続がない。)については触れていませんが、文字数と配点の費用対効果を考慮すると、やむを得ないところでしょう。
 参考答案中の太字強調部分は、「司法試験定義趣旨論証集(刑法総論)」及び「司法試験定義趣旨論証集(刑法各論)」に準拠した部分です。

 

【参考答案①】

第1.賃貸借契約書に変更前の氏名を記入した上、その認印を押した点につき、有印私文書偽造罪(159条1項)は成立するか。

1.偽造とは、権限がないのに他人名義の文書を作成することをいい、その本質は、文書の名義人と作成者との間の人格の同一性を偽ることにある(再入国許可申請書偽造事件判例参照)
 甲は、自営していた人材派遣業や日常生活においては、専ら変更前の氏名を用いていた。変更前の氏名は通称名といえる。
 通称名を用いた場合、原則として、当該通称名から認識される者が名義人となる。もっとも、作成者を指すと認識しうる通称名を用いた場合であっても、文書の性質上本名を用いることが要求されているのに、通称名を本名とする別人格になりすまして当該通称名を本名として用いたときは、名義人は上記通称名を本名とする別人格の者となる(上記判例参照)
 確かに、賃貸借契約書に本件条項があり、甲は、Bに変更後の氏名を名乗れば、暴力団員であることが発覚する可能性があると考えて変更前の氏名を記入した。しかし、賃貸借契約書の性質上、本名を用いることが要求されているとはいえない。甲は、人材派遣業や日常生活においては専ら変更前の氏名を用いており、変更前の氏名を本名とする別人格になりすましたともいえない。
 したがって、名義人は甲であり、作成者との人格の同一性を偽ったとはいえず、偽造に当たらない。

2.よって、有印私文書偽造罪は成立しない。

第2.X組組員であることや使用目的を秘してBと賃貸借契約を締結した点につき、詐欺罪(246条2項)は成立するか。

1.欺く行為とは、財産的処分行為の判断の基礎となる重要な事項を偽ることをいう
 確かに、賃貸借契約締結の判断において通常重要であるのは、賃借人が誰であるか、賃借人に家賃等の支払意思・能力があるかであるところ、甲は、日常生活において変更前の氏名を用いており、賃借人の同一性を偽るとはいえず、甲には家賃等必要な費用を支払う意思も資力もあったから、この点を偽るともいえない。
 しかし、本件条項では、「賃借人は暴力団員又はその関係者ではなく、本物件を暴力団と関係する活動に使いません」とされた。某県では、暴力団排除の観点から、不動産賃貸借契約には本件条項を設けることが推奨されていた。また、実際にも、同県の不動産賃貸借契約においては、暴力団員又はその関係者が不動産を賃借して居住することによりその資産価値が低下するのを避けたいとの賃貸人側の意向も踏まえ、本件条項が設けられるのが一般的であった。少なくとも某県においては、本件条項は形式的なものではなく、これに違反する場合は賃貸借契約を締結しないのが通常であったといえる。したがって、賃借人が暴力団員又はその関係者であるか、暴力団と関係する活動に使う目的であるかは、賃貸借契約締結の判断の基礎となる重要な事項である。
 甲は、Bから本件条項の説明を受けたのに、契約締結に応じた。これは黙示に暴力団組員でないことを告知するものと評価できる。また、甲は、Bに本件居室を人材派遣業の事務所として使用する予定である旨告げた。これらの行為は、上記各事項を偽る行為であるから、欺く行為に当たる。

2.錯誤は、当該錯誤がなければ、交付又は処分行為をしなかったであろうという程度に重要なものであることを要する
 Bは、甲が暴力団員やその関係者でなく、本件居室を暴力団と関係する活動に使うつもりもない旨誤信し、賃貸借契約を締結した。上記1で示した事情からすれば、上記誤信は、それがなければBは同契約を締結しなかったであろうという程度に重要である。
 したがって、欺く行為による錯誤がある。

3.上記錯誤により締結された賃貸借契約により、甲は、本件居室の賃借権という財産上の利益を得た。

4.よって、詐欺罪が成立する。

第3.丙を死亡させた点について傷害致死罪(205条)又は重過失致死罪(211条後段)は成立するか。

1.拳で丙の顔面を1回殴ったところ、丙は、転倒して路面に頭部を強く打ち付け、急性硬膜下血腫の傷害を負い、同傷害により死亡したから、傷害致死罪の構成要件に該当する。

2.上記行為の際、丙に直ちにスタンガンで攻撃されると思い込んでおり、急迫不正の侵害(36条1項)の認識があった。自己の身を守るためにされたから、防衛の意思があった。甲は28歳の男性で身長165cm、体重60kgの標準体型で武器を持たないのに対し、丙は20歳の男性で身長180cm、体重85kgと大柄で、スタンガンを持っていると誤信していたから、防衛行為の相当性(「やむを得ずにした」)の認識もある。以上から、正当防衛に当たる事実があると誤信して行為したといえる。
 正当防衛に当たる事実があると誤信して行為した以上、違法な事実の認識がなく故意は認められない。もっとも、誤信につき過失がある場合には、過失犯が成立しうる
 丙の態度を注視していれば、丙が取り出したものがスマートフォンであり、丙が直ちに自己に暴行を加える意思がないことを容易に認識することができたから、重過失がある。

3.以上から、傷害致死罪は成立せず、重過失致死罪が成立するにとどまる。

第4.足で丙の腹部を3回蹴り、加療約1週間を要する腹部打撲の傷害を負わせた点につき、傷害罪(204条)が成立する。なお、足蹴り行為により丙の死期が早まることはなかったから、丙の死との因果関係はなく、傷害致死罪は成立しない。

第5.よって、甲は、第2から第4までの罪責を負い、併合罪(45条前段)となる。なお、同一法益に対する複数の行為が犯罪を構成する場合であっても、各行為が同一の意思決定に基づくものではないときは、包括一罪ではなく、数罪を構成する(熊打ち事件判例参照)から、第3・第4の罪について上記結論を妨げない。

以上

 

【参考答案②】

第1.賃貸借契約書に変更前の氏名を記入した上、その認印を押した点につき、有印私文書偽造罪(159条1項)は成立するか。

1.偽造とは、権限がないのに他人名義の文書を作成することをいい、その本質は、文書の名義人と作成者との間の人格の同一性を偽ることにある(再入国許可申請書偽造事件判例参照)
 通称名を用いた場合、原則として、当該通称名から認識される者が名義人となる。もっとも、作成者を指すと認識し得る通称名を用いた場合であっても、文書の性質上本名を用いることが要求されているのに、通称名を本名とする別人格になりすまして当該通称名を本名として用いたときは、名義人は上記通称名を本名とする別人格の者となる(上記判例参照)
 賃貸借契約書の性質上、本名を用いることが要求されているとはいえない。甲は、人材派遣業や日常生活においては専ら変更前の氏名を用いており、変更前の氏名を本名とする別人格になりすましたともいえない。
 したがって、名義人は甲であり、作成者との人格の同一性を偽ったとはいえず、偽造に当たらない。

2.よって、有印私文書偽造罪は成立しない。

第2.X組組員であることや使用目的を秘してBと賃貸借契約を締結した点につき、詐欺罪(246条2項)は成立するか。

1.欺く行為とは、財産的処分行為の判断の基礎となる重要な事項を偽ることをいう
 本件条項では、「賃借人は暴力団員又はその関係者ではなく、本物件を暴力団と関係する活動に使いません」とされた。某県では、暴力団排除の観点から、不動産賃貸借契約には本件条項を設けることが推奨されていた。また、実際にも、同県の不動産賃貸借契約においては、暴力団員又はその関係者が不動産を賃借して居住することによりその資産価値が低下するのを避けたいとの賃貸人側の意向も踏まえ、本件条項が設けられるのが一般的であった。某県においては、本件条項に違反する場合は賃貸借契約を締結しないのが通常であったといえる。したがって、賃借人が暴力団員又はその関係者であるか、暴力団と関係する活動に使う目的であるかは、賃貸借契約締結の判断の基礎となる重要な事項である。
 Bから本件条項の説明を受けたのに契約締結に応じ、Bに本件居室を人材派遣業の事務所として使用する予定である旨告げた行為は、上記各事項を偽る行為であるから、欺く行為に当たる。

2.Bは、甲が暴力団員やその関係者でなく、本件居室を暴力団と関係する活動に使うつもりもない旨誤信し、賃貸借契約を締結した。同契約により、甲は、本件居室の賃借権という財産上の利益を得た。

3.よって、詐欺罪が成立する。

第3.丙を死亡させた点について傷害致死罪(205条)又は重過失致死罪(211条後段)は成立するか。

1.丙の顔面を1回殴って急性硬膜下血腫の傷害により死亡させたから、傷害致死罪の構成要件に該当する。

2.上記行為の際、丙に直ちにスタンガンで攻撃されると思い込んでおり、急迫不正の侵害(36条1項)の認識があった。自己の身を守るためにされたから、防衛の意思があった。甲は28歳の男性で身長165cm、体重60kgで武器を持たないのに対し、丙は20歳の男性で身長180cm、体重85kgで、スタンガンを持っていると誤信していたから、やむを得ずにした認識もある。以上から、正当防衛に当たる事実があると誤信して行為したといえる。
 正当防衛に当たる事実があると誤信して行為した以上、違法な事実の認識がなく故意は認められない。もっとも、誤信につき過失がある場合には、過失犯が成立しうる
 丙の態度を注視していれば、丙が取り出したものがスマートフォンであり、丙が直ちに自己に暴行を加える意思がないことを容易に認識することができたから、重過失がある。

3.以上から、傷害致死罪は成立せず、重過失致死罪が成立するにとどまる。

第4.足で丙の腹部を3回蹴り、腹部打撲の傷害を負わせた点につき、傷害罪(204条)が成立する。死期が早まることはなかったから、丙の死との因果関係はなく、傷害致死罪は成立しない。

第5.よって、甲は、第2から第4までの罪責を負い、併合罪(45条前段)となる。

以上

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2020年11月15日

令和2年予備試験論文式民訴法参考答案

【答案のコンセプトについて】

1.当サイトでは、平成27年から昨年まで、規範の明示と事実の摘示に特化した参考答案を掲載してきました(「令和元年予備試験論文式憲法参考答案」参照)。それは、限られた時間内に効率よく配点の高い事項を書き切るための、1つの方法論を示すものとして、一定の効果をあげてきたと感じています。現在では、規範の明示と事実の摘示を重視した論述のイメージは、広く受験生に共有されるようになってきているといえるでしょう。

2.その一方で、弊害も徐々に感じられるようになってきました。規範の明示と事実の摘示に特化することは、極端な例を示すことで、論述の具体的なイメージを掴みやすくすることには有益ですが、実戦的でない面を含んでいます。
 また、当サイトが規範の明示と事実の摘示の重要性を強調していた趣旨は、多くの受験生が、理由付けや事実の評価を過度に評価して書こうとすることにありました。時間が足りないのに無理をして理由付けや事実の評価を書こうとすることにより、肝心の規範と事実を書き切れなくなり、不合格となることは避けるべきだ、ということです。その背景には、事務処理が極めて重視される論文の出題傾向がありました。このことは、逆にいえば、事務処理の量が少なめの問題が出題され、時間に余裕ができた場合には、理由付けや事実の評価を付すことも当然に必要となる、ということを意味しています。しかし、規範の明示と事実の摘示に特化した参考答案ばかり掲載することによって、いかなる場合にも一切理由付けや事実の評価をしてはいけないかのような誤解を招きかねない、という面もあったように感じます。

3.以上のことから、平成27年から昨年までに掲載してきたスタイルの参考答案は、既にその役割を終えたと評価し得る時期に来ていると考えました。そこで、今年は、必ずしも規範の明示と事実の摘示に特化しない参考答案を掲載することとしました。より実戦的に、現場で答案に事実を書き写している間に思い付くであろう評価を付し、時間・紙幅に余裕がありそうな場合には、規範の理由付けも付すこととしています。
 もっとも、現時点でも、規範の明示と事実の摘示に最も配点があるという傾向自体には変わりはないと考えています。また、規範の理由付けと事実の評価を比較すれば、後者、すなわち、事実の評価の方が配点が高いというのが、これまでの再現答案等の分析からわかっていることです。ですので、参考答案では、規範の明示と事実の摘示を最優先とし、次に事実の評価、それでもまだ余裕がありそうなら規範の理由付け、という優先順位を設け、それに基づいて論述のメリハリを付けることとしています。また、応用論点についても、現場でそれなりに気付くことができそうなものについては触れていく、という方針を採用しました。

4.今年の民訴法は、かなりの難問でした。設問1は、反訴の提起によって本訴の訴えの利益が失われる(最判平16・3・25)というのがポイントで、これを指摘できたかどうかで、まず差が付くでしょう。ただ、反訴が一部請求なので、却下されるのは500万円を超えない部分に限られます。給付の訴えが反訴でされた場合に不存在確認の本訴が却下される理由は、要するに、「反訴原告敗訴のときは債務の不存在に既判力が生じるのだから、反訴で一本化すればいいよね。」ということでした。そうであれば、反訴が一部請求であった場合には、反訴のあった部分は反訴で一本化し、残部は本訴で勝負させればよい。現場でそのようなことを考えれば、ここはそれほど難しくないでしょう。ここで一番やってはいけないのは、「反訴が一部請求でも、本訴が全部却下される。」としてしまうことです。これでは、一部請求で反訴(例えば1円だけ請求)をすれば、常に残部の不存在確認を免れることができてしまいますから、結論として不当だというだけでなく、設問2で本訴の既判力との関係を検討する機会を失うことになりますから、その部分の配点を丸々落とすことになります。これは、大きく評価を落としてもやむを得ないでしょう。一方、「反訴が一部請求の場合は本訴は全然却下されない。」という結論を採った場合には、設問2への影響がほとんどないので、大きく評価を落とすことはないだろうと思います。ただし、この構成の場合、500万円を超えない部分について重複して判決をしなければならない積極的な説明が求められ、それができていなければ(普通できないでしょう。)少し評価が厳しくなりそうです。なお、訴訟要件の審理は必ずしも本案に先行しなければならないわけではないので、既に受訴裁判所が心証を形成している本問では、むしろ本訴に一本化すべきと考えて反訴を却下することを考えた人もいたかもしれませんが、上訴のことを考えれば、それは無理でしょう。
 設問2の詳細は、前回の記事(「令和2年予備試験論文式民訴法設問2の解説」)で説明したとおりですが、正解に近い答案は、少なかっただろうと思います。そうなると、後遺障害に関する通常の一部請求論と、一部請求後の残部請求論を強引に書いて、そのまま結論を出す答案が、結果的には合格答案になるでしょう。そこで、今回は、前回の記事の説明に沿った内容で作成した参考答案①と、強引に後遺障害に関する通常の一部請求論と一部請求後の残部請求論で書いた参考答案②を用意しました。実戦的には、参考答案②が書ければ十分でしょう。参考答案②のポイントは、後遺障害についての一部請求論を書いた後、理由を付さずに、「このことは、債務不存在確認の訴えにも当てはまる。」と言い放つ点です。ここで中途半端に理由を書こうとすれば、時間をロスするだけでなく、積極ミスと判定されて余計な減点をもらいかねません。例えば、「Xは後遺障害を想定していないので、その部分は除外する意思で訴えを提起したと考えられる。」等と書けば、これは減点されても仕方がないでしょう。ある程度評価される理由付けとしては、以下のようなものが一応考えられます。

 

【論述例】
 確かに、債務不存在確認の訴えの場合には、原告の請求内容から一部請求と構成することは困難である。しかし、債務不存在確認の訴えを提起された被告(被害者)としては予期できない後遺障害の存在を主張立証することは不可能であるから、原告の求めた請求内容にかかわらず、後遺障害に係る損害を審判対象に含めることはできないというべきである。

 

 このような気の利いた理由付けを現場で思い付けばよいですが、それは現実には難しいでしょう。設問2の配点を考慮すれば、そこまで頑張る価値もない。よく、「守りの答案」等と言われることがありますが、それは、このようなわからないところで無理をしないことを意味しています。
 参考答案①は、1行30文字で65行(3頁)程度、参考答案②は52行(3頁弱)程度の内容です。全体的に、論述が薄い印象を持つでしょうが、本問は構成段階でそれなりに時間を使いそうなので、現実に書けるのはこの程度でしょう。「いや、自分はもっと書ける。」という自信のある人は、本問では事実の評価を増やす余地はあまりないでしょうから、配点が大きい設問1の理由付けをもう少し充実させる方向で書いてみるとよいでしょう。

 

【参考答案①】

第1.設問1

1.前段

(1)訴訟物を特定しない訴えは不適法であり、却下される(判例)。金銭債務の不存在確認の訴えは、発生原因により債務を特定すれば足り、具体的な金額の特定を要しない。
 本訴は本件事故による損害賠償債務の不存在を求めるものであり、発生原因により債務が特定されている。したがって、訴訟物の特定がある。

(2)債務不存在確認の訴えは、その債務の履行を求める反訴が提起されたときは、訴えの利益を欠く(判例)。その根拠は反訴棄却判決の既判力が債務不存在に生じる点にあるから、債務の一部の履行を求める反訴については、その一部について上記のことが妥当する。
 Yは、本訴に対し、本件事故による損害賠償請求の一部請求として500万円の支払を求める反訴を提起した。金銭債権の数量的一部についてのみ判決を求める旨を明示した訴えの訴訟物は、その一部である(判例)。
 したがって、本訴のうち、500万円を超えない部分については訴えの利益を欠く。

(3)受訴裁判所の心証によれば、本訴のうち、500万円を超える部分については理由がある。

(4)よって、受訴裁判所は、本訴のうち、500万円を超えない部分については却下判決をすべきであり、500万円を超える部分については認容判決をすべきである。

2.後段

(1)却下判決の主文(114条1項)は、訴訟要件不存在の判断を包含する。
 本訴のうち、500万円を超えない部分についての却下判決については、同部分について反訴があった旨の判断について既判力が生じる。

(2)本案判決の主文は、訴訟物の存否の判断を包含する。
 本訴のうち、500万円を超える部分についての認容判決については、本件事故による損害賠償債務は、500万円を超えては存在しない旨の判断について既判力が生じる。

第2.設問2

1.後訴のうち500万円を超えない部分は、反訴を棄却した前訴判決の既判力に抵触しないか。

(1)費目を特定した損害賠償請求の訴訟物は、一部請求である旨の明示がなくてもその費目に係るものに限定される(判例)。
 前訴におけるYの請求は、頭痛の治療費等を内容とする。他方、後訴は、手足の強いしびれにより介護が必要な状態となったことによる逸失利益等を内容とする。したがって、両者は費目を異にする別個の訴訟物であり、500万円を超えない部分においても重なることはない。よって、既判力の抵触はない。

(2)以上のとおり、前訴における反訴と後訴は訴訟物が異なるという根拠付けが可能である。

2.後訴のうち500万円を超える部分は、前記第1の2(2)の既判力に抵触しないか。

(1)前訴におけるXの請求は、本件事故による損害賠償債務の全部の不存在を確認する趣旨であることは明らかであるから、一部請求として根拠付ける余地はない。

(2)既判力の遮断効は、基準時前の事由にのみ及ぶ。基準時は、事実審の口頭弁論終結時である(民執法35条2項参照)。
 損害は事故時に一定の内容のものとして発生したと観念され、公平の理念に反しない限り、事故後に生じた事由は損害の内容に影響しないと擬制される(交通事故の一時金賠償に関する判例参照)。
 予期できない重大な後遺症が生じても損害の内容に影響しないと考えることは著しく公平の理念に反する。そうすると、その顕在化は基準時後に損害の内容を変動させる事由と考えられる。117条1項も、基準時後の後遺障害による判決の変更を認めている。
 手足の強いしびれの症状は前訴判決後に初めて生じ、要介護に至る重大な後遺症といえるから、損害の内容を変動させる前訴基準時後の事由である。したがって、既判力の抵触はない。

(3)以上のとおり、前訴基準時後の事由とする根拠付けが可能である。

以上

 

【参考答案②】

第1.設問1

1.前段

(1)訴訟物を特定しない訴えは不適法であり、却下される(判例)。金銭債務の不存在確認の訴えは、発生原因により債務を特定すれば足り、具体的な金額の特定を要しない。
 本訴は本件事故による損害賠償債務の不存在を求めるものであり、発生原因により債務が特定されている。したがって、訴訟物の特定がある。

(2)債務不存在確認の訴えは、その債務の履行を求める反訴が提起されたときは、訴えの利益を欠く(判例)。
 Yは、本訴に対し、本件事故による損害賠償請求の一部請求として500万円の支払を求める反訴を提起した。金銭債権の数量的一部についてのみ判決を求める旨を明示した訴えの訴訟物は、その一部である(判例)。
 したがって、本訴のうち、500万円を超えない部分については訴えの利益を欠く。

(3)受訴裁判所の心証によれば、本訴のうち、500万円を超える部分については理由がある。

(4)よって、受訴裁判所は、本訴のうち、500万円を超えない部分については却下判決をすべきであり、500万円を超える部分については認容判決をすべきである。

2.後段

(1)本訴のうち、500万円を超えない部分についての却下判決については、同部分について反訴があった旨の判断について既判力が生じる。

(2)本訴のうち、500万円を超える部分についての認容判決については、本件事故による損害賠償債務は、500万円を超えては存在しない旨の判断について既判力が生じる。

第2.設問2

1.前記第1の2(2)の既判力と抵触するか。
 人身損害の賠償請求を認容する判決が確定した後に、予期できなかった後遺障害が顕在化したときは、前訴は明示がなくてもその後遺障害に係る部分を除く一部請求となる(判例)。このことは、債務不存在確認の訴えにも当てはまる。
 Yの手足のしびれの症状は前訴判決後に生じ、予期できなかった後遺障害である。したがって、その顕在化により、Xの本訴請求は後遺障害に係る部分を除く一部の不存在を求めるものとなる。
 以上から、後訴は、上記既判力と抵触しない。

2.後訴は、前訴における反訴の残部請求であるため、信義則に反し、許されないのではないか。
 金銭債権の数量的一部請求訴訟で敗訴した原告が残部請求の訴えを提起することは、特段の事情がない限り、信義則に反して許されない(判例)。特段の事情の判断にあたっては、実質的な紛争の蒸返しでないか、被告の紛争解決の合理的期待に反しないかを考慮する。
 Yの手足のしびれの症状は前訴判決後に生じ、前訴でYが主張立証する余地はなかったから、実質的な紛争の蒸返しとはいえない。また、前訴判決によって、Xにおいて予期できない後遺障害まで含めた全ての紛争が解決したと期待することは合理的でない。したがって、上記特段の事情がある。
 以上から、後訴は信義則に反しない。

3.よって、後訴においてYの残部請求が認められる。

以上

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